JP3079762B2 - 強誘電性液晶組成物および液晶表示素子 - Google Patents

強誘電性液晶組成物および液晶表示素子

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JP3079762B2 JP04086212A JP8621292A JP3079762B2 JP 3079762 B2 JP3079762 B2 JP 3079762B2 JP 04086212 A JP04086212 A JP 04086212A JP 8621292 A JP8621292 A JP 8621292A JP 3079762 B2 JP3079762 B2 JP 3079762B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は強誘電性スメクチック液
晶組成物および該組成物を用いる液晶素子に関する。さ
らに詳しくは、メモリー性の良好な強誘電性液晶組成物
およびそれを用いる液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶の最大の特色は高速の光学
応答とメモリー性であり、この二つの特質を利用してT
N型液晶素子ではなし得なかったような、大容量かつ高
密度の表示が実現できるものとして期待されている。強
誘電性液晶の特徴であるメモリー性の発現は、液晶素子
の時分割駆動を実現するための必須要件である。しか
し、現在一般に知られている強誘電性液晶材料を使用し
てメモリー性を有する液晶素子を得るためには、セルギ
ャップが2μm以下の非常に薄いセルによらねばならな
い。現在TN型液晶素子で実用化されている最も薄いセ
ルギャップは5μm程度である。非常に薄いセルでは電
極間の短絡の可能性が大きいことや厚みむらの発生によ
り製造上の歩留まりが低下することを考慮すると、非常
に薄いセルを量産することは極めて困難と考えられる。
また、ゲスト・ホストモードの強誘電性液晶素子ではセ
ル厚が大きい程コントラスト比が大きくなるので、薄い
セルの量産化が困難であることを併せて考えれば、セル
厚の大きな液晶素子においてもメモリー性を発現できる
強誘電性液晶材料が切望される。強誘電性液晶素子にお
けるメモリー性の発現は液晶材料のチルト角に関係し、
チルト角が30゜以上であれば良好なメモリー性が得ら
れることが、特開昭62ー159118号公報に記載さ
れている。
【0003】しかし、材料特性としてチルト角を特定し
ただけでは必ずしも良好なメモリー性を発現し得ないこ
とを経験していた発明者らは、液晶材料のその他の特性
をも考慮して、現在TN型液晶素子に用いられている程
度の厚さのセルにおいても良好なメモリー性を示す強誘
電性液晶材料の探索を続けた。その結果、特定の二種の
成分をその合計含量として全体の60モル%以上含有
し、室温における自発分極およびチルト角がそれぞれ6
0nC/cm2以上および24゜以上である強誘電性スメクチ
ックC液晶組成物が、セル厚10μmのセルで十分に良
いメモリー性を発現することを発明者等は既に見いだし
ている(特開平1ー256590参照)。しかし、前記
の特開昭62ー159118は強誘電性液晶の応答速度
には触れておらず、また特開平1ー256590に記載
の強誘電性組成物の応答速度にも改善が望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述したことから明ら
かなように本発明の目的は、セルギャップが約5μmよ
りも大きい液晶素子においても良好なるメモリー性と高
速応答性とを示す強誘電性スメクチックC液晶組成物を
提供することにある。
【課題を解決するための手段】強誘電性液晶を用いた液
晶素子のメモリー性に大きな影響を与える、強誘電性ス
メクチックC液晶材料の特性として、本発明者等はその
自発分極の大きさ(以下、Psと略記することがある)
とチルト角(以下θと略記することがある)の大きさに
着目して研究を重ねた結果、本発明を完成した。すなわ
ち、本発明の第一は下記の第(1)項に記載される強誘
電性液晶組成物であり、その態様は第(2)項ないし第
(7)項に示される。本発明の第二は後記の第(8)項
に記載される液晶表示素子である。
【0005】(1) 後記の式(I)で表される化合物
の少なくとも1つからなる第一成分、式(II)で表され
る化合物の少なくとも1つからなる第二成分、および式
(III)で表される化合物の少なくとも1つからなる第
三成分とからなり、第一成分を全体の10ー40重量%
含有し、第一ないし第三の成分を合計で全体の少なくと
も60重量パーセント含有し、室温における自発分極お
よびチルト角がそれぞれ60nC/cm2以上および24゜以
上である強誘電性スメクチックC液晶組成物。
【0006】
【化2】
【0007】ただし、式(I)において、Rは炭素数1
ー18のアルキル基またはアルコキシ基を、nは1ー1
8の整数をそれぞれ示し、*は不整炭素原子を意味し、
式(II)において、Aは−COO−、または−OCO−
を示し 、XおよびYはH、F、Cl、またはCNを示
すが、ともにHであることはなく、lおよびmはそれぞ
れ0または1の整数を示すがともに1であることはな
く、nは2ー18の整数を示し、Rは前記した意味を持
ち、式(III)において、Bは−COO−、−OCO
−、−CH2O−または−OCH2−を示し、R、lおよ
びmはそれぞれ前記した意味を持ち、nは2ー18の整
数を示す。 (2) 前記の第(1)項において、第一成分が式
(I)におけるRが炭素数5ー12のアルキル基または
アルコキシ基であり、nが2ー10の整数である化合物
からなる、強誘電性スメクチックC液晶組成物。 (3) 前記の第(1)項において、第二成分が式(I
I)におけるRが炭素数5ー12のアルキル基またはア
ルコキシ基であり、nが2ー10の整数である化合物か
らなる、強誘電性スメクチックC液晶組成物。 (4) 前記の第(1)項において、第三成分が式(II
I)におけるRが炭素数5ー12のアルキル基またはア
ルコキシ基であり、nが2ー10の整数である化合物か
らなる、強誘電性スメクチックC液晶組成物。 (5) 前記の第(1)項において、第一ないし第三の
成分がそれぞれ式(I)ないし式(III)におけるRが
炭素数5ー12のアルキル基またはアルコキシ基であ
り、nが3ー8の整数である化合物からなる、強誘電性
スメクチックC液晶組成物。 (6) 前記の第(1)項において、第一成分が式
(I)におけるnが6または8である化合物からなり、
第二成分および第三成分がそれぞれ式(II)および式
(III)におけるnが3または6である化合物からな
る、強誘電性スメクチックC液晶組成物。 (7) 前記の第(1)項において、第一成分が式
(I)におけるRが炭素数5ー12の直鎖のアルキル基
またはアルコキシ基でありnが6または8である化合物
からなり、第二成分および第三成分がそれぞれ式(II)
および式(III)におけるRが炭素数5ー12の直鎖の
アルキル基またはアルコキシ基でありnが3または6で
ある化合物からなる、強誘電性スメクチックC液晶組成
物。 (8) 前記の第(1)項ないし第(7)項のいずれか
一項に記載の強誘電性スメクチックC液晶組成物を用い
ることを特徴とする液晶表示素子。
【0008】本発明において第一成分として好ましく用
いられる式(I)の化合物を例示すると以下の化合物
(A1)ないし化合物(A19)等を挙げることができ
る。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】式(I)で表される光学活性化合物は、不
整炭素原子に大きな双極子モーメントを有するフッ素原
子が結合しているので大きなPsの値を有し、高速応答
を可能ならしめる重要な役割をはたしている。その中で
も光学活性基として
【化5】 を持つ化合物が特に好ましい。これらの光学活性化合物
は特開昭63ー190842、特開昭63ー22042
および特開昭63ー216878により開示されてい
る。本発明において第二成分として好ましく用いられる
式(II)の化合物を例示すると以下の化合物(B1)な
いし化合物(B12)等を挙げることができる。
【0012】
【化6】
【0013】
【化7】
【0014】式(II)で表される化合物はやはり大きな
Psの値を有する。特に光学活性基の結合するベンゼン
環のオルト位に−CN、F、Cl等の極性置換基を有す
るものが大きなPsを示すことが知られており、それら
は第二成分として好ましく用いられる。これらの光学活
性化合物は特開昭61ー43、特開昭61ー21005
6、および特開昭63ー48254に開示されている。
本発明において第三成分として好ましく用いられる式
(III)で表される化合物を例示すると以下の化合物
(C1)ないし化合物(C13)等を挙げることができ
る。
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
【0017】式(III)で表される化合物は、式(II)
で表される化合物ほどには大きくないがやはり大きなP
sの値を持っている。式(II)のカイラルスメクチック
C液晶化合物には、カイラルスメクチックC相(以下S
C*相と略記する)の上限温度がやや低い物が多いのに
比べると、式(III)の化合物はSC*相上限温度が高
く、得られる液晶組成物のSC*相上限を高温側に拡げ
るために式(III)の化合物は必要である。また、式(I
II)で表される化合物は、得られる組成物のチルト角を
目的の値に調整する際の成分化合物として有用である。
これらの化合物の中でも、やはり1ーメチルヘプチルオ
キシ基を光学活性基として持つ化合物が特に好ましく用
いられる。これらの光学活性化合物は特開昭61ー43
号、および特開昭61ー63633号の各公報に開示さ
れている。本発明の組成物には発明の目的を損なわない
範囲でその他の成分を混合して用いることができる。そ
れらの化合物としてはスメクチックC相(以下SC相と
略記する)を有する比較的低粘性の物や、SC*相の低
温領域を拡張する目的のために、従来から強誘電性スメ
クチックC液晶材料の成分としてその効果を知られてい
る化合物等が好ましく用いられる。本発明において、そ
の他の成分として好ましく用いられる化合物として以下
の化合物(D1)ないし化合物(D11)を挙げること
ができる。
【0018】
【化10】
【0019】強誘電性スメクチックC液晶の混合におい
て知られているPsならびにチルト角の値についての加
成性は、本発明の組成物についても成立する。例えば、
Psが100nC/cm2の化合物と20nC/cm2の化合物との
等量混合物のPsは概ね60nC/cm2となり、チルト角が
35゜の化合物と25゜の化合物とを等量混合するとチ
ルト角が略々30゜の混合物が得られる。従って、組成
物のPs値を60nC/cm2以上にするためには構成成分化
合物の個々のPs値に基づいてPsが60nC/cm2以上の
成分の混合割合を高めるなどして混合比を決定すればよ
いし、また、チルト角を24゜以上にするためにも同様
に成分化合物のチルト角に基づいてチルト角の大きな成
分の混合割合を高めるなどして混合比を決定すればよ
い。ただし、Psには正と負の極性があり、極性の異な
るPs値を持つ強誘電性液晶同志の混合においてはPs
値は互いに打ち消し合う。例えば、極性が正で50nC/c
m2のPs値を有する化合物と負の50nC/cm2のPs値を
有する化合物とを等量混合すると、得られる組成物のP
s値は略々0となるので、混合に際しては、同じ極性の
Psを持つ物同志を構成成分とするようにすればPsの
大きな組成物を容易に得ることができる。先に具体的に
例示した式(I)、式(II)および式(III)で表され
る化合物について、そのSC*相上限温度(Tcと略記
する)よりも10℃もしくは20℃低い温度(Tと略記
する)において測定したPsおよびチルト角の値を表1
に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1において、(※1)はSC*相温度レ
ンジが20℃未満のため、(※2)はSC*相を持たな
いため、(※3)はSC*相温度レンジが10℃未満の
ためにそれぞれ測定値がない。前記の式(I)、式(I
I)および式(III)にて表される化合物でSC*相をま
ったく有さない光学活性化合物については、SC相をし
めす液晶化合物との混合物としてそのPsおよびチルト
角の大きさを測定しておき、該混合物を一つの強誘電性
スメクチックC液晶として取り扱うことにより本発明の
成分として用いることができる。以下に本発明の基礎と
なった試験結果を示して、本発明をさらに詳しく説明す
る。試験は特記しない限りつぎの条件で行った。 使用
したセルは1cm2のITO透明電極を持つ一対のガラス
基板にポリビニルアルコールを塗布し、アンチパラレル
ラビングを施したセルギャップ10μmの物である。こ
のセルに等方性液体とした液晶組成物を注入し、徐冷し
て配向させて得られた液晶素子に25℃で図1のdに示
す波形のパルスを印加し、直交ニコル下における透過光
強度の時間的変化を観測した。透過光強度の観測結果は
ほぼ三種類の典型に分類でき、それらは図1のa、bお
よびcの応答波形で示される。図1のaが最もメモリー
性がよい結果を示し、b、cの順にメモリー性は低下し
てゆく。試験結果におけるメモリー性の良否はこの三種
類に分けてa、bまたはcによって表わす。15種類の
強誘電性スメクチックC液晶組成物を調製し、その電気
光学応答を調べた。組成物の組成を重量部にて以下に示
し、組成物の相転移温度を表2に、また、電気光学応答
を表3にそれぞれ示す。
【0022】組成物 1 A1、B1、B4、C1、
およびD2の等量混合物 組成物 2 A2、A4、B3、B6、C4、D7、
およびD11の等量混合物 組成物 3 組成物2(80)とD11(20)の混
合物 組成物 4 A2(5)、B2(12)、B4(1
2)、C2(12)、C3(12)、D4(20)およ
びD7(20)の混合物 組成物 5 A4(35)、B2(13)、B5(1
3)、C1(13)、D4(13)、およびD10(1
3)の混合物 組成物 6 A8(40)、B8(12)、C6(1
2)、D4(12)、D5(12)、およびD8(1
2)の混合物 組成物 7 A7(40)、B2(12)、B3(1
2)、B4(12)、C1(12)、およびC7(1
2)の混合物 組成物 8 A1(10)、B3(18)、B5(1
8)、C1(18)、D4(18)、およびD5(1
8)の混合物 組成物 9 A3(5)、B7(19)、C7(1
9)、C11(19)、D3(19)、およびD8(1
9)の混合物 組成物10 A5(20)、B7(35)、D1(1
5)、D2(15)、およびD3(15)の混合物 組成物11 B2、B4、C1、C4、C5、および
D10の等量混合物 組成物12 B2、B4、C1、C3、D2、および
D3の等量混合物 組成物13 B1、B6、C2、C6、D5、および
D7の等量混合物 組成物14 B3、B8、C3、C5、D3、および
D11の等量混合物 組成物15 B2(13)、B3(13)、C4(1
3)、C7(13)、D2(6)、D3(6)、D4
(6)、D5(6)、D7(6)、D10(6)、およ
びD11(6)の混合物 上表で括弧内の数字はその前に記載した化合物成分の含
有される割合を重量部にて示すものである。
【0023】
【表2】
【0024】表2においてC、S3、SC*、SA、N
*、およびIはそれぞれ結晶相、未確認スメクチック
相、カイラルスメクチックC相、スメクチックA相、コ
レステリック相、および等方性液相をそれぞれ示し、・
印および−印はその上に記載される相の存在および不在
を示す。また、数字は相転移温度をセ氏にて示し、括弧
内の数字は単変性相転移温度を示す。
【0025】
【表3】
【0026】表2と表3の試験結果はつぎのことを示し
ている。 (1)良好なメモリー性と高速応答性を得る条件として 式(I)の化合物、式(II)の化合物および式(II
I)の化合物をそれぞれ一つ以上含み、その含有量の合
計が全体の概ね60重量%以上であって、かつ、式
(I)の化合物の含有量が概ね10ー40重量%であ
り、 室温(25℃)における自発分極の大きさが60nC
/cm2以上であり、 室温(25℃)におけるチルト角が24゜より大き
い、強誘電性液晶組成物であることが必要である。 (2)チルト角が大きい(30゜以上)というだけでは
必ずしも良好なメモリー性は得られない(組成物3、組
成物12、および組成物15)。 (3)しかし、チルト角が24゜未満では、式(I)の
化合物、式(II)の化合物および式(III)の化合物の
成分合計量が60重量%以上で、かつ、室温における自
発分極が60nC/cm2以上であってもメモリー性の悪い物
がある(組成物6および組成物13)。 (4)式(I)、(II)および(III)の化合物の合計
含量が60重量%以上で、チルト角が24゜以上あって
もその自発分極が60nC/cm2未満ではメモリー性は良好
でない。(組成物8および組成物12) (5)組成物のPsおよびチルト角がそれぞれ60nC/c
m2以上および24゜以上であっても式(I)ないし式
(III)の化合物成分の合計含量が60重量%未満では
メモリー性は良くない(組成物3、組成物4、組成物1
0、及び組成物15)。 (6)さらに、式(I)の化合物の含有量が10重量%
未満では、メモリー性が良好であっても応答速度が小さ
い(組成物9、組成物11および組成物14)。 (7)応答時間300μsecを得るためには式(I)の
成分が10%以上必要であるが、式(I)の成分が40
%を越えると応答が遅くなることがしばしば生じるので
第一成分の含量は組成物全体の10ー40%が適当であ
る。応答速度から考慮すると第一成分が30ー40%で
あることがより好ましい。
【0027】組成物6は試験に供した中では最もチルト
角の小さい物である。チルト角が小さいと液晶の弾性的
性質からツイスト配列をすることが理論的に予想されて
いるが(ジャパニース、ジャーナル、オブ、アプライ
ド、フィジックス(Jpn.J.Appl.Phy
s.)25巻、L27(1986))、ツイスト配列は
メモリー状態の悪い配列と考えても良いので、チルト角
の小さな組成物6のメモリー性が劣るという結果はその
報告と矛盾しない。本発明においてはチルト角が23.
5゜以下では良好なメモリー性が得られていない。一
方、チルト角が34.7゜と最も大きな結果を示した組
成物3のメモリー性、およびPsが最も大きな結果を示
した組成物5のメモリー性がともに劣ることから、チル
ト角とPs以外にもメモリー性に影響する因子が存在す
ることが分かる。試験結果からメモリー性には主として
第一ないし第三の成分の合計含量が、メモリー性を伴う
高速応答性には主として第一成分の含量がそれぞれ重要
な関係を持っていることが判る。また、メモリー性の発
現には光学活性基として1ーメチルアルキルオキシ基を
持つ化合物がメモリー性を伴う高速応答性の発現には2
ーフルオロアルキルオキシ基を光学活性基として有する
化合物が極めて有用であることが判明した。
【0028】本発明の強誘電性スメクチックC液晶組成
物をゲスト・ホスト用液晶素子に使用する場合には、チ
ルト角が大きい組成物を用いればよく、また複屈折型表
示素子に使用する場合には、メモリー性の発現する範囲
内でチルト角をできるだけ小さく調製した組成物を用い
れば良い。すなわち、本発明の組成物は複屈折モード、
ゲスト・ホストモードのいずれにおいても使用すること
ができる。また、本発明の強誘電性スメクチックC液晶
組成物は、セルギャップが2μm程度に薄いセルにおい
ても良好なメモリー性を示すことは言うまでもない。な
お、前記の試験において開示された組成物にはSC*相
温度領域が比較的狭い物がある。しかし、構成成分とし
て互いに近接した同族体化合物を用いて構成成分の数を
多くすることにより、融点を降下させることができる
し、また、見かけの分子鎖長の差の小さい化合物を成分
として構成することにより、SC*相上限温度の低下を
抑制することができ(特開昭61ー190585参
照)、またSC相の上限温度の高い化合物の混合割合を
大きくすることにより、SC*相領域を高温側へ拡張す
ることもできる。これらのすでに知られている技術を併
用することにより実用に適したSC*相温度領域を持
ち、メモリー性のよい、高速応答性を備えた、強誘電性
液晶素子を調製することができる。
【0029】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される物で
はない。実施例、ならびに先に述べた試験において、P
sの値はソーヤー・タワー法により求め、チルト角は偏
光顕微鏡を用いて印加電圧の極性を反転させたときの消
光位の変化から求めた。また、光学応答はフォトマルを
陰極線オシロスコープに組み合わせて観測した。実施例
における組成は重量%で表される。また、相転移温度は
相を表す略記号の間にセ氏温度を示す数字を記して示
す。
【0030】実施例1 先に第一ないし第三成分の化合物として、またその他の
成分の化合物として例示した物の中から、それぞれ1つ
の化合物を成分とする以下の液晶組成物16を調製し
た。 組成物16 化合物 A7 20% 化合物 B1 30% 化合物 C2 40% 化合物 D7 10% この液晶組成物の相転移温度は C 10 SC* 69.5 SA 87.3〜90.
9 I であった。また、25℃で測定したPsおよびチルト角
はそれぞれ、82nC/cm2および28°であった。酸化錫
を含む酸化インジウム膜からなる透明電極(ITO透明
電極)を設けたガラス基板にポリビニルアルコールを塗
布し、アンチパラレルラビングを施した、セルセルギャ
ップ10μmのセルに組成物16を封入し、強誘電性液
晶素子を作成した。この素子に図1のdに示すような交
番矩形波電圧を印加し、直交ニコル下に複屈折モードで
の透過光強度を測定したところ、図1aに示すような透
過光強度変化が観測され、良好なメモリー性が示され
た。この液晶素子に電界強度が±10V/μmになるよ
うに交番矩形波電圧を印加し、そのパルス幅を変えて、
メモリースイッチングをする最小のパルス幅を求めたと
ころ、65μsecの非常に短いパルス幅で充分なメモリ
ー性のある光学応答が示された。また、この強誘電性液
晶素子に100Hz、±10V/μmなる矩形波を印加し
たところ、直交ニコル下に複屈折モードでのスイッチン
グ動作が観察され、応答時間は25℃で200μsecで
あった。
【0031】実施例2 1つの第一成分化合物、2つの第二成分化合物、1つの
第三成分化合物、および2つのその他の成分化合物から
なる組成物5を調製した。 組成物 5 化合物 A4 35% 化合物 B2 13% 化合物 B5 13% 化合物 C1 13% 化合物 D4 13% 化合物 D10 13% この組成物の相転移温度、Psおよびチルト角の大きさ
は表2、および表3に示す。この組成物5の97部に二
色性色素染料として以下の式で表されるアントラキノン
系色素(BDH社製D−16)3部を加えてゲスト・ホ
スト型表示用組成物とした。この組成物を実施例1で使
用した物と同じセルに封入し、1枚の偏光子の偏光面が
液晶分子長軸に平行になるように配置して、25℃での
電界強度が±10V/μmとなるようにパルス幅100
μsecの交番矩系波電圧を印加したところ、メモリー性
ならびにコントラストの非常に良好なスイッチング現象
が観察され、25℃における応答時間が165μsec
と、極めて応答の速いカラー液晶表示素子が得られた。
【0032】
【化11】
【0033】
【発明の効果】本発明により、セルギャップが大きい液
晶素子に用いても良好なメモリー性を示す強誘電性スメ
クチックC液晶材料が提供され、該液晶材料を用いるこ
とによりメモリー性の良い高速応答の液晶素子が得られ
る。これは、単純マルチプレックス駆動で強誘電性液晶
素子をコントラスト良く駆動できること、素子の製造に
おける歩留まりの向上およびゲスト・ホストモードにお
けるコントラスト比の向上等の利点をもたらすものであ
る。
【図面の簡単な説明】
図1は液晶素子のメモリー性の試験において素子に印加
した交番電圧波形および光学応答波形を模式的に示す図
である。aは良好なメモリー性を、cは貧弱なメモリー
性をそれぞれ示し、bはその中間のメモリー性を示す。
dは印加電圧波形を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 19/34 C09K 19/42 - 19/46

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後記の式(I)で表される化合物の少な
    くとも1つからなる第一成分、式(II)で表される化合
    物の少なくとも1つからなる第二成分、および式(II
    I)で表される化合物の少なくとも1つからなる第三成
    分とからなり、第一成分を全体の10ー40重量%含有
    し、第一ないし第三の成分を合計で全体の少なくとも6
    0重量パーセント含有し、室温における自発分極および
    チルト角がそれぞれ60nC/cm2以上および24゜以上で
    ある強誘電性スメクチックC液晶組成物。 【化1】 ただし、式(I)において、Rは炭素数1ー18のアル
    キル基またはアルコキシ基を、nは1ー18の整数をそ
    れぞれ示し、*は不整炭素原子を意味し、式(II)にお
    いて、Aは−COO−、または−OCO−を示し 、X
    およびYはH、F、Cl、またはCNを示すが、ともに
    Hであることはなく、lおよびmはそれぞれ0または1
    の整数を示すがともに1であることはなく、nは2ー1
    8の整数を示し、Rは前記した意味を持ち、式(III)
    において、Bは−COO−、−OCO−、−CH2O−
    または−OCH2−を示し、R、lおよびmはそれぞれ
    前記した意味を持ち、nは2ー18の整数を示す。
  2. 【請求項2】 「請求項1」において、第一成分が式
    (I)におけるRが炭素数5ー12のアルキル基または
    アルコキシ基であり、nが2ー10の整数である化合物
    からなる、強誘電性スメクチックC液晶組成物。
  3. 【請求項3】 「請求項1」において、第二成分が式
    (II)におけるRが炭素数5ー12のアルキル基または
    アルコキシ基であり、nが2ー10の整数である化合物
    からなる、強誘電性スメクチックC液晶組成物。
  4. 【請求項4】 「請求項1」において、第三成分が式
    (III)におけるRが炭素数5ー12のアルキル基また
    はアルコキシ基であり、nが2ー10の整数である化合
    物からなる、強誘電性スメクチックC液晶組成物。
  5. 【請求項5】 「請求項1」において、第一ないし第三
    の成分がそれぞれ式(I)ないし式(III)におけるR
    が炭素数5ー12のアルキル基またはアルコキシ基であ
    り、nが3ー8の整数である化合物からなる、強誘電性
    スメクチックC液晶組成物。
  6. 【請求項6】 「請求項1」において、第一成分が式
    (I)におけるnが6または8である化合物からなり、
    第二成分および第三成分がそれぞれ式(II)および(II
    I)におけるnが3または6である化合物からなる、強
    誘電性スメクチックC液晶組成物。
  7. 【請求項7】 「請求項1」において、第一成分が式
    (I)におけるRが炭素数5ー12の直鎖のアルキル基
    またはアルコキシ基でありnが6または8である化合物
    からなり、第二成分および第三成分がそれぞれ式(II)
    および式(III)におけるRが炭素数5ー12の直鎖の
    アルキル基またはアルコキシ基でありnが3または6で
    ある化合物からなる、強誘電性スメクチックC液晶組成
    物。
  8. 【請求項8】 「請求項1」ないし「請求項7」のいず
    れか一項に記載の強誘電性スメクチックC液晶組成物を
    用いることを特徴とする液晶表示素子。
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