JP3075935U - 特殊空間の映像表示システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 地下通路等の壁面に沿って、動画を含む各種
映像を表現する。 【解決手段】 画像の投影手段と、投影手段へ供給する
画像データを制御するコントローラとを備え、投影手段
は、壁面の長手方向に沿って複数に分割した投影エリア
ごとに少なくとも二以上の組となるプロジェクタ装置を
配して構成する。プロジェクタ装置は、画像を投影する
壁面と対向する側の壁面近傍であって天井面に近い位置
に設置し、コントローラは、画像データを格納した画像
データ格納部と、画像データを、組となるプロジェクタ
装置の数に応じた複数領域に分割する処理部と、画像デ
ータ分割処理部を介して出力される画像データに基づ
き、組となるプロジェクタ装置を駆動するプロジェクタ
駆動部を備える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、長い通路などの特殊空間に用いる画像表示システムに係り、とくに プロジェクタ装置を用いて投影領域を分割担当させる画像データの分割処理シス テムに関する。

【０００２】

【従来の技術と課題】

鉄道や地下鉄のトンネル或いは歩行者用の地下道など、長尺な構造空間におい て、利用者のために画像を表示するシステムとしては、例えば液晶パネルを用い た映像システムが知られている。液晶パネルを用いた映像システムは、コンピュ ータ装置と組み合せにより、鉄道車両のスピードに合わせて自由な画像表示が可 能になる等、利点が多い。

【０００３】 一方、歩行者の専用通路となる長尺な狭い空間、例えば、地下駐車場から建物 までの通路や地下鉄連絡通路などの歩行者専用通路では、何らかの画像装置を用 いた動的な映像の表示システムが見られない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

その大きな理由は、映像を表現するシステムの設置コストおよびメンテナンス コストが嵩みすぎて実用に耐えないからである。例えば、特定の宣伝広告領域に 液晶パネル装置を配することは技術的には容易である。しかし費用対効果（コス トパフォーマンス）を考慮すると、システム導入には疑問が残る。確保した宣伝 領域の大きさに見合う特注の液晶パネル費用、設置後の画面清掃等に要する費用 など、事前事後に少なくないコストを要するからである。

【０００５】 一方、大きな地下駐車場を備える総合商業施設や博物館等において、駐車場か ら本館建物まで長い歩行距離を要することがある。このような場合、歩行者通路 が単調であるより、動画を含む各種の映像が壁面に表示されている方が、利用者 にとって楽しく、また開放感もあって、商業施設の場合は直接間接に購買意欲を 高める心理的効果も期待できる。

【０００６】 そこで、本考案の目的は、地下通路等の細長い特殊空間の壁面に沿って、より 低コストなシステム構成で動画を含む各種映像を自由に表現することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するため、本考案に係る特殊空間の映像表示システムは、画像 データを壁面に投影する投影手段と、当該投影手段へ供給する画像データを制御 するコントローラ手段とを備え、前記投影手段は、壁面の長手方向に沿って複数 に分割した投影エリアごとに、少なくとも二以上の組となるプロジェクタ装置を 配して構成するとともに、各プロジェクタ装置を、画像を投影する壁面と対向す る側の壁面近傍であって天井面に近い位置に設置する一方、前記コントローラ手 段は、適宜の画像データを格納した少なくとも一の画像データ格納部と、画像デ ータ格納部に格納された画像データを、組となるプロジェクタ装置の数に応じた 複数領域に分割処理する画像データ分割処理部と、画像データ分割処理部を介し て出力される画像データに基づき、組となるプロジェクタ装置をそれぞれ駆動す るプロジェクタ駆動部を備えて構成する。

【０００８】 本システムは、床面から天井面までの高さ寸法と、左右壁面の離隔寸法の比率 が１：０．５〜１：３の範囲にあり、壁面の長手方向の寸法が１０ｍを越え、当 該壁面に窓をもたない特殊空間に適用することが望ましい。

【０００９】

【作用】

本考案に係る映像表示システムは、地下駐車場から本館建物に続く歩行者通路 のような細長い空間において使用し、通路の左右壁面いずれか一方、または両面 に画像を表示させる。

【００１０】 本システムは、プロジェクタ装置を用いる。液晶装置と異なり表示の拡大や縮 小調整が容易であり、任意の空間にプロジェクタ装置を設置し撤収できるためで ある。このような目的を達成する液晶装置は未だ開発されていない。またシステ ムの運用コストを確実に圧縮できる有利性が生まれる。

【００１１】 本システムでは、長い通路を、可能な限り少ない台数のコントローラによって 画像制御する。このため、長い壁面をいくつかの領域に分割し、その領域ごとに 一台のコントローラを配して表示画像を管理する方式をとる。従って、画像表示 の手段となるプロジェクタ装置は、一台のコントローラに対して複数台が割り当 てられ、ひとつの画像データ（一枚の静止画または動画のひとコマ）を複数領域 に分割処理し、各プロジェクタ装置を介して分割投影する方式を採用する。

【００１２】 勿論、係る構成によれば、長い通路の片側壁面をひとつの絵（画像データ）に よって飾る（画像表示する）こともできるが、通路長が１０ｍを越えるような場 合には単調になるため、壁面を領域分割し、壁面に沿って各種の画像を表示する 方が好ましい。歩行者を楽しませるアニメーション映像とコマーシャル映像とを 適当な間隔をおいて表示する等、自由な用い方が出来るからである。

【００１３】

【考案の実施の形態】

図１は、本考案に係る映像表示システムの一実施形態を示すものである。この 映像表示システム１０は、細長い通路１１の壁面１２−１に沿って配した複数の プロジェクタ群２１〜２４と、各プロジェクタ群２１〜２４を駆動制御するコン トローラ３１〜３４と、各コントローラ３１〜３４に対して適宜の画像データを 供給する画像データ格納部１５とを備えてなる。

【００１４】 この実施形態では、壁面１２−１と対向する側の壁面１２−２に沿った画像表 示の領域を符号５１〜５４で示したように例えば４つの領域に分割した状態を例 示してある。各領域５１〜５４には、コントローラ３１〜３４によって制御され る任意の画像が表示される。画像は動画であると静止画であるとを問わない。ま たいずれかの領域５１〜５４において画像が重複しても構わない。

【００１５】 プロジェクタ群２１〜２４は、領域５１〜５４に対応した数だけ設ける。また 本実施形態では、プロジェクタ群２１〜２４の数に対応した台数のコントローラ ３１〜３４を設けてある。画像の重複が許される場合は、ひとつのコントローラ （３１〜３４）によって複数のプロジェクタ群（２１〜２４）を同時に駆動でき るため、コントローラ（３１〜３４）の台数はプロジェクタ群（２１〜２４）の 数より少なく設計しても構わない。

【００１６】 プロジェクタ群２１〜２４は、この実施形態では、すべて同様に３台のプロジ ェクタ装置２１ａ，２１ｂ，２１ｃ〜２４ａ，２４ｂ，２４ｃによって構成して ある。これは各領域５１〜５４のひとつひとつに対し、３台のプロジェクタ装置 ２１ａ，２１ｂ，２１ｃ〜２４ａ，２４ｂ，２４ｃをもって、一つの画像データ を分割担当させつつ表示するためである。しかし、各領域５１〜５４のひとつひ とつを分割して画像表示するためのプロジェクタ装置の構成台数は限定されない 。従って、各プロジェクタ群２１〜２４が異なる台数のプロジェクタ装置を備え ていても良い。３台に限定されないことは当然である。

【００１７】 図２は、各プロジェクタ群２１〜２４を駆動制御するコントローラ３１〜３４ の構成を例示するものである。各コントローラ３１〜３４は、例えば、少なくと も、画像データ格納部１５から画像データを読み取る画像データ読取部６１と、 読み取った画像データを、プロジェクタ装置（２１ａ，２１ｂ，２１ｃ〜２４ａ ，２４ｂ，２４ｃ）の台数に応じた数に分割処理する画像データ分割処理部６２ と、分割した画像データに基づいて、各プロジェクタ装置（２１ａ，２１ｂ，２ １ｃ〜２４ａ，２４ｂ，２４ｃ）を駆動するプロジェクタ駆動部６３を備える。 コントローラ３１〜３４は専用装置を設計しても良いし、汎用のコンピュータ端 末装置を用いて構成しても良い。

【００１８】 図３は、各プロジェクタ装置（２１ａ〜２４ｃ）の設置例を示すものである。 各プロジェクタ装置（２１ａ〜２４ｃ）は、画像を表示する壁面１２−２と対向 する側の壁面１２−１の近傍であって天井面Ｒに近い位置に設置する。通路１１ は一般に左右壁面の幅が３〜５ｍ程度と狭く、投影光Ｌが歩行者Ｍによって遮ら れないようにするためである。天井面Ｒが低い場合は、例えば図４に示すように 、天井面Ｒに凹部１８を設け、当該凹部１８にプロジェクタ装置（２１ａ〜２４ ｃ）を配して設置の高さ位置を確保することが好ましい。

【００１９】 従って、本システムによれば、通路１１の壁面１２−１には、図５に示すよう に４つの画像表示の領域５１〜５４が出来、通路１１を歩く歩行者Ｍは、例えば 図６に示すような視野の中で、映像を見ながら歩くことが出来る。図６中、符号 ７０はドアである。

【００２０】 各領域５１〜５４は、それぞれ例えば３台のプロジェクタ装置（２１ａ〜２４ ｃ）を用いて独立した一の映像を表示できるので、通路１１の長さに応じて適宜 の映像を組み合わせて表現する。いずれかの領域（５１〜５４）に広告映像を表 示しても良いことは勿論である。

【００２１】 尚、プロジェクタ群２１〜２４を構成するプロジェクタ装置画像の数に応じて 画像を分割する場合、アニメーションや絵画など、コンピュータグラフィックス の技術を用いる場合は分割処理も比較的容易である。しかし風景など実写フィル ムを分割処理する場合は、予めプロジェクタ装置の台数に応じたカメラを配して それぞれの視野を独立に撮影しておくことが望ましい。事後に分割するよりも処 理が容易であり美しい画像を得ることが出来るからである。但し、高品位テレビ 用カメラを用いる場合は一台のカメラで撮像した映像を分割表示しても、優れた 解像度を持つため十分に実用に耐える。

【００２２】 また画像データ格納部は図１に示したように一つでも良いが、各コントローラ ３１〜３４に附属させて独立して配しても良い。例えばプロジェクタの台数に応 じたＤＶＤ装置を用いて各ＤＶＤ装置を駆動し、表示の駆動タイミングを同期さ せる等である。ＤＶＤ装置を用いると装置コストをさらに低減させることが出来 る。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案に係る映像表示システムによれば、地下通路等の 細長い特殊空間の壁面に沿って、よりコストの低いシステム構成で動画を含む各 種映像を自由に表現することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るシステムの構成例を示す原理図で
ある。

【図２】本考案に係るコントローラの構成を例示するブ
ロック図である。

【図３】本考案に係るプロジェクタ装置の設置例を示す
図である。

【図４】本考案に係るプロジェクタ装置の他の設置例を
示す図である。

【図５】本考案に係る画像表示の領域を例示する図であ
る。

【図６】図５に示す画像の領域を歩行者の視野をもって
あらわす図である。

【符号の説明】

１０ 映像表示システム １１ 通路 １２ 壁面 １５ 画像データ格納部 １８ 凹部 ２１〜２４ プロジェクタ群 ２１ａ，２１ｂ，２１ｃ〜２４ａ，２４ｂ，２４ｃ プ
ロジェクタ装置 ３１〜３４ コントローラ ６１ 画像データ読取部 ６２ 画像データ分割処理部 ６３ プロジェクタ駆動部 ７０ ドア Ｌ 投影光 Ｍ 歩行者 Ｒ 天井面

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】構造物内の細長い特殊空間に適用する映像
   表示システムであって、 画像データを壁面に投影する投影手段と、当該投影手段
   へ供給する画像データを制御するコントローラ手段とを
   備え、 前記投影手段は、 壁面の長手方向に沿って複数に分割した投影エリアごと
   に、少なくとも二以上の組となるプロジェクタ装置を配
   して構成するとともに、 各プロジェクタ装置を、画像を投影する壁面と対向する
   側の壁面近傍であって天井面に近い位置に設置する一
   方、 前記コントローラ手段は、 適宜の画像データを格納した少なくとも一の画像データ
   格納部と、 画像データ格納部に格納された画像データを、組となる
   プロジェクタ装置の数に応じた複数領域に分割処理する
   画像データ分割処理部と、 画像データ分割処理部を介して出力される画像データに
   基づき、組となるプロジェクタ装置をそれぞれ駆動する
   プロジェクタ駆動部を備えることを特徴とする特殊空間
   の映像表示システム。
2. 【請求項２】構造物内の空間は、床面から天井面までの
   高さ寸法と、左右壁面の離隔寸法の比率が１：０．５〜
   １：３の範囲にあり、壁面の長手方向の寸法が１０ｍを
   越え、当該壁面に窓をもたない特殊空間であることを特
   徴とする請求項１記載の特殊空間の映像表示システム。