JP3065035B2 - 高性能なRecA様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体の調製方法及びその利用 - Google Patents

高性能なRecA様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体の調製方法及びその利用

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、RecA 様組換え酵
素(リコンビナーゼ)/1本鎖核酸プローブ複合体(si
ngle-stranded nucleoprotein filament)の調製方法、
及び該方法により調製されたRecA 様組換え酵素/1本
鎖核酸プローブ複合体の利用に関する。
【0002】
【従来の技術】in vitro で相同組換え反応(homologou
s pairing)及び/又はDNA鎖交換反応(strand exch
ange)を触媒する種々の組換え酵素タンパク質(recomb
inase)が、多くの原核生物や真核生物から単離精製さ
れている。これらの組換え酵素の中で現在までに最もよ
く研究されているのは、大腸菌由来の組換え酵素である
RecA タンパク質である(柴田武彦、 細胞工学、 9、 N
o.4、 281-292、1990)。 RecA タンパク質は、in vitr
o において相同な1本鎖DNAと2本鎖DNA間の相同
組換えを行い、相同的に対合した3重鎖DNA構造やそ
の他の3本鎖の接合DNA分子(joint DNA molecule)
を作ることが知られている(B.Rigas ら、 Proc.Natl.A
cad.Sci.USA、 83、 9591-9595、 1986。 P.Hsieh ら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA、 89、 6492-6496、 1992。
L.J.Ferrin ら、 Science、 254、 1494-1497、 1991
等)。 また互いに相補的な2種類の1本鎖DNA(com
plementary single-stranded DNA)と、それらと相同な
部位を有する2本鎖DNAとの間でダブルDループと呼
ばれる4本鎖DNA構造を作ることも知られている(E.
P.Sena、 Nature Genetics、 3、 365-372、 1993。 V.
K.Jayasena ら、 J.Mol.Biol.、 230、 1015、 199
3)。さらに、RecA タンパク質は、 DNA−DNA間
の対合反応のみならず、相同なRNAとの間でDNA−
RNA間の対合反応を行い得ること(D.Kirkpatrick
ら、 Nucleic Acids Res.、 20、 4339-4346及び 4347-
4353、 1992)や、 相同なRNA/DNAハイブリッド
との間での対合反応を行い得ることも知られている(H.
Kotani ら、 Mol.Gen.Genet.、 250、 626-634、 199
6)。このような RecA タンパク質の特性を利用して、
溶液中に微量に存在する(モル比で50〜数百分子に1分
子の割合)特定の2本鎖標的DNAを単離する方法(S.
M.Honigberg ら、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA、 83、 958
6-9590、 1986。 B.Rigas ら、 Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、 83、 9591-9595、 1986。 M.Teintze ら、 Bioche
m.Biophys.Res.Commun.、 211、 804-811、 1995。 米
国特許4,888274)や、固定した細胞中の2本鎖標的核酸
を検出するインサイチュハイブリダイゼーション法が開
発されている。WO93/05177)。
【0003】しかしながら、試料中に極微量しか存在し
ない(例えばモル比で1,000分子に1分子以下の割合)
ような2本鎖標的核酸分子を RecA タンパク質に代表さ
れる組換え酵素を利用してターゲティング、濃縮(enri
chment)、検出及び/又は単離するためには、 その目
的に適したより高性能な RecA 様組換え酵素(リコンビ
ナーゼ)/1本鎖核酸プローブ(2本鎖標的核酸配列と
十分に相補的な配列を有するホモプローブを含む)複合
体(single-stranded nucleoprotein filament)の調製
法を開発し、反応効率、収率や特異性をさらに向上させ
る必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、試料中の2
本鎖標的核酸に高い反応性及び特異性を示すRecA 様組
換え酵素/1本鎖核酸プローブ(2本鎖標的核酸配列と
十分に相補的な配列を有するホモプローブを含む)複合
体の調製方法、並びに該方法により調製されたRecA 様
組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体の2本鎖標的核
酸配列のターゲティング、濃縮(enrichment)、検出及
び/又は単離への利用を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】相補的な配列を有する2
本鎖標的核酸と効果的に且つ特異的に安定な複合体を形
成し得る安定な RecA/1本鎖核酸プローブ複合体(sin
gle-stranded nucleoprotein filament)を、ATPγ
S及び低濃度の Mg2+ の存在下、 SSB(single-stra
nd binding protein)非存在下で、1本鎖DNAに Rec
A タンパク質を反応させて調製する方法が、 すでに Ra
dding らによって開発されている(米国特許 4,888,27
4)。彼らは、 0.5−2mM の濃度のATPγS存在下で
行うのが好ましく、最低 0.5mM 以上必要であると述べ
ている(同特許の7ページ及び請求項8)。
【0006】しかし、本来 RecA タンパク質1分子に対
してATP等のヌクレオチドコファクター1分子が結合
すると考えられている。ATPをコファクターとして用
いる場合は、RecA タンパク質自身が保有するATPase
活性によってADPに分解され、RecA タンパク質/A
DP複合体は1本鎖DNAから解離してしまうので、安
定な RecA/1本鎖核酸プローブ複合体を形成させるた
めには大過剰のATPもしくはATP再生系(ホスホク
レアチン+クレアチンキナーゼ等)を共存させる必要が
あるが、ATPγS等のATPaseによって分解されに
くいコファクターを用いる場合は、 ADPに分解され
て RecA タンパク質/ADP複合体となって1本鎖核酸
から解離することもなく、 RecA タンパク質に対するア
フィニティーも非常に強いので、 大過剰に加える必要
はないと本発明者らは考えた。 また、 本発明者らはこ
のような観点から、 ATPγS等の該難分解性ヌクレ
オチドコファクターについては、 反応液中での絶対的
な濃度ではなく、 反応中に存在する1本鎖核酸プロー
ブを構成しているヌクレオチド残基の分子数や、RecAタ
ンパク質の分子数に対して何分子程度の該難分解性ヌク
レオチドコファクターが存在するのが最適かを論じるべ
きであると考えた。
【0007】Radding らの米国特許 4,888,274 号明細
書には、 「相補的な配列を有する2本鎖標的DNAと
効果的に且つ特異的に安定な複合体を形成し得る安定な
RecA/1本鎖DNAプローブ複合体の形成は、 0.5−2
mM の Mg2+、 0.5−2mM のATPγS、 0.1−50μM
(この場合のモル数はDNAを構成するヌクレオチド残
基のモル数であり、1M=350g/l である。)の1本鎖D
NA、 及び1本鎖DNAの1/4量以上、好ましくは
1/3量(約 0.033−16.7μM)の RecA タンパク質存
在下で行うのが好ましい」と記載されている(同特許の
7〜8ページ)。この場合のATPγSの分子数は、
1本鎖DNAを構成しているヌクレオチド残基の分子数
の10倍から2万倍、また RecA タンパク質の分子数の約
30倍から60,000倍に相当する。 また、 「該 RecA/1
本鎖DNAプローブ複合体をもちいて塩基配列特異的な
プローブ/RecA/2本鎖標的DNA複合体を効率よく形
成させるためには、試料中の全DNA(プローブ+2本
鎖DNA)量に依存して RecA量を最適化する必要があ
る。」とも記載されており(同特許の9〜10ページ)、
1.6mM のATPγS、 8fmol(100μl 中。 この量はヌ
クレオチド残基のモル数では約0.46 μM になる。 同特
許の10ページの43〜49行)の1本鎖プローブ、0.32nM
の2本鎖DNA存在下で、RecA 量を 0.08〜5.12μM に
変化させた実験により、 その場合の最適 RecA 量が 0.
32μM であり、 0.16μM より下や 0.64μM より上の R
ecA 濃度では該プローブ/RecA/2本鎖標的DNA複合
体の形成が低下したと述べている。 従って、 この場合
のATPγSの分子数は、 1本鎖プローブを構成して
いるヌクレオチド残基の分子数の約3,500倍、 また Rec
Aタンパク質の分子数の2,500〜10,000倍に相当する。
【0008】上記のように通常は大過剰のATPγS等
の難分解性ヌクレオチドコファクター(最低でも、 1
本鎖プローブに含まれるヌクレオチド残基の分子数の10
倍、また RecA タンパク質の分子数の30倍のATPγ
S)が使用されている。本発明者らは、ATPγS等の
RecA 様組換え酵素自身が保有するATPase等のヌ
クレオシドトリホスファターゼ活性によって分解されに
くい難分解性ヌクレオチドコファクターを使用する場合
は、 従来法のように大過剰に加える必要はなく、 AT
PγS等の難分解性ヌクレオチドコファクターが大過剰
存在するとむしろRecAタンパク質/1本鎖核酸プローブ
/2本鎖標的核酸複合体形成の反応効率、収率や特異性
に悪影響を及ぼすのではないかと考え、反応中に存在す
る、 1本鎖核酸プローブを構成しているヌクレオチド
残基の分子数や RecA タンパク質の分子数の何倍程度の
該難分解性ヌクレオチドコファクターが存在するのが最
適かを詳細に検討した結果、該難分解性ヌクレオチドコ
ファクターの分子数が、1本鎖核酸プローブを構成して
いるヌクレオチド残基の分子数の1/4以上で、RecA
様組換え酵素の分子数の10倍以下、好ましくは5倍以
下、より好ましくは3倍以下である条件下で、 RecA 様
組換え酵素(リコンビナーゼ)/1本鎖核酸プローブ
(2本鎖標的核酸配列と十分に相補的な配列を有するホ
モプローブを含む)複合体(single-stranded nucleopr
otein filament)を調製し、該複合体を2本鎖標的核酸
を含む試料に接触させることによって、RecA 様組換え
酵素/1本鎖核酸プローブ/2本鎖標的核酸複合体を極
めて効率よく且つ特異的に形成させることができること
を見いだした。
【0009】さらに、本発明者らは、調製したRecA 様
組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体を用いて2本鎖
標的核酸に対し相同組換え反応を行う際に、1価のカチ
オンを共存させることにより、該反応の精度(fidelit
y)や特異性のみならず、反応効率や収量を著しく向上
させることができることを見いだし、これにより本発明
を完成するに至った。
【0010】本発明は、試料中の2本鎖標的核酸に高い
反応性及び特異性を示すRecA 様組換え酵素/1本鎖核
酸プローブ(2本鎖標的核酸配列と十分に相補的な配列
を有するホモプローブを含む)複合体の調製方法、並び
に該方法により調製されたRecA 様組換え酵素/1本鎖
核酸プローブ複合体の2本鎖標的核酸配列のターゲティ
ング、濃縮(enrichment)、検出及び/又は単離への利
用に関し、より詳しくは、(1) 分子数が1本鎖核酸
プローブを構成しているヌクレオチド残基の分子数の1
/4以上で、かつ、 RecA 様組換え酵素の分子数の10倍
以下である難分解性ヌクレオチドコファクターの存在下
で、ホモプローブを含む1本鎖核酸プローブ試料と Rec
A 様組換え酵素とを反応させることを特徴とする、RecA
様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体を調製する
方法、(2) 難分解性ヌクレオチドコファクターがA
TPγS、ADP・AlF4 (ATP、硝酸アルミニ
ウム、及びフッ化ナトリウムの混合物、又はADP、硝
酸アルミニウム、及びフッ化ナトリウムの混合物)、d
ADP・AlF4 (dATP、硝酸アルミニウム、及
びフッ化ナトリウムの混合物、又はdADP、硝酸アル
ミニウム、及びフッ化ナトリウムの混合物)、ADP・
BeF3 (ATP、硫酸ベリリウム、及びフッ化ナト
リウムの混合物、又はADP、硫酸ベリリウム、及びフ
ッ化ナトリウムの混合物)、又はdADP・BeF3
(dATP、硫酸ベリリウム、及びフッ化ナトリウムの
混合物、又はdADP、硫酸ベリリウム、及びフッ化ナ
トリウムの混合物)である(1)に記載の方法、(3)
ホモプローブが、互いに十分に相補的な少なくとも2
種類のホモプローブである、(1)に記載の方法、
(4) 1本鎖核酸プローブ試料が、ホモプローブと、
少なくとも1種類のヘテロプローブとの混合物である、
(1)〜(3)のいずれかに記載の方法、(5) 0.5
〜2.0mM の Mg2+存在下で1本鎖核酸プローブ試料と Re
cA 様組換え酵素とを反応させる、(1)に記載の方
法、(6) RecA 様組換え酵素が原核生物由来であ
る、(1)に記載の方法、(7) RecA 様組換え酵素
が大腸菌由来である、(1)に記載の方法、(8) Re
cA 様組換え酵素が標識又はリガンドを有する、
(1)、(6)、(7)のいずれかに記載の方法、
(9) ホモプローブが標識又はリガンドを有する、
(1)〜(7)のいずれかに記載の方法、(10)
(1)〜(9)のいずれかに記載のRecA 様組換え酵素
/1本鎖核酸プローブ複合体の調製に用いるための、Re
cA 様組換え酵素及び難分解性ヌクレオチドコファクタ
ーを含むキット、(11) 試料中の2本鎖標的核酸を
ターゲティング、濃縮(enrichment)、検出及び/又は
単離する方法であって、(a)(9)に記載の方法で調
製した RecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体
を2本鎖標的核酸を含む試料に接触させる工程、(b)
形成された2本鎖標的核酸と標識又はリガンドを有する
ホモプローブとの複合体を固相に捕捉する工程、及び
(c)固相に捕捉されなかった2本鎖核酸及びプローブ
を除去する工程、を含む方法、(12) 試料中の2本
鎖標的核酸をターゲティング、濃縮、検出及び/又は単
離する方法であって、(a)(9)に記載の方法で調製
した RecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体を
形質転換可能なベクターに挿入された2本鎖標的核酸を
含む試料に接触させる工程、(b)形成された2本鎖標
的核酸と標識又はリガンドを有するホモプローブとの複
合体を固相に捕捉する工程、(c)固相に捕捉されなか
った2本鎖核酸及びプローブを除去する工程、(d)固
相に捕捉された2本鎖標的核酸を含む画分を固相から遊
離し、該2本鎖標的核酸を含む画分を適当な宿主細胞に
形質転換する工程、及び(e)該2本鎖標的核酸を有す
る形質転換細胞を選択する工程、を含む方法、(13)
標識又はリガンドが、ビオチン又はジゴキシゲニンで
ある、(8)、(9)、(11)、(12)のいずれか
に記載の方法、(14) 固相が、アビジン(ストレプ
トアビジン)又は抗ジゴキシゲニン抗体を結合させた磁
性ビーズ(マグネットビーズ)である、(13)に記載
の方法、(15) (8)又は(9)に記載の方法で調
製した RecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体
を用いる、固定細胞試料中に存在する2本鎖標的核酸を
インサイチュハイブリダイゼーション法によって検出す
る方法、(16) (1)〜(9)のいずれかに記載の
方法で調製した RecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プロー
ブ複合体を用いる、生細胞試料中に存在する2本鎖標的
核酸をインビボ遺伝子ターゲティング法によってターゲ
ティングする方法、(17) 2本鎖標的核酸が2本鎖
標的DNAである、(1)、(11)、(12)、(1
5)、(16)のいずれかに記載の方法、(18) 1
価のカチオン共存下でRecA 様組換え酵素/1本鎖核酸
プローブ複合体と2本鎖標的核酸を含む試料とを反応さ
せることを特徴とする、(11)〜(16)のいずれか
に記載の方法、(19) 1価のカチオンがナトリウム
イオン又はカリウムイオンである、(18)に記載の方
法、(20) ナトリウムイオンが150mM 以下の塩化ナ
トリウム又は250mM 以下の酢酸ナトリウムに由来し、
カリウムイオンが150mM 以下の塩化カリウム又は250mM
以下の酢酸カリウムに由来する、(19)に記載の方
法、(21) (1)〜(9)のいずれかに記載の方法
で調製した RecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複
合体を含む、試料中の2本鎖標的核酸をターゲティン
グ、濃縮(enrichment)、検出及び/又は単離するため
のキット、を提供するものである。
【0011】なお、本発明において「ホモプローブ(ho
mologous probe)」とは、2本鎖標的核酸配列と十分な
相補性を有する1本鎖核酸プローブを指し、「ヘテロプ
ローブ(heterologous probe)」とは、2本鎖標的核酸
配列と十分な相補性を有しない1本鎖核酸プローブを指
す。また、本発明において、単に「プローブ」といった
場合には、ホモプローブ単独、またはホモプローブとヘ
テロプローブの混合物を指す。
【0012】また、本発明において「難分解性ヌクレオ
チドコファクター」とは、RecA 様組換え酵素自身が保
有するATPase等のヌクレオシドトリホスファター
ゼ活性によって分解されにくいヌクレオチドコファクタ
ーを指す。
【0013】また、本発明において「2本鎖標的核酸」
とは、ホモプローブが標的とする2本鎖核酸を指す。本
発明において、単に「2本鎖核酸」といった場合には、
2本鎖標的核酸及びホモプローブが標的としない2本鎖
核酸の双方を含む。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明におけるRecA様組換え酵素
(recombinase)とは、in vitroで相同的対合反応(ho
mologous pairing)及び/又はDNA鎖交換反応(stra
nd exchange)を、大腸菌RecAタンパク質と同様の機構
で触媒しうるタンパク質の一群を指す。該酵素は、多く
の原核生物や真核生物から単離精製されている。例え
ば、 大腸菌 RecA タンパク質の野生型(T.Shibata
ら、 Methods in Enzymology、 100、 197、 1983)及
びその変異型(例えば RecA 803:M.Madiraju ら、 Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA、 85、 6592、 1988。 RecA 44
1:H.Kawashima ら、 Mol.Gen.Genet.、 193、 288、19
84他)、その類似タンパク質であるT4ファージ由来の
uvsX タンパク質(T.Yonesaki ら、 Eur.J.Biochem.、
148、127、 1985)、枯草菌(Bacillus subtilis)由来
の RecA タンパク質(C.M.Lovett ら、 J.Biol.Chem.、
260、 3305、 1985)、黒穂菌(Ustilago)由来の Rec
1 タンパク質(E.B.Kmiec ら、 Cell、 29、 367、 198
2)、Thermusaquaticus や Thermus thermophilus のよ
うな耐熱性菌由来の RecA 様タンパク質(E.Angov ら、
J.Bacteriol.、 176、 1405、 1994。 R.Katoら、 J.Bi
ochem.、 114、 926、 1993)、酵母、 マウス、 ヒト
由来の RecA 様タンパク質(A.Shinohara ら、 Nature
Genetics、 4、 239、 1993)を包含する。
【0015】大腸菌の RecA タンパク質は、 常法(例
えば、S.Kuramitsu ら、 J.Biochem.、 90、 1033、 19
81。 T.Shibata ら、 Methods in Enzymology、 100
197、1983。)により大腸菌から精製して使用し得る。
又は、市販の RecA タンパク質(ベーリンガーマンハイ
ム社製、プロメガ社製等)を使用し得る。また、 大腸
菌の RecA タンパク質の定量は、 「extinction coeffi
cient ε1% 280=5.9」(N.L.Craig ら、 J.Biol.Che
m.、 256、 8309-8044、 1981)に基づいて行った。
【0016】本発明に用いられる2本鎖標的核酸は、D
NA、cDNAやRNA(DNA/RNAハイブリッ
ド、2本鎖構造を有するRNA領域等)を包含し、その
長さ、種類、形状等について特に制限はなく、環状(閉
環状・開環状)、直鎖状いずれでも差し支えない。好ま
しくは、2本鎖標的核酸は2本鎖標的DNAである。原
核生物や真核生物由来のジェノミックDNAやcDN
A、 ウイルスやファージ由来のDNA、 及びそれらの
ジェノミックDNAやcDNAの断片、またそれらの各
種DNAを含む各種のDNAライブラリー等のあらゆる
種類の2本鎖DNAが使用され得る。また溶液中に存在
する場合のみならず、常法により有機溶媒(メタノー
ル、 エタノール等)、 酸(酢酸等)、や架橋剤(ホル
マリン、パラホルムアルデヒド等)等で固定された細胞
もしくは細胞構造体(細胞内に存在する、細菌、ウイル
ス、又は核やミトコンドリアなどの器官、染色体、ある
いは、ウイルス、細菌などの血液サンプルなどの生体由
来の試料に存在する寄生体を包含)や、固定されていな
い生細胞もしくは細胞構造体に含まれていてもよい。
【0017】また、2本鎖標的核酸は必要に応じて、
常法によりRI(32P、 35S等)、蛍光色素(FIT
C、 ローダミン等)、 酵素標識(パーオキシダーゼ、
アルカリホスファターゼ等)、 化学発光剤(アクリジ
ニウムエステル等)、 ビオチンやジゴキシゲニン等の
種々の標識又はリガンドによって、 検出及び/又は単
離のために標識され得る。
【0018】本発明に用いられる1本鎖核酸プローブ
は、1本鎖の核酸であり、通常は1本鎖のDNAが用い
られる。 形状については特に制限はなく、 環状であっ
ても直鎖状であっても差し支えない。1本鎖核酸プロー
ブ試料は、 標的配列と十分な相補性を有する1本鎖核
酸プローブ(ホモプローブ)のみでもよいし、標的配列
と十分な相補性を有しない1本鎖核酸プローブ(ヘテロ
プローブ)との混合物でもよい。ヘテロプローブを混合
させることにより、特異性が向上することが知られてい
る(PCT/JP97/03019)。使用する1本鎖核酸プローブの
量は、該試料核酸の総量及びその中に含まれる該2本鎖
標的核酸の量等に合わせて最適化する必要がある。
【0019】本発明に用いられる前記「標的配列と十分
な相補性を有する1本鎖核酸プローブ(ホモプロー
ブ)」は、該標的配列の一部又は全体の塩基配列と少な
くとも70%以上の相同性を有する配列をその中に含んで
いる1本鎖核酸であり、通常は該配列を含む1本鎖DN
Aである。通常ホモプローブは、 2本鎖標的DNAと
ホモプローブとの間の塩基配列特異的な相同組換え反応
(homologous pairingによるハイブリダイゼーション反
応)を確実に実施するために、該2本鎖標的DNA配列
の一部又は全体の塩基配列と少なくとも90%以上の相同
性を有する配列をその中に含んでいることが好ましく、
95%以上の相同性を有する配列をその中に含んでいるこ
とがさらに好ましい。
【0020】該標的配列の一方又は両方の鎖に相補的な
2本鎖核酸プローブを変性することによっても調製し得
る。上記ホモプローブ鎖は、また、試料中のいずれのD
NA鎖にも相補的でない末端伸張配列部分を含有し得
る。2本鎖プローブの両方の鎖がこのような末端伸張配
列部分を含有する場合は、 これらの伸張部分は互いに
相補的で有り得る。
【0021】市販の多くの1本鎖又は2本鎖核酸プロー
ブを使用し得る。あるいは、当該技術分野で公知のプロ
ーブ調製法により、例えば、該配列を有するプラスミド
やコスミド又はその他のベクターから直接調製され得
る。必要に応じて、ベクターからプローブ部分を制限酵
素で切り出し、電気泳動によって特異的な制限酵素断片
を単離したり、PCR法によってプローブ部分のみを増
幅することにより調製され得る。このようにして得られ
たプローブは通常2本鎖であるが、必要に応じてこれら
を1本鎖に変性したり、M13ファージベクターのような
1本鎖ベクターにサブクローニングして使用し得る。あ
るいはオリゴヌクレオチド合成法によって1本鎖プロー
ブを調製し得る。長いプローブを調製する場合は、プロ
ーブのサブフラグメントを合成した後、それらのサブフ
ラグメントをつなぎ合わせて調製され得る。
【0022】前記ホモプローブが有すべき標的配列と相
同な配列の長さは少なくとも15塩基以上であり、 好ま
しくは25〜2,000塩基であり、 より長い(2,000塩基以
上)ポリヌクレオチドプローブも使用され得る。
【0023】また、ホモプローブは必要に応じて、 常
法によりRI(32P、 35S等)、蛍光色素(FIT
C、ローダミン等)、 酵素標識(パーオキシダーゼ、
アルカリホスファターゼ等)、 化学発光剤(アクリジ
ニウムエステル等)、 ビオチンやジゴキシゲニン等の
種々の標識又はリガンドによって、検出及び/又は単離
のために標識され得る。本発明に用いられる前記「ヘテ
ロプローブ」とは、標的配列と十分な相補性を有しない
核酸プローブを指し、通常は1本鎖DNAである。標的
配列以外の配列、例えば、標的配列が挿入されているベ
クター部分の配列等とは、相補性が低いことが好まし
い。
【0024】形状については特に制限はなく、 環状で
あっても直鎖状であっても差し支えない。2本鎖核酸ヘ
テロプローブを変性することによっても調製し得る。
【0025】例えば、該試料DNAがヒト由来DNAで
あるような場合は、ウイルスやバクテリオファージを含
む種々の微生物由来の1本鎖核酸プローブ(好ましくは
M13やφX174等の1本鎖ファージDNAやラムダファ
ージ由来のDNA断片を1本鎖化したもの)、ヒト以外
の真核生物由来の1本鎖核酸プローブ(好ましくはサケ
精子やニシン精子由来のDNA断片を1本鎖化したも
の)等をヘテロプローブとして使用し得る。また、ラン
ダムな配列を有する適度な長さの合成DNA混合物もヘ
テロプローブとして使用し得る。
【0026】ヘテロプローブは通常いかなる標識又はリ
ガンドも有していない。前記ヘテロプローブの長さは少
なくとも15塩基以上であり、 好ましくは30〜10,000塩
基であり、より好ましくは60〜7,000塩基であり、 より
長い(10,000塩基以上)ポリヌクレオチドプローブも使
用され得る。
【0027】尚、ホモプローブとヘテロプローブとを混
合して使用する場合の両者の好ましい重量比は、約1:
1から約1:500程度である。使用するホモプローブ及
びヘテロプローブの総量や両者の重量比については、該
試料核酸の総量及びその中に含まれる該2本鎖標的核酸
の量等に合わせて最適化する必要がある。
【0028】本発明に使用され得る難分解性ヌクレオチ
ドコファクターとしては、ATPγS、ADP・AlF
4 (ATP・硝酸アルミニウム・フッ化ナトリウム混
合物又はADP・硝酸アルミニウム・フッ化ナトリウム
混合物)、dADP・AlF 4 (dATP・硝酸アル
ミニウム・フッ化ナトリウム混合物又はdADP・硝酸
アルミニウム・フッ化ナトリウム混合物)、ADP・B
eF3 (ATP・硫酸ベリリウム・フッ化ナトリウム
混合物又はADP・硫酸ベリリウム・フッ化ナトリウム
混合物)やdADP・BeF3 (dATP・硫酸ベリ
リウム・フッ化ナトリウム混合物又はdADP・硫酸ベ
リリウム・フッ化ナトリウム混合物)が挙げられる(L.
P.Moreau ら、 J.Biol.Chem.、 264、 2302-2306、 198
9。 A.J.Lange ら、 J.Biol.Chem.、 261、 101-107、
1986。 S.C.Kowalczykowski ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA、 92、 3478-3482、 1995)。
【0029】上記難分解性ヌクレオチドコファクターの
分子数が、1本鎖核酸プローブを構成しているヌクレオ
チド残基の分子数の1/4以上で、 RecA 様組換え酵素
の分子数の10倍以下、好ましくは5倍以下、より好まし
くは3倍以下である条件下で、ホモプローブを含む1本
鎖核酸プローブ試料と RecA 様組換え酵素とを反応させ
ることによって、試料中の2本鎖標的核酸のターゲティ
ング、濃縮(enrichment)、検出及び/又は単離に適し
た RecA 様組換え酵素(リコンビナーゼ)/1本鎖核酸
プローブ複合体(single-stranded nucleoprotein fila
ment)を調製する。尚、 ATPγSを使用する場合
は、ATPγSの3〜4倍量のADPを共存させてもよ
い。
【0030】すなわち、前記ホモプローブ単独又はホモ
プローブとヘテロプローブの混合物を、通常予め約95〜
100℃で約5分間程度熱変性して1本鎖核酸プローブ試
料を調製し、約20秒から1分間氷冷した後、 前記 RecA
タンパク質との結合反応に使用する。 必要に応じて R
ecA タンパク質との結合反応前に約5〜20秒間程度0〜
4℃で遠心する。変性によって1本鎖化されたプローブ
は−20℃のフリーザーで保存し得るが、好ましくは、氷
水中で直ちに該1本鎖化プローブに上記の量比の該難分
解性ヌクレオチドコファクターと RecA タンパク質とを
標準的な RecA コーティング反応溶液[反応液中の各成
分の最終濃度が以下の範囲になるように調製し得る;1
〜100mM(好ましくは 10〜35mM)トリス塩酸又は酢酸緩
衝液(pH約 7.5)、 0.5〜12.5mM(好ましくは 0.5〜2m
M)塩化マグネシウム又は酢酸マグネシウム、 0〜50mM
塩化ナトリウム又は塩化カリウム、もしくは0〜100mM
酢酸ナトリウム又は酢酸カリウム、 0〜1mM ジチオ
スレイトール、 0〜100mM EGTA、 0〜50mM スペ
ルミジン、 0〜10%グリセロール]中で混合する。 混
合液の総量としては、100μl 以下が好ましく、 5〜40
μl 程度がより好ましい。この混合液を37℃で5〜20分
間保温することによって、 1本鎖核酸プローブ試料に
RecA タンパク質を結合させて RecA タンパク質/1本
鎖核酸プローブ複合体(single-stranded nucleoprotei
n filament)を形成させる。
【0031】上記のコーティング反応溶液には、少なく
とも1本鎖核酸プローブを構成している4ヌクレオチド
残基に対して1分子以上、好ましくは3ヌクレオチド残
基に対して1分子以上の割合で RecA タンパク質を添加
する必要があり、RecA タンパク質の総量については、
使用する1本鎖核酸プローブ量のみならず、2本鎖標的
核酸を含む該核酸試料の総量等に合わせて最適化する必
要がある。必要に応じて、SSB(single-strand bind
ing protein)、トポイソメラーゼIやトポイソメラー
ゼIIなどの共存下で実施し得る。
【0032】また、場合によっては、1本鎖化された核
酸プローブ、該難分解性ヌクレオチドコファクターと R
ecA タンパク質とを標準的な RecA コーティング反応溶
液と混合する際に、同時に2本鎖標的核酸を含む試料核
酸も加えて、RecA タンパク質/1本鎖核酸プローブ複
合体の形成と、該複合体と2本鎖標的核酸との相同組換
え反応(homologous pairing)とを同時に行うことも可
能である。ただし、その場合には Mg2+ の濃度を4mM
以上にしておくか、スペルミジンを共存させるのが好ま
しい。
【0033】また前記ホモプローブについては、WO95/1
8236に記載されているような種々の標識又はリガンドを
有する RecA タンパク質と結合させて標識又はリガンド
付 RecA タンパク質/ホモプローブ複合体を調製して使
用することもできる。 ヘテロプローブについてはその
ような種々の標識又はリガンドを有する RecA タンパク
質との複合体を調製して使用することは好ましくない。
【0034】上記のように本発明に従って調製された R
ecA タンパク質/1本鎖核酸プローブ複合体を、 該2
本鎖標的核酸が変性されない条件、 例えば2本鎖核酸
の変性がおこる温度以下で、該試料核酸に添加し、相同
組換え反応(homologous pairing)に適した条件下で、
5分〜24時間、 好ましくは10分〜2時間、37℃で反応
させることによって、該2本鎖標的核酸と RecA タンパ
ク質/1本鎖核酸プローブ複合体との複合体(RecA タ
ンパク質/1本鎖核酸プローブ/2本鎖標的核酸複合
体)を形成させ得る。
【0035】この相同組換え反応(ハイブリダイゼーシ
ョン反応)に適した反応条件とは、上記 RecA コーティ
ング反応の条件とほぼ同じで、 下記の反応溶液中で実
施し得る。即ち、反応液中の各成分の最終濃度が以下の
範囲になるように調製する。1〜100mM(好ましくは 10
〜35mM)トリス塩酸又は酢酸緩衝液(pH約7.5)、 4〜
25mM(好ましくは4〜12.5mM)塩化マグネシウム又は酢
酸マグネシウム、 0〜150mM 塩化ナトリウム又は0〜2
50mM 酢酸ナトリウム又は0〜150mM 塩化カリウム又は
0〜250mM 酢酸カリウム、0〜1mM ジチオスレイトー
ル、 0〜100mMEGTA、 0〜50mM スペルミジン、
0〜10%グリセロール。
【0036】相同組換え反応時に反応系に新たにヌクレ
オチドコファクターを添加する必要はない。相同組換え
反応に使用する該 RecA タンパク質/1本鎖核酸プロー
ブ複合体の量については、 2本鎖標的核酸を含む該核
酸試料の総量等に合わせて最適化する必要がある(米国
特許第4,888,274号。PCT/JP97/03019)。
【0037】本発明に従って調製したRecA様組換え酵素
/1本鎖核酸プローブ複合体を用いて2本鎖標的核酸に
対し相同組換え反応を行う際に、1価のカチオン、例え
ば、150mM以下の塩化ナトリウムもしくは塩化カリウ
ム、又は250mM以下の酢酸ナトリウムもしくは酢酸カリ
ウムを共存させることにより、該反応の精度(fidelit
y)や特異性のみならず、反応効率や収量を向上させる
ことができる。添加する塩の種類や濃度は、2本鎖標的
核酸の種類、形状(閉環状、開環状、直鎖状)やホモプ
ローブが有する標的配列と相同な配列の長さ等に合わせ
て最適化する必要がある。例えば、2本鎖標的核酸が閉
環状の2本鎖DNAである場合には、25〜150mMの塩化
ナトリウムもしくは塩化カリウム、又は50〜250mMの酢
酸ナトリウムもしくは酢酸カリウムを共存させることに
より、該反応の精度(fidelity)や特異性のみならず、
反応効率や収量を著しく向上させることができる。
【0038】このことは、大過剰のATPγSやATP
の存在下で、RecAタンパク質/1本鎖DNAプローブ複
合体の調製と2本鎖標的DNAとの相同組換え反応とを
同時に行った場合に見られた「100mM の塩化カリウム存
在下で相同組換え反応を行うと、 プローブ/2本鎖標的
DNA複合体の収量は変化せずに、精度(fidelity)や
特異性だけが向上する(V.A.Malkov ら、 J.Mol.Bio
l.、 271、 168-177、 1997)」とか、「DNA鎖交換
反応(strand exchange)は、50mMのナトリウム塩に
よって部分的に阻害され、100mM の塩化ナトリウムもし
くは 200mM の酢酸ナトリウム存在下ではほぼ完全に阻
害される(L.J.Roman ら、 Biochemistry、25、 7375-7
385、 1986)」とか、「Dループ形成反応(D-loop for
mation)は、20mMの塩化ナトリウムによって20%阻害さ
れ、50mMの塩化ナトリウムによって完全に阻害される
(T.Shibata ら、 J.Biol.Chem.、 256、 7565-7572、
1981)」とかといった従来の知見とは、全く異なる新し
い知見である。
【0039】本発明に従って調製されたRecA タンパク
質/種々の標識もしくはリガンドを有するホモプローブ
複合体、又は種々の標識もしくはリガンドを有する Rec
A タンパク質/ホモプローブ複合体と、それらを用いた
相同組換え反応によって、2本鎖標的核酸との間で形成
された複合体(RecA タンパク質/種々の標識もしくは
リガンドを有するホモプローブ/2本鎖標的核酸複合
体、又は種々の標識もしくはリガンドを有する RecA タ
ンパク質/ホモプローブ/2本鎖標的核酸複合体)や、
RecA タンパク質/ホモプローブ複合体と、種々の標識
又はリガンドを有する2本鎖標的核酸との間で形成され
た複合体(RecA タンパク質/ホモプローブ/種々の標
識又はリガンドを有する2本鎖標的核酸複合体)の検出
又は単離は、 公知の方法によって行い得る(米国特許
第4,888,274号。 WO93/05177。 WO93/05178。 WO95/182
36。 M.Teintze ら、 Biochem.Biophys.Res.Commun.、
211、804-811、 1995。PCT/JP97/03019等)。
【0040】2本鎖標的DNAの好ましい濃縮、検出及
び/又は単離方法としては、例えばビオチンで標識した
ホモプローブ(ビオチン標識ホモプローブ)と非標識ヘ
テロプローブとを適当な比率で混合して調製した1本鎖
DNAプローブ試料、少なくとも1本鎖DNAプローブ
の4ヌクレオチド残基に対して1分子以上の RecA タン
パク質、 及び少なくとも1本鎖DNAプローブを構成
しているヌクレオチド残基の分子数の1/4以上で Rec
A タンパク質の分子数の10倍以下(好ましくは5倍以
下、より好ましくは3倍以下)の分子数の、ATPγS
等の難分解性ヌクレオチドコファクターを、pH7.5 で、
0.5〜2mM の Mg2+ が存在する条件下で37℃で反応さ
せて RecA タンパク質/1本鎖核酸プローブ複合体を調
製し、該複合体を2本鎖標的DNAを含む試料核酸に加
えて、4〜12.5mM の Mg2+、 150mM以下の塩化ナトリウ
ムもしくは塩化カリウム、 又は 250mM 以下の酢酸ナト
リウムもしくは酢酸カリウム存在下で、 37℃で相同組
換え反応をさせた後、形成されたビオチン標識ホモプロ
ーブ/2本鎖標的DNA複合体をストレプトアビジン結
合マグネットビーズ(ダイナル社製等)で捕捉し、捕捉
されなかった2本鎖核酸やプローブを洗浄した後、ビー
ズに結合したビオチン標識ホモプローブ/2本鎖標的D
NA複合体を、 塩化ナトリウムを含有する溶液中で室
温〜85℃で約5〜15分程度処理することによって該2本
鎖標的DNAを含む画分を遊離(溶出)させる方法が挙
げられる。また、このようにして回収された該2本鎖標
的DNAを含む画分を、適当なベクターに挿入した後、
適当な宿主細胞に形質転換し、該2本鎖標的DNAを有
する形質転換細胞を選択し、該形質転換細胞から該標的
DNAを回収することも可能である。尚、該2本鎖標的
DNAが元々形質転換可能なベクターに挿入されている
場合は、新たにベクターに挿入し直す必要はなく、その
まま形質転換に使用し得る。
【0041】本発明に従って調製された RecA 様組換え
酵素/1本鎖核酸プローブ複合体の利用法としては、ま
ず、cDNAやジェノミックDNAの混合物から標的遺
伝子を濃縮及び/又は単離し、そのクローニングを行う
ことや、種々の遺伝子ライブラリー(cDNAライブラ
リー、又は、コスミド、P1、BACやYAC等のジェ
ノミックDNAライブラリー)から標的遺伝子をスクリ
ーニングすることが挙げられる。
【0042】また、標的DNA配列の増幅(米国特許第
5,223,414号、 WO91/17267)や、オリゴヌクレオチドプ
ローブを利用するRARE(RecA-assisted restrictio
n endonuclease cleavage)法(L.J.Ferrin ら、 Natur
e Genetics、 6、 379、 1994)を含む種々の遺伝子マ
ッピング(B.M.J.Revet ら、 J.Mol.Biol.、 232、 77
9、 1993)、オリゴヌクレオチドを利用する標的DNA
の塩基配列特異的な修飾(メチル化やアルキル化など)
や切断(M.Koob ら、 Nucleic Acid Res.、 20、5831、
1992。 E.I.Golub ら、 Nucleic Acid Res.、 20、 31
21、 1992。 A.Mikhail ら、 Biochemistry、 34、 130
98、 1995)にも利用することが可能である。
【0043】また、cDNAやジェノミックDNA等の
混合物を含む臨床検体から、特定の標的DNAを単離及
び/又は検出することによる、各種遺伝子異常や変異の
診断及び、種々の病原性微生物やウイルスによる感染症
の診断にも利用可能である。
【0044】さらには、本発明に従って調製された Rec
A 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体は、WO93/0
5177 や WO95/18236 に記載されている RecA タンパク
質を利用するインサイチュハイブリダイゼーション法に
も利用可能であり、 また、生細胞中での遺伝子ターゲ
ティング(in vivo gene targeting)により遺伝子の改
変や転写阻害等を行うことによる遺伝子治療法やトラン
スジェニック法(米国特許第5,468,629号、 WO93/2244
3、 E.I.Golub ら、 Nucleic Acid Res.、 20、3121、
1992、 E.I.Golub ら、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA、 9
0、 7186、 1993等)にも利用可能である。
【0045】本発明はまた、本発明に従ってRecA 様組
換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体を調製するための
キットを提供する。このキットには、適正な量のRecA
様組換え酵素及び難分解性ヌクレオチドコファクターが
含まれる。また、例えば、ヘテロプローブを含んでいて
もよい。
【0046】本発明はさらに、本発明に従って調製した
RecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体を含
む、試料核酸中の2本鎖標的核酸のターゲティング、濃
縮(enrichment)、検出及び/又は単離するためのキッ
トを提供する。このキットにはRecA 様組換え酵素/1
本鎖核酸プローブ複合体以外の他の要素として、例え
ば、反応停止液、未反応の2本鎖核酸や1本鎖核酸プロ
ーブを洗浄するための洗浄液、2本鎖標的核酸と標識又
はリガンドを有するホモプローブとの複合体を補足する
ための固相(例えば、磁性ビーズなど)、及び/又は溶
出液を含んでいてもよい。
【0047】
【実施例】本発明を説明するために以下の実施例を示
す。これらの実施例は、本発明の例示であり、本発明を
限定するものではない。
【0048】[実施例1] 標的DNA、非標的DN
A、ホモプローブ及びヘテロプローブの調製 (1)2本鎖標的及び非標的DNAの調製 環状の2本鎖標的DNAとしてヒトガン抑制遺伝子であ
る p53 の全cDNA配列を含む全長6.6kb のプラスミ
ド php53B(R.Zakut-Houri ら、EMBO J.、 4、1251、 1
985)、 環状の2本鎖非標的DNAとしてプラスミドベ
クターであるpUC18(2.7kb)を、 それぞれ QIAGEN Pla
smid Maxi Kit(QIAGEN GmbH 社製)を用いてこれらの
プラスミドを含む大腸菌より精製した。 (2)ホモプローブの調製 p53 のcDNAの部分配列を有し、 その5'末端がビオ
チン化されている2本鎖275bp のフラグメントを、 5'
末端がそれぞれビオチン化されているプライマー「5'-C
CTTGCCGTCCCAAGCAATGGATGA-3'」(配列番号:2/配列
番号:1の塩基配列の1〜25番目に対応する)及び
「5'-CGTGCAAGTCACAGACTTGGCTGTC-3'」(配列番号:3
/配列番号:1の塩基配列の251〜275番目に対応す
る)、 Taq ポリメラーゼを用いる標準的なDNA増幅
反応条件(PCR法)によって調製し、使用時に熱変性
して1本鎖化したものをホモプローブとして用いた。p5
3cDNAのこの領域の塩基配列を配列番号:1に示
す。 (3)ヘテロプローブの調製 サケ精子由来のDNA(シグマ社製、TypeIII)を、 常
法(T.Maniatis ら、Molecular Cloning)によりフラグ
メント化した後、 熱変性して1本鎖化したものをヘテ
ロプローブとして用いた。
【0049】[実施例2] ATPγS存在下での RecA
タンパク質/1本鎖DNAプローブ複合体(single-st
randed nucleoprotein filament)の調製 実施例1(2)で調製した p53 のcDNA配列の一部
からなる 275bp の5'末端をビオチン化した2本鎖ホモ
プローブと、 実施例1(3)で調製したヘテロプロー
ブとを混合したものを、 滅菌水又はTE緩衝液(10mM
Tris-HCl、 1mMEDTA、 pH7.5)で希釈し、0.6ml 容量の
マイクロ遠心チューブに入れて沸騰水中で5分間加熱処
理することにより2本鎖プローブを変性した。 チュー
ブを氷水中に移して急冷した後、 1.0μlの10×コーテ
ィングバッファー[300mM Tris-HCl(pH7.5 at 37
℃)、 20mM MgCl2、 4mM DTT、 30%グリセロール]、
1.0μlのATPγS(シグマ社製)溶液(種々の濃度
に調製)、 RecA タンパク質(ベーリンガーマンハイム
社製)を加え、 全量が10μlになるように滅菌水で希釈
して37℃で12分間反応させることにより、種々の条件下
で RecA タンパク質/1本鎖DNAプローブ複合体(si
ngle-stranded nucleoprotein filament)の調製を行っ
た。 1本鎖プローブ(ホモプローブ+ヘテロプロー
ブ)濃度(プローブを構成するヌクレオチド残基のモル
濃度。1M=350g/l)、ATPγS濃度、RecA タンパ
ク質濃度、 ATPγS/ヌクレオチド残基(モル
比)、ATPγS/RecA タンパク質(モル比)に関し
ての詳しい条件は表1に示す通りである。
【0050】[実施例3] RecA タンパク質/1本鎖D
NAプローブ複合体を利用する2本鎖標的DNAの単離
(標的DNA:非標的DNA=1:50,000) A.相同組換え(homologous pairing)反応によるハイ
ブリダイゼーション 1.0μlの10×反応バッファー[300mM Tris-HCl(pH7.5
at 37℃)、 20mM MgCl2、 4mM DTT、 30%グリセロー
ル]、1.0μlの80mM MgCl2 溶液、実施例1(1)で調
製した2本鎖環状標的DNAである php53B を 49pg、
2本鎖環状非標的DNAである pUC18 を1μg(標的D
NAと非標的DNAのモル比は1:50,000)、及び表2
に示した濃度になるように必要に応じて NaCl、CH3COON
a、KCl やCH3COOK溶液を混合し、全量が10μlになるよ
うに滅菌水で希釈したものと、実施例2で調製した Rec
A タンパク質/1本鎖DNAプローブ(ホモプローブ+
ヘテロプローブ)複合体10μlとを混合し(最終的な反
応液量はいずれの場合も20μl)、 該複合体存在下で37
℃で45分間反応させた後、EDTA(final 10mM 程
度)を含む反応停止液を添加して反応を停止させた。
各反応に使用した RecA タンパク質/1本鎖DNAプロ
ーブ複合体の調製条件や、 各反応に含まれる塩の種類
(NaCl、CH3COONa、KCl 、CH3COOK)や濃度については
表2に示す通りである。 B.磁性ビーズによる捕捉/単離 ストレプトアビジンでコートされた磁性ビーズ(DYNAL
社製)20μlを0.6ml 容量のマイクロ遠心チューブに取
り、 磁性ビーズ分離ラック(MAGNA-SEP)を用いて100
μlの30mM Tris-HCl、 50mMNaCl(pH7.5)で2回洗浄し
た。洗浄液を除去後、これらの洗浄した磁性ビーズを含
むマイクロ遠心チューブに、上記の反応液(反応停止液
を含む)を全量加えてよく混合し、 室温で15分間放置
して捕捉した。 この間、 2〜3分間毎に撹拌した。磁
性ビーズ分離ラックを利用してビーズを分離し、上清を
除去した後、ホモプローブ/2本鎖標的DNA複合体が
壊れない条件(B.Rigas ら、 Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、 83、9591-9595、 1986。 M.Teintze ら、 Biochem.
Biophys.Res.Commun.、 211、 804-811、 1995等)で2
〜3回洗浄した。洗浄液を除去後、 10μlの30mM Tris-
HCl、 200mM NaCl(pH7.5)を加えてビーズとよく混合
した後、 85℃で8分間処理した。磁性ビーズ分離ラッ
クを利用して2本鎖標的DNAを含む上清を回収した。 C.トランスフォーメーション 野島らの方法(H.Inoue ら、 Gene、 96、 23、1990)
にしたがって大腸菌JM109株より調製したコンピーテン
トセル100μlを1.5ml容量のマイクロ遠心チューブに取
り、 Bで回収した上清10μl を加えて混合後、 氷中で
30分間保冷した。次に42℃で30秒間保温した後、 氷中
にもどして1〜2分間冷却した。 このチューブに0.5ml
のSOC培地(Bacto trypton 2%、Bacto yeast ext
ract 0.5%、NaCl 10mM、 KCl 2.5mM、 MgCl2 10mM、 M
gSO4 10mM、 グルコース 20mM)を加えて37℃で1時間
振盪後、LBプレート[20〜70μg/ml アンピシリン、
1mg/プレート X-gal(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-
β-D-galactoside)、0.5〜1.0mg/プレート IPTG
(isopropyl-β-D(-)-thiogalactopyranoside)を含
む。]にスプレッドして37℃で一晩培養した。 この条
件では、2本鎖標的DNAである php53B をトランスフ
ォームされた大腸菌は白色のコロニーを生じるが、 非
標的DNAである pUC18 をトランスフォームされた大
腸菌は青色のコロニーを生じる。
【0051】種々の反応条件下で得られたトランスフォ
ーメーションの結果を表2に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】 No.1〜8及び11〜20の結果より、相同組換え反応(ハ
イブリダイゼーション反応)中にナトリウム等の塩が存
在するしないにかかわらず、ATPγSの分子数が、1
本鎖DNAプローブを構成するヌクレオチド残基の分子
数の1/4以上で、RecAタンパク質の分子数の10倍以下
であるような条件下で調製したRecAタンパク質/1本鎖
DNAプローブ複合体を用いて2本鎖標的DNAの単離
を行った方(No.1〜5、11〜17)が、米国特許第4,88
8,274号に記載されているような量のATPγS(ヌク
レオチド残基の分子数の10倍以上、RecAタンパク質の分
子数の30倍以上、もしくは0.5〜2mM)存在下で調製
したRecAタンパク質/1本鎖DNAプローブ複合体を用
いて行った場合(No.6〜8、18〜20)よりも、2本鎖標
的DNAの収量、特異性ともにはるかに高かった。一
方、ATPγSの分子数を、1本鎖DNAプローブを構
成するヌクレオチド残基の分子数の1/5まで下げる
(No.9、10)と収量や特異性が低下した。
【0054】以上の結果より、ATPγSの分子数が、
1本鎖DNAプローブを構成するヌクレオチド残基の分
子数の1/4以上で、RecAタンパク質の分子数の10倍以
下であるような条件下で調製したRecAタンパク質/1本
鎖DNAプローブ複合体が、2本鎖標的DNAの単離に
最適であり、該複合体を用いて2本鎖標的DNAの単離
を行うと、極めて高い収量と特異性が得られることが判
明した。
【0055】さらに、No.1〜8と11、13、15〜20の結
果を比較すると、相同組換え反応(ハイブリダイゼーシ
ョン反応)中に100mMの塩化ナトリウムが存在する方
が、2本鎖標的DNAの収量、特異性ともに著しく向上
することがわかった。
【0056】さらに、No.13、21〜24及びNo.29〜33の結
果より、相同組換え反応(ハイブリダイゼーション反
応)中に添加する塩化ナトリウム及び塩化カリウムの濃
度は、150mM以下が好ましいことが判明した。一方、N
o.25〜28及びNo.34〜37の結果より、酢酸ナトリウム及
び酢酸カリウムの濃度は、250mM以下が好ましいこと
が判明した。
【0057】これらの結果より、2本鎖標的核酸が閉環
状の2本鎖DNAである場合には、25〜150mM程度の塩
化ナトリウムもしくは塩化カリウム、又は50〜250mM程
度の酢酸ナトリウムもしくは酢酸カリウムの共存下で相
同組換え反応を行うことにより、2本鎖標的DNAの単
離の精度(fidelity)や特異性のみならず、反応効率や
収量も著しく向上したと言える。このことは、大過剰の
ATPγSやATPの存在下で、RecAタンパク質/1本
鎖DNAプローブ複合体の調製と2本鎖標的DNAとの
相同組換え反応とを同時に行った場合に見られた「100m
M の塩化カリウム存在下で相同組換え反応を行うと、
プローブ/2本鎖標的DNA複合体の収量は変化せず
に、精度(fidelity)や特異性だけが向上する(V.A.Ma
lkov ら、 J.Mol.Biol.、 271、 168-177、 1997)」と
か、「DNA鎖交換反応(strand exchange)は、50m
Mのナトリウム塩によって部分的に阻害され、100mM の
塩化ナトリウムもしくは 200mM の酢酸ナトリウム存在
下ではほぼ完全に阻害される(L.J.Roman ら、 Biochem
istry、 25、 7375-7385、 1986)」とか、「Dループ形
成反応(D-loop formation)は、20mMの塩化ナトリウ
ムによって20%阻害され、50mMの塩化ナトリウムによ
って完全に阻害される(T.Shibata ら、 J.Biol.Che
m.、 256、 7565-7572、 1981)」とかといった従来の
知見とは、全く異なる新しい知見である。
【0058】
【発明の効果】本発明により、試料中の2本鎖標的核酸
に高い反応性及び特異性を示す RecA様組換え酵素/1
本鎖核酸プローブ(2本鎖標的核酸配列と十分に相補的
な配列を有するホモプローブを含む)複合体の調製する
ことが可能となった。本発明の方法により調製されたRe
cA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体を利用す
れば、効率的に2本鎖標的核酸配列のターゲティング、
濃縮(enrichment)、検出及び/又は単離を行うことが
でき、各種遺伝子異常や変異の診断、種々の病原性微生
物やウイルスによる感染症の診断、遺伝子治療やトラン
スジェニック法への応用も可能である。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> DAIKIN INDUSTRIES, LTD. <120> Method for preparing highly efficient RecA-like recombinase/sing le-stranded nucleic acid probe complex and its use <130> D2-001 <160> 3 <170> PatentIn version 2.0 <210> 1 <211> 275 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 1 ccttgccgtc ccaagcaatg gatgatttga tgctgtcccc ggacgatatt gaacaatggt 60 tcactgaaga cccaggtcca gatgaagctc ccagaatgcc agaggctgct ccccgcgtgg 120 cccctgcacc agcagctcct acaccggcgg cccctgcacc agccccctcc tggcccctgt 180 catcttctgt cccttcccag aaaacctacc agggcagcta cggtttccgt ctgggcttct 240 tgcattctgg gacagccaag tctgtgactt gcacg 275 <210> 2 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Artificially Synthesized Prim er Sequence <400> 2 ccttgccgtc ccaagcaatg gatga 25 <210> 3 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Artificially Synthesized Prim er Sequence <400> 3 cgtgcaagtc acagacttgg ctgtc 25
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小幡 和哲 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキ ン工業株式会社 淀川製作所内 (56)参考文献 特表 平4−507198(JP,A) 特表 平6−510201(JP,A) 米国特許4888274(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) BIOSIS(DIALOG) JICSTファイル(JOIS) WPI(DIALOG)

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子数が1本鎖核酸プローブを構成して
    いるヌクレオチド残基の分子数の1/4以上で、かつ、
    RecA 様組換え酵素の分子数の10倍以下である難分解性
    ヌクレオチドコファクターの存在下で、ホモプローブを
    含む1本鎖核酸プローブ試料と RecA 様組換え酵素とを
    反応させることを特徴とする、RecA様組換え酵素/1本
    鎖核酸プローブ複合体を調製する方法。
  2. 【請求項2】 難分解性ヌクレオチドコファクターがA
    TPγS、ADP・AlF4 (ATP、硝酸アルミニ
    ウム、及びフッ化ナトリウムの混合物、又はADP、硝
    酸アルミニウム、及びフッ化ナトリウムの混合物)、d
    ADP・AlF4 (dATP、硝酸アルミニウム、及
    びフッ化ナトリウムの混合物、又はdADP、硝酸アル
    ミニウム、及びフッ化ナトリウムの混合物)、ADP・
    BeF 3 (ATP、硫酸ベリリウム、及びフッ化ナト
    リウムの混合物、又はADP、硫酸ベリリウム、及びフ
    ッ化ナトリウムの混合物)、又はdADP・BeF3
    (dATP、硫酸ベリリウム、及びフッ化ナトリウムの
    混合物、又はdADP、硫酸ベリリウム、及びフッ化ナ
    トリウムの混合物)である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 ホモプローブが、互いに十分に相補的な
    少なくとも2種類のホモプローブである、請求項1に記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 1本鎖核酸プローブ試料が、ホモプロー
    ブと、少なくとも1種類のヘテロプローブとの混合物で
    ある、 請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 0.5〜2.0mM の Mg2+存在下で1本鎖核酸
    プローブ試料と RecA 様組換え酵素とを反応させる、請
    求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 RecA 様組換え酵素が原核生物由来であ
    る、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 RecA 様組換え酵素が大腸菌由来であ
    る、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 RecA 様組換え酵素が標識又はリガンド
    を有する、請求項1、6、7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 ホモプローブが標識又はリガンドを有す
    る、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のRecA
    様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体の調製に用
    いるための、RecA 様組換え酵素及び難分解性ヌクレオ
    チドコファクターを含むキット。
  11. 【請求項11】 試料中の2本鎖標的核酸をターゲティ
    ング、濃縮(enrichment)、検出及び/又は単離する方
    法であって、(a)請求項9に記載の方法で調製した R
    ecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体を2本鎖
    標的核酸を含む試料に接触させる工程、(b)形成され
    た2本鎖標的核酸と標識又はリガンドを有するホモプロ
    ーブとの複合体を固相に捕捉する工程、及び(c)固相
    に捕捉されなかった2本鎖核酸及びプローブを除去する
    工程、を含む方法。
  12. 【請求項12】 試料中の2本鎖標的核酸をターゲティ
    ング、濃縮、検出及び/又は単離する方法であって、
    (a)請求項9に記載の方法で調製した RecA 様組換え
    酵素/1本鎖核酸プローブ複合体を形質転換可能なベク
    ターに挿入された2本鎖標的核酸を含む試料に接触させ
    る工程、(b)形成された2本鎖標的核酸と標識又はリ
    ガンドを有するホモプローブとの複合体を固相に捕捉す
    る工程、(c)固相に捕捉されなかった2本鎖核酸及び
    プローブを除去する工程、(d)固相に捕捉された2本
    鎖標的核酸を含む画分を固相から遊離し、該2本鎖標的
    核酸を含む画分を適当な宿主細胞に形質転換する工程、
    及び(e)該2本鎖標的核酸を有する形質転換細胞を選
    択する工程、を含む方法。
  13. 【請求項13】 標識又はリガンドが、ビオチン又はジ
    ゴキシゲニンである、請求項8、9、11、12のいず
    れかに記載の方法。
  14. 【請求項14】 固相が、アビジン(ストレプトアビジ
    ン)又は抗ジゴキシゲニン抗体を結合させた磁性ビーズ
    (マグネットビーズ)である、請求項13に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 請求項8又は9に記載の方法で調製し
    た RecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体を用
    いる、固定細胞試料中に存在する2本鎖標的核酸をイン
    サイチュハイブリダイゼーション法によって検出する方
    法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜9のいずれかに記載の方法
    で調製した RecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複
    合体を用いる、生細胞試料中に存在する2本鎖標的核酸
    をインビボ遺伝子ターゲティング法によってターゲティ
    ングする方法。
  17. 【請求項17】 2本鎖標的核酸が2本鎖標的DNAで
    ある、請求項1、11、12、15、16のいずれかに
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 1価のカチオン共存下でRecA 様組換
    え酵素/1本鎖核酸プローブ複合体と2本鎖標的核酸を
    含む試料とを反応させることを特徴とする、請求項11
    〜16のいずれかに記載の方法。
  19. 【請求項19】 1価のカチオンがナトリウムイオン又
    はカリウムイオンである、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 ナトリウムイオンが150mM 以下の塩化
    ナトリウム又は250mM 以下の酢酸ナトリウムに由来し、
    カリウムイオンが150mM 以下の塩化カリウム又は250mM
    以下の酢酸カリウムに由来する、請求項19に記載の
    方法。
  21. 【請求項21】 請求項1〜9のいずれかに記載の方法
    で調製した RecA 様組換え酵素/1本鎖核酸プローブ複
    合体を含む、試料中の2本鎖標的核酸をターゲティン
    グ、濃縮(enrichment)、検出及び/又は単離するため
    のキット。
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