JP3055064B2 - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JP3055064B2
JP3055064B2 JP1203925A JP20392589A JP3055064B2 JP 3055064 B2 JP3055064 B2 JP 3055064B2 JP 1203925 A JP1203925 A JP 1203925A JP 20392589 A JP20392589 A JP 20392589A JP 3055064 B2 JP3055064 B2 JP 3055064B2
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憲一郎 二村
真一 岡本
勉 高木
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Taiho Kogyo Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、Ni系無電解めっき層を有する摺動部材の境
界潤滑下における摺動特性を改良する提案に関する。
(従来の技術) Ni系無電解めっきとしてはカニゼン(Japan Kanigen
Co.,Ltdの登録商標)が知られており、この方法で作ら
れるNi−P系無電解めっき層は硬さが大であり、硬質ク
ロムめっきに代わるものとして一部の摺動部材に使用さ
れている。
カニゼンめっきを改良するものとして発表されている
セラミックカニゼンめっき法は無電解Ni−Pめっき層中
にSiC等のセラミック粒子を共析分散させたものであ
り、耐摩耗性及び耐食性が優れているところに特長があ
るといわれる。
また、アルマイト処理後アルマイト表面の微細孔にPT
FEを含浸させるタフラム処理(金属表面化学株式社、商
標)がある。
特開昭63−246506号公報によれば、軸受表面にフッ素
樹脂を共析させた電解もしくは無電解めっき層を施し
た、無給油タイプの軸受が公知である。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者等は、スラストワッシャ、ジャーナルなどの
境界潤滑条件で使用されることが多い摺動部材の使用条
件を再現して、無電解Ni−Pめっき−セラミックの複合
めっき層の摺動特性を調べたところ、十分な性能を確認
することができなかった。
同様に、従来の方法により軸受表面にフッ素樹脂を共
析させた無電解Niめっき層を施した摺動部材の特性も調
査したところ、十分な性能を確認することができなかっ
た。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者等は、フッ素樹脂を共析分散させた無電解Ni
−Pめっきの境界潤滑条件での摺動特性を改良するため
の研究を行い、境界潤滑条件下の摺動特性、特に耐焼付
性は保油性能により決められることから、めっき表面に
油溜りとして作用する多数の微小窪みを形成することを
考案した。
以下、本発明の摺動部材の構成を詳しく説明する。
摺動部材の基材は、鉄系合金、アルミニウム系合金、
チタン系合金、樹脂、セラミック等適宜なものを選択す
ることができる。
Ni−Pめっきには、Niと次亜リン酸を混合した無電解
めっき液等の公知のめっき液を使用する。Ni−Pめっき
層中のP含有量は5〜12重量%であることが好ましい。
Ni−Pとともにフッ素樹脂を共析させるためには、Ni
−P無電解めっき液に添加する成分として、特公昭56−
452号に開示されたような陽イオン性界面活性剤を含有
する陽荷電ポリフルオロカーボン、あるいは陽電荷ポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)を使用することが好ま
しい。共析されるフッ素樹脂の量は5〜45容量%である
ことが好ましく、10〜30容量%がより好ましい。かかる
フッ素樹脂の粒径は、一般に平均で0.1〜2μmであ
る。
また、フッ素樹脂が共析分散した無電解めっきの下地
めっきとして、Ni−P無電解めっき層を設け、その表面
を適度に粗くして、上層めっきの密着性を高めるととも
に、上層めっきに形成される窪みが基材に達して錆や腐
食をもたらすことを防止することが好ましい。このよう
に二層めっきを施す場合、上層のめっき厚みは5〜50μ
mが好ましく、より好ましくは10〜30μmであり、一方
下層めっきの厚みは2μm以上が好ましい。
以下、本発明が最も特徴とする、Ni−P:フッ素樹脂共
析めっき表面の窪みについて説明する。第1図におい
て、1は基材、2はNi−P下地めっき層、3は、Ni−P:
フッ素樹脂共析めっき層、4は窪み、5はPTFEである。
Ni−P:フッ素樹脂共析めっき層3の表面に球面状の窪
み4が形成されており、これが油溜りとして作用する。
本発明者等は窪み4の構造と摺動特性の関係を研究し、
窪みの分布密度は、1万個/cm2〜25万個/cm2、窪みの直
径は、ほとんどの窪みが10μm〜80μmの範囲内にあ
り、窪みの深さは5〜30μmの範囲内にあると、摺動特
性が良好であるこをを見出した。
このような窪みの形成方法を説明する。先ず基材を有
機溶剤またはアルカリにより脱脂し水洗後、酸により表
面を活性化し、水洗する。続いて、Ni−次亜りん酸系無
電解めっき液に基材を浸漬し、下地めっき層を形成す
る。その後、陽電荷PTFE等前述のフッ素樹脂を分散させ
たNi−次亜りん酸系無電解めっき液に基材を浸漬し、上
層めっき層を形成する。その後、十分に水洗を行う。
以上の方法によりめっき直後の摺動部材表面に窪みを
形成することができる。
しかして、次のように現象が認められた。PTFEの量が
多いほど窪みの個数が多くなる;多くの窪みでは、その
表面はめっき層全体と比較してNi−Pが少なく、PTFEが
多い;かなりの数が窪みが、第2図に示す様に下地めっ
き層2まで達している;第2図に示すように下地めっき
層近くに達している窪みでは、その底部にPTFEが残って
いる。
これらの現象を考慮すると、窪み形成の原因は次の様
に考えられる。すなわち、下地めっき層あるいは基材に
はPTFEとNi−Pが同時に共析するのであるが、ミクロ的
に見ると、PTFEが塊になって析出しているところがあ
る。このようなPTFEの析出部にはNi−Pが析出し難くな
り、反面PTFEは次々にひっかかるから、PTFEが凝集し、
その塊は次第に成長する。めっき後に水洗を行うと、PT
FEの塊は脱落し、窪みになり、かつ塊表面部のPTFEは窪
み表面に残る。
(作用) 比較のために、窪みがほとんどないPTFE共析無電解Ni
−Pめっき液をあまり撹拌しない方法により作り、本発
明の摺動部材と特性を比較した。試験方法は平板供試材
(PTFE分散無電解Ni−Pめっき)と平板相手材(SC材)
をスライトタイプ試験機で試験する方法によった。試験
条件は次のとおりであった。
周速:2cm/min 試験時間:20時間 荷重:400kg 供試材形状:φ80(外径)xφ40(内径)x2(厚み) 潤滑条件:オートトランスミッションオイルどぶ漬 試験結果を第3図に示す。
この図より明らかなように、窪みがほとんどない比較
材は摩擦係数(μ)が高くかつ不安定であり、一方本発
明材((1)は窪み=2万個/cm2,(2)は25万個/c
m2)は摩擦係数(μ)が低くかつ安定している。また、
比較材の摺動面では凝着が認められたが、本発明材の摺
動面は損傷が認められなかった。本発明材の摺動面に存
在する窪みは、試験後に、異物等で埋まっていないこと
が認められた。これは窪み表面がめっき層の他の部分に
比較してPTFEが多いために、異物が付着し難いことによ
ると考えられる。
なお、上記試験でセラミックカニゼンやアルマイト表
面の微細孔にPTFEを含浸透させる処理法(タフラム)で
調製した摺動部材についても性能を調査したが、性能は
十分ではなかった。以下、実施例により本発明をさらに
詳しく説明する。
(実施例) Fe基材(SC材:寸法(100×100mm)をアルカリ脱脂水
洗後、10%塩酸で3分間、活性化し、再び水洗後Ni−P
系無電解めっき液(Niイオン対次亜りん酸=1:1重量比
の混合溶液、温度70〜90℃)に浸漬した。
上記した組成のNi−P系無電解めっき液1に陽イオ
ン性界面活性フルオロカーボン液(前掲、特公昭56−45
2号の出願人であるワクゾ・ナームローゼ・ベンノート
シャープ社の製品・商品名 ナイフローディスパージョ
ン)を49g加えた複合めっき浴(温度70〜90℃)を調製
した。このめっき液を撹拌しながら、Fe基材をめっき浴
に浸漬してめっきを行った。めっき後、流水により充分
の水洗を行った。その後、大気中、室温で乾燥を行っ
た。
得られためっきの厚みは、下地が約5μm、上層が約
25μmであった。組成は、下地はNiが約90重量%、残部
が主としてPであった。上層は、Niが約88重量%、PTFE
が約20容量%、残部主としてPであった。
得られた窪みはほとんどが球面状であり、分布密度
は、約20万個/cm2、窪みの直径は、ほとんどの窪みが80
μm〜100μmの範囲内にあり、窪みの深さは20〜25μ
mの範囲内にあった。
比較のために次の処理法による供試材を調製した。
セラミックカニゼン(厚み20μm) タフラム 硬質クロムめっき(厚み5μm) 窪みなし複合めっき(上記した本発明実施例の方法に
おいて、めっき液をあまり撹拌しないようにして窪みの
形成を避けた) 試験にはピンディスクタイプの摩擦テスターを用い、
次の条件により摩擦係数の測定を行った。
供試材:φ90mmのディスク ピン:SUJ2焼入材、3個、各ピンの端部は面積1cm2
円形とし、端部のエッジには丸みをつけて仕上げた。
荷重:100kg 潤滑:最初にディスク側に軸油1滴滴下し、塗布し
た。
周速:15cm/sec 試験結果を第4図に示す。
この図に示される摩擦係数変化グラフより、本発明の
供試材は摩擦が安定し、凝着し難いことが明らかであ
る。
(発明の効果) 以上説明したように、PTFEを共析分散させたNiめっき
の表面に窪みを設けることにより、境界潤滑特性を従来
の硬質Crめっきと比較して大幅に向上させることがで
き、スラストワッシャ、ジャーナルなどの摺動部材にPT
FE共析Ni−P無電解めっきを採用することが可能になっ
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の摺動部材の構造を説明する模式図、 第2図は、窪みの形状の一例を説明する図面、 第3図は各種供試材の摩擦係数のグラフ、 第4図は各種供試材の摩擦係数の時間変化を示すグラフ
である。 1……基材、2……Ni−P下地めっき層、3……Ni−P:
フッ素樹脂共析めっき層、4……窪み、5……PTFE
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 二村 憲一郎 愛知県豊田市緑ケ丘3丁目65番地 大豊 工業株式会社内 (72)発明者 岡本 真一 愛知県豊田市緑ケ丘3丁目65番地 大豊 工業株式会社内 (72)発明者 高木 勉 愛知県豊田市広田町稲荷山20 高木特殊 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−9899(JP,A) 特開 昭63−246506(JP,A) 実開 昭56−452(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素樹脂を共析したNi−P無電解めっき
    層の表面に、該フッ素樹脂の凝集物を除去することによ
    り多数の微小窪みが形成され、かつほとんどの窪みの深
    さが5〜30μmの範囲内にあることを特徴とする、境界
    潤滑下において優れた摺動特性を有する摺動部材。
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