JP3073964U - 医療用糸仮固定器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】素早く簡単に糸を通し視野を妨げずに仮固定を
行う。固定する動脈側、静脈側の識別を明らかにする。 【解決手段】仮固定チューブ１に接続する密着型キャッ
プ３により糸を仮固定する。予めチューブにセットされ
ており、リング穴が大きく開いた糸通し２を用いる。動
脈側は赤色、静脈がわは青色に密着型キャップを色分け
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は医療用糸を仮固定する際に用いる医療用糸仮固定器具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

心臓手術を行う際、心臓は一時的にその拍動を止めておく必要があるが、その 間も全身の血液は循環させなければならない。体外循環装置はその代役となるも のであるが、この体外循環装置を心臓側に接続するパイプが送脱血用のカニュー ラと呼ばれるものである。心筋表面に小切開を入れカニューラ先端を心臓内に挿 入し、周囲を縫合糸で巾着縫合をかける。ここできつく結んでしまうとカニュー ラを手術後に抜去する際出血してしまうので、巾着縫合をかけた糸の両端を強く 引いた状態で仮固定しておきたい。そこで従来は断端が切りっ放しのチューブ内 に糸の断端を通した後、チューブを外側から鉗子で挟み込んで固定していた。

【０００３】 また環状動脈バイパス手術の際、接合しようとする環状動脈に切開を加えると 出血し、視野を妨げる。これを防ぐには縫合部位の抹消側と中枢側を一時的に血 流遮断しておく必要がある。この遮断作業には先端が鈍になっている糸付きの縫 合針を用いて環状動脈の下に通し、一回周囲を回した後糸断端をチューブに通し て仮固定するか、環状動脈の下を通した後、糸断端にプレジェット（布片）を通 してからチューブで上方から抑えて仮固定する。いずれのケースでも仮固定用の チューブは外側から鉗子で挟み固定される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

心臓手術に限らず、現在は患者の負担を少しでも減らそうと低侵襲手術が広が っている。切開創をできるだけ小さくする試みもそのひとつである。しかし切開 創を小さくすればするほど術野は狭くなり、手術はやりにくい。糸の断端を仮固 定するためのチューブはカニューラと一緒に束ねておきたいが、そのチューブに 対して鉗子が直角方向に固定されていると、術野を妨げ邪魔である。特に対象患 者が小児である場合、体全体が小さくさらに問題は深刻である。

【０００５】 従来の糸通しは再利用可能な金属製であり、術前に他の鋼製器具と一緒にオー トクレーブ（高圧蒸気滅菌）をかけるため高温に弱いチューブとはセットにでき ず、術中一本仮固定する度にチューブに糸通しを通す手間がかかっていた。また 毛糸の編み針のような形状のものが多く糸を引っ掛ける部分が小さく、正確にチ ューブ内に導入するためには手間、時間がかかっていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の問題点を解決するために、本考案は、仮固定チューブの一端に糸固定用 の接続式密着型キャップを設けた。これにより鉗子の使用は不要となり、術野は 広く確保される。

【０００７】 また糸を導入する際に用いる糸通しが柔軟性を持った素材であり、一端にリン グを形成し糸を通す時はそのリング穴が大きく開いており、仮固定チューブ内に 導入し通過する際は仮固定チューブ内径と同等寸法まで細くなる構造を持ってい ると素早く簡単にリングの中に糸を通すことができる。さらにこの糸通しが予め 仮固定チューブ内に挿入された状態で製品化されていると、術中医師の要請によ り糸仮固定器具を看護婦が準備する際、一本ずつチューブに糸通しを通す手間が かからず、滅菌済のパッケージを開くだけで複数の糸仮固定器具を用意すること が可能となる。

【０００８】 動脈系の器具には赤色、静脈系の器具には青色を施すことはケアレスミスによ る医療過誤を未然に防ぐ。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１は請求項１及び２ に係る医療用糸仮固定具を例示している。仮固定チューブ１は塩ビ、シリコン等 の透明で柔らかい素材が適している。糸通し２は針金をＵ字に曲げ、中央にリン グを形成した後直線状に編み上げてもよいが、ポリプロピレン、ポリウレタン、 ラバロン、シリコン、塩ビ等の素材を一体成型加工し、量産すると安価となる。 密着型キャップ３は、やはりポリプロピレン、ポリウレタン、ラバロン、シリコ ン、塩ビ等の樹脂系素材を用いて密着度を高め、糸抜けを防ぐ。動脈側は赤色、 静脈側は青色に着色し、製品を分ける。

【００１０】 図２は使用説明図である。糸通し２に糸断端を通し、仮固定チューブ内を通過 させる。導入しきったところで糸を強く引き、密着型キャップを閉め固定する。

【００１１】 図３は従来型の仮固定方法である。チューブ内に糸を通した後、鉗子で固定す る。糸通しは先端が小さく糸がかけにくい。

【００１２】

【考案の効果】

上述のように本考案により、小さな切開創であっても本器具は視野を妨げるこ となく糸の仮固定が可能となり、器械出しの看護婦は煩雑な糸通し作業に追われ ることなく素早く簡便に作業が行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】医療用糸仮固定器具の外観図である。

【図２】医療用糸仮固定器具の使用説明図である。

【図３】従来型の糸仮固定方法の図である。

【符号の説明】

１仮固定チューブ ２糸通し ３密着型キャップ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】医療用糸の断端を糸通しを用いて一端から
   仮固定チューブ内に導入し、他端から導き出された糸の
   断端を仮固定チューブと接続している密着型キャップに
   よりチューブ端に仮固定することを特徴とする医療用糸
   仮固定器具。
2. 【請求項２】糸を導入する際に用いる糸通しが柔軟性を
   持った素材であり、一端にリングを形成し糸を通す時は
   そのリング穴が大きく開いており、仮固定チューブ内に
   導入し通過する際は仮固定チューブ内を通過可能な寸法
   まで細くなることを特徴とし、この糸通しが予め仮固定
   チューブ内に挿入された状態で製品化されている請求項
   １記載の医療用糸仮固定器具。
3. 【請求項３】上記医療用糸仮固定器具を心臓血管外科領
   域で用いる際、動脈側に接続するチューブ類を仮固定す
   る密着型キャップの色を赤色、静脈側に接続するチュー
   ブ類を仮固定する密着型キャップの色を青色とした請求
   項１及び２記載の医療用糸仮固定器具。