JP3052161U - 電子レンジ用食品パッケージ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】小分け食品収納体で、必要なだけ切り離して、
そのまま電子レンジに入れるだけで、温めたり調理した
りできる。 【解決手段】耐熱性合成樹脂製の基板材に上面開口型の
トレーを複数個互いに隣接するように形成し、当該各ト
レーの周側壁の上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段差
部と低段縁部とで形成し、連結縁部の部分には、各トレ
ーの上周縁に添って切り離し得るように整形用の切り欠
きや切穴を穿ってなる小分けトレー体を形成しておき、
各トレー上周縁の溶着用凸縁部に耐熱性合成樹脂製のシ
ールを熱溶着して上面開口を密閉して複数の小分け食品
収納体となし、更に各小分け食品収納体の間の連結縁部
に切り離し線を穿設して、人手の引き裂き力により各小
分け食品収納体毎に切り離しできるように構成したこと
を特徴とする電子レンジ用食品パッケージである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、トップシール付きの小分けトレーに食品を収容密閉してなる小分け 食品収納体で、必要なだけ切り離して、そのまま電子レンジに入れるだけで、温 めたり調理したりできる等の多機能をもった電子レンジ用食品パッケージに関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年の電子レンジの普及に伴って、電子レンジで温めたり調理したりして食す る電子レンジ対応食品の開発が盛んである。それに伴って電子レンジ対応食品を 包装するトレーや容器は、一般のトレーや容器が要求される運搬機能や保存機能 だけでなく、電子レンジによる加熱、調理に対応する機能を備えることが要求さ れるようになり、各方面で工夫研究されている。たとえば、電子レンジ内に入れ て温めた際、高まる内圧を脱気調整できるようにしたこと（実開昭６１−２３８ ０６号、実開昭６３−１５６９７８号、実開平５−２２３７５号、実開平４−４ １８７３号）、包装容器を電子レンジ加熱しても電磁波を有効に遮断して一部の 加熱を防止し選択加熱し得るようにしたこと（特開昭５５−５３６０号、実開平 ４−１１８３６４号）等である。また、電子レンジ用ではないが、複数の食品収 納室を具え、切取り線を形成して各食品毎に切り取りできるようにした冷凍食品 パック体（実開昭６２−１４９９９５号）もある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、それら従来例はいずれも実用性において満足できるものではなかった 。本考案者は、その不満足の理由について検討した結果、開発されている目的や 機能が単一であったり、単純であったり、経済的でなかったりなど、欠点がある ため実用性に欠けるものであった。そこで、当該食品包装体が、製造段階、流通 段階、消費者の調理段階、更に調理後の喫食段階においても、それぞれ好ましい 便利さを合わせもっているような多機能食品パッケージを開発せんとするのが本 考案の目的である。

【０００４】 つまり、コールドチェーン（低温流通）や電子レンジを利用する近年の食生活 スタイルに対応した食品パッケージが要求する多機能は、次のとおりである。 固形だけでなく溶液やゲル状物を含む食物が収容・保存できること。 製造が容易で、簡単に多機能パッケージを製造できること。 トレーがシールで完全に密封されていて、衛生上問題がないこと。 安価であること。 トレーの内圧が高まると自然に蒸気が抜ける脱気孔が各トレー毎に設けられて いて、小分け食品収納体が単体でも複数でも電子レンジにシールを開けずにそ のまま入れて、温めたり、調理したりすることができること。 複数の小分け食品収納体に形成されており、人力により容易に使う分だけ小分 け食品収納体を切り離すことができること。 小分け食品収納体毎にそのまま電子レンジにいれて調理することも、冷凍庫に 入れて保存できるようにすること。 小分け食品収納体毎に賞味期限と調理時間が表示し、冷凍庫保存時や電子レン ジ調理に際し、容易に確認できようにすること。 加熱調理後の小分けトレーは、そのまま食器や弁当等のおかず小分け具として 利用できること。 本考案は、このような数多い要求の全部または多くの機能を具えた多機能パッ ケージを具現化したものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

実用新案登録を受けようとする第１考案は、耐熱性合成樹脂製の基板材に上面 開口型のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、当該各トレーの周側壁の 上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段差部と低段縁部とで形成するとともに、当 該各トレーの外側位置にある上周縁にはトレー内の圧力が所定以上になったとき 脱気する高圧脱気部を設け、隣接するトレーとトレーとの間には低段縁部に連続 する連結縁部が形成されているが、当該連結縁部の部分には、各トレーの上周縁 に添って切り離し得るように整形用の切り欠きや切穴を穿ってなる小分けトレー 体を形成しておき、当該小分けトレー体の各トレー内に食品を収容したうえ、各 トレー上周縁の溶着用凸縁部に耐熱性合成樹脂製のシールを熱溶着して上面開口 を密閉して複数の小分け食品収納体となし、更に各小分け食品収納体の間の連結 縁部に切り離し線を穿設して、人手の引き裂き力により各小分け食品収納体毎に 切り離しできるように構成したことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージで ある。

【０００６】 本考案は、基本的な電子レンジ用の多機能食品パッケージである。本考案の多 機能性は次のとおりである。 (1) 下側に合成樹脂製の受け皿であるトレーがあり、上面開口を合成樹脂製のシ ールで密閉してあるので、固形だけでなく溶液やゲル状物を含む食物が収容・保 存できる。 (2) 各トレーの上周縁に溶着用凸縁部製造が形成されているし、トレーとトレー との間には低段縁部に連続する連結縁部が形成されているので、トレー内に食品 を収容し、合成樹脂製のシールで溶着し、切り離し線を穿設するだけで、簡単に 複数に分包された小分け食品収納体を製造できる。 (3) トレーの上面開口がシールで完全に密封されているので、流通過程において も包装体として衛生上問題がない。 (4) 耐熱性合成樹脂製の基板材とシールだけで出来ているので、安価である。 (5) トレーの内圧が高まると自然に蒸気が抜ける高圧脱気部が各トレー毎に設け られていて、小分け食品収納体が単体でも複数でも電子レンジにシールを開けず にそのまま入れて、温めたり、調理したりすることができる。 (6) 複数の小分け食品収納体が形成されており、しかも各小分け食品収納体の間 の連結縁部に切り離し線と整形用の切り欠きや切穴を穿ってあるので、人力によ り容易に使う分だけ小分け食品収納体を切り離すことができる。 (7) 小分け食品収納体毎にそのまま電子レンジにいれて調理することも、冷凍庫 に入れて保存できる。 (8) 本考案は、切り離し線だけでなく各トレーの上周縁に添って切り離し得るよ うに整形用の切り欠きや切穴が穿ってあるので、切り離された小分けトレーはい ずれもその形が美しく、そのまま食器や弁当等の小分け具として利用できる。 本考案は、このような数多くの機能を具えた電子レンジ用食品パッケージであ る。

【０００７】 実用新案登録を受けようとする第２考案は、耐熱性合成樹脂製の基板材に上面 開口型のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、当該各トレーの周側壁の 上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段差部と低段縁部とで形成するとともに、 当該各トレーの外側位置にある上周縁にはトレー内の圧力が所定以上になったと き脱気する高圧脱気部を設け、隣接するトレーとトレーとの間には低段縁部に連 続する連結縁部が形成され、当該連結縁部の部分には、各トレーの上周縁に添っ て切り離し得るように整形用の切り欠きや切穴を穿ってなる小分けトレー体を形 成するが、当該高圧脱気部は、各トレーの外側位置にある周側壁の一部にトレー の内側へ突出するリブを形成し、その上周縁に先端部が尖った山形稜線凸縁を形 成するとともに、当該山形稜線凸縁に添ってその外側位置に山形状凹溝と裾凸縁 とを形成し、当該山形状凹溝の左右両先端部が前記段差部にて外部に開口するよ うに形成してあり、当該小分けトレー体の各トレー上周縁の溶着用凸縁部と、高 圧脱気部の山形稜線凸縁と、裾凸縁とに耐熱性合成樹脂製のシールを熱溶着して 上面開口を密閉するとともに、高圧脱気部の山形状凹溝の上面を塞ぐようにした ことを特徴とする請求項１に記載の電子レンジ用食品パッケージである。

【０００８】 第２考案は、基本考案である第１考案の高圧脱気部の構成を特定したものであ る。耐熱性合成樹脂製のシールを熱溶着しただけで、容易に高圧脱気部を形成で きる。多機能性は、第１考案と同じである。

【０００９】 実用新案登録を受けようとする第３考案は、耐熱性合成樹脂製の基板材に上面 開口型のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、当該各トレーの周側壁の 上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段差部と低段縁部とで形成し、当該各トレー の外側位置にある上周縁にはトレー内の圧力が所定以上になったとき脱気する高 圧脱気部を設け、隣接するトレーとトレーとの間には低段縁部に連続する連結縁 部を形成して小分けトレー体となし、当該小分けトレー体の各トレー内に食品を 収容したうえ、各トレー上周縁の溶着用凸縁部に耐熱性合成樹脂製のシールを熱 溶着して上面開口を密閉して複数の小分け食品収納体となし、更に各小分け食品 収納体の間の連結縁部に切り離し線を穿設して、人手の引き裂き力により各小分 け食品収納体毎に切り離しできるように構成してなる電子レンジ用食品パッケー ジにおいて、各小分け食品収納体の上面開口を密閉溶着しているシール部分に、 賞味期限と調理時間を表示するようにしたことを特徴とする電子レンジ用食品パ ッケージである。

【００１０】 当該第３考案は、第１考案の多機能性に加えて、小分け食品収納体毎に賞味期 限と調理時間が表示されているので、冷凍庫保存している時や電子レンジ調理に 際して、容易に確認できるようにした。本考案は、小分け食品収納体が多数あり 、それを分離できるので、個別に表示がないと賞味期限と調理時間が分からなく なることが多く、消費者の保存段階、調理段階においてその都度確認できること は非常に便利である。

【００１１】 実用新案登録を受けようとする第４考案は、耐熱性合成樹脂製の基板材に上面 開口型のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、当該各トレーの周側壁の 上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段差部と低段縁部とで形成するとともに、 隣接するトレーとトレーとの間には低段縁部に連続する連結縁部を形成し、当該 連結縁部の部分には、各トレーの上周縁に添って切り離し得るように整形用の切 り欠きや切穴を穿っておき、当該各トレーの外側位置にある上周縁にはトレー内 の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部を設けるが、当該高圧脱気部 は、各トレーの外側位置にある周側壁の一部にトレーの内側へ突出するリブを形 成し、その上周縁に先端部が尖った山形稜線凸縁を形成するとともに、当該山形 稜線凸縁に添ってその外側位置に山形状凹溝と裾凸縁とを形成し、当該山形状凹 溝の左右両先端部が前記段差部にて外部に開口するように形成して小分けトレー 体となし、当該小分けトレー体の各トレー内に食品を収容したうえ、当該各トレ ー上周縁の溶着用凸縁部と、高圧脱気部の山形稜線凸縁と、裾凸縁とに耐熱性合 成樹脂製のシールを熱溶着して上面開口を密閉するとともに、高圧脱気部の山形 状凹溝の上面を塞ぐようにして複数の小分け食品収納体となし、更に当該各小分 け食品収納体の間の連結縁部に切り離し線を穿設して、人手の引き裂き力により 各小分け食品収納体毎に切り離しできるように構成し、各小分け食品収納体の上 面開口を密閉溶着しているシール部分に、賞味期限と調理時間を表示するように したことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージである。

【００１２】 第４考案は、すべてのアイディアを構成要素にした多機能の電子レンジ用食品 パッケージである。

【００１３】 実用新案登録を受けようとする第５考案は、耐熱性合成樹脂製のトレーの周側 壁の上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段差部と低段縁部とで形成するとともに 、トレーの上周縁に設けたトレー内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧 脱気部は、外側位置にある周側壁の一部にトレーの内側へ突出するリブを形成し 、その上周縁に先端部が尖った山形稜線凸縁を形成するとともに、当該山形稜線 凸縁に添ってその外側に山形状凹溝と裾凸縁とを形成し、当該山形状凹溝の左右 両先端部が前記段差部にて外部に開口するように形成したうえ、当該トレー上周 縁の溶着用凸縁部と、高圧脱気部の山形稜線凸縁と、裾凸縁とに耐熱性合成樹脂 製のシールを熱溶着して上面開口を密閉するとともに、高圧脱気部の山形状凹溝 の上面を塞ぐようにしたことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージである。

【００１４】 第５考案は、単体のトレーに新しい高圧脱気部を設けてなる電子レンジ用食品 パッケージである。

【００１５】 実用新案登録を受けようとする第６考案は、耐熱性合成樹脂製の基板材に上面 開口型のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、その各トレー内に食品を 収容したうえ、当該各トレー上周縁に耐熱性合成樹脂製のシールを熱溶着して上 面開口を密閉して複数の小分け食品収納体となし、更に当該小分け食品収納体と 小分け食品収納体の間の連結縁部に切り離し線を穿設して、人手の引き裂き力に より各小分け食品収納体毎に切り離しできるように構成してなる電子レンジ用食 品パッケージにおいて、当該各小分け食品収納体の上面開口を密閉溶着してなる 各シール部分に賞味期限と調理時間を表示するようにしたことを特徴とする電子 レンジ用食品パッケージである。

【００１６】 第６考案は、各小分け食品収納体の各シール部分に賞味期限と調理時間を表示 するようにした電子レンジ用食品パッケージである。

【００１７】

【実施例】

以下本考案を図示実施例に基づいて詳細に説明する。 図１は、本考案に係る電子レンジ用食品パッケージの小分けトレー体を示す平 面図であり、図２は、同電子レンジ用食品パッケージの小分けトレー体を示す正 面図であり、図３は、同電子レンジ用食品パッケージの小分けトレー体を示す斜 視図である。図４は、本考案に係る電子レンジ用食品パッケージの小分けトレー 体に食品を収容した状態のものと、熱溶着するための耐熱性合成樹脂製のシール との組み合わせを示す斜視図であり、図５は、本考案に係る電子レンジ用食品パ ッケージを示す斜視図であり、図６は、本考案に係る電子レンジ用食品パッケー ジから小分け食品収納体を切り離した状態を示す斜視図である。

【００１８】 本考案に係る電子レンジ用食品パッケージは、図４，図５に示すように小分け トレー体１の上面にシート２０を溶着して、複数の小分け食品収納体２１，２１ …となし、必要に応じて当該小分け食品収納体２１毎に切り離せるようにしたも のである。

【００１９】 本考案を構成する小分けトレー体１は、図１〜図３に示すように、耐熱性合成 樹脂製の基板材に上面開口型のトレー２，２…を複数個互いに隣接するように形 成し、その各トレー２，２…の周側壁の上周縁３に溶着用凸縁部４を形成すると ともに、高圧脱気部７を形成し、更に隣接するトレー２とトレー２との間に連結 縁部８が形成されている。当該小分けトレー体１の材質は、ポリプロピレンその 他の耐熱性合成樹脂製の基板材で形成されている。図示実施例の小分けトレー体 １は、４個のトレーを縦横２個づつ列設したものである。しかし、小分けトレー 体１は、この実施例に限ることなく、３個のトレーを列設したもの、６個のトレ ーを列設したもの、その他であってもよい。

【００２０】 当該小分けトレー体１の各トレー２，２…の周側壁の上周縁３は、図９に示す ように、溶着用凸縁部４とそれに続く段差部５と低段縁部６とで構成する。これ は、後述するシート２０との熱溶着部分と非熱溶着部分とを明確にすることによ り、熱溶着を確実なものにすることと、後述する高圧脱気部７を形成することと 、後で上面開口をシート２０で密閉するなどの加圧作業に耐えられるように上周 縁３を補強するためである。

【００２１】 次に、図中８，８は、隣接するトレー２とトレー２との間にて低段縁部６に連 続するように形成された連結縁部であり、当該連結縁部８，８の部分には、各ト レー２，２…の上周縁３に添って切り離し得るように整形用の切り欠き９や切穴 １０が穿ってある。当該低段縁部６や連結縁部８は、溶着用凸縁部４や山形稜線 凸縁１２や裾凸縁１４より低い位置にあるので、シートが溶着されることがない 。尚、図中１８，１８…は、各トレー２，２…の周側壁に設けられているトレー の内側へ突出するリブ１１であり、各トレー２，２…の周側壁を補強するための ものである。

【００２２】 また、図７は、本考案に係るトレー２の上周縁３に設けた高圧脱気部７の状態 を示す要部平面図であり、図８は、トレー２の上周縁３に設けた高圧脱気部７の 作用状態を示す要部中断面図である。そして、図９は、高圧脱気部７の構成を示 す要部拡大斜視図である。

【００２３】 当該各トレー２，２…の外側位置にある上周縁３，３…には、トレー２，２…内 の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部７を設けてある。図７〜図９ に示すように当該高圧脱気部７は、各トレー２，２…の外側位置にある周側壁の 一部にトレーの内側へ突出するリブ１１を形成し、その上周縁３の部分に先端部 が尖った山形稜線凸縁１２を形成するとともに、当該山形稜線凸縁１２に添って その外側位置に山形状凹溝１３と裾凸縁１４とを形成し、更に当該山形状凹溝１ ３の左右両先端部が前記段差部５にて外部に開口１５ａ，１５ｂするように形成 してある。この高圧脱気部７は、当該山形稜線凸縁１２や裾凸縁１４にシール２ ０が溶着して、山形状凹溝９の上面を塞ぐようにすることにより完成する。

【００２４】 当該高圧脱気部７は次のように作動する。図７、図８、図９に示すように、本 考案は、トレーの中に食品を収容したうえ、トレー２の上周縁３に形成された溶 着用凸縁部と高圧脱気部７とにシール２０が溶着され、トレー２内の上面開口が 密閉した状態の小分け食品収納体をそのまま電子レンジにいれて加熱して使用さ れる。すると、トレー２内の食品が加熱され、蒸気により密閉されたトレー２の 内圧が高まり、シール２０が図８に示すように膨張する。するとトレーの内側へ 突出する山形稜線凸縁１２の尖った先端部１２ａにまず内圧が集中して、その先 端溶着部が剥れようとする。しかるに、山形稜線凸縁１２の尖った先端部１２ａ は、幅が狭くなっているし、尖った三角形になっているので、内圧が所定以上に なると溶着用凸縁部よりこの山形稜線凸縁１２の尖った先端部１２ａから優先的 に順次剥れていく。すると、山形稜線凸縁１２と平行に形成されている山形状凹 溝９がすぐに露呈しトレー２内と連通状態となり、内部の蒸気が山形状凹溝９を 通って外部に脱気される。この際山形状凹溝９が裾凸縁１４によって左右に別れ ているうえ、裾凸縁１４部分が溶着されているので、高圧脱気部７のシール２０ がストレートに開放されてしまったり、不用意に破れてしまって、内部の汁など がこぼれることがない。しかも、当該高圧脱気部７は、各トレー２，２…の外側 位置にある周側壁の一部にトレーの内側へ突出するリブ１１が形成され、その上 周縁３の部分に形成されているので、複数の小分け食品収納体２１，２１…を単 体に切り離しても複数連結したままになっていても、各小分け食品収納体２１， ２１…毎に設けられている高圧脱気部７，７…により、そのまま電子レンジに入 れて温めたり調理することができる。つまり本考案は、レンジ調理の常識だった ラップもお皿も必要なく、またシールを開けることもなく、そのままレンジで温 めるだけでよく、トレーの内圧が高まると自然に蒸気が抜ける工夫をした食品包 装体である。

【００２５】 前記シール２０は、耐熱性合成樹脂製の薄膜材で形成されたシールで、図４に 示すように小分けトレー体の上面の外輪郭形状に対応した形状に形成されている 。更に、必要に応じて当該シール２０の表面で、各小分け食品収納体の上面開口 に対応している部分に、賞味期限と調理時間が表示してある。シール２０の材質 は、例えばナイロン、ポリエチレン、Ｓ−ジピール性ポリエチレーなどの積層体 のシート材などが適当である。

【００２６】 本考案では、当該小分けトレー体１の各トレー２，２…内に食品を収容したう え、当該各トレー上周縁３の溶着用凸縁部４と、高圧脱気部７の山形稜線凸縁１ ２と、裾凸縁１４とに耐熱性合成樹脂製のシール２０を熱溶着して上面開口を密 閉するとともに、高圧脱気部７の山形状凹溝９の上面を塞ぐようにして複数の小 分け食品収納体２１，２１…となす。本考案にかかる当該小分けトレー体１を利 用するのに好適な対象食品は、冷凍食品、固形物に粘度のあるタレ等がからまっ たもの（例えば酢豚、海老チリ、八宝菜など、マカロニ）及びある程度粘度のあ るスープ類（例えばシチュー、カレー、など）などである。

【００２７】 更に当該各小分け食品収納体２１，２１…の間の連結縁部８に切り離し線１６ を穿設して、人手の引き裂き力により各小分け食品収納体２１，２１…毎に切り 離しできるように構成する。従って、使う分だけ小分け食品収納体２１，２１… を切り離して、そのまま電子レンジに入れ手を汚さずに温めたり、調理したりで き、そのままお弁当にも小分け皿として入れることができる。また、残りは冷凍 庫に入れて保存することも出来る。

【００２８】 また各小分け食品収納体２１，２１…の上面開口を密閉溶着しているシール２ ０部分に、必要に応じて賞味期限と調理時間の表示１７をする。このため、残っ た小分け食品収納体２１毎に、調理時や喫食時に賞味期限と調理時間を確認する ことが出来るので、便利である。

【００２９】

【効果】

叙上のように本考案は、高圧脱気部を有する複数のトレーを形成した耐熱性合 成樹脂製の小分けトレー体に食品を収容したうえ、耐熱性合成樹脂製のシールを 熱溶着して上面開口を密閉して複数の小分け食品収納体となしたうえ、各小分け 食品収納体の間の連結縁部に切り離し線を穿設して、人手の引き裂き力により各 小分け食品収納体毎に切り離しできるように構成し、更に各小分け食品収納体の シールの表面に、賞味期限と調理時間を表示した電子レンジ用食品パッケージで ある。

【００３０】 従って本考案は、冷凍庫や電子レンジを利用する現在の食生活に適応した多機 能を備えた食品パッケージである。

【００３１】 (1) 本考案は、食品を安全に包装し流通し保存するための優れた多くの機能を有 するものである。 本考案は、複数の合成樹脂製のトレーを備え、それらの上面開口を合成樹脂製 のシールで密閉してあるので、固形だけでなく溶液やゲル状物を含む各種の食物 を収容・保存できるうえ、流通過程においても包装体として衛生上問題がない。 また、本考案は、各トレーの上周縁に溶着用凸縁部が形成されていて、トレー内 に食品を収容し、シールで溶着し、切り離し線を穿設するという簡単な作業で、 確実に製造できる。しかもその構成材料が耐熱性合成樹脂製の基板材とシールだ けで出来ているので、安価である。このように食品包装体として要求される対象 食品の広さ、衛生面の安全性の確保、食品の収容、製造の容易性、経済性といっ た多方面で優れた機能をもっている。

【００３２】 (2) 本考案は、消費者の立場に立脚した多くの利便性が追加されている。 本考案は、複数の小分け食品収納体に形成されているうえ、各小分け食品収納体 の間に切り離し線と切り欠きや切穴が穿ってあるので、消費者は、必要に応じて 容易に使う分だけ小分け食品収納体を切り離すことができる。消費者の意志に応 じて切り離した分を調理することも、残った分を冷凍庫に入れて保存することも できる。更に、切り離された小分けトレーはいずれもその形が美しく、そのまま 食器や弁当等の小分け具としても利用できる。このように本考案は、単に食品を 包装するというだけでなく、消費者の意志により、必要に応じて容量を自由に調 整できるという利便性があり、無駄もない。

【００３３】 (3) 本考案は、電子レンジ加熱に対応する機能が具備されている。 本考案は、各トレー毎に内圧が高まると自然に蒸気が抜ける高圧脱気部が設け られているので、小分け食品収納体が単体でも複数でも電子レンジ加熱の際には 、シールを開けずにそのまま入れて、温めたり、調理したりすることができる。 また各小分け食品収納体の上面開口を密閉しているシール部分に、必要に応じて 賞味期限と調理時間を表示したので、電子レンジでの調理加熱に際して確認でき るので、便利である。

【００３４】 本考案は、このように製造段階、流通段階、電子レンジ調理段階、喫食段階に おいて優れた数多くの機能を具えているので、実用性の高い電子レンジ用食品パ ッケージである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る電子レンジ用食品パッケージの小
分けトレー体を示す平面図である。

【図２】本考案に係る電子レンジ用食品パッケージの小
分けトレー体を示す正面図である。

【図３】本考案に係る電子レンジ用食品パッケージの小
分けトレー体を示す斜視図である。

【図４】本考案に係る電子レンジ用食品パッケージの小
分けトレー体に食品を収容した状態のものと、熱溶着す
るための耐熱性合成樹脂製のシールとの組み合わせを示
す斜視図である。

【図５】本考案に係る電子レンジ用食品パッケージを示
す斜視図である。

【図６】本考案に係る電子レンジ用食品パッケージから
小分け食品収納体を切り離した状態を示す斜視図であ
る。

【図７】本考案に係るトレーの上周縁に設けた高圧脱気
部の状態を示す要部平面図である。

【図８】本考案に係るトレーの上周縁に設けた高圧脱気
部の作用状態を示す要部中断面図である。

【図９】本考案に係る高圧脱気部の構成を示す要部拡大
斜視図である。

【符合の説明】

１…小分けトレー体 ２…トレー ３…上周縁 ４…溶着用凸縁部 ５…段差部 ６…低段縁部 ７…高圧脱気部 ８…連結縁部 ９…切り欠き １０…切穴 １１…リブ １２…山形稜線凸縁 １２ａ…先端部 １３…山形状凹溝 １４…裾凸縁 １５ａ…開口 １５ｂ…開口 １６…切り離し線 １７…賞味期限と調理時間の表示 １８…リブ ２０…シート ２１…小分け食品収納体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｈ０５Ｂ 6/64 Ｈ０５Ｂ 6/64 Ｊ // Ａ２３Ｌ 3/00 １０１ Ａ２３Ｌ 3/00 １０１Ａ

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 耐熱性合成樹脂製の基板材に上面開口型
   のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、当該各
   トレーの周側壁の上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段
   差部と低段縁部とで形成するとともに、当該各トレーの
   外側位置にある上周縁にはトレー内の圧力が所定以上に
   なったとき脱気する高圧脱気部を設け、隣接するトレー
   とトレーとの間には低段縁部に連続する連結縁部が形成
   されているが、当該連結縁部の部分には、各トレーの上
   周縁に添って切り離し得るように整形用の切り欠きや切
   穴を穿ってなる小分けトレー体を形成しておき、当該小
   分けトレー体の各トレー内に食品を収容したうえ、各ト
   レー上周縁の溶着用凸縁部に耐熱性合成樹脂製のシール
   を熱溶着して上面開口を密閉して複数の小分け食品収納
   体となし、更に各小分け食品収納体の間の連結縁部に切
   り離し線を穿設して、人手の引き裂き力により各小分け
   食品収納体毎に切り離しできるように構成したことを特
   徴とする電子レンジ用食品パッケージ。
2. 【請求項２】 耐熱性合成樹脂製の基板材に上面開口型
   のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、当該各
   トレーの周側壁の上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段
   差部と低段縁部とで形成するとともに、当該各トレーの
   外側位置にある上周縁にはトレー内の圧力が所定以上に
   なったとき脱気する高圧脱気部を設け、隣接するトレー
   とトレーとの間には低段縁部に連続する連結縁部が形成
   され、当該連結縁部の部分には、各トレーの上周縁に添
   って切り離し得るように整形用の切り欠きや切穴を穿っ
   てなる小分けトレー体を形成するが、当該高圧脱気部
   は、各トレーの外側位置にある周側壁の一部にトレーの
   内側へ突出するリブを形成し、その上周縁に先端部が尖
   った山形稜線凸縁を形成するとともに、当該山形稜線凸
   縁に添ってその外側位置に山形状凹溝と裾凸縁とを形成
   し、当該山形状凹溝の左右両先端部が前記段差部にて外
   部に開口するように形成してあり、当該小分けトレー体
   の各トレー上周縁の溶着用凸縁部と、高圧脱気部の山形
   稜線凸縁と、裾凸縁とに耐熱性合成樹脂製のシールを熱
   溶着して上面開口を密閉するとともに、高圧脱気部の山
   形状凹溝の上面を塞ぐようにしたことを特徴とする請求
   項１に記載の電子レンジ用食品パッケージ。
3. 【請求項３】 耐熱性合成樹脂製の基板材に上面開口型
   のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、当該各
   トレーの周側壁の上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段
   差部と低段縁部とで形成し、当該各トレーの外側位置に
   ある上周縁にはトレー内の圧力が所定以上になったとき
   脱気する高圧脱気部を設け、隣接するトレーとトレーと
   の間には低段縁部に連続する連結縁部を形成して小分け
   トレー体となし、当該小分けトレー体の各トレー内に食
   品を収容したうえ、各トレー上周縁の溶着用凸縁部に耐
   熱性合成樹脂製のシールを熱溶着して上面開口を密閉し
   て複数の小分け食品収納体となし、更に各小分け食品収
   納体の間の連結縁部に切り離し線を穿設して、人手の引
   き裂き力により各小分け食品収納体毎に切り離しできる
   ように構成してなる電子レンジ用食品パッケージにおい
   て、各小分け食品収納体の上面開口を密閉溶着している
   シール部分に、賞味期限と調理時間を印字するようにし
   たことを特徴とする電子レンジ用食品パッケージ。
4. 【請求項４】 耐熱性合成樹脂製の基板材に上面開口型
   のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、当該各
   トレーの周側壁の上周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段
   差部と低段縁部とで形成するとともに、隣接するトレー
   とトレーとの間には低段縁部に連続する連結縁部を形成
   し、当該連結縁部の部分には、各トレーの上周縁に添っ
   て切り離し得るように整形用の切り欠きや切穴を穿って
   おき、当該各トレーの外側位置にある上周縁にはトレー
   内の圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部を
   設けるが、当該高圧脱気部は、各トレーの外側位置にあ
   る周側壁の一部にトレーの内側へ突出するリブを形成
   し、その上周縁に先端部が尖った山形稜線凸縁を形成す
   るとともに、当該山形稜線凸縁に添ってその外側位置に
   山形状凹溝と裾凸縁とを形成し、当該山形状凹溝の左右
   両先端部が前記段差部にて外部に開口するように形成し
   て小分けトレー体となし、当該小分けトレー体の各トレ
   ー内に食品を収容したうえ、当該各トレー上周縁の溶着
   用凸縁部と、高圧脱気部の山形稜線凸縁と、裾凸縁とに
   耐熱性合成樹脂製のシールを熱溶着して上面開口を密閉
   するとともに、高圧脱気部の山形状凹溝の上面を塞ぐよ
   うにして複数の小分け食品収納体となし、更に当該各小
   分け食品収納体の間の連結縁部に切り離し線を穿設し
   て、人手の引き裂き力により各小分け食品収納体毎に切
   り離しできるように構成し、各小分け食品収納体の上面
   開口を密閉溶着しているシール部分に、賞味期限と調理
   時間を表示するようにしたことを特徴とする電子レンジ
   用食品パッケージ。
5. 【請求項５】 耐熱性合成樹脂製のトレーの周側壁の上
   周縁を溶着用凸縁部とそれに続く段差部と低段縁部とで
   形成するとともに、トレーの上周縁に設けたトレー内の
   圧力が所定以上になったとき脱気する高圧脱気部は、外
   側位置にある周側壁の一部にトレーの内側へ突出するリ
   ブを形成し、その上周縁に先端部が尖った山形稜線凸縁
   を形成するとともに、当該山形稜線凸縁に添ってその外
   側に山形状凹溝と裾凸縁とを形成し、当該山形状凹溝の
   左右両先端部が前記段差部にて外部に開口するように形
   成したうえ、当該トレー上周縁の溶着用凸縁部と、高圧
   脱気部の山形稜線凸縁と、裾凸縁とに耐熱性合成樹脂製
   のシールを熱溶着して上面開口を密閉するとともに、高
   圧脱気部の山形状凹溝の上面を塞ぐようにしたことを特
   徴とする電子レンジ用食品パッケージ。
6. 【請求項６】 耐熱性合成樹脂製の基板材に上面開口型
   のトレーを複数個互いに隣接するように形成し、その各
   トレー内に食品を収容したうえ、当該各トレー上周縁に
   耐熱性合成樹脂製のシールを熱溶着して上面開口を密閉
   して複数の小分け食品収納体となし、更に当該各小分け
   食品収納体の間の連結縁部に切り離し線を穿設して、人
   手の引き裂き力により各小分け食品収納体毎に切り離し
   できるように構成し、当該各小分け食品収納体の上面開
   口を密閉溶着してなる各シール部分に賞味期限と調理時
   間を表示するようにしたことを特徴とする電子レンジ用
   食品パッケージ。