JP3071599U - 靴用中敷き - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来足むれ防止用に提案されている蛇腹利用の
靴用中敷きは、構造が複雑でかさばったり空気の吸入・
排出が不完全であったり、空気吸入・排出用の孔が常時
開口してゴミが詰まる等の問題があったが、之等の欠点
を解消して構造簡単な実用的で生産性にすぐれた靴用中
敷きを提供する。 【解決手段】靴用中敷きを、可撓性の表部材１と裏部材
２との間に踵部に蛇腹部材８を内部にスポンジを収納し
て挾持して相互に貼着・形成するものとし、表部材１の
爪先部付近に穿設した小孔３を上面よりカバーする弾性
薄片４を爪先と反対側の端部を貼着して空気排出弁５を
形成し、土踏まず部に小孔６を穿設して該小孔を下面よ
りカバーする弾性薄片4'をその端部で貼着して空気吸入
弁７を形成する。裏部材２は上面に空気吸入弁７と空気
排出弁５とに連通し且つ蛇腹部材８内部と連通する空気
通路を凹設したものを用い、表部材１、蛇腹部材８、裏
部材２の３点を一体化する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、靴用中敷きに関し、より詳しくは使用者の歩行時に靴内の爪先付近 に空気を送り循環するようにして足のむれを防止するようにした靴用中敷きであ って、特に生産性を考慮した実用的な靴用中敷きに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、靴の内部が湿気を帯びて足がむれるのを防止するために、靴用中敷きには 活性炭入りや網状、小穴状のもの等があり、いずれも靴内部の空気が循環しない ため湿気を充分に取除くことができなかったが、その欠点を取除くために、使用 者の歩行時における踵等の上下運動を利用して足下面で蛇腹を伸縮せしめて爪先 付近に空気を強制的に送り出し循環するようにしたものが、例えば、実開昭６０ −１３７８０８号公報には土踏まずの下面で、また実開昭６２−２０３６０６号 、実開平４−９１０１号の各公報には踵下面でそれぞれ蛇腹を伸縮せしめて空気 を送り出すようにしたものが提案されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

靴の内部が湿気を帯び足がむれたりするのは特に長靴においては顕著で仕事等で 一日長靴をはいていると足がむれ特に爪先の指がむれて水虫の原因になることが 多かった。そして、従来各種提案されている蛇腹利用の爪先付近に空気を送り出 すタイプの靴用中敷きは、未だに実用化されていないのが現状である。これは、 空気を爪先へ送り出すための吸入・排出（噴出）用のパイプや弁構造がかさばり 靴用中敷きの形態として相応しくないこと、更に弁を備えず空気の吸入・排出が 不完全であること、及び空気排出用の穴が常時開口状態にあってゴミがつまる等 の問題があり、さらに、構造が複雑であって、組立てに手間を要する等生産上の 問題などが原因と考えられる。

【０００４】 本考案は前記の点に鑑みてなされたものであって、構造が簡単で部品点数が少く 、且つ、弁構造を薄くして靴用中敷きとしてかさばらずに空気の吸入・排出を確 実にし、空気の吸入・排出用の穴を空気の通過時以外は常時閉鎖してゴミ等がつ まらないようにして真に実用に耐え得るとともに、生産性にすぐれた蛇腹利用の 爪先付近に空気を送り出す形式の靴用中敷きを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するために、本考案の靴用中敷きは、中敷き表部材１と、蛇腹部 材８と、中敷き裏部材２との３部材でこれを構成するようにしており、中敷き表 部材１は可撓性として該表部材１の爪先部に近い所定位置に小孔３を穿設し、該 小孔を開閉自在に上面よりカバーするごとく弾性薄片４を、その端部4aを爪先部 の反対側で貼着せしめて逆止弁兼用空気排出弁５を形成するとともに、土踏まず 部の所定位置に穿設した小孔６を開閉自在に下面よりカバーするごとく弾性薄片 4'をその端部4a' で貼着せしめて逆止弁兼用空気弁７を形成する。中敷き裏部材 ２は、可撓性として、踵部上面に蛇腹部材８の下部の取付部2₁と、蛇腹部材内側 に連通して前記空気吸入弁７の弾性薄片4'下部に連通するとともに前記空気排出 弁５の小孔３の下部に連通するごとくした空気通路9₁, 9₂, 9₃とを凹設する。蛇 腹部材８は、内部にスポンジ8'を収納せしめて上部を前記中敷き表部材１の踵部 1'の下面に、下部を前記中敷き裏部材２の蛇腹部材取付部2₁に貼着するごとく圧 縮・復元自在に形成する。この中敷き表部材１と中敷き裏部材２との間に前記蛇 腹部材８を挾持せしめて、中敷き表部材１と蛇腹部材８と中敷き裏部材２とを相 互に貼着せしめて該靴用中敷きを構成している。

【０００６】 これにより、逆止弁兼用空気吸入弁７と逆止弁兼用空気排出弁５とは、それぞれ の弾性薄片が自らの弾性で夫々の弁の小孔３，６を常時閉鎖しており、使用者の 歩行時に踵が中敷き表部材１の踵部を押し下げるとき、圧縮された蛇腹部材８内 の空気は該表部材１と中敷き裏部材２との間で形成される空気通路9₁より閉鎖し ている逆止弁兼用空気吸入弁７の弾性薄片4'を加圧する形で圧縮された空気が該 吸入弁７の小孔６から排出されるのを防ぐとともに、中敷き表部材１と中敷き裏 部材２との間で形成される空気通路9₂, 9₃を経て爪先部に形成された逆止弁兼用 空気排出弁５の弾性薄片４を押し上げて空気は上方に噴出状態で排出される。

【０００７】 次に踵が上るとき、前記蛇腹部材８は内部に収納されているスポンジ8'により効 率良く復元してその内部容積は増すため蛇腹部材８内の空気は陰圧となり、空気 通路に臨んだ逆止弁兼用空気吸入弁７の弾性薄片4'は空気通路内に開いて、土踏 まず部に形成される外部空間から支障なく外気が吸入される一方、爪先部の空気 通路に臨んで配設された逆止弁兼用空気排出弁５の弾性薄片４は自らの弾性と空 気通路内の陰圧により閉鎖されて空気の流入・排出は阻止される。この踵の上下 運動により、空気は土踏まず部に位置する前記空気吸入弁７から吸入され、爪先 部の前記空気排出弁５より噴出状態で排出され靴内に円滑に空気を循環させるこ とができる。

【０００８】 この場合、蛇腹部材８内のスポンジ8'は、蛇腹部材８の復元力を増すとともに、 蛇腹部材８のへたりを抑制して耐久力を増すことができる。 また、中敷き表部材１上面に爪先部に近い位置の小孔を閉鎖するべく貼着されて いる弾性薄片４は、端部の貼着が、爪先部と反対側になっているため、本中敷き を靴内に挿入して靴をはくとき、足指先のひっかかりによる該薄片４端部のめく り上りを防止して弁の閉鎖不全の発生を未然に防止し弁の開閉を安定化させるこ とができる。

【０００９】 前記において可撓性の中敷き表部材１と、該表部材１に貼着する空気吸入弁７の 弾性薄片4'及び空気排出弁５の弾性薄片４と、可撓性中敷き裏部材２の材料とは 、ポリエチレン又は塩化ビニルを良好に使用することができ、蛇腹部材８にはポ リプロピレンを、またスポンジ8'にはポリウレンタンフォームを良好に使用する ことができる。

【００１０】

【考案の実施の形態】

本考案の好ましい実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。 図１は本考案靴用中敷きの中央長手方向の縦断面図で、図２は該中敷きの平面図 、図３は中敷き裏部材の平面図で、図２、図３は便宜上左足用の中敷きを図示し ている。

【００１１】 靴用中敷きは、ポリエチレン又は塩化ビニル等の熱可塑性合成樹脂で、中敷き表 部材１と中敷き裏部材２とを足裏形の所定形状に成形し、蛇腹部材８は外周部が 馬蹄状の所定形状の中空のポリプロピレン製のもので上下端面は蛇腹部分を平坦 に形成する。そして該蛇腹部材８を中敷き表部材１の踵部1'と中敷き裏部材２の 踵部の蛇腹部材取付部2₁との間にスポンジ8'を該蛇腹内に収納状態で挾持して、 之等中敷き表部材１と蛇腹部材８と中敷き裏部材２とを相互に貼着して靴用中敷 きを作製する（図１及び図１の中敷きのＡ−Ａ断面である図４参照）。この貼着 には溶着を用いるとよい。

【００１２】 中敷き表部材１は、爪先が若干持ち上った該表部材１の爪先に近い中央とその両 側の所定位置に、所定径の小孔３が弾性薄片用凹部1a内の該表部材１表面から沈 んだ位置に穿設され、該小孔３を上面からカバーするごとく所定硬度のポリエチ レン等の熱可塑性合成樹脂からなる所定の矩形の弾性薄片４がそれぞれ爪先部と 反対側の端部4aを溶着により貼着して逆止弁兼用空気排出弁５が形成されている 。これにより、本中敷きを靴内に挿入して靴をはくとき、足の指先のひっかかり による該薄片端部のめくり上りを防止して弁の閉鎖不全の発生を未然に防止する ことができる。

【００１３】 該中敷き表部材１の土踏まず部の中央及びその両側の所定位置に前記小孔３の径 より稍大きい所定径の小孔６が穿設され、該小孔６を下からカバーするごとく所 定硬度のポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂からなる所定の矩形の弾性薄片4'が 爪先側の端部4a' を溶着により貼着して逆止弁兼用空気吸入弁７が形成されてい る。これにより、踵が上り蛇腹が収縮状態から復元するとき、中敷きと足の土踏 まずとの間に形成される空間から、後述する空気通路9₁を経て支障なく蛇腹部材 ８内のスポンジ8'に空気が流入する。

【００１４】 前記逆止弁兼用空気吸入弁７より若干後方の表部材１の踵側の所定位置に下面よ り狭幅の円弧状乃至三角状の細溝を凹設してヒンジ1"が形成され、表部材の踵部 1'が上方に屈曲し易いようになっている。この場合、表部材１の材料の柔軟性に 応じて該ヒンジ1"を省略することも可能である。

【００１５】 中敷き裏部材２は、中敷き表部材１と輪郭は同一で、表面の踵部に蛇腹部材取付 部2₁とその内部に蛇腹部材８の筒内部に連続する凹部9₁' が、蛇腹内部と表部材 １の空気吸入弁７の弾性薄片4'の下部に空気通路9₁を介して連通するごとく形成 されている（図３参照）。すなわち、中敷き表部材１の３ケの空気吸入弁に対応 して、中敷き裏部材２の長手方向に中央とその両側に凹設された３条の各空気通 路9₁が前記踵部の凹部9'に開口して蛇腹内部と空気吸入弁７が連通するようにな っている。これにより踵が踏み付け状態より上り蛇腹が収縮状態より復元すると き、空気吸入弁７を通し表部材表面の外気が空気通路9₁を経て蛇腹内のスポンジ 8'に吸い込まれる。

【００１６】 前記３条の各空気通路9₁の前部は空気が流通し合えるように広巾の短かい空気通 路9₂が形成され、表部材１の爪先部の中央とその両側にそれぞれ形成された各逆 止弁兼用空気排出弁４の小孔３下部に連通するごとく中敷き裏部材２の長手方向 に中央とその両側にそれぞれ空気通路9₃が該空気通路２に連続して凹設されてい る（図３，及び図１の中敷きのＢ−Ｂ断面である図５参照）。これにより蛇腹部 材８内側のスポンジ8'は、空気通路9₁, 9₂, 9₃を介して前記空気吸入弁７の弾性 薄片4'下部と前記空気排出弁５の小孔３下部とに連通するようになっている。 前記構成により、中敷き表部材１の踵部1'が使用者の歩行に伴って上下動すると き、土踏まず付近の外部空気は逆止弁兼用空気吸入弁７の小孔６から蛇腹部材８ 内のスポンジ8'に吸い込まれ、次いで爪先部の逆止弁兼用空気排出弁５の小孔３ から噴出状態で排出される。

【００１７】 この靴用中敷きは、中敷き表部材１と内部にスポンジ8'を収容した蛇腹部材８と 中敷き裏部材２とを相互に貼着して形成されるもので、構造は極めて簡単であり 、空気吸入弁７も空気排出弁５も極めて薄く形成でき、蛇腹付き靴用中敷きとし てかさばらず、外部空気の吸入も土踏まず部に形成された小孔から支障なく吸入 することができて空気の吸入・排出が確実で、更に空気の吸入、排出の小孔も常 時は閉鎖されていることから中敷き内部にゴミが入らず、充分実用に耐え得る蛇 腹付きの靴用中敷きを形成するものである。

【００１８】 この靴用中敷きは、生産に当たっては、中敷き表部材１と、内部にスポンジ8'を 収納した蛇腹部材８と、中敷き裏部材２との３点の部材を予め作製して、之等を 合体するだけで良く、コンベヤラインを用いることができるなど生産性はきわめ て高いという利点がある。 また、実施の形態では中敷き表部材と蛇腹部材と中敷き裏部材との貼着は溶着に よったが、材料の種類により接着を用いても良く、また、中敷き表部材と中敷き 裏部材の材料も可撓性であれば適宜実施の形態に示された材料以外の材料を使用 することも可能で、本考案の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更を加えること が可能である。

【００１９】

【考案の効果】

請求項１記載の本考案の靴用中敷きによれば、該中敷きを、中敷き表部材と中敷 き裏部材との間に、スポンジを収納せしめた蛇腹部材を挾持してこの３部材を相 互に貼着して形成するとともに、予め、中敷き表部材に設ける空気吸入弁と空気 排出弁とを弾性薄片を用いて弁の小孔をカバーするように薄く形成し、爪先部で の空気排出弁の使用者の足の指先による閉鎖不全の発生を未然に防止するように し、且つ空気吸入用の小孔を中敷き表部材の土踏まず部に形成して、使用者の歩 行時における踵の上下動により爪先に空気を送るようにしたことにより、蛇腹付 き靴用中敷きとしてかさばらず空気の吸入・排出が確実で中敷き内にゴミが入ら ないようにしたきわめて実用的な靴用中敷きを簡単な構造で而も生産性良く提供 することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案靴用中敷きの中央長手方向の縦断面図で
ある。

【図２】本考案靴用中敷きの平面図である。

【図３】中敷き裏部材の平面図である。

【図４】図１の中敷きのＡ−Ａ断面図である。

【図５】図１の中敷きのＢ−Ｂ断面図である。

【符号の説明】

１…中敷き表部材、 1'…表部材の踵部、 ２…中敷き
裏部材、 2₁…裏部材の蛇腹部材取付部、 ３…空気排
出用の小孔、 ４，4'…弾性薄片、 4a，4a' …弾性薄
片端部、 ５…逆止弁兼用空気排出弁、 ６…空気吸入
用の小孔、７…逆止弁兼用空気吸入弁、 ８…蛇腹部
材、 8'…スポンジ、 9₁, 9₂, 9₃…空気通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】爪先部に近い所定位置に小孔３を穿設し、
   該小孔を開閉自在に上面よりカバーするごとく弾性薄片
   ４を、その端部4aを爪先部と反対側で貼着せしめて逆止
   弁兼用空気排出弁５を形成するとともに、土踏まず部の
   所定位置に穿設した小孔６を開閉自在に下面よりカバー
   するごとく弾性薄片4'をその端部4a' で貼着せしめて逆
   止弁兼用空気吸入弁７を形成した可撓性の中敷き表部材
   １と、踵部上面に蛇腹部材８の下部の取付部2₁と、蛇腹
   部材内側に連通して前記吸入弁７の弾性薄片4'下部に連
   通するとともに前記逆止弁兼用空気排出弁５の小孔３の
   下部に連通するごとくした空気通路9₁, 9₂, 9₃とを凹設
   した可撓性の中敷き裏部材２と、上部を前記中敷き表部
   材１の踵部1'の下面に、下部を前記中敷き裏部材２の蛇
   腹部材取付部2₁に、内部にスポンジ8'を収納せしめて貼
   着するごとくした圧縮・復元自在の蛇腹部材８とからな
   り、該蛇腹部材８を前記中敷き表部材１と前記中敷き裏
   部材２との間に挾持せしめて、中敷き表部材１と蛇腹部
   材８と中敷き裏部材２とを相互に貼着せしめてなること
   を特徴とする靴用中敷き。