JP3487106B2 - 燃料再処理廃棄物の処理方法 - Google Patents
燃料再処理廃棄物の処理方法Info
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Description
の処理方法に係り、特に、ジルコニウム合金を含む軽水
炉燃料の、剪断−浸出・ピュレックス溶媒抽出法による
再処理の工程で発生する金属廃棄物を処理するのに好適
な燃料再処理廃棄物の処理方法に関する。
済燃料という)は、ジルコニウム合金製の被覆管に核燃
料物質酸化物を封入してなる複数の燃料棒を有する。こ
れらの燃料棒は、適当な長さに剪断される。核燃料物質
酸化物は硝酸によって溶解される。ジルコニウム合金製
被覆管は核燃料物質酸化物を含む硝酸溶液から分離され
る。この処理は、剪断−溶出法と呼ばれる。硝酸溶液に
含まれるウラン及びプルトニウムは、ピュレックス溶媒
抽出法により、溶媒である三ブチル燐酸を用いて抽出さ
れ、核燃料として再利用される。
る、放射性廃液である硝酸溶液は、核分裂生成物元素,
使用済燃料に付着していた鉄、及び再処理工程で添加さ
れるナトリウムを含む。この硝酸溶液は、水及び硝酸が
蒸発された後、核分裂生成物元素の濃度が高い濃縮液と
なる。この濃縮液は、放射能濃度及び崩壊熱発生率が高
いために高レベル廃液と呼ばれる。
とするガラスを生成して固化体とする方法により一般的
に処理されている。なかでも、硼硅酸ガラスを成分とす
る方法が最も一般的である。ガラス固化体の重量は、高
レベル廃棄物の重量の5倍である。
ある燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZr2P
3O12)により固化することが、単相[NZP]セラミ
ック放射性廃棄物、アール・ロイ、エル・ジェー・ヤン
グ、イー・アール・バンス、サイエンテイフィック ベ
ーシス フォー ニュークリア ウエスト マネージメ
ント、エルセビア サイエンス パブリシュイング シ
ーオ.、アイエヌシー.、6巻、頁15−21(198
3)(A single phase[NZP]ceramic radioactivewaste
form, R. Roy, L. J. Yang, E. R. Vance, Scientific
Basis for Nuclear Waste Management, Elsevier Scie
nce Publishing Co., Inc., Vol.6,p.15−21
(1983))に報告されている。この文献に記載されて
いる燐酸ジルコニウム・ナトリウムは、
晶構造を有する。この燐酸ジルコニウム・ナトリウム
は、溶解度及び熱膨張係数が著しく小さい。
媒抽出法再処理において、前述の高レベル廃棄物の他
に、剪断−溶出工程では、上部及び下部の各タイプレー
ト(ステンレス鋼),燃料棒被覆管(ジルコニウム合
金),燃料スペーサ(ジルコニウム合金及びニッケル合
金),チャネルボックス(ジルコニウム合金)等の金属
類ならびに被覆管剪断屑(ジルコニウム合金)などの放
射性金属廃棄物が、ピュレックス法溶媒抽出工程では、
放射線劣化した溶媒である廃溶媒の成分、及び低レベル
廃液の成分などの放射性廃棄物が発生する。
溶媒の成分、及び低レベル廃液の成分の放射能レベル
は、高レベル廃棄物のそれに比べて著しく低い。しかし
ながら、ウラン燃料1トン当り、前者の廃棄物の発生量
は、後者の高レベル廃棄物の発生量の9.5 倍である。
無機化・減容化などの前処理を行って得られた廃溶媒の
成分及び低レベル廃液の成分、及び放射性金属廃棄物を
それぞれセメントにより固化して固化体にした場合、そ
れぞれの固化後の放射性廃棄物の重量は、セメントの使
用により少なくとも約3倍に増加する。再処理を行うウ
ラン燃料1トン当り、放射性金属廃棄物の発生量は、廃
溶媒の成分及び低レベル廃液の成分、及び放射性金属廃
棄物の全発生量のうちの70%を占める。放射性金属廃
棄物の発生量のうち、ジルコニウム合金の発生量は、8
8%を占める。
きる燃料再処理廃棄物の処理方法を提供することにあ
る。
1発明の特徴は、燐,ナトリウム、及び燃料再処理によ
って発生した金属廃棄物を構成していた元素であるジル
コニウムを用いて、ジルコニウムを主要な組成元素とす
る、
晶構造を有する燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZ
r2P3O12)を合成することにある。
ニウムを組成として含む、
晶構造を有する燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZ
r2P3O12)を合成することができ、放射性廃棄物であ
るジルコニウムを燐酸ジルコニウム・ナトリウム内に封
じ込めることができる。燐酸ジルコニウム・ナトリウム
自体が固化材の機能を有するので、従来のようにジルコ
ニウムを固化するためのセメントのような固化材を必要
としない。このため、発生する固化された放射性廃棄物
の重量が減少する。
ジルコニウムを主要な組成元素とする、
晶構造を有する燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZ
r2P3O12)に含まれる元素の一部がNa,Zr,P及
びO以外の元素と置換され、かつジルコニウムを含み前
記3次元結晶構造を有する結晶構造体物質を、燐,ナト
リウム、及び燃料再処理によって発生した金属廃棄物を
構成していた元素を用いて合成することにある。
ニウム、及びNa,Zr,P及びO以外の放射性廃棄物
である元素を用いて、ジルコニウムを含み前記3次元結
晶構造を有する結晶構造体物質を合成するので、第1の
発明よりも発生する固化された放射性廃棄物の重量が減
少する。
前記燐として、前記燃料再処理によって発生する放射性
廃棄物に含まれていた燐を用いることにある。
た燐を用いるので、燃料再処理によって発生する燐を別
途セメントによって固化する必要がなく、固化された放
射性廃棄物の重量が更に減少する。
前記ナトリウムとして、前記燃料再処理によって発生す
る廃棄物に含まれていたナトリウムを用いることにあ
る。
たナトリウムを用いるので、燃料再処理によって発生す
るナトリウムを別途セメントによって固化する必要がな
く、固化された放射性廃棄物の重量が更に減少する。
ジルコニウムを主要な組成元素とする、
晶構造を有する燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZ
r2P3O12)に含まれる元素の一部がNa,Zr,P及
びO以外の元素と置換され、かつジルコニウムを含み前
記3次元結晶構造を有する結晶構造体物質を、ナトリウ
ム,燃料再処理によって発生する廃棄物である廃溶媒に
含まれていた廃溶媒成分、及び前記燃料再処理によって
発生した金属廃棄物を用いて合成する処理方法であっ
て、前記金属廃棄物の少なくとも一部はジルコニウム合
金であることにある。
理によって発生する廃棄物である廃溶媒に含まれていた
廃溶媒成分、及び燃料再処理によって発生した金属廃棄
物を用いて合成するので、第2発明に比べて、廃溶媒成
分(例えば燐酸)のセメント固化体を作成する必要がな
い分、固化された放射性廃棄物の発生重量が減少する。
特に、廃溶媒成分は、石灰を混合して焼却し、その後、
石灰と共にセメントで固化していたが、第5発明によれ
ば、このような固化体の生成が不要になる。
ジルコニウムを主要な組成元素とする、
晶構造を有する燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZ
r2P3O12)に含まれる元素の一部がNa,Zr,P及
びO以外の元素と置換され、かつジルコニウムを含み前
記3次元結晶構造を有する結晶構造体物質を、燐,燃料
再処理によって発生する廃棄物である低放射能レベル廃
液に含まれていた低放射能レベル廃液成分、及び前記燃
料再処理によって発生した金属廃棄物を用いて合成する
処理方法であって、前記金属廃棄物の少なくとも一部は
ジルコニウム合金であることにある。
理によって発生する廃棄物である低放射能レベル廃液に
含まれていた低放射能レベル廃液成分、及び燃料再処理
によって発生した金属廃棄物を用いて合成するので、第
2発明に比べて、低放射能レベル廃液成分(例えばナト
リウム)のセメント固化体を作成する必要がない分、第
2発明に比べて固化された放射性廃棄物の発生重量が減
少する。
ジルコニウムを主要な組成元素とする、
晶構造を有する燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZ
r2P3O12)に含まれる元素の一部がNa,Zr,P及
びO以外の元素と置換され、かつジルコニウムを含み前
記3次元結晶構造を有する結晶構造体物質を、燃料再処
理によって発生する廃棄物である廃溶媒に含まれていた
廃溶媒成分、前記燃料再処理によって発生する廃棄物で
ある低放射能レベル廃液に含まれていた低放射能レベル
廃液成分、及び前記燃料再処理によって発生した金属廃
棄物を用いて合成する処理方法であって、前記金属廃棄
物の少なくとも一部はジルコニウム合金であることにあ
る。
理によって発生する廃棄物である廃溶媒に含まれていた
廃溶媒成分、燃料再処理によって発生する廃棄物である
低放射能レベル廃液に含まれていた低放射能レベル廃液
成分、及び燃料再処理によって発生した金属廃棄物を用
いて合成するので、第5発明及び第6発明に比べて固化
された放射性廃棄物の発生重量が減少する。
前記燃料再処理によって発生する廃棄物である高放射能
レベル廃液に含まれていた高放射能レベル廃液成分を、
前記結晶構造体物質の合成に用いることにある。
するガラス固化体を作成する必要がなく、その分、固化
された放射性廃棄物の発生重量が減少する。
前記結晶構造体物質の合成に用いる複数の物質のうち1
つを液体の状態で、他の物質と混合し、これらの混合物
を加熱し、前記結晶構造体物質を合成することにある。
る複数の物質のうち1つを液体の状態で他の物質と混合
するので、これらの物質がよく混ざる。このため、これ
らの物質がより低い温度で反応して、結晶構造体物質を
短時間で合成できる。上記加熱に用いる加熱手段の加熱
容量を低減できると共に、再処理で発生する放射性廃棄
物の処理に要する時間が短縮される。また、加熱時にお
いて、結晶構造体物質の組成物質の固相拡散反応が助長
されるので、結晶構造体物質の密度が増加する。
は、前記ジルコニウム合金を酸化物粉末とし、この酸化
物粉末、前記廃溶媒成分である燐酸化合物、及び前記低
放射能レベル廃液成分であるナトリウム化合物を混合し
て加熱し、前記結晶構造体物質を合成することにある。
粉末にしているので、燐酸化合物及びナトリウム化合物
との混合が容易になり、結晶構造体物質の合成も容易に
なる。前述の第7発明の作用効果も生じる。
は、前記ジルコニウム合金を燐酸ジルコニウム粉末と
し、この燐酸ジルコニウム粉末、及び前記低放射能レベ
ル廃液成分であるナトリウム化合物を混合して加熱し、
前記結晶構造体物質を合成することにある。
なくてもよく、予め燐酸ジルコニウムにしているので、
結晶構造体物質の合成が容易に行える。また、燐酸は蒸
発しないので、燐を結晶構造体物質の合成のために有効
に活用できる。
は、前記金属廃棄物のうちジルコニウム合金を硝酸溶液
に溶解させ、前記ジルコニウム合金を構成していた元素
を含む硝酸溶液、前記廃溶媒成分である燐酸化合物、及
び前記低放射能レベル廃液成分であるナトリウム化合物
を混合して加熱し、前記結晶構造体物質を合成すること
にある。
を生じる。
は、前記金属廃棄物のうちジルコニウム合金を硝酸溶液
に溶解させ、前記ジルコニウム合金を構成していた元素
を含む硝酸溶液、前記廃溶媒成分である燐酸化合物、前
記低放射能レベル廃液成分であるナトリウム化合物、及
び前記燃料再処理によって発生する廃棄物である高放射
能レベル廃液に含まれていた高放射能レベル廃液成分を
混合して加熱し、前記結晶構造体物質を合成することに
ある。
同様な作用効果を生じる。
は、燃料再処理で発生する前記三ブチル燐酸を水酸化ナ
トリウム水溶液中で加水分解して水溶解性の二ブチル燐
酸ナトリウムとし、前記二ブチル燐酸ナトリウムを前記
結晶構造体物質の合成に用いることにある。
揮発性の二ブチル燐酸ナトリウムに変えるので、揮発性
の物質を結晶構造体物質の合成に用いなくて済み、装置
構成を単純化できる。
は、前記金属廃棄物であるステンレス鋼及びジルコニウ
ム合金の混合物を弗化アンモニウム溶液に接触させて前
記ジルコニウム合金を溶解し、前記ジルコニウム合金を
構成していた元素を含む溶解液に燐酸アンモニウム化合
物を添加して燐酸ジルコニウムを生成し、この燐酸ジル
コニウムを回収し、弗化アンモニウムを再生して再利用
することにある。
て再利用できるので、固化された放射性廃棄物の発生重
量が減少する。従来は、弗化アンモニウムをカルシウム
を加えて固めていた。このような固化体の生成量が、第
15発明において、著しく減少する。
は、前記金属廃棄物であるステンレス鋼,ニッケル合金
及びジルコニウム合金の混合物を弗化アンモニウム溶液
に接触させて前記ジルコニウム合金を溶解させ、前記ジ
ルコニウム合金を構成していた元素を含む溶解液に燐酸
アンモニウム化合物を添加して燐酸ジルコニウムを回収
し、弗化アンモニウムを再生後に再利用し、残存した前
記ステンレス鋼及び前記ニッケル合金を硝酸中で電解酸
化して溶解させ、前記燐酸ジルコニウム、及び溶解後の
前記ステンレス鋼及びニッケル基合金をそれぞれ構成し
ていた元素を前記結晶構造体物質の合成に用いることに
ある。
た後で、残存したステンレス鋼及び前記ニッケル合金を
硝酸中で電解酸化して溶解させているので、ステンレス
鋼が効率よく溶ける。このため、ステンレス鋼,ニッケ
ル合金及びジルコニウム合金の組成物と、燐及びナトリ
ウム等の物質との混合が良くなり、結晶構造体物質の合
成が容易になる。
は、前記金属廃棄物であるステンレス鋼,ニッケル合金
及びジルコニウム合金の混合物を、硝酸中で電解酸化に
より溶解してすべての構成元素を水溶性とし、これらの
元素の水溶性化合物を前記結晶構造体物質の合成に用い
ることにある。
た後に、残存したステンレス鋼及び前記ニッケル合金を
硝酸中で電解酸化して溶解するという二段階の処理を行
う必要がなく、ステンレス鋼,ニッケル合金及びジルコ
ニウム合金を一度に溶解できるので、第16発明に比べ
て結晶構造体物質の合成工程を単純化できる。第17発
明は、第16発明と同様な作用効果を生じる。
は、 前記結晶構造体物質に含まれる1分子中の2原子
以内の燐が珪素で置換されることにある。
まれる1分子中の2原子以内の燐が珪素で置換されるの
で、ナトリウムを伴う高放射能レベル廃液成分をより多
く含んだ結晶構造体物質を得ることができる。
は、前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまたは前記結晶
構造体物質の粉末を、圧粉体として焼結し、焼結された
前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまたは前記結晶構造
体物質を容器内に充填しこの容器を密封することにあ
る。
粉体として焼結するので、密度が増加した固化体を得る
ことができる。このため、発生する固化された放射性廃
棄物の容積が減少する。
は、前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまたは前記結晶
構造体物質の粉末を、加圧容器内で水の存在下で熱処理
し、前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまたは前記結晶
構造体物質の粉末を固化することにある。
ウムまたは結晶構造体物質の粉末を加圧容器内で水の存
在下で熱処理するので、燐酸ジルコニウム・ナトリウム
または結晶構造体物質を、第19発明よりも低い温度で
合成できる。すなわち、第20発明において必要な熱エ
ネルギーを第19発明よりも低減できる。
は、前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまたは前記結晶
構造体物質を、金属製の容器内に充填し、その後、前記
容器を密封し、密封された前記容器を加熱した状態で外
圧により等方向的に圧縮することにある。
状態で外圧により等方向的に圧縮するので、結晶構造体
物質を内蔵する容器内の空間が著しく減少し容器を含め
た容積が減少する。このため、発生する固化された放射
性廃棄物の容積が、更に減少する。また、容器内の放射
性物質である結晶構造体物質に触れないで、上記のよう
に容積を減少できる。
する高放射能レベル廃液(以下、高レベル廃液という)
の元素の組成、及び高レベル廃液以外の放射性廃棄物の
組成を以下に説明する。
燃焼度ならびに処理プロセスによって異なるが、燃焼度
が45,000MWD/T の使用済燃料を対象に剪断−
溶出・ピュレックス溶媒抽出法が適用された場合、原子
炉に装荷したウラン燃料の1トン当りに表1に示す量の
酸化物に換算した元素を含んでいる。これらの元素の合
計重量は、73.674kgである。
量と組成は、処理する燃料の種類と処理方法によって異
なるが、ジルカロイ合金を被覆管として用いた使用済燃
料に、剪断−溶出・ピュレックス溶媒抽出法が適用され
た場合、原子炉に装荷されたウラン燃料の1トンを処理
するに当り表2〜表5に示すようになる。
放射性廃棄物の合計の放射能は、使用済燃料の全放射能
のうち僅かの割合にしかならない。しかしながら、表2
〜表5に示す全放射性廃棄物の正味重量の合計は、使用
済燃料の再処理で発生する放射性廃棄物料の大部分を占
める。すなわち、集合体金属廃棄物の構成元素が48
7.6kg,燃料棒剪断屑の構成元素が5.0kg,三ブチル
燐酸廃溶媒の構成成分が106.4kg,低レベル廃液成
分が101.5kgである。これらの合計重量は700.5
kgであって、高レベル廃液成分の9.5倍に相当する。
表2〜表5に示すそれぞれの放射性廃棄物の成分を、無
機化・減容化などの予備処理の後に、セメント等で固化
して耐浸出性のある固化体にすれば、それぞれを固化し
て得られる放射性廃棄物重量は少なくとも約3倍に増加
して、2100kgとなる。これに、高レベル廃棄物固化
体の重量を加えれば、少なくとも2500kgになる可能
性がある。このような従来の固化処理方法によって発生
する固化体の重量は、表1に示す高レベル廃液成分の酸
化物の重量の約35倍となる。
生する固化された放射性廃棄物の重量を低減する必要が
ある。後述する本発明の各実施例は、使用済燃料の再処
理によって発生する放射性廃棄物の少なくとも一部の物
質を用いて、ジルコニウムを主要な組成元素とする、
晶構造を有する燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZ
r2P3O12)、またはジルコニウムを主要な組成元素と
する、
晶構造を有する燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZ
r2P3O12)に含まれる元素の一部がNa,Zr,P及
びO以外の元素と置換され、かつジルコニウムを含み前
記3次元結晶構造を有する結晶構造体物質を、合成する
ものである。
晶構造体物質を合成する方法は、“核廃棄物固定のため
の宿主構造体としての燐酸ジルコニウム・ナトリウム
〔NZP〕:レビュー”ビイ・イ・シーツ、デイ・ケイ
・ブレバル アンド アル・ロイ、ウエスト マネージ
メント、14巻、No.6、489〜505頁(199
4)〔“Sodium Zirconium Phosphate(NZP)as a Host
Structure forNuclear Waste Immobilization: a Revi
ew,”B.E.Sheetz, D.K.Agrawal, E. Breval and R.Ro
y, Waste Management, Vol.14, No.6,pp.489
−505(1994)〕に総説的に記載されている。
ZPと略記する)は分子式がNaZr2P3O12(分子
量:490.34g)であり、その結晶構造式は一般的
に[M′1][M″3][AVI 2][BIV 3]O12と表され
る。NZPの結晶は、ZrO68面体が、6個のPO44
面体と酸素原子を共有して結合された三次元構造を有す
る。すなわち、各々のPO44面体及び4個のZrO68
面体が、酸素原子を共有して結合されて、基本構成単位
が(Zr2P3O12)- である複数のリボン構造を構成して
いる。NZPの結晶は、複数のリボン構造がPO4 4面
体で結合されてなる3次元構造を有する。リボン構造内
に空孔M′があり、イオン半径が大きいナトリウムイオ
ンはリボン構造内の空孔M′に配位される。リボン構造
同志の間に存在する別の空孔M″に配位できる1価原子
の数は3個である。しかし、空孔M″は、
晶構造である限り原子で満たされることはない。
さな原子価状態の異なるイオンによって置換される。ま
た、AVI位置は、Zr4+と同様にやや大きいイオン半径
の、原子価状態の異なるイオンによって置換される。こ
れらの置換のいずれにおいても、原子価を補償するよう
にM″位置にナトリウムイオンが特異的に配位される。
M′位置が、Na+ と同様にイオン半径が大きいアルカ
リ金属イオン又は当量のアルカリ土類金属のイオン、あ
るいはよりイオン半径の小さい当量のイオンで置換され
ても、NZPの
晶構造は保存される。NZPの組成元素の一部が上記の
ような他の元素に置換されてもNZPの上記三次元結晶
構造を保存している物質を、結晶構造体物質(以下、
[NZP]と略記)という。
る典型的な陽イオンの種類は、イオンの大きさに依存し
ている。M′位置では最も大きい陽イオンを含む多様な
陽イオンが、M″位置ではAVI位置およびBIV位置の置
換イオン原子価を補償するようにナトリウムイオンが、
BIV位置では最も小さい陽イオンが、AVI位置は中間の
大きさの陽イオンがそれぞれほぼ選択的に置換される。
各位置で置換されるイオンを以下に示す。
Mg2+,Ca2+,Sr2+,Ba2+,Zn2+,Cd2+,Pb
2+,U4+,Np4+,Pu4+,Am4+,Cm4+ M″位置:Na+ AVI位置:Ti4+,Cr3+,Fe3+,Co2+,Ni2+,
Y3+,Zr2+,Tc4+,Ru4+,Rh3+,Pd3+,Sn
4+,Sb5+,Te4+,In3+,La3+,Ce3+,P
r3+,Nd3+,Pm3+,Sm3+,Eu3+,Gd3+ BIV位置:Al3+,Si4+,P5+,As5+,Se6+,M
o6+ NZP又は[NZP]の合成には、置換すべきイオンの
種類及び量に応じて組成元素の量を適度に調整する必要
がある。
て、ゾルゲル法,固相反応法,水熱反応法等が知られて
いる。
しながらジルコニル塩水溶液を添加してゾル状とし、続
いて攪拌しながらアルカリ化合物水溶液を添加してゲル
状とし、低温で脱水,500℃で脱硝してNZP又は
[NZP]の合成反応を起こさせる。
化合物の微粉末を圧粉成形後に800−1350℃で焼結
して粉末粒子間の反応を起こさせ、NZP又は[NZ
P]を合成する。
化合物の微粉末を水と共に加圧容器に入れて、200−
300℃において数日間加熱して反応を起こさせ、NZ
P又は[NZP]を合成する。
構造を有するNZP又は[NZP]の粉末から圧粉成形
及び焼結、あるいは水熱固化などからなる窯業的方法に
よって高密度の固化体を生成することができる。圧粉成
形の方法として、金型と杵による一軸圧縮の他に流体を
媒体とした等方向圧縮が冷間又は熱間で用いられる。圧
粉成形と焼結及び密封体化の方法として熱間等方向圧
縮、又は熱間衝撃圧縮が用いられる。
燃料の全再処理廃棄物の重量の50%以上を占めるジル
コニウムを用いてNZP又は[NZP]を合成するもの
である。
る燃料再処理廃棄物の処理方法を図1を用いて以下に説
明する。
を剪断し、燃料棒内のウラン・プルトニウムを硝酸溶液
を用いて溶解する。ピュレックス法溶媒抽出工程2は、
硝酸溶液に溶けているウラン・プルトニウムを回収す
る。回収されたウラン・プルトニウムは、精製工程3で
精製される。剪断・溶出工程1では、ジルコニウム合金
及び不溶解性核分裂生成物を含む被覆管剪断屑、及びジ
ルコニウム合金,ステンレス鋼及びニッケル合金等の燃
料体金属廃棄物の放射性廃棄物が発生する。ピュレック
ス法溶媒抽出工程2では、三ブチル燐酸等を含む廃溶
媒,ナトリウム,鉄及び硝酸塩水溶液を含む低放射能レ
ベル廃液(以下、低レベル廃液という)、及び核分裂生
成物,ナトリウム,鉄及び硝酸水溶液を含む高レベル廃
液の放射性廃棄物が発生する。
トで固化される。廃溶媒は、石灰を混合して焼却された
後にセメントで固化される。高レベル廃液は、ガラス固
化体に生成される。
工程4で酸化される。処理4で酸化ジルコニウム粉末が
得られ、他の金属廃棄物から除去される。他の金属廃棄
物であるステンレス鋼及びニッケル合金はセメントで固
化される。酸化ジルコニウム粉末は、NZP合成工程5
に送られる。NZP合成工程5は、組成物の混合工程
6,加熱分解工程7,圧粉体成形工程8,焼成工程9及
び粉砕工程10を含む。混合工程6で、酸化ジルコニウ
ム粉末,添加物である燐酸化合物水溶液及びナトリウム
化合物水溶液が混合され、これらのペーストが作られ
る。このペーストは加熱分解工程7で加熱されて粉末に
なる。この粉末は、圧粉体成形工程8で圧粉体に成形さ
れる。圧粉体は、焼成工程9で焼成されて[NZP]と
なり、粉砕工程10で[NZP]の粉末になる。焼結固
化工程11で、[NZP]の粉末は圧粉体に成形されて
焼結される。容器密封工程12で、[NZP]の焼結体
が充填された容器が密封される。密封容器は、除染工程
13で表面が除染され、貯蔵等の廃棄物処分に付され
る。
1トンの軽水炉燃料の再処理によって発生する集合体金
属廃棄物に含まれるジルコニウム合金は429.1kg で
ある。これは、98.2%に相当する421.4kg(4.62
0kg−原子)のZrの他に、合金成分として、Snの
6.4kg(0.054kg−原子)のSn、0.7kg(0.0
13kg−原子)のFe、0.4kg(0.008kg−原子)
のCr及び0.2kg(0.003kg−原子)のNiを含む。
程に基づいて処理される。集合体金属廃棄物を空気中で
約600℃に加熱する。ジルコニウム合金が酸化ジルコ
ニウム粉末となり、容易にステンレス鋼及びニッケル合
金から分離できる。
粉末に、適量の燐酸及び水酸化ナトリウム水溶液を添加
してペーストを生成する。その後、ペーストを乾燥して
得られた粉末は、金型を用いて圧粉体に成形される。圧
粉体,空気中で800〜1000℃で焼成され、NZPに独特
の結晶構造を有する単一の結晶物質である[NZP]の
焼成体となる。焼成体は粉砕されて(1)の組成式を有
する[NZP]粉末になる。
と置換して結晶に入り、SnはZrと同様に4価の原子
価状態にあるイオンを形成するのでNaの変動はない。
合成された[NZP]粉末は、金型を用いて圧粉体に成
形され、その後、空気中で800〜1000℃で焼結さ
れる。得られた焼結体を充填したステンレス鋼容器は蓋
を取り付けた後に密封される。密封された容器は外表面
を除染されて付着している放射能を除去される。このよ
うに、処分に対応する廃棄物固化体が得られる。
棄物に含まれる、集合体金属廃棄物から分離されたジル
コニウム,ナトリウム及び燐酸を用いて[NZP]を合
成するので、この固化体の重量は1145.4kg とな
る。この重量は、廃棄物であるジルコニウム合金の発生
重量の2.7倍 であり、ジルコニウム合金をセメントで
固化した場合に比べて重量を低減できる。
料再処理廃棄物の処理方法を図2を用いて以下に説明す
る。本実施例は、図1の実施例の加熱酸化工程4を電解
酸化溶解工程15に替え、NZP合成工程5の工程の一
部が変更されたNZP合成工程5Aを適用したものであ
る。本実施例のこれら以外の部分は、図1の実施例と同
じである。電解酸化溶解工程15は、集合体金属廃棄物
であるジルコニウム合金,ステンレス鋼及びニッケル合
金を硝酸中で電解酸化溶解を行い、これらの全ての金属
を溶解する。電解酸化溶解は、ジェー・テイー・ロング
核燃料再処理技術、アメリカン ニュークリア ソサ
イアテイ、309〜314頁(1978)(J. T. Long,En
gineering for Nuclear Fuel Reprocessing, American
Nuclear Society, p.309−314(1978))に示
されている。NZP合成工程5Aの混合工程6では、電
解酸化溶解工程15で得られた溶解金属成分を含む硝酸
水溶液に、廃溶媒及び燃料再処理から発生する廃棄物以
外の燐酸化合物水溶液のうちの少なくとも1つ、及び低
レベル廃液及び燃料再処理から発生する廃棄物以外のナ
トリウム化合物水溶液のうちの少なくとも1つを混合す
る。NZP合成工程5Aの加熱脱硝工程16では、混合
工程6で得られた混合溶液が加熱され、混合溶液中の
水,硝酸及び有機物が除去される。更に、硝酸塩を熱分
解する。この結果、加熱脱硝工程16において、酸化物
と燐酸塩の混合粉末が得られる。混合粉末は、圧粉体成
形工程8で圧粉体に成形される。以下の具体例2a,2
b,2c及び2dには、図2の処理工程が適用される。
に含まれる集合体金属廃棄物の構成元素の量は、Zr4
21.4kg(4.620kg−原子),Fe37.2kg(0.
666kg−原子),Cr10.6kg(0.204kg−原
子),Ni12.0kg(0.204kg−原子)、及びSn
6.4kg(0.054kg−原子)である。これらの合計重
量は487.6kg(5.748kg−原子)である。これら
の構成元素が本具体例で処理される。
ジルコニウム合金,ステンレス鋼,ニッケル合金を陽極
となるタンタル又はニオブの籠に入れて、60℃乃至7
0℃に保った2M乃至8MのHNO3 溶液中で、電解酸
化溶解工程15を実施する。この結果、これらの金属成
分が溶解している硝酸水溶液が得られる。
添加物である燐酸化合物水溶液に含まれる燐酸の必要量
を燐酸アンモニウムとして、及び低放射能レベル廃液及
びナトリウム化合物水溶液に含まれるナトリウムの必要
量を水酸化ナトリウムとして、表7のケース1のように
混合する。その後、加熱脱硝工程16で、混合溶液は加
熱され、水,硝酸、及び有機物が除去される。最終的に
は、硝酸塩が熱分解されて酸化物及び燐酸塩の混合粉末
が得られる。
る。酸化物及び燐酸塩の混合粉末は、金型を用いて圧粉
体に成形され、空気中で800〜1000℃で焼成され
る。これにより、[NZP]の焼成体が得られる。[N
ZP]の焼成体が粉砕されて(2)の組成式を有する
[NZP]粉末となる。
し、( )′は[M]′空孔に配位されたNaを示す。
1400.0kg の[NZP]が合成される。Fe,C
r,Ni,SnはそれぞれZrと置換されて結晶内に入
り、結晶内の電荷の釣り合いを保つために0.44 原子
のNaがM″空孔中に配位された。式(2)の組成式の
[NZP]を合成するためには、95.0kg(4.132
kg−原子)のナトリウムと、266.6kg(8.609kg
−原子)の燐をそれぞれ化合物として添加する必要があ
る。
体に成形される。圧粉体は、空気中で800〜1000
℃で焼結された後、ステンレス鋼容器内に充填される。
蓋で密封されたステンレス鋼容器の外表面の放射能が除
去される。
る。
る集合体金属廃棄物の合計487.6kg,燐酸成分及び
少量のナトリウム成分を用いて、1400.0kg の溶解
度が低くかつ耐熱衝撃性の高い[NZP]固化体が得ら
れる。
棄物の組成物重量の2.9 倍であり、セメントによる固
化によって得られるセメント固化体の重量よりも低減す
る。 (具体例2b)本具体例で用いられる使用済燃料の再処
理廃棄物に含まれる集合体金属廃棄物の構成元素の量は
Zr421.4kg(4.620kg−原子),Fe37.2k
g (0.666kg−原子),Cr10.6kg(0.20
4kg−原子),Ni12.0kg(0.204kg−原子),
Sn6.4kg(0.054kg−原子)である。表4に示す
ように廃溶媒の構成元素の量はPO4:37.9kg(0.4
00kg−分子)である。集合体金属廃棄物の構成元素、
及び廃溶媒の構成元素の合計は525.5kg である。
成するジルコニウム合金、ステンレス鋼,ニッケル合金
を具体例2aと同様に電解酸化溶解工程15で処理し、
金属成分が溶解している硝酸水溶液を得る。具体例2a
と同様に、混合工程6で硝酸水溶液,燐酸アンモニウ
ム、及び水酸化ナトリウムを表7のケース2のように混
合し、具体例2aと同様に加熱脱硝工程16以降の処理
が実行される。
(2)の組成式を有する[NZP]粉末になる。140
0.0kg の[NZP]が合成される。Fe,Cr,N
i,SnはそれぞれZrと置換して結晶に入る。結晶内
の電荷の釣り合いを保つためにNaが増加する。PO4
は8.609kg−分子(817.6kg)必要であり、大部
分である8.209kg−分子(779.6kg)が補充され
た。(2)の組成式の[NZP]を合成するためには、
廃溶媒に含まれる燐は、0.4kg−原子 であるため、2
54.3kg(8.209kg原子)の燐を別途に添加する必
要がある。
る集合体金属廃棄物及び廃溶媒の合計594.0kg 、及
び添加された燐酸成分及び少量のナトリウム成分によ
り、1400.0kg の溶解度が低く、耐熱衝撃性の高い
[NZP]固化体を得た。 (2)[NZP]固化体の重量は再処理廃棄物の組成物
重量の2.4 倍であり、セメントによる固化によって得
られるセメント固化体の重量よりも低減する。 (具体例2c)表2に示すように、使用済燃料の再処理
廃棄物に含まれる集合体金属廃棄物の構成元素の量は、
Zr421.4kg(4.620kg−原子),Fe37.2k
g (0.666kg−原子),Cr10.6kg(0.20
4kg−原子),Ni12.0kg(0.204kg−原子),
Sn6.4kg(0.054kg−原子)である。合計487.6k
g(5.748kg−原子)である。表4に示すように、廃
溶媒の構成元素の量は、PO438.0kg(0.400kg
−分子),C4H968.4kg(1.200kg−分子)であ
る。表5に示すように、低放射能レベル廃液の構成元素
の量は、Na91.0kg(3.958kg−原子),Fe10.
5kg(0.189kg−原子)である。合計すると、Zr
421.4kg(4.620kg−原子),Fe47.7kg
(0.854kg−原子),Cr10.6kg(0.204kg
−原子),Ni12.0kg(0.204kg−原子),Sn
6.4kg(0.054kg−原子),Na91.0kg(3.9
58kg−原子),PO438.0kg(0.400kg−分
子)、及びC4H9:68.4kg(1.200kg−分子)で
ある。これらの成分の合計重量は700.5kg である。
以上の廃棄物が本具体例で処理される。
溶解工程15よって、集合体金属廃棄物を構成するジル
コニウム合金,ステンレス鋼,ニッケル合金の金属成分
が溶解している硝酸水溶液を得る。混合工程6におい
て、硝酸水溶液,硝酸塩水溶液である低レベル廃液及び
廃溶媒の混合液に、必要量の燐酸を燐酸アンモニウムと
した必要量の燐酸,水酸化ナトリウムとした必要量のナ
トリウムを表7のケース3の組成に従い添加する。この
混合溶液は、具体例2aと同様に工程8〜10の処理が
実行されて(3)の組成式を有する[NZP]粉末にな
る。
し、( )′は[M]′空孔に配位されたNaを示す。1
451.9kg の[NZP]が合成され、Fe,Cr,N
i,SnはそれぞれZrと置換されて結晶に入る。結晶
内の電荷の釣り合いを保つために0.5原子のNaが
M″空孔に配位される。
P]の焼結体が内部に密封充填され、且つ外表面の放射
能が取り除かれたステンレス鋼容器が得られる。
めには、PO4は8.942kg−分子(849.3kg)必
要である。廃溶媒では足りない燐酸8.542kg−分子
(811.3kg)が燐酸化合物水溶液として補充された。4.
471kg−原子 のNaが必要であるが、低放射能レベ
ル廃液成分に含まれるナトリウムは91.0kg(3.95
8kg原子)であるため、ナトリウムは不足する。この不
足分は僅かに11.8kg(0.513kg原子)であり、ナ
トリウム化合物水溶液として補充する。低レベル廃液成
分に含まれる10.5kg(0.188kg−原子)の鉄は、集
合体金属廃棄物に含まれる37.2kg(0.666kg−原
子)の鉄と共にZrと置換されて[NZP]に取り込ま
れる。
る集合体金属廃棄物,廃溶媒及び低放射能レベル廃液成
分の合計695.5kg ,燐酸成分及び少量のナトリウム
成分を添加することにより、1451.9kg の溶解度が
低く、耐熱衝撃性の高い[NZP]固化体を得た。
棄物の組成物重量の2.1 倍であり、セメント固化体の
重量よりも低減する。
いて処理される実施例2bに係わらず、廃溶媒は表7に
示されるケース2の組成のナトリウムを含む水酸化ナト
リウム水溶液中で加熱下に加水分解される。加水分解で
得られる水溶性の二ブチル燐酸ナトリウムの水酸化ナト
リウム水溶液が、具体例2bと同様に、金属成分が溶解
している硝酸水溶液と混合される。混合工程6以降のN
ZP合成工程5Aの各工程が実行され、式(2)の組成
式を有する[NZP]粉末が得られた。その後、具体例
2bと同様に工程11以降の処理が実行される。
燐酸を加水分解するための水酸化ナトリウムの一部とし
て、低レベル廃液成分に含まれる硝酸ナトリウムを電気
的に加水分解して調製した水酸化ナトリウムを用いて表
7に示すケース3の組成の[NZP]を合成してもよ
い。
トリウム水溶液の生成について以下に説明する。再処理
廃棄物を構成している、燐の化合物である三ブチル燐酸
を含む廃溶媒を、水酸化ナトリウム水溶液中で加熱して
下式に従って加水分解する。(C4H9)3PO4+NaO
H=Na(C4H9)2PO4+C4H9OH …(4)この
加水分解によって、水溶性で不揮発性の二ブチル燐酸ナ
トリウムが生成される。その後、ブタノールを蒸発させ
て、二ブチル燐酸ナトリウムの水酸化ナトリウム水溶液
が生成される。
に加えて以下の効果を生じる。
燐の添加量が変動する可能性がある。しかし、二ブチル
燐酸は不揮発性であるため燐組成が一定した熱処理生成
物を調製することができる。
料再処理廃棄物の処理方法を図3を用いて以下に説明す
る。図3に示す本実施例の処理工程は、図2の実施例と
実質的に同じである。ただし、本実施例は、低レベル廃
液の替わりに高レベル廃液を用いる。高レベル廃液は、
加熱脱硝工程17において酸化物にされる。加熱脱硝工
程17で行われる加熱脱硝に、AVM(Atelier de Vit
rification de Marcoule)法として知られている高レベ
ル廃液をガラス固化体にする際に用いられる高レベル廃
液の加熱脱硝法が適用できる。
5で得られた溶解金属成分を含む硝酸水溶液に、廃溶媒
及び燃料再処理から発生する廃棄物以外の燐酸化合物水
溶液のうちの少なくとも1つ、及び高レベル廃液の酸化
物及び燃料再処理から発生する廃棄物以外のナトリウム
化合物水溶液のうちの少なくとも1つを混合する。
る高放射能レベル廃液成分の酸化物の重量が表1に示す
73.674kgであるとき、核分裂生成物等の負荷率を2
0.5%,25.6%及び29.7%に変えて[NZP]を
合成する場合に必要な添加物質重量組成(kg)を表8及
び表9に示す。[ ]内はkg原子数を示す。表9は廃溶
媒の燐成分を高レベル廃棄物に含めたもので、表8は廃
溶媒の燐成分を低レベル廃棄物に含めたものである。
棄物に含まれたナトリウムが[NZP]の組成として必要
にして十分な量が存在し、ナトリウムを添加する必要が
ない。これ以上負荷率を高くすると、ナトリウムが過剰
になる。従って、表1に示した組成の高レベル廃液を含
んで[NZP]として合成できる負荷率の上限は29.7%
となる。
組成式、分子量は、以下のようになる。(5),(6),
(7)が組成式である。
孔に配位されたNaの原子を示し、( )′はM′空孔
に配位されたNa及びNaと置換した核分裂生成物元素
(FP)を示す。
に示す元素である。
r,Ba,Cd,U,Np,Pu,Am,Cm FPII :Cr,Fe,Ni,Y,Zr,Tc,Ru,
Rh,Pd,In,Sn,Sb,Te,La,Ce,P
r,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy FPIII:P,Se,Mo 組成式(7)の組成において、M′空孔に配位されたN
a原子の0.51 個がFP原子の0.14 個と置換して
おり、Zr原子と置換し、又はP原子と置換したFP原
子の原子価を補償するためにM″に配位したNa原子は
0.56 個であった。従って、29.7%の負荷率は
晶構造を保持するためにM″空孔及びM′空孔の配位数
には十分余裕がある。しかし、負荷率が29.7% を越
えて大きくなると、高レベル廃液に伴って供給されるN
aの量は[NZP]の組成として過剰となる。従って、
表1に示した組成の高レベル廃液を[NZP]として固
化できる高レベル廃液成分の負荷率の上限は29.7%
となる。
する廃溶媒の燐酸成分は、全量を高レベル廃棄物固化体
の合成に利用できる。高レベル廃液成分の負荷率が高く
なるほど成分に含まれるナトリウムの量が増加するた
め、最終的には外部からナトリウムを添加する必要がな
くなる。低レベル廃液から分離した鉄のみを高レベル廃
棄物固化体に取り込むことができる。
b,3c及び3dに適用される。
の硝酸溶液である高レベル廃液は、加熱脱硝工程17で
酸化物にしてから[NZP]の合成に用いられる。加熱
脱硝工程17での酸化物化は、AVM法で行われる。す
なわち、僅かに傾斜した円筒形の回転焼成炉(図示せ
ず)の上端から高レベル廃液を供給して回転焼成炉内を
流下させる。回転焼成炉の前半で流下する高レベル廃液
から水分が除去され残った物質が固体化される。回転焼
成炉の後半でその固体を300℃乃至400℃に加熱し
て脱硝するものである。回転焼成炉内での固体の塊状化
による固着、及びルテニウムの揮発を防止するため、有
機系添加物が供給前の高放射能レベル廃液に混合され
る。
5でZr,Fe,Cr,Ni,Snを含む硝酸水溶液が
得られる。混合工程6で、表8に示す組成となるよう
に、硝酸水溶液に高レベル廃液酸化物,ナトリウム化合
物ならびに燐酸化合物と混合してペーストにする。工程
16以降が実行されて[NZP]焼結体が得られる。加
熱脱硝工程16では、600℃を超えない温度で加熱さ
れる。[NZP]焼結体はステンレス鋼容器に密封充填
され、[NZP]高レベル廃棄物として処分される。
に余剰となった集合体金属廃棄物の硝酸水溶液は、具体
例2cと同様に図2に示した工程に従い、表7に示した
[NZP]低レベル廃棄物とした。
を構成する、集合体金属廃棄物,廃溶媒成分,低レベル
廃液成分,高レベル廃液成分を一括処理して、溶解度が
低く、熱的に安定性の高い[NZP]固化体とすること
ができた。
9.7% までの[NZP]固化体とすることができ、高
レベル廃棄物の[NZP]固化体の重量は259kg/to
nU と従来のガラス固化体と比較して約70%に少なく
なった。
る全ての廃棄物の[NZP]固化体の重量は、核分裂生
成物の負荷率には殆ど依存せず、約1510kg/tonU
となり、従来のガラス固化とセメント固化を組み合わせ
た方法と比較して約50%に少なくなった。
酸化溶解工程15でZr,Fe,Cr,Ni,Snを含
む硝酸水溶液を得る。表9に示す組成となるように具体
例3aと同様に、混合工程6で、硝酸水溶液に、高レベ
ル廃液成分の酸化物,ナトリウム化合物,燐酸を成分と
する廃溶媒ならびに燐酸化合物を混合してペーストにす
る。工程16以降の処理が実行され、[NZP]の焼結
体が充填密封されたステンレス鋼容器が得られる。これ
は[NZP]高レベル廃棄物として処分される。
に余剰となった集合体金属廃棄物の硝酸水溶液は、具体
例2cと同様に図2に示した工程に従い、表7に示した
[NZP]低レベル廃棄物にした。
じる。
ず、図3の処理工程は核分裂生成物等の硝酸塩の硝酸溶
液である高レベル廃液を水溶液のまま、具体例2cと同
様に、混合工程6で、Zr,Fe,Cr,Ni,Snを
含む硝酸水溶液と混合してもよい。この混合は、表8に
示す組成となるようにナトリウム化合物ならびに燐酸化
合物を水溶液として混ぜる。加熱脱硝工程16以降の処
理が実行されて[NZP]の焼結体が充填密封されたス
テンレス鋼容器が得られる。これは[NZP]高レベル
廃棄物として処分される。
熱脱硝による高レベル廃液の酸化物化の工程は、本具体
例の混合溶液の加熱脱硝工程16における酸化物・燐酸
化合物化に適用できる。加熱脱硝工程16は、具体例3
の加熱脱硝工程17と同様に行われる。表9に示す組成
の[NZP]高レベル廃棄物を調製することができる。
加えて以下の効果を生じる。
P]合成が容易となった。
[NZP]合成工程が単純化した。
子数はジルコニウムの原子数の1.5 倍である。しか
し、高レベル廃液成分を20乃至29.7% 負荷された
[NZP]高レベル廃棄物では、燐の原子数がジルコニ
ウムの原子数の2倍以上になる特徴がある。そこで、燐
の原子数がジルコニウムの原子数の2倍である燐酸ジル
コニウム(Zr(HPO4)2)をジルコニウム及び燐の合
成成分と共に添加することが可能である。不足する燐は
燐酸等として補充すればよい。
ジルコニウム合金,ステンレス鋼及びニッケル合金の金
属混合物から、弗化アンモニウム溶液を用いた場合に、
後述の(8),(9)及び(10)式に従って、ジルコニ
ウム合金を選択的に溶解してステンレス鋼やニッケル合
金と分離することができる。ジルコニウム合金を選択的
に溶解してステンレス鋼やニッケル合金から分離する処
理は、図3の電解酸化溶解工程15の替わりに行う。
(8),(9)及び(10)式に従って、ジルコニウム合
金を選択的に溶解できることは、ジルフレックス プロ
セス又はモデイファイド ジルフレックス プロセス
(ジェー・テイー・ロング 核燃料再処理技術、アメリ
カン ニュークリア ソサイアテイ、296〜300頁
(1978)〔Zirflex Process又はModified Zirflex
Process(J. T. Long, Engineeringfor Nuclear Fuel R
eprocessing, American Nuclear Society, p.296
− 300(1978))〕に記載されている。
4F 水溶液で処理して、ジルコニウム成分を(NH4)2
ZrF6として溶解して、ステンレス鋼やニッケル合金
と分離した。(12)式に従って(NH4)2ZrF6水溶
液に2倍当量の(NH4)2HPO4を添加して、Zr(H
PO4)2を、ゲル状固体として沈殿させて溶液から分離
する。水溶液中には(12)式に従って6分子当量のN
H4F を再生して回収し、循環して溶解剤に使用した。
NH4F 水溶液によるジルコニウム合金の溶解反応に伴
って発生するNH3 は(12)式に従って燐酸水溶液で
吸収して(NH4)2HPO4として回収して再利用した。
溶解によって固体として残ったステンレス鋼及びニッケ
ル合金部材は、具体例2aと同様によって電解酸化溶解
を行ない、硝酸中に金属成分を含む水溶液とした。
粉砕した後、混合工程6で表1の組成を示すに高レベル
廃液中に分散してスラリー状とする。この混合処理は、
ステンレス鋼及びニッケル合金の構成元素が溶解した水
溶液も混ぜる。必要に応じてナトリウム化合物と燐酸化
合物を添加する。加熱脱硝工程16は、具体例3cの加
熱脱硝工程16と同様な処理を行う。本具体例は、加熱
脱硝工程17を実行しない。
の焼結体が充填密封されたステンレス鋼容器が得られ
る。これは[NZP]高レベル廃棄物として処分され
る。本具体例では、焼結固化工程11で結合剤を加えて
圧粉体を1000〜1200℃で焼結するので高密度の
[NZP]高レベル廃棄物固化体が得られる。
量のアルカリ,アルカリ土類金属イオンをイオン交換す
る能力があり、Zr(HPO4)2を高レベル廃液と混合し
て[NZP]合成の組成成分とすることによって[NZ
P]の合成反応を容易に進行させることができた。
焼結中に燐酸が分離して揮発する問題がなくなった。
料再処理廃棄物の処理方法を図4を用いて以下に説明す
る。図4の処理工程は、図2の処理工程と実質的に同じ
である。本実施例は、混合工程6に更に無水珪酸粉末の
添加物を加える点が図2の処理工程と異なっている。
にある3個の燐原子は、4価の原子価状態にある。この
燐原子は、イオン半径が類似する珪素原子で一部又は全
部の置換が可能である。珪素原子の置換数に相当する数
のナトリウムが結晶構造の空間M″に取り込まれて電荷
を補償することが知られている。燐原子を珪素原子で置
換すれば、より多量のナトリウム原子を[NZP]結晶
に取り込むことができるが、廃棄物固化体を合成するた
めに廃棄物自体以外に添加する物質の量はできるだけ少
量とすることが望ましい。本実施例では、実施例3のN
aZr2P3O12の替わりに1個以上の燐原子を珪素原子
で置換し、2個以上のナトリウム原子を含む[NZP]
である、Na2+xZr2Si1+xP2-xO12を宿主物質とす
る。図4に示す本実施例の処理工程は、具体例4a,4
b,4c及び4dに適用される。 (具体例4a)表2に示すように、使用済燃料の再処理
廃棄物に含まれる集合体金属廃棄物の構成元素の量は、
Zr421.4kg(4.620kg−原子),Fe37.2k
g(0.666kg−原子),Cr10.6kg(0.204kg
−原子),Ni12.0kg(0.204kg−原子)、及び
Sn6.4kg(0.054kg−原子)である。これらの合
計重量は487.6kg(5.748kg−原子)である。
ス鋼及びニッケル合金を具体例2aと同様に電解酸化溶
解工程15によって金属成分が溶解している硝酸水溶液
を得た。表10に示すケース1の重量に各廃棄物がなる
ように、混合工程6で、
ンモニウム,必要量のナトリウムを含む水酸化ナトリウ
ム,硅素である無水硅酸を混合してスラリーにする。そ
の後、具体例2aと同様にして工程16以降の処理が実
行される。工程10で得られた珪素置換[NZP]粉末
は、下記の組成式で示される構成を有する。
たNaの原子を示し、( )′はM′空孔に配位された
Naの原子を示す。ここで、1457.7kg の珪素置換
[NZP]が合成され、Fe,Cr,NiはそれぞれZ
rと置換されて、SiはPと置換されてそれぞれ結晶に
取り込まれる。結晶内の電荷の釣り合いを保つために
1.44原子のNaがM″空孔に配位された。
合成するためには、161.0kg(7.002kg−原子)
のナトリウム,177.8kg(5.739kg−原子)の
燐,80.6kg(2869kg−原子)の硅素をそれぞれ
化合物として添加する必要がある。
る、合計重量487.6kg の集合体金属廃棄物を処理し
て、1457.7kg のセメント固化体より溶解度が低く
かつ耐熱衝撃性の高い珪素置換[NZP]固化体を得
た。
廃棄物の組成物重量の3.0 倍であり、セメント固化体
と同等の固化体重量となった。
廃棄物を処理する。集合体金属廃棄物の構成元素の量
は、Zr421.4kg(4.620kg−原子),Fe3
7.2kg(0.666kg−原子),Cr10.6kg(0.2
04kg−原子),Ni12.0kg(0.204kg−原
子),Sn6.4kg(0.054kg−原子)である。表4
に示すように、廃溶媒の構成元素の量は、PO437.9
kg(0.400kg−分子)である。これらの合計重量は、
525.5kgである。
ス鋼,ニッケル合金を、具体例2aと同様に、電解酸化
溶解工程15の処理を行い、金属成分を溶解している硝
酸水溶液を得た。表10に示すケース2のような各廃棄
物の重量になるように、硝酸水溶液に、廃溶媒をもとに
生成された必要量の燐酸を含む燐酸アンモニウム、必要
量のナトリウムを含む水酸化ナトリウム、及び硅素であ
る無水硅酸を混合してスラリーにする。その後、具体例
2aと同様にして工程16以降の処理が実行される。工
程10で得られた珪素置換[NZP]粉末は、(13)
の組成式で示される構成を有する。本具体例では145
7.7kg の珪素置換[NZP]が合成された。Fe,C
r,Ni,SnはそれぞれZrと置換されて、SiはP
と置換されてそれぞれ結晶に取り込まれる。結晶内の電
荷の釣り合いを保つためにNaの必要量が増加した。
[NZP]を合成するためには、161.0kg(7.00
2kg−原子)のナトリウム,177.8kg(5.739kg
−原子)の燐,80.6kg(2869kg−原子)の硅素を
それぞれ化合物として添加する必要がある。
廃溶媒106.4kg を処理して、1457.7kg のセメ
ント固化体より溶解度が低くかつ耐熱衝撃性の高い珪素
置換[NZP]固化体を得た。
廃棄物の組成物重量の2.5倍 であり、セメント固化体
に比べて重量を低減できた。
廃棄物を処理する。集合体金属廃棄物,低レベル廃液及
び廃溶媒のすべての構成元素の量は、Zr421.4kg
(4.620kg−原子),Fe47.7kg(0.854kg−
原子),Cr10.6kg(0.204kg−原子),Ni1
2.0kg(0.204kg−原子),Sn6.4kg(0.05
4kg−原子),Na91.0kg(3.958kg−原子),
PO4 37.9kg(0.400kg−分子)である。これら
の合計重量は627.0kgである。
る。本具体例の特徴的な部分を以下に述べる。ジルコニ
ウム合金,ステンレス鋼,ニッケル合金は、電解酸化溶
解工程15で金属成分を溶解している硝酸水溶液とな
る。表10に示すケース3の重量になるように、硝酸水
溶液に、廃溶媒をもとに生成された必要量の燐酸を含む
燐酸アンモニウム,低レベル廃液成分をもとに生成され
た必要量のナトリウムを含む水酸化ナトリウム、及び硅
素である無水硅酸を、混合工程6で混合してスラリーに
する。本具体例では、(14)の組成式を有する珪素置
換[NZP]を得た。
たNaの原子を示し、( )′はM′空孔に配位された
Naを示す。本具体例では、1511.8kg の珪素置換
[NZP]が合成された。Fe,Cr,Ni,SnはZ
rと置換されて、SiはPと置換されて結晶に取り込ま
れる。結晶内の電荷の釣り合いを保つために1.5原子
のNaがM″空孔に配位された。(14)の組成式の珪
素置換[NZP]を合成するためには、PO4 は5.9
61kg−分子(566.1kg)必要である。大部分であ
る5.561kg−分子(528.1kg)のPO4 が別途補
充された。Naは7.452kg−原子必要である。低レ
ベル廃液成分は91.0kg(3.958kg原子)のナトリ
ウムを含んでいるだけであり、80.36kg(3494kg原
子)のナトリウムを別途添加する必要がある。低レベル
廃液成分に含まれる10.5kg(0.188kg−原子)の
鉄は集合体金属廃棄物に含まれる37.2kg(0.666
kg−原子)の鉄と共にZrと置換されて珪素置換[NZ
P]に取り込まれる。
溶媒106.4kg及び低レベル廃液成分101.5kgの合
計695.5kgの再処理廃棄物を処理することにより、1
511.8kgのセメント固化体より溶解度が低くかつ耐熱衝
撃性の高い珪素置換[NZP]固化体を得た。
廃棄物の組成物重量の2.2倍 であり、セメント固化体
の重量に比べて低減できた。
ーが混合工程6で生成される。加熱脱硝工程16では、
具体例3cと同様な処理で混合粉末を生成した。本具体
例は、図4の工程8及び9の替わりに以下の処理を行う
工程とした。すなわち、上記の混合粉末は少量の水とと
もに200±30℃の加熱金型中で、杵によって水蒸気
圧以上の圧力で圧縮しながら1乃至3日間保持して(1
4)の組成式からなる硅素置換[NZP]成型体を得た。硅
素置換[NZP]成型体に対して、具体例2aと同様に
工程10以下の処理が実行された。
外に以下の効果を生じる。
て、無水珪酸と他の組成物質の固相拡散反応が促進さ
れ、高い密度の焼結体が与えられた。
料再処理廃棄物の処理方法を図5を用いて以下に説明す
る。本実施例は、図4の実施例において低レベル廃液の
替わりに高レベル廃液を混合工程6に供給するものであ
る。
りで発生する高レベル廃液成分の酸化物重量が表1に示
したように73.674kg であるとき、核分裂生成物等
の負荷率を31.5%,46.3%及び51.9% に変え
て硅素置換[NZP]を合成する場合に必要な添加物質
重量組成(kg)を表11及び表12に示す。[ ]内は
kg原子数を示す。表12は廃溶媒の燐成分を高レベル廃
棄物に含めたもので、表11は廃溶媒の燐成分を低レベ
ル廃棄物に含めたものである。
り込むことができるナトリウム原子の数が増加すること
によって、高レベル廃棄物が多量のナトリウムを含んで
いても、より多くの核分裂生成物元素を珪素置換[NZ
P]に取り込めることを示している。
て、合成される珪素置換[NZP]において、核分裂生
成物等元素の酸化物の負荷率に依存して、組成式は、
(15),(16),(17)のようになる。
孔に配位されたNaの原子を示し、( )′はM′空孔
に配位されたNa及びNaと置換された核分裂生成物元
素(FP)を示す。
d,U,Np,Pu,Am,Cm FPII :Cr,Fe,Ni,Y,Zr,Tc,Ru,
Rh,Pd,In,Sn,Sb,Te,La,Ce,P
r,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy FPIII:P,Se,Mo である。
添加することによって燐原子の1個が珪素で置換された
[NZP]を合成することができる。46.3% の負荷
率において、[NZP]結晶構造のM″空孔に配位され
るNa原子の数は1.65 個、M′空孔に残っているN
a原子は0.13個 であって、前述の3次元結晶構造を
保つために余裕がある。しかし、負荷率が46.3%を
越えて大きくなると、高レベル廃液に含まれたナトリウ
ムが[NZP]の結晶構造における必要量を越えて過剰
になる。燐原子の1.38 個を珪素で置換することによ
って、負荷率51.9% までナトリウムを過剰にしない
で[NZP]を合成することができる。負荷率51.9
% では、[NZP]結晶構造のM′空孔のNaはFP
によって完全に置換され、M″空孔に配位されるNa原
子の数が2.05個となる。
ければ高レベル廃棄物に含まれたナトリウムが珪素置換
[NZP]の組成として過剰にならない。従って、表1
に示した組成の高レベル廃液を珪素置換[NZP]とし
て固化できる高レベル廃液成分の負荷率の上限は51.
9%となる。組成式(18)の組成よりも珪素を増加し
ても、ナトリウム成分を添加することによって[NZ
P]を合成することが可能である。しかし、高レベル廃
棄物の負荷率が低下し、発生する高レベル廃棄物固化体
の重量増加するので好ましくない。高レベル廃液成分の
負荷率をできるだけ高めるためには、高レベル廃棄物固
化体の合成に低レベル廃液成分をナトリウム源として使
用することは好ましくない。低レベル廃液成分は低レベ
ル廃棄物固化体の合成に消費すべきである。しかし、廃
溶媒に含まれる燐は、低レベル廃棄物固化体に使用せ
ず、すべてを高レベル廃棄物固化体の合成に使用するこ
とが可能である。
と同様に調製した金属成分を溶解している硝酸水溶液
に、混合工程6で高レベル廃液を表11に示す組成とな
るように混合する。加熱脱硝工程16以下の処理が、具
体例2aと同様に行われる。ただし、加熱脱硝工程16
は、具体例3cと同様に図3の加熱脱硝工程17で行わ
れる処理が実施される。燐酸化合物と無水硅酸を添加し
て生成したスラリーを加熱分解して硅素置換[NZP]
の合成原料粉末を調製した。本具体例では、(15)の
組成式からなる珪素置換[NZP]焼結体が得られる。
また、(16)又は(17)の組成式の構成を有する珪
素置換[NZP]を得ることもできる。
めに余剰となった集合体金属廃棄物成分の硝酸水溶液に
対しては、具体例4cと同様に図4に示した工程6以降
の処理が実行される。この結果、表10に示した珪素置
換[NZP]低レベル廃棄物を得た。
水溶液,高レベル廃液,廃溶媒,追加の燐酸,無水硅酸
及び必要に応じてナトリウム化合物を、表12に示す組
成に従って混合した混合スラリー水溶液を加熱分解する
ことによって、表12に示す高レベル[NZP]廃棄物
とすることができる。
物,廃溶媒,低レベル廃液成分及び高レベル廃液成分を
処理することにより、合計重量が1520kgのセメント
固化体より溶解度が低くかつガラス固化体より高温安定
性の高い珪素置換[NZP]固化体を得た。
%までの珪素置換[NZP]固化体とすることができ、
高レベル廃棄物の珪素置換[NZP]固化体の重量は、
従来のガラス固化体と比較して約40%に相当する14
2kg/tonU となった。
る全ての廃棄物の珪素置換[NZP]固化体の重量は核
分裂生成物の負荷率には殆ど依存せず、従来のガラス固
化体及びセメント固化体の合計重量の60%に相当する
約1520kg/tonU となった。
も、低レベル廃液成分としてのナトリウムが余剰になる
ことがなく、全ての廃棄物を珪素置換[NZP]に取り
込むことができる。
料再処理廃棄物の処理方法を図6を用いて以下に説明す
る。工程15から工程16までの処理は、図5と同じで
ある。圧粉体成形工程8Aは、加熱脱硝工程16で得ら
れた混合粉体に被覆管剪断屑を混合して圧粉体を成形す
る。圧粉体は、容器充填工程18でステンレス鋼容器内
に充填される。減圧脱ガス工程19で、圧粉体を充填し
たステンレス鋼容器内を減圧し内部の空気等を外部に排
除する。その後、ステンレス鋼容器は密封工程12で密
封される。密封されたステンレス鋼容器は、除染工程1
3で外表面が洗浄され、容器圧縮工程21で加熱しなが
ら外側から圧縮される。この加熱によって、容器内の圧
粉体は珪素置換[NZP]になる。容器圧縮工程21を
経たステンレス鋼容器は廃棄物処分に付される。圧粉体
をステンレス鋼容器に充填する替わりに、図5に示され
る工程9,10及び11の各処理を、図6に示される工
程8Aと工程18との間で実施してもよい。この場合、
圧粉体は珪素置換[NZP]の焼結体としてステンレス
鋼容器内に充填される。図6の処理工程は、具体例6a
及び6bで実行される。
棒の剪断時に発生するジルコニウム合金被覆管の0.1m
m 乃至4mmの破片である。この被覆管剪断屑は、1トン
のウラン燃料の処理によって5kg発生し、溶解液から回
収される。被覆管剪断屑は、硝酸水溶液中に懸濁するた
め、電解酸化溶解工程15で溶解することは好ましくな
い。被覆管剪断屑は、核分裂生成物金属の微細な粒子を
同伴しているので、粒状の金属の状態で加熱脱硝工程1
6で得られる混合粉末に混合することが望ましい。被覆
管剪断屑の発生量は[NZP]高レベル廃棄物重量の
1.5乃至3.3%に相当する。
と同様にして得られた金属成分を溶解している方法で調
製した集合体金属廃棄物の成分の硝酸水溶液に、表11
に示すいずれかの負荷率の組成になるように、高レベル
廃液及び無水珪酸粉末等を混合する(混合工程6)。こ
こで、硝酸水溶液に、表12に示すいずれかの負荷率の
組成となるように、廃溶媒,高レベル廃液及び無水珪酸
粉末等を混合してもよい。圧粉体成形工程8Aで、粒子
径が0.1mm から4mmのジルコニウム合金である被覆管
剪断屑が、加熱脱硝工程16の実行で得られた混合粉末
に混合される。更に、この混合によって得られた粉末を
用いて、圧粉体が成形される(圧粉体成形工程8A)。工
程8Aを添加して混合粉末とする。その後、工程18か
ら工程13までの処理が実行される。減圧脱ガス工程1
9では、圧粉体を充填したステンレス鋼容器を600℃
以下に加熱しながら内部を減圧する。この減圧によっ
て、容器内のガスはもとより圧粉体に吸着しているガス
も外部へ取り除かれる。密封工程12は、減圧状態でス
テンレス鋼容器に蓋を溶接する。
程21で、エー・ビイー・ハーカー、エット オール、
“高レベル各廃棄物に対する多相セラミックの系統的記
述及び処理″、ザ サイエンテイフィック ベーイス
フォー ニュークリア ウエスト マネージメント、エ
ス・ブイ・トップ、エデイター、エルスイビア サイエ
ンス パブリッシュイング シーオー.、アイエヌシ
ー.、567〜573頁(1982)〔A.B.Harker,e
t al,“Formulation and Processing of Polyphase Ce
ramics for High Level Nuclear Waste,”The Scienti
fic Basisfor Nuclear Waste Management,S.V.Topp,Edi
tor,Elsevier Science PublishingCo.,Inc.,p.56
7−573(1982)〕に記載されているように104
0℃で20,000−30,000psi の圧力で高温等方
圧縮法(HIP)によって圧縮される。ステンレス鋼容
器内の圧粉体は高温等方圧縮法適用時の高温状態で珪素
置換[NZP]になる。そして高密度化すると同時にス
テンレス鋼容器中に密封された固化体として処分され
る。本具体例において、圧粉体から生成された珪素置換
[NZP]の焼結体を密封したステンレス鋼容器に対し
て、容器圧縮工程21で上記の高温等方圧縮法を適用し
てもよい。
ZP]の粉末化を経ないで、組成成分の混合物から高密
度で容器に密封された珪素置換[NZP]の固化体を製
造できた。
射能汚染を除去するので、容器圧縮に用いる設備の放射
能汚染を防止できる。
収され、高密度化のために有効に利用でき、安全に処理
できた。
同様にして図6に示す工程15から工程13までの処理
を順次実行する。容器圧縮工程21の具体的な処理方法
が、具体例6aと異なっている。この容器圧縮工程21
の処理を以下に説明する。
201000号公報に開示されるているように、600〜12
00℃に加熱されてから、金型内において杵による43
kJの衝撃力によって外側から圧縮される。この圧縮方
法は、高温衝撃圧縮法と呼ばれる。圧縮後、ステンレス
鋼容器の密封体は、金型の内径で定まる一定の外径を有
する扁平な円柱状の形状になる。本具体例において、圧
粉体から生成された珪素置換[NZP]の焼結体を密封
したステンレス鋼容器に対して、容器圧縮工程21で上
記の高温衝撃圧縮法を適用してもよい。
る効果に加えて以下の効果を生じる。
容器に密封された固化体ができた。
用済燃料の再処理に伴って発生する他の放射性廃棄物で
ある焼結金属フィルタ類を構成するステンレス鋼の構成
元素,可燃性廃棄物の焼却灰に含まれるマグネシウム,
カルシウム,珪素,チタン,亜鉛,鉛等の酸化物,溶媒
又は溶媒を含んだ物質を焼却することで発生する燐酸カ
ルシウム等、排水処理で発生する水酸化鉄,バリウム塩
などの凝集沈殿物、及びフィルタ用ガラス繊維を構成す
るナトリウム,アルミニウム及び珪素の酸化物のうちの
少なくとも1つを、前述した各実施例の混合工程6で、
他の物質と混合することにより、[NZP]の結晶内に
取り込むことができる。上記のステンレス鋼は、前述の
電解酸化溶解方法により硝酸水溶液にすることによって
上記の混合工程6で他の物質との混合が可能になる。
を、溶解度が低く、熱的安定性が高い単一で同種の結晶
構造を有する[NZP]の合成に利用することができ
る。このため、従来のセメント固化体と比較して少量の
結晶性物質として処分することができる。
ウム,珪素,アルミニウム,マグネシウム,カルシウ
ム,バリウム,亜鉛,鉛,燐などの元素は、[NZP]
の合成のために用いるナトリウム,燐,硅素などの元素
成分の代替となる。このため、合成される[NZP]の
重量が実質的に増加されない。
・ナトリウム自体が固化材の機能を有するので、従来の
ようにジルコニウムを固化するためのセメントのような
固化材を必要としなく、発生する固化された放射性廃棄
物の重量が減少する。
生する固化された放射性廃棄物の重量が減少する。
発生する燐を別途セメントによって固化する必要がな
く、固化された放射性廃棄物の重量が更に減少する。
発生するナトリウムを別途セメントによって固化する必
要がなく、固化された放射性廃棄物の重量が更に減少す
る。第5発明によれば、第2発明に比べて、廃溶媒成分
(例えば燐酸)のセメント固化体を作成する必要がない
分、固化された放射性廃棄物の発生重量が減少する。
放射能レベル廃液成分(例えばナトリウム)のセメント
固化体を作成する必要がない分、第2発明に比べて固化
された放射性廃棄物の発生重量が減少する。
に比べて固化された放射性廃棄物の発生重量が減少す
る。
分に対するガラス固化体を作成する必要がなく、その
分、固化された放射性廃棄物の発生重量が減少する。
低減できると共に、再処理で発生する放射性廃棄物の処
理に要する時間が短縮される。また、結晶構造体物質の
密度が増加する。
リウム化合物との混合が容易になり、結晶構造体物質の
合成も容易になる。前述の第7発明の作用効果も生じ
る。
ムにしているので、結晶構造体物質の合成が容易に行え
る。また、燐酸は蒸発しないので、燐を結晶構造体物質
の合成のために有効に活用できる。
果を生じる。
発明と同様な効果を生じる。
構造体物質の合成に用いなくて済み、装置構成を単純化
できる。
再生して再利用できるので、固化された放射性廃棄物の
発生重量が減少する。
ケル合金及びジルコニウム合金の組成物と、燐及びナト
リウム等の物質との混合が良くなり、結晶構造体物質の
合成が容易になる。
ケル合金及びジルコニウム合金を一度に溶解できるの
で、第16発明に比べて結晶構造体物質の合成工程を単
純化できる。
放射能レベル廃液成分をより多く含んだ結晶構造体物質
を得ることができる。
放射性廃棄物の容積が減少する。
ナトリウムまたは結晶構造体物質を、第19発明よりも
低い温度で合成できる。すなわち、第20発明において
必要な熱エネルギーを第19発明よりも低減できる。
放射性廃棄物の容積が、更に減少する。また、容器内の
放射性物質である結晶構造体物質に触れないで、上記の
ように容積を減少できる。
物の処理方法を示す説明図である。
処理方法を示す説明図である。
処理方法を示す説明図である。
処理方法を示す説明図である。
処理方法を示す説明図である。
処理方法を示す説明図である。
合工程、7…加熱分解工程、8…圧粉体成形工程、9…
焼成工程、11…焼結固化工程、12…容器密封工程、
15…電解酸化溶解工程、16,17…加熱脱硝工程。
Claims (24)
- 【請求項1】燐,ナトリウム、及び燃料再処理によって
発生した金属廃棄物を構成していた元素であるジルコニ
ウムを用いて、ジルコニウムを主要な組成元素とする、 【外1】 の記号で示される空間群に属する3次元結晶構造を有す
る燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZr2P3O12)
を合成することを特徴とする燃料再処理廃棄物の処理方
法。 - 【請求項2】ジルコニウムを主要な組成元素とする、 【外1】 の記号で示される空間群に属する3次元結晶構造を有す
る燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZr2P3O12)
に含まれる元素の一部がNa,Zr,P及びO以外の元
素と置換され、かつジルコニウムを含み前記3次元結晶
構造を有する結晶構造体物質を、燐,ナトリウム、及び
燃料再処理によって発生した金属廃棄物を構成していた
元素を用いて合成することを特徴とする燃料再処理廃棄
物の処理方法。 - 【請求項3】前記燐として、前記燃料再処理によって発
生する廃棄物に含まれていた燐を用いる請求項1または
請求項2の燃料再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項4】前記ナトリウムとして、前記燃料再処理に
よって発生する廃棄物に含まれていたナトリウムを用い
る請求項1または請求項2の燃料再処理廃棄物の処理方
法。 - 【請求項5】ジルコニウムを主要な組成元素とする、 【外1】 の記号で示される空間群に属する3次元結晶構造を有す
る燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZr2P3O12)
に含まれる元素の一部がNa,Zr,P及びO以外の元
素と置換され、かつジルコニウムを含み前記3次元結晶
構造を有する結晶構造体物質を、ナトリウム,燃料再処
理によって発生する廃棄物である廃溶媒に含まれていた
廃溶媒成分、及び前記燃料再処理によって発生した金属
廃棄物を用いて合成する処理方法であって、前記金属廃
棄物の少なくとも一部はジルコニウム合金であることを
特徴とする燃料再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項6】ジルコニウムを主要な組成元素とする、 【外1】 の記号で示される空間群に属する3次元結晶構造を有す
る燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZr2P3O12)
に含まれる元素の一部がNa,Zr,P及びO以外の元
素と置換され、かつジルコニウムを含み前記3次元結晶
構造を有する結晶構造体物質を、燐,燃料再処理によっ
て発生する廃棄物である低放射能レベル廃液に含まれて
いた低放射能レベル廃液成分、及び前記燃料再処理によ
って発生した金属廃棄物を用いて合成する処理方法であ
って、前記金属廃棄物の少なくとも一部はジルコニウム
合金であることを特徴とする燃料再処理廃棄物の処理方
法。 - 【請求項7】ジルコニウムを主要な組成元素とする、 【外1】 の記号で示される空間群に属する3次元結晶構造を有す
る燐酸ジルコニウム・ナトリウム(NaZr2P3O12)
に含まれる元素の一部がNa,Zr,P及びO以外の元
素と置換され、かつジルコニウムを含み前記3次元結晶
構造を有する結晶構造体物質を、燃料再処理によって発
生する廃棄物である廃溶媒に含まれていた廃溶媒成分、
前記燃料再処理によって発生する廃棄物である低放射能
レベル廃液に含まれていた低放射能レベル廃液成分、及
び前記燃料再処理によって発生した金属廃棄物を用いて
合成する処理方法であって、前記金属廃棄物の少なくと
も一部はジルコニウム合金であることを特徴とする燃料
再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項8】前記燃料再処理によって発生する廃棄物で
ある高放射能レベル廃液に含まれていた高放射能レベル
廃液成分を、前記結晶構造体物質の合成に用いる請求項
5乃至請求項7のいずれかの燃料再処理廃棄物の処理方
法。 - 【請求項9】前記結晶構造体物質の合成に用いる複数の
物質のうち1つを液体の状態で、他の物質と混合し、こ
れらの混合物を加熱し、前記結晶構造体物質を合成する
請求項2乃至請求項7のいずれかの燃料再処理廃棄物の
処理方法。 - 【請求項10】前記結晶構造体物質の合成に用いる物質
のうち1つを液体の状態で、他の物質と混合し、これら
の混合物を加熱し、前記結晶構造体物質を合成する請求
項8の燃料再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項11】前記ジルコニウム合金を酸化物粉末と
し、この酸化物粉末,前記廃溶媒成分である燐酸化合
物、及び前記低放射能レベル廃液成分であるナトリウム
化合物を混合して加熱し、前記結晶構造体物質を合成す
る請求項7の燃料再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項12】前記ジルコニウム合金を燐酸ジルコニウ
ム粉末とし、この燐酸ジルコニウム粉末、及び前記低放
射能レベル廃液成分であるナトリウム化合物を混合して
加熱し、前記結晶構造体物質を合成する請求項7の燃料
再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項13】前記金属廃棄物のうちジルコニウム合金
を硝酸溶液に溶解させ、前記ジルコニウム合金を構成し
ていた元素を含む硝酸溶液,前記廃溶媒成分である燐酸
化合物、及び前記低放射能レベル廃液成分であるナトリ
ウム化合物を混合して加熱し、前記結晶構造体物質を合
成する請求項7の燃料再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項14】前記金属廃棄物のうちジルコニウム合金
を硝酸溶液に溶解させ、前記ジルコニウム合金を構成し
ていた元素を含む硝酸溶液,前記廃溶媒成分である燐酸
化合物,前記低放射能レベル廃液成分であるナトリウム
化合物、及び前記燃料再処理によって発生する廃棄物で
ある高放射能レベル廃液に含まれていた高放射能レベル
廃液成分を混合して加熱し、前記結晶構造体物質を合成
する請求項7の燃料再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項15】前記燐酸化合物の一部が三ブチル燐酸で
ある請求項11,請求項13または請求項14の燃料再
処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項16】前記三ブチル燐酸を水酸化ナトリウム水
溶液中で加水分解して水溶解性の二ブチル燐酸ナトリウ
ムとし、前記二ブチル燐酸ナトリウムを前記結晶構造体
物質の合成に用いる請求項15の燃料再処理廃棄物の処
理方法。 - 【請求項17】前記金属廃棄物であるステンレス鋼及び
ジルコニウム合金の混合物を酸化性雰囲気中で加熱し、
前記ジルコニウム合金を前記酸化物粉末である酸化ジル
コニウムとする請求項11の燃料再処理廃棄物の処理方
法。 - 【請求項18】前記金属廃棄物であるステンレス鋼及び
ジルコニウム合金の混合物を弗化アンモニウム溶液に接
触させて前記ジルコニウム合金を溶解し、前記ジルコニ
ウム合金を構成していた元素を含む溶解液に燐酸アンモ
ニウム化合物を添加して燐酸ジルコニウムを生成し、こ
の燐酸ジルコニウムを回収し、弗化アンモニウムを再生
して再利用することを特徴とする請求項11の燃料再処
理廃棄物の処理方法。 - 【請求項19】前記金属廃棄物であるステンレス鋼,ニ
ッケル合金及びジルコニウム合金の混合物を弗化アンモ
ニウム溶液に接触させて前記ジルコニウム合金を溶解さ
せ、前記ジルコニウム合金を構成していた元素を含む溶
解液に燐酸アンモニウム化合物を添加して燐酸ジルコニ
ウムを回収し、弗化アンモニウムを再生後に再利用し、
残存した前記ステンレス鋼及び前記ニッケル合金を硝酸
中で電解酸化して溶解させ、前記燐酸ジルコニウム、及
び溶解後の前記ステンレス鋼及びニッケル基合金をそれ
ぞれ構成していた元素を前記結晶構造体物質の合成に用
いる請求項7の燃料再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項20】前記金属廃棄物であるステンレス鋼,ニ
ッケル合金及びジルコニウム合金の混合物を、硝酸中で
電解酸化により溶解してすべての構成元素を水溶性と
し、これらの元素の水溶性化合物を前記結晶構造体物質
の合成に用いる請求項7の燃料再処理廃棄物の処理方
法。 - 【請求項21】前記結晶構造体物質に含まれる1分子中
の2原子以内の燐が珪素で置換される請求項5乃至請求
項7のいずれかの燃料再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項22】前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまた
は前記結晶構造体物質の粉末を、圧粉体として焼結し、
焼結された前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまたは前
記結晶構造体物質を容器内に充填しこの容器を密封する
請求項1乃至請求項21の燃料再処理廃棄物の処理方
法。 - 【請求項23】前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまた
は前記結晶構造体物質の粉末を、加圧容器内で水の存在
下で熱処理し、前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまた
は前記結晶構造体物質の粉末を固化する請求項1乃至請
求項21の燃料再処理廃棄物の処理方法。 - 【請求項24】前記燐酸ジルコニウム・ナトリウムまた
は前記結晶構造体物質を、金属製の容器内に充填し、そ
の後、前記容器を密封し、密封された前記容器を加熱し
た状態で外圧により等方向的に圧縮する請求項1乃至請
求項21の燃料再処理廃棄物の処理方法。
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JP34093896A JP3487106B2 (ja) | 1996-12-20 | 1996-12-20 | 燃料再処理廃棄物の処理方法 |
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JPH10186089A JPH10186089A (ja) | 1998-07-14 |
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JP5067700B2 (ja) * | 2009-02-23 | 2012-11-07 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 | 金属酸化物粒子の製造方法 |
-
1996
- 1996-12-20 JP JP34093896A patent/JP3487106B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
RUSTUM ROY, L.J. YANG, J.ALAMO AND E.R. VANCE,A SINGLE PHASE([NZP]) CERAMIC RADIOACTIVE WASTE FORM,Scientific Basis for Nuclear Waste Management,米国,Elsevier Science Publishing Co.,1983年12月31日,Vol.6,p.15−21 |
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JPH10186089A (ja) | 1998-07-14 |
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