JP2021137451A - 2室式プレフィルドシリンジ - Google Patents
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Abstract
【課題】液移行操作を素早く行うことができ、かつ混合操作での中間ストッパの前進を防止できる2室式プレフィルドシリンジを提供する。【解決手段】2室式プレフィルドシリンジ10は、外筒12内に先端ストッパ16、中間ストッパ18、及び基端ストッパ20が挿入され、中間ストッパ18の先端側に第1薬剤Aが収容され、中間ストッパ18の基端側に第2薬剤Bが収容されている。外筒12の基端のフィンガーグリップ22をプランジャ24が挿通している。プランジャ24とフィンガーグリップ22とには、基端ストッパ20が中間ストッパ18に当接した際にプランジャ24の移動を阻止するロック機構70が設けられている。ロック機構70は、プランジャ24を回動させる操作によって解除される。【選択図】図2
Description
本発明は、2種類の薬剤を充填した2室式プレフィルドシリンジに関する。
従来より、注射用のシリンジの内部に予め薬剤を充填したプレフィルドシリンジが用いられている。プレフィルドシリンジは、シリンジとしての投与機能も備えており、混合後にそのまま使用できるため、簡便で安全性の高い投与デバイスとなっている。このような、プレフィルドシリンジには、使用直前に2種類の薬品を用時混合する混合デバイスの一つとして、2つの薬室を備えた2室式プレフィルドシリンジも知られている。
2室式プレフィルドシリンジは、外筒の内部の収容空間が中間ガスケットで2つの薬室に隔てられ、それぞれの薬室に異なる種類の薬剤が封入されている。シリンジ外筒の中央付近には、バイパスが形成されており、使用直前に中間ガスケットをバイパスの位置に移動させると、2室に封入されている薬剤を混合させることができる。このような2室式プレフィルドシリンジは、ダブルチャンバーシリンジ又はデュアルチャンバーシリンジ等とも呼ばれる。
2室式プレフィルドシリンジを使用する場合には、使用者は、まず、一方の収容室の液剤を他方の収容室に移行するために、プランジャが接続されている末端ストッパを中間ストッパに当接するまで押し進め、そこで一旦プランジャを停止させる操作(液移行操作)を行う。この液移行操作により、プランジャ側の収容室の液剤が外筒(バレル)の内壁に形成されたバイパスを通じて先端側の収容室に移動する。そして、使用者は、2室式プレフィルドシリンジを振る等して2種類の薬剤を混合させる操作(混合操作)を行う。その後、使用者は、薬剤の混合を確認した後、薬剤を投与する操作(投与操作)を行う。
ところが、液移行操作が早すぎると、液剤の移行が完了しないまま中間ストッパがバイパスを通過する事象(オーバーラン)が発生してしまい、所望の濃度及び容量の薬剤を調整できなくなるという問題が生じる。
このような問題を防ぐために、プランジャとフィンガーグリップ(又はフランジ)に、液移行操作の際に噛み合うねじ機構を設けておき、液移行操作の際のプランジャの押し過ぎを防ぐ2室式プレフィルドシリンジが知られている(特許文献1、2)。
従来の2室式プレフィルドシリンジでは、液移行操作において、使用者はプランジャを回転させ続けなければならず、手間がかかり、液移行操作を素早く完了できないという問題がある。
また、液移行操作の完了後は、ねじ機構の噛み合いが解除され、プランジャに軸方向の荷重を入力することで前進可能となる。そのため、混合操作において使用者が2室式プレフィルドシリンジを振る等した際に、プランジャを周辺の障害物にぶつけて、プランジャが前進してしまうことがある。このような場合には、中間ストッパが前進してしまい、十分に混合されていない液剤が針管の先端から漏洩して所望の濃度及び液量の薬剤が得られない。
そこで、一実施形態は、液移行操作を素早く行うことができ、かつ混合操作での中間ストッパの前進を防止できる2室式プレフィルドシリンジを提供することを目的とする。
以下の開示の一観点は、筒状に形成され、内周面の一部に溝状のバイパスが形成された外筒と、前記外筒の基端に設けられたフィンガーグリップと、前記バイパスよりも基端側に配置され、前記外筒の内部の収容空間を第1薬剤を収容する先端側の第1薬室と第2薬剤を収容する基端側の第2薬室とに仕切る中間ストッパと、前記中間ストッパよりも基端側に配置され、前記中間ストッパとの間で第2薬剤を封止する基端ストッパと、前記フィンガーグリップを挿通して前記基端ストッパに接続されたプランジャと、前記プランジャと前記フィンガーグリップとに設けられ、前記基端ストッパが前記中間ストッパに当接した際に前記プランジャの軸方向先端側への荷重入力に対する移動を阻止するロック機構と、を備え、前記ロック機構による前記プランジャの移動阻止は、前記プランジャを回動させる操作によって解除される、2室式プレフィルドシリンジにある。
上記観点の2室式プレフィルドシリンジによれば、基端ストッパが中間ストッパに当接するまでの液移行操作をプランジャの軸方向への前進のみで素早く行うことができる。また、液移行操作が完了すると、ロック機構がプランジャの軸方向の荷重入力に対する移動を阻止するため、混合操作での液漏れを防止できる。
以下、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、2室式プレフィルドシリンジ10の針ユニット26が取り付けられる方向を「先端側」又は先端方向とよび、プランジャ24が取り付けられる方向を「基端側」又は基端方向と呼ぶ。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る2室式プレフィルドシリンジ10は、外筒12と、針接続部14と、先端ストッパ16と、中間ストッパ18と、基端ストッパ20と、フィンガーグリップ22と、プランジャ24と、針ユニット26とを備える。2室式プレフィルドシリンジ10には、第1薬剤Aと第2薬剤Bとが分離した状態で充填されている。
図2に示すように、外筒12は、基端側に基端側開口部28が形成された、略円筒形状の胴体部30を有する。外筒12の内部には、内周面12aによって囲まれた、断面が円形の収容空間32が軸方向に貫通して形成されている。収容空間32の先端側は、ルアーチップ34(後述する)に連通し、収容空間32の基端側は基端側開口部28において開口する。
外筒12の中央付近の内周面12aには、バイパス36が形成されている。バイパス36は、内周面12aに対して凹むように形成された溝部36aを備える。溝部36aは、内周面12aの周方向に間隔を開けて複数設けられている。溝部36aは、外筒12の軸方向に延びており、中間ストッパ18よりも軸方向に長く形成されている。溝部36aは、中間ストッパ18の側部に薬液が通過可能な隙間を形成するものであり、その幅の寸法は、例えば0.1mm〜2mmに形成されている。また、溝部36aの深さは、例えば、0.1mm〜1mm程度に形成されている。
外筒12の内周面12aの先端付近には、液流路38が周方向及び軸方向に格子状に形成されている。液流路38は、内周面12aに対して凹むように形成された溝状の流路であり、ルアーチップ34の連通孔34aに連通している。液流路38は、先端ストッパ16が外筒12の先端側に移動した際に、先端ストッパ16の側部に薬液が通過可能な流路を形成する。
外筒12の胴体部30の基端側開口部28の外方には、径方向外方に向けて突出したフランジ40が形成されている。フランジ40には、後述するフィンガーグリップ22が装着されている。
外筒12の先端部には、針接続部14が設けられている。針接続部14は、外筒12の先端から筒状に延び出たルアーチップ34と、ルアーチップ34の外側を囲むように円筒状に延び出たルアーロック42とを備えている。ルアーチップ34は、外周部の外径が先端に向けて徐々に小さくなるテーパー状に形成されている。ルアーチップ34の内側には連通孔34aが軸方向に貫通して形成されている。連通孔34aは、外筒12の内部の収容空間32に連通しており、収容空間32から押し出された薬液を針ユニット26に導く流路を構成する。
ルアーロック42は、ルアーチップ34の外側に離間して設けられている。ルアーロック42とルアーチップ34との間に、針ユニット26の針ハブ44を収容する間隙46が形成される。ルアーロック42の内側には雌ねじ48が形成されており、雌ねじ48に針ハブ44のフランジ部44aが螺合して接続されている。
針ユニット26は、図1に示すように、ステンレス鋼等の金属材で形成された針管50と、針管50を支持する針ハブ44とを備えている。針管50の先端には生体の皮下に穿刺可能な鋭利な針先50aが形成されている。使用直前まで針ユニット26の針管50は、保護キャップ52によって覆われている。
なお、2室式プレフィルドシリンジ10において、保管及び輸送の段階では、針接続部14にキャップ部材(不図示)が接続されてもよく、針ユニット26は、使用直前の段階で接続されるように構成してもよい。
図2に示すように、外筒12の収容空間32には、先端ストッパ16と、中間ストッパ18と、基端ストッパ20とが挿入されている。先端ストッパ16、中間ストッパ18及び基端ストッパ20は、ゴム材料等で形成された弾性部材であり、収容空間32を気密及び液密に仕切っている。すなわち、先端ストッパ16と、基端ストッパ20との間に、薬剤を封止された空間が形成され、その空間を中間ストッパ18が第1薬室54と第2薬室56とに仕切っている。
先端ストッパ16は、バイパス36の先端側に配置されている。先端ストッパ16は、未使用状態において、液流路38の基端側に配置されており、外筒12の内周面12aと密着して第1薬室54の先端側を封止する。第1薬室54には、例えば、図示の例のように粉末状の第1薬剤Aが気体(空気)とともに封入されている。なお、第1薬室54には、液剤が封入されていてもよい。
先端ストッパ16は、プランジャ24を先端側に押圧すると、収容空間32内の流体(空気又は液剤)によって先端側に押圧され、液流路38が形成された部位にまで移動する。先端ストッパ16のシール構造は、液流路38を封止することができないため、先端ストッパ16が液流路38の位置に移動すると、第1薬室54とルアーチップ34の連通孔34aとを連通させる。
中間ストッパ18は、未使用状態において、バイパス36の基端側に配置されており、外筒12の内周面12aと密着して第1薬室54の基端側を封止する。また、中間ストッパ18は、第2薬室56の先端側を封止する。第2薬室56には、第2薬剤Bとして液剤(液体の薬剤)が封入されている。第2薬剤Bは、例えば、第1薬剤Aを希釈するための希釈水とすることができ、注射水又は生理食塩水が封入されている。
中間ストッパ18は、プランジャ24を先端側に変位させると、液体の第2薬剤Bを通じて先端側に押し出され、バイパス36の形成位置に移動する。中間ストッパ18のシール構造は、バイパス36の溝部36aと密着することができないため、中間ストッパ18がバイパス36内に移動すると、第2薬室56と第1薬室54とがバイパス36を通じて連通する。
基端ストッパ20は、中間ストッパ18の基端側に離間して配置されており、外筒12の内周面12aと密着して、第2薬室56の基端側を封止する。基端ストッパ20は、内周面12aと摺動しながら移動可能となっている。基端ストッパ20の基端部には、プランジャ24が接続されており、基端ストッパ20は、プランジャ24と一体的に移動する。基端ストッパ20とプランジャ24とは、不図示のねじ機構によって接続されており、プランジャ24は予め基端ストッパ20に組付けられた状態で、製品提供される。なお、プランジャ24は、使用直前に基端ストッパ20に取り付けてもよい。
図1に示すように、外筒12の基端には、フランジ40が設けられている。フランジ40は、径方向外方に円板状に延び出た板状の部材である。そのフランジ40には、フィンガーグリップ22が装着されている。フィンガーグリップ22は、フランジ40よりも外方に突出する板状部材であり、プランジャ24を操作する際に、指を掛けて使用される。
図4に示すように、外筒12とは別体の部品であり、樹脂材料よりなる。プランジャ24のその厚さ方向の中央部には、フランジ40を装着するための装着凹部58が形成されている。フィンガーグリップ22の中央部には、プランジャ24を挿通するための挿通孔60が形成されている。挿通孔60は、装着凹部58の先端側の先端孔60aと、装着凹部58の基端側の基端孔60bとを有している。先端孔60a及び基端孔60bの側部には、プランジャ24を先端孔60a及び基端孔60bに通す切欠部62が形成されている。切欠部62が形成されていない部分の先端孔60a及び基端孔60bは、平面視して略円形に形成されている。基端孔60bからは、中心側(プランジャ24)に向けて突出したラグ部材64が設けられている。ラグ部材64は、プランジャ24とは干渉しない長さで突出するが、後述するプランジャねじ68と当接する。ラグ部材64は、後述するプランジャねじ68とともに、プランジャ24の液漏れを阻止するロック機構70を構成する。上記のフィンガーグリップ22は、フランジ40と一体的に形成されていてもよい。
図1に示すように、プランジャ24は、フィンガーグリップ22の挿通孔60及び外筒12の基端側開口部28を通じて外筒12の収容空間32内に挿入されている。図3に示すように、プランジャ24の先端部には、雄ねじ66が形成されており、雄ねじ66に基端ストッパ20を螺合することで、プランジャ24と基端ストッパ20とが接続される。プランジャ24の中央部には、プランジャ24の先端側への移動を阻止するための、プランジャねじ68(雄ねじ)が形成されている。
プランジャねじ68は、フィンガーグリップ22の基端孔60b(図4参照)及び基端側開口部28の内径よりも小さな外径寸法のねじ山68aを備えており、収容空間32内に挿入可能な外径寸法となっている。ただし、プランジャねじ68は、挿通孔60のラグ部材64に当接可能な外径に形成されている。プランジャねじ68のねじ山68aのピッチは、ラグ部材64の厚さよりも広く形成されており、プランジャ24を回動させると、ラグ部材64が雌ねじとして、プランジャねじ68のねじ山68aの間を通過可能となっている。プランジャねじ68は、ラグ部材64が当接すると、プランジャ24の軸方向先端側への荷重入力による変位を阻止して、ロック機構70として機能する。また、ロック機構70は、プランジャ24を回動させることにより、ラグ部材64がプランジャねじ68を通過して解除される。従って、ロック機構70は、プランジャ24に対して回動操作を行うことで解除され、例えばプランジャ24を障害物にぶつける等の単純な荷重入力のみによっては、先端側に前進しないように構成されている。
なお、ロック機構70の解除動作をできるだけ簡素化するべく、図示のように、プランジャねじ68はプランジャ24を1周する角度範囲(1周分)にのみ形成されていることが好ましい。これにより、使用者は、最大でも1周回動させるだけで、ロック機構70を解除できるため、解除動作を素早く行える。
また、プランジャ24が周方向のどの方向を向いている場合であっても、確実にプランジャねじ68がラグ部材64に当接するように、プランジャねじ68はプランジャ24の全周に亘って形成されていることが好ましい。ここで、全周に亘ってとは、全周に亘って形成されることまでは必要なく、例えば、ラグ部材64が周方向に幅広に形成されている場合には、プランジャねじ68は周方向にラグ部材64が通過しない程度の隙間を有してもよい。
本実施形態の2室式プレフィルドシリンジ10は以上のように構成され、以下その作用について使用方法とともに説明する。
図5Aに示すように、使用者は、2室式プレフィルドシリンジ10の先端を上側、基端を下側に向けて保持して、液移行操作を開始する。また、2室式プレフィルドシリンジ10の針接続部14には、液移行操作に先立って、針ユニット26が接続される。
次に、使用者が、2室式プレフィルドシリンジ10のプランジャ24を、ゆっくりと先端側に押し込むことで、液移行操作を行う。図5Bに示すように、基端ストッパ20はプランジャ24とともに前進し、第2薬室56の第2薬剤B(液体)を介して中間ストッパ18が先端側に押し出される。中間ストッパ18の変位により、第1薬室54の気体(空気)が圧縮されて先端ストッパ16が液流路38の位置に押し出される。これにより、第1薬室54が液流路38を通じて針管50に連通して、第1薬室54の気体(空気)が針先50aから抜けてゆく。
プランジャ24をさらに押し込むと、中間ストッパ18がバイパス36の位置に移動する。バイパス36に移動すると、第1薬室54と第2薬室56とがバイパス36の溝部36aを通じて連通する。そのため、以後、第2薬室56の第2薬剤B(液体)が、バイパス36を通じて第1薬室54に移行する。第2薬剤Bが第1薬室54に移行している間、中間ストッパ18はほとんど変位せず、そのままの位置に留まる。そして、基端ストッパ20と中間ストッパ18との距離が狭まり、第2薬室56の容積が減少する。
さらに、使用者がプランジャ24を押すと、図7Aに示すように、基端ストッパ20が中間ストッパ18に当接する。このとき、第2薬室56が押しつぶされ、第2薬剤B(液体)の第1薬室54への移行が完了する。基端ストッパ20が中間ストッパ18に当接した状態で、使用者がさらにプランジャ24を押し込むと、図6に示すように、プランジャねじ68のねじ山68aがラグ部材64に当接してプランジャ24が停止する。これにより、使用者は液移行操作が完了したことを把握できる。プランジャねじ68とラグ部材64とのロック機構70により、プランジャ24の先端側への移動が阻止され、それ以上押せなくなる。
次に、使用者は、2室式プレフィルドシリンジ10の針ユニット26を上に向けたまま、軽く振ったり、手に打ち付けたりして、第1薬室54内の第1薬剤Aと第2薬剤Bとを混合させる。このとき、ロック機構70により、プランジャ24の前進が阻止されるため、誤って針先50aから未混合の薬液が漏出する事象を防止できる。
その後、使用者は第1薬剤A及び第2薬剤Bの混合を確認した後、図7Bに示すように、プランジャ24のロック機構70を解除する操作を行う。図8に示すように、プランジャ24を回動させると、ラグ部材64とプランジャねじ68とが螺合しながらプランジャ24が前進する。プランジャ24を1回転ほど回転させると、プランジャねじ68のねじ山68aがラグ部材64を通過して、プランジャ24を軸方向に進めることが可能となる。これにより、ロック機構70の解除操作が完了する。
次に、使用者は、図9Aに示すように、針ユニット26から、保護キャップ52を取り外す。そして、使用者は、図9Bに示すように、プランジャ24を押し込みながら第1薬室54に残る気泡を抜く。その後、使用者は、針先50aを生体の皮下に穿刺し、プランジャ24を操作して第1薬室54の第1薬剤A及び第2薬剤Bの混合液を投与することができる。
本実施形態の2室式プレフィルドシリンジ10は、以下の効果を奏する。
本実施形態の2室式プレフィルドシリンジ10は、筒状に形成され、内周面12aの一部に溝状のバイパス36が形成された外筒12と、外筒12の基端に設けられたフィンガーグリップ22と、バイパス36よりも基端側に配置され、外筒12の内部の収容空間32を第1薬剤Aを収容する先端側の第1薬室54と第2薬剤Bを収容する基端側の第2薬室56とに仕切る中間ストッパ18と、中間ストッパ18よりも基端側に配置され、中間ストッパ18との間で第2薬剤Bを封止する基端ストッパ20と、フィンガーグリップ22を挿通して基端ストッパ20に接続されたプランジャ24と、プランジャ24とフィンガーグリップ22とに設けられ、基端ストッパ20が中間ストッパ18に当接した際にプランジャ24の軸方向先端側への荷重入力に対する移動を阻止するロック機構70と、を備え、ロック機構70によるプランジャ24の移動阻止は、プランジャ24を回動させる操作によって解除される。
上記の構成によれば、基端ストッパ20が中間ストッパ18に当接するまでの液移行操作をプランジャ24の軸方向への前進のみで素早く行うことができる。また、液移行操作が完了すると、ロック機構70がプランジャ24の軸方向の荷重入力に対する移動を阻止するため、混合操作等の際にプランジャ24の前進を確実に防ぐことができる。
上記の2室式プレフィルドシリンジ10において、ロック機構70は、フィンガーグリップ22からプランジャ24に向けて突出したラグ部材64と、プランジャ24から外周側に突出したプランジャねじ68と、を備え、プランジャねじ68は、基端ストッパ20が中間ストッパ18に当接した際にラグ部材64に当接し、プランジャ24を回動させない限りプランジャ24の先端側への移動を阻止するように構成してもよい。
これにより、プランジャ24の軸方向に対して、強い荷重入力が発生した場合であっても、不用意にプランジャ24の前進を阻止できる。これにより、混合操作が完了する前の液漏れを防止できる。
上記の2室式プレフィルドシリンジ10において、プランジャねじ68は、軸方向から見てプランジャ24の全周に亘って形成されていてもよい。このように構成することで、プランジャ24の周方向の角度にかかわらず、プランジャねじ68がラグ部材64と確実に当接するため、プランジャ24の前進を確実に阻止できる。
上記の2室式プレフィルドシリンジ10において、プランジャねじ68は、プランジャ24の周りを1周する角度範囲に形成されていてもよい。これにより、使用者は、ロック機構70の解除を、プランジャ24を最大でも1周程度回動させるだけで行えるため、操作が簡便となり好適である。
以下、実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明では、図1〜9Bを参照しつつ説明した2室式プレフィルドシリンジ10に対する変更箇所のみを図示して説明する。
(変形例1)
図10に示すように、本変形例は、プランジャ24のプランジャねじ68Aを2条ねじとした点で、図3のプランジャねじ68と異なっている。図示のように、プランジャねじ68Aは、2本のねじ山68b、68cを備えている。ねじ山68bとねじ山68cは、周方向に半周(180°)ずれた位置に配置されている。各々が半周分の角度範囲に形成されている。このように、2本のねじ山68b、68cよりなるプランジャねじ68Aが、プランジャ24の全周に亘って形成されている。
図10に示すように、本変形例は、プランジャ24のプランジャねじ68Aを2条ねじとした点で、図3のプランジャねじ68と異なっている。図示のように、プランジャねじ68Aは、2本のねじ山68b、68cを備えている。ねじ山68bとねじ山68cは、周方向に半周(180°)ずれた位置に配置されている。各々が半周分の角度範囲に形成されている。このように、2本のねじ山68b、68cよりなるプランジャねじ68Aが、プランジャ24の全周に亘って形成されている。
一方、フィンガーグリップ22には、周方向に半周(180°)開けて一対のラグ部材64Aが設けられている。このように構成することにより、プランジャ24の角度にかかわらず、いずれかのラグ部材64Aがプランジャねじ68Aと当接して、プランジャ24の先端への移動を阻止することができる。
また、本変形例のプランジャねじ68Aは、ねじ山68b、68cが半周範囲に形成されているため、プランジャ24を半周回転させるだけで、ロック機構70のロックを解除できる。これにより、より操作性が向上する。
(変形例2)
図12に示すように、本変形例では、プランジャ24に、プランジャねじ68に代えて、プランジャラグ68Bが形成されている。プランジャラグ68Bは、プランジャ24の周方向の複数個所から外方に突出している。
図12に示すように、本変形例では、プランジャ24に、プランジャねじ68に代えて、プランジャラグ68Bが形成されている。プランジャラグ68Bは、プランジャ24の周方向の複数個所から外方に突出している。
一方、フィンガーグリップ22には、挿通孔60に、プランジャ24に向けて突出した第1突起部72及び第2突起部74が設けられている。第1突起部72は、先端孔60aの内周部に設けられており、間隙部72aを挟んで周方向に複数設けられている。また、第2突起部74は、基端孔60bの内周部に設けられている。第1突起部72及び第2突起部74は、周方向に広がって形成されており、プランジャ24の周方向の角度によらずに、プランジャラグ68Bと当接するように構成されている。
本変形例のロック機構70Bは、フィンガーグリップ22の第1突起部72及び第2突起部74と、プランジャラグ68Bとで構成されている。ロック機構70Bの解除動作は、プランジャラグ68Bを第1突起部72に当接させつつプランジャ24を回動させ、間隙部72aにプランジャラグ68Bを通すことにより行える。本変形例によっても、液移行操作の完了後のプランジャ24の前進を防ぐことができる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10…2室式プレフィルドシリンジ 12…外筒
16…先端ストッパ 18…中間ストッパ
20…基端ストッパ 22…フィンガーグリップ
24…プランジャ 36…バイパス
64、64A…ラグ部材 68、68A…プランジャねじ
70、70B…ロック機構 A…第1薬剤
B…第2薬剤
16…先端ストッパ 18…中間ストッパ
20…基端ストッパ 22…フィンガーグリップ
24…プランジャ 36…バイパス
64、64A…ラグ部材 68、68A…プランジャねじ
70、70B…ロック機構 A…第1薬剤
B…第2薬剤
Claims (6)
- 筒状に形成され、内周面の一部に溝状のバイパスが形成された外筒と、
前記外筒の基端に設けられたフィンガーグリップと、
前記バイパスよりも基端側に配置され、前記外筒の内部の収容空間を第1薬剤を収容する先端側の第1薬室と第2薬剤を収容する基端側の第2薬室とに仕切る中間ストッパと、
前記中間ストッパよりも基端側に配置され、前記中間ストッパとの間で第2薬剤を封止する基端ストッパと、
前記フィンガーグリップを挿通して前記基端ストッパに接続されたプランジャと、
前記プランジャと前記フィンガーグリップとに設けられ、前記基端ストッパが前記中間ストッパに当接した際に前記プランジャの軸方向先端側への荷重入力に対する移動を阻止するロック機構と、を備え、
前記ロック機構による前記プランジャの移動阻止は、前記プランジャを回動させる操作によって解除される、2室式プレフィルドシリンジ。 - 請求項1記載の2室式プレフィルドシリンジであって、前記ロック機構は、
前記フィンガーグリップから前記プランジャに向けて突出したラグ部材と、
前記プランジャから外周側に突出したプランジャねじと、を備え、
前記プランジャねじは、前記基端ストッパが前記中間ストッパに当接した際に前記ラグ部材に当接し、前記プランジャを回動させない限り前記プランジャの先端側への移動を阻止する、2室式プレフィルドシリンジ。 - 請求項2記載の2室式プレフィルドシリンジであって、前記プランジャねじは、軸方向から見て前記プランジャの全周に亘って形成されている、2室式プレフィルドシリンジ。
- 請求項3記載の2室式プレフィルドシリンジであって、前記プランジャねじは、前記プランジャの周りを1周する角度範囲に形成されている、2室式プレフィルドシリンジ。
- 請求項3記載の2室式プレフィルドシリンジであって、前記プランジャねじは、2条ねじであり、各々のねじ山が前記プランジャの周りを半周する範囲に形成されている、2室式プレフィルドシリンジ。
- 請求項1記載の2室式プレフィルドシリンジであって、前記ロック機構は、前記フィンガーグリップから前記プランジャ側に向けて突出した雌ねじと、前記プランジャから突出して前記雌ねじに螺合可能な雄ねじと、を備えた、2室式プレフィルドシリンジ。
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JP2020039736A JP2021137451A (ja) | 2020-03-09 | 2020-03-09 | 2室式プレフィルドシリンジ |
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JP2020039736A Pending JP2021137451A (ja) | 2020-03-09 | 2020-03-09 | 2室式プレフィルドシリンジ |
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Citations (2)
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---|---|---|---|---|
JP2012085813A (ja) * | 2010-10-19 | 2012-05-10 | Arte Corp | 二室式容器兼用注射器 |
JP2018501852A (ja) * | 2014-12-08 | 2018-01-25 | ジェネンテック, インコーポレイテッド | 多用途シリンジ基盤 |
-
2020
- 2020-03-09 JP JP2020039736A patent/JP2021137451A/ja active Pending
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