JP3055229B2 - 絶縁膜形成方法 - Google Patents

絶縁膜形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体集積回路, 特
にLSI等の微細加工によるDRAM製造の過程で半導
体基板上に形成されたアルミ合金配線を絶縁膜で覆う際
の絶縁膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図3にアルミ合金配線を覆うSiO2
縁膜の形成に用いられる絶縁膜製造装置として本発明が
対象とするECRプラズマCVD装置の基本構成を示
す。装置は図示されないマイクロ波発生装置と、マイク
ロ波の伝送路を構成する導波管1と、マイクロ波が透過
するマイクロ波導波窓2と,プラズマ引出し窓6とをそ
れぞれ両端面に備えた円筒状のプラズマ生成室3と、プ
ラズマ生成室3と同軸に配される主ソレノイド4と、プ
ラズマ引出し窓6を介してプラズマ生成室3と連通し被
成膜基板10を保持する基板ホールダ9を内包する反応
室7と、基板10にRFバイアスを印加するための高周
波電源11と、排気路12に接続される図示されない真空
排気装置を主要構成要素として形成されている。
【0003】基板10の表面に絶縁膜としてSiO2
を形成する場合には、主ソレノイド4に流す電流を調整
してプラズマ生成室3内のマイクロ波導入窓2の近傍に
電子サイクロトロン共鳴 (ECR) 条件を満たす磁場領
域 (以下ECR磁場領域と記す) を形成するとともに、
マイクロ波発生装置からマイクロ波を導波管1を通しマ
イクロ波導入窓2を透過させてプラズマ生成室3内に導
入した後、第1のガス導入系5からN2 OまたはO2
スをプラズマ生成室3内に導入すると、N2 OまたはO
2 ガスはECR磁場領域でマイクロ波電力を効率よく吸
収してプラズマ化され、このプラズマが主ソレノイド4
の作る発散磁場の磁力線に沿ってプラズマ引出し窓6か
ら反応室7内へ移動し、第2のガス導入系8から反応室
7内に導入されたSiH4 またはSi2 6 ガスを分
解, 活性化するとともに、プラズマ中の酸素イオンによ
り基板表面を反応活性化して、基板表面に膜質の良好な
SiO2 絶縁膜を形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、ECRプ
ラズマCVD装置では、SiO2 膜形成のために基板表
面の反応エネルギーを熱で与える必要がないために低温
でSiO2 膜を形成することができ、特にサブミクロン
オーダの微細構造を有するアルミ合金配線上に絶縁膜を
形成する際に、アルミ合金配線に熱的な損傷を与えるこ
となく絶縁膜を形成できる特徴を有する。しかし、この
装置を用いて、基板表面の温度を、室温からスタートし
て150℃程度までの範囲内で成膜した場合、膜中に水
分が含まれ、これにより膜内に生じていた圧縮応力が成
膜後のアニーリング熱処理の際に水分を放出して引張り
応力に変化し、アルミ合金配線にダメージを与えるとい
う問題があった。
【0005】また、一方、マイクロ波よりも周波数が2
桁程度以上小さい高周波電源を用いて形成した高周波電
界中に成膜原料ガスを導入, プラズマ化して膜形成を行
うRFグロー放電プラズマCVD装置を用いてSiO2
絶縁膜を形成する場合には、基板の表面温度を300℃
程度として成膜が行われ、この場合には膜中に水分が含
まれず、アニーリング熱処理時の膜内応力変化によるア
ルミ合金配線のダメージは生じないものの、成膜時の熱
応力によるダメージが大きく、LSIの寿命を短くする
要因となっていた。
【0006】この発明の目的は、ECRプラズマCVD
装置を用いてSiO2 膜を形成する際に上述の問題が生
ぜず、LSI製品の寿命を伸ばすことのできるSiO2
絶縁膜形成方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、先ず、本発明の参考手段によれば、筒状に形成され
両端面にそれぞれマイクロ波導入窓とプラズマ引出し窓
とを備えるとともに内部にマイクロ波との電子サイクロ
トロン共鳴を生じさせる磁場領域を形成する主ソレノイ
ドを同軸に備えたプラズマ生成室と、前記プラズマ引出
し窓を介してプラズマ生成室と連通し被成膜基板へのR
Fバイアス印加可能に形成された基板ホールダを内包す
る反応室と、被成膜基板にRFバイアスを印加するため
の高周波電源とを備えたプラズマCVD装置を用い、N
2 OまたはO2 ガスをプラズマ生成室に導入するととも
にSiH4 またはSi2 6 ガスを反応室に導入して被
成膜基板表面にSiO2 絶縁膜を形成させる際の絶縁膜
形成方法を、被成膜基板の表面温度を成膜開始前に所定
の温度に上昇させた後成膜を開始し、成膜中被成膜基板
の表面温度を230〜260℃の範囲内に保つ成膜方法
とする。
【0008】この方法において、成膜開始前の被成膜基
板表面温度の所定温度への上昇を、プラズマ生成室内で
生成されたN2 OまたはO2 ガスによるプラズマを、S
iH4 またはSi2 6 ガスの反応室内への導入に先立
って被成膜基板表面に照射することにより行うようにす
るようにすれば好適である。さらに、N2 OまたはO2
ガスによるプラズマの照射を、被成膜基板の反プラズマ
生成室側に補助ソレノイドを配設して被成膜基板のプラ
ズマ生成室側にミラー磁場を形成した状態で行うように
すればさらに好適である。
【0009】そして、上記の課題を解決するために、本
発明によれば、筒状に形成され両端面にそれぞれマイク
ロ波導入窓とプラズマ引出し窓とを備えるとともに内部
にマイクロ波との電子サイクロトロン共鳴を生じさせる
磁場領域を形成する主ソレノイドを同軸に備えたプラズ
マ生成室と、前記プラズマ引出し窓を介してプラズマ生
成室と連通し被成膜基板へのRFバイアス印加可能に形
成された基板ホールダを内包する反応室と、被成膜基板
にRFバイアスを印加するための高周波電源とを備えた
プラズマCVD装置を用い、N2OまたはO2 ガスをプ
ラズマ生成室に導入するとともにSiH4 またはSi2
6 ガスを反応室に導入して被成膜基板表面にSiO2
絶縁膜を形成させる際の絶縁膜形成方法であって、被成
膜基板の表面温度を成膜開始前に所定の温度に上昇させ
た後成膜を開始し、成膜中被成膜基板の表面温度を23
0〜260℃の範囲内に保つ絶縁膜形成方法において、
成膜開始前の被成膜基板表面温度の所定温度への上昇
が、RFバイアス印加可能な基板ホールダを、熱媒体が
通流して熱交換作用を行う熱交換ジャケットと、該熱交
換ジャケットの平坦な熱交換面に当接される均熱プレー
トと、該均熱プレートの平坦な熱交換面に当接される静
電チャックとで構成して熱媒体温度を上昇させることに
より行われることとする。
【0010】また、別の本発明によれば、筒状に形成さ
れ両端面にそれぞれマイクロ波導入窓とプラズマ引出し
窓とを備えるとともに内部にマイクロ波との電子サイク
ロトロン共鳴を生じさせる磁場領域を形成する主ソレノ
イドを同軸に備えたプラズマ生成室と、前記プラズマ引
出し窓を介してプラズマ生成室と連通し被成膜基板への
RFバイアス印加可能に形成された基板ホールダを内包
する反応室と、被成膜基板にRFバイアスを印加するた
めの高周波電源とを備えたプラズマCVD装置を用い、
2OまたはO2 ガスをプラズマ生成室に導入するとと
もにSiH4 またはSi26 ガスを反応室に導入して
被成膜基板表面にSiO2 絶縁膜を形成させる際の絶縁
膜形成方法であって、被成膜基板の表面温度を成膜開始
前に所定の温度に上昇させた後成膜を開始し、成膜中被
成膜基板の表面温度を230〜260℃の範囲内に保つ
絶縁膜形成方法において、成膜中の被成膜基板表面温度
の230〜260℃範囲内への保持が、RFバイアス印
加可能な基板ホールダを、熱媒体が通流して熱交換作用
を行う熱交換ジャケットと、該熱交換ジャケットの平坦
な熱交換面に当接される均熱プレートと、該均熱プレー
トの平坦な熱交換面に当接される静電チャックとで構成
して静電チャックの基板吸着力を制御することにより行
われることとする。さらに別の本発明によれば、筒状に
形成され両端面にそれぞれマイクロ波導入窓とプラズマ
引出し窓とを備えるとともに内部にマイクロ波との電子
サイクロトロン共鳴を生じさせる磁場領域を形成する主
ソレノイドを同軸に備えたプラズマ生成室と、前記プラ
ズマ引出し窓を介してプラズマ生成室と連通し被成膜基
板へのRFバイアス印加可能に形成された基板ホールダ
を内包する反応室と、被成膜基板にRFバイアスを印加
するための高周波電源とを備えたプラズマCVD装置を
用い、N2OまたはO2 ガスをプラズマ生成室に導入す
るとともにSiH4 またはSi26 ガスを反応室に導
入して被成膜基板表面にSiO2 絶縁膜を形成させる際
の絶縁膜形成方法であって、被成膜基板の表面温度を成
膜開始前に所定の温度に上昇させた後成膜を開始し、成
膜中被成膜基板の表面温度を230〜260℃の範囲内
に保つ絶縁膜形成方法において、成膜中の被成膜基板表
面温度の230〜260℃範囲内への保持が、RFバイ
アス印加可能な基板ホールダを、熱媒体が通流して熱交
換作用を行う熱交換ジャケットと、該熱交換ジャケット
の平坦な熱交換面に当接される均熱プレートと、該均熱
プレートの平坦な熱交換面に当接される静電チャックと
で構成するとともに熱交換ジャケットを通流する熱媒体
を、媒体冷却手段と媒体加熱手段とを直列に通過させ、
媒体冷却手段, 媒体加熱手段のいずれか1つを作動させ
ることにより行われることとする。
【0011】
【作用】すでに述べたように、SiO2 膜の形成を、基
板加熱手段を持たない通常のECRプラズマCVD装置
で通常行われているように、室温からスタートさせかつ
150℃程度の低温で成膜すると、SiH4 とO2 と、
等の反応過程で生ずるH2 Oをある一定度の割合で膜中
に含むこととなる。特にSiH4 ガスとO2 ガスとの流
量比SiH4 /O2 が0.9以下で成膜した場合、余剰の
酸素原子が水素原子と結合するようになり、H2 O分子
や、長期間後にH2 OとなるO−Hが膜中にとり込まれ
る。
【0012】そこで、成膜開始前に、基板の表面温度
を、成膜中の飽和温度より低めの温度に上昇させた後成
膜を開始するようにすれば、成膜開始から飽和温度に到
るまでの時間が短くなり、水分を含有する膜の厚みが小
さくなるとともに、この飽和温度を、膜中に水分が含ま
れない240℃以上とすれば、成膜初期に取り込まれた
2 O分子は熱エネルギーを得て離脱してしまい、膜中
の濃度は極端に減少する。従って、成膜時の飽和温度
を、装置運転上の裕度を考慮して230〜260℃範囲
に設定すれば、実用上水分を含まず、膜の厚み方向の透
水性の小さい膜が形成され、LSI製品の寿命を伸ばす
ことができる。また、この温度範囲は、アルミ合金配線
上に熱応力ダメージ原因となるヒロックが生じる300
℃以下であり、信頼性の高いLSI製品を得ることがで
きる。
【0013】そこで、成膜開始前の被成膜基板表面温度
の所定温度への上昇を、プラズマ生成室内で生成された
2 OまたはO2 ガスによるプラズマを、SiH4 また
はSi2 6 ガスの反応室内への導入に先立って被成膜
基板表面に照射することにより行うようにすれば、基板
が真空中におかれており、基板まわりに対流がなく、か
つ基板ホールダがRFバイアス印加可能となるように基
板との接触面に絶縁材を用いて形成されていることから
熱伝導も小さく、基板が熱的にほぼ孤立していることか
ら、発散磁界に沿って移動してきたプラズマが基板に衝
突したときに、プラズマの持つ熱エネルギーと運動エネ
ルギーとが基板表面ですべて熱となって効果的に基板温
度を上昇させる。従って、プラズマ生成室に投入される
マイクロ波電力やガス流量等のプラズマ化条件に従って
成膜前の照射時間を設定することにより、基板加熱手段
を持たない通常のECRプラズマCVD装置に対して特
別の加熱手段を付加することなく安価に成膜初期の基板
表面温度をあげることができる。
【0014】また、このN2 OまたはO2 ガスによるプ
ラズマ照射を、被成膜基板の反プラズマ生成室側に補助
ソレノイドを配設して被成膜基板のプラズマ生成室側に
ミラー磁場を形成した状態で行うようにすると、プラズ
マ生成室から基板方向へ発散しようとする磁場が基板へ
向かってしぼり込まれた状態でプラズマ生成室からのプ
ラズマが基板方向へ移動することになるから、基板に到
達するプラズマ量が多くなり、より効果的に基板温度が
上昇する。
【0015】また、RFバイアス印加可能な基板ホール
ダを、熱媒体が通流して熱交換作用を行う熱交換ジャケ
ットと、該熱交換ジャケットの平坦な熱交換面に当接さ
れる均熱プレートと、該均熱プレートの平坦な熱交換面
に当接される静電チャックとで構成して熱媒体温度を上
昇させることにより成膜開始前の基板表面の温度を所定
の温度に上昇させるようにすると、マイクロ波電力やガ
ス流量等のプラズマ化条件もしくは成膜条件と関係なく
基板表面温度を所定の温度に上昇させることができ、こ
れらの条件を変化させるときの温度制御が容易となる。
【0016】このようにして、成膜開始前の基板表面温
度を所定の温度に上昇させた後成膜を開始すると、高周
波電源から基板に供給されるRF電力, プラズマ生成室
に投入されプラズマに変換されて基板へ輸送されるマイ
クロ波電力、基板の表面反応熱により、基板温度はさら
に上昇する。一方、基板を保持している基板ホールダは
一定温度にコントロールされているため、基板と基板ホ
ールダとの接触熱伝達により、基板と基板ホールダとの
温度差に比例した熱量が基板から奪われることになる。
従って、この熱量と基板に供給される前記熱量 (RF電
力, マイクロ波電力, 表面反応熱) とが等しくなるまで
基板温度は上昇する。この場合、基板から基板ホールダ
への熱量の奪われ方は、基板と基板ホールダとの接触熱
伝達係数により異なり、この係数が大きいと飽和温度が
低く、小さいと飽和温度が上昇する。この接触熱伝達係
数は接触面圧に比例するので、RFバイアス印加可能な
基板ホールダを、熱媒体が通流して熱交換作用を行う熱
交換ジャケットと、該熱交換ジャケットの平坦な熱交換
面に当接される均熱プレートと、該均熱プレートの平坦
な熱交換面に当接される静電チャックとで構成し、静電
チャックの吸着電圧を制御して接触面圧を変えることに
より、基板の飽和温度を制御することができる。従っ
て、成膜開始前の基板表面温度をできるだけ高くし、接
触面圧を高くして所望の飽和温度を得るようにすれば、
基板と静電チャックとの間に塵等の異物が挟まっても、
接触面圧の相対変化量が小さくなり、安定した温度制御
が可能になる。
【0017】また、基板と基板ホールダとの接触熱伝達
係数が一定の場合には、基板の飽和温度は基板ホールダ
の温度により異なり、基板ホールダの温度が低いと飽和
温度も低く、基板ホールダの温度が高いと飽和温度も高
くなる。従って、RFバイアス印加可能な基板ホールダ
を、熱媒体が通流して熱交換作用を行う熱交換ジャケッ
トと、該熱交換ジャケットの平坦な熱交換面に当接され
る均熱プレートと、該均熱プレートの平坦な熱交換面に
当接される静電チャックとで構成して熱交換ジャケット
を通流する熱媒体を、媒体冷却手段と媒体加熱手段とを
直列に通過させるようにし、マイクロ波電力, RF電力
など、基板の加熱エネルギーの大きさに応じ、媒体冷却
手段, 媒体加熱手段のいずれか1つを作動させることに
より、基板の飽和温度を230〜260℃の範囲内に保
持することができる。もちろん、成膜途中で基板の加熱
エネルギーが変化した場合には、変化後の基板加熱エネ
ルギーの大きさにより、媒体冷却手段と媒体加熱手段と
が切り換えられることもある。
【0018】
【実施例】図1に本発明の方法により基板表面にSiO
2 絶縁膜を形成するECRプラズマCVD装置要部構成
の一実施例を示す。この実施例は、成膜開始前の基板表
面の温度上昇を基板ホールダ側から行う場合を示す。こ
のため、高周波電源11から基板10へのRFバイアス
印加可能となるように形成される基板ホールダ19は、
熱媒体が内部を通流する熱交換ジャケット20と,熱交
換ジャケット20の平坦な熱交換面の温度分布の不均一
を緩和する均熱プレート21と,吸着電極22Aを絶縁
物中に埋め込んでなる静電チャック22とで構成され、
熱媒体として用いた, 媒体加熱手段24で170℃程度
に加熱された沸点174℃の弗化炭素系熱媒体が熱交換
ジャケット20に輸送され、均熱プレート21を介して
静電チャック22を均一に加熱する。このときの静電チ
ャック22の温度は150℃であり、成膜時の基板の飽
和温度は、静電チャック22内の1対の吸着電極22A
相互間に印加する吸着電圧を500Vから2000Vに
変えることにより、300℃から200℃まで変化する
ことを確認した。なお、基板10の成膜開始前加熱時に
は、媒体加熱手段24と熱媒体流路が直列になるように
接続される媒体冷却手段23の冷却水流量調整バルブ2
3Aは閉止状態とする。なお、図中の符号25は、熱媒
体の温度を検出するための温度センサである。
【0019】このようにして基板表面の成膜開始前の温
度および成膜中の飽和温度を制御し、図2に示す構成の
ECRプラズマCVD装置を用いて成膜したときの成膜
条件と成膜結果との一例を以下に説明する。成膜条件と
して、プラズマ生成室3に導入するO2 ガスの流量を2
0SCCM, 反応室7に導入するSiH4 ガスの流量を18
SCCM, プラズマ生成室3に投入するマイクロ波電力を6
00W, 高周波電源11から基板10に供給するRF電
力を700W, 成膜中の基板温度 (飽和温度) を250
℃として成膜した場合、基板上のSiO2 膜の成長速度
は700Å/min となり、断面方形のアルミ合金配線側
壁には、膜厚が配線頂面から下地層方向へ次第に厚くな
る順テーパ状の成膜が行われ、かつ成膜後の膜内残留応
力も− (1×109 )dyn/cm2 と低ストレスの良好な膜
が得られた。また、成膜後のアニーリング熱処理時の応
力変動量も0.5×109 dyn /cm2 以下となり、配線に
対するダメージレスを実現することができた。
【0020】なお、図2に示す補助ソレノイド16は、
基板表面の成膜開始前温度上昇を、プラズマ生成室3で
生成されたプラズマを照射して行う場合の温度上昇速度
を速めるために、基板10のプラズマ生成室3側にミラ
ー磁場を形成するために設けられているもので、本発明
の参考手段である。
【0021】
【発明の効果】本発明では、ECRプラズマCVD装置
によるSiO2 絶縁膜の形成方法を以上のような方法と
したので、以下に記載する効果が得られる。本発明の参
考手段の方法では、成膜開始前に基板の表面温度を上昇
させるので、成膜開始後基板の表面温度が230〜26
0℃範囲内の飽和温度に到達するまでの時間が短くな
り、H2 Oを取り込んだ部分の膜厚が薄く、飽和温度に
到達した後のH2 Oの離脱が容易に行われ、実用上水分
を含まない, 透水性の小さい膜が形成され、成膜後熱処
理時の膜内応力変化による配線ダメージが防止されると
ともにLSI製品の寿命が伸び、また、アルミ合金配線
の熱損傷も生せず、LSI製品の信頼性が向上する。
【0022】ここで、成膜開始前の被成膜基板表面温度
の所定温度への上昇を、プラズマ生成室内で生成された
2 OまたはO2 ガスによるプラズマを、SiH4 また
はSi2 6 ガスの反応室内への導入に先立って被成膜
基板表面に照射することにより行う方法では、成膜開始
前の基板表面の温度上昇が、従来構成のECRプラズマ
CVD装置に対して特別の手段を付加することなく可能
となり、少なくとも成膜開始前基板表面温度上昇の過程
を安価に実施することができる。また、 N2 Oまたは
2 ガスによるプラズマの照射を、被成膜基板の反プラ
ズマ生成室側に補助ソレノイドを配設して被成膜基板の
プラズマ生成室側にミラー磁場を形成した状態で行う方
法では、成膜開始前の基板表面温度の上昇速度が速くな
り、装置のスループットが向上するという重要な効果が
得られる。
【0023】そして、本発明請求項1の方法では、マイ
クロ波電力やガス流量等のプラズマ化条件ないしは成膜
条件に関係なく成膜開始前の基板表面温度を所定の温度
に上昇させることができ、成膜条件が変わるときの装置
の運転が容易になる。請求項2の方法では、温度が一定
に保たれる基板ホールダの温度に対応して、静電チャッ
クに与える吸着電圧を調整するのみで所望の飽和温度を
得ることができ、成膜中の基板表面温度の制御が容易に
なる。また、マイクロ波電力やRF電力など、基板を温
度上昇させる要因が変化したときの温度制御の即応性が
向上する。
【0024】請求項3の方法では、基板の成膜開始前か
ら成膜終了までの温度制御を熱媒体の温度制御のみによ
り一貫して行うことができ、基板温度制御のための被制
御量が少なく、装置の運転操作が簡易化されるメリット
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による絶縁膜形成方法を実現させるため
のECRプラズマCVD装置要部構成の一実施例を示す
説明図
【図2】図1の実施例に示す構成の装置要部を有するE
CRプラズマCVD装置全体構成の一実施例を示す縦断
面図
【図3】本発明が対象とするECRプラズマCVD装置
の基本構成を示す縦断面図
【符号の説明】
2 マイクロ波導入窓 3 プラズマ生成室 4 主ソレノイド 6 プラズマ引出し窓 7 反応室 9 基板ホールダ 10 基板(被成膜基板) 11 高周波電源 16 補助ソレノイド 19 基板ホールダ 20 熱交換ジャケット 22 静電チャック 22A 吸着電極 23 媒体冷却手段 24 媒体加熱手段 32 可変電圧直流電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01L 27/10 311 H01L 21/90 K (72)発明者 辻 直人 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 虎口 信 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−120822(JP,A) 特開 平1−158724(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/31 C30B 25/10 H01L 21/205 H01L 21/324 H01L 21/768 H01L 27/10 311

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】筒状に形成され両端面にそれぞれマイクロ
    波導入窓とプラズマ引出し窓とを備えるとともに内部に
    マイクロ波との電子サイクロトロン共鳴を生じさせる磁
    場領域を形成する主ソレノイドを同軸に備えたプラズマ
    生成室と、前記プラズマ引出し窓を介してプラズマ生成
    室と連通し被成膜基板へのRFバイアス印加可能に形成
    された基板ホールダを内包する反応室と、被成膜基板に
    RFバイアスを印加するための高周波電源とを備えたプ
    ラズマCVD装置を用い、N2OまたはO2 ガスをプラ
    ズマ生成室に導入するとともにSiH4 またはSi2
    6 ガスを反応室に導入して被成膜基板表面にSiO2
    縁膜を形成させる際の絶縁膜形成方法であって、被成膜
    基板の表面温度を成膜開始前に所定の温度に上昇させた
    後成膜を開始し、成膜中被成膜基板の表面温度を230
    〜260℃の範囲内に保つ絶縁膜形成方法において、 成膜開始前の被成膜基板表面温度の所定温度への上昇
    が、RFバイアス印加可能な基板ホールダを、熱媒体が
    通流して熱交換作用を行う熱交換ジャケットと、該熱交
    換ジャケットの平坦な熱交換面に当接される均熱プレー
    トと、該均熱プレートの平坦な熱交換面に当接される静
    電チャックとで構成して熱媒体温度を上昇させることに
    より行われることを特徴とする絶縁膜形成方法。
  2. 【請求項2】筒状に形成され両端面にそれぞれマイクロ
    波導入窓とプラズマ引出し窓とを備えるとともに内部に
    マイクロ波との電子サイクロトロン共鳴を生じさせる磁
    場領域を形成する主ソレノイドを同軸に備えたプラズマ
    生成室と、前記プラズマ引出し窓を介してプラズマ生成
    室と連通し被成膜基板へのRFバイアス印加可能に形成
    された基板ホールダを内包する反応室と、被成膜基板に
    RFバイアスを印加するための高周波電源とを備えたプ
    ラズマCVD装置を用い、N2OまたはO2 ガスをプラ
    ズマ生成室に導入するとともにSiH4 またはSi2
    6 ガスを反応室に導入して被成膜基板表面にSiO2
    縁膜を形成させる際の絶縁膜形成方法であって、被成膜
    基板の表面温度を成膜開始前に所定の温度に上昇させた
    後成膜を開始し、成膜中被成膜基板の表面温度を230
    〜260℃の範囲内に保つ絶縁膜形成方法において、 成膜中の被成膜基板表面温度の230〜260℃範囲内
    への保持が、RFバイアス印加可能な基板ホールダを、
    熱媒体が通流して熱交換作用を行う熱交換ジャケット
    と、該熱交換ジャケットの平坦な熱交換面に当接される
    均熱プレートと、該均熱プレートの平坦な熱交換面に当
    接される静電チャックとで構成して静電チャックの基板
    吸着力を制御することにより行われることを特徴とする
    絶縁膜形成方法。
  3. 【請求項3】筒状に形成され両端面にそれぞれマイクロ
    波導入窓とプラズマ引出し窓とを備えるとともに内部に
    マイクロ波との電子サイクロトロン共鳴を生じさせる磁
    場領域を形成する主ソレノイドを同軸に備えたプラズマ
    生成室と、前記プラズマ引出し窓を介してプラズマ生成
    室と連通し被成膜基板へのRFバイアス印加可能に形成
    された基板ホールダを内包する反応室と、被成膜基板に
    RFバイアスを印加するための高周波電源とを備えたプ
    ラズマCVD装置を用い、N2OまたはO2 ガスをプラ
    ズマ生成室に導入するとともにSiH4 またはSi2
    6 ガスを反応室に導入して被成膜基板表面にSiO2
    縁膜を形成させる際の絶縁膜形成方法であって、被成膜
    基板の表面温度を成膜開始前に所定の温度に上昇させた
    後成膜を開始し、成膜中被成膜基板の表面温度を230
    〜260℃の範囲内に保つ絶縁膜形成方法において、 成膜中の被成膜基板表面温度の230〜260℃範囲内
    への保持が、RFバイアス印加可能な基板ホールダを、
    熱媒体が通流して熱交換作用を行う熱交換ジャケット
    と、該熱交換ジャケットの平坦な熱交換面に当接される
    均熱プレートと、該均熱プレートの平坦な熱交換面に当
    接される静電チャックとで構成するとともに熱交換ジャ
    ケットを通流する熱媒体を、媒体冷却手段と媒体加熱手
    段とを直列に通過させ、媒体冷却手段, 媒体加熱手段の
    いずれか1つを作動させることにより行われることを特
    徴とする絶縁膜形成方法。
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