JP3053640U - 芳香剤パック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】火や電気を用いることなく、何処へでも携行し
て、安全かつ安定的に芳香・薫香を楽しめるような芳香
剤パックを提供すること。 【解決手段】芳香材料１の粉末と、発熱剤２としての酸
化カルシウムの粉末に発熱制御剤３としての酸化マグネ
シウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムからなる粉
末を混合したものとを、満遍なく混合した状態で通水性
のある材質の内袋４内に包装し、かつそれを水密性のあ
る外袋５内に封止して、芳香材パックＡとする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は芳香剤パックに関するものであり、特に火や電気を用いることなく、 何処へでも携行して、安全かつ安定的に芳香・薫香を楽しめるようにした芳香剤 パックに係るものである。

【０００２】

【従来の技術】

芳香剤（薫香料）は近時、家庭生活の中で芳香・薫香を楽しんだり、別の臭い の消臭のために用いられているし、また人の心をリラックスさせ精神の安定を得 るアロマテラピー（香料療法）としても多く用いられるようになっている。

【０００３】 その芳香・薫香を発生させるのに、従来は香炉の中に入れた芳香材料に火を付 け、立ちのぼる煙の中で芳香・薫香を得るものが多かった。近時は芳香材料をス プレー状に噴霧したり、ペースト状の芳香材料を自然に揮発させたり、素焼き材 料や不織布その他の多孔質材に含浸させた芳香材料を自然に揮発、あるいはそれ を電気的に加熱して揮発させるもの等がある。

【０００４】 しかし、火を用いるものは時として危険な場合があるし、スプレー状に噴霧す るものは、一時的に芳香・薫香が発生するだけであるため、度々噴霧させる必要 があるし、芳香材料の自然揮発によるものは芳香・薫香の発生が微量で効果が少 ない場合が多いし、また電気的に加熱するものは何時・何処でも使用できるとい うものでなかった。

【０００５】 そこで注目されたのが、電源がなくとも使用可能としようとするため、化学反 応熱を利用して芳香材料を加熱し、継続的に必要な量の芳香が得られるようにす ることであり、例えば次のようなものが考案されている。

【０００６】 ａ）鉄粉の酸化熱を利用した発熱体と、芳香材料または天然フィトンチッドを 紙または不織布等に含浸させたものとを一緒に、通気性のある袋に入れたものが あった（例えば実開昭５５−１７５４１４号公報、実開昭６１−１１００４６号 公報参照）。これは、袋を揉むことで発生する酸化熱を利用して、内部の芳香材 料やフィトンチッドを昇華・揮散させ、芳香・薫香が生ずるようにしたものであ る。

【０００７】 ｂ）また携帯可能な容器内に、環境改善用物質（芳香材料）及び潜在性発熱物 質（生石灰）を、水と隔離した状態で小容器に収納しておくものがある（例えば 特開平３−２９５５６０号公報参照）。これは、使用に際して生石灰と水とを混 合させることにより、化学反応熱を発生させてこの熱により芳香材料から芳香・ 薫香を発生させるようにしたものである。

【０００８】 ｃ）さらに、環境改善用物質（芳香材料）及び潜在性発熱物質（生石灰）との 混合物を通水性のある包材に包装しておき、開始物質（水）入り容器に投入する ようにしたものがある（例えば上記特開平３−２９５５６０号公報参照）。これ は、包材を水へ投入することで、浸透した水により内部の生石灰を発熱させ、そ の熱で芳香材料が芳香・薫香を発生させるようにしたものである。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、従来の上記ａ）の酸化熱を利用するものは、芳香材料が一定量の芳 香・薫香を発する温度に加熱されるまでに時間がかかるし、一定温度以上の熱の 継続が不安定であったり、また短時間であったりで、温度制御が難しく、芳香剤 の発熱剤として用いるには不適当であった。

【００１０】 上記ｂ）やｃ）の生石灰の化学反応熱を利用するものは、ａ）の酸化熱を利用 するものに比べると優れるが、それでもやはり芳香材料が一定量の芳香・薫香を 発する温度を維持するような化学反応熱の温度制御は難しく、未だ満足なものが 製品化がなされていない状況にある。

【００１１】 本考案は、上記従来の芳香剤の欠点・問題点を解決することを課題として考案 したものであり、火や電気を用いることなく、何処へでも携行して、安全かつ安 定的に芳香・薫香を楽しめるようにした芳香剤パックを提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る芳香剤パックＡは、 芳香材料１の粉末と、発熱剤２としての酸化カルシウムの粉末に発熱制御剤３ としての酸化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムからなる粉末を 混合したものとを、満遍なく混合した状態で通水性のある材質の内袋４内に包装 し、かつそれを水密性のある外袋５内に封止してなるものである。

【００１３】

【考案の実施の形態】

上記構成において、芳香材料１としては、芳香成分を含む植物製や動物製のも のがのぞましく、例えばラベンダー、レモン、オレンジ、ローズマリー、ペパー ミント、ローズ、ジャスミン、シナモン、はっか、メントール、ムスク、コスタ スその他を粉末化したもの等を用いることがよい。しかしこれ等に限るものでは なく、例えば複数種類を混合して用いてもよいし、また漢方薬成分やハーブその 他の健康に良いとされる成分を混入させてもよい。

【００１４】 発熱剤２としての酸化カルシウムの粉末と、発熱制御剤３としての酸化マグネ シウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムの粉末とは、この芳香剤パックＡを 使用する用途・使用場所等に応じて発熱温度・発熱時間をコントロールできるよ うに、適宜に混合比率を設定したものを用いる。

【００１５】 また化学反応（加水反応）を生じさせるために用いる水は、自然水か水道水か によって品質が異なるし、水道水でも各地により品質が異なるが、上記発熱剤２ としての酸化カルシウムの粉末と、発熱制御剤３としての酸化マグネシウムと塩 化カルシウムと塩化マグネシウムの粉末との混合比率により、水の種類が異なっ てもできるだけ差が生じないようにしておく。

【００１６】 上記芳香材料１の粉末と、発熱剤２の粉末と発熱制御剤３の粉末との混合比率 も、芳香剤パックＡを使用する用途・使用場所等に応じて各種のものが考えられ ており、前者と後者との混合比率を、例えば０．５：９９．５程度のものから２ ０：８０程度のものの如く、各種のものが有る。

【００１７】 上記内袋４の材質は、例えば不織布製、和紙製や植物繊維による織物・編物等 とすることが望ましい。芳香材料１の粉末や、発熱剤２としての酸化カルシウム の粉末や、発熱制御剤３としての酸化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化マグ ネシウムの粉末等が通過せず、水や水蒸気が通過可能な微細多孔をもつものであ れば、他のものでもよい。

【００１８】 上記外袋５の材質は、水密性をもつものであり、例えばアルミ箔製や樹脂フィ ルム製の袋を用いることが望ましい。

【００１９】 上記構成の芳香剤パックＡの使用状態は、次のようになる。 この芳香剤パックＡの内袋４は、芳香・薫香を発生させるべく使用する前は、 水密性をもつ外袋５で被覆されているので、内袋４内の芳香材料１の粉末や発熱 剤２の粉末２や発熱制御剤３の粉末３等は水分に触れることがない。そのため、 使用前の保存中に変質しないし、加水反応を起こして発熱するようなことがない から、必要に応じて何処へでも安心して携行し、安全に使用可能である。

【００２０】 この芳香剤パックＡを使用して芳香を生じさせようとする際には、耐熱性をも つ小さい容器６に水７を例えば深さ６〜７ｍｍ程度に入れておき、該芳香剤パッ クＡの外袋５を破って内袋４を取り出して、その状態で上記容器６の水７に全体 が浸るように漬ければよい。

【００２１】 これで、水が通過可能な材質の内袋４を通過して内部へ達し、該内袋４内の発 熱剤２の粉末が水７で加水反応を起こすことになり、化学反応熱が発生する。こ の発熱により、内袋４に一緒に入れてある芳香材料１の粉末は、芳香成分を昇華 ・揮散させることになり、内袋４を経て芳香・薫香が立ちのぼって、周辺を心地 よい雰囲気にする。

【００２２】 上記の場合に、発熱剤２としての酸化カルシウムの粉末には、発熱制御剤３と しての酸化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムの粉末を適宜比率 で混合させてある。そのため、使用者が芳香剤パックＡを使用する用途・使用場 所等に応じたものを選択することにより、発熱温度・発熱時間をコントロール可 能となっており、十分に芳香・薫香を楽しむことができる。

【００２３】 同様に、発熱剤２としての酸化カルシウムの粉末に、発熱制御剤３としての酸 化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムの粉末を適宜比率で混合し てあることにより、ここで用いた水７の種類に殆ど影響することなく、各地の自 然水や水道水を用いて、何処でも安定的に可水反応・化学反応熱を生じさせ、同 じような状況で芳香・薫香を楽める。

【００２４】 なお上記構成の芳香剤パックＡによれば、化学反応時に有害なガスが発生する こともない。

【００２５】

【実施例】

図１ないし図３は、本考案に係る芳香剤パックＡの実施例を示すものである。 内袋４は、ここでは不織布を袋状としたものを用いており、縦５０ｍｍ×横７ ０ｍｍ程度の大きさのものであり、後記の芳香材料１の粉末、発熱剤２の粉末お よび発熱制御剤３の粉末を混合したものを包んで封止する。

【００２６】 芳香材料１の粉末は、ここではラベンダーを乾燥させて粉末化したものを用い ているが、これに限らないことは上記のとおりであり、また他の芳香材料１の粉 末を混合させてもよい。

【００２７】 発熱剤２の粉末としては、酸化カルシウムの粉末を用いるが、それに加えて発 熱制御剤３として酸化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムの粉末 を混合してある。混合比率は、この芳香剤パックＡを使用する用途・使用場所等 に応じて、発熱温度・発熱時間を制御可能に混合比率を設定したものである。こ こではオゾマックス（ＯＺＯ−ＭＡＸ，商標，オゾ化学技術研究所製）を用いて いる。

【００２８】 上記芳香材料１の粉末であるラベンダーの粉末と、発熱剤２の粉末である酸化 カルシウムの粉末と、発熱制御剤３の粉末である酸化マグネシウムと塩化カルシ ウムと塩化マグネシウムの粉末とを、満遍なく混合した状態で内袋４内に包装し て封止しておく。ここでは、ラベンダーの粉末を０．５ｇと、酸化カルシウムと 酸化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムを混合した上記オゾマッ クス１０．０ｇとを混合したものを用いている。

【００２９】 外袋５としてはここではアルミ箔を用いており、上記芳香材料１の粉末と発熱 剤２の粉末および発熱制御剤３の粉末を包んだ内袋４を、水密状に封止するもの である。

【００３０】 本考案に係る芳香剤パックＡの外袋５を破って内袋４を出し、水道水を深さ約 ７ｍｍ程度まで注いだ耐熱性の皿状容器６内に浸漬させたところ（図３参照）、 加水反応で約１０秒後に相当程度の発熱となり、約３０秒後にはかなりの発熱と 同時に水蒸気が発生して、それと共に芳香材料１中の芳香成分が盛んに昇華・揮 散して、芳香・薫香が広がった。

【００３１】 発熱は約１２０℃ないし１３０℃を維持して約８分後におさまったが、その後 も室内にラベンダーの芳香・薫香が漂って残り、ラベンダーの香りを十分に楽し むことができた。なお他の芳香材料１を用い、また芳香材料１と発熱剤２と発熱 制御剤３との混合比率が別のものを用いれば、異なった状況・雰囲気で芳香・薫 香を楽しむことが可能となることは言うまでもない。

【００３２】 また上記で発生した蒸気・凝集水は、急性毒性試験、水道法水質基準、厚生省 告示第３７０号（食品添加物等の規格基準）のいずれにも適合しており、有害な ガスの発生がなく問題が無いことを確認している。

【００３３】

【考案の効果】

以上で明らかな如く本考案にかかる芳香剤パックは、火や電気を用いることな く、何処へでも携行して、安全かつ安定的に芳香・薫香を楽しむことができる。

【００３４】 即ち、従来の芳香剤の中で酸化熱を利用するものは、一定量の芳香・薫香を発 するまで時間がかかるし、芳香・薫香が発生する量が不安定であったり、短時間 であったりして、温度制御が難しく芳香剤に使用することが難しかった。また生 石灰の化学反応熱を利用するものでも、やはり化学反応熱の温度制御が難しく、 未だ満足なものが製品化されていない。

【００３５】 これに対して本考案に係る芳香剤パックは、上記の使用する前は水密性をもつ 外袋で被覆されているので、内袋内の芳香材料の粉末や発熱剤・発熱制御剤の粉 末が水分に触れることがなく、変質しないし加水反応を生じることがない。その ため、従来のものと異なり、何処へでも安心して携行し、安全に使用することが できる。

【００３６】 またこの芳香剤パックを使用する際には、外袋を破って芳香材料の入った内袋 を取り出し、水を注いだ小容器内にそのままで漬ければよい。これにより、内袋 内の発熱剤の粉末が直ちに加水反応を起こし、その化学反応熱で一緒に混合して ある芳香材料の粉末が昇華・揮散する。そのため、従来の火や電気を用いずとも よく、どこでも使用できるし、かつ炎や発火の心配がないので、安心して芳香・ 薫香を楽しむことができる。

【００３７】 さらに本考案に係る芳香剤パックは、上記の如く発熱剤としての酸化カルシウ ムの粉末に、発熱制御剤としての酸化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化マグ ネシウムの粉末を適宜比率で混合させてある。そのため、芳香剤パックを使用す る用途・使用場所等に応じて適宜比率に混合したものを選択することにより、発 熱温度・発熱時間をコントロールして、いろんな状況に応じてこの芳香剤パック による芳香・薫香りを十分に楽しむことができる。

【００３８】 上記の如く本考案に係る芳香剤パックが、発熱剤としての酸化カルシウムの粉 末に、発熱制御剤としての酸化マグネシウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウ ムの粉末を適宜比率で混合したことにより、加水反応に用いる水の種類による影 響を殆ど受けることなく、何処でも安定的に可水反応を生じさせて芳香・薫香を 楽しむことができるものである。

【００３９】 なお、本考案に係る芳香剤パックによれば、化学反応時に有害なガスが発生す ることも無く、安心して使用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る芳香剤パックの実施例で、芳香材
料を入れた内袋の縦断斜視図である。

【図２】本考案に係る芳香剤パックの実施例で、芳香材
料を入れた内袋とそれを被覆した外袋との縦断斜視図で
ある。

【図３】図１で示した芳香剤パックを用い芳香・薫香を
発生させている状態の縦断正面図である。

【符号の説明】

Ａ−芳香剤パック ２−発熱剤 ４−内袋
６−容器 １−芳香材料 ３−発熱制御剤 ５−外袋
７−水

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】芳香材料１の粉末と、発熱剤２としての酸
   化カルシウムの粉末に発熱制御剤３としての酸化マグネ
   シウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムからなる粉
   末を混合したものとを、満遍なく混合した状態で通水性
   のある材質の内袋４内に包装し、かつそれを水密性のあ
   る外袋５内に封止してなる、芳香剤パック。
2. 【請求項２】発熱剤１としての酸化カルシウムの粉末
   に、発熱制御剤２としての酸化マグネシウムと塩化カル
   シウムと塩化マグネシウムの粉末を混合したものを、芳
   香剤を使用する用途・使用場所に応じて発熱温度・発熱
   時間を制御可能に適宜の混合比率で混合した、請求項１
   に記載の芳香剤パック。
3. 【請求項３】内袋４を、水および気体が通過可能な材質
   で形成し、かつ外袋５を、水密性をもつ材質で形成し
   た、請求項１に記載の芳香剤パック。