JP3075566B2 - 光学活性インダノン誘導体 - Google Patents
光学活性インダノン誘導体Info
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- JP3075566B2 JP3075566B2 JP02124515A JP12451590A JP3075566B2 JP 3075566 B2 JP3075566 B2 JP 3075566B2 JP 02124515 A JP02124515 A JP 02124515A JP 12451590 A JP12451590 A JP 12451590A JP 3075566 B2 JP3075566 B2 JP 3075566B2
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Description
〔産業上の利用分野〕 本発明は、医薬として優れた作用を有する光学活性イ
ンダノン誘導体に関する。 〔発明の背景及び従来技術〕 老年人口が急激に増大する中で、アルツハイマー型老
年痴呆などの老年痴呆の治療法を確立することが渇望さ
れている。 しかしながら、現在のところ、老年痴呆を薬物で治療
する試みは種々なされているが、これらの疾患に根本的
に有効とされる薬剤は今のところ存在しない。 これらの疾患の治療薬の開発は種々の方向から研究さ
れているが、有力な方向としてアルツハイマー型老年痴
呆は、脳のコリン作動性機能低下を伴うことから、アセ
チルコリン前駆物質、アセチルコリンエステラーゼ阻害
剤の方向から開発することが提案され、実際にも試みら
れている。代表的なものとして、抗コリンエステラーゼ
阻害剤として、フィゾスチグミン、テトラヒドロアミノ
アクリジンなどがあるが、これらの薬剤は効果が十分で
はない、好ましくない副作用があるなどの欠点を有して
おり、決定的な治療薬はないのが現状である。 そこで本発明者らは、作用持続時間が長く、安全性が
高い薬剤を開発すべく、長年にわたって種々の化合物に
ついて鋭意研究を重ねてきた。 その結果、次の一般式(I)で示される環状アミン誘
導体又はその薬理学的に許容できる塩が、所期の目的を
達成することが可能であることを見出し、すでに特許出
願を行った(特開昭64−79151号)。
ンダノン誘導体に関する。 〔発明の背景及び従来技術〕 老年人口が急激に増大する中で、アルツハイマー型老
年痴呆などの老年痴呆の治療法を確立することが渇望さ
れている。 しかしながら、現在のところ、老年痴呆を薬物で治療
する試みは種々なされているが、これらの疾患に根本的
に有効とされる薬剤は今のところ存在しない。 これらの疾患の治療薬の開発は種々の方向から研究さ
れているが、有力な方向としてアルツハイマー型老年痴
呆は、脳のコリン作動性機能低下を伴うことから、アセ
チルコリン前駆物質、アセチルコリンエステラーゼ阻害
剤の方向から開発することが提案され、実際にも試みら
れている。代表的なものとして、抗コリンエステラーゼ
阻害剤として、フィゾスチグミン、テトラヒドロアミノ
アクリジンなどがあるが、これらの薬剤は効果が十分で
はない、好ましくない副作用があるなどの欠点を有して
おり、決定的な治療薬はないのが現状である。 そこで本発明者らは、作用持続時間が長く、安全性が
高い薬剤を開発すべく、長年にわたって種々の化合物に
ついて鋭意研究を重ねてきた。 その結果、次の一般式(I)で示される環状アミン誘
導体又はその薬理学的に許容できる塩が、所期の目的を
達成することが可能であることを見出し、すでに特許出
願を行った(特開昭64−79151号)。
【化1】 〔式中、 Jは(a)置換若しくは無置換の次に示す基;フェ
ニル基、ピリジル基、ピラジル基、キノリル基、
シクロヘキシル基、キノキサリル基又はフリル
基、 (b)フェニル基が置換されていてもよい次の群から選
択された一価又は二価の基;インダニル、インダノ
ニル、インデニル、インデノニル、インダンジオ
ニル、テトラロニル、ベンズスベロニル、インダ
ノリル、式
ニル基、ピリジル基、ピラジル基、キノリル基、
シクロヘキシル基、キノキサリル基又はフリル
基、 (b)フェニル基が置換されていてもよい次の群から選
択された一価又は二価の基;インダニル、インダノ
ニル、インデニル、インデノニル、インダンジオ
ニル、テトラロニル、ベンズスベロニル、インダ
ノリル、式
【化2】 (c)環状アミド化合物から誘導される一価の基、 (d)低級アルキル基、又は (e)式R1−CH=CH−(式中、R1は水素原子又は低級ア
ルコキシカルボニル基を意味する) で示される基を意味する。
ルコキシカルボニル基を意味する) で示される基を意味する。
【化3】 Bは式 で示される基、式 で示される基、式 (式中、R3は水素原子、低級アルキル基、アシル基、低
級アルキルスルホニル基、置換されてもよいフェニル基
又はベンジル基を意味する)で示される基、式
級アルキルスルホニル基、置換されてもよいフェニル基
又はベンジル基を意味する)で示される基、式
【化4】 (式中、R4は水素原子、低級アルキル基又はフェニル基
を意味する)で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基{以上の式中、nは0又は1〜10の整数を
意味する。R2は式 で示されるアルキレン基が置換基を持たないか、又は1
つ又は1つ以上のメチル基を有しているような形で水素
原子又はメチル基を意味する。}、式=(CH−CH=CH)
b−(式中、bは1〜3の整数を意味する)で示される
基、式=CH−(CH2)c−(式中、cは0又は1〜9の
整数を意味する)で示される基、式=(CH−CH)d=
(式中、dは0又は1〜5の整数を意味する)で示され
る基、
を意味する)で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基{以上の式中、nは0又は1〜10の整数を
意味する。R2は式 で示されるアルキレン基が置換基を持たないか、又は1
つ又は1つ以上のメチル基を有しているような形で水素
原子又はメチル基を意味する。}、式=(CH−CH=CH)
b−(式中、bは1〜3の整数を意味する)で示される
基、式=CH−(CH2)c−(式中、cは0又は1〜9の
整数を意味する)で示される基、式=(CH−CH)d=
(式中、dは0又は1〜5の整数を意味する)で示され
る基、
【化5】 式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、式 で示される基、 式−NH−で示される基、式−O−で示される基、式−S
−で示される基、ジアルキルアミノアルキルカルボニル
基又は低級アルコキシカルボニル基を意味する。 Tは窒素原子又は炭素原子を意味する。 Qは窒素原子、炭素原子又は式
−で示される基、ジアルキルアミノアルキルカルボニル
基又は低級アルコキシカルボニル基を意味する。 Tは窒素原子又は炭素原子を意味する。 Qは窒素原子、炭素原子又は式
【化6】 N→O で示される基を意味する。 Kは水素原子、置換若しくは無置換のフェニル基、フ
ェニル基が置換されてもよいアリールアルキル基、フェ
ニル基が置換されてもよいシンナミル基、低級アルキル
基、ピリジルメチル基、シクロアルキルアルキル基、ア
ダマンタンメチル基、フリルメチル基、シクロアルキル
基、低級アルコキシカルボニル基又はアシル基を意味す
る。 qは1〜3の整数を意味する。
ェニル基が置換されてもよいアリールアルキル基、フェ
ニル基が置換されてもよいシンナミル基、低級アルキル
基、ピリジルメチル基、シクロアルキルアルキル基、ア
ダマンタンメチル基、フリルメチル基、シクロアルキル
基、低級アルコキシカルボニル基又はアシル基を意味す
る。 qは1〜3の整数を意味する。
【化7】 は単結合若しくは二重結合を意味する。〕 具体的には上記の構造式(I)で表される化合物は、
強力かつ選択性の高い抗アセチルコリンエステラーゼ活
性を有し、脳内のアセチルコリンを増量すること、記憶
障害モデルで有効であること、及び従来この分野で汎用
されているフィゾスチグミンと比較し、作用持続時間が
長く、安全性が高いという大きな特徴を有している。 この化合物は、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用
に基づいて見出されたもので、従って中枢性コリン機
能、即ち神経伝達物質としてのアセチルコリンの生体体
の欠乏が原因とされる種々の疾患の治療・予防に有効で
ある。 その後、本発明者らは上記の一般式(I)に含まれる
環状アミン誘導体のうち、下記の化学構造式(II)で表
されるインダノン骨格を有する1−ベンジル−4−
〔(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル〕
メチルピペリジンについて更に詳細な検討を試みた。
強力かつ選択性の高い抗アセチルコリンエステラーゼ活
性を有し、脳内のアセチルコリンを増量すること、記憶
障害モデルで有効であること、及び従来この分野で汎用
されているフィゾスチグミンと比較し、作用持続時間が
長く、安全性が高いという大きな特徴を有している。 この化合物は、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用
に基づいて見出されたもので、従って中枢性コリン機
能、即ち神経伝達物質としてのアセチルコリンの生体体
の欠乏が原因とされる種々の疾患の治療・予防に有効で
ある。 その後、本発明者らは上記の一般式(I)に含まれる
環状アミン誘導体のうち、下記の化学構造式(II)で表
されるインダノン骨格を有する1−ベンジル−4−
〔(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル〕
メチルピペリジンについて更に詳細な検討を試みた。
【化8】 上記のインダノン誘導体は、化学構造式から明らかな
如く、インダノン骨格の2の位置に不斉炭素を有してお
り、従ってd,l体の光学異性体がある。本発明者らは、
これらの異性体について薬理学的な面から検討を試み
た。 即ち、例えば前記の特開昭64−79151号公報実施例4
に記載された製造方法によって得られたdl−1−ベンジ
ル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2
−イル〕メチルピペリジンについて光学分割を行い、d
体及びl体を得た。その結果、これらの光学活性体がdl
体と比較して顕著な薬効を示していることを見出した。 〔発明の構成及び効果〕 本発明者らは、上記の背景のもとに長年にわたって鋭
意検討を重ねた結果、上記の如く式(II)で示される光
学活性体、更に詳しくは、フリー体の場合はl体が、塩
酸塩の場合はd体が特に優れた効果をもたらすことを見
出し、本発明を完成したものである。 即ち、本発明は、下記(1)〜(4)に係わるもので
ある。 (1) l−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジンを有効
成分とするアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。 (2) d−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン・塩酸
塩を有効成分とするアセチルコリンエステラーゼ阻害
剤。 (3) l−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジンを有効
成分とする各種老人性痴呆症の治療・予防剤。 (4) d−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)2−イル〕メチルピペリジン・塩酸塩
を有効成分とする各種老人性痴呆症の治療・予防剤。 インダノン誘導体(II)の光学異性体とは、具体的に
は下記の化学構造式(III)及び(IV)で表されるイン
ダノン誘導体である。
如く、インダノン骨格の2の位置に不斉炭素を有してお
り、従ってd,l体の光学異性体がある。本発明者らは、
これらの異性体について薬理学的な面から検討を試み
た。 即ち、例えば前記の特開昭64−79151号公報実施例4
に記載された製造方法によって得られたdl−1−ベンジ
ル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−インダノン)−2
−イル〕メチルピペリジンについて光学分割を行い、d
体及びl体を得た。その結果、これらの光学活性体がdl
体と比較して顕著な薬効を示していることを見出した。 〔発明の構成及び効果〕 本発明者らは、上記の背景のもとに長年にわたって鋭
意検討を重ねた結果、上記の如く式(II)で示される光
学活性体、更に詳しくは、フリー体の場合はl体が、塩
酸塩の場合はd体が特に優れた効果をもたらすことを見
出し、本発明を完成したものである。 即ち、本発明は、下記(1)〜(4)に係わるもので
ある。 (1) l−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジンを有効
成分とするアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。 (2) d−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン・塩酸
塩を有効成分とするアセチルコリンエステラーゼ阻害
剤。 (3) l−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジンを有効
成分とする各種老人性痴呆症の治療・予防剤。 (4) d−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)2−イル〕メチルピペリジン・塩酸塩
を有効成分とする各種老人性痴呆症の治療・予防剤。 インダノン誘導体(II)の光学異性体とは、具体的に
は下記の化学構造式(III)及び(IV)で表されるイン
ダノン誘導体である。
【化9】 インダノン誘導体(II)は、d−体のフリー体を塩酸
塩に転換するとl−体に変換し、l−体のフリー体を塩
酸塩に転換するとd−体に変換される。 なお、以下においてフリー体のl体をエナンチオマー
aと、フリー体のd体をエナンチオマーbとそれぞれ称
する。 本発明化合物である光学活性インダノン誘導体は、従
来知られている方法でdl体(ラセミ体)を分割すること
によって得ることができる。 好ましい方法としては、光学異性体分離用カラムを用
いる方法をあげることができる。現在多種多様なキラル
固定相、例えば天然高分子を用いているもの、合成光学
活性ポリマーあるいはこれをシリカゲルにコーティング
したものを用いるもの、あるいは光学活性低分子化合物
を用いるもの、アミノ酸を金属錯体をシリカゲルに結合
したものを用いるものなどが知られているが、本発明に
おいても可能であればいかなる方法でも用いることがで
きる。また、これらの方法を用いる場合、移動相として
何を選択するかも重要である。 本発明においては、例えばセルロース誘導体被覆シリ
カゲルHPLCを用いることにより光学活性体を分離するこ
とが可能である。この場合、移動相としての溶離液は、
例えばエタノール−ヘキサン、n−ヘキサン−イソプロ
ピルアルコール−ジエチルアミンなどを用いることがで
きる。 また、L(−)−又はD(+)−酒石酸などの光学活
性酸との塩を適当な溶媒から分別結晶する方法も可能な
場合もある。 なお、出発物質として用いるラセミ体は、前述の特開
昭64−79151号に記載の方法で得られる。 次に本発明化合物である光学活性体の優れた薬理作用
を実験例によって示す。 被験化合物である本発明化合物は、少量の0.1N塩酸に
溶解し、蒸留水で稀釈し、0.01N塩酸溶液として用い
た。なお、In vitroアセチルコリンエステラーゼ阻害作
用の実験には更に蒸留水で稀釈して用いた。 実験例1 In vitroアセチルコリンエステラーゼ阻害作用 アセチルコリンエステラーゼ源として、ddY系雄性マ
ウス(22〜27g)の大脳ホモジネートを用いて、エルマ
ン(Ellman)らの方法1)に準拠してエステラーゼ活性を
測定した。25℃において412nmにおける吸光度変化を求
め、アセチルコリンエステラーゼ活性とした。化合物無
添加時のアセチルコリンエステラーゼ活性を100%とし
て、前記のインダノン誘導体(ラセミ体、エナンチオマ
ーa、エナンチオマーb)の各濃度における阻害率を算
出し、対数確率紙にプロットし、50%阻害の濃度を求
め、これをIC50(nM)値とした。 1)Ellman,G.L.,courtney,K.D.,Andres,V.and Feather
stone,R.M.(1961)Biochem.Pharmacol.,7,88〜95 結果を表1に示す。 実験例2 Ex vivoアセチルコリンエステラーゼ阻害作用 ウィスター系雄性ラット(135〜160g)に本発明化合
物であるエナンチオマーa、比較のエナンチオマーbを
それぞれ10mg/kg経口投与(ラット1kgあたり5mlの検体
溶液)し、1時間及び2時間後にハロセン麻酔下で大脳
を採取し、液体窒素中で凍結し、−80℃にて保存した。
アセチルコリンエステラーゼ活性測定の際には、脳サン
プルを0.1M Na−K phosphate Buffer(pH8.0)でホモジ
ナイズ(100mg湿重量/2ml Buffer)し、そのホモジネー
ト活性を上記に示したEllmanの方法に準じて測定した。 その結果を表2に示す。 上記の薬理実験から次のことが判明した。 in vitroアセチルコリンエステラーゼ阻害作用におい
ては、エナンチオマーaはエナンチオマーbの1.6倍で
あった。 Ex vivoアセチルコリンエステラーゼ阻害作用におい
ては、エナンチオマーa、エナンチオマーbとも有意な
脳内アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を示した。ま
たエナンチオマーaのアセチルコリンエステラーゼ阻害
作用は、投与後1時間、2時間ともエナンチオマーbに
比較して有意に強かった。 本発明化合物である光学活性インダノン誘導体は、従
来のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤とは構造を著し
く異にすること、強力なアセチルコリンエステラーゼ阻
害作用を有することのほか、主作用−副作用巾が大きい
こと、作用持続が長いこと、水溶性が高く、且つ極めて
安定な化合物であり、製剤上有利であること、及び生体
利用率が優れ、first pass effectを受けにくく、且つ
脳内移行性もよいなどの特徴を有している。 従って、本発明の目的は、種々の痴呆症、脳血管障害
後遺症に有効な新規な化合物、及びその化合物製造方
法、及びその化合物を有効成分とする新規な医薬を提供
するにある。 更に本発明化合物である光学活性インダノン誘導体
は、安全性も高い化合物である。 従って本発明化合物は、各種老人性痴呆症;特にアル
ツハイマー型老年痴呆、脳卒中(脳出血、脳梗塞)、脳
動脈硬化症、頭部外傷などに伴う脳血管障害;脳炎後遺
症、脳性麻痺などに伴う注意力低下、言語障害、意欲低
下、情緒障害、記銘障害、幻覚−妄想状態、行動異常な
どの治療、予防、緩解、改善などに有効である。 更に、本発明化合物は強力かつ選択性の高い抗コリン
エステラーゼ作用を有するので、これらの作用に基づく
医薬としても有用である。 即ち、アルツハイマー型老年痴呆のほか、例えばハン
チントン舞踏病、ピック病、晩発性異常症などにも有用
である。 本発明化合物をこれらの医薬として使用する場合は、
経口投与若しくは非経口投与により投与されるが、通常
は静脈内、皮下、筋肉内など注射剤、坐薬若しくは舌下
錠など非経口投与により投与される。投与量は、症状の
程度;患者の年令、性別、体重、感受性差;投与方法;
投与の期間、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類;有効
成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、
通常成人1日あたり約0.1〜300mg、好ましくは約1〜10
0mgであり、これを通常1日1〜4回にわけて投与す
る。 本発明化合物を製造化するためには、製剤の技術分野
における通常の方法で注射剤、坐薬、舌下錠、錠剤、カ
プセル剤などの剤型とする。 注射剤を調製する場合には、主薬に必要によりpH調整
剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化
剤、保存剤などを添加し、常法により静脈、皮下、筋肉
内注射剤とする。その際必要により常法により凍結乾燥
物とすることも可能である。 懸濁剤としての例を挙げれば、例えばメチルセルロー
ス、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、
アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロ
ースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラ
ウレートなどを挙げることができる。 溶解補助剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウレート、マグロゴー
ル、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることが
できる。 また安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メ
タ亜硫酸ナトリウム、エーテル等が、保存剤としては、
例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸
エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロ
クレゾールなどを挙げることができる。 〔実 施 例〕 以下に実施例に従って本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明の技術的範囲がこれらの実施例の範囲に限
定されるものでないことはいうまでもない。 実 施 例 (1) l−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−
インダノン)−2−イリデニル〕メチルピペリジン・塩
酸塩の合成
塩に転換するとl−体に変換し、l−体のフリー体を塩
酸塩に転換するとd−体に変換される。 なお、以下においてフリー体のl体をエナンチオマー
aと、フリー体のd体をエナンチオマーbとそれぞれ称
する。 本発明化合物である光学活性インダノン誘導体は、従
来知られている方法でdl体(ラセミ体)を分割すること
によって得ることができる。 好ましい方法としては、光学異性体分離用カラムを用
いる方法をあげることができる。現在多種多様なキラル
固定相、例えば天然高分子を用いているもの、合成光学
活性ポリマーあるいはこれをシリカゲルにコーティング
したものを用いるもの、あるいは光学活性低分子化合物
を用いるもの、アミノ酸を金属錯体をシリカゲルに結合
したものを用いるものなどが知られているが、本発明に
おいても可能であればいかなる方法でも用いることがで
きる。また、これらの方法を用いる場合、移動相として
何を選択するかも重要である。 本発明においては、例えばセルロース誘導体被覆シリ
カゲルHPLCを用いることにより光学活性体を分離するこ
とが可能である。この場合、移動相としての溶離液は、
例えばエタノール−ヘキサン、n−ヘキサン−イソプロ
ピルアルコール−ジエチルアミンなどを用いることがで
きる。 また、L(−)−又はD(+)−酒石酸などの光学活
性酸との塩を適当な溶媒から分別結晶する方法も可能な
場合もある。 なお、出発物質として用いるラセミ体は、前述の特開
昭64−79151号に記載の方法で得られる。 次に本発明化合物である光学活性体の優れた薬理作用
を実験例によって示す。 被験化合物である本発明化合物は、少量の0.1N塩酸に
溶解し、蒸留水で稀釈し、0.01N塩酸溶液として用い
た。なお、In vitroアセチルコリンエステラーゼ阻害作
用の実験には更に蒸留水で稀釈して用いた。 実験例1 In vitroアセチルコリンエステラーゼ阻害作用 アセチルコリンエステラーゼ源として、ddY系雄性マ
ウス(22〜27g)の大脳ホモジネートを用いて、エルマ
ン(Ellman)らの方法1)に準拠してエステラーゼ活性を
測定した。25℃において412nmにおける吸光度変化を求
め、アセチルコリンエステラーゼ活性とした。化合物無
添加時のアセチルコリンエステラーゼ活性を100%とし
て、前記のインダノン誘導体(ラセミ体、エナンチオマ
ーa、エナンチオマーb)の各濃度における阻害率を算
出し、対数確率紙にプロットし、50%阻害の濃度を求
め、これをIC50(nM)値とした。 1)Ellman,G.L.,courtney,K.D.,Andres,V.and Feather
stone,R.M.(1961)Biochem.Pharmacol.,7,88〜95 結果を表1に示す。 実験例2 Ex vivoアセチルコリンエステラーゼ阻害作用 ウィスター系雄性ラット(135〜160g)に本発明化合
物であるエナンチオマーa、比較のエナンチオマーbを
それぞれ10mg/kg経口投与(ラット1kgあたり5mlの検体
溶液)し、1時間及び2時間後にハロセン麻酔下で大脳
を採取し、液体窒素中で凍結し、−80℃にて保存した。
アセチルコリンエステラーゼ活性測定の際には、脳サン
プルを0.1M Na−K phosphate Buffer(pH8.0)でホモジ
ナイズ(100mg湿重量/2ml Buffer)し、そのホモジネー
ト活性を上記に示したEllmanの方法に準じて測定した。 その結果を表2に示す。 上記の薬理実験から次のことが判明した。 in vitroアセチルコリンエステラーゼ阻害作用におい
ては、エナンチオマーaはエナンチオマーbの1.6倍で
あった。 Ex vivoアセチルコリンエステラーゼ阻害作用におい
ては、エナンチオマーa、エナンチオマーbとも有意な
脳内アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を示した。ま
たエナンチオマーaのアセチルコリンエステラーゼ阻害
作用は、投与後1時間、2時間ともエナンチオマーbに
比較して有意に強かった。 本発明化合物である光学活性インダノン誘導体は、従
来のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤とは構造を著し
く異にすること、強力なアセチルコリンエステラーゼ阻
害作用を有することのほか、主作用−副作用巾が大きい
こと、作用持続が長いこと、水溶性が高く、且つ極めて
安定な化合物であり、製剤上有利であること、及び生体
利用率が優れ、first pass effectを受けにくく、且つ
脳内移行性もよいなどの特徴を有している。 従って、本発明の目的は、種々の痴呆症、脳血管障害
後遺症に有効な新規な化合物、及びその化合物製造方
法、及びその化合物を有効成分とする新規な医薬を提供
するにある。 更に本発明化合物である光学活性インダノン誘導体
は、安全性も高い化合物である。 従って本発明化合物は、各種老人性痴呆症;特にアル
ツハイマー型老年痴呆、脳卒中(脳出血、脳梗塞)、脳
動脈硬化症、頭部外傷などに伴う脳血管障害;脳炎後遺
症、脳性麻痺などに伴う注意力低下、言語障害、意欲低
下、情緒障害、記銘障害、幻覚−妄想状態、行動異常な
どの治療、予防、緩解、改善などに有効である。 更に、本発明化合物は強力かつ選択性の高い抗コリン
エステラーゼ作用を有するので、これらの作用に基づく
医薬としても有用である。 即ち、アルツハイマー型老年痴呆のほか、例えばハン
チントン舞踏病、ピック病、晩発性異常症などにも有用
である。 本発明化合物をこれらの医薬として使用する場合は、
経口投与若しくは非経口投与により投与されるが、通常
は静脈内、皮下、筋肉内など注射剤、坐薬若しくは舌下
錠など非経口投与により投与される。投与量は、症状の
程度;患者の年令、性別、体重、感受性差;投与方法;
投与の期間、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類;有効
成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、
通常成人1日あたり約0.1〜300mg、好ましくは約1〜10
0mgであり、これを通常1日1〜4回にわけて投与す
る。 本発明化合物を製造化するためには、製剤の技術分野
における通常の方法で注射剤、坐薬、舌下錠、錠剤、カ
プセル剤などの剤型とする。 注射剤を調製する場合には、主薬に必要によりpH調整
剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化
剤、保存剤などを添加し、常法により静脈、皮下、筋肉
内注射剤とする。その際必要により常法により凍結乾燥
物とすることも可能である。 懸濁剤としての例を挙げれば、例えばメチルセルロー
ス、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、
アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロ
ースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラ
ウレートなどを挙げることができる。 溶解補助剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化
ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウレート、マグロゴー
ル、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることが
できる。 また安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メ
タ亜硫酸ナトリウム、エーテル等が、保存剤としては、
例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸
エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロ
クレゾールなどを挙げることができる。 〔実 施 例〕 以下に実施例に従って本発明をさらに具体的に説明す
るが、本発明の技術的範囲がこれらの実施例の範囲に限
定されるものでないことはいうまでもない。 実 施 例 (1) l−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−
インダノン)−2−イリデニル〕メチルピペリジン・塩
酸塩の合成
【化10】 (a) 1−ベンジル−4−ピペリジノカルボアルデヒ
ドの合成
ドの合成
【化11】 メトキシメチレントリフェニルホスホニウムクロライ
ド26.0gを無水エーテル200mlに懸濁させ、1.6M n−ブチ
ルリチウムヘキサン溶液を室温にて滴下した。室温にて
30分間撹拌した後、0℃に冷却し、1−ベンジル−4−
ピペリドン14.35gの無水エーテル30ml溶液を加えた。室
温にて3時間撹拌した後不溶物を濾別し、濾液を減圧濃
縮した。これをエーテルに溶解し、1N塩酸にて抽出し
た。さらに水酸化ナトリウム水溶液にてpH12とした後、
塩化メチレンにて抽出した。硫酸マグネシウムにて乾燥
後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムにて
精製し、油状物質5.50g(収率33%)を得た。 これをメタノール40mlに溶解し、1N塩酸40mlを加え
た。3時間加熱還流した後、減圧濃縮し、残渣を水に溶
解後水酸化ナトリウム水溶液にてpH12とし、塩化メチレ
ンにて抽出した。飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシ
ウムにて乾燥し、減圧濃縮して得られ残渣をシリカゲル
かラムにて精製し、標題化合物2.77g(収率54%)を油
状物質として得た。 ・分子式;C13H17NO ・1H−NMR(CDCl3)δ;1.40〜2.40(7H,m)、2.78(2H,
dt)、3.45(2H,s)、7.20(5H,s)、9.51(1H,d) (b) 1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1
−インダノン)−2−イリデニル〕メチルピペリジン・
塩酸塩の合成 この反応はアルゴン雰囲気下行った。 無水THF 10ml中にジイソプロピルアミン2.05mlを加
え、さらに0℃にて1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶
液9.12mlを加えた。0℃にて10分撹拌した後、−78℃ま
で冷却し、5,6−ジメトキシ−1−インダノン2.55gの無
水THF 30ml溶液とヘキサメチルホスホルアミド2.31mlを
加えた。−78℃にて15分撹拌した後、(a)で得た1−
ベンジル−4−ピペリジンカルボアルデヒド2.70gの無
水THF 30ml溶液を加えた。室温まで徐々に昇温し、さら
に室温にて2時間撹拌した後、1%塩化アンモニウム水
溶液を加え、有機層を分離した。水層を酢酸エチルにて
抽出し、さらに合わせた有機層を飽和食塩水にて洗浄し
た。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた
残渣をシリカゲルカラム(塩化メチレン:メタノール=
500:1〜100:1)にて精製した。溶出液を減圧濃縮した
後、残渣を塩化メチレンに溶解し、10%塩酸−酢酸エチ
ル溶液を加え、さらに減圧濃縮して結晶を得た。これを
塩化メチレン−IPEから再結晶化し、次の物性を有する
標題化合物3.40g(収率62%)を得た。 ・融点(℃);237〜238(分解) ・元素分析値;C24H27NO3・HClとして 理論値(%) C 69.64 H 6.82 N 3.38 実測値(%) C 69.51 H 6.78 N 3.30 (2) 1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−
インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン・塩酸塩の
合成
ド26.0gを無水エーテル200mlに懸濁させ、1.6M n−ブチ
ルリチウムヘキサン溶液を室温にて滴下した。室温にて
30分間撹拌した後、0℃に冷却し、1−ベンジル−4−
ピペリドン14.35gの無水エーテル30ml溶液を加えた。室
温にて3時間撹拌した後不溶物を濾別し、濾液を減圧濃
縮した。これをエーテルに溶解し、1N塩酸にて抽出し
た。さらに水酸化ナトリウム水溶液にてpH12とした後、
塩化メチレンにて抽出した。硫酸マグネシウムにて乾燥
後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムにて
精製し、油状物質5.50g(収率33%)を得た。 これをメタノール40mlに溶解し、1N塩酸40mlを加え
た。3時間加熱還流した後、減圧濃縮し、残渣を水に溶
解後水酸化ナトリウム水溶液にてpH12とし、塩化メチレ
ンにて抽出した。飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシ
ウムにて乾燥し、減圧濃縮して得られ残渣をシリカゲル
かラムにて精製し、標題化合物2.77g(収率54%)を油
状物質として得た。 ・分子式;C13H17NO ・1H−NMR(CDCl3)δ;1.40〜2.40(7H,m)、2.78(2H,
dt)、3.45(2H,s)、7.20(5H,s)、9.51(1H,d) (b) 1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1
−インダノン)−2−イリデニル〕メチルピペリジン・
塩酸塩の合成 この反応はアルゴン雰囲気下行った。 無水THF 10ml中にジイソプロピルアミン2.05mlを加
え、さらに0℃にて1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶
液9.12mlを加えた。0℃にて10分撹拌した後、−78℃ま
で冷却し、5,6−ジメトキシ−1−インダノン2.55gの無
水THF 30ml溶液とヘキサメチルホスホルアミド2.31mlを
加えた。−78℃にて15分撹拌した後、(a)で得た1−
ベンジル−4−ピペリジンカルボアルデヒド2.70gの無
水THF 30ml溶液を加えた。室温まで徐々に昇温し、さら
に室温にて2時間撹拌した後、1%塩化アンモニウム水
溶液を加え、有機層を分離した。水層を酢酸エチルにて
抽出し、さらに合わせた有機層を飽和食塩水にて洗浄し
た。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られた
残渣をシリカゲルカラム(塩化メチレン:メタノール=
500:1〜100:1)にて精製した。溶出液を減圧濃縮した
後、残渣を塩化メチレンに溶解し、10%塩酸−酢酸エチ
ル溶液を加え、さらに減圧濃縮して結晶を得た。これを
塩化メチレン−IPEから再結晶化し、次の物性を有する
標題化合物3.40g(収率62%)を得た。 ・融点(℃);237〜238(分解) ・元素分析値;C24H27NO3・HClとして 理論値(%) C 69.64 H 6.82 N 3.38 実測値(%) C 69.51 H 6.78 N 3.30 (2) 1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−
インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン・塩酸塩の
合成
【化12】 1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−1−イン
ダノン)−2−イリデニル〕メチルピペリジン0.40gをT
HF 16mlに溶解し、10%パラジウム−炭素0.04gを加え
た。室温常圧にて6時間水素添加した後、触媒を濾別
し、濾液を減圧濃縮した。この残渣をシリカゲルカラム
(塩化メチレン:メタノール=50:1)にて精製し、溶出
液を減圧濃縮した後、残渣を塩化メチレンに溶解し、10
%塩酸−酢酸エチル溶液を加え、さらに減圧濃縮して結
晶を得た。これをエタノール−IPEから再結晶化し、次
の物性を有する標題化合物0.36g(収率82%)を得た。 ・融点(℃);211〜212(分解) ・元素分析値;C24H29NO3・HClとして 理論値(%) C 69.30 H 7.27 N 3.37 実測値(%) C 69.33 H 7.15 N 3.22 (3) d−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン(エナ
ンチオマーb)及びl−1−ベンジル−4−〔(5,6−
ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル〕メチルピペ
リジン(エナンチオマーa)の合成 (2)の方法で得られた1−ベンジル−4−〔(5,6
−ジメトキシ−1−インダノン−2−イル〕メチルピペ
リジン・塩酸塩をフリー体化した後、そのエタノール溶
液を調整し、分取用試料溶液とした。 下記に示す高速液体クロマトグラフィー条件で、上記
のフリー体約80mgをチャージし、高速液体クロマトグラ
フィーによる一次分取を行った。この操作を繰り返すこ
とにより粗エナンチオマーb 530mg及び粗エナンチオマ
ーa 750mgを得た。 得られた各々の粗光学活性体を、再び下記に示した高
速液体クロマトグラフィー条件で約50mgをチャージし、
分取精製し、この操作を繰り返し行い、各々精製された
エナンチオマーb360mg、エナンチオマーa 430mgを得
た。 各々の比旋光度を表3に示す。 高速液体クロマトグラフィーの条件 ・カラム;キラルセル(Chiralcel OD 20mm I.D.×250m
m(ダイセル化学工業(株)製) ・移動相;n−ヘキサン:イソプロピルアルコール:ジエ
チルアミン(900:100:2v%/v) ・流速;10ml/分 ・検出方法;紫外吸収検出器 波長254nm ・カラム温度;室温
ダノン)−2−イリデニル〕メチルピペリジン0.40gをT
HF 16mlに溶解し、10%パラジウム−炭素0.04gを加え
た。室温常圧にて6時間水素添加した後、触媒を濾別
し、濾液を減圧濃縮した。この残渣をシリカゲルカラム
(塩化メチレン:メタノール=50:1)にて精製し、溶出
液を減圧濃縮した後、残渣を塩化メチレンに溶解し、10
%塩酸−酢酸エチル溶液を加え、さらに減圧濃縮して結
晶を得た。これをエタノール−IPEから再結晶化し、次
の物性を有する標題化合物0.36g(収率82%)を得た。 ・融点(℃);211〜212(分解) ・元素分析値;C24H29NO3・HClとして 理論値(%) C 69.30 H 7.27 N 3.37 実測値(%) C 69.33 H 7.15 N 3.22 (3) d−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメトキシ−
1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン(エナ
ンチオマーb)及びl−1−ベンジル−4−〔(5,6−
ジメトキシ−1−インダノン)−2−イル〕メチルピペ
リジン(エナンチオマーa)の合成 (2)の方法で得られた1−ベンジル−4−〔(5,6
−ジメトキシ−1−インダノン−2−イル〕メチルピペ
リジン・塩酸塩をフリー体化した後、そのエタノール溶
液を調整し、分取用試料溶液とした。 下記に示す高速液体クロマトグラフィー条件で、上記
のフリー体約80mgをチャージし、高速液体クロマトグラ
フィーによる一次分取を行った。この操作を繰り返すこ
とにより粗エナンチオマーb 530mg及び粗エナンチオマ
ーa 750mgを得た。 得られた各々の粗光学活性体を、再び下記に示した高
速液体クロマトグラフィー条件で約50mgをチャージし、
分取精製し、この操作を繰り返し行い、各々精製された
エナンチオマーb360mg、エナンチオマーa 430mgを得
た。 各々の比旋光度を表3に示す。 高速液体クロマトグラフィーの条件 ・カラム;キラルセル(Chiralcel OD 20mm I.D.×250m
m(ダイセル化学工業(株)製) ・移動相;n−ヘキサン:イソプロピルアルコール:ジエ
チルアミン(900:100:2v%/v) ・流速;10ml/分 ・検出方法;紫外吸収検出器 波長254nm ・カラム温度;室温
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−79151(JP,A) 特許2777159(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/445 CA(STN) REGISTRY(STN)
Claims (5)
- 【請求項1】l−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメト
キシ−1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン
を有効成分とするアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。 - 【請求項2】d−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメト
キシ−1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン
・塩酸塩を有効成分とするアセチルコリンエステラーゼ
阻害剤。 - 【請求項3】l−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメト
キシ−1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン
を有効成分とする各種老人性痴呆症の治療・予防剤。 - 【請求項4】d−1−ベンジル−4−〔(5,6−ジメト
キシ−1−インダノン)−2−イル〕メチルピペリジン
・塩酸塩を有効成分とする各種老人性痴呆症の治療・予
防剤。 - 【請求項5】各種老人性痴呆症がアルツハイマー型老年
痴呆である請求項3又は4記載の治療・予防剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02124515A JP3075566B2 (ja) | 1990-05-15 | 1990-05-15 | 光学活性インダノン誘導体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02124515A JP3075566B2 (ja) | 1990-05-15 | 1990-05-15 | 光学活性インダノン誘導体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0421670A JPH0421670A (ja) | 1992-01-24 |
JP3075566B2 true JP3075566B2 (ja) | 2000-08-14 |
Family
ID=14887394
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP02124515A Expired - Lifetime JP3075566B2 (ja) | 1990-05-15 | 1990-05-15 | 光学活性インダノン誘導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3075566B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
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---|---|---|---|---|
DE4439822A1 (de) * | 1994-11-08 | 1996-08-29 | Bayer Ag | Verfahren zur Herstellung von Benzyl-piperidylmethyl-indanonen |
US20020177593A1 (en) | 1998-09-30 | 2002-11-28 | Yuji Ishihara | Agents and crystals for improving excretory potency of urinary bladder |
HUP0104493A3 (en) | 1998-09-30 | 2002-12-28 | Takeda Pharmaceutical | Drugs for improving vesical excretory strength |
DE60014043T2 (de) * | 1999-03-03 | 2005-09-29 | Eisai Co., Ltd. | Flouride von 4-substituierten piperidin-derivaten |
EP2138177A1 (en) | 2000-03-03 | 2009-12-30 | Eisai R&D Management Co., Ltd. | Use of a cholinesterase inhibitor for the treatment of dementia and cognitive impairments |
ATE523199T1 (de) | 2004-11-02 | 2011-09-15 | Univ Northwestern | Pyridazinverbindungen und verfahren |
US20090131480A1 (en) | 2005-04-04 | 2009-05-21 | Eisai Co., Ltd. | Dihydropyridine Compounds for Neurodegenerative Diseases and Dementia |
CA2650711A1 (en) | 2006-04-28 | 2007-11-08 | Northwestern University | Compositions and treatments using pyridazine compounds and cholinesterase inhibitors |
JP7452810B2 (ja) * | 2019-06-17 | 2024-03-19 | 東和薬品株式会社 | 固定化触媒を用いたフロー反応によるドネペジルの製造方法 |
-
1990
- 1990-05-15 JP JP02124515A patent/JP3075566B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0421670A (ja) | 1992-01-24 |
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