JP3078780B2 - 注射器用摺動弁 - Google Patents

注射器用摺動弁

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JP3078780B2
JP3078780B2 JP10148837A JP14883798A JP3078780B2 JP 3078780 B2 JP3078780 B2 JP 3078780B2 JP 10148837 A JP10148837 A JP 10148837A JP 14883798 A JP14883798 A JP 14883798A JP 3078780 B2 JP3078780 B2 JP 3078780B2
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哲郎 東川
博和 鈴木
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哲郎 東川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、注射器のシリンダ
内に傾きなく水平に挿着することのできる注射器用摺動
弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下に本発明を提起するに至るまでの背
景技術の概要を記載する。1969年にL.Ernerot らに
よってアンプルカット時のガラス破片の薬液への混入問
題が指摘されて以来、バイアル製剤のゴム栓に対する注
射針の穿通によるコアリング問題(ゴム片が削り取られ
る現象)、更には製剤調製時の細菌汚染等数々の重大問
題が提起されることとなった。この結果、容器兼用注射
筒、すなわちキット製剤が開発されるに至った。
【0003】キット製剤は、薬液が予め注射筒(シリン
ダ)に収納されているため、異物混入や細菌汚染を防ぐ
ことができ、更に医療従事者らの製剤調製時の負担を軽
減させることができるといった多くのメリットを持ち、
今後益々大きな発展を遂げることが予想されている。
【0004】現在、キット製剤の構造上の形式は二つの
タイプに大別されている。一方は従来のクラシカルなシ
リンダに薬液が収納され、外気との遮断は針接続部のキ
ャップのみで行われるものである。他方は、ガラス製の
シリンダ本体にプラスチック製のバレルが嵌合され、薬
液と外気との遮断にフロントストッパ(前方摺動弁)が
介在する仕組みのものである。一般に医薬品の場合、三
年間の長期保存に耐えなければならない規定があり、前
者よりも後者の方がより好ましいことは言うまでもな
い。
【0005】以下に上記背景技術の詳細を説明する。図
12は、特公昭62−58745号に記載された従来の
キット式注射器を示すものである。この注射器70は、
シリンダ内に予め注射剤76を充填保存し、注射の際に
注射針を取り付けるだけで簡単に注射できるものであ
り、筒状のガラス製シリンダ本体71と、該シリンダ本
体71の前端部に嵌合固定された合成樹脂製のバレル7
2と、シリンダ本体71内に配置された各摺動弁73
(フロントストッパゴム)と75(エンドストッパゴ
ム,プランジャ)及び両者の間に充填された薬液76と
を備えている。
【0006】該バレル72の内径はシリンダ本体71の
内径と同一に形成され、バレル72の内壁には、針接続
部78の吐出孔80に続く薬液導出用の溝81が形成さ
れている。そしてプランジャロッド77を押すことによ
り、摺動弁73がバレル72内に移動し、薬液76が溝
81から吐出孔80へ導入される。
【0007】上記注射器70は医療従事者が注射針を付
け、薬液を充填する手間をかけずに直ぐに患者に注射す
ることができるものであり、既存の注射器に較べ、薬液
吸引時の注射針の汚染や、薬液充填時のアンプルカット
によるガラス片の混入やバイアルのゴム栓穿通時のゴム
片の混入や細菌の侵入といった不具合が防止されてい
る。
【0008】図12において各摺動弁73,74の間に
配置された鎖線で示す摺動弁74は、プランジャロッド
77の一回の押し込み操作で二種類の薬液を分注させる
場合のものである。前方及び中間の摺動弁73,74は
同一形状のものである。各摺動弁73,74は周上に水
平方向の二本ないし三本の環状リップ82を有してお
り、シリンダ内壁71aに沿って低い摺動抵抗でスムー
ズに滑動する。
【0009】摺動弁73,74は図13に示す方法でシ
リンダ本体71内に挿着される。すなわち、先ず図13
(a) の如くシリンダ本体71の前端部に前方摺動弁73
を挿入する。前方摺動弁73の挿入作業は手でシリンダ
本体71の前端方から押し込んだり、あるいは図13
(b) に示す打栓具83を用いて行う。前方摺動弁73を
挿入したら、ノズル84からシリンダ本体71内に薬液
76を注入する。次いで図13(b) の如く打栓具83で
中間摺動弁74(二層式の場合)ないしは後方摺動弁7
5(図12の単層式の場合)を液面76aと同位置に挿
着させる。
【0010】すなわち金属製の筒状管85の内部に予め
摺動弁73,74を縮径して押し込めておき、プッシュ
ロッド86を押して摺動弁74を紙鉄砲式にシリンダ本
体71内に押し出して挿着させる。薬液76と摺動弁7
4との間の空気は筒状管85とシリンダ本体71との隙
間87から矢印イの如く外部に抜け出る。中間摺動弁7
4の挿着に際しては、真空引きした状態で第二の薬液を
注入し、第二の薬液内への空気の混入を防止する。第二
の薬液内に空気が混在すると、プランジャロッド77
(図12)のワンショット操作で第二の薬液を体内へ注
入した際に空気が一緒に入ってしまったり、保存中にエ
ア内の細菌が薬液に混入する危険があるからである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の注射器の摺動弁73,74にあっては、図14に示
す如く、シリンダ本体71内に前記手挿入ないし打栓具
83(図13)で前方摺動弁73を挿着した際に、摺動
弁73が傾いて保持されやすく(シリンダ本体71の軸
線と摺動弁73の軸線とが一致せず)、その場合には、
摺動弁73の傾斜した体積分だけ液面76aが上がり、
中間ないし後方の摺動弁74,75(図12)を打栓し
た際に、摺動弁74(75)の外周面に薬液がはみ出し
て付着し、白いしみ状の模様88を呈して外観検査不良
となってしまうという問題があった。また逆に、摺動弁
73が傾くためにシリンダ内室の容積が増えて、シリン
ダ内部にエアが混入してしまうという懸念もあった。こ
れらの問題は、前方摺動弁73が正規位置に挿入されて
も、中間ないし後方の摺動弁74,75が傾斜して挿着
された場合には同様に生じるものである。
【0012】摺動弁73が傾く原因の一つとしては、摺
動弁74を筒状管85(図13)から打ち出す際に、摺
動弁74の環状リップ82の全周が筒状管85の前端か
ら同時に離れることが少ないという事実が挙げられる。
すなわち、環状リップ82が前後方向(軸線方向)に容
易に撓み易いものであるために、環状リップ82の全周
のうちの一部がよれるように変形して、リップ全周にお
ける撓み方が不均一になるのである。それにより、手挿
入ないし打栓時に摺動弁73〜75が傾きやすくなるの
である。
【0013】なお、打栓時に中間摺動弁74の環状リッ
プ82間の周溝89(図14)に空気が入らないように
真空引きを行うわけであるが、真空引きが完全でない場
合には周溝89内に空気が入りやすく、その対応策とし
て出願人は特願平7−516102号で環状リップにエ
ア抜き用の溝を設けて、周溝内に薬液を充填させる構造
を提案している。
【0014】本発明は、上記した点に鑑み、摺動弁の挿
着に際してシリンダ内で傾かせることなく水平に挿着す
ることができて、薬液のはみ出しによるシミの発生や、
シリンダ内へのエアの混入による細菌の侵入を防止し得
る注射器用摺動弁を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、弾性を有する短円柱状の本体の外周面に
略波型の傾斜状リップを円周方向に連続して突出形成し
た第一の摺動弁を採用する(請求項1)。前記本体の一
端方には環状リップを突出形成する(請求項2)。前記
傾斜状リップには薬液導入用の切欠部を形成する(請求
項3)。また、弾性を有する短円柱状の本体の一端方に
環状リップを突出形成すると共に、該本体の他端に向け
て略逆ハの字状に閉じた一対の傾斜状リップを該本体の
外周面に複数対突出形成した第二の摺動弁を採用する
(請求項4)。前記各傾斜状リップを多段に配列するこ
とも可能である(請求項5)。第一の摺動弁において略
波型の傾斜状リップを多段に配列し、一方の傾斜状リッ
プを除く他方の傾斜状リップに薬液導入用の切欠部を形
成することも可能である(請求項6)。また、弾性を有
する短円柱状の本体の一端方に環状リップを突出形成す
ると共に、該本体の外周面に略波型の傾斜状リップを軸
線方向に複数条突出形成した第三の摺動弁を採用する
(請求項7)。さらに、弾性を有する短円柱状の本体の
外周面になまこ壁状に交差した複数本の傾斜状リップを
突出形成した第四の摺動弁を採用する(請求項8)。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係る注射器用摺動弁は主
に合成ゴム等の弾性材で形成され、短円柱状の本体の外
周に略波型の傾斜状リップを連続して、あるいは非連続
に突出形成したものである。略波型の定義はジグザグで
あっても、サイン波形のものであっても、波の上下端が
尖ったものでも丸まったものでもよい。傾斜状リップを
非連続に形成した場合は、その間に薬液導入用の切欠部
や開口や隙間が形成されるから、本体の一端方に環状リ
ップや他の波型リップのような連続したリップを設け
る。連続及び非連続な傾斜状リップは多段に設けてもよ
い。
【0017】以下に本発明に係る注射器用摺動弁の実施
の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。図1〜
図2は本発明に係る注射器用摺動弁の第一実施例を示す
ものである。この摺動弁1は、弾性を有する短円柱状の
本体2と、該本体2の一端部(上端部)の周上に突出形
成された一条の環状リップ3と、該本体2の外周面2a
に略波型に連続して突出形成された波型リップ(波型の
傾斜状リップ)4とで構成される。
【0018】該環状リップ3は従来と同様のものである
が、図11に示す如く注射器の後方ピストン寄りに配置
される。該波型リップ4は本体の円周方向にジグザグに
連続しており、本体2の軸線に対して鋭角的に傾斜した
直線状な複数の傾斜部(傾斜状リップ)5と、各傾斜状
リップ5をV字状に結ぶ上下の屈曲部6,7とで構成さ
れる。該波型リップ4の突出高さは環状リップ3の突出
高さと同一に設定される。
【0019】本例において波型リップ4を構成するV字
形状部8は外周上に10個連続して形成されており、一
つのV字形状部8の180°反対側に同一形状のV字形
状部が位置している。特に偶数個のV字形状部8を設定
した場合は、摺動弁挿着時に、シリンダ内壁に対する一
つのV字形状部8と180°反対側のV字形状部8′と
の摺動抵抗が同一となり、摺動弁1がより傾きににくく
なる。
【0020】V字形状部は奇数個でもよく、その場合で
も、摺動弁1の全周に渡って各V字形状部8の撓みが均
一に起こって摺動抵抗が均一化する。それと同時にV字
形状部8のくさび効果でシリンダに対する挿入性及び直
進性が安定向上し、それが摺動弁1の全周に渡って均一
に作用するから、上記各V字形状部8の撓みの均一化と
相まって摺動弁1の傾きが防止される。上記波型リップ
4は直線的な傾斜リップ5を有するが、例えばy=si
nθで示されるサインカーブ(サイン波形)の波型リッ
プを用いても同様の効果を得ることができる。
【0021】図3は注射器用摺動弁の第二実施例を示す
ものである。この摺動弁は、図1〜図2の第一実施例と
同様の波型リップ(波型の傾斜状リップ)10,11を
短円柱状の本体12の外周面12a上下に並列に形成し
たものである。
【0022】本体12の全長は前例よりも長く形成され
ている。波型リップ10,11は円周方向に連続して十
分なシール性を備えているから、本体12の一端におい
て環状リップ13を鎖線で示す如く必ずしも設ける必要
はない。環状リップ13を設けない場合には、一方の波
型リップ11に切欠部14を設けて、中間摺動弁として
用いることもできる。本例によれば波型リップ10,1
1を並列に二条形成したことにより、シリンダ内壁に対
する傾き難さ及び直進性がさらに向上する。
【0023】図4は注射器用摺動弁の第三実施例を示す
ものである。この摺動弁15は注射器の中間摺動弁とし
て用いられるものであり、図1〜図2の第一実施例の波
型リップ(波型の傾斜状リップ)4の上側屈曲部7に軸
線方向の切欠部(切欠溝)16を設けて、本体17上部
の環状リップ18と波型リップ4との間に本体17の下
端部側から薬液を導入可能とし、各リップ4,18間の
空気溜りを防止したものである。
【0024】波型リップ4は切欠部16により複数のV
字形状部19に分割されている。切欠部16は、鎖線で
示す如く上側屈曲部7でなく下側屈曲部6に設けてもよ
く、あるいは両方6,7に設けてもよい。
【0025】図5は注射器用摺動弁の第四実施例を示す
ものである。この摺動弁20も中間摺動弁として用いら
れるものであり、図3の第二実施例の上下の波型リップ
(波型の傾斜状リップ)10,11にそれぞれ軸線方向
の切欠部(切欠溝)21,22を設けたものである。短
円柱状の本体23の上端部には環状リップ24が形成さ
れており、上下の波型リップ10,11の間と、上側の
波型リップ10と環状リップ24との間に薬液を導入可
能である。
【0026】該環状リップ24は図11に示す如く後方
ピストン寄りに配置される。図4の第三実施例と同様に
波型リップ10,11は切欠部21,22により複数の
V字形状部25に分割されている。また切欠部21,2
2は、鎖線で示す如く上側屈曲部26でなく下側屈曲部
27に設けてもよい。
【0027】上記図3の第二実施例〜図5の第四実施例
は全て図1〜図2の第一実施例と同様の作用と効果を奏
するものである。また図4の第三実施例や図5の第四実
施例を図11における注射器の前方摺動弁や後方摺動弁
として用いても何ら構わない。
【0028】図6は注射器用摺動弁の第五実施例を示す
ものである。この摺動弁28は、図4の第三実施例にお
いて上側及び下側の屈曲部6,7に切欠部16を設けた
形状に類似するものである。すなわち、短円柱状の本体
29の上端部に環状リップ30を設けると共に、本体2
9の外周面29aに略逆ハの字状(V字の下端を切欠し
た形状)の各一対の傾斜状リップ31,32を複数対形
成したものである。
【0029】該傾斜状リップ31,32は所謂なまこ型
に本体29の外周面から突出し、本体29の軸線に対し
て鋭角的に直線状に配置されている。一対の傾斜状リッ
プ31,32は上端側(環状リップ側)に広い開部3
3、下端側に狭い開部34を有している。各一対の傾斜
状リップ31,32は等間隔に偶数対配置され、隣接す
る傾斜状リップの間にテーパ状の広い隙間35が開いて
いる。各開部33,34及び隙間35から薬液が環状リ
ップ30側に導入される。略V字状の一対の傾斜状リッ
プ31,32の開き角度θは挿入性及び直進性を考慮し
て30°ないしそれ以下が最適であるが、30°以上の
ものでも実使用上何ら問題はない。
【0030】図7〜図8は注射器用摺動弁の第六実施例
を示すものである。この摺動弁36は図6の第五実施例
における略V字状の複数対のなまこ型の傾斜状リップ3
1,32を長めの短円柱状の本体45の外周面45aに
上下二段に配設したものである。
【0031】上側の傾斜状リップ37,38と下側の傾
斜状リップ39,40とは同一形状に形成され、上下各
一対の傾斜状リップ37,38と39,40の中心線は
一致している。本例の摺動弁36においても薬液が各傾
斜状リップ37,38と39,40の間の開部41,4
2及び隙間43から環状リップ44側へ導出する。
【0032】図6〜図8の第五〜六実施例においても各
一対の略V字状の傾斜状リップ37,38と39,40
は図1の第一実施例のV字形状部8等と同様に、摺動弁
1,36のほぼ全長に渡ってシリンダ内面との摺動部位
を有することから、弾性部材である摺動弁1,36の摺
動面における剛性が向上し、従来の環状リップのみの摺
動弁に較べてリップ全周に渡り変形が均一化される。そ
れと同時に略V字形状のくさび効果で挿入性及び直進性
が安定するから、摺動弁1,36の傾きが防止される。
該摺動弁36は主に中間摺動弁として使用される。
【0033】図9は注射器用摺動弁の第七実施例を示す
ものである。この摺動弁46は長めの本体47の外周面
47aに図1の第一実施例のような波型リップ(波型の
傾斜状リップ)48を軸線方向に複数配設したものであ
る。
【0034】本例において該波型リップ48は一対づつ
対象形状に向かい合って配置されているが、各波型リッ
プ48を同一形状に整列させてもよい。各波型リップ4
8の間には隙間49が形成され、該隙間49から薬液が
環状リップ50側へ導入される。該波型リップ48は複
数の傾斜状リップ51をジグザグに連続させたものであ
り、該傾斜状リップ51によって上記同様の作用効果が
奏される。
【0035】図10は注射器用摺動弁の第八実施例を示
すものである。この摺動弁52は上記した全ての摺動弁
の基本形とも言えるものであり、短円柱状の本体53の
外周面53aに所謂なまこ壁状にクロスした傾斜状リッ
プ54,55を連続して突出形成したものである。本例
においては二条の連続した傾斜状リップ54,55が円
周方向に位相ずれして配置されているが、必ずしもこの
形状に限らず、なまこ壁状に何本もの傾斜状リップがク
ロスして配置されたものであればよい。
【0036】各傾斜状リップ54,55はV字形状部5
6を構成する。各傾斜状リップ54,55は円周上に連
続しているから、前記環状リップは不要である。下側の
全てのV字形状部56に鎖線の如く薬液導入用の切欠部
57を形成して中間摺動弁として用いることもできる。
なまこ壁状にクロスした傾斜状リップ54,55により
全周に渡って傾斜状リップ54,55の撓みが均一化
し、且つV字形状部56により挿入性と直進性が得ら
れ、摺動弁52の傾きが阻止される。
【0037】図11は上記摺動弁を用いたキット式注射
器58を示すものである。本例において前方摺動弁1に
は図1の第一実施例のものが、中間摺動弁36には図7
の第六実施例のものが、また後方摺動弁(ピストン)9
には図3の第二実施例のものが使用されている。
【0038】前方摺動弁1は波型リップ(波型の傾斜状
リップ)4の作用でシリンダ59内に傾きなく真直(水
平)に挿着され、第一の薬液60の液面60aを正規位
置に保つ。それにより、中間摺動弁として従来型(環状
リップ型)のものを使用した場合に挿着時に摺動弁の外
周に薬液60がはみ出してシミを生じたり、シリンダ内
にエアやが混入したりすることがない。エアが混入しな
いから細菌も侵入しない。本例では中間摺動弁36とし
て傾斜状リップ37〜40の間に開部41,42と隙間
43を有するものを使用しているから、傾斜状リップ3
7〜40の間に薬液60が進入して空気溜りをなくし、
人体への安全性や細菌の侵入防止性を高めている。
【0039】該中間摺動弁36は傾斜状リップ37〜4
0の作用で前方摺動弁1と同様に傾きなく真直に挿着さ
れ、第二の薬液61の液面位置を安定させて、後方摺動
弁9の外周への薬液のはみ出しやシリンダ内へのエアの
混入を防止する。後方摺動弁9も波型リップ10,11
の作用で真直に挿着され、薬液61を摺動弁9側にはみ
出させることがない。
【0040】なお、使用する摺動弁は図11のものに限
らず、上記実施例の何れかを適宜使用することができ
る。また注射器も本例のキット式注射器58に限らず、
従来例で挙げたバレル式のものやガラス一体型シリンダ
のもの等いずれでもよく、また、薬液は一層(単注)で
も多層(分注)でも構わない。
【0041】
【発明の効果】以上の如くに、本発明によれば、摺動弁
をシリンダ内へ挿着する際に、傾斜状リップが摺動弁の
ほぼ全長に渡ってシリンダ内面との摺動部位を有するか
ら、弾性部材である摺動弁の摺動面における剛性が高ま
り、従来の環状リップのみの摺動弁に較べてリップ全周
に渡って撓み変形が均一化される。それと同時に波型の
傾斜状リップのV字形状部や逆ハの字状の傾斜状リップ
のくさび作用でシリンダに対する挿入性及び直進性が安
定する。これにより、シリンダ内に摺動弁が傾きなく水
平に挿着され、摺動弁外周への薬液のはみ出しやシリン
ダ内へのエア(細菌)の混入防止される。また、請求項
3,4,6,7の摺動弁を中間摺動弁として用いること
により、各傾斜状リップの間や、傾斜状リップと環状リ
ップとの間に薬液が充填され、摺動弁の外周部における
空気溜りの発生、すなわち細菌等の侵入が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る注射器用摺動弁の第一実施例を示
す斜視図である。
【図2】同じく第一実施例を示す側面図である。
【図3】注射器用摺動弁の第二実施例を示す側面図であ
る。
【図4】注射器用摺動弁の第三実施例を示す側面図であ
る。
【図5】注射器用摺動弁の第四実施例を示す側面図であ
る。
【図6】注射器用摺動弁の第五実施例を示す側面図であ
る。
【図7】注射器用摺動弁の第六実施例を示す側面図であ
る。
【図8】同じく第六実施例を示すの斜視図である。
【図9】注射器用摺動弁の第七実施例を示す側面図であ
る。
【図10】注射器用摺動弁の第八実施例を示す側面図で
ある。
【図11】注射器用摺動弁を組み込んだキット式注射器
の一例を示す縦断面図である。
【図12】従来の注射器を示す縦断面図(円内は拡大断
面図)である。
【図13】(a)(b)は注射器用摺動弁をシリンダに打栓す
る方法を順に示す縦断面図である。
【図14】従来の注射器用摺動弁の問題点を示す縦断面
図である。
【符号の説明】
2,12,17,23,29,45,47,53 本体 4,10,11,48 波型リップ
(波型の傾斜状リップ) 3,13,18,24,30,44,50 環状
リップ 14,16,21,22,57 切欠
部 31〜32,37〜38,39〜40 一対
の傾斜状リップ 1,9,15,20,28,36,46,52 摺動
弁 54,55 なま
こ壁状の傾斜状リップ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 5/315

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性を有する短円柱状の本体の外周面に
    略波型の傾斜状リップを円周方向に連続して突出形成し
    たことを特徴とする注射器用摺動弁。
  2. 【請求項2】 前記本体の一端方に環状リップを突出形
    成したことを特徴とする請求項1記載の注射器用摺動
    弁。
  3. 【請求項3】 前記傾斜状リップに薬液導入用の切欠部
    を形成したことを特徴とする請求項2記載の注射器用摺
    動弁。
  4. 【請求項4】 弾性を有する短円柱状の本体の一端方に
    環状リップを突出形成すると共に、該本体の他端に向け
    て略逆ハの字状に閉じた一対の傾斜状リップを該本体の
    外周面に複数対突出形成したことを特徴とする注射器用
    摺動弁。
  5. 【請求項5】 前記傾斜状リップを多段に配列したこと
    を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の注射器用摺
    動弁。
  6. 【請求項6】 前記略波型の傾斜状リップを多段に配列
    し、一方の傾斜状リップを除く他方の傾斜状リップに薬
    液導入用の切欠部を形成したことを特徴とする請求項1
    記載の注射器用摺動弁。
  7. 【請求項7】 弾性を有する短円柱状の本体の一端方に
    環状リップを突出形成すると共に、該本体の外周面に略
    波型の傾斜状リップを軸線方向に複数条突出形成したこ
    とを特徴とする注射器用摺動弁。
  8. 【請求項8】 弾性を有する短円柱状の本体の外周面
    に、なまこ壁状に交差した複数本の傾斜状リップを突出
    形成したことを特徴とする注射器用摺動弁。
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