JP3058631B1 - メカニカルシ―ル - Google Patents

メカニカルシ―ル

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JP3058631B1
JP3058631B1 JP11057762A JP5776299A JP3058631B1 JP 3058631 B1 JP3058631 B1 JP 3058631B1 JP 11057762 A JP11057762 A JP 11057762A JP 5776299 A JP5776299 A JP 5776299A JP 3058631 B1 JP3058631 B1 JP 3058631B1
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正樹 宮本
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Abstract

【要約】 【課題】 メカニカルシール自体や回転機器の加工精
度,組み立て精度に多少の問題がある場合や外乱要因に
よりメカニカルシール自体や回転機器が変形した場合に
も、密封端面の平行性を確保,維持することができ、良
好なシール機能を発揮させることができるメカニカルシ
ールを提供する。 【解決手段】 回転密封環6を、回転軸12に形成した
環状凹部11に、径方向及び軸線方向に変位可能に遊嵌
保持させると共に、回転密封環6と環状凹部11との対
向面間に、回転密封環6の径方向及び軸線方向への変位
を弾性変形のみによって許容する複数のOリング17,
18,33を装填してある。回転密封環6と回転軸12
との間は、Oリング17,18,33の少なくとも一つ
により、二次シールされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸に設けられ
た回転密封環とシールケースに回転密封環に対向して設
けられた静止密封環との相対回転作用により、その相対
回転部分の内周側領域と外周側領域とをシールするよう
に構成されたメカニカルシールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のメカニカルシールは、一般に、回
転機器のハウジング(以下「機器ハウジング」という)
に回転軸が同心状に洞貫する状態で取り付けられた円筒
状のシールケースと、シールケース内において回転軸に
固定した回転密封環と、シールケースに回転密封環に対
向して軸線方向に移動可能に且つ相対回転不能に保持さ
れた静止密封環と、静止密封環とシールケースとの間に
介装されて、静止密封環を回転密封環方向へと附勢する
スプリング部材とを具備して、回転密封環と静止密封環
との対向端面たる密封端面の相対回転作用により、その
相対回転部分の内周側領域と外周側領域とをシールする
ように構成されている。
【0003】このような構成のメカニカルシールにあっ
ては、周知のように、両密封端面が平行に保持されてい
ること(以下「密封端面の平行性」という)がシール機
能を発揮する上で極めて重要である。すなわち、両密封
端面がその間に発生させた動圧(又は静圧)による流体
膜を介在させた非接触状態で相対回転されるように構成
された非接触形メカニカルシールにあっては、密封端面
の平行性が損なわれると、密封端面間に発生する動圧が
不均一となったり、極端な場合には、動圧発生不良や密
封端面の局部的接触といった不測の事態を生じて、シー
ル機能が低下,喪失することになる。また、両密封端面
が接触状態で相対回転されるように構成された接触形メ
カニカルシールにあっても、密封端面の平行性が損なわ
れると、密封端面が均一に接触せず、いわゆる片当たり
状態となり、密封端面の異常摩耗やシール機能低下を招
く。
【0004】このため、メカニカルシールにあっては、
それが非接触形のものであると接触形のものであるとに
拘わらず、密封端面の平行性を確保するために、シール
ケースが、回転軸が同心状に洞貫する状態で機器ハウジ
ングに取り付けられるものであること、各密封環の密封
端面が、当該密封環の軸線に直交する平滑面とされたも
のであること、回転密封環が、その密封端面が回転軸の
軸線に直交する状態で回転軸に取り付けられるものであ
ること、静止密封環が、その密封端面が回転軸の軸線に
直交する状態(回転密封環の密封端面に平行する状態)
で、シールケースに保持されるものであること、等が必
要となり、メカニカルシール構成部材の加工や組み立て
には極めて高い精度が要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のメカニ
カルシールにあっては、密封環やシールケース等のメカ
ニカルシール構成部材の加工精度や組み立て精度を如何
に高めておいたとしても、密封端面の平行性を確保でき
ない場合があり、その対策に苦慮しているのが実情であ
る。
【0006】例えば、メカニカルシールが組み込まれる
回転機器の精度(例えば、シールケースが取り付けられ
る機器ハウジングや回転密封環が取り付けられる回転軸
の精度)が低い場合には、メカニカルシール構成部材の
加工精度や組み立て精度を如何に高くしても、密封端面
の平行性を確保することができない。また、メカニカル
シール及び回転機器が共に高精度のものである場合に
も、高温流体や高圧流体をシールさせる等のシール条件
によっては、回転機器側からの熱や圧力等の外乱要因に
より密封環等のメカニカルシール構成部材や回転機器に
おけるメカニカルシール取付部分が変形して、密封端面
の平行性が維持できなくなる。
【0007】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たもので、メカニカルシール自体や回転機器の加工精
度,組み立て精度に多少の問題がある場合や外乱要因に
よりメカニカルシール自体や回転機器が変形した場合に
も、密封端面の平行性を確保,維持することができ、良
好なシール機能を発揮させることができるメカニカルシ
ールを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転軸に設け
られた回転密封環とシールケースに回転密封環に対向し
て設けられた静止密封環との相対回転作用により、その
相対回転部分の内周側領域と外周側領域とをシールする
ように構成されたメカニカルシールにおいて、上記の目
的を達成すべく、特に、回転密封環を、回転軸の外周部
に形成した環状凹部に、径方向及び軸線方向に変位可能
に遊嵌保持させると共に、回転密封環と環状凹部との対
向面間に径方向及び軸線方向への回転密封環の変位を
弾性変形のみによって許容する複数の弾性部材を装填
し、これらの弾性部材の少なくとも一つを、回転密封環
と回転軸との間を二次シールするOリングとなしておく
ことを提案するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】図1〜図4は本発明の実施の形態
を示したもので、この実施の形態は、ラテックスポンプ
等の高粘度流体を扱う回転機器のハウジング(機器ハウ
ジング)1とポンプ軸等の回転軸2との間に回転軸2の
軸線方向に並列する状態で介装された第一及び第二非接
触形メカニカルシール3,4に本発明を適用したもので
ある。すなわち、第一及び第二非接触形メカニカルシー
ル3,4は、高粘度流体領域である機内領域Hと大気領
域である機外領域Lとの間にシール領域Sを形成して、
このシール領域Sを介して両領域H,L間をシールする
ように構成されたものであり、機内流体たる高粘度流体
の漏れを完全に阻止しうるように工夫されたものであ
る。なお、以下の説明において左右とは図1(又は図
5)における左右を意味するものとする。
【0010】第一非接触形メカニカルシール3は、回転
軸2に設けられた回転密封環6とその機内領域側(右
側)に配してシールケース5に設けられた第一静止密封
環7とを、後述する如く両密封環6,7の対向端面であ
る密封端面9,23をその間に発生させた動圧により非
接触に保持した状態で、相対回転させることにより、そ
の相対回転部分の内周側領域である機内領域Hとその外
周側領域であるシール領域Sとをシールするように構成
されている。また、第二非接触形メカニカルシール4
は、前記回転密封環6とその機外領域側(左側)に配し
て前記シールケース5に設けられた第二静止密封環8と
を、後述する如く両密封環6,8の対向端面である密封
端面10,27をその間に発生させた動圧により非接触
に保持した状態で、相対回転させることにより、その相
対回転部分の内周側領域である機外領域Lとその外周側
領域であるシール領域Sとをシールするように構成され
ている。
【0011】シールケース5は円筒状をなしており、回
転軸2が同心状に洞貫する状態で機器ハウジング1に取
り付けられている。シールケース5内には、後述する密
封環6,7,8(及びOリング26,30)によりシー
ルされた空間であるシール領域Sが形成されるが、この
シール領域Sには、シールケース5に設けた給液口51
から所定圧のシール液52が供給,充満される。シール
液52としては、機内流体である高粘度流体の性状等に
応じて機内領域Hに漏洩しても問題のないもの、つまり
高粘度流体の組成の一部と同質の低粘性・非凝固性液が
使用される。一般には、高粘度流体の溶媒と同一成分の
液体、例えば機内流体が高粘度水溶液である場合には清
水がシール液52として使用される。シール領域Sに充
満させるシール液52の圧力は、回転機器の運転中にお
いてシール領域Sの圧力を機内領域Hの圧力と同一若し
くは若干高くなるように加圧,保持すべく、制御され
る。シール領域Sの加圧は回転機器の運転開始に先駆け
て行われ、シール領域Sの加圧解除は回転機器の運転停
止後に行われる。なお、シール液52のシール領域Sへ
の供給手段及び圧力制御手段は周知であり、格別のもの
ではないから、その構成等についての説明は省略する。
【0012】回転密封環6は、左右両側面を当該密封環
6の軸線に直交する平滑平面たる密封端面9,10に形
成した円環状体であり、回転軸2の外周部に形成した環
状凹部11に、径方向及び軸線方向に変位可能に遊嵌保
持されている。すなわち、回転軸2のシールケース5内
に位置する部分にはスリーブ12が嵌合固定されてお
り、このスリーブ12には、回転軸2と同心状の環状凹
部11が形成されている。この環状凹部11は、その底
面13の径を回転密封環6の内周面14の径より若干小
さく設定すると共にその両側面15,16の対向間隔
(軸線方向間隔)を回転密封環6の軸線方向長さ(厚
み)より若干大きく設定されたもので、回転密封環6を
径方向及び軸線方向に一定範囲で変位可能に遊嵌保持さ
せている。
【0013】また、回転密封環6と環状凹部11との対
向面間には、回転密封環6の径方向及び軸線方向への変
位を弾性変形のみによって許容する複数の環状の弾性部
材、この例では第一及び第二Oリング17,18が装填
されている。すなわち、第一Oリング17は、回転密封
環6の内周面14に圧接された状態で、環状凹部11の
底面13に形成された環状溝19に係合保持されてお
り、回転密封環6の径方向変位を弾性変形により許容す
る。第二Oリング18は、回転密封環6の機外領域側の
側面(左側面)10の内周側部分に圧接された状態で、
環状凹部11の機外領域側の側面(左側面)16に形成
した環状溝20に係合保持されており、回転密封環6の
軸線方向変位を弾性変形により許容する。なお、機内領
域H及びシール領域Sが加圧されない運転停止状態にお
いては、図3に示す如く、回転密封環6の機内領域側の
側面(右側面)9の内周側部分は、第二Oリング18の
弾性力により環状凹部11の機内領域側の側面(右側
面)15に当接されている。
【0014】また、回転密封環6の内周部には、環状凹
部11の底面13に突設したドライブピン21が係合す
る係合凹部22が形成されていて、この係合凹部22と
ドライブピン21との係合作用により、回転軸2(及び
スリーブ12)に対する回転密封環6の相対回転が阻止
されている。係合凹部22は、ドライブピン21が余裕
をもって係合しうる大きさのものとされていて、両者2
1,22の係合作用によっては、第一及び第二Oリング
17,18の弾性変形による回転密封環6の径方向及び
軸線方向への変位が妨げられないように工夫されてい
る。
【0015】また、回転密封環6の密封端面9,10の
外周側部分には、当該密封環6の外周面に開口する適宜
形状の動圧発生溝9a,10aが形成されていて、後述
する如く、静止密封環7,8の密封端面23,27との
間にシール液52による動圧を発生させるようになって
いる。
【0016】第一静止密封環7は、回転密封環6に対向
する端面(左側面)を当該密封環7の軸線に直交する平
滑平面である密封端面23に形成した円環状体であり、
シールケース5の右端部に形成された第一リテーナ部2
4に軸線方向移動可能に内嵌保持されている。第一静止
密封環7とこれを保持する第一リテーナ部24との間に
は、当該密封環7を回転密封環6へと押圧附勢する第一
スプリング25と、当該密封環7の軸線方向移動を許容
しつつ両者7,24間を二次シールするOリング26
と、当該密封環7の軸線方向移動を許容しつつ両者7,
24間の相対回転を阻止するドライブピン手段(図示せ
ず)とが介装されている。
【0017】第二静止密封環8は、第一静止密封環7と
は、配置が左右対象となっている点を除いて、同一の形
状,保持構造をなすものである。すなわち、第二静止密
封環8は、回転密封環6に対向する端面(右側面)を当
該密封環8の軸線に直交する平滑平面である密封端面2
7に形成した円環状体であり、シールケース5の左端部
に形成された第二リテーナ部28に軸線方向移動可能に
内嵌保持されている。第二静止密封環8とこれを保持す
る第二リテーナ部28との間には、当該密封環8を回転
密封環6へと押圧附勢する第二スプリング29と、当該
密封環8の軸線方向移動を許容しつつ両者8,28間を
二次シールするOリング30と、当該密封環8の軸線方
向移動を許容しつつ両者8,28間の相対回転を阻止す
るドライブピン手段(図示せず)とが介装されている。
【0018】なお、シールケース5の第一リテーナ部2
4と回転軸2のスリーブ12との対向周面間には、当該
対向周面間を近接させると共にその一方であるスリーブ
12の外周面に軸線方向に並列する複数の環状溝32…
を形成してなるラビリンスシール31が設けられてい
て、機内流体である高粘性流体の密封端面9,23への
侵入を可及的に防止している。かかる流体侵入防止手段
としては、ラビリンスシール31の他、ネジシールを採
用することも可能である。
【0019】以上のように構成された非接触形メカニカ
ルシール3,4によれば、シール領域Sにシール液52
を供給,充満させた状態で回転機器の運転(回転軸2の
回転)を開始すると、回転密封環6と第一及び第二静止
密封環7,8との対向端面である密封端面9,23及び
9,27間に動圧発生溝9a,10aによりシール液5
2による動圧が発生して、密封端面9,23及び9,2
7間が非接触状態に保持される。すなわち、密封端面
9,23及び9,27間に動圧によるシール液膜が形成
されて、密封端面9,23間に形成されるシール液膜に
よりシール領域Sと機内領域Hとの間がシールされると
共に、密封端面10,27間に形成されるシール液膜に
よりシール領域Sと機外領域Lとの間がシールされる。
【0020】このとき、回転密封環6が上記した如くO
リング17,18で軸線方向及び径方向に変位可能に保
持されているから、回転密封環6の姿勢が静止密封環
7,8の姿勢変化に追従変化して、冒頭で述べた如くメ
カニカルシール3,4自体の精度不良やこれに直結しな
い外乱要因がある場合にも、密封端面の平行性が損なわ
れることがない。
【0021】すなわち、運転開始(回転軸2の回転開
始)に伴って、機内領域Hの圧力が上昇すると、これに
伴って、回転密封環6は機内流体の圧力による押圧力に
よって第二Oリング18を圧縮変形させつつ機外領域側
(左側)へと押圧移動し、図2に示す如く、回転密封環
6の右側面9と環状凹部11の右側面15との間に隙間
が生じ、第一及び第二Oリング17,18の弾性変形の
範囲内で回転密封環6が径方向及び軸線方向に変位でき
る状態となる。
【0022】したがって、例えばシールケース5の機器
ハウジング1への取付精度が不良であったり、シールケ
ース5が熱変形する等により、静止密封環7,8が回転
軸2に対して傾くようなことがあると、図4に例示する
如く、かかる静止密封環7,8の傾きに追従して回転密
封環6が第一及び第二Oリング17,18を弾性変形さ
せつつ径方向及び軸線方向に変位して、その密封端面
9,10が静止密封環7,8の密封端面23,27と平
行となるように傾くことになる。かかる回転密封環6の
変位は、非接触形メカニカルシール3,4の組込時にお
いては静止密封環7,8による直接的な押圧力により、
また運転中においては、発生動圧によるシール液膜を介
した静止密封環7,8による間接的な押圧力によって行
われる。このように、シール組込時又は運転時の何れに
おいても、密封端面の平行性が損なわれるような状態と
なったときは静止密封環7,8の姿勢に応じて回転密封
環6の姿勢が自動的に変更されて、密封端面の平行性が
確保されることになり、非接触形メカニカルシール3,
4によるシール機能が良好に発揮されることになる。そ
して、シールケース5等の加工精度や取付精度を必要以
上に高くしておく必要がなく、また回転機器側からシー
ルケース5等への熱的,圧力的な影響を格別配慮してお
く必要がないから、コスト的にも極めて有利となる。
【0023】また、回転密封環6が上記した如く変位し
た場合(傾いた場合)にも、回転軸2のスリーブ12と
回転密封環6との間は、第一及び第二Oリング17,1
8の少なくとも一方により二次シールされることにな
り、回転密封環6が傾くことにより非接触形メカニカル
シール3,4によるシール機能が損なわれることもな
い。
【0024】また、機内領域Hと大気領域Lとの間に、
これらとの間を第一及び第二非接触形メカニカルシール
3,4によりシールされたシール領域Sが形成されてい
ることから、このシール領域Sを機内領域Hより高圧若
しくは同圧に保持させておくことにより、運転中におい
ては、機内流体のシール領域S及び大気領域Lへの漏洩
が確実に阻止される。しかも、シール液52として機内
流体の溶媒と同一成分の清水等を使用していることか
ら、これが機内領域Hに漏洩しても、機内流体が汚染さ
れることがない。
【0025】また、運転停止中において、機内領域側の
密封端面9,23間に機内流体(高粘度流体)が侵入,
凝固する場合があり、かかる場合、運転再開時における
密封端面9,23の相対回転トルクが大きくなり、密封
端面9,23が損傷する虞れがある。しかし、シール液
52として高粘度流体の溶媒と同一成分の清水等を使用
して、運転再開に先駆けてシール領域Sを加圧させるよ
うにしておくと、シール領域Sの加圧と共に、密封端面
9,23間の凝固物がシール液52によって洗い流され
ることになり、上記した虞れは全く生じない。
【0026】ところで、密封端面9,23及び10,2
7は非接触状態にあるが、高速で相対回転するために密
封端面間の介在流体の剪断熱により発熱する。したがっ
て、機内領域側の密封端面9,23及びその周辺におい
ては、かかる剪断熱によって機内流体である高粘度流体
が凝固し易く、その凝固物によりシール機能が阻害され
る虞れがある。また、密封端面9,23及び10,27
の発熱により、それらに熱歪が生じる虞れがあり、かか
る熱歪によってシール機能が低下する。さらに、これら
が原因となって、シール寿命も低下する。
【0027】しかし、このような剪断熱はシール領域S
に充満するシール液52によって効果的に冷却されるこ
とになるから、剪断熱による上記した問題は生じず、シ
ール機能及びシール寿命の低下は防止される。なお、機
内流体の漏れや汚染はシール領域Sに窒素ガス等のシー
ルガスを供給,充満させておくことによっても防止する
ことが可能であるが、このようなシールガスによっては
シール液52のような効果的な冷却機能は発揮されな
い。
【0028】なお、本発明は上記した実施の形態に限定
されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範
囲において適宜に改良,変更することができる。
【0029】本発明では、回転密封環6と環状凹部11
との対向面間に、回転密封環6の径方向及び軸線方向へ
の変位を弾性変形のみによって許容する複数の弾性部材
を装填しておくが、かかる弾性部材の数は任意である。
例えば、図5〜図7に示す如く、上記した構成の非接触
形メカニカルシール3,4において、第三Oリング33
を、回転密封環6の機内領域側の側面(右側面)9の内
周側部分に圧接させた状態で、環状凹部11の機内領域
側の側面(右側面)15に形成した環状溝34に係合保
持させて、回転密封環6の軸線方向変位が第二及び第三
Oリング18,33の弾性変形により許容されるように
構成しておいてもよい。かかる構成とした場合にも、上
記した場合と同様に、図7に例示する如く、静止密封環
7,8の姿勢に追従して回転密封環6が径方向及び軸線
方向に自動的に変位されることになり(傾くことにな
り)、シールケース5の精度不良等に拘わらず、密封端
面の平行性を確保することができる。また、図8に示す
如く、回転密封環6の内周角部に環状溝35を形成し
て、この環状溝35に環状凹部11の底面13及び側面
15に圧接するOリング36を保持させておくことがで
きる。このようにすれば、一つのOリング36により軸
線方向及び径方向の両方向における弾性保持を行うこと
ができ、弾性部材(Oリング)の数を削減することがで
きる。
【0030】また、本発明は、上記した動圧形の非接触
形メカニカルシールのみならず、静圧形の非接触形メカ
ニカルシールや対向する密封端面が相対回転摺接するよ
うに構成された接触形メカニカルシールにも、好適に適
用することができる。例えば、図9は、本発明を静圧形
の非接触形メカニカルシールに適用した例を示す。すな
わち、図9に示す静圧形の非接触形メカニカルシール1
03は、回転軸102に設けた回転密封環106とシー
ルケース105に軸線方向移動可能に設けた静止密封環
107との対向端面109,123間に、シールケース
105及び静止密封環107を貫通する一連のシール流
体通路141から所定圧のシール流体142を供給する
ことにより、当該対向端面である密封端面109,12
3間を静圧により非接触状態に保持するように構成され
ている。そして、回転密封環106は、図5〜図7に示
すものと同様に、回転軸102のスリーブ112に設け
た環状凹部111に第一Oリング117並びに第二及び
第三Oリング118,133に介して径方向及び軸線方
向に変位可能に保持されている。
【0031】また、複数の弾性部材は、その少なくとも
一つが回転密封環6,106と回転軸2,102との間
を二次シールしうるOリングであればよく、すべてをO
リングとしておく必要はない。例えば、二次シールとし
て機能させる少なくとも一つを除いて、回転密封環6,
106と環状凹部11,111との対向面間に装填され
る弾性部材として、二次シール機能を有しないトレラン
スリング等の金属製スプリング部材を使用しておくこと
ができる。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発
明のメカニカルシールによれば、メカニカルシール自体
や回転機器の加工精度,組み立て精度に多少の問題があ
る場合または熱,圧力等の外乱要因によりメカニカルシ
ール自体や回転機器が変形した場合にも、密封端面の平
行性を確実に維持することができ、良好なシール機能を
発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す半截の縦断側面図で
ある。
【図2】図1の要部を拡大して示す縦断側面図である。
【図3】図2と異なる状態を示す図2相当の縦断側面図
である。
【図4】図2及び図3と異なる状態を示す図2相当の縦
断側面図である。
【図5】変形例を示す図1対応の半截の縦断側面図であ
る。
【図6】図5の要部を拡大して示す縦断側面図である。
【図7】図6と異なる状態を示す図6相当の縦断側面図
である。
【図8】他の変形例を示す図6対応の縦断側面図であ
る。
【図9】更に他の変形例を示す図1対応の半截の縦断側
面図である。
【符号の説明】
1…機器ハウジング、2,102…回転軸、3,4,1
03…メカニカルシール、5,105…シールケース、
6,106…回転密封環、7,8,107…静止密封
環、9,10,23,27,109,123…密封端
面、11,111…環状凹部、17,18,33,36
…Oリング(弾性部材)、H…機内領域(相対回転部分
の内周側領域)、L…機外領域(相対回転部分の内周側
領域)、S…シール液領域(相対回転部分の外周側領
域)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭53−139460(JP,U) 実開 昭59−158764(JP,U) 実開 平3−102659(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16J 15/34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に設けられた回転密封環とシール
    ケースに回転密封環に対向して設けられた静止密封環と
    の相対回転作用により、その相対回転部分の内周側領域
    と外周側領域とをシールするように構成されたメカニカ
    ルシールにおいて、 回転密封環を、回転軸の外周部に形成した環状凹部に、
    径方向及び軸線方向に変位可能に遊嵌保持させると共
    に、回転密封環と環状凹部との対向面間に、径方向及び
    軸線方向への回転密封環の変位を弾性変形のみによって
    許容する複数の弾性部材を装填してあり、これらの弾性
    部材の少なくとも一つが、回転密封環と回転軸との間を
    二次シールするOリングであることを特徴とするメカニ
    カルシール。
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