JP3068882U - 野鳥・野性小型哺乳動物の巣箱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に、樹洞を利用して巣穴を作る習性の、野
鳥・野性小型哺乳動物に対する巣箱を、生産しやすい構
造にし、乾燥状態を維持しやすく、清掃しやすくするこ
とと、巣穴内部を樹洞型形状にして、幼鳥等が内壁にし
がみつきやすくして、巣立ち成功率を高める。 【構成】 前部・中間・後部の巣穴材に三分割接着構造
にした巣箱本体外周壁上面開口部は、防水性能を高めた
片流れ屋根型の上蓋形式蓋の蓋止め具を垂直に差し込む
ように形成して、その巣穴本体内部は、下部に膨らみを
持たせた洋梨型楕円球状空間とし、その巣穴本体底部外
周縁に水切りを備え、下面開放口に方形の内蓋式の底蓋
を備えた巣箱にする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、樹洞を利用するフクロウ科の大型鳥から、シジュウカラ科に代表さ れる小型鳥までの野鳥類、及び、ムササビ・リス・ヤマネ等の野性小型哺乳動物 の巣箱に関する。

【０００２】 ［従来の技術］ 都市における、鎮守の森や屋敷林、それに連環する樹木の保全が都市整備のも とで減少し、都市郊外林地の宅地化や田畑面積の減少によって、樹洞を利用する 大型鳥類のフクロウやオシドリ、また哺乳動物のムササビ等の生態系を、都市近 郊で著しく変化させてしまった。 また、農山村部においても、薪炭用林地の針葉樹植林の推進により、自分で巣穴 を穿つことのできない小型鳥の生息繁殖環境も厳しさを増大させている。 近年、広葉樹林の効用再認識に併せ、自然環境に対する、鳥類や野性小型哺乳 動物の果たす役割の高さが、広く再確認されるようになった。特に、都市近郊に おける都市開発手法においては、環境影響調査を実施して、動植物の生息繁殖環 境の保護が行われるように変化してきております。このように、動植物の生環境 が、観察しやすく維持整備されてゆくことが、極めて重要な課題となっている。

【０００３】 従来の野性小型鳥類を繁殖あるいは成育するさせるための木製巣箱としては、 木製平板を用材として、巣箱本体を立柱体状に組み立て、屋根と底板を固定した ものの他に、「表皮をつけたままの自然丸木をくりぬいて形成され、別板を用い て上下両面を閉塞した小鳥・小動物用の巣箱（主としてゲージ内で使用する）」 、「天然木の外周面に剥皮加工を施すことなく外周部分を残して芯部分を中空に 形成し、上下両面を閉塞した野鳥の巣箱」、「上下側面に製材の際にでる丸太端 材を用い、上下両面を閉塞した野鳥の巣箱」、「横断面が台形の部材を用いて屋 根・側板・底板をつくり、それらを固定した多角柱状巣箱」、「平板を用いた中 空筒体からなる巣箱で、天井部閉塞、底無型の巣箱であり、営巣と繁殖を目的と したものでなく、ねぐら専用のキツツキ類ねぐら用の底無型巣箱」等々が知られ ている。

【０００４】 そして、従前の小鳥用巣箱類の多くのが、その巣箱構造面と、巣箱構成材の自 然収縮性から、特に、天然環境下での設置においては、木材の乾燥が進むに従っ て、接合部に隙間を生じやすく、雨水が、巣箱側壁と底板の接面部または、側板 と側板の接面部や、防水されていない板表面からから染込んでくることが多かっ た。

【０００５】 小鳥用巣箱の形状として、一般的に知られているところは、巣箱全体が（多く は平板材を用いて）軽量、簡易に製作されている等の結果として、天然環境下で の設置では、巣箱内部が降雨・樹雨・幹流水等による影響を多く受け、カビてし まう状態が多発しており、その清掃は簡易ではないことから、現状は、営巣効果 を高めるためににも、数年で巣箱そのものを取換えるか、毎年新しい巣箱を補充 して、野鳥に供されていることから、衛生面と経済面から改良問題を含んでいる のが実情である。

【０００６】 なお、樹洞穴を利用するフクロウ・オシドリ等の野性大型鳥類、ムササビ・リ ス・ヤマネ等の野性小型哺乳動物の巣箱については、一般的に認知されていない 。

【０００７】 清掃しやすいように、巣箱の屋根または前面を、蝶番により開けられるように 作られている形状のものもあるが、一般的小鳥巣箱の構造は、底板及び、天井板 又は屋根板を、巣箱本体に釘等で固定して閉塞する方式のものが広く知られてお り、その形態は、部材が強固に接合されているが故に清掃面での簡便性に欠けて いるのが実情である。

【０００８】 従来、巣箱が、雨等で濡れた場合は、自然に乾くのを待つだけであって、巣箱 の乾燥状態保持方法については、巣箱の屋根庇を大きくして巣箱が濡れないよう にすることが、一般的に認められている方法である。 また、樹皮をつけたままの巣箱は、樹皮を剥皮した巣箱と比較した場合に、外 観は設置した側や利用する側にも好ましく映るようであるが、天然環境下におい ては、水や湿気により苔も生えやすく、土埃や樹皮の隙間に生息する虫等の影響 からも湿気を更に取込み易い状態となっている。

【０００９】 従来、小鳥等の巣箱が、主として製材され平滑にした板面を内側にむけて、製 作されてきたために、巣穴出入り口の内側下部は、ほぼ垂直面となっており、巣 穴内に巣材を搬入する鳥類の幼鳥にとっても、出入り口までよじのぼり難く、出 入り口付近にしがみつき続け難い状態であった。 ［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、前記の巣箱は、樹木表皮面を伝って流下する雨水等によって、 巣箱が常に湿気を含みやすい状況下にあるため、巣箱本体が濡れやすく、乾きに くいということから、一旦濡れた巣箱内部は特に乾燥しにくく、巣箱全体が痛み やすいという問題があった。

【００１０】 さらに、従来の巣箱は、幼鳥が巣箱内壁をよじ登りにくいという問題、キツツ キ類が巣箱内壁にしがみつきにくいという問題があった。

【００１１】 本考案は、この様な問題を解決したもので、厳しい天然環境下において、巣箱 が湿気を含みにくくし、巣箱の通気衛生状態を良好に維持し、巣箱の清掃が簡便 に行えるようにし、大型鳥から小型鳥までの野性鳥類及びムササビ・リス・ヤマ ネ等の野性小型哺乳動物いずれもが、営巣に利用しやすいようにして、且つ、安 価にできることと、より多くの巣箱が供されることを目的としている。

【００１２】 ［課題を解決するための手段］ 本考案は、防水性能を高めた片流れ屋根型の上蓋形式蓋を、上部に密着させた 巣穴本体は、幹丸太または二股丸太を玉切した後に、前部・中部・後部の巣穴材 に三つ割りして巣穴本体材として用い、その内側芯材部分をくりぬいて洋梨型楕 円球状に形成し、無底の下面開放部には、内側から内蓋式の底蓋をつけた後に、 巣穴本体の樹皮を剥皮等したものである。

【００１３】 ［作用］ この考案では、防水性能を高めた片流れ屋根型の上蓋形式蓋は、幹丸太を鋸・ 鑿を用いて成形等した巣穴本体の上部を、蓋が堅密に接合できるように傾斜をつ けて切断し、その上面の巣穴本体中間材上部開口部に、蓋止め具を垂直に差し込 むことにより、蓋の重量及び蓋止め具と巣穴材との摩擦効果から、固定同様の安 定性が保たれることによって、上部からの巣穴内への浸水を防止し、内蓋式の底 蓋構造とあいまって、巣箱内部へ水濡れが及びにくくなって、湿気が少なくなる ことから、巣箱内の通気衛生状態が、良好に維持され、巣箱の清掃が簡便に行え ることを可能にした。 また、巣穴本体内部は、下部に膨らみを持たせた洋梨型楕円球状とすることで、 幼鳥が巣穴出入り口までよじ登りやすくしてあり、親鳥から餌を受けやすくし巣 立ちし易いようにした。

【００１４】 また、この考案による、内蓋式の底蓋を設置することが、巣穴内に巣材を搬入 しない鳥類に樹洞同等の巣穴を供し、乾燥状態維持面では、樹洞以上の効果的な 巣箱とすることができる。

【００１５】 さらに、この考案による巣箱を利用する鳥や動物が、営巣するにあたっては、 巣底部開放口に備わった内蓋式の底蓋が、巣箱の樹洞化を促進するように作用し て、繁殖面では、巣立ち成功率の向上が見込まれる。

【００１６】 ［考案の実施の形態］ 以下、本考案の実施例を図１〜図９を参照して説明する。 図１に、本考案の「野鳥・野性小型哺乳動物の巣箱」の、第一の実施例が示され 、図２に、第二の実施例が示されている。この巣箱１は、片流れ屋根型の上蓋形 式蓋１２と巣穴本体２で構成する。 巣穴本体２は、間伐材や薪炭材の幹丸太か二股丸太を用い、立幹状にして縦長に 、前部・中間・後部の巣穴材に三つ割りして巣穴本体材として用いるが、長さと 幹径については、巣箱を利用する野鳥及び野性小型哺乳動物の種類に適合する、 定められた寸法（記載略）とする。 巣穴本体２の成形については、図７〜９に示しているが、その外周部を外周壁と して残すものとして、図７に示すように、巣穴本体２前部材３については、巣穴 本体２の底面から５分の１以上の芯部分を、上部巣穴出入り口６に向けて傾斜を 有するように除去し、巣穴本体２後部材５については、巣穴本体２の底面から６ 分の１以上６分の４までの芯部分を楕円球状に成形して、巣穴本体２中間材４に ついては、図７・図９に示すように、外周部を残すように、底面から上面までの 芯部分を立柱体状に除去したのちに、その内側を、下部に膨らみを持たせたよう な楕円球状空間に成形し、前部・中間・後部の巣穴材を、整合させてはりあわせ ると、図６に示すように、底部が方形に開放され、上部は、図８に示すように、 凸型に開放された状態１７または半月形となつて、底部は、外周縁が図７に示す ように、水切り８状態となるように、底部に開放された方形の中心に向かって緩 いカーブを持たせてあり、方形に開放された底部には、図７に示すように、内蓋 式の底蓋９を備えてあり、巣穴本体２前部材３の正面上部には、図７に示すよう に、巣穴出入り口６を１つ開けてあり、巣穴本体外周面樹皮１６については、図 ２に示すように、前面巣穴出入り口６部分を中心とした部分を残すか、または、 その大部分または全部を残した状態にし、剥皮した部分については剥皮状態のま ま、または、研磨した状態にして、剥皮した場合は防水効果を高めること及び、 装飾性並びに、防蛇性を目的として、剥皮した巣穴本体２外周面に塗料または、 松脂等を塗布して、巣穴本体２後部材５の上部に、巣箱取り付け具用の巣穴外周 壁を貫通した穴１０を内部上方に向けた状態に備えるか、巣箱取り付け具を備え 、防水紙１４及び屋根葺き材１５を備えた、片流れ屋根型の上蓋形式蓋１２は、 図７に示すように、片流れ屋根型の上蓋形式蓋の蓋止め具１１を、屋根蓋１３内 側に備えたことを特徴とした、野鳥・野性小型哺乳動物の巣箱。

【００１７】 ［考案の効果］ 以上説明した本考案の「野鳥・野生小型哺乳動物の巣箱」によると、次のよう な効果を奏する。 （１）請求項１の巣箱によると、構造が簡素であることから製作が容易である。

【００１８】 （２）請求項１の巣箱によると、屋根の防水性・巣箱本体の水切れが良いことか ら、巣箱内部に湿気がこもりにくいので、より乾燥した営巣場所をつくることが でき、巣箱内部と底部にカビの発生が少ないことから、巣箱を清掃する面での維 持管理が簡便にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の「野鳥・野生小型哺乳動物の巣箱」の
第一の実施例を示す斜視図である。ただし、巣穴本体を
剥皮した巣箱。

【図２】本考案の「野鳥・野生小型哺乳動物の巣箱」の
第二の実施例として、巣穴出入り口を中心とした部分に
樹皮を残した巣箱の斜視図である。

【図３】図１の正面図である。

【図４】図１の背面図である。

【図５】図１の側面図である。

【図６】図１の底面図である。

【図７】図１のＡ−Ａ′断面図である。

【図８】図１の上蓋形式蓋を取った状態の上面図であ
る。

【図９】図１のＢ−Ｂ′断面図である。

【符号の説明】

１ 巣箱 ２ 巣穴本体 ３ 前部材 ４ 中間材 ５ 後部材 ６ 巣穴出入り口 ７ 巣穴外周壁 ８ 水切り ９ 内蓋式の底蓋 １０ 巣穴外周壁を貫通した穴 １１ 片流れ屋根型の上蓋形式蓋の蓋止め具 １２ 片流れ屋根型の上蓋形式蓋 １３ 屋根蓋 １４ 防水紙 １５ 屋根葺材 １６ 樹皮 １７ 凸型に開放した巣穴本体の上面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自然環境及び飼育ゲージ内で供する、片流
   れ屋根型の上蓋形式蓋を有する、巣穴本体からなる巣箱
   を構成する部材は、間伐材又は薪炭材の幹丸太、また
   は、二股丸太を玉切して巣穴材として用い、前部・中間
   ・後部の巣穴材に三つ割りした巣穴本体材としては、一
   定の厚みを有する外周壁として残すように、その前部巣
   穴材については、巣穴材高さの底面から５分の１以上の
   芯部分を、巣穴出入り口に向けて傾斜をつけて除去し、
   中間巣穴材については、芯部分を立柱体状に除去した
   後、底面から５分の１以上６分の４までの内側を楕円球
   状に成形し、後部巣穴材については、巣穴材高さの底面
   から５分の１以上６分の４までの芯部分を半楕円球状に
   成型し、前部・中間・後部の巣穴材を整合させてはりあ
   わせると、巣穴本体内部は、巣穴入り口から下方向に膨
   らみを持たせた洋梨型楕円球状空間となり、その下部に
   開放された方形底部には内蓋式の底蓋を備え、かつ底面
   外周部が水切り状態となるように、縁から方形に向かっ
   て緩いカーブを持たせてあり、巣穴材上面部は凸型又は
   半月形に開放した状態として、巣穴本体外周面について
   は、前部巣穴材上部に巣穴出入り口を１つ開けてあり、
   外周面樹皮については、巣穴出入り口部分を中心とした
   一部分、又は大部分を残した状態にして、剥皮された部
   分については、研磨しない状態のままか、防水効果を高
   めること及び装飾性並びに防蛇性を目的に、塗装が施さ
   れてあり、巣箱取り付けのために、後部巣穴材上部に穴
   または装具を備えてあり、防水紙・屋根葺き材を備える
   片流れ屋根型の上蓋形式蓋についての防水紙取り付け状
   態は、屋根蓋よりも一回り大きく外側まで伸ばし、棟側
   防水紙はさらに屋根蓋後ろ側面に向けて折り曲げて伸ば
   して、雨水や樹幹流水が巣穴本体上部に伝わらずに、棟
   から折下げた防水紙の両端側に伝い流れ落ちる型として
   あり、蓋の内側に蓋止め具を備えたことを特徴とした、
   野鳥・野性小型哺乳動物の巣箱。