JP3080475B2 - イメージ・スキャナの白レベル設定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、イメージ・スキャナに
おいて原稿上の記録画像の濃度レベルを検出するに当っ
て、あるべき白レベルを１スキャン・ライン分の時間遅
れをもって設定できるようにしたイメージ・スキャナの
白レベル設定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】原稿上に記述されている文字や絵などの
記録画像を電気信号に変換して読み取るために、原稿を
例えばラスタ・スキャンして電気信号に変えることが行
われる。

【０００３】このようなイメージ・スキャナにおいて
は、原稿の地色に対応する濃度レベルを逐次追尾して、
あるべき白レベルを生成し、当該白レベルに対応したア
ナログ白レベル信号を入力すると共に、上記原稿をスキ
ャンしたアナログ画像信号を入力し、前者のアナログ白
レベル信号に対応した白レベルの値を「１」とした場合
の上記アナログ画像信号に対応した濃度レベル（値
「０」ないし値「１」の間の値）を決定し、デジタル画
像信号として出力するようにされる。即ち、当該デジタ
ル画像信号における濃度レベルを調べて、上記記録画像
の有無（濃淡）などを判定するようにされる。

【０００４】図５は従来の場合の白レベル設定を説明す
る図である。図中の符号１はアナログ・デジタル変換回
路、２はレベル情報メモリ、３はデジタル・アナログ変
換回路、４はアナログ・コンパレータ、５はルック・ア
ップ・テーブルであって例えばＲＯＭによって構成され
ているものを表している。

【０００５】アナログ・デジタル変換回路１には、図示
しない白基準をスキャンした結果のアナログ画像信号
（第１のアナログ画像信号と呼んでいる）あるいは原稿
をスキャンした結果のアナログ画像信号（第２のアナロ
グ画像信号と呼んでいる）が第１の入力信号として入力
されると共に、現在のあるべき白レベルに対応したアナ
ログ白レベル信号が第２の入力信号として入力される。
そして、当該アナログ・デジタル変換回路１は、上記ア
ナログ白レベル信号に対応した白レベルを値「１」の濃
度レベルとした場合の、上記第１または第２のアナログ
画像信号に対応する濃度レベルの値を、上記スキャン上
の各画素位置でのデジタル画像信号として出力する。

【０００６】レベル情報メモリ２は、指示された新デジ
タル白レベル信号が供給される。デジタル・アナログ変
換回路３は当該デジタル白レベル信号をアナログ白レベ
ル信号に変換して出力する。

【０００７】またアナログ・コンパレータ４は、図示の
如く、アナログ画像信号とアナログ白レベル信号とを比
較して、そのレベル差を求めてレベル差信号を出力す
る。更に、ルック・アップ・テーブル５は、図示の如
く、現在のデジタル白レベル信号と上記レベル差信号と
にもとづいて、新デジタル白レベル信号を出力する。例
えば、上記現在のデジタル白レベル信号の白レベルと、
上記レベル差信号のレベル差とを加算して、新デジタル
白レベル信号を生成し、レベル情報メモリ２に供給す
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】図５に示す従来の構成
の場合には、例えば読取開始時（原稿の先端）や原稿の
地色が変化したような場合に、アナログ・コンパレータ
４が上記レベル差信号を出力することになるが、当該原
稿の地白に正しく見合うような白レベルをもつアナログ
白レベル信号が得られるまでに数ラインのスキャン分に
相当する時間遅れが生じる。

【０００９】換言すれば、図示のアナログ白レベル信号
が原稿の地色の濃度レベルに正しく合致している状態の
下では上記レベル差は零であるが、地色が変化した如き
場合には、新デジタル白レベル信号は当該地色の変化に
追従すべくレベル情報メモリ２に供給される。しかし、
当該レベル情報メモリ２からの現在のデジタル白レベル
信号は、上記変化した地色の濃度レベルに直ちに合致し
たものとはならず、数スキャン・ライン分の処理の後
に、地色の濃度レベルに見合ったあるべき正しい値のも
のとなる。

【００１０】本発明は、１スキャン・ラインの時間遅れ
をもって、上記地色の濃度レベルの変化に追従できるよ
うにすることを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】図１は本発明の原理構成
図を示す。図中の符号１はアナログ・デジタル変換回路
であって、図示のアナログ白レベル信号の白レベルの値
を「１」とした場合の、図示のアナログ画像信号の濃度
レベルの値を、上記スキャン・ライン上の各画素位置の
値として出力する。

【００１２】２はレベル情報メモリであって、指示され
た新デジタル白レベル信号が供給された際に、当該指示
信号に対応した所の、あるべきデジタル白レベル信号を
生成する。３はデジタル・アナログ変換回路であって、
上記デジタル白レベル信号をアナログ白レベル信号に変
換する。

【００１３】更に６は本発明においてもうけられる計算
回路であって、図示の現在のデジタル白レベル信号の白
レベルの値と、図示のデジタル画像信号（上述の白基準
をスキャンした場合のあるいは原稿の地色をスキャンし
た場合に得られたデジタル画像信号）の濃度レベルの値
とにもとづいて、次のスキャン・ラインにおいて、図示
のアナログ白レベル信号の白レベルがとるべき（即ちあ
るべき）値を、上記レベル情報メモリ２から得るように
する。即ち、新デジタル白レベル信号を出力する。

【００１４】

【作用】原稿の地色に変化がない場合には、計算回路６
は、レベル情報メモリ２から、現在のデジタル白レベル
信号を出力しつづけるように指示する。

【００１５】そして、原稿の地色が変化したとすると、
次のスキャン・ラインにおいて図示のアナログ白レベル
信号が当該原稿の地色に合致した白レベルの値をもつよ
うにする。即ち、計算回路６は、原稿の地色に合致した
白レベルの値を計算し、次のスキャン・ラインにおいて
当該白レベルの値をもつように図示の現在のデジタル白
レベル信号を生成せしめる新デジタル白レベル信号を生
成する。

【００１６】

【実施例】図２はイメージ・スキャナの構成を表す概念
図を示す。図中の符号１，３は図１に対応しており、７
は原稿、８はスキャン・ライン、９は光源（蛍光灯）、
１０はセンサであってスキャン・ライン８上の各画素位
置に対応した反射光を画素位置ごとにセンスするもの、
１２はアンプを表している。

【００１７】光源９とセンサ１０とは共通の台の上に載
置されており、例えば原稿７が図示矢印方向に給送され
る間に、センサ１０は原稿７上の画像をラスタ状にスキ
ャンしてセンスする。センサ１０によってセンスされた
スキャン・ライン上の各画素に対応する信号はアンプ１
２に導かれる。そしてアンプ１２の出力は、図１におい
ても明らかにした如くアナログ・デジタル変換回路１に
導かれる。

【００１８】図３は本発明の実施例構成を示す。図中の
符号は図１および図２に対応していることから具体的な
説明は省略するが、計算回路６においては、次の如き計
算を行う。

【００１９】即ち、「白基準」または「原稿の地色」に
対応するスキャン・ライン上の或る画素に対応するデジ
タル画像信号について、当該画像信号の濃度値（白レベ
ルの値）をｖとし、その画素に対応して与えられていた
「現在のデジタル白レベル信号」の白レベルの値をＷ
（ｗ）としたとき、上記値ｖと上記値Ｗとの間に誤差が
存在しているものとなっている。

【００２０】本来ならば、上記値ｖは、上記「白基準」
または「原稿の地色」に対応するスキャン・ライン上の
当該画素に対応するあるべき白レベルの値Ｗ’（ｗ’）
にもとづいて決定されるべきである。このことから、本
願発明における計算回路６は Ｗ’＝Ｗ×（ｖ−ａ）／（１−ａ）， ａ＝Ａ×１／｛Ｗ×（１−Ａ）＋Ａ｝ ……（１） （但しＡはアナログ・デジタル変換回路１とデジタル・
アナログ変換回路３とのダイナミック・レンジが異なる
場合の補正値）を計算し、次のスキャン・ラインにおい
ては、新しいデジタル白レベル信号の白レベルの値Ｗ’
にもとづいて、上記該当する位置の画素についての濃度
値（白レベルの値）ｖを得るようにする。

【００２１】言うまでもなく、従来の場合には図５を参
照して説明した如く、上記の白レベルの値Ｗ’を得るに
当って複数個のスキャン・ラインを経てはじめて得られ
たものである。これに対して、本発明の場合には１スキ
ャン・ラインの後に上記白レベルの値Ｗ’が求まるもの
となっている。

【００２２】図４は式（１）が与えられる根拠を説明す
る図である。図４において横座標はスキャン・ライン上
の画素位置ｘを表しており、縦座標は反射光量のレベル
を表している。

【００２３】図４（ａ）に示す左側の図は、レベル情報
メモリ２から当該スキャン・ラインについての白レベル
の値がｗ（＝ｐ）であるとして与えられており上記「白
基準」または「原稿上の地色」をスキャンして得られた
当該画素からの反射光量のレベルがｑであったとして、
描かれている。そして図４（ａ）に示す右側の図は、次
のスキャン・ラインにおいては、当該スキャン・ライン
についての白レベルの値がｗ’（＝ｑ）として与えられ
るべきことを表している。

【００２４】図４（ａ）においては、図３に示す値Ｗは Ｗ＝ｐ＝ｗ であり、かつ図３に示す値ｖは ｖ＝ｑ／ｐ＝ｗ’ である（値ｖは、上記ｗを純白とみなした場合の濃度レ
ベルである）。

【００２５】したがって、次のスキャン・ラインにおい
てとるべき白レベルの値Ｗ’は Ｗ’＝ｐ×ｑ／ｐ＝ｑ＝ｗ×ｖ＝Ｗ×ｖ で与えられ、計算回路６は原理的にはこのような計算を
行って、新しい白レベルの値Ｗ’を求めている。

【００２６】しかし、実際には、図２に示した光源９が
線状の光源であることや原稿７の周辺が原稿７の地色の
濃度レベルよりも低いことなどから、１つのスキャン・
ライン８上で中間位置近傍の画素からの反射光量のレベ
ルが大となる。このことから、図４（ｂ）に示す左側の
図のように、位置ｘに関して、中間位置近傍の画素から
の反射光量のレベルが大となり、図示の如く中間部分で
ふくらんだ形状となる（なお、図はこのふくらみを強調
して示している）。

【００２７】また、一般には、図３に示すアナログ・デ
ジタル変換回路１のダイナミック・レンジと図３に示す
デジタル・アナログ変換回路３のダイナミック・レンジ
とが異なる。このために、図４（ｂ）に示す左側の図か
ら右側の図に示すように変換するに当っては、補正値Ａ
を考慮することが必要となる。したがって、あるべき白
レベルの値Ｗ’は Ｗ’＝Ｗ×（ｖ−ａ）／（１−ａ）， ａ＝Ａ×１／｛Ｗ×（１−Ａ）＋Ａ｝ で与えられる。

【００２８】なお言うまでもなく、レベル情報メモリ２
は、計算回路６から、個々のスキャン・ライン上の各画
素位置に対応して「新デジタル白レベル信号」が供給さ
れて、当該画素位置に対応する「現在のデジタル白レベ
ル信号」を出力するようにされる。しかし、簡略形とし
て、反射光量のレベルが図４（ｂ）に示す如く中間部分
がふくらむ特性が判っていることから、当該特性を補う
ようにレベル情報メモリ２に「現在のデジタル白レベル
信号」を格納せしめておき、上記計算回路６からは、当
該スキャン・ラインにおける平均値な白レベルの値Ｗ’
を計算して、当該スキャン・ラインに関して１回だけ
「新デジタル白レベル信号」を与えるようにしてもよ
い。

【００２９】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、１
スキャン・ラインの後には、正しいあるべき白レベルの
値Ｗ’を与えることができる。即ち、原稿の少なくとも
最初の１スキャン・ライン分についての画質が保証でき
ないことを我慢すれば足りる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の原理構成図を示す。

【図２】イメージ・スキャナの構成を表す概念図を示
す。

【図３】本発明の実施例構成を示す。

【図４】式（１）が与えられる根拠を説明する図であ
る。

【図５】従来の場合の白レベルの設定を説明する図であ
る。

【符号の説明】

１ アナログ・デジタル変換回路 ２ レベル情報メモリ ３ デジタル・アナログ変換回路 ６ 計算回路 ７ 原稿 ８ スキャン・ライン ９ 光源 １０ センサ １２ アンプ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原稿（７）上に記述された記録画像をス
   キャンラインに沿ってスキャンし、当該スキャン結果か
   ら上記記録画像を読み取るイメージ・スキャナの白レベ
   ル設定装置において、 白基準をスキャンした第１のアナログ画像信号または上
   記原稿（７）をスキャンした第２のアナログ画像信号が
   入力されると共に、現在のあるべき白レベルに対応した
   アナログ白レベル信号が入力され、当該アナログ白レベ
   ル信号に対応した上記あるべき白レベルを値「１」とし
   た場合の、上記第１のアナログ画像信号または第２のア
   ナログ画像信号に対応した濃度レベルを、デジタル画像
   信号として出力するアナログ・デジタル変換回路（１）
   と、 指示された新デジタル白レベル信号に対応して、あるべ
   き白レベルに対応したデジタル白レベル信号を出力する
   レベル情報メモリ（２）と、 当該レベル情報メモリ（２）からの上記あるべき白レベ
   ルに対応したデジタル白レベル信号を、上記現在のある
   べき白レベルに対応したアナログ白レベル信号に変換す
   るデジタル・アナログ変換回路（３）と、 上記アナログ・デジタル変換回路（１）から出力された
   所の上記第１のアナログ画像信号または上記原稿の地色
   に対応する上記第２のアナログ画像信号に対応した上記
   デジタル画像信号と、上記レベル情報メモリ（２）から
   の上記デジタル白レベル信号とが入力されて、上記両者
   の入力信号に対応する夫々の白レベルに差異が生じたと
   き、次のスキャンラインに沿う読み取りに際して上記後
   者の入力信号に対応した白レベルを上記前者の入力信号
   に対応した白レベルに合致せしめるべく、上記アナログ
   ・デジタル変換回路（１）と上記デジタル・アナログ変
   換回路（３）とのダイナミック・レンジの差を考慮し
   て、上記新デジタル白レベル信号を計算し、上記レベル
   情報メモリ（２）に供給する計算回路（６）とをそなえ
   たことを特徴とするイメージ・スキャナの白レベル設定
   装置。
2. 【請求項２】 上記計算回路（６）は、上記デジタル画
   像信号に対応する白レベルの値をｖとし、かつ上記デジ
   タル白レベル信号に対応する白レベルの値をＷとすると
   き、上記レベル情報メモリへ新白レベルの値Ｗ’に対応
   する上記デジタル白レベル信号を出力せしめるべく、 Ｗ’＝Ｗ×（ｖ−ａ）／（１−ａ）， ａ＝Ａ×１／｛Ｗ×（１−Ａ）＋Ａ｝ （但しＡはアナログ・デジタル変換回路（１）とデジタ
   ル・アナログ変換 回路（３）とのダイナミック・レンジ
   が異なる場合の補正値）を計算した結果に対応した上記
   新デジタル白レベル信号を出力することを特徴とする請
   求項１記載のイメージ・スキャナの白レベル設定装置。