JP3074079B2 - 放射性廃溶媒の固化処理方法 - Google Patents

放射性廃溶媒の固化処理方法

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JP3074079B2 JP04313124A JP31312492A JP3074079B2 JP 3074079 B2 JP3074079 B2 JP 3074079B2 JP 04313124 A JP04313124 A JP 04313124A JP 31312492 A JP31312492 A JP 31312492A JP 3074079 B2 JP3074079 B2 JP 3074079B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は核燃料サイクルの溶媒抽
出工程で発生する廃溶媒の固化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】核燃料サイクルの核燃料再処理では使用
済核燃料から核分裂生成物(FP)を溶媒抽出工程で分
離し、ウラン,プルトニウムなどを個別に高純度で回収
している。
【0003】溶媒抽出工程はピューレックス法が使用さ
れており、このピューレックス法はTBP(燐酸トリブ
チル)をドデカンやケロシンで希釈した液を有機溶媒と
して、核燃料の硝酸塩水溶液と抽出,および水とにより
逆抽出を繰り返すプロセスである。また、鉱石から精錬
された天然ウランを精製する際にも上記と同様の溶媒抽
出工程が使用され、廃溶媒が発生する。
【0004】高レベル廃液は主として核燃料溶液からウ
ラン,プルトニウム,FPなどが抽出された硝酸酸性の
抽出溶液である。低レベル廃液としては溶媒抽出工程で
発生した廃溶媒であるが、この廃溶媒は主としてTB
P,ドデカンまたはケロシンであり、微量の溶媒分解生
成物,核分裂生成物を含んでいる。
【0005】この廃溶媒の固化処理方法の一つとして焼
却法が知られている。焼却の際、廃溶媒中のTBPの熱
分解によって生じるリン酸を中和するため、カルシウム
系中和剤を添加している。この他、高濃度リン酸を用い
て廃溶媒と接触撹拌することにより主成分のTBPとド
デカンまたはケロシンに分離し、廃TBPはプラスチッ
クとともに溶融混合してプラスチック固化体とする。
【0006】廃ドデカンまたはケロシンは焼却処理また
は精製処理を経て再利用するか、または廃溶媒を洗浄し
た後、減圧蒸留によってTBP,ドデカンまたはケロシ
ンに分離回収して再利用し、蒸留残渣はプラスチックに
より固化体とするプロセス等の技術開発が行われてい
る。
【0007】ところで、廃溶媒中にカルシウム系中和剤
を添加してピロリン酸カルシウムを主成分とする残留分
解生成物に添加剤として水酸化カルシウム,粉末ガラ
ス,アルカリ水溶液を添加し高温高圧で水熱合成して水
熱体とし、ドラム缶へ収納する技術が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ピロリ
ン酸カルシウムを主成分とする乾留生成物を水熱合成す
ると、水熱体にひび割れが生じることが本発明者らの実
験により認められた。このため、圧縮成形からドラム缶
収納までのハンドリング機構が複雑となる課題がある。
【0009】また、従来の方法では装置の大型化による
必要スペースの増大,コストアップ,保守性の悪化の
他、浸出率の低い水熱体となるために放射能閉じ込め性
能低下等の課題がある。
【0010】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、廃溶媒を乾留分解し、その乾留分解生成物を
水熱合成によって成形した水熱体のひび割れ発生を抑制
することができる放射性廃溶媒の固化処理方法を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は核燃料サイクル
の溶媒抽出工程で発生した廃溶媒を乾留分解し、この乾
留分解生成物に添加剤として水酸化カルシウム,粉末ガ
ラス,アルカリおよびアルミナセメントを添加して高温
高圧で水熱合成して水熱体とし、この水熱体をドラム缶
に収納することを特徴とする。
【0012】
【作用】溶媒抽出工程で発生したTBP,ドデカンまた
はケロシンなどの廃溶媒を乾留分解したピロリン酸カル
シウムを主成分とする乾留分解生成物に添加剤として水
酸化カルシウム,粉末ガラス,アルカリにさらにアルミ
ナセメントを加えて混合し、高温高圧で水熱合成する。
この水熱体はアルミナセメントを加えることによてひび
割れが抑制された浸出率の低い圧縮成形水熱体となって
おり、ドラム缶収納時までのハンドリング機構が容易と
なる。
【0013】
【実施例】図1を参照しながら本発明に係る放射性廃溶
媒の固化処理方法の一実施例を説明する。図1は本実施
例の工程を示す流れ線図である。図1中符号1は廃溶媒
で、核燃料サイクルの溶媒抽出工程から発生するTBP
などの有機溶媒と、ドデカンやケロシンなどの希釈剤で
ある。
【0014】この廃溶媒1を乾留分解2する。この乾留
分解2は廃溶媒1に塩化カルシウム(CaCl2 ),燐
酸ナトリウム(Na3 PO4 )などの添加物を加え、空
気を遮断し約 600℃から1000℃に加熱して行う。この加
熱温度は廃溶媒の組成、添加物の種類によって任意に選
択する。
【0015】乾留分解2を行うとピロリン酸カルシウム
(Ca2 2 7 )を主体とした乾留分解生成物3が得
られる。ピロリン酸カルシウムは乾留分解2の工程中、
添加物として加えた塩化カルシウムとリン酸ナトリウム
などとが反応して生成するリン酸水素カルシウムの加熱
分解により得られる。
【0016】この乾留分解生成物3に水酸化カルシウム
4,粉末ガラス5,アルカリ6およびアルミナセメント
7を加え水熱合成8する。粉末ガラス5としては酸化物
ガラスが好ましく、例えばケイ酸塩ガラス,リン酸塩ガ
ラス,ホウ酸塩ガラスを粉砕化した粉末状のものを使用
する。その他、炭酸塩ガラスなどを混合することもでき
る。また、アルカリ6としてはカルシウムやバリウムの
水酸化物のほか炭酸ナトリウム,リン酸ナトリウム,ナ
トリウムとカリウムの水酸化物を使用する。
【0017】さらに、アルミナセメント7としてAl2
3 およびCaOを主成分とし、この他SiO2 ,Fe
2 3 などを加えたものからなるセメントを使用する。
アルミナセメント7を加えることによって極めて早強性
となり、また耐食性が優れ、水和に際して発熱が大きく
なる。
【0018】次に、乾留分解生成物3に水酸化カルシウ
ム4,粉末ガラス5,アルカリ6およびアルミナセメン
ト7を加えて水熱合成8を行って水熱体9を圧縮成形す
る。水熱合成8は高温の水、特に高温高圧の水の存在の
下に行う物質の合成法である。この水熱合成8において
はオートクレーブ中で、水の臨界温度 374℃前後で、圧
力は数100atm加えて行う。
【0019】このようにして水熱合成8で得られた水熱
体9はその表面に全くひび割れが存在することはなく、
かつ従来より浸出率が低く、放射能閉じ込め性能が向上
する。この水熱体9をドラム缶10内に収納し、密封して
低レベル廃棄物として保管する。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、ピロリン酸カルシウム
を主成分とする乾留分解生成物に添加剤として水酸化カ
ルシウム,粉末ガラス,アルカリおよびアルミナセメン
トを加えることにより水熱体の割れが抑制される。その
ため、ドラム缶収納までのハンドリング機構を簡単にで
き、装置の小型化による必要スペースの減少,コストダ
ウン,保守性の向上が期待できるとともに、従来より浸
出率の低い水熱体となり放射能閉じ込め性能の向上も期
待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放射能廃溶媒の固化処理方法の一
実施例の工程を示す流れ線図。
【符号の説明】
1…廃溶媒、2…乾留分解、3…乾留分解生成物、4…
水酸化カルシウム、5…粉末ガラス、6…アルカリ、7
…アルミナセメント、8…水熱合成、9…水熱体、10…
ドラム缶。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−339299(JP,A) 特開 昭60−200199(JP,A) 特開 昭54−8300(JP,A) 特開 昭63−100399(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21F 9/16 G21F 9/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核燃料サイクルの溶媒抽出工程で発生し
    た廃溶媒を乾留分解し、この乾留分解生成物に添加剤と
    して水酸化カルシウム,粉末ガラス,アルカリおよびア
    ルミナセメントを添加して高温高圧で水熱合成して水熱
    体とし、この水熱体をドラム缶に収納することを特徴と
    する放射性廃溶媒の固化処理方法。
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CN106910545B (zh) * 2017-03-23 2018-08-24 中国原子能科学研究院 一种用于放射性废液冷坩埚玻璃固化处理的启动方法

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