JP3071834U - マット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本考案は、パイル糸のほつれの発生が防止で
き、外観を損なうことなく、耐久性、耐洗濯性に優れ、
商品価値を維持することができるマットを提供する。 【解決手段】 基布１１の表面にパイル糸をタフトして
ループパイル１２ａとカットパイル１２ｂとを混在して
植設することにより模様が現出されるとともに、基布１
１の裏面にゴムシート１３が貼着され、床面に敷設され
るマット１０において、基布１１の周縁部の全部または
部分にカットパイル１２ｂのみが略一定幅に植設されて
なる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、床面に敷設されるマットに関し、特に、レンタル用として繰り返し 洗浄使用されるマットに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種のマットでは、基布の表面にパイル糸をタフティング機で毛房状 に刺し込んでループパイルとカットパイルとを混在した状態で植設し、パイルの 色違いまたは／およびループ、カットの形状の違いによって模様が現出され、ル ープパイルおよびカットパイルの両者が植設された基布を所望の形状に裁断した 後、基布の裏面に未加硫のゴムシートを重ね合わせ、加熱、加圧して接着と加硫 とが同時に行なわれる。この場合、パイルは、タフト時の機械的作用やその後の プレコートまでのタフト生機の搬送過程において、全体的に一定の方向に傾斜せ しめられるのが一般的である。 かかるマットは、使用者にとってメンテナンスフリーで建物の出入り口や建物 内の床面に敷設して使用され、繰り返しレンタルや清潔感を維持するため、洗浄 再生が行われるのが一般的である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記の如きマットは、一定期間レンタルされた後、回収され、洗浄 ・再生され、再度レンタルされるため、使用と洗浄・再生を繰り返し受ける。 したがって、図３、４の各（ａ）に示すように、ループパイル１２ａおよびカ ットパイル１２ｂが植設された基布１１をカット線Ａに沿って裁断する際、ルー プパイル１２ａが切断されると、マットの生産過程およびその後の繰り返しの使 用や洗浄・再生によって、ループパイル１２ａの切れ端（パイル糸）ａが外側に 張り出す（図４（ｂ）参照）など、いわゆるほつれが生じ、基布１１の周縁部（ 裁断部）が不揃いになり、マットの外観を不体裁にし、商品価値を低下させる。 特に、図５、６に示すように、ループパイル１２ａが高い（長い）場合は、切 れ端ａのほつれが大きくなり（図６（ｂ）参照）、マットの外観が極めて不体裁 になるという問題点がある。 なお、図３、５において、（ａ）は、基布の一側の裁断前を示し、（ｂ）は、 基布の裁断後を示す。また、図４、６において、（ａ）は、基布の他側の裁断前 を示し、（ｂ）は、基布の裁断後を示す。

【０００４】 本考案は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とす るところは、パイル糸のほつれの発生が防止でき、外観を損なうことなく、耐久 性、耐洗濯性に優れ、商品価値を維持することができるマットを提供することに ある。 本考案の上記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添 付図面から明らかになるであろう。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成すべく、本考案は、基布の表面にパイル糸をタフトしてループ パイルとカットパイルとを混在して植設することにより模様が現出されるととも に、上記基布の裏面にゴムシートが貼着され、床面に敷設されるマットにおいて 、上記基布の周縁部の全部または部分にカットパイルのみが略一定幅で植設され たことを特徴とするものである。 上記マットは、カットパイルに対するループパイルの長さを同じかそれよりも 低く形成することができ、また、基布の周縁部でパイル糸のほつれが目立つ側の 周辺、あるいは、基布の周縁でパイルが内向きに傾斜している部分に、カットパ イルのみを植設するのが有効である。

【０００６】 このような本考案によれば、基布の周縁部にカットパイルを植設することで、 基布を裁断する際にループパイルの切断を回避できるので、基布周縁部における ほつれの発生が防止される。 また、基布の周縁部にカットパイルを植設すれば、基布をゴムシートに貼着す る際、ループパイルとカットパイルとが混在している場合よりも基布の周縁部は ゴムシートに均等に加圧され、ゴムシートに確実に密着されるので、基布周縁部 の接着性が向上する。

【０００７】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形 態を説明するに当たって、従来例と同一機能を奏するものは同じ符号を付して説 明する。 図１は、本考案の実施の形態に係るマットの平面図、図２は、図１のＢ−Ｂ断 面図である。

【０００８】 図１、２に示すマット１０は、四角形状を呈し、使用者にとってはメンテナン スフリーで店舗、事業所および家などの建物の出入り口や内部床面に敷設して、 繰り返しレンタルやその清潔感を維持するため、洗浄再生が行われる。 マット１０は、織布や不織布の基布１１と、基布１１の表面にパイル糸をタフ トして所望の模様を現出するパイル１２と、パイル１２の基布１１からの抜脱を 防止するために基布１１の裏面に貼着されたゴムシート１３とからなっている。

【０００９】 パイル１２は、パイル糸をタフティング機で基布１１に毛房状に刺し込んで形 成されたループパイル１２ａと、このループパイル１２ａより長いカットパイル １２ｂとからなり、ループパイル１２ａおよびカットパイル１２ｂは混在した状 態で基布１１に植設され、パイル糸の色違いまたは／およびループ、カットの形 状の違いによって所望の模様を現出している。この場合、カットパイル１２ｂは ループパイル１２ａより長く設定されているので、カットパイル１２ｂの色が表 面に出て模様が現出される。 また、基布１１の周縁部の部分にはカットパイル１２ｂのみが略一定幅で植設 され、基布１１とゴムシート１３とは、そのエラストマーの浸潤によって一体化 されている。

【００１０】 基布１１としては、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維な どの合成繊維の織布や不織布が使用され、パイル糸としては、ナイロン繊維、ビ ニロン繊維、アクリル繊維などの合成繊維のマルチフィラメント系、紡績糸ある いはこれらの混紡糸が使用できる他、従来の天然繊維なども使用することができ る。

【００１１】 ゴムシート１３には、各種エラストマー重合体、たとえばニトリル−ブタジエ ンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ポリ イソプレンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン −プロピレン−ジエンゴム、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプ ロピレン、軟質塩化ビニル樹脂などが用いられる。

【００１２】 かかるマット１０では、パイル１２が植設された基布１１を所望の形状に裁断 した後、未加硫のゴムシート１３に基布１１を重ね合わせ、加圧型中で加熱、加 圧して接着と加硫とを同時に行なう。 その際、ゴムシート１３と基布１１との接着性を高めるため、プレコート、即 ち基布１１の裏面にゴムシート１３と同種のゴムのラテックスを塗布したり、エ チレン酢酸ビニル共重合体などの接着剤または接着促進剤を予め塗布しておくと よい。

【００１３】 基布１１を裁断する際、基布１１の周縁部の部分にカットパイル１２ｂのみが 略一定幅で植設されたことにより、ループパイル１２ａの切断が回避され、パイ ル糸のほつれの発生が防止される。 また、基布１１の周縁部にカットパイル１２ｂのみを略一定幅で植設したこと で、基布１１をゴムシート１３に貼着する際、ループパイル１２ａとカットパイ ル１２ｂとが混在している場合よりも基布１１の周縁部はゴムシート１３に均等 に加圧されるので、ゴムシート１３に確実に密着され、その接着性が向上する。 これにより、長期にわたってレンタル加工を繰り返し行っても、耐久性、耐洗 濯性に優れ外観を損なうことがないので、商品価値を維持することができる。

【００１４】 以上、本考案の実施の形態のマットについて詳述したが、本考案は、上記実施 の形態記載のマットに限定されるものではなく、本考案の実用新案登録請求の範 囲に記載されている考案の精神を逸脱しない範囲で、設計において種々の変更が できるものである。 たとえば、本実施の形態では、マット１０は四角形状を呈するが、台形、半円 形、楕円形などの任意形状にしてもよい。 また、本実施の形態をカットパイル１２ｂと同じ長さ（高さ）になるよう高く 設定されたループパイル１２ａを有する基布１１の裁断に適用すれば、ほつれの 発生をより効果的に防止することができる。 また、基布１１の周縁部の全部にカットパイル１２ｂのみを略一定幅で植設し ても構わない。基布１１の周縁部にカットパイル１２ｂのみを略一定幅で全体的 に植設するか、部分的に植設するかは、パイル糸全体の傾斜方向、ループパイル １２ａとカットパイル１２ｂの長さの違い、基布１１の所望の形状への裁断、模 様としてのデザイン性などを相互に検討して、ほつれの発生や外観性の低下が目 立ち易い周縁に植設すればよい。 特に、基布の周縁部でパイル糸のほつれが目立つ側の周辺、あるいは、基布の 周縁でパイルが内向きに傾斜している部分に、カットパイルのみを植設するのが 有効である。

【００１５】

【考案の効果】

以上の説明から理解されるように、本考案のマットによれば、基布の周縁部の 全部あるいは部分にカットパイルのみを略一定幅で植設したことで、基布を裁断 する際のループパイルの切断を回避できるので、パイル糸のほつれを容易な手段 で有効に防止することができ、また、基布の周縁部がゴムシートに均等に加圧さ れるので、その接着性を容易な手段で有効に向上することができる。 したがって、長期にわたってレンタル加工を繰り返し行ってもパイル糸のほつ れが発生せず、外観を損なうことなく、耐久性、耐洗濯性に優れ、商品価値を維 持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の形態であるマットの平面図。

【図２】図１のＢ−Ｂ断面図。

【図３】（ａ）は、従来のループパイルが植設された基
布の一側の裁断を示す図、（ｂ）は、基布の裁断後を示
す図。

【図４】（ａ）は、従来のループパイルが植設された基
布の他側の裁断を示す図、（ｂ）は、基布の裁断後を示
す図。

【図５】（ａ）は、従来のハイループパイルが植設され
た基布の一側の裁断を示す図、（ｂ）は、基布の裁断後
を示す図。

【図６】（ａ）は、従来のハイループパイルが植設され
た基布の他側の裁断を示す図、（ｂ）は、基布の裁断後
を示す図。

【符号の説明】

１０ マット １１ 基布 １２ パイル １２ａ ループパイル １２ｂ カットパイル １３ ゴムシート ａ 切れ端

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 武 田 敏 夫 東京都港区三田１−４−28 三田国際ビル ヂング11階 株式会社サニクリーン本部内 (72)考案者 吉 田 房 喜 大阪府泉大津市板原586 吉田房織物株式 会社内 (72)考案者 香 西 敏 幸 大阪府泉大津市板原586 吉田房織物株式 会社内

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基布の表面にパイル糸をタフトしてループ
   パイルとカットパイルとを混在して植設することにより
   模様が現出されるとともに、上記基布の裏面にゴムシー
   トが貼着され、床面に敷設されるマットにおいて、 上記基布の周縁部の全部または部分にカットパイルのみ
   が略一定幅で植設されたことを特徴とするマット。
2. 【請求項２】カットパイルに対するループパイルの長さ
   を同じかそれよりも低く形成したことを特徴とする請求
   項１に記載のマット。
3. 【請求項３】基布の周縁部でパイル糸のほつれが目立つ
   側の周辺にカットパイルのみを植設したことを特徴とす
   る請求項１または２に記載のマット。
4. 【請求項４】基布の周縁でパイルが内向きに傾斜してい
   る部分にカットパイルのみを植設したことを特徴とする
   請求項１または２に記載のマット。