JP3079319B2 - 植物休眠打破剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、にんにくの精油成分又
は合成によって得られるサルファイド化合物を有効成分
とし、農業や園芸などの分野において用いられる植物休
眠打破剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から石灰窒素処理、エチレン処理、
ジベレリンやサイトカイニン処理などが植物体の休眠打
破に有効とされ、農業作物の増収を目的として応用され
ている。岡山地方などではブドウの発芽を促進させるた
めに、にんにく汁液を塗布する方法が行われているが、
方法などに難点があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】果樹などの園芸作物、
中でも高級果樹などの休眠を人為的に打破して、早期の
収穫に結び付けることは重要である。したがって薬害が
ほとんど無く、しかも取り扱いが容易な、高級植物の休
眠を打破できる方法が求められている。

【０００４】

【発明が解決するための手段】本発明者らは長期にわた
り植物ホルモンについて、研究をなし、その結果よりヒ
ントを得て、特ににんにく精油について植物の休眠を覚
醒させる作用を目的として、種々研究を重ねたところ、
にんにく精油の成分であるサルファイド類について植物
休眠打破作用があることを実証し、所期の目的に達して
本発明を完成した。

【０００５】本発明によって得られる効果を以下の実施
例によって説明する。

【０００６】

【実施例】ぶどうの一種、巨峰を１芽に調整して挿し穂
をつくり、硫化メチル、二硫化メチル、硫化アリル及び
二硫化アリルの塗布及び気浴処理を行った後、水挿しに
し、２５℃の恒温室に入れて発芽を観察した。デシケー
ターの底部に水を入れたものを対照区とした。結果は図
１のように、気浴処理の場合硫化メチルを除く全ての処
理区で発芽が著しく促進され、発芽率も高く、特に二硫
化メチルの効果が著しかった。塗布処理では二硫化アリ
ルで発芽が促進され、特に二硫化アリルの効果が顕著で
あった。塗布濃度を変えた場合、二硫化アリル及び二硫
化メチルはいずれの濃度でも発芽が促進され、特に二硫
化アリルの効果が大きかった、発芽率は両物質とも濃度
が高いほど優れる傾向であった。

【０００７】この他高級柑橘類等にも同じ方法を実施し
て、所期の目的を上げつつある。

【０００８】なお方法としては挿し穂以外に温室或いは
露地の植物に対しても実施することができる。例えば二
硫化メチル、硫化アリル、二硫化アリルなどの各種サル
ファイド化合物はぶどうの剪定跡に塗布することによ
り、サルファイド化合物が浸透して、休眠期に存存する
酸化型グルタチオン（ＧＳＳＧ）を還元型グルタチオン
（ＧＳＨ）に活性化し、発芽を促進する。したがって芽
の酸素吸収量はサルファイド化合物によって増加するこ
とが明らかになっている。

【０００９】植物発芽打破剤として用いるサルファイド
類は、にんにくを脱皮、水洗、磨砕、酵素作用を行わせ
た後、水蒸気蒸溜する。流出液より分液して精油を採取
し、脱水後分溜して、採取された二硫化アリル、二硫化
メチルなどを用いることができる。

【００１０】またアリルブロミド、メチルアイオダイ
ド、硫化ナトリウムなどより常法により二硫化メチルな
どを合成したものを用いることができる。

【００１１】

【発明の効果】本発明によって、にんにく中に見出され
る、二硫化アリル、二硫化メチルなどのサルファイド類
によって、植物の休眠を打破して、発芽を促進すること
を発見したことにより、各種の園芸作物類の収穫の促進
と収量の増加を期待できる。

【００１４】

【図面の簡単な説明】

【図１】巨峰の挿し穂の発芽に及ぼす各サルフアイドの
影響を示すグラフである。上図は気浴処理、下図は塗布
処理のグラフである。横軸は挿し木後の日数を示し、縦
軸は発芽率（％）を示す。

【符号の説明】

１ 硫化メチル ２ 二硫化メチル ３ 硫化アリル ４ 二硫化アリル ５ 対照区

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 硫化メチル、二硫化メチル、硫化アリ
   ル及び二硫化アリルより選ばれた１又は２種以上の化合
   物を有効成分とすることを特徴とする植物休眠打破剤。