JP3063650B2 - 共通線信号方式およびそのルーティング方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は交換機間で信号の転
送を行う共通線信号方式に関し、特に転送先までの信号
の転送経路を特定する共通線信号方式およびそのルーテ
ィング方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】通話回線とは別に課金情報や監視信号等
の信号をやり取りするための専用の回線を設け、その回
線を多数の通話回線で共通に使用する共通線信号方式
は、上位信号網と上位信号網に接続される複数の下位信
号網とによって構成され、下位信号網は上位信号網によ
り階層化管理されている。

【０００３】上位信号網および下位信号網を構成する各
信号局には、信号の転送経路を特定し（以下、ルーティ
ングと称す）、転送先の信号局に対して信号を送出する
信号転送部をそれぞれ備えている。

【０００４】従来の共通線信号方式では、下位信号網の
任意の信号局から下位信号網の他の信号局に対して信号
を転送する場合、２つの信号局が同じ下位信号網に属し
ているときは、その下位信号網内で信号の転送を行って
いた。また、２つの信号局が異なる下位信号網に属して
いるときは、信号を送出する一方の信号局は転送先であ
る他方の信号局までのルーティングを行い、それぞれの
信号局を管理する上位信号網を経由して他方の信号局に
信号を転送していた。

【０００５】ここで、各信号局の信号転送部には、共通
線信号方式の網を構成する全ての信号局までの転送経路
を示すルーティング情報をそれぞれデータベースとして
保有し、信号の転送を行う際には、このデータベースの
ルーティング情報を参照して信号転送先の信号局に対す
るルーティングを行っていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
ような従来の共通線信号方式では、End-to-Endサービス
などのような下位信号網の信号局間で信号の転送を行う
場合に、いずれの信号局に対しても信号を転送すること
ができなければならないため、上述したように、各信号
局の信号転送部は共通線信号方式の網を構成する全ての
信号局に対するルーティング情報をそれぞれ保有する必
要があった。したがって、信号局の数が増えるにつれ
て、信号転送部が有するデータベースの記憶容量が大き
くなるという問題があった。

【０００７】また、信号局のコードの変更や追加、削除
など、共通線信号方式の網の構成に変更があった場合
に、各信号局は自局が保有するルーティング情報をそれ
ぞれ更新する必要があるため、各信号局で別々に保有し
ているデータベースの保守が困難であるという問題があ
った。

【０００８】本発明は上記したような従来の技術が有す
る問題点を解決するためになされたものであり、各信号
局でそれぞれ保有しているルーティング情報の簡易化お
よび少量化を図り、ルーティング情報を保有しているデ
ータベースの保守を容易にした共通線信号方式およびそ
のルーティング方法を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の共通線信号方式は、階層化管理された複数の信
号網から構成され、前記信号網を構成する任意の数の信
号局にそれぞれ信号を転送するための信号転送部を備え
た共通線信号方式であって、前記信号転送部に、自信号
局が属する信号網の他の信号局に対する信号の転送経路
を特定するためのルーティング情報、および自信号局を
管理する上位の信号局を識別するための上位信号局デー
タを保有するデータベースと、前記データベースを参照
して、信号転送先の信号局に対する前記ルーティング情
報を保有しているか否かを判断するルーティング情報参
照手段と、信号転送先の信号局に対する前記ルーティン
グ情報を保有している場合に、該ルーティング情報にし
たがってルーティングを行う通常ルーティング手段と、
信号転送先の信号局に対する前記ルーティング情報を保
有していない場合に、前記上位信号局データを参照して
自信号局を管理する上位の信号局に対してルーティング
を要求する上位信号局ルーティング要求手段と、を有す
る構成である。

【００１０】また、本発明の共通線信号方式のルーティ
ング方法は、階層化管理された複数の信号網から構成さ
れ、前記信号網を構成する任意の数の信号局にそれぞれ
信号を転送するための信号転送部を備えた共通線信号方
式のルーティング方法であって、前記信号転送部は、予
め、自信号局が属する信号網の他の信号局に対する信号
の転送経路を特定するためのルーティング情報、および
自信号局を管理する上位の信号局を識別するための上位
信号局データをデータベースとして保有しておき、前記
データベースを参照して、信号転送先の信号局に対する
前記ルーティング情報を保有しているか否かを判断し、
信号転送先の信号局に対する前記ルーティング情報を保
有している場合は、該ルーティング情報にしたがってル
ーティングを行い、信号転送先の信号局に対する前記ル
ーティング情報を保有していない場合は、前記上位信号
局データを参照して自信号局を管理する上位の信号局に
対してルーティングを要求する方法である。

【００１１】上記のように構成された共通線信号方式お
よびそのルーティング方法は、信号転送部によって、自
信号局が属する信号網の他の信号局に対する信号の転送
経路を特定するためのルーティング情報を参照し、信号
転送先の信号局に対するルーティング情報を保有してい
る場合は、そのルーティング情報にしたがってルーティ
ングを行い、信号転送先の信号局に対するルーティング
情報を保有していない場合は、上位信号局データを参照
して自信号局を管理する上位の信号局に対してルーティ
ングを要求する。

【００１２】したがって、上位の信号網を経由して信号
を転送する場合に、そのルーティングの情報を下位の信
号網の各信号局で保有する必要がなくなる。

【００１３】また、共通線信号方式の網構成を変更する
場合、下位の信号網の各信号局では共通線信号方式の網
を構成する全ての信号局に対するルーティングの情報を
変更する必要がないため、自信号網内の信号局に対する
ルーティング情報を変更するだけでよい。

【００１４】

【発明の実施の形態】次に本発明について図面を参照し
て説明する。

【００１５】図１は本発明の共通線信号方式の網の構成
を示すブロック図である。また、図２は図１に示した各
信号局が有する信号転送部の構成を示すブロック図であ
り、図３は図２に示した信号転送部の動作手順を示すフ
ローチャートである。

【００１６】図１において、共通線信号方式は、複数の
信号中継局からなる上位信号網と、各信号中継局にそれ
ぞれ管理される複数の信号発信局からなる下位信号網と
によって構成されている。

【００１７】なお、図１では、上位信号網１が第１の信
号中継局１１、第２の信号中継局１２、第３の信号中継
局１３、および第４の信号中継局１４の４つの信号中継
局で構成され、第１の下位信号網２が第１の信号発信局
２１、第２の信号発信局２２、第３の信号発信局２３、
および第４の信号発信局２４の４つの信号発信局で構成
され、第２の下位信号網３が第５の信号発信局３１、第
６の信号発信局３２、第７の信号発信局３３、および第
８の信号発信局３４の４つの信号発信局でそれぞれ構成
されている例を示している。

【００１８】上位信号網１を構成する信号中継局の数、
第１の下位信号網２および第２の下位信号網３を構成す
る信号発信局の数はこれに限る必要はなく、それぞれ任
意の数の信号局で構成される。

【００１９】また、図１に示す第２の信号中継局１２お
よび第３の信号中継局１３には信号発信局が何も接続さ
れていないが、実際には第２の信号中継局１２および第
３の信号中継局１３にもそれぞれ任意の数の信号発信局
が接続される。

【００２０】図２において、信号中継局および信号発信
局（以下、信号局と総称する）がそれぞれ有する信号転
送部４は、ルーティング情報、および自局を管理する上
位の信号局を識別するための上位信号局データを保有す
るデータベース４１と、データベース４１で保有してい
るルーティング情報を参照し、信号の転送先の信号局に
対するルーティング情報を保有しているか否かを判断す
るルーティング情報参照手段４２と、転送先の信号局に
対するルーティング情報を保有している場合に、そのル
ーティング情報にしたがってルーティングを行う通常ル
ーティング手段４３と、転送先の信号局に対するルーテ
ィング情報を保有していない場合に、上位信号局データ
を参照して自局を管理する上位の信号局に対してルーテ
ィングを要求する上位信号局ルーティング要求手段４４
とによって構成されている。

【００２１】ここで、上位信号網１を構成する第１の信
号中継局１１〜第４の信号中継局１４の信号転送部４
は、自局に属する信号発信局に対するルーティング情
報、および所属する信号発信局の情報を備えた他の信号
中継局に対するルーティング情報をそれぞれのデータベ
ース４１に保有する。なお、上位信号局データとしては
何も保有しない。

【００２２】また、第１の下位信号網２および第２の下
位信号網３の各信号発信局の信号転送部４は、自局が属
する下位信号網の各信号発信局に対するルーティング情
報、および上位信号局データとして自局を管理する信号
中継局を識別するためのコードをそれぞれのデータベー
ス４１に保有する。

【００２３】このような構成において、次に本発明の共
通線信号方式のルーティング方法について図３を参照し
て説明する。

【００２４】なお、以下では図１に示した第１の下位信
号網２の第１の信号発信局２１から第２の下位信号網３
の第６の信号発信局３２に対して信号を送信する場合を
例にして説明している。

【００２５】まず、第１の信号発信局２１の信号転送部
４は、ルーティング情報参照手段４２によって、自局の
データベース４１の内容を参照し（ステップＳ１）、第
６の信号発信局３２に対するルーティング情報を保有し
ているか否かを判定する（ステップＳ２）。

【００２６】もし、第６の信号発信局３２に対するルー
ティング情報を保有している場合、通常ルーティング手
段４３を起動し、保有しているルーティング情報に基づ
いて第１の信号発信局２１から第６の信号発信局３２に
対して信号を送出する（ステップＳ３）。

【００２７】しかしながら、ここでは第６の信号発信局
３２が第２の下位信号網３に属しているため、第１の信
号発信局２１のデータベース４１では第６の信号発信局
３２に対するルーティング情報を保有していない。した
がって、第１の信号発信局２１の信号転送部４は上位信
号局ルーティング要求手段４４を起動し、データベース
４１で保有している上位信号局データに基づいて第１の
信号中継局１１に対して信号を送出する（ステップＳ
４）。

【００２８】第１の信号発信局２１からの信号を受け取
った第１の信号中継局１１の信号転送部４は、まず、ル
ーティング情報参照手段４２によって自局のデータベー
ス４１の内容を参照し（ステップＳ１）、第６の信号発
信局３２に対するルーティング情報を保有しているか否
かを判定する（ステップＳ２）。

【００２９】ここで、第６の信号発信局３２は第４の信
号中継局１４に属しているため、第１の信号中継局１１
で保有するルーティング情報には、第４の信号中継局１
４に対する信号の転送が指示されている。したがって、
第１の信号中継局１１の信号転送部４は通常ルーティン
グ手段４３を起動し、第４の信号中継局１４に対して第
１の信号発信局２１からの信号を転送する（ステップＳ
３）。

【００３０】もし、第６の信号発信局３２に対するルー
ティング情報を保有していない場合、第１の信号中継局
１１の信号転送部４は上位信号局ルーティング要求手段
４４を起動する。このとき、上位信号局ルーティング要
求手段４４は上位信号局データとして保有している信号
局が無いため、その第１の信号発信局２１からの信号を
破棄する（ステップＳ４）。

【００３１】第４の信号中継局１４では第１の信号中継
局１１からの信号を受け取ると、ルーティング情報参照
手段４２によって自局のデータベース４１の内容を参照
し（ステップＳ１）、第６の信号発信局３２に対するル
ーティング情報を保有しているか否かを判定する（ステ
ップＳ２）。

【００３２】ここで、第４の信号中継局１４の信号転送
部４では、第６の信号発信局３２が自局に属しているた
め、第６の信号発信局３２に対するルーティング情報を
データベース４１に保有している。したがって、第４の
信号中継局１４の信号転送部４は通常ルーティング手段
４３を起動し、保有しているルーティング情報に基づい
て第６の信号発信局３２に対して第１の信号中継局１１
からの信号を転送する（ステップＳ３）。

【００３３】もし、第６の信号発信局３２に対するルー
ティング情報を保有していない場合、第４の信号中継局
１４の信号転送部４は上位信号局ルーティング要求手段
４４を起動する。このとき、上位信号局ルーティング要
求手段４４は上位信号局データとして保有している信号
局が無いため、その第１の信号中継局１１からの信号を
破棄する（ステップＳ４）。

【００３４】したがって、上位の信号網を経由して信号
を転送する場合に、そのルーティング情報を下位の信号
網の各信号局で保有する必要がないため、下位の信号網
の各信号局で保有するルーティング情報のデータ数を減
らすことができる。

【００３５】また、共通線信号方式の網構成を変更する
場合に、下位信号網では共通線信号方式の網を構成する
全ての信号局に対するルーティング情報を変更する必要
がなく、自信号網のルーティング情報のみを変更すれば
よい。よって、他の下位信号網の保守に影響を与えるこ
とがないため、保守が容易になる。

【００３６】

【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、以下に記載する効果を奏する。

【００３７】上位の信号網を経由して信号を転送する場
合に、そのルーティングの情報を下位の信号網の各信号
局で保有する必要がなくなり、下位の信号網の各信号局
で保有するルーティング情報のデータ数を減らすことが
できる。

【００３８】また、共通線信号方式の網構成を変更する
場合に、下位の信号網では共通線信号方式の網を構成す
る全ての信号局に対するルーティングの情報を変更する
必要がないため、自信号網内の信号局に対するルーティ
ング情報を変更するだけでよい。よって、他の下位の信
号網の保守に影響を与えることがないため、保守が容易
になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の共通線信号方式の網の構成を示すブロ
ック図である。

【図２】図１に示した各信号局が有する信号転送部の構
成を示すブロック図である。

【図３】図２に示した信号転送部の動作手順を示すフロ
ーチャートである。

【符号の説明】

１ 上位信号網 ２ 第１の下位信号網 ３ 第２の下位信号網 ４ 信号転送部 １１ 第１の信号中継局 １２ 第２の信号中継局 １３ 第３の信号中継局 １４ 第４の信号中継局 ２１ 第１の信号発信局 ２２ 第２の信号発信局 ２３ 第３の信号発信局 ２４ 第４の信号発信局 ３１ 第５の信号発信局 ３２ 第６の信号発信局 ３３ 第７の信号発信局 ３４ 第８の信号発信局 ４１ データベース ４２ ルーティング情報参照手段 ４３ 通常ルーティング手段 ４４ 上位信号局ルーティング要求手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H04M 3/00 H04M 3/16 - 3/20 H04M 3/38 - 3/40 H04M 7/00 - 7/16

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 階層化管理された複数の信号網から構成
   され、前記信号網を構成する任意の数の信号局にそれぞ
   れ信号を転送するための信号転送部を備えた共通線信号
   方式であって、 前記信号転送部に、 自信号局が属する信号網の他の信号局に対する信号の転
   送経路を特定するためのルーティング情報、および自信
   号局を管理する上位の信号局を識別するための上位信号
   局データを保有するデータベースと、 前記データベースを参照して、信号転送先の信号局に対
   する前記ルーティング情報を保有しているか否かを判断
   するルーティング情報参照手段と、信号転送先の 信号局に対するルーティング情報を保有し
   ている場合に、該ルーティング情報にしたがってルーテ
   ィングを行う通常ルーティング手段と、信号転送先の 信号局に対するルーティング情報を保有し
   ていない場合に、前記上位信号局データを参照して自信
   号局を管理する上位の信号局に対してルーティングを要
   求する上位信号局ルーティング要求手段と、 を有する共通線信号方式。
2. 【請求項２】 階層化管理された複数の信号網から構成
   され、前記信号網を構成する任意の数の信号局にそれぞ
   れ信号を転送するための信号転送部を備えた共通線信号
   方式のルーティング方法であって、 前記信号転送部は、 予め、自信号局が属する信号網の他の信号局に対する信
   号の転送経路を特定するためのルーティング情報、およ
   び自信号局を管理する上位の信号局を識別するための上
   位信号局データをデータベースとして保有しておき、 前記データベースを参照して、信号転送先の信号局に対
   するルーティング情報を保有しているか否かを判断し、信号転送先の 信号局に対するルーティング情報を保有し
   ている場合は、該ルーティング情報にしたがってルーテ
   ィングを行い、信号転送先の 信号局に対するルーティング情報を保有し
   ていない場合は、前記上位信号局データを参照して自信
   号局を管理する上位の信号局に対してルーティングを要
   求する共通線信号方式のルーティング方法。