JP3064855U - 壁掛け用植木鉢 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 前傾姿勢で設置された場合でも外観性がよく
水が上縁部前側より溢れ出たりするの防止できるととも
に、効率よくかつ安定性よく積み重ねを行うことができ
る取扱い性のよい壁掛け用植木鉢を提供する。 【解決手段】 前側に向かうにしたがって上方に傾斜し
た上縁部２Ａを有する側壁２と、側壁２の下端部を覆う
底壁３と、側壁２の上縁部２Ａより上部側に壁掛け用の
孔５を有し、側壁２および底壁３の後部を覆う後壁４Ａ
とからなる鉢本体１を備えたものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、例えば建物の壁面、柱、ベランダ等に装飾される壁掛け用植木鉢に 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図９は従来の壁掛け用植木鉢の縦断面図である。図において、１は合成樹脂を 成形加工して構成された壁掛け用植木鉢の鉢本体で、平面形状がほぼ円弧状で上 部になるにしたがって拡径されて開口した側壁２と、平面形状がほぼ半円形状に 形成され側壁２の下端部を覆う底壁３と、中央部が側壁２の上縁部２ａより高く 、上部になるにしたがって後方に若干傾斜（成形時の抜き勾配として好ましくは １〜３゜程度傾斜）するように形成されて、側壁２および底壁３の後部を覆う後 壁４とから構成されている。５は後壁４の上部に少なくとも１つ設けられた係合 孔、６は底壁３に設けられた排水口、７は底壁３の下面側に設けられた複数の脚 部である。

【０００３】 このように構成した壁掛け用植木鉢を使用する場合、まず、必要に応じて図示 していないキャップで鉢本体１の底壁３の排水口６を塞ぐとともに、図示してい ない目皿を鉢本体１内に収容し設置する。ついで、収容した目皿の上に培養土を 入れて植物を植栽し、適度な水分が保持されるように十分な水を鉢本体１の上部 開口部から供給する。次に、図１０に示すように、例えば壁面Ｈに装着された係 止金具８に鉢本体１の後壁４に設けられた係合孔５を貫入させて引っかけ、鉢本 体１を壁面Ｈに設置する。そして、鉢本体１内の培養土が乾かないように日々の 水やりを行う。

【０００４】 なお、このような壁掛け用植木鉢の一例として、例えば実開平１−９０３４１ 号公報に開示された考案がある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の壁掛け用植木鉢は、図１０に示すように、鉢本体１を壁面 Ｈに設置すると、上部になるにしたがって後方に若干傾斜するように形成された 後壁４と、鉢本体１内に収容された培養土および植物の重みや植栽のバランスの 悪さなどとによって、鉢本体１の側壁２の上縁部２ａがその前側に向かうにした がって下がった状態になり、鉢本体１全体が前傾姿勢となってしまっていた。こ のため、設置された鉢本体１および植栽された植物の外観が悪くなり、場合によ っては、供給した水が下がった上縁部２ａより溢れ出てしまうなどの問題があっ た。

【０００６】 また、従来の他の壁掛け用植木鉢には、後壁４が底壁３にほぼ直交するように 形成されたものもあるが、この場合も植栽のバランスや係止金具８の形状によっ て鉢本体１の重心がずれ、後壁４の上部が壁面Ｈから離れて鉢本体１が前傾姿勢 となり、上記のような問題を備えていた。

【０００７】 そこで、このような問題を解決するために、図１１に示すように、壁面Ｈに設 置したときに鉢本体１が前傾姿勢にならないように、壁面Ｈに線接触して鉢本体 １を保持するリブ９を後壁４の外面に設けることが考えられる。

【０００８】 しかしながら、この鉢本体１の出荷時や陳列時において、鉢本体１を複数積み 重ねた場合、図１２に示すように、重ねる側の鉢本体１の後壁４に設けられたリ ブ９が重ねられる側の鉢本体１の後壁４の内面に当たって浅く重ねられた状態で しか積むことができず、高さ寸法が大きくなってしまって容積空間等を有効に活 用することができないという問題があった。また、このような鉢本体１を多く積 み重ねると、重ねるにしたがって上側の鉢本体１が除々に前方向に傾き、場合に よっては前倒れを起こすなど、不安定な状態での積み重ねしか行えない問題もあ った。

【０００９】 本考案は、上記のような課題を解決するためになされたもので、前傾姿勢で設 置された場合でも外観性がよく上縁部前側より水が溢れ出たりするのを防止でき るとともに、効率よくかつ安定性よく積み重ねを行うことができる取扱い性のよ い壁掛け用植木鉢を提供することを目的としたものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る壁掛け用植木鉢は、前側に向かうにしたがって上方に傾斜した上 縁部を有する側壁と、側壁の下端部を覆う底壁と、側壁の上縁部より上部側に壁 掛け用の孔を有し、側壁および底壁の後部を覆う後壁とからなる鉢本体を備えた ものである。

【００１１】 本考案に係る壁掛け用植木鉢は、後壁の側壁上縁部より上部側を後方に傾斜ま たは湾曲したものである。

【００１２】 本考案に係る壁掛け用植木鉢は、側壁の上縁部と後壁の側壁上縁部より上部側 とのなす角がほぼ直角になるように形成したものである。

【００１３】 本考案に係る壁掛け用植木鉢は、後壁の側壁上縁部より上部側に後方に突出し た段部を設け、段部から上部に形成された取付面に少なくとも１つの壁掛け用の 孔を設けたものである。

【００１４】

【考案の実施の形態】

図１は本考案の実施の形態の正面図、図２は本考案の実施の形態の平面図、図 ３は本考案の実施の形態の後壁側からみた斜視図、図４は図１のＡ−Ａ断面図で ある。なお、図９で説明した従来例と同一部分には同じ符号を付し、説明を省略 する。

【００１５】 図において、１は側壁２、底壁３および後壁４Ａが一体に形成された壁掛け用 植木鉢の鉢本体である。２Ａは鉢本体１の側壁２の上縁部で、前側に向かうにし たがって上方に傾斜するように形成されている。後壁４Ａは中央部が側壁２の上 縁部２Ａより高く形成されて側壁２および底壁３の後部を覆い、側壁２の上縁部 ２Ａより下部側は底壁３とほぼ直交または後方に若干傾斜（好ましくは１〜３゜ 程度傾斜）するように形成され、上縁部２Ａより上部側は上縁部２Ａとのなす角 αがほぼ直角になるように後方に傾斜し、その途中でさらに後方に突出した段部 ４ｂを設け、この段部４ｂから上部に取付面４ａを有するように形成されている 。また、取付面４ａには３つの係合孔５が設けられており、その係合孔５は例え ば金型の押し切り加工などによって形成されている。

【００１６】 １０は表裏を貫通する複数の水切り穴が形成されたほぼ半円形状の目皿で、鉢 本体１内に装着したときに底壁３との間に空間部Ｋを形成する複数の支持部１１ が設けられており、目皿１０の大きさは装着したときに側壁２と後壁４Ａの内面 に当接するか僅かに隙間が生じるように形成されている。また、支持部１１の上 部は開口されており、支持部１１の側面から底面にかけて吸水溝１１ａが複数個 設けられている。１２は目皿１０の後壁４Ａ側のほぼ中央部に細くて薄い連結部 により一体に形成された排水口６を塞ぐキャップで、目皿１０から連結部を切り 離し、必要に応じて排水口６に外側から嵌入させて使用する。

【００１７】 このように構成されたこの実施の形態において、例えば室内の壁などに掛けて 使用する場合、まず、必要に応じて目皿１０からキャップ１２を切り離して鉢本 体１の底壁３に設けられた排水口６に嵌入し、キャップ１２を切り離した目皿１ ０を鉢本体１内に収容し設置する。ついで、収容した目皿１０の上に培養土を入 れて植物を植栽し、適度な水分が保持されるように十分な水を鉢本体１の上部開 口部から供給して鉢本体１の空間部Ｋに溜める。ついで、図５に示すように、壁 面Ｈに装着された掛止金具８を後壁４Ａの取付面４ａの中心部に設けられた係合 孔５または２つの係合孔５に貫入して引っかけ、鉢本体１を壁面Ｈに設置する。 このとき、鉢本体１は前傾姿勢で壁面Ｈに設置されるが、図５に示すように、前 側に向かうにしたがって上方に傾斜された側壁２の上縁部２Ａはほぼ水平状態と なり、上縁部２Ａより上部側の後壁４Ａは壁面Ｈとほぼ平行状態となる。そして 、鉢本体１内の培養土などが乾かないように、日々の水やりを行い、空間部Ｋに も十分な水を保持させる。

【００１８】 このように、鉢本体１が前傾姿勢で壁面Ｈなどに設置された場合でも、前側に 向かうにしたがって上方に傾斜された側壁２の上縁部２Ａがほぼ水平状態となり 、設置された鉢本体１および植栽された植物の見栄えをよくすることができる。 また、供給した水の上縁部２Ａの前側からの溢れ出しも防止することができ、外 観性がよく取り扱いの容易な壁掛け用植木鉢を得ることができる。さらに、上縁 部２Ａとのなす角αがほぼ直角になるように後方に傾斜された後壁４Ａによって 、設置された鉢本体１の外観をよくすることができる。また、従来の壁掛け用植 木鉢のように後壁の外面に壁面Ｈと線接触するリブ等を設ける必要がなくなるた め、図６に示すように、複数の鉢本体１を支障なくかつ深く積み重ねることがで き、高さ寸法が小さくなって容積空間等を有効に活用することができるとともに 、安定性のよい積み重ねが行える壁掛け用植木鉢を得ることができる。

【００１９】 なお、上述の実施の形態では後壁４Ａの側壁２の上縁部２Ａより上部側を後方 に傾斜させかつ段部４ｂおよび取付面４ａを有するように形成した場合を示した が、図７に示すように、段部４ｂを省略して上部側の傾斜角度を大きくしてもよ く、また、湾曲状に形成してもよい。これらの場合も同様の効果を奏する。

【００２０】 また、上述の実施の形態では後壁４Ａの下部側の外面をほぼ平坦にした場合を 示したが、図８に示すように、後壁４Ａの段部４ｂより下部側の外面に、取付面 ４ａの外面側とほぼ同一平面かまたはそれより内側に端部を有する高さの低い複 数のリブ１３を上下方向に設けてもよい。これは鉢本体１の強度を補うとともに 、後壁４Ａの壁面Ｈへの密着および複数の鉢本体１を積み重ねたときの後壁４Ａ 同士の密着を防止する。

【００２１】 さらに、上述の実施の形態では鉢本体１の平面形状をほぼ円弧状とした場合を 示したが、例えば三角形状あるいは四角形状としてもよい。この場合、後者にお いては、実施の形態の側壁２に相当する部分は両側壁と前壁とで構成され、その 両側壁は前側に向かうにしたがって上方に傾斜される。この場合も同様の効果を 奏する。

【００２２】 また、上述の実施の形態では後壁４Ａの取付面４ａに３つの係合孔５を設けた 場合を示したが、この係合孔５は１つまたは２つ以上設けてもよく、さらに３つ 以上の奇数個としてもよい。係合孔５を３つ以上の奇数個とした場合は、壁面Ｈ への設置に際し、中央掛けまたは２ヶ所掛け以上のいずれでも利用できる壁掛け 用植木鉢が得られる。

【００２３】

【考案の効果】

以上のように本考案に係る壁掛け用植木鉢は、前側に向かうにしたがって上方 に傾斜した上縁部を有する側壁と、側壁の下端部を覆う底壁と、側壁の上縁部よ り上部側に壁掛け用の孔を有し、側壁および底壁の後部を覆う後壁とからなる鉢 本体を備えたので、鉢本体が前傾姿勢で壁面などに設置された場合でも、側壁の 上縁部がほぼ水平状態となり、設置された鉢本体および植栽された植物の見栄え をよくすることができる。また、供給した水の上縁部前側からの溢れ出しも防止 することができ、外観性がよく取り扱いの容易な壁掛け用植木鉢を得ることがで きる。さらに、従来の壁掛け用植木鉢のように壁面と線接触するリブ等を設ける 必要がなくなるため、複数の鉢本体を支障なくかつ深く積み重ねることができ、 高さ寸法が小さくなって容積空間等を有効に活用することができるとともに、安 定性のよい積み重ねが行える壁掛け用植木鉢を得ることができる。

【００２４】 本考案に係る壁掛け用植木鉢は、後壁の側壁上縁部より上部側を後方に傾斜ま たは湾曲したので、上記のような効果が得られるとともに、壁掛け用の孔の形成 の際にスライド機構を使わない安価な金型で加工ができ、成形サイクルを低減す ることができる成形性のよい壁掛け用植木鉢を得ることができる。

【００２５】 本考案に係る壁掛け用植木鉢は、側壁の上縁部と後壁の側壁上縁部より上部側 とのなす角がほぼ直角になるように形成したので、上記のような効果が得られる とともに、設置された鉢本体の外観性をよくすることができる。

【００２６】 本考案に係る壁掛け用植木鉢は、後壁の側壁上縁部より上部側に後方に突出し た段部を設け、段部から上部に形成された取付面に少なくとも１つの壁掛け用の 孔を設けたので、上記のような効果が得られるとともに、壁掛け用の孔を安価な 加工でかつ容易に形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の形態の正面図である。

【図２】本考案の実施の形態の平面図である。

【図３】本考案の実施の形態の後壁側からみた斜視図で
ある。

【図４】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図５】本考案の実施の形態の壁面に掛けた場合の作用
説明図である。

【図６】本考案の実施の形態の積み重ねた場合の作用説
明図である。

【図７】本考案の実施の形態の変形例を示す断面図であ
る。

【図８】本考案の実施の形態の他の変形例を示す背面図
である。

【図９】従来の壁掛け用植木鉢の縦断面図である。

【図１０】従来の壁掛け用植木鉢の壁面に掛けた場合の
作用説明図である。

【図１１】従来の他の壁掛け用植木鉢の壁面に掛けた場
合の作用説明図である。

【図１２】従来の他の壁掛け用植木鉢の積み重ねた場合
の作用説明図である。

【符号の説明】

１ 鉢本体 ２ 側壁 ２Ａ 上縁部 ３ 底壁 ４Ａ 後壁 ４ａ 取付面 ４ｂ 段部 ５ 係合孔 α 上縁部と後壁とのなす角

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 前側に向かうにしたがって上方に傾斜し
   た上縁部を有する側壁と、該側壁の下端部を覆う底壁
   と、前記側壁の上縁部より上部側に壁掛け用の孔を有
   し、前記側壁および底壁の後部を覆う後壁とからなる鉢
   本体を備えたことを特徴とする壁掛け用植木鉢。
2. 【請求項２】 後壁の側壁上縁部より上部側を後方に傾
   斜または湾曲したことを特徴とする請求項１記載の壁掛
   け用植木鉢。
3. 【請求項３】 側壁の上縁部と後壁の前記側壁上縁部よ
   り上部側とのなす角がほぼ直角になるように形成したこ
   とを特徴とする請求項２記載の壁掛け用植木鉢。
4. 【請求項４】 後壁の側壁上縁部より上部側に後方に突
   出した段部を設け、該段部から上部に形成された取付面
   に少なくとも１つの壁掛け用の孔を設けたことを特徴と
   する請求項１乃至３のいずれか記載の壁掛け用植木鉢。