JP3068792B2 - 繊維強化熱硬化樹脂製レール継目板 - Google Patents

繊維強化熱硬化樹脂製レール継目板

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JP3068792B2
JP3068792B2 JP8246345A JP24634596A JP3068792B2 JP 3068792 B2 JP3068792 B2 JP 3068792B2 JP 8246345 A JP8246345 A JP 8246345A JP 24634596 A JP24634596 A JP 24634596A JP 3068792 B2 JP3068792 B2 JP 3068792B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道のレールとレ
ールを連結するために使用される繊維強化熱硬化樹脂製
レール継目板に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道のレールとレールの連結個所には、
列車の通過によって繰り返しの衝撃や振動等の大きい機
械的応力がかかるため、この部分には従来より鋼製レー
ル継目板が使用されている。しかし、鋼製レール継目板
は重量が大きいために、運搬やレールの連結作業がやり
にくいという問題がある。そこで、このような鋼製継目
板の有する問題点を解決するものとして、出願人は鋼製
レール継目板に比べ重量が約1/8〜1/4と大幅に軽
く、且つ鋼製レール継目板と同等もしくはそれ以上の曲
げ強度を有する、長手方向に配された直線状長繊維を含
む非導電性繊維補強の熱硬化性樹脂により形成されたレ
ール用継目部材(継目板)を開発し提案した(特開平5
−321202号公報参照)。
【0003】このレール用継目部材は、軽量で且つ機械
的強度が大きい上、材料自体が電気絶縁体からなるもの
であるため、絶縁プレート等の絶縁材料を使用する必要
なしに、信号機や踏切警報機の設置個所等絶縁性が要求
されるレールの連結個所に使用することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような繊維補強の
熱硬化性樹脂製のレール用継目板は、通常引抜成形法で
長尺物として成形されたものを、後加工で所定の長さに
切断するとともに、側面に所定数のボルト孔をドリルで
穿設することにより継目板の製品となる。
【0005】こうして製造されたレール継目板Aは、図
3に示すように、補強繊維Fがマトリックス樹脂(熱硬
化性樹脂)Mの中に面に平行(成形方向に平行)に配向
して埋めこまれており、端部の切断面a1 ,a2 及びボ
ルト孔bの内面を除く側面c及びd、上面e,下面fそ
の他の外面は平滑であり、補強繊維がほとんど表面に露
出していないために、これらの面からは水が侵入しにく
い。
【0006】一方、レール継目板の端部の切断面a1
2 及びボルト孔bの内面は、切断または穿孔によって
マトリックス樹脂Mや補強繊維F、及び成形時の微細な
クラックやボイドなどが露出し、しかも切削工具によっ
て粗面とされているので、そのまま屋外で使用すると、
マトリックス樹脂Mと補強繊維Fの界面から雨水等の水
が侵入し、更に侵入水が凍結・融解を繰り返すことによ
ってクラックが成長したりマトリックス樹脂Mと補強繊
維Fの界面から剥離が生じ、更にその上に紫外線による
材質の劣化が加わって、寿命を著しく短縮させることと
なる。しかしながら、従来はこれら切断面a1 ,a2
ボルト孔bの内面は塗装されることなくそのままの状態
で放置されていた。
【0007】本発明は上記のような問題点に鑑みてなさ
れたものであって、材質劣化促進の原因となる端部の切
断面及び穿設されたボルト孔の内面からの水の侵入や紫
外線の吸収を防止して材質の劣化を抑制することによ
り、耐久性に優れた繊維強化熱硬化樹脂製レール継目板
(以下単にレール継目板と称する)を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の本発明は、2本のレールの端部両側
面にまたがって配設される繊維強化熱硬化樹脂製レール
継目板であって、長手方向に配された長繊維によって補
強された熱硬化性樹脂より形成された長尺物を、所定の
長さに切断され、側面にボルト孔が穿設されていて、端
部の切断面及び/又はボルト孔の内面は合成樹脂の塗膜
により被覆されていることを特徴とする。
【0009】また、請求項2記載の本発明は、塗膜に用
いられる合成樹脂がアクリル系もしくはウレタン系樹脂
塗料であることを特徴とする。
【0010】また、請求項3記載の本発明は、塗膜に用
いられる合成樹脂が繊維強化熱硬化樹脂の熱硬化樹脂と
同じ熱硬化性樹脂であることを特徴とする。
【0011】本発明に使用される熱硬化性樹脂として
は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン
フェノール樹脂等が挙げられる。
【0012】本発明に使用される長繊維の補強繊維とし
ては、ガラス繊維、アラミド繊維、ビニルエステル繊維
等が挙げられる。
【0013】使用される繊維の形態としては、ロービン
グ、クロス、バインダーにより不織布状にしたチョップ
ドストランドマット、サーフェイスマット、コンティニ
ュアスマット等のマットが挙げられる。
【0014】本発明に使用される塗膜形成用の合成樹脂
は、継目板との接着性に優れ、太陽光線を遮蔽するため
に不透明で、且つその合成樹脂自身が水や紫外線によっ
て劣化しにくいものが望ましく、また、必要に応じて紫
外線吸収剤、酸化防止剤等が添加されていてもよい。
【0015】合成樹脂の塗膜を形成するには、刷毛によ
る塗布、スプレーガンによる吹付塗装のほか、端部の切
断面の場合には合成樹脂の槽に浸漬する等の方法で塗布
し、塗布後は合成樹脂の種類に応じ自然乾燥、温風乾
燥、熱風、電熱、赤外線照射による加熱硬化等、適切な
方法で乾燥あるいは硬化して塗膜を形成する。
【0016】(作用)請求項1記載の本発明は、レール
継目板の端部の切断面及び/又は穿設されたボルト孔の
内面が合成樹脂の塗膜により被覆されているので、この
部分からの水の侵入や紫外線の吸収による劣化が抑制さ
れて、耐候性が向上する。
【0017】請求項2記載の本発明は、塗膜に用いられ
る合成樹脂がアクリル系もしくはウレタン系樹脂塗料で
あるから、塗膜が紫外線によって劣化しにくく、耐候性
が更に向上する。
【0018】請求項3記載の本発明は、塗膜に用いられ
る合成樹脂が繊維強化熱硬化樹脂の熱硬化樹脂と同じ熱
硬化性樹脂であるから、塗膜が繊維強化熱硬化樹脂の熱
硬化樹脂と強固に接着し、レール継目板から剥離しにく
くなり、耐候性が更に向上する。
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
き、図面を参照して説明する。図1(A)は本発明レー
ル継目板の実施の形態を示す断面図、(B)は(A)の
左側面図、図2は図1に示す継目板の使用態様を示す断
面図である。
【0019】偏平な横向きU字形の断面形状を有するレ
ール継目板1は、マトリックス樹脂のビニルエステル樹
脂2を繊維長の長いガラス繊維よりなるガラス繊維マッ
ト3によって補強した材料よりなり、引抜成形によって
長尺に成形したものを所定の長さに回転鋸などのカッタ
ーで切断し、ドリルで4個のボルト孔4を穿設した後、
端部の切断面5、6及びボルト孔4の内面41にマトリ
ックス樹脂と同じビニルエステル樹脂を塗布し、加熱に
より乾燥・硬化させて合成樹脂の塗膜7を形成し、完成
品としたものである。
【0020】レール継目板1を使用してレールを連結す
るには、図2に示すように、レール8の継目の個所のウ
エブ81を2枚のレール継目板1で両側から挟み、レー
ル継目板1のボルト孔4及びレール8のボルト孔82に
ボルト9を挿通し、ナット10を締めて連結する。なお
11はワッシャーである。
【0021】このようにしてレール8が連結された場
合、レール継目板1の端部の切断面5、6は合成樹脂の
塗膜7で被覆されているので、図3に示す従来のレール
継目板Aのようにマトリックス樹脂や補強繊維が端部の
切断面5、6に露出することがなく、端部の切断面5、
6からの水の侵入や紫外線の吸収が防止され、レール継
目板1の劣化が抑制される。
【0022】また、ボルト孔4の内面41も合成樹脂の
塗膜7で被覆されているので、図3に示す従来のレール
継目板Aのようにマトリックス樹脂や補強繊維がボルト
孔4の内面41に露出することがなく、レール継目板1
とレール8の隙間及びレール継目板1とワッシャー11
等の隙間から雨水などの水が侵入しても、ボルト孔4の
内面41からの水の侵入が防止され、レール継目板1の
劣化が抑制される。
【0023】なお、レール継目板1の保管中や使用前に
放置されている間に雨水や太陽光線に曝されることがあ
るが、そのような場合にも合成樹脂の塗膜7により端部
の切断面5、6及びボルト孔4の内面41が保護され
る。
【0024】塗膜7に使用される合成樹脂はマトリック
ス樹脂2と同じビニルエステル樹脂であるから、合成樹
脂の塗膜7とレール継目板1との接着性が良好であり、
合成樹脂の塗膜7は容易にレール継目板1から剥離する
ことがない。従って、レール継目板1は水や紫外線によ
る劣化が抑制され、長期にわたって使用することができ
る。
【0025】なお、上記の実施の形態では合成樹脂の塗
膜用樹脂としてビニルエステル樹脂を使用したが、紫外
線によって劣化しにくいアクリル系もしくはウレタン系
樹脂塗料を使用してもよい。
【0026】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1記載の本発明は、端部の切断面及び/又は穿設された
ボルト孔の内面が合成樹脂の塗膜により被覆されている
ので、この部分からの水の侵入や紫外線による劣化が抑
制されて耐候性に優れ、従って耐久性に優れている。
【0027】請求項2記載の本発明は、塗膜に用いられ
る合成樹脂がアクリル系もしくはウレタン系樹脂塗料で
あるから、紫外線の吸収による塗膜の劣化が抑制され、
耐候性が更に向上する。
【0028】請求項3記載の本発明は、塗膜に用いられ
る合成樹脂が繊維強化熱硬化樹脂の熱硬化樹脂と同じ熱
硬化性樹脂であるから、塗膜と繊維強化熱硬化樹脂の熱
硬化樹脂が強固に接着して剥離しにくくなり、耐候性が
更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明繊維強化熱硬化樹脂製レール継
目板の実施の形態を示す断面図、(B)は(A)の左側
面図。
【図2】図1に示す繊維強化熱硬化樹脂製レール継目板
の使用態様を示す断面図。
【図3】従来技術を示す斜視図。
【符号の説明】
1 繊維強化熱硬化樹脂製レール継目板 2 ビニルエステル樹脂(マトリックス樹脂) 3 ガラス繊維マット 4 ボルト孔 41 内面 5,6 端部の切断面 7 合成樹脂の塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E01B 11/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2本のレールの端部両側面にまたがって
    配設される繊維強化熱硬化樹脂製レール継目板であっ
    て、長手方向に配された長繊維によって補強された熱硬
    化性樹脂より形成された長尺物を、所定の長さに切断さ
    れ、側面にボルト孔が穿設されていて、端部の切断面及
    び/又はボルト孔の内面は合成樹脂の塗膜により被覆さ
    れていることを特徴とする繊維強化熱硬化樹脂製レール
    継目板。
  2. 【請求項2】 塗膜に用いられる合成樹脂がアクリル系
    もしくはウレタン系樹脂塗料であることを特徴とする請
    求項1記載の繊維強化熱硬化樹脂製レール継目板。
  3. 【請求項3】 塗膜に用いられる合成樹脂が繊維強化熱
    硬化樹脂の熱硬化樹脂と同じ熱硬化性樹脂であることを
    特徴とする請求項1記載の繊維強化熱硬化樹脂製レール
    継目板。
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