JP3055745B2 - イオンリッチ水生成用の無隔膜型電解槽 - Google Patents
イオンリッチ水生成用の無隔膜型電解槽Info
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Description
より上水を改質し、上水の水素イオン濃度(pH)を調
整する装置に関する。より詳しくは、本発明は、上水の
電気分解により水素イオンリッチの酸性水および/又は
水酸イオンリッチのアルカリ性水を生成するようになっ
た電解槽に関する。本発明は、特に、無隔膜型の電解槽
の改良に関する。
性水は、従来“アルカリイオン水”とも呼ばれており、
飲用に供する場合には健康増進に効果があり、お茶・コ
ーヒー等や料理に使用する場合には味を引き立たせる効
果があると考えられている。また、水素イオン(H+)
リッチの酸性水は、麺類をゆでたりするのに適するもの
として知られており、特に水素イオン濃度の高い強酸性
の水は台所のまな板や布巾の滅菌・殺菌等に有用である
として注目されている。
チ水生成装置(業界では、しばしば、イオン水生成装置
と呼ばれる)が市販され、或いは、提案されている。イ
オンリッチ水生成装置は水の電気分解を利用したもの
で、陽極と陰極とを備えた電解槽を有する。陽極と陰極
との間に直流電圧を印加すると、図1に模式的に示した
ように、陽極と水との界面においては、水の電離により
水中に存在するOH−は陽極に電子を与えて酸化され、
酸素ガスとなって系から除去される。その結果、陽極と
水との界面ではH+濃度が高まり、H+リッチの酸性水
が生成される。他方、陰極と水との界面では、H+は陰
極板から電子を受け取って水素に還元され、水素ガスと
なって除去されるので、OH−濃度が高まり、陰極側に
はOH−リッチのアルカリ性水が生成される。
チ処理式のものであったが、今日では連続通水式の電解
槽が一般的であり、後者は陽極と陰極との間に形成され
た通水路に通水しながら水を電解してイオンリッチ水を
生成するようになっている。連続式の電解槽は、隔膜型
と無隔膜型の2種に大別することができる。
昭56-80292号、特開昭58-189090号、実公昭58-47985号に
開示されているように、陽極と陰極との間に形成され電
解室として作用する通水路は、イオン浸透性で不透水性
の隔膜によって仕切られており、電解により陽極側に生
成した酸性水と陰極側に生成したアルカリ性水とが混合
しないようになっている。このように、不透水性隔膜の
存在により酸性水とアルカリ性水との混合が防止される
ので、隔膜型の電解槽は、生成した酸性水およびアルカ
リ性水を所望の任意の流量でしかも極めて容易に取り出
すことができるという利点がある。
(1)隔膜のところで細菌や微生物が繁殖しやすいので、
衛生的でないこと、(2)隔膜を配置するためには電極間
隔を大きくせざるを得ないので、装置の消費電力が大き
くなること、である。
との間の隔膜を廃止した所謂“無隔膜型”の電解槽が提
案されている(例えば、実公昭57-8957号、特開平4-284
889号、実開平4-110189号)。無隔膜型の電解槽は、層
流の原理を利用したもので、陽極板と陰極板とはその間
に隔膜を介在させることなく互いに近接して並置してあ
り、陽極板と陰極板とに沿って層流を形成させながら通
水し、水を電解するようになっている。斯る無隔膜型の
電解槽は、隔膜がないので衛生的であり、電極間隔を小
さくできるので消費電力を低減できる、という利点があ
る。
型電解槽の問題点は、酸性水とアルカリ性水とを分隔す
るための隔膜を廃止したので、電解室として作用する通
水路の出口において所望濃度の酸性水およびアルカリ性
水を別々に取り出すのが非常に困難であるということで
ある。
は、陽極板に沿って生成された酸性水と陰極板に沿って
生成されたアルカリ性水とは楔形の分離板によって分離
され、夫々の出口から回収されるようになっているが、
この構造においては、分離板の位置が固定であるので、
強アルカリ性水または強酸性水だけを取り出すことがで
きない。
0189号の装置においては、通水路の端部に面して邪魔板
が設けてあり、アルカリ性水は通水路の延長に配置され
たアルカリ性水出口へ流れ、酸性水は邪魔板に衝突して
折り返し出口から排出されるようになっている。この構
造においては、邪魔板への衝突により乱流が発生し、ア
ルカリ性水と酸性水とが不可避的に混合するので、同様
に、強アルカリ性水又は強酸性水だけを選択的に回収す
ることができないという難点がある。
電極間隔は異なる濃度の層を分かり易く示すため誇張し
てある)に模式的に示したように、無隔膜型電解槽にお
いては、陽極板と陰極板との間に電圧を印加しながら通
水すると、強酸性から強アルカリ性まで水素イオン濃度
が漸変する層流を形成しながら電極板に沿って水が流れ
るが、消費電力の低減を目的として電極間隔を例えば1
mm以下と狭くした場合には、強アルカリ性水の層およ
び強酸性水の層は夫々非常に薄くなるので、極めて微小
な乱流が発生しただけでも、酸性水とアルカリ性水とは
容易に混合する結果となる。
(電解室)の出口を改良することにより、強アルカリ性
および/又は強酸性のイオンリッチ水を回収することを
可能にすることにある。
成するため、本発明は次のような知見に立脚するもので
ある。先ず、無隔膜型の電解槽において強アルカリ性水
又は強酸性水だけを選択的に回収するためには、図2に
示したように強酸性から強アルカリ性まで水素イオン濃
度が漸変する層流を通水路(電解室)内に形成させると
共に、斯る層流を乱すことなく維持しながら強アルカリ
性水および/又は強酸性水を取り出さなければならな
い。このため、本発明は、通水路(電解室)はその通水
方向全長にわたって延長する2つの平らな壁面により画
定し、この通水路の下流側端部をその流路断面積より大
きな流路断面積を有する第1のイオンリッチ水回収通路
に直接に開口させ、アルカリ性水(又は酸性水)をこの
第1イオンリッチ水回収通路にスムースに流出させて回
収する。そして、通水路の2つの壁面のいづれか一方に
は、通水路の下流側端部よりも上流において、第2イオ
ンリッチ水回収通路に連通する第2イオンリッチ水回収
口を開口させ、通水路内に層流を維持させながら層流か
ら強酸性水(又は強アルカリ性水)の薄い層を分離し、
この回収口から強酸性水(又は強アルカリ性水)を回収
する。この第2イオンリッチ水回収通路の流路断面積も
第2イオンリッチ水回収口の流路断面積より大きくし、
強酸性水(又は強アルカリ性水)を第2イオンリッチ水
回収口から滑らかに流出させるのが好ましい。
ッチ水回収通路の奥行きは、通水路から第2イオンリッ
チ水回収口に分岐流入する酸性水(又はアルカリ性水)
の流れの状態に密接な関連を有するという知見に立脚す
るものである。本発明は、通水路内のpHが漸変する層
流から隔膜を用いることなく酸性水とアルカリ性水とを
別々に取り出すためには、第1および第2イオンリッチ
水回収通路の奥行きHを最適化しなければならないとい
う点に着目したものである。本発明者の知見によれば、
第1イオンリッチ水回収通路の奥行き(通水路の出口か
ら第1イオンリッチ水回収通路内に噴出する噴流の放出
距離)Hを通水路の幅dの6倍以上にすれば、第2イオ
ンリッチ水回収口に流入する酸性水(又はアルカリ性
水)の流れに乱流が発生するのを防止することができ、
第1および第2イオンリッチ水回収通路において高濃度
のイオンリッチ水を夫々得ることができる。第2イオン
リッチ水回収通路の奥行きも第2イオンリッチ水回収口
の幅の6倍以上にするのが好ましい。
を配置することにより、1枚の電極板の両側に第1およ
び第2の2つの通水路を形成する場合には、第1イオン
リッチ水回収通路の奥行きHは、第1通水路の外側壁面
と第2通水路の外側壁面との間の距離d’の6倍以上に
する。
特徴や利点は、以下の実施例の記載に従いより詳しく説
明する。
本発明の無隔膜型電解槽の全体構成と作動の概要を説明
する。
隔膜型電解槽10は縦長のハウジング12を有する。こ
のハウジング12は、樹脂製の耐圧ケース14の凹み
に、第1陽極板16と陰極板18と第2陽極板20との
3枚の電極板を複数の樹脂製スペーサ22を挟みながら
順次配置し、カバー24をケース14に液密にねじ止め
することにより構成される。陰極板18の両側に陽極板
16と20を夫々配置したことによりこの電解槽10は
いわば二重セル構造になっており、陰極板18の両面を
有効利用することで処理能力を倍増しながらも小さなス
ペースに格納できるようになっている。図示した実施例
では、電極板16と20が陽極板として作用し、電極板
18が陰極板として作用するように電圧が印加される
が、印加電圧の極性を逆にすることも勿論可能である。
22によって定められるもので、この実施例ではスペー
サ22は約0.5mmの厚さを有し、従って、電極間隔
が約0.5mmになるようになっている。好ましくは、
電極板16、18、20は、チタン金属板に白金を被覆
することにより製作され、夫々約6×12cmの寸法を
有し、約0.5mmの厚さを有する。電極板16、1
8、20には端子16A、18A、20Aが夫々固定し
てある。これらの端子16A、18A、20Aの端部は
いづれもケース14の正面に向かって延長するようにな
っており、ケースの正面側のみにて電解槽10の直流電
源(図示せず)に接続できるようになっている。
は、上水入口26とイオンリッチ水出口28および30
が形成してある。図示した実施例では、電極板16と2
0を陽極板として作用させ、電極板18を陰極板として
作用させるので、出口28がアルカリ性水出口となり、
出口30が酸性水出口となる。しかし、前述したように
電極板の極性を逆にすることも可能であり、その場合に
は、出口28が酸性水出口となり、出口30がアルカリ
性水出口となる。上水入口26は断面略三角形の上水分
配通路32に連通しており、この上水分配通路32は、
図5からよく分かるように、ケース14とカバー24に
よって形成されており、電極板の上下方向全長にわたっ
て延長している。電解槽10の使用に際しては、上水入
口26はホース等により水道管に接続することができ
る。或いは、電解槽10を浄水器の下流に接続し、浄水
器によって浄化された水を電解槽10の上水入口26に
導入してもよい。
るように、第1陽極板16と陰極板18との間には第1
通水路34が形成され、陰極板18と第2陽極板20と
の間には第2通水路36が形成される。これらの通水路
34および36は、電極板16、18、20と協動して
電解室として作用するものである。図示した実施例で
は、通水路34および36は、その全長にわたって、電
極板16、18、20の表面によって画定されている。
夫々の通水路34および36は水平方向に延長する例え
ば5本のスペーサ22により上下4つのサブ通水路に分
割される。図9から分かるように、これらの通水路34
および36の上流側端部は上水分配通路32に連通して
いるので、上水入口26から分配通路32に沿って流下
した上水は夫々の通水路34および36の4つのサブ通
水路に分配され、図8および図9に示したように通水路
34および36に水平方向に流入する。分配通路32の
容量が大きいのに対して電極間隔が0.5mmと十分に
狭いので、通水路34および36を水平方向に流れる水
流は層流となる。
して作用する通水路34および36の下流側端部34A
および36Aは、ケース14とカバー24によって形成
された断面略5角形のアルカリ性水回収通路38に直接
に開放されている。このアルカリ性水回収通路38はア
ルカリ性水出口28に連通しており、上水分配通路32
と同様に電極板の上下方向全長にわたって延長してい
る。図5および図8からよく分かるように、アルカリ性
水回収通路38の流路断面積は通水路34および36の
流路断面積に対して十分に大きくしてあり、乱流を発生
させることなく通水路34および36の末端からアルカ
リ性水回収通路38に向かってアルカリ性水をスムース
に流出させるようになっている。このアルカリ性水回収
通路38の奥行き寸法については、図10以下に基づい
て後述する。
よびカバー24には、更に、陽極板16および20の上
下方向全長にわたって延長する溝40および42が夫々
形成してあり、陽極板と夫々協動して酸性水回収通路4
4および46を形成するようになっている。これらの酸
性水回収通路44および46の下端は連絡ポート48に
て合流し(図6〜7)、更に酸性水出口30に連通して
いる(図3)。
示した実施例では、陽極板16および20には、それら
の下流側エッジ16Bおよび20Bよりも上流側におい
て、酸性水回収口として作用するスリット16Cおよび
20Cが夫々形成してあり、スリット16Cおよび20
Cを通過した水が酸性水回収通路44および46に流入
するようになっている。夫々のスリット16Cおよび2
0Cの幅は、1mmにしてある。図示した実施例では、
酸性水回収口として作用するスリット16Cおよび20
Cは陽極板16および20に形成してあるが、スリット
16Cおよび20Cのところで陽極板16および20を
終端させ、スリット16Cおよび20Cより下流の通水
路壁面はケース14とカバー24によって形成してもよ
い。
性水回収通路44および46の流路断面積もスリット1
6Cおよび20Cの流路断面積に対して十分に大きくし
てあり、スリットから回収された酸性水が乱流を生じる
ことなく酸性水回収通路44および46内にスムースに
流入するようになっている。スリット16Cおよび20
Cから流出した酸性水は陽極板の上下方向ほぼ全長にわ
たって酸性水回収通路44および46内に回収され、そ
こから更に酸性水出口30へ送られる。この酸性水回収
通路44および46の奥行き寸法についても、図10以
下に基づいて後述する。
口26への上水の供給は従来型の手動又は電動の制御弁
(図示せず)によって制御することができ、アルカリ性
水出口28および酸性水出口30には従来型の流量制御
バルブ50および52を夫々接続することができる。上
水入口26から導入された上水は、前述したように、分
配通路32により電極板16、18、20の上下方向全
長にわたって通水路34および36の入口(上流側端
部)に均一に分配され、通水路34および36内に水平
方向に流入する。
に例えば約12Vの直流電圧を印加することにより、通
水路34および36内に通水しながら電気分解を進行さ
せると、図2を参照して前述したように、陽極板と陰極
板との間の電界に垂直な方向にpHの漸変する流れが生
成する。
たpH3程度の強酸性水を得たい場合には、アルカリ性
水出口28で得られるアルカリ性水の流量と酸性水出口
30で得られる酸性水の流量との比が約4:1になるよ
うに流量制御バルブ50および/又は52を制御するの
が好ましい。このような流量条件では、陽極板表面近傍
を流れる速度の遅い強酸性水の薄層は酸性水回収スリッ
ト16Cおよび20Cに到達すると、図8に矢印で示し
たようにスリット16Cおよび20Cを介して酸性水回
収通路44および46内に流入するので、酸性水出口3
0において強酸性水が得られる。
10程度の強アルカリ性水を得たい場合には、アルカリ
性水出口28と酸性水出口30の流量比が例えば約3:
2になるように流量制御バルブ50および/又は52を
制御することができる。
アルカリ性水回収通路38および酸性水回収通路44お
よび46の奥行き寸法について検討する。通水路34と
36は対称の構造を有するので、一方の通水路36のみ
を取り上げる。図10を参照するに、通水路36は、そ
の通水方向全長にわたって延長する2つの平らな壁面5
6および58(図示した実施例では、電極板18および
20の表面)により画定されており、一方の壁面58に
酸性水回収口として作用するスリット20Cが開口させ
てある。通水路36に流入した水は、流速分布曲線で示
したように層流を形成しながら通水路36内を流れ、酸
性水の層は回収口20Cに到達すると回収口20C内に
分岐し、流れの残部はそのまゝほぼ直進してアルカリ性
水回収通路38内に回収される。
ター/分とし、アルカリ性水出口28にて4リッター/
分のアルカリ性水を回収し、酸性水出口30にて1リッ
ター/分の酸性水を回収する場合において、通水路36
の幅d(電極間隔)を0.5mmとし、通水路(電極
板)の上下方向長さを12cmとする場合には、通水路
36の出口36Aにおけるアルカリ性水の流速は約56
cm/secとなる。従って、アルカリ性水は狭い出口
36Aから噴流となって広いアルカリ性水回収通路38
内に噴出し、この噴流は周囲の水と混ざりながら速度を
失う。アルカリ性水回収通路38の奥行きH(通水路3
6の末端から突当り壁面64までの距離)が噴流の長さ
より長い場合には、アルカリ性水回収通路38内には、
図10に示したように、噴流境界面60の内側の噴流領
域と、噴流境界面60と混合境界面62との間の混合領
域と、混合境界面62の外側の静止領域とが形成され
る。
64を前進させ、アルカリ性水回収通路38の奥行きH
が噴流の長さよりも短くなるようにした場合には、壁面
64は噴流に対して衝突板として作用するであろう。そ
の結果、噴流は脈流となり、酸性水回収スリット20C
のところの圧力を脈動させ、乱流66を発生させる。乱
流66の発生に伴い、酸性水回収スリット20C内へと
流れる強酸性水には弱酸性ないしアルカリ性の水が巻き
込まれるので、酸性水回収口20Cにおいて強酸性水を
得ることができない。また、乱流の影響により、アルカ
リ性水回収通路38に向かうアルカリ性水の一部が酸性
水で希釈される。
の分岐部において乱流を発生させないためには、アルカ
リ性水回収通路38の奥行き寸法についてについて最小
限寸法が必要であると考えられる。酸性水回収通路44
および46の奥行き寸法についてについても同様であろ
う。
10を試作し、アルカリ性水回収通路38と酸性水回収
通路44および46の突当り壁面に異なる厚さの衝突板
を挿入することによりこれらの回収通路の奥行きを変え
ながら試験した。通水路36の幅dは0.5mmとし、
酸性水回収スリット16Cおよび20Cの幅は1mmと
した。電極板の厚さは0.5mmとした。電解槽10へ
の総流量が5リッター/分、アルカリ性水出口28の流
量が4リッター/分、酸性水出口30の流量が1リッタ
ー/分となる条件で通水しながら、電極板間に12Vの
直流電圧を印加し、アルカリ性水出口28のpHを測定
した。アルカリ性水回収通路の奥行きと酸性水回収通路
の奥行きは互いに独立に変更した。試験結果を図11お
よび図12のグラフに示す。図11のグラフは、アルカ
リ性水回収通路38の奥行きの変化に対するpHの変化
を示し、図12のグラフは酸性水回収通路44および4
6の奥行きの変化に対するpHの変化を示す。
38の奥行きが9mm以下の場合には、アルカリ性水回
収通路38において十分なpHのアルカリ性水が得られ
ないことを示している。これは、図10に基づいて前述
したように、アルカリ性水回収通路38の奥行きが十分
でない故に噴流が壁面64に衝突し、乱流66の発生に
よりアルカリ性水と酸性水とが混合するためであると推
論される。電極板の厚さが0.5mmであり、通水路3
4および36の幅dが夫々0.5mmであり、よって、
陽極板16の内側面と陽極板20の内側面との間の距離
d'(図9参照)が1.5mmであるから、アルカリ性水
回収通路38の奥行き9mmは、前記距離d’の6倍に
相当する。従って、アルカリ性水回収通路38の奥行き
Hを前記距離d’の6倍以上にすれば、所望pHのアル
カリ性水が得られることが帰結される。所望pHのアル
カリ性水が得られるということは、同時に、酸性水回収
通路44および46において所望pHの酸性水が得られ
ることを意味している。
よび46の奥行きが6mm以下の場合には、アルカリ性
水回収通路38において十分なpHのアルカリ性水が得
られないことを示している。このことは、逆に言えば、
酸性水回収通路44および46において十分なpHの酸
性水が得られないことを意味するものである。実験例で
は酸性水回収スリット16Cおよび20Cの幅は1mm
であるから、乱流の発生を防止するためには、酸性水回
収通路44および46の奥行きはスリットの幅の6倍以
上にすれば良いことが分かった。図12のグラフに示し
た試験結果は、また、1枚の陽極板と1枚の陰極板との
2枚の電極板だけを有し、唯一の通水路34又は36を
備えた電解槽に適用することができる。この場合には、
アルカリ性水回収通路38の奥行きHは通水路34又は
36の幅dの6倍以上にすれば良い。
載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本
発明の範囲内で種々の設計変更を加えることができる。
特に、アルカリ性水回収通路38の断面形状は図示した
5角形状に限定されず、種々多様な形状に設計すること
ができる。また、電極板の極性を逆にし、出口30から
アルカリ性水を取り出し、出口28から酸性水を取り出
すことができる。また、図示した実施例では電解槽の流
量を大きくするため2枚の陽極板を配置してあるが、陽
極板は1枚にし、通水路を1つにしてもよい。また、図
示した実施例では酸性水回収口として作用するスリット
16Cおよび20Cは電極板16および20に設けてあ
るが、スリット16Cおよび20Cのところで電極板1
6および20を終端させ、スリット16Cおよび20C
より下流の通水路壁面58は他の部材によって形成して
もよい。
造によれば、通水路34および36内に層流が形成さ
れ、この層流を維持させながら、通水方向に対して直角
な方向に酸性水(印加電圧の極性に応じては、アルカリ
性水)の薄い層が分離され、酸性水回収口16Cおよび
20Cから回収される。アルカリ性水回収通路38およ
び酸性水回収通路44、46は十分な奥行きを有するの
で、これらの回収通路内に噴出する噴流が脈動を起こす
のが防止され、所望pHの酸性水およびアルカリ性水を
回収することができる。
無隔膜型の電解槽の利点を享受しながらも、従来の無隔
膜型電解槽では得られなかったような強酸性および強ア
ルカリ性のイオンリッチ水を得ることができる。
理を示す模式図である。
イオン濃度分布を示す模式図である。
ある。
る。
て、図面簡素化のため電極板とスペーサは省略してあ
る。
ある。
図である。
る。
る。
水路の出口部分の模式的拡大図である。
変えて行った実験の結果を示すグラフである。
行った実験の結果を示すグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 一対の電極板(18、16/20)を隔膜を介
在させることなく互いに近接して平行に対向配置するこ
とにより、電解室として作用する通水路を前記一対の電
極板間に形成し、前記一対の電極板間に直流電圧を印加
しながら前記通水路に通水することにより水の電気分解
によりイオンリッチ水を生成するようになった無隔膜型
の電解槽(10)において:前記通水路(34/36)はその
通水方向全長にわたって延長する2つの平らな壁面(5
6、58)により画定し、前記通水路(34/36)の下流側
端部(34A/36A)は該通水路の流路断面積より大きな
流路断面積を有する第1のイオンリッチ水回収通路(3
8)に直接に開口させ、前記2つの壁面のいづれか一方
(58)には、前記通水路の下流側端部(34A/36A)よ
りも上流において、第2のイオンリッチ水回収通路(44
/46)に連通し前記通水路に開口するイオンリッチ水回
収口(16C/20C)を開口させ、前記第1イオンリッチ
水回収通路(38)内への流れの流入方向における前記第
1イオンリッチ水回収通路(38)の奥行き(H)は前記
2つの壁面間の距離(d)の6倍以上にしたことを特徴
とする無隔膜型電解槽。 - 【請求項2】 前記第2イオンリッチ水回収通路(44/
46)は前記イオンリッチ水回収口(16C/20C)の流路
断面積より大きな流路断面積を有し、前記第2イオンリ
ッチ水回収通路(44/46)内への流れの流入方向におけ
る前記第2イオンリッチ水回収通路(44/46)の奥行き
は前記イオンリッチ水回収口の幅の6倍以上であること
を特徴とする請求項1に基づく無隔膜型電解槽。 - 【請求項3】 第1の電極板(18)の両側に第2の電極
板(16、20)を隔膜を介在させることなく近接して平行
に配置することにより、電解室として作用する第1およ
び第2の通水路(34、36)を前記第1電極板の両側に形
成し、第1電極板と第2電極板との間に直流電圧を印加
しながら前記通水路に通水することにより水の電気分解
によりイオンリッチ水を生成するようになった無隔膜型
の電解槽(10)において:夫々の通水路(34、36)はそ
の通水方向全長にわたって延長する2つの平らな壁面
(56、58)により画定し、各通水路(34、36)の下流側
端部(34A、36A)は該通水路の流路断面積より大きな
流路断面積を有する第1のイオンリッチ水回収通路(3
8)に直接に開口させ、各通水路(34、36)の外側壁面
(58)には、前記通水路の下流側端部(34A、36A)よ
りも上流において、第2のイオンリッチ水回収通路(4
4、46)に夫々連通し前記各通水路に開口するイオンリ
ッチ水回収口(16C、20C)を開口させ、前記第1イオ
ンリッチ水回収通路(38)内への流れの流入方向におけ
る前記第1イオンリッチ水回収通路(38)の奥行き
(H)は前記第1通水路(34)の外側壁面と第2通水路
(36)の外側壁面との間の距離(d’)の6倍以上にし
たことを特徴とする無隔膜型電解槽。 - 【請求項4】 前記第2イオンリッチ水回収通路(44、
46)は前記イオンリッチ水回収口(16C、20C)の流路
断面積より大きな流路断面積を有し、前記第2イオンリ
ッチ水回収通路(44、46)内への流れの流入方向におけ
る前記第2イオンリッチ水回収通路(44、46)の奥行き
は前記イオンリッチ水回収口の幅の6倍以上であること
を特徴とする請求項3に基づく無隔膜型電解槽。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5152745A JP3055745B2 (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | イオンリッチ水生成用の無隔膜型電解槽 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5152745A JP3055745B2 (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | イオンリッチ水生成用の無隔膜型電解槽 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06339689A JPH06339689A (ja) | 1994-12-13 |
JP3055745B2 true JP3055745B2 (ja) | 2000-06-26 |
Family
ID=15547240
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5152745A Expired - Lifetime JP3055745B2 (ja) | 1993-05-31 | 1993-05-31 | イオンリッチ水生成用の無隔膜型電解槽 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3055745B2 (ja) |
-
1993
- 1993-05-31 JP JP5152745A patent/JP3055745B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06339689A (ja) | 1994-12-13 |
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