JP3062046B2 - 縦方向掘削機のローリング測定装置及びその方法 - Google Patents

縦方向掘削機のローリング測定装置及びその方法

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JP3062046B2 JP15708295A JP15708295A JP3062046B2 JP 3062046 B2 JP3062046 B2 JP 3062046B2 JP 15708295 A JP15708295 A JP 15708295A JP 15708295 A JP15708295 A JP 15708295A JP 3062046 B2 JP3062046 B2 JP 3062046B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被測定物のローリング
状態を検出するローリング測定装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、大深度地下の連続地中壁の掘削で
は、掘削予定経路に沿って、掘削機が隣接する掘削経路
とその端部が重複するように溝を掘削していた。
【0003】図9には、掘削動作中の掘削機10の一例
が示されている。
【0004】同図(A),(B),(C)は、その正面
図、側面図、平面図である。
【0005】このような掘削において、掘削機10はケ
ーブルによってその上面10aを吊持されているため、
図9(A),(B),(C)に示すようピッチングやヨ
ーイングあるいはローリング等が発生する。この中でピ
ッチングやヨーイングについては、掘削機に設けられた
傾斜計で精度よく測定できるが、図9(C)に示す鉛直
軸まわりのローリングについての測定は容易ではなかっ
た。
【0006】一般に、掘削位置の土質や岩盤等の影響
で、掘削機は、その全体がローリングするという事態が
発生する可能性が大きい。特に、大深度の掘削を行う場
合にはこのローリングの影響が累積される。一旦このよ
うなローリングが発生すると、掘削された溝自体が歪
む。このため、前回の掘削経路と今回の掘削経路とが良
好に連続せずに蛇行した状態となってしまい、最悪の場
合には掘削機を地上に取り出せなくなったり、連壁作成
用の鉄筋籠を溝内に搬入できないと言う問題が生ずる。
【0007】このため従来は、掘削機を、2本のワイヤ
ロープで吊持するとともに、ねじれ角測定のため更に2
本の測定用ワイヤで吊持し、ねじれ角の測定を行ってロ
ーリングを監視していた。すなわち、2本の測定用ワイ
ヤの相対的なねじれ角を測定することにより掘削機自体
のねじれ角を検出していた。
【0008】また、掘削機自体にジャイロコンパスを搭
載したものも提案されており、掘削機全体の方向を直接
検出することによりローリング状態を監視していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した2本
の測定用ワイヤを用いて掘削機のローリングを検出する
従来方式においては、掘り終わった溝から次の溝へと掘
削機を移動させる度に、2本の測定用ワイヤのそれぞれ
について正確な位置決めを行って基準位置を設定しなけ
ればならず、掘削工事の作業効率が著しく低下するとい
う問題があった。また、掘削機自体に機械式のジャイロ
コンパスを搭載した従来方式においては、掘削時の振動
により破損しやすく、しかも掘削を停止して測定を行う
必要があるため連続測定が不可能であり、作業効率に問
題があった。
【0010】なお、光ジャイロを用いる方法も提案され
ているが、この方法では測定誤差が累積されるという欠
点がある。
【0011】本発明は、このような点に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、工事等の作業効率を低下させ
ることなく、被測定物のローリング状態を測定すること
ができるローリング測定装置及び方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】前記課題を解決
するために、本発明のローリング測定装置は、縦方向掘
削機の鉛直軸回りのねじれ角を測定する縦方向掘削機の
ローリング測定装置において、縦方向掘削機の鉛直軸回
りの絶対方位を検出する光ファイバジャイロコンパス
と、前記光ファイバジャイロコンパスを駆動制御する制
御手段と、前記縦方向掘削機の鉛直軸回りのねじれ角を
演算するローリング演算手段と、を備え、前記光ファイ
バジャイロコンパスは、光ファイバジャイロと、前記光
ファイバジャイロを鉛直軸回りに回転させるターンテー
ブルと、を含み、前記制御手段は、前記縦方向掘削機
動きが一時停止するタイミングで、前記ターンテーブル
を回転駆動するよう形成され、前記ローリング演算手段
は、前記ターンテーブルを回転させたときに得られる前
記光ファイバジャイロの出力に基づいて、前記縦方向掘
削機の停止ポイントにおける絶対方位の演算を行う絶対
方位演算手段を含み、前記絶対方位に基づき、前記停止
ポイントにおける縦方向掘削機の鉛直軸回りのねじれ角
を測定することを特徴とする。
【0013】本発明において、前記光ファイバジャイロ
は、光ファイバをループ状に形成したセンシングループ
部を有し、このセンシングループ部の回転角速度を検出
するよう形成され、前記ターンテーブルは、前記光ファ
イバジャイロのセンシングループ面を地面に対してほぼ
垂直に保ちながら回転させるよう形成されたことを特徴
とする。
【0014】本発明において、前記絶対方位演算手段
は、前記被測定物に対する真北または真南からの角度を
絶対方位として検出し、この絶対方位に対する被測定物
の向きを基準方位として演算するよう形成されたことを
特徴とする。
【0015】本発明において、前記光ファイバジャイロ
コンパスは、連続地中壁掘削用の掘削機に設置されてお
り、前記掘削機のねじれ角を測定することを特徴とす
る。
【0016】本発明において、前記光ファイバジャイロ
コンパスは、場所打ち杭工法などに用いられる地中掘削
機に設置されており、前記地中掘削機のねじれ角を測定
することを特徴とする。
【0017】本発明において、前記光ファイバジャイロ
コンパスと前記第1の光ファイバジャイロは、竪型掘削
シールド工法に用いられる掘削機に設置されており、前
記掘削機のねじれ角を測定することを特徴とする。
【0018】発明は、縦方向掘削機の鉛直軸回りのね
じれ角を検出する方法において、光ファイバジャイロ
と、前記光ファイバジャイロを鉛直軸回りに回転させる
ターンテーブルと、を含む光ファイバジャイロコンパス
を掘削機に設置する設置工程と、前記掘削機の動きが停
止するタイミングで、前記ターンテーブルを回転駆動す
る回転駆動工程と、前記ターンテーブルを回転させたと
きに得られる前記光ファイバジャイロの出力に基づい
て、掘削機の停止ポイントにおける絶対方位の演算を行
う絶対方位測定工程と、を含み、前記絶対方位に基づ
き、掘削機の鉛直軸回りのねじれ角を、掘削途中の各停
止ポイント毎に測定することを特徴とする。
【0019】本発明において、前記回転駆動工程は、掘
削途中における排泥パイプの連結時または休息時に、掘
削機を一時停止する際に行うことを特徴とする。
【0020】本発明の方法は、前記掘削機の掘削動作中
における掘削機の相対方位を検出し、前記相対方位と直
前の停止ポイントで検出された絶対方位とに基づき、掘
削機の鉛直軸回りのねじれ角を演算する演算測定工程を
含み、前記演算測定工程では、前記掘削機の掘削動作中
に、前記ターンテーブルを停止した状態で前記光ファイ
バジャイロから出力される信号に基づき、掘削機の回転
角速度を検出し、この検出回転角速度に基づき、掘削機
の相対方位を演算する工程と、前記相対方位と直前の停
止ポイントで検出された絶対方位とに基づき、掘削機の
鉛直軸回りのねじれ角を演算する工程と、を含み、前記
各停止ポイント間の掘削機のねじれ角を補完測定するこ
とを特徴とする。
【0021】本発明においては、光ファイバジャイロコ
ンパスによって測定された被測定物の絶対方位に基づい
て被測定物の鉛直軸回りのねじれ角を演算している。
【0022】ここにおいて、前記光ファイバジャイロコ
ンパスは、その構造上、絶対方位を検出する際に、被測
定物が動かないように固定する必要がある。本発明は、
掘削機等の被測定物では、掘削途中で、例えば排泥パイ
プの継ぎ足し等の作業を行う場合や、昼食等の休息のた
め、断続的にまたは一時的に掘削機を停止することに着
目した。
【0023】そして、本発明では、まず被測定物の各停
止ポイント毎に光ファイバジャイロコンパスによって被
測定物に対する絶対方位を検出し、検出結果に基づい
て、被測定物のねじれ角を測定する。
【0024】例えば排泥パイプの継ぎ足し作業は、例え
ば6メートル毎というように、一定量の掘削終了毎に行
われることが多い。このため、本発明では、例えば60
メートル等という大深度の地下掘削を行う場合でも、6
メートル毎のサンプル点で被測定物のねじれ角を測定
し、被測定物のローリングを監視することができ、しか
も測定作業用に被測定物を特別に停止させる必要がない
ため、ローリング状態を、他の作業効率の低下をまねく
こともなく、測定することができる。
【0025】また、上述した光ファイバジャイロコンパ
スは、光ファイバジャイロと、そのセンシングループ面
を垂直に保ちながら回転させるターンテーブルとを含ん
で構成することが好ましい。この光ファイバジャイロの
センシングループ面を垂直にして回転させた場合には、
センシングループ面の方向と地球の自転方向との関係に
応じてセンシングループ内を行き来する光の干渉状態が
変化するため、この干渉状態を検出することにより、絶
対方位として真北方向(真南等他の方向でも同じ)を簡
単に知ることができる。
【0026】また、光ファイバジャイロは鉛直方向に溝
孔を掘削する掘削機に設置されており、さらに具体的に
は大深度連続地中壁掘削用の掘削機、場所打ち杭工法に
用いられる掘削機あるいは竪型掘削シールド工法に用い
られる掘削機のねじれ角測定に適している。本発明の装
置及び方法では、このような各種工法に用いられる掘削
機のねじれ角を、掘削作業中にリアルタイムで測定する
ことができる。
【0027】また、請求項9の発明を用いることによ
り、掘削機の各停止ポイント間におけるねじれ角を、連
続的に補間測定することができる。これにより、掘削機
の停止ポイントのみならず、掘削動作中においてもその
ねじれ角を連続測定できるため、より精度の高い掘削機
の姿勢制御を行うことが可能となる。
【0028】
【実施例】以下、本発明のローリング測定装置を適用し
た一実施例について、図面を参照しながら具体的に説明
する。例えば、大深度の連続地中壁の掘削を行う掘削機
にローリング測定装置を取り付けて、掘削機のローリン
グ状態を監視する場合について説明する。
【0029】図1は、本発明を適用した一実施例の掘削
システムの全体構成を示す図である。
【0030】同図に示す掘削システムは、図示しないワ
イヤによって垂直に懸架され地中に鉛直方向の溝孔を掘
削する掘削機10と、掘削機10を溝孔内で安定させる
ために用いられる複数のアジャスタブルガイド12と、
掘削機10の制御を行う掘削機操作盤14とを含んで構
成されている。
【0031】オペレータは、前記操作盤14を操作する
ことにより、掘削予定経路に沿って、掘削機を用いた溝
の掘削を行う。
【0032】このような地中連続壁の掘削を行う場合に
は、掘削機10の位置及び姿勢を正確に検出し、制御す
ることが必要となる。
【0033】このため本実施例の掘削システムは、掘削
機10のローリング状態(ねじれ角)を検出する光ジャ
イロセンサパッケージ20と、掘削機10の傾斜状態を
検出する傾斜計22と、掘削機10の水平位置及び深度
を検出する位置計測センサとして機能するケーブル24
と、位置検出器26と、XYスライドテーブル28と、
変位計30と、ロータリエンコーダ32と、深度計34
と、上述した各種のセンサによって計測したデータ、す
なわち掘削機10のねじれ状態,傾斜状態,水平位置及
び深度に関するデータを記録するデータレコーダ36
と、これらのデータに基づいて所定の演算を行って掘削
機操作盤14に対して制御指示を送るコンピュータ38
とを含んで構成されている。
【0034】光ジャイロセンサパッケージ20は、掘削
機10の鉛直軸回りの絶対方位を検出するためのもので
ある。この光ジャイロセンサパッケージ20のセンサ出
力は、回転計測ケーブル40を介してデータレコーダ3
6に入力され、一旦記憶された後コンピュータ38に入
力され、コンピュータ38によって所定の演算を行うこ
とにより掘削機10のねじれ角の計算が行われる。な
お、この光ジャイロセンサパッケージ20の詳細構成及
び動作については後述する。
【0035】傾斜計22は、掘削機10全体の傾き角を
検出するためのものである。この傾斜計22の出力は傾
斜計測ケーブル42を介してデータレコーダ36に入力
されて記憶される。
【0036】位置計測センサとして機能するケーブル2
4,位置検出器26,XYスライドテーブル28及び変
位計30は、水平面(XY平面)方向における掘削機1
0の位置を検出するためのものである。位置計測センサ
用ケーブル24の傾斜状態を位置検出器26が検出し、
この傾斜方向が鉛直方向になるようにXYスライドテー
ブル28を移動させる。そして、このX方向及びY方向
の移動量を変位計30により測定することにより、掘削
機10の水平方向の変位が求まる。
【0037】また、ロータリエンコーダ32及び深度計
34は、掘削機10の深度(Z軸方向の位置)を求める
ためのものである。ケーブル24を滑車を通して巻き取
る際にこの滑車の回転をロータリエンコーダ32によっ
て検出し、深度計34によってこの回転数に基づいて深
度を算出することにより掘削機10の深度を測定する。
【0038】上述した変位計30及び深度計34の各出
力は、ともにデータレコーダ36に入力されて一旦記憶
され、その後コンピュータ38に入力される。
【0039】本実施例の掘削システムはこのような構成
を有しており、各種のデータの入力あるいは演算が行わ
れるコンピュータ38は、掘削機10が目標としている
軌道を逸れた場合には、その旨を図示しないディスプレ
イに表示、あるいは掘削機操作盤14の警報ブザーを鳴
らす等の処理を行う。
【0040】図2には、前記光センサパッケージ20の
内部の具体的な構成が示され、図3にはその回路構成が
示されている。
【0041】前記光センサパッケージ20は、その内部
に基台44及び光ファイバジャイロコンパス46等が設
けられている。そして、このパッケージ20は、耐水性
容器として形成され、図1に示すように掘削機10の上
面に固定されている。
【0042】図9に示すよう、前記光ファイバジャイロ
コンパス46は、掘削機10の鉛直軸300の回りの絶
対方位をねじれ角(ローリング角)として検出するよう
形成されている。
【0043】特に、前記光ファイバジャイロコンパス4
6は、その構造上、掘削機10を静止した状態でなけれ
ばその測定を行えないが、本実施例によれば、掘削途中
で、排泥パイプの継ぎ足しのために掘削機10を一時的
に停止させるタイミングを利用して、掘削機10の掘削
動作を妨げることなくその測定を行っている。実施例で
は、前記排泥パイプとして6メートル程度のものを用い
ているため、6メートル間隔でねじれ角測定可能とな
り、従ってたとえば50〜60メートル程度の大深度地
下掘削を行う場合には、6メートル間隔で掘削機10の
ねじれ角を測定してその姿勢制御を行い、精度の良い掘
削を効率よく行うことができる。
【0044】以下にその構成を詳細に説明する。
【0045】実施例において、前記基台44は、掘削機
10に一体的に取り付け固定されている。
【0046】そして、前記光ファイバジャイロコンパス
46は、この基台44上に矢印200で示す水平方向に
回転自在に取り付け固定されている。ここにおいて、こ
の光ファイバジャイロコンパス46は、基台44上に矢
印200に示す水平方向に回動自在に取り付け固定され
たターンテーブル52と、このターンテーブル52を図
中に矢印200に示す方向へ回転駆動する回転用パルス
モータ50と、このターンテーブル52上に図中に矢印
210で示す垂直方向へ傾動自在に取り付け固定された
固定台54と、この固定台54上に一体的に固定された
光ファイバジャイロ58と、この固定台54上に取り付
けられこの傾き角を検出する傾斜角センサ60と、この
傾斜角センサ60の検出傾斜角が0となるよう固定台5
4を図中に矢印210に示す方向に傾動制御する垂直用
パルスモータ56とを含むよう構成されている。
【0047】そして、この光ファイバジャイロコンパス
46は、パルスモータ50を用い、ターンテーブル52
を回転駆動する際、前記光ファイバジャイロ58から出
力される回転角速度信号に基づき、真北方向を絶対方位
として検出し、この真北方向に対する掘削機10の向き
を基準方位として設定する。この光ファイバジャイロコ
ンパス46による基準方位の測定は、掘削途中で排泥パ
イプ継ぎ足しのために掘削機10を一時的に停止させる
タイミングを利用して、行う。実施例では、前記排泥パ
イプとして6メートル程度のものを用いているため、6
メートル間隔で行う。
【0048】次に、前記光ファイバジャイロ58の具体
的構成を、図4〜図7を用いて説明する。
【0049】この光ファイバジャイロ58は、光ファイ
バー112をループ状に巻き回して形成されたセンシン
グループ部110と、位相変調器114と、偏光子11
6と、光カプラ118、122と、光源120と、光検
出器124とを含んで構成されている。
【0050】光ファイバー112は、長尺の光ファイバ
ー(例えば1km)を比較的小径(例えば2.5cm)
に巻いてセンシングループ部110を形成することによ
り、検出感度の向上を図っている。
【0051】このように構成された光ファイバジャイロ
58では、光源120から出力される光を、ループ状の
光路を構成するセンシングループ部110に伝搬させる
と、この光路自体が回転した際に、右回りの光と左回り
の光との間には伝搬時間差が生じるというサニャク効果
を利用し、回転角速度を検出することができる。このよ
うな光ファイバジャイロとしては、光干渉型光ファイバ
ジャイロや受動型リング共振方式光ファイバジャイロな
ど各種のものが知られており、いずれの方式のものを用
いてもよい。このような光ファイバジャイロは、一般的
に機械式ジャイロに比べて可動部分がないため加速度や
振動に強いという利点を有しており、掘削機10の振動
に対しても壊れにくいという効果がある。なお、実施例
では光干渉型光ファイバジャイロを例にとって説明して
いる。
【0052】そして、例えば光源120を半導体レーザ
ダイオードなどによって構成し、この光源120から照
射された所定周波数のレーザ光を、カプラ118、偏光
子、116、カプラ122を介して前記センシングルー
プ部110に時計回り、反時計回りの光としてそれぞれ
入力する。このように入力された光は、位相変調器11
4で変調され、偏光子116で偏光され、光検出器12
4で検出される。このようにして光検出器124で検出
された2つの光の干渉状態を測定することにより、セン
シングループ部110の回転角速度を算出することがで
きる。
【0053】図5には、前記光ファイバジャイロ58の
動作原理が概略的に示されている。この光ファイバジャ
イロ58は、前記したようにセンシングループ部110
のセンシングループ面110aの回転角速度のみを検出
する。従って、センシングループ面110aに対し、θ
傾斜した方向に回転角速度Ωが生じているとき、このセ
ンシングループ部110が感知する角速度ωθは、ωθ
=Ω・cosθとなる。
【0054】なお、実施例の光ファイバジャイロ58
は、図4に示すように構成された光ファイバジャイロ5
8のセンシングループ面110aが、地面に対し、垂直
となるように取り付け固定されている。特に、光ファイ
バジャイロコンパス46では、傾斜角センサ60の検出
する傾き角が0となったときに、光ファイバジャイロ5
8のセンシングループ面112が垂直となるように設定
されている。
【0055】このようにすることにより、前記光ファイ
バジャイロ58を用い、掘削機10の鉛直軸回り方向へ
の回転角速度を良好に検出することができる。
【0056】図6、図7には、前記光ファイバジャイロ
コンパス46による絶対方位測定原理が示されている。
【0057】まず、図6に示すように、光ファイバジャ
イロ58のセンシングループ面110aを、地面に対し
垂直に設定する。そして、ターンテーブル52を回転さ
せてセンシングループ面110aを複数方位に向け、地
球の自転角速度を検出する。図7には、このとき光ファ
イバジャイロ58から出力される検出信号が示されてい
る。同図に示すように、センシングループ面110aが
真北または真南に向いたときに、この出力が0となる。
このようにして、真北または真南方向を絶対方位として
検出することができる。
【0058】実施例の光ファイバジャイロコンパス46
は、このような原理を利用して、ターンテーブル52を
回転させながら、真北方向を絶対方位として検出し、こ
の真北方向を基に現在掘削機10の向いている方向を基
準方位として検出するように構成されている。
【0059】図3には、実施例のローリング測定システ
ムの回路構成が示されている。
【0060】実施例のセンサパッケージ20は、耐水圧
容器として形成されており、溝内に安定液が充填されて
いる場合でも、内部に液が浸入しないように構成されて
いる。
【0061】そして、センサパッケージ20は、I/O
インターフェース62、防水コネクタ64を介して外部
のデータレコーダ36、コンピュータ38などに接続さ
れるように構成されている。
【0062】実施例において、前記コンピュータ38
は、コンパス制御部70及びローリング演算手段72と
して機能するように構成されている。
【0063】前記コンパス制御部70は、ケーブル40
を介してセンサパッケージ20内部のモータアクチュエ
ータ66、68に向け制御信号を出力し、各パルスモー
タ50、56を制御するように構成されている。特に、
本実施例では、排泥パイプ等の継ぎ足しのため一時的に
掘削機10が停止しているタイミングで、ターンテーブ
ル52を回転駆動し、絶対方位測定の動作を行わせるよ
うに構成されている。
【0064】前記ローリング演算手段72は、データレ
コーダ36を介して入力される光ファイバジャイロ50
の検出信号に基づき、掘削機10のローリング状態、す
なわち掘削機10の鉛直軸回りのねじれ角を検出するよ
うに構成されている。
【0065】具体的には、このローリング演算手段72
は、前記光ファイバジャイロ50の検出信号に基づき掘
削機10の絶対方位を演算する絶対方位演算手段、及び
前記絶対方位に基づき掘削機10の鉛直軸回りのねじれ
角を演算するねじれ角演算手段として機能するように構
成されている。
【0066】図8には、実施例のローリング測定システ
ムの動作フローチャートが示されている。
【0067】まず、掘削機10が停止した状態におい
て、コンピュータ38のコンパス制御部70から回転計
測ケーブル40を介して光ジャイロセンサパッケージ2
0内の光ファイバジャイロコンパス46に対し制御指令
を出力し、掘削機10の絶対方位測定を行う(ステップ
S1)。
【0068】具体的には、コンパス制御部70からの制
御指令に基づき、モータアクチュエータ68が鉛直用パ
ルスモータ56を駆動し、光ファイバジャイロ58のセ
ンシングループ面を垂直に制御する。コンパス制御部7
0は、傾斜角センサ60の出力を監視しており、光ファ
イバジャイロ50のセンシングループ面が垂直になった
とき垂直用パルスモータ50の回転を停止させる。
【0069】このようにして、光ファイバジャイロ58
のセンシングループ面を垂直に保った状態で、次にコン
パス制御部70は、モータアクチュエータ66へ向け制
御指令を出力し、回転用パルスモータ50を一定の間隔
で不連続に回転駆動させる。実施例においては、ターン
テーブル52が36度間隔で一方向に不連続に回転駆動
され、36度回転する毎に、回転が停止制御される。
【0070】このようにして、一周(360度)につい
て測定された光ファイバジャイロ50の検出信号は、デ
ータレコーダ36を介しローリング演算手段72へ入力
され、このローリング演算手段72は、入力された検出
信号に基づき真北方向を検出する。
【0071】すなわち、光ファイバジャイロ50のセン
シングループ面が真北を向いている場合には、地球の自
転方向とこのセンシングループ面とが直角に交わるた
め、図5に示すθは90度となり、前記図7に示す角速
度も0となる。このため、ローリング演算手段72は、
光ファイバジャイロ50から入力される検出信号が
『0』となる方向を演算で求めることにより、真北方向
を検出することができる。
【0072】このように、真北の方向がわかれば、掘削
機10の現時点のねじれ状態が正確にわかるため、ロー
リング演算手段72は、真北方向からの現在のねじれ位
置を表す回転角θ0 を基準方位として求める。
【0073】このようにして、基準方位の測定が終了す
ると、次に掘削機10による実際の掘削作業が開始され
る(ステップS2)。
【0074】この掘削機10による掘削作業と平行し
て、測定されたねじれ角θに基づく姿勢制御が掘削機制
御盤14により自動的に行われる(ステップS3)。な
お、測定ねじれ角は、コンピュータ38に接続されたデ
ィスプレイ74上に表示するだけでもよく、この場合
は、この表示を見た作業員などが掘削機操作盤14を操
作し、掘削機10の掘削状態を制御する。
【0075】このようにして掘削動作と並行して測定ね
じれ角に基づく姿勢制御が行われる。
【0076】そして、図10に示すよう、掘削機10に
よる掘削が一定長進み(実施例では6メートル)P1
に達すると、排泥パイプ200に次の排泥パイプ200
を継足し接続するため掘削機10が一時的に停止制御さ
れる(ステップS4)。このとき、掘削制御盤14は、
この停止制御が、掘削動作の終了で無いことを判断し
(ステップS5)、前記ステップS1の絶対方位測定動
作を再度繰り返して行う。
【0077】このようなステップS1〜S5の一連の処
理を、6メートルの掘削を行い次の排泥パイプ200を
接続するまでの間を一サイクルとして繰り返し行う。
【0078】このように、本実施例の光ジャイロセンサ
パッケージ20を用いたローリング測定装置によれば、
掘削機10が次の排泥パイプ200の継ぎ足し接続のた
めに一時的に停止する各停止ポイントP1,P2…P
nで、掘削機10のねじれ角を測定する構成とすること
により、従来のように掘削作業を中断し作業効率の低下
を引きおこすことなく、掘削機10の姿勢制御を行うこ
とができる。
【0079】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が
可能である。
【0080】例えば、上述した実施例では、光ファイバ
ジャイロコンパス46を、掘削作業が一時的に停止する
ポイントP1,P2…においてのみ使用し絶対方位を測定
するものを例により説明したが、本発明はこれに限ら
ず、掘削機10の掘削動作中は、光ファイバジャイロコ
ンパス46をヨーレートセンサとして用い、相対的なね
じれ角測定用に用いても良い。
【0081】図11には、このような測定手順の一例を
示すフローチャートが示されている。なお、図8に示す
フローチャートと対応する工程には、同一符号を付しそ
の説明は省略する。
【0082】本実施例は、図10に示す掘削機10の各
停止ポイントP1,P2…間において、掘削機10のねじ
れ角を補間測定することを特徴とするものである。
【0083】すなわち、掘削機10が掘削動作を行って
いる間は、光ファイバジャイロコンパス46を用いた絶
対方位測定を行えないことは前述した。本実施例では、
この掘削機10の動作期間中は、光ファイバジャイロコ
ンパス46を、掘削機10の相対方位を測定するための
ヨーレートセンサとして用いる。
【0084】前記光ファイバジャイロ58は、そのセン
シングループ面が、掘削機10を懸架するワイヤと垂直
となるように設置すれば、掘削機10が掘削作業中にこ
のワイヤ回りに回転すると、光ファイバージャイロ58
からはその回転角速度を表す検出信号が出力される。
【0085】実施例のシステムでは、掘削動作中におけ
る掘削機10の回転角速度を、光ファイバジャイロ58
から回転角速度検出信号として取り出し、これをデータ
レコーダ36を介しローリング演算手段72へ向け出力
する(ステップS11)。なお、この回転角速度測定期
間中は、ターンテーブル52は停止させておく。
【0086】ローリング演算手段72は、このようにし
て入力される検出信号に基づき、前記基準方位に対する
ねじれ角θ1 を演算する(ステップS12)。具体的に
は、光ファイバジャイロ58から出力される回転角速度
を積分することにより、相対方位を表すねじれ角θ1 を
演算することができる。
【0087】そして、ローリング演算手段72は、この
ようにして求めた相対方位θ1 と、その直前に求めた絶
対方位θ0 とを加減算することにより、真北方向を基準
とした掘削機10の鉛直軸回り(掘削機10を懸架する
ワイヤ回り)のねじれ角θを演算する(ステップS1
3)。
【0088】このように、実施例のシステムによれば、
図10に示す各停止測定ポイントP1,P2…Pn間にお
いても、掘削機10のねじれ角を連続的に補間測定する
ことはでき、これにより、より精度の高い姿勢制御を実
現することが可能となる。
【0089】また、上述した実施例では、大深度連続地
中壁の掘削を行う掘削機10のローリング状態を監視す
る場合を例にとり説明したが、本発明は他の種類の溝孔
を掘削する掘削機のローリング状態を監視する場合にも
適用することができる。
【0090】例えば、場所打ち杭工法に使用される掘削
機に本実施例の光ジャイロセンサパッケージ20を取付
ける場合や、竪型掘削シールド工法に使用される掘削機
に本実施例の光ジャイロセンサパッケージ20を取り付
ける場合等が考えられる。いずれの場合も、溝孔を掘削
する掘削機のローリング状態を作業を中断することなく
連続的に測定することができる。
【0091】また、前記実施例では、排泥パイプの継ぎ
足し時にねじれ角を測定する場合を例に取り説明した
が、本発明はこれに限らず、例えば昼食等の休息時に掘
削機を一時停止する期間を利用して、ねじれ測定を行な
ってもよい。
【0092】また、前記実施例では、被測定物として掘
削機10のねじれ角を測定する場合を例にとり説明した
が、本発明はこれに限らず、これ以外の各種被測定物を
測定対象としてこのねじれ角を測定することができる。
【0093】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、被測定
物のねじれ角を、他の作業効率の低下をまねくことなく
正確に測定することができる。
【0094】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の掘削システムの全
体構成を示す図である。
【図2】光ジャイロセンサパッケージの詳細な構成を示
す図である。
【図3】実施例のシステムの回路構成を示すブロック図
である。
【図4】干渉型の光ファイバジャイロの構成の一例を示
す図である。
【図5】実施例の光ファイバジャイロの角速度検出原理
の説明図である。
【図6】光ファイバジャイロの絶対方位検出原理の説明
図である。
【図7】図6に示すセンシングループ部から出力される
検出信号の説明図である。
【図8】実施例の装置のローリング測定動作を示すフロ
ーチャート図である。
【図9】削作動した中の削作機の姿勢を表す説明図であ
り、同図(A)はその正面図,同図(B)はその側面
図,同図(C)はその平面図である。
【図10】掘削動作中における排泥パイプの接続ポイン
トを示す説明図である。
【図11】本発明を他の実施例の動作を示すフローチャ
ート図である。
【符号の説明】
10 掘削機 20 光ジャイロセンサパッケージ 36 データレコーダ 38 コンピュータ 44 基台 46 光ファイバジャイロコンパス 50 回転用パルスモータ 52 ターンテーブル 54 固定台 56 垂直用パルスモータ 58 光ファイバジャイロ 60 傾斜角センサ 70 コンパス制御手段 72 ローリング演算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 英智 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田 建設株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−258020(JP,A) 特開 平5−164563(JP,A) 特開 昭62−124409(JP,A) 特開 平4−12219(JP,A) 特開 平1−127907(JP,A) 特開 平5−164560(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 19/00 - 19/72 E21D 9/10 G01C 15/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦方向掘削機の鉛直軸回りのねじれ角を
    測定する縦方向掘削機のローリング測定装置において、 縦方向掘削機 の鉛直軸回りの絶対方位を検出する光ファ
    イバジャイロコンパスと、 前記光ファイバジャイロコンパスを駆動制御する制御手
    段と、前記縦方向掘削機 の鉛直軸回りのねじれ角を演算するロ
    ーリング演算手段と、 を備え、 前記光ファイバジャイロコンパスは、光ファイバジャイロ と、 前記光ファイバジャイロを鉛直軸回りに回転させるター
    ンテーブルと、 を含み、 前記制御手段は、前記縦方向掘削機 の動きが一時停止するタイミングで、
    前記ターンテーブルを回転駆動するよう形成され、 前記ローリング演算手段は、 前記ターンテーブルを回転させたときに得られる前記光
    ファイバジャイロの出力に基づいて、前記縦方向掘削機
    の停止ポイントにおける絶対方位の演算を行う絶対方位
    演算手段を含み、前記絶対方位に基づき、前記停止ポイ
    ントにおける縦方向掘削機の鉛直軸回りのねじれ角を測
    定することを特徴とする縦方向掘削機のローリング測定
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記光ファイバジャイロは、 光ファイバをループ状に形成したセンシングループ部を
    有し、このセンシングループ部の回転角速度を検出する
    よう形成され、 前記ターンテーブルは、 前記光ファイバジャイロのセンシングループ面を地面に
    対してほぼ垂直に保ちながら回転させるよう形成された
    ことを特徴とする縦方向掘削機のローリング測定装置。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2のいずれかにおいて、 前記絶対方位演算手段は、 前記縦方向掘削機に対する真北または真南からの角度を
    絶対方位として検出し、この絶対方位に対する縦方向掘
    削機の向きを基準方位として演算するよう形成されたこ
    とを特徴とする縦方向掘削機のローリング測定装置。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記光ファイバジャイロコンパスは、 連続地中壁掘削用の掘削機に設置されており、前記掘削
    機のねじれ角を測定することを特徴とする縦方向掘削機
    ローリング測定装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記光ファイバジャイロコンパスは、 場所打ち杭工法などに用いられる地中掘削機に設置され
    ており、前記地中掘削機のねじれ角を測定することを特
    徴とする縦方向掘削機のローリング測定装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記光ファイバジャイロコンパスは、 竪型掘削シールド工法に用いられる掘削機に設置されて
    おり、前記掘削機のねじれ角を測定することを特徴とす
    縦方向掘削機のローリング測定装置。
  7. 【請求項7】 縦方向掘削機の鉛直軸回りのねじれ角を
    検出する方法において、光ファイバジャイロ と、前記光ファイバジャイロを鉛直
    軸回りの回転させるターンテーブルと、を含む光ファイ
    バジャイロコンパスを掘削機に設置する設置工程と、 前記掘削機の動きが停止するタイミングで、前記ターン
    テーブルを回転駆動する回転駆動工程と、 前記ターンテーブルを回転させたときに得られる前記光
    ファイバジャイロの出力に基づいて、掘削機の停止ポイ
    ントにおける絶対方位の演算を行う絶対方位測定工程
    と、 を含み、前記絶対方位に基づき、掘削機の鉛直軸回りの
    ねじれ角を、掘削途中の各停止ポイント毎に測定するこ
    とを特徴とするローリング測定方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において、 前記回転駆動工程は、 掘削途中における排泥パイプの連結時または休息時等
    に、掘削機を一時停止する際に行うことを特徴とするロ
    ーリング測定方法。
  9. 【請求項9】 請求項7、8のいずれかにおいて、 前記掘削機の掘削動作中における掘削機の相対方位を検
    出し、前記相対方位と直前の停止ポイントで検出された
    絶対方位とに基づき、掘削機の鉛直軸回りのねじれ角を
    演算する演算測定工程を含み、 前記演算測定工程では、 前記掘削機の掘削動作中に、前記ターンテーブルを停止
    した状態で前記光ファイバジャイロから出力される信号
    に基づき、掘削機の回転角速度を検出し、この検出回転
    角速度に基づき、掘削機の相対方位を演算する工程と、 前記相対方位と直前の停止ポイントで検出された絶対方
    位とに基づき、掘削機の鉛直軸回りのねじれ角を演算す
    工程と、 を含み、前記各停止ポイント間の掘削機のねじれ角を補
    完測定することを特徴とするローリング測定方法。
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