JP3054387B2 - 悪臭成分が低減された卵殻粉末又はその処理法並びにその製法 - Google Patents

悪臭成分が低減された卵殻粉末又はその処理法並びにその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、悪臭成分を実質的
に低減させた新規な卵殻粉末又はその処理法並びにその
製法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、卵殻の処理方法として種々提
案されおり、例えば、特開昭51-18708、同57-132860 、
同59-71667、同60-259160 、特開平2-56434 、同7-1846
05が挙げられる。しかしながら、いずれも「(粗砕きし
た)卵殻から卵白及び卵殻膜をできるかぎり取り除き、
洗浄し、乾燥し、粉末化する」ことを基本としており、
いずれも、異臭の原因は卵殻に付着した卵白あるいは卵
殻膜であると考えられていた。特開昭59-71667で提案し
たように、卵殻から、卵白及び卵殻膜をできるかぎり取
り除くことで、ある程度、異臭のない、また、白度の良
好な卵殻粉末が得られてはいた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、カルシウム不足
を補うため、種々の食品に卵殻粉末がカルシウム強化の
ために入れられている。例えば、ウエハース、チョコレ
ート、煎餅等の菓子類をはじめとして、米、パン、麺、
コーンフレーク等の穀類や水産畜肉練製品等である。ま
た、健康志向の高まりから、カルシウム摂取のためのサ
プリメントに卵殻粉末が用いられるようになった。この
ような流れのなかで、卵殻粉末の悪臭を、更に取り除く
ことはできないか要望があった。上記従来技術の製造工
程の見直しで得られた卵殻粉末は異臭、変色の面で随分
改善されたものであり、菓子類、穀物類、水産畜肉練製
品等に卵殻粉末を用いる場合、多少卵殻粉末に悪臭が残
っていたとしても、卵殻粉末の添加量は少量なので、製
品を食しても悪臭を感じることはなかった。しかしなが
ら、サプリメントのように、高濃度に卵殻粉末を含有す
る場合には、卵殻粉末に多少でも悪臭が残っていると、
サプリメントを口に含んだ時にその悪臭を感じるものと
なる。
【0004】卵殻粉末特有の悪臭とは、後により具体的
に述べるように鼻を刺すような刺激臭である。従来技術
で得られた卵殻粉末は、乾燥した粉末では悪臭は気にな
らない程度のものであるが、これにほぼ同量の水を加
え、かき混ぜると、卵殻粉末特有の悪臭が現れることが
判明した。そこで、水に混ぜても悪臭のない卵殻粉末又
はその処理法並びにその製法を提供することを目的とす
る。
【0005】
〔ガスクロマトグラフィ−分析条件〕
1)カラム:内壁にメチル基の5%をフェニル基で置換し
たジメチルポリシロキサンからなる液相を膜厚0.25
μmでコーティングしたフューズドシリカのキャピラリ
ーカラム 2)カラムサイズ:長さ30m×内径0.25mm 3)注入法:サーマルディソープションコールドトラップ
インジェクター法(TCT法) 4)カラム温度:初期温度40℃で6分間保持し、5℃/
分で110℃まで昇温し10分間保持 5)キャリヤ−ガス:ヘリウム 6)カラムヘッド圧:1.1kgf/cm2 7)検出器:水素炎イオン化検出法(FID) 8)検出温度:220℃ (3) 平均粒子径が50μm以下である卵殻粉末に同
量の水を添加しかき混ぜた時に発生する成分のうち、2
−メチルプロパナール、3−メチルブタナール及び2−
メチルブタナールが少なくとも低減されてなる卵殻粉
末、(4) 平均粒子径が50μm以下である卵殻粉末
を製した後に、洗浄することを特徴とする卵殻粉末の処
理法、(5) 平均粒子径が50μm以下である卵殻粉
末を製した後に、洗浄し、乾燥することを特徴とする卵
殻粉末の製法である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。な
お、本発明において、「%」はすべて「重量%」を意味
する。本発明において卵殻粉末に同量の水を添加すると
は、重量で同量の水を添加することをいう。卵殻粉末は
水にほとんど溶けないが、全体が均一になるようにかき
混ぜてペースト状にする。この時、上述の従来技術で処
理した卵殻粉末は悪臭を発生する。
【0007】ここでいう本発明の悪臭とは、卵殻内部に
存在する嗅覚で感覚的に臭いと感じる臭気のことである
が、従来技術で(卵殻から卵白及び卵殻膜をできるかぎ
り取り除き、洗浄し、乾燥し、粉末化して)得られた卵
殻粉末に同量の水を加えかき混ぜたときに析出してくる
鼻を刺す刺激臭のことをいう。この刺激臭(悪臭)は水
を加える前の卵殻粉末そのものには感覚的にさほど感じ
られない。また、粗砕きした卵殻あるいはそのままの卵
殻に同量の水を添加しても、この刺激臭(悪臭)は生じ
ない。また、本発明の悪臭は、鶏糞や土、卵白、卵殻
膜、及び、乾燥工程からくる焦げ由来の異臭とは異な
る。ここで卵殻内部に存在する臭気とは、後の試験例で
も述べるとおり、一度悪臭を除いた卵殻粉末を再度粉砕
機にかけ、卵殻粉末の新たな表面を露出させると、悪臭
が再び検出されることから、悪臭は卵殻表面に存在する
物質由来ではなく、卵殻内部に存在する物質由来である
ことを意味するものである。つまり、卵殻内部とは、卵
殻を粉末状に粉砕してはじめて露出してくる部分のこと
であり、そのままの卵殻あるいは粗砕きした卵殻で露出
している部分ではなく、具体的には卵殻を粒子径が数十
μm程度に砕いた時に露出する部分のことである。
【0008】本発明において実質的に悪臭を発生しない
とは、卵殻粉末に同量の水を加えてかき混ぜた時に、嗅
覚で感覚的に臭いと感じない程度に悪臭成分が除かれて
いることをいう。完全に悪臭成分を取り除くことは困難
であり、上述したように、卵殻粉末を再度粉砕すると、
再び悪臭が析出することから、卵殻粉末内部に悪臭成分
が閉じ込められていると考えられるので、これらも完全
に除去することは技術的に困難である。また、卵殻粉末
表面にある悪臭成分は、有機溶剤等を用いて、完全に除
去することは可能であるが、食品に用いる場合、安全性
やコストを考慮すれば、食した時に不快感を与えない程
度に悪臭が除去されていれば充分であると言える。
【0009】次に、本発明における悪臭成分の分析方法
について述べる。悪臭成分の分析は、一般的な Gas Chr
omatography (GC)により行なう。臭気成分の捕集
は、Tenax捕集セットを用い、サーマルディソープ
ションコールドトラップインジェクター(TCT)法に
より、GCのカラムに注入し、水素炎イオン化検出法
(FID)及びマススペクトルにより検出する。
【0010】具体的には、まず、Tenax捕集セット
(ジーエルサイエンス(株)社製)を用いて、窒素ガス
により臭気成分を30分間捕集する。ドライパージ(乾
燥卵殻粉末の場合5分間、水添加卵殻粉末の場合10分
間)により水分を除去する。捕集した臭気成分をTCT
法(ジーエルサイエンス(株)社製)により、J&W社
製DB−5カラムに注入する。GC(ヒューレットパッ
カード社製)により、キャリヤーガスにヘリウム(カラ
ムヘッド圧:1.1kgf/cm2 )を用いてGCを行ない、
水素炎イオン化検出法(FID)及びマススペクトルに
て検出する。その他の条件としては、 ・カラムの初期温度は40℃で6分間保持した後、5℃
/min で110℃まで昇温し10分間保持 ・FIDの検出温度は220℃ ・J&W社製DB−5カラムは、長さ30m×内径0.
25mmの内壁にメチル基の5%をフェニル基で置換した
ジメチルポリシロキサンからなる液相を膜厚0.25μ
mでコーティングしたフューズドシリカのキャピラリー
カラムとする。
【0011】後の試験例で述べるが、上述した方法によ
り、本発明の卵殻粉末に水を添加し臭気成分を分析した
ところ、ヘリウムガスによるガスクロマトで、トルエン
(RT=約8分)よりも先に溶出される5つのピークの
成分が非常に低減されており、本発明の卵殻粉末は水を
添加しても悪臭を実質的に発生しないことから、悪臭と
因果関係があると推定される。よって悪臭の原因物質と
して全てを特定できたわけではないが、少なくともトル
エンよりも先に溶出される成分が低減されてなる卵殻粉
末は、実質的に悪臭を発生しないと考えられる。
【0012】上述のトルエン(RT=約8分)よりも先
に溶出される5つのピークの成分のうち、2−メチルプ
ロパナール、3−メチルブタナール、2−メチルブタナ
ールの3成分はマススペクトルより特定できた。化学大
辞典によると、それぞれ「刺激臭有り」と記載されてお
り、卵殻粉末の悪臭の原因の一つであると推定される。
よって、少なくとも2−メチルプロパナール、3−メチ
ルブタナール及び2−メチルブタナールが低減されてな
る卵殻粉末は、水を添加しかき混ぜても悪臭を実質的に
発生せず、高濃度に卵殻粉末を添加しても、悪臭を感じ
ることのない食品が得られる。
【0013】本発明の卵殻粉末とは卵殻を粉末状に粉砕
したものであり、具体的には、平均粒子径が50μm以
下程度の粉末である。ザラツキ等舌触りを考慮すれば平
均粒子径20μm以下程度がよく、より滑らかさが要求
される場合は平均粒子径が10μm以下程度の粉末が望
ましい。なお、後の試験例でも述べるが、従来技術で得
られた卵殻粉末のように、乾燥した粉末状であればさほ
ど悪臭は感じられないものであるが、水を添加しかき混
ぜた時に悪臭を発生するものは、本発明に属さない。
【0014】本発明の代表的製造方法を説明する。ま
ず、常法に従い、卵白と卵黄を除去した卵殻を水でよく
洗浄し、卵白や卵殻膜を除去後、通気熱風乾燥機等を用
いて乾燥し、必要に応じ粗粉砕機で粉砕し、さらに微粉
砕機で粉砕し、卵殻粉末として利用する粒子径まで粉砕
した卵殻粉末を製する。卵殻粉末の平均粒子径は約50
μm以下にするとよい。次いで、洗浄の工程は特に限定
されるものではなく、卵殻粉末の悪臭成分を低減させる
操作を意味するものであり、具体的には水や塩溶液、ア
ルコール、その他の有機溶剤等の溶媒に、卵殻粉末とし
て利用する粒子径の大きさまで粉砕した卵殻粉末をさら
し、悪臭成分を溶媒に析出させ、悪臭成分を低減させた
卵殻粉末を回収する。溶媒の種類を代えたり数回この操
作を繰り返し、必要に応じ、中和させる工程を行えばよ
い。このまま食品等に用いてもよいが、保存性をよくす
るために乾燥して卵殻粉末にしてもよい。乾燥方法も特
に限定はなく、具体的には、熱風乾燥等により水分約4
%未満の卵殻粉末にするとよい。
【0015】このようにして得られた卵殻粉末は、ほぼ
同量の水を添加してかき混ぜても、悪臭成分が実質的に
除かれているので、悪臭を発生することがなく、食品に
多量に添加しても、食した時に不快感を与えることがな
い。悪臭成分の全ての原因物質を特定できたわけではな
いが、少なくとも2−メチルプロパナール、3−メチル
ブタナール及び2−メチルブタナールを低減させれば悪
臭を発生しない卵殻粉末を得ることができる。
【0016】
【実施例】
実施例1 卵白と卵黄を除去した鶏卵の卵殻を水でよく洗浄し、卵
白や卵殻膜を除去後、通気熱風乾燥機(不二パウダル
(株)製、400A)を用いて90℃で乾燥し、粗粉砕
機((株)パウレックス製、パラプレックスFD−5
A、スクリーン4m/mφ)で粉砕し、さらに微粉砕機
((株)パウレックス製、コロプレックス160Z、回
転数18000rpm)で粉砕し、洗浄前の卵殻粉末(従来品)
200kg(平均粒子径18μm)を製した。得られた洗
浄前の卵殻粉末1kgに、10kgの清水を加え10分間攪
拌し、その後水を切り、この操作を延べ3回繰り返した
後、熱風乾燥機(70℃)により水分約1%に乾燥し
て、本発明である悪臭を実質的に発生しない卵殻粉末を
得た。
【0017】実施例2 実施例1と同じ方法で得た洗浄前の卵殻粉末1kgに、1
度目は清水10kgを加え10分間攪拌し、水分を除去
後、10%エタノール10kgを加えて10分間攪拌し
た。この操作を3回繰り返した後、エタノールを切り、
熱風乾燥機により70℃で乾燥し、本発明の悪臭を実質
的に発生しない卵殻粉末を製した。これを用いて、常法
に従いカルシウム強化用のタブレット(卵殻粉末20%
含有)を製した。口に含んでも悪臭を感じないものであ
った。
【0018】試験例1 実施例1と同じ方法で得た洗浄前の卵殻粉末(従来品)
と洗浄した卵殻粉末(本発明品)のそのままの臭気及び
同量の水を添加してかき混ぜてペースト状にした時に発
生する臭気について、よく訓練された10人のパネラー
の嗅覚により、それぞれブラインドテストを行ない、評
価した。その結果を表1に示す。表1によると、乾燥粉
末状では、従来品も本発明品も悪臭は感じられないが、
同量の水を添加しかき混ぜてペースト状にすると、従来
品は非常に刺激のある悪臭が感じられるが、本発明品は
特に臭気が感じられないことがわかる。
【0019】
【表1】
【0020】試験例2 実施例1と同じ方法で得た洗浄前(未洗浄)の卵殻粉末
(従来品)及び洗浄した卵殻粉末(本発明品)に水を添
加してかき混ぜた時に発生する臭気成分を分析した。ま
ず、Tenax捕集セット(ジールサイエンス(株)社
製)を用いて、窒素ガスにより臭気成分を30分間捕集
した。サンプルとしては、卵殻粉末10gに清水10g
を添加し攪拌したものとした。そしてドライパージ(1
0分間)により水分を除去した。
【0021】捕集した臭気成分をTCT法(ジーエルサ
イエンス(株)社製)により、J&W社製DB−5カラ
ムに導入した。GC(ヒューレットパッカード社製)を
行ない、水素炎イオン化検出法(FID)及びマススペ
クトルにて検出した。その他の分析条件を下記に示す。
結果を表2、図1及び図2に示す。なお、参考までに、
従来品を乾燥卵殻粉末状そのままで、臭気成分を分析し
たものを図3に示す。(サンプル:乾燥卵殻粉末10
g、ドライパージ5分間)
【0022】〔その他の分析条件〕 ・カラムの初期温度は40℃で6分間保持した後、5℃
/min で110℃まで昇温し10分間保持 ・キャリアーガス:ヘリウム ・カラムヘッド圧:1.1kgf/cm2 ・FIDの検出温度は220℃ ・J&W社製DB−5カラムは、長さ30m×内径0.
25mmの内壁にメチル基の5%をフェニル基で置換した
ジメチルポリシロキサンからなる液相を膜厚0.25μ
mでコーティングしたフューズドシリカのキャピラリー
カラム
【0023】本発明品に同量の水に添加すると、RT=
約9分以降のエチルベンゼン、キシレン、ノナナール等
が相対的に多く検出されているが、試験例1の嗅覚によ
る官能テストでは、不快な悪臭は感じられないことか
ら、これらの成分は悪臭の主な原因ではないと考えられ
る。また、従来品に水を添加しかき混ぜたものは、ガス
クロマトの結果よりRT=約8分で溶出されるトルエン
より先に溶出される5つの成分が相対的に非常に多く検
出されるのに対し、本発明品からは若干しか検出され
ず、また、試験例1の嗅覚による官能テストにおいて、
鼻を刺す刺激臭が感じられることより、トルエンより先
に溶出される5つの成分が悪臭の原因と推定される。ま
た、化学大辞典の記述からも2−メチルプロパナール、
3−メチルブタナール及び2−メチルブタナールは「刺
激臭有り」とされていることから、少なくともこの3成
分は悪臭の主な原因であると推定できる。なお、図3よ
り従来品の乾燥卵殻粉末からは、RT=3.165分
(Unknown)、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が
検出されているが、表1の官能テストでは悪臭は感じら
れないことから、これらは悪臭の主な原因ではないと考
えられる。
【0024】
【表2】
【0025】試験例3 3〜5mm程度に粗砕きした粗砕卵殻と卵殻粉末を再粉砕
した時に発生する悪臭について、簡易の測定装置を用い
て測定し、また、パネラー10人の嗅覚によるブライン
ドテストを行なった。臭気成分を測定したサンプルとし
ては、割卵し、卵白、卵黄及び卵殻膜を除去し、3〜5
mm程度に粗砕きし乾燥した『粗砕卵殻』と、この粗砕卵
殻を不二パウダル(株)社製サンプルミルKIII−1を
用いて粉砕し三田村理研工業(株)社製電磁式ふるい振
盪器で篩分けした『平均粒子径約250μm』、『平均
粒子径約105μm』及び『平均粒子径約15μm』を
準備した。サンプルの洗浄方法としては、各サンプルの
10倍量(重量)の清水で20分間攪拌し、上清を捨
て、この操作を延べ3回繰り返した後、70℃で乾燥し
た。洗浄した『平均粒子径約250μm』、『平均粒子
径約105μm』のサンプルは、さらに再粉砕し、『平
均粒子径約15μm』とした
【0026】臭気成分の簡易測定装置は、新コスモス電
気(株)社製のポータブル型ニオイセンサーXP−32
9Sを用いた。測定方法とては、50ml容の共栓付三角
フラスコに、卵殻:清水=2:1となるように添加し、
1分間懸濁後、ニオイセンサーの臭気吸引部分をフラス
コ内に差し込み、臭気を吸引させた。測定は、測定中の
臭気の最高値と3分間吸引させた後の値を測定した。
【0027】その結果を表3に示す。洗浄前の粗砕卵殻
は特に臭気を発生することがないが、細かく粉砕される
程悪臭が検出され、『平均粒子径約15μm』まで細か
くすると、特に刺激臭が発生するが、洗浄することによ
り、『平均粒子径約15μm』でも悪臭が除かれている
ことがわかる。なお、洗浄した『平均粒子径約15μ
m』の臭気は、簡易測定装置による測定では、422と
高い数値を示しているが、官能テストでは不快な臭気は
感じられないことがわかる。また、『平均粒子径約25
0μm』及び『平均粒子径約105μm』を一度洗浄し
ても、再粉砕して『平均粒子径約15μm』の微粒子に
すると刺激臭が発生することより、卵殻粉末の悪臭成分
は卵殻内部に閉じ込められていると考えられる。よって
卵殻粉末として利用する粒子径まで粉砕した卵殻粉末を
洗浄すれば、悪臭を実質的に除くことができると推察さ
れる。なお、水を添加する前の乾燥卵殻粉末の状態で
は、おしなべて特に不快な臭気は感じられないものであ
った。
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明は、ほぼ同量
の水を添加してかき混ぜても卵殻粉末特有の悪臭(鼻を
刺す刺激臭)を発生しない卵殻粉末を提供するものであ
る。これにより、卵殻粉末を高濃度に含有させても卵殻
粉末特有の悪臭を感じさせることのない食品、例えばタ
ブレット等を提供できる。また、卵殻粉末として利用す
る粒子径まで粉砕した卵殻粉末を製してから、これを洗
浄することで、初めて卵殻粉末特有の悪臭を実質的に除
くことができたものであり、これにより飲料等に用いて
も風味を損なうことのない卵殻粉末が得られるものであ
る。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例2における未洗浄の卵殻粉末(従来品)
に同量の水を添加してかき混ぜたときに発生する臭気成
分のGC/FIDのチャート。
【図2】試験例2における洗浄卵殻粉末(本発明品)に
同量の水を添加してかき混ぜたときに発生する臭気成分
のGC/FIDのチャート。
【図3】試験例2における乾燥卵殻粉末(従来品)につ
いての臭気成分のGC/FIDのチャート。
【0031】
【符合の説明】
1.2-Methylpropanal 2.Unknown 3.3-Metylbutanal 4.2-Metylbutanal 5.Toluene 6.Ethlbenzene 7.Xylene 8.Nonanal
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/32 A23L 1/304

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が50μm以下である卵殻粉
    末に同量の水を添加しかき混ぜた時に実質的に悪臭を発
    生しない卵殻粉末。
  2. 【請求項2】 平均粒子径が50μm以下である卵殻粉
    末に同量の水を添加しかき混ぜた時に発生する成分のう
    ち、下記のガスクロマトグラフィ−分析条件において、
    少なくともトルエンより先に溶出される成分が低減され
    てなる卵殻粉末。 〔ガスクロマトグラフィ−分析条件〕 (1)カラム:内壁にメチル基の5%をフェニル基で置換
    したジメチルポリシロキサンからなる液相を膜厚0.2
    5μmでコーティングしたフューズドシリカのキャピラ
    リーカラム (2)カラムサイズ:長さ30m×内径0.25mm (3)注入法:サーマルディソープションコールドトラッ
    プインジェクター法(TCT法) (4)カラム温度:初期温度40℃で6分間保持し、5℃
    /分で110℃まで昇温し10分間保持 (5)キャリヤ−ガス:ヘリウム (6)カラムヘッド圧:1.1kgf/cm2 (7)検出器:水素炎イオン化検出法(FID) (8)検出温度:220℃
  3. 【請求項3】 平均粒子径が50μm以下である卵殻粉
    末に同量の水を添加しかき混ぜた時に発生する成分のう
    ち、2−メチルプロパナール、3−メチルブタナール及
    び2−メチルブタナールが少なくとも低減されてなる卵
    殻粉末。
  4. 【請求項4】 平均粒子径が50μm以下である卵殻粉
    末を製した後に、洗浄することを特徴とする卵殻粉末の
    処理法。
  5. 【請求項5】 平均粒子径が50μm以下である卵殻粉
    末を製した後に、洗浄し、乾燥することを特徴とする卵
    殻粉末の製法。
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