JP3056780B2 - 改質ポリ(p―キシリレン)保護膜及びその製造方法 - Google Patents
改質ポリ(p―キシリレン)保護膜及びその製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリ(p−キシリレン)、ポリ(モノクロ
ロ−p−キシリレン)及びポリ(ジクロロ−p−キシリ
レン)膜を不活性雰囲気下で加熱してなる耐食性保護膜
及びかかる膜の製造方法に関する。
ロ−p−キシリレン)及びポリ(ジクロロ−p−キシリ
レン)膜を不活性雰囲気下で加熱してなる耐食性保護膜
及びかかる膜の製造方法に関する。
[従来の技術] 近年、コスト、機械加工性、エネルギー積という点で
一層有利な稀土類鉄系磁石が注目されており、例えば、
原子比で稀土類元素8〜30%、B2〜28%、及びFe残部よ
りなる稀土類鉄系磁石が知られている。ところが、稀土
類鉄系磁石は酸化し易いNd、Feを多く含むため、酸、ア
ルカリ等の薬品に腐食されまた水分により錆びやすく、
耐食性という点ではSm−Co系に比べ劣っていた。このた
め、かかる磁石を有効利用すべく、ポリ(p−キシリレ
ン)等のポリマーを用いる表面保護膜が検討されてい
る。例えば、特許公開公報第55−103714号には、ポリ
(p−キシリレン)を真空蒸着法により永久磁石の全周
にコーティングする方法が開示されている。
一層有利な稀土類鉄系磁石が注目されており、例えば、
原子比で稀土類元素8〜30%、B2〜28%、及びFe残部よ
りなる稀土類鉄系磁石が知られている。ところが、稀土
類鉄系磁石は酸化し易いNd、Feを多く含むため、酸、ア
ルカリ等の薬品に腐食されまた水分により錆びやすく、
耐食性という点ではSm−Co系に比べ劣っていた。このた
め、かかる磁石を有効利用すべく、ポリ(p−キシリレ
ン)等のポリマーを用いる表面保護膜が検討されてい
る。例えば、特許公開公報第55−103714号には、ポリ
(p−キシリレン)を真空蒸着法により永久磁石の全周
にコーティングする方法が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、この方法は蒸着膜の磁石に対する密着
性及び膜硬度が十分でないという欠点があった。またエ
ポキシ樹脂、弗素樹脂等をコーティングする方法も知ら
れているが、前者は耐食性に欠け、弗素樹脂では被覆の
際に磁石の酸化を招く高温焼付けを必要とするという問
題があった。
性及び膜硬度が十分でないという欠点があった。またエ
ポキシ樹脂、弗素樹脂等をコーティングする方法も知ら
れているが、前者は耐食性に欠け、弗素樹脂では被覆の
際に磁石の酸化を招く高温焼付けを必要とするという問
題があった。
そこで、本発明の目的は、耐食性、密着性及び膜硬度
に優れた保護膜並びにかかる保護膜の製造方法を提供す
ることにある。
に優れた保護膜並びにかかる保護膜の製造方法を提供す
ることにある。
なお、本願の発明者らは磁石上にプラズマ処理を行い
ポリ(p−キシリレン)膜の磁石に対する密着性を向上
させる発明(特願平1−067521号)や膜の硬度対策とし
てポリ(p−キシリレン)膜とエポキシ膜のダブルコー
ティングを施す発明(特願平1−141235号)について関
連出願を行っている。
ポリ(p−キシリレン)膜の磁石に対する密着性を向上
させる発明(特願平1−067521号)や膜の硬度対策とし
てポリ(p−キシリレン)膜とエポキシ膜のダブルコー
ティングを施す発明(特願平1−141235号)について関
連出願を行っている。
[課題を解決するための手段] 本発明者は従来技術の欠点を十分に検討した結果、ポ
リ(p−キシリレン)膜を所定条件下で熱処理すること
により密着性及び膜硬度に優れた保護膜が得られること
を見い出した。すなわち本発明は、ポリ(p−キシリレ
ン)膜を真空、不活性ガス及び還元性ガス雰囲気のうち
から選ばれる少なくとも一種の雰囲気下でガラス転移点
以上の温度に加熱してなる耐食性保護膜にある。
リ(p−キシリレン)膜を所定条件下で熱処理すること
により密着性及び膜硬度に優れた保護膜が得られること
を見い出した。すなわち本発明は、ポリ(p−キシリレ
ン)膜を真空、不活性ガス及び還元性ガス雰囲気のうち
から選ばれる少なくとも一種の雰囲気下でガラス転移点
以上の温度に加熱してなる耐食性保護膜にある。
本発明に用いるポリ(p−キシリレン)膜は、ユニオ
ン・カーバイド社の開発した商品名「パリレン」として
知られている樹脂膜であり、塩素で一置換されたポリ
(モノクロロ−p−キシリレン)、二置換されたポリ
(ジクロロ−p−キシリレン)及び塩素置換されていな
ポリ(p−キシリレン)がある。以下、ポリ(モノクロ
ロ−p−キシリレン)を用いた場合を例として説明して
ゆく。かかる樹脂膜の膜厚は、防錆能力と生産性から、
1μm〜10μmが好適である。
ン・カーバイド社の開発した商品名「パリレン」として
知られている樹脂膜であり、塩素で一置換されたポリ
(モノクロロ−p−キシリレン)、二置換されたポリ
(ジクロロ−p−キシリレン)及び塩素置換されていな
ポリ(p−キシリレン)がある。以下、ポリ(モノクロ
ロ−p−キシリレン)を用いた場合を例として説明して
ゆく。かかる樹脂膜の膜厚は、防錆能力と生産性から、
1μm〜10μmが好適である。
本発明に従えば、かかる樹脂膜を真空、不活性ガス及
び還元性ガス雰囲気のうちから選ばれる少なくとも一種
の雰囲気中で熱処理する。酸素が過剰に含まれる酸化雰
囲気中であると、ポリ(モノクロロ−p−キシリレン)
が酸化して本発明の目的とする膜が得られない。真空雰
囲気として、10-3Torr以下が好ましい。不活性雰囲気と
して、例えば、アルゴン、ネオン、クリプトン等の稀ガ
ス、窒素ガス等を用いることができる。還元性ガスとし
ては、水素、水素/アルゴンガス等を用いることができ
るがこれらに限定されない。
び還元性ガス雰囲気のうちから選ばれる少なくとも一種
の雰囲気中で熱処理する。酸素が過剰に含まれる酸化雰
囲気中であると、ポリ(モノクロロ−p−キシリレン)
が酸化して本発明の目的とする膜が得られない。真空雰
囲気として、10-3Torr以下が好ましい。不活性雰囲気と
して、例えば、アルゴン、ネオン、クリプトン等の稀ガ
ス、窒素ガス等を用いることができる。還元性ガスとし
ては、水素、水素/アルゴンガス等を用いることができ
るがこれらに限定されない。
本発明に従えば、上記ポリ(モノクロロ−p−キシリ
レン)膜を上記雰囲気下でガラス転移点温度以上、すな
わち80℃以上に加熱する。好ましくは150〜250℃に加熱
する。加熱時間は、例えば、0.5〜3時間であり、後述
するX線回折法により測定して強度/半値幅の値が所定
の範囲になるように適宜調整するのが好ましい。
レン)膜を上記雰囲気下でガラス転移点温度以上、すな
わち80℃以上に加熱する。好ましくは150〜250℃に加熱
する。加熱時間は、例えば、0.5〜3時間であり、後述
するX線回折法により測定して強度/半値幅の値が所定
の範囲になるように適宜調整するのが好ましい。
加熱方法は特に限定されず、輻射加熱、熱伝導加熱、
遠赤外加熱、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いるこ
とができる。このような雰囲気を形成するための容器と
して真空乾燥器、真空装置等を用いることができる。
遠赤外加熱、高周波加熱、マイクロ波加熱等を用いるこ
とができる。このような雰囲気を形成するための容器と
して真空乾燥器、真空装置等を用いることができる。
こうして本発明の保護膜が得られるが、X線回折分析
法により14゜近傍に現れるポリ(モノクロロ−p−キシ
リレン)のピークがその強度/半値幅の値で表して200
以上になるような保護膜であることが好ましい。ポリ
(p−キシリレン)を出発材料に用いた場合には、同様
に分析して17゜近傍に現れるピークがその強度/半値幅
の値で表して〜200以上となるのが好ましく、そしてポ
リ(p−キシリレン)を出発材料に用いた場合には、同
様に分析して13.5゜近傍に現れるピークがその強度/半
値幅の値で表して200以上となるようにするのが好まし
い。
法により14゜近傍に現れるポリ(モノクロロ−p−キシ
リレン)のピークがその強度/半値幅の値で表して200
以上になるような保護膜であることが好ましい。ポリ
(p−キシリレン)を出発材料に用いた場合には、同様
に分析して17゜近傍に現れるピークがその強度/半値幅
の値で表して〜200以上となるのが好ましく、そしてポ
リ(p−キシリレン)を出発材料に用いた場合には、同
様に分析して13.5゜近傍に現れるピークがその強度/半
値幅の値で表して200以上となるようにするのが好まし
い。
本発明の第2の態様は、ポリ(p−キシリレン)、ポ
リ(モノクロロ−p−キシリレン)及びポリ(ジクロロ
−p−キシリレン)膜からなる群から選ばれる一種の膜
を、真空、不活性ガス及び還元性ガス雰囲気のうちから
選ばれる少なくとも一種の雰囲気下で、該膜材料のガラ
ス点移転以上の温度に加熱することからなる耐食性保護
膜の製造方法である。
リ(モノクロロ−p−キシリレン)及びポリ(ジクロロ
−p−キシリレン)膜からなる群から選ばれる一種の膜
を、真空、不活性ガス及び還元性ガス雰囲気のうちから
選ばれる少なくとも一種の雰囲気下で、該膜材料のガラ
ス点移転以上の温度に加熱することからなる耐食性保護
膜の製造方法である。
本発明に従えば、まず、ポリ(モノクロロ−p−キシ
リレン)膜を用意する。かかる膜は、通常、以下の操作
により成膜することができる。最初に、モノクロロ−p
−キシリレン等の二量体を蒸発炉中で減圧下で1Torr以
下程の減圧下で昇華蒸発させ、得られたガス状のモノク
ロロ−p−キシリレン二量体を分解炉に導入して600〜7
00℃、約0.5Torrで熱分解させる。次いで、該分解ガス
を、重合室に導き、常温にて、0.01〜0.1Torrの条件下
で磁石表面に重合させる。かかるの操作は、パリレン重
合装置モデル1010(ユニオン・カーバイド社製)を用い
て行なうことができる。
リレン)膜を用意する。かかる膜は、通常、以下の操作
により成膜することができる。最初に、モノクロロ−p
−キシリレン等の二量体を蒸発炉中で減圧下で1Torr以
下程の減圧下で昇華蒸発させ、得られたガス状のモノク
ロロ−p−キシリレン二量体を分解炉に導入して600〜7
00℃、約0.5Torrで熱分解させる。次いで、該分解ガス
を、重合室に導き、常温にて、0.01〜0.1Torrの条件下
で磁石表面に重合させる。かかるの操作は、パリレン重
合装置モデル1010(ユニオン・カーバイド社製)を用い
て行なうことができる。
次いで、本発明に従えば、こうして得られたポリ(モ
ノクロロ−p−キシリレン)膜等を、真空、不活性ガス
及び還元性ガス雰囲気のうちから選ばれる少なくとも一
種の雰囲気下で、ガラス転移点以上の温度に加熱する。
不活性ガス等の雰囲気、加熱方法及び加熱温度等の条件
は上記の通りである。
ノクロロ−p−キシリレン)膜等を、真空、不活性ガス
及び還元性ガス雰囲気のうちから選ばれる少なくとも一
種の雰囲気下で、ガラス転移点以上の温度に加熱する。
不活性ガス等の雰囲気、加熱方法及び加熱温度等の条件
は上記の通りである。
[作用] 本発明者らはポリ(モノクロロ−p−キシリレン)を
不活性雰囲気下で熱処理することによって、金属等に対
する密着性及び硬度に優れた保護膜材料を見いだした。
かかる保護膜の化学構造は現時点では明らかでないが、
X線回折分析結果からすれば、所定雰囲気下の加熱処理
によりポリ(モノクロロ−p−キシリレン)等の重合膜
の配列の規則性が向上したもの推定される。第1図は、
本発明の保護膜と加熱処理前のポリ(モノクロロ−p−
キシリレン)膜のX線回折分析結果を示すグラフであ
る。グラフ中の〜は第1表に示した熱処理条件で処
理した試料のスペクトルである。第1図中、は加熱処
理前のポリ(モノクロロ−p−キシリレン)膜であって
14゜近傍に回折ピークを持っているが、加熱処理温度が
200℃を超えることによりピークがシャープになり膜の
規則性が向上することがわかる。この結果からすれば、
かかる加熱処理された物質の配列の規則性は、ピーク強
度とスペクトルの半値幅の比により特定することが可能
になる。
不活性雰囲気下で熱処理することによって、金属等に対
する密着性及び硬度に優れた保護膜材料を見いだした。
かかる保護膜の化学構造は現時点では明らかでないが、
X線回折分析結果からすれば、所定雰囲気下の加熱処理
によりポリ(モノクロロ−p−キシリレン)等の重合膜
の配列の規則性が向上したもの推定される。第1図は、
本発明の保護膜と加熱処理前のポリ(モノクロロ−p−
キシリレン)膜のX線回折分析結果を示すグラフであ
る。グラフ中の〜は第1表に示した熱処理条件で処
理した試料のスペクトルである。第1図中、は加熱処
理前のポリ(モノクロロ−p−キシリレン)膜であって
14゜近傍に回折ピークを持っているが、加熱処理温度が
200℃を超えることによりピークがシャープになり膜の
規則性が向上することがわかる。この結果からすれば、
かかる加熱処理された物質の配列の規則性は、ピーク強
度とスペクトルの半値幅の比により特定することが可能
になる。
本発明では、上記のように配列の規則性が向上するこ
とに起因して、後述の鉛筆硬度、基盤目試験、ピーリン
グ試験、透湿率及び塩水噴霧試験に見られるように膜硬
度、密着性及び耐食性において良好な結果が得られたも
のと考えられる。
とに起因して、後述の鉛筆硬度、基盤目試験、ピーリン
グ試験、透湿率及び塩水噴霧試験に見られるように膜硬
度、密着性及び耐食性において良好な結果が得られたも
のと考えられる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発
明はそれに限定されない。
明はそれに限定されない。
[実施例] 実施例1 (1)本発明の保護膜の製造 パリレン重合装置(ユニオン・カーバイト社製モデル
1010)を用いて、アルミ箔、KBr板、シリコンウェハー
等の基板や磁石上にポリ(モノクロロ−p−キシリレ
ン)膜を成膜した。この際、クロロ−p−キシリレンの
二量体(ユニオン・カーバイト社製等)を蒸発炉中に導
入して120℃、約1Torrで昇華蒸発させ、得られたガス状
のクロロ−p−キシリレン二量体を熱分解炉に導入して
650℃、約0.5Torrで熱分解させた。さらに、該分解ガス
を重合室に導いて、25℃、約0.035Torrの条件下で基板
及び磁石表面に膜厚が10μmになるように重合させた。
1010)を用いて、アルミ箔、KBr板、シリコンウェハー
等の基板や磁石上にポリ(モノクロロ−p−キシリレ
ン)膜を成膜した。この際、クロロ−p−キシリレンの
二量体(ユニオン・カーバイト社製等)を蒸発炉中に導
入して120℃、約1Torrで昇華蒸発させ、得られたガス状
のクロロ−p−キシリレン二量体を熱分解炉に導入して
650℃、約0.5Torrで熱分解させた。さらに、該分解ガス
を重合室に導いて、25℃、約0.035Torrの条件下で基板
及び磁石表面に膜厚が10μmになるように重合させた。
次に得られたポリ(モノクロロ−p−キシリレン)膜
を第1表中に示した処理条件(雰囲気、加熱温度及び時
間)にて加熱処理した。
を第1表中に示した処理条件(雰囲気、加熱温度及び時
間)にて加熱処理した。
こうして得られた重合膜について、X線回折分析法に
より14゜近傍のピーク強度/半値幅を測定したところ、
第1図中の示すようなシャープなピークであり、強度
/半値幅は200以上であった。
より14゜近傍のピーク強度/半値幅を測定したところ、
第1図中の示すようなシャープなピークであり、強度
/半値幅は200以上であった。
(2)熱処理後の重合膜の物性及び信頼性評価 上記のようにして得られた重合膜につき、鉛筆硬度、
基盤目試験、ピーリング試験、透湿率、塩水噴霧試験を
行った。結果を第1表中に示す。また、各試験条件を以
下に示す。
基盤目試験、ピーリング試験、透湿率、塩水噴霧試験を
行った。結果を第1表中に示す。また、各試験条件を以
下に示す。
鉛筆硬度・・・・・JIS K 5400に準ずる 基盤目試験・・・・JIS K 5400に準ずる 透湿率・・・・・・JIS Z 0208に準ずる ピーリング試験・・基盤目状のマス目をすべてて覆う
ように粘着テープを貼り良く密着させ塗面と90゜の方向
に素早く引き剥す 塩水噴霧・・・・・5%塩水噴霧、35℃ 同表の試験結果より、本発明の保護膜の鉛筆硬度は、
熱処理していない保護膜のそれより優れていることが明
白である。また、基盤目試験及びピーリング試験結果か
らすれば本発明の保護膜は密着性においても優れている
ことがわかる。さらに本発明の保護膜は透湿率が低く、
塩水噴霧試験96時間後においても発錆が認められないた
め、耐食性に優れている保護膜であることがわかった。
ように粘着テープを貼り良く密着させ塗面と90゜の方向
に素早く引き剥す 塩水噴霧・・・・・5%塩水噴霧、35℃ 同表の試験結果より、本発明の保護膜の鉛筆硬度は、
熱処理していない保護膜のそれより優れていることが明
白である。また、基盤目試験及びピーリング試験結果か
らすれば本発明の保護膜は密着性においても優れている
ことがわかる。さらに本発明の保護膜は透湿率が低く、
塩水噴霧試験96時間後においても発錆が認められないた
め、耐食性に優れている保護膜であることがわかった。
(3)保護膜の粘弾性試験 上記のようにして得られた本発明の保護膜について−
50〜200℃の範囲にてヤング率を測定した。測定は、東
洋精機製作所の粘弾性測定機“RHEOLO GRAPH SOLID"を
用いて行った。結果を第2表中に示す。表中、試験Noは
第1表中の試料Noと対応する。また、第2〜4図は、各
々、第2表中の試料No.1(ブランク)、2、4について
ヤング率を温度の関数として測定した結果を示すグラフ
である。
50〜200℃の範囲にてヤング率を測定した。測定は、東
洋精機製作所の粘弾性測定機“RHEOLO GRAPH SOLID"を
用いて行った。結果を第2表中に示す。表中、試験Noは
第1表中の試料Noと対応する。また、第2〜4図は、各
々、第2表中の試料No.1(ブランク)、2、4について
ヤング率を温度の関数として測定した結果を示すグラフ
である。
同表の結果からしても、本願発明の保護膜は熱処理さ
れていない膜(No.1)に比べて、ヤング率が大きくなり
耐食性保護膜として適していることがかる。
れていない膜(No.1)に比べて、ヤング率が大きくなり
耐食性保護膜として適していることがかる。
(4)保護膜の透湿性試験 上記(1)で得られた保護膜につき、透湿性試験を行
った。比較例としてエポキシED透過膜を用いた。結果を
第1表中に掲げる。同表から加熱処理により透湿率が向
上したことが判明した。しかも保護膜として一般的に用
いられるエポキシ膜より透湿率が一桁低く耐食性に優れ
ていることもわかった。
った。比較例としてエポキシED透過膜を用いた。結果を
第1表中に掲げる。同表から加熱処理により透湿率が向
上したことが判明した。しかも保護膜として一般的に用
いられるエポキシ膜より透湿率が一桁低く耐食性に優れ
ていることもわかった。
実施例2 重合原料としてp−キシリレン二量体を用いた以外
は、実施例1と同様な方法及び条件によりポリ(p−キ
シリレン)膜を重合した。得られた重合膜を、10-5Torr
の減圧下及びAr100Torrの雰囲気下で、それぞれ、実施
例1と同様にして、ポリ(p−キシリレン)膜のガラス
転移点以上の温度にて熱処理した。
は、実施例1と同様な方法及び条件によりポリ(p−キ
シリレン)膜を重合した。得られた重合膜を、10-5Torr
の減圧下及びAr100Torrの雰囲気下で、それぞれ、実施
例1と同様にして、ポリ(p−キシリレン)膜のガラス
転移点以上の温度にて熱処理した。
熱処理前及び熱処理後の膜材料について、X線回折分
析及び鉛筆硬度の測定を行った。X線回折のピーク位置
及びピーク強度/半値幅並びに鉛筆強度の結果を以下に
示す。 処理条件 ピーク位置 ピーク/半値幅 鉛筆硬度 無処理 17゜ 174 H 10-5Torr 17゜ 525 4H Ar 100Torr 17゜ 321 4H 上記熱処理後の試料は、X線回折のピークがシャープ
であり、ピーク強度/半分幅の値は200以上であること
がわかった。また、鉛筆強度が著しく向上したことがわ
かった。
析及び鉛筆硬度の測定を行った。X線回折のピーク位置
及びピーク強度/半値幅並びに鉛筆強度の結果を以下に
示す。 処理条件 ピーク位置 ピーク/半値幅 鉛筆硬度 無処理 17゜ 174 H 10-5Torr 17゜ 525 4H Ar 100Torr 17゜ 321 4H 上記熱処理後の試料は、X線回折のピークがシャープ
であり、ピーク強度/半分幅の値は200以上であること
がわかった。また、鉛筆強度が著しく向上したことがわ
かった。
実施例3 重合原料としてジクロロ−p−キシリレン二量体を用
いた以外は、実施例1と同様な方法及び条件によりポリ
(ジクロロ−p−キシリレン)膜を重合した。得られた
重合膜を、H21atmの雰囲気下で実施例1と同様にして、
ポリ(ジクロロ−p−キシリレン)膜のガラス転移点以
上の温度にて熱処理した。熱処理前及び熱処理後の膜材
料を、X線回折分析しそして鉛筆硬度を測定した。X線
回折のピーク位置及び強度/半値幅並びに鉛筆強度の結
果を以下に示す。処理条件 ピーク位置 ピーク/半値幅 鉛筆硬度 無処理 13.5゜ 20 H H21atm 13.5゜ 502 4H 熱処理後、X線回折のピークはシャープになりピーク
強度/半分幅の値は本発明の範囲にあり、鉛筆強度が著
しく向上したことがわかった。
いた以外は、実施例1と同様な方法及び条件によりポリ
(ジクロロ−p−キシリレン)膜を重合した。得られた
重合膜を、H21atmの雰囲気下で実施例1と同様にして、
ポリ(ジクロロ−p−キシリレン)膜のガラス転移点以
上の温度にて熱処理した。熱処理前及び熱処理後の膜材
料を、X線回折分析しそして鉛筆硬度を測定した。X線
回折のピーク位置及び強度/半値幅並びに鉛筆強度の結
果を以下に示す。処理条件 ピーク位置 ピーク/半値幅 鉛筆硬度 無処理 13.5゜ 20 H H21atm 13.5゜ 502 4H 熱処理後、X線回折のピークはシャープになりピーク
強度/半分幅の値は本発明の範囲にあり、鉛筆強度が著
しく向上したことがわかった。
[発明の効果] 本願発明のポリパラキシリレン膜は、ポリパラキシリ
レン膜が有する密着力が低く膜硬度が十分でないという
欠点を同時に補い且つ安価で大量に一括処理が可能であ
る。また、従来の樹脂膜と比べると金属への密着性、膜
硬度に優れ且つ良好な耐食性を有するため、金属磁石等
の金属保護に極めて有効な保護膜である。さらに、本発
明の保護膜は極めて容易に製造することができるため、
本発明の当業界における工業的価値は極めて高い。
レン膜が有する密着力が低く膜硬度が十分でないという
欠点を同時に補い且つ安価で大量に一括処理が可能であ
る。また、従来の樹脂膜と比べると金属への密着性、膜
硬度に優れ且つ良好な耐食性を有するため、金属磁石等
の金属保護に極めて有効な保護膜である。さらに、本発
明の保護膜は極めて容易に製造することができるため、
本発明の当業界における工業的価値は極めて高い。
第1図は本発明の保護膜及び熱処理前のポリ−(モノク
ロロ−p−キシリレン)膜のX線回折測定の結果を示す
図である。 第2図は第1表中の試料No.1の粘弾性を温度の関数とし
て表した図である。 第3図は第1表中の試料No.2の粘弾性を温度の関数とし
て表した図である。 第4図は第1表中の試料No.3の粘弾性を温度の関数とし
て表した図である。
ロロ−p−キシリレン)膜のX線回折測定の結果を示す
図である。 第2図は第1表中の試料No.1の粘弾性を温度の関数とし
て表した図である。 第3図は第1表中の試料No.2の粘弾性を温度の関数とし
て表した図である。 第4図は第1表中の試料No.3の粘弾性を温度の関数とし
て表した図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−194075(JP,A) 特開 昭56−89718(JP,A) 特開 昭48−55266(JP,A) 特公 昭47−3194(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/00 - 7/18 C08L 65/04 B29C 71/02
Claims (5)
- 【請求項1】ポリ(p−キシリレン)、ポリ(モノクロ
ロ−p−キシリレン)及びポリ(ジクロロ−p−キシリ
レン)膜からなる群から選ばれる一種の膜を、真空、不
活性ガス及び還元性ガス雰囲気のうちから選ばれる少な
くとも一種の雰囲気下で、該膜材料のガラス転移点以上
の温度に加熱してなる耐食性保護膜。 - 【請求項2】ポリ(モノクロロ−p−キシリレン)膜を
真空、不活性ガス及び還元性ガス雰囲気のうちから選ば
れる少なくとも一種の雰囲気下で該膜材料のガラス転移
点以上の温度に加熱してなる膜であって、 得られた膜材料のX線回折による14゜近傍に現れるピー
クの強度/半値幅が200以上を有する耐食性保護膜。 - 【請求項3】ポリ(p−キシリレン)膜を真空、不活性
ガス及び還元性ガス雰囲気のうちから選ばれる少なくと
も一種の雰囲気下で該膜材料のガラス転移点以上の温度
に加熱してなる膜であって、 得られた膜材料のX線回折による17゜近傍に現れるピー
クの強度/半値幅が200以上を有する耐食性保護膜。 - 【請求項4】ポリ(ジクロロ−p−キシリレン)膜を真
空、不活性ガス及び還元性ガス雰囲気のうちから選ばれ
る少なくとも一種の雰囲気下で該膜材料のガラス転移点
以上の温度に加熱してなる膜であって 得られた膜材料のX線回折による13.5゜近傍に現れるピ
ークの強度/半値幅が200以上を有する耐食性保護膜。 - 【請求項5】ポリ(p−キシリレン)、ポリ(モノクロ
ロ−p−キシリレン)及びポリ(ジクロロ−p−キシリ
レン)膜からなる群から選ばれる一種の膜を、真空、不
活性ガス及び還元性ガス雰囲気のうちから選ばれる少な
くとも一種の雰囲気下で、該膜材料のガラス転移点以上
の温度に加熱することを含む耐食性保護膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2299752A JP3056780B2 (ja) | 1990-11-07 | 1990-11-07 | 改質ポリ(p―キシリレン)保護膜及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2299752A JP3056780B2 (ja) | 1990-11-07 | 1990-11-07 | 改質ポリ(p―キシリレン)保護膜及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH04173848A JPH04173848A (ja) | 1992-06-22 |
JP3056780B2 true JP3056780B2 (ja) | 2000-06-26 |
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ID=17876549
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JP2299752A Expired - Fee Related JP3056780B2 (ja) | 1990-11-07 | 1990-11-07 | 改質ポリ(p―キシリレン)保護膜及びその製造方法 |
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AU2002329170B2 (en) * | 2001-01-29 | 2005-07-07 | Honeywell International Inc. | Method for depositing a barrier coating on a polymeric substrate and composition comprising said barrier coating |
EP1445627A3 (en) * | 2001-01-29 | 2004-10-27 | Honeywell International Inc. | Robust highly reflective optical construction |
-
1990
- 1990-11-07 JP JP2299752A patent/JP3056780B2/ja not_active Expired - Fee Related
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