JP3052058U - 塗料吸上げ式スプレー塗装機の塗料容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 取り扱いが容易で作業中に塗料がこぼれるこ
とがなく、且つ塗料を直接調合できる塗料吸上げ式スプ
レー塗装機の塗料容器を提供する。 【解決手段】 塗料吸上げ式塗装用スプレーガンの下向
きに設けられた塗料吸上げニップル受部に、上端のニッ
プル３３が着脱可能に連結される塗料吸上げ管３を中央
に貫通して固定した円形の蓋体４と、蓋体４の下に取り
外し可能に取り付けられる底板５１を有する筒状のホル
ダー５と、ホルダー５の内部に収容される透視可能な薄
肉のカップ６とからなり、ホルダー５は底板５１の周り
から立つ４本の支柱５２と上端に結合した環状枠５３と
を有し、蓋体４は周縁部４３の周りから環状枠５３を内
周に嵌合する下向きの環状壁４３を有し、カップ６には
上端から外方に張り出してホルダー５の環状枠５３の上
面に受け止められ、ホルダー５を蓋体４の下に取り付け
たとき、環状枠５３の上面と蓋体４の周縁部４２の下面
との間に挟圧される鍔６３を設けると共に、外方へ延出
するリップ部６４を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、塗料吸上げ式スプレー塗装機の塗料容器、通称下カップの改良に 関する。

【０００２】

【従来の技術】

塗料吸上げ式塗装用スプレーガンの従来の塗料容器は、スプレーガンに下向き に設けられた塗料吸い上げニップル受部に袋ナットなどで上端のニップルが着脱 可能に連結される塗料吸上げ管を中央に貫通して固定した円形の蓋体と、蓋体の 周縁部の回りに下向きに設けられた環状壁の内周の雌ねじに対して開放した上端 部の外周の雄ねじをねじ係合して蓋体の下に取り外し可能に取り付けられるカッ プ体とからなり、塗料吸上げ管の下端部、或いはこの下端部に必要に応じて取り 付けたフィルタがカップ体の底の真近に位置してスプレー塗装機が圧縮空気によ って塗料を噴霧する際、カップ体の底の近くまでの塗料を吸い上げることができ る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来の塗料容器の蓋体とカップ体は、重量を軽減するためにアルミニウム製で あったり、錆や腐食等を防ぐためのステンレス等の金属製がある。そして、塗装 中、スプレー塗装機は斜め上向き、斜め下向きなど、様々な方向に向って塗料を 噴霧するので、それに伴い塗料容器も様々な方向に傾く。この場合、蓋体とカッ プ体と間の隙間から塗料が外に漏れるのを防止するため、カップ体にはパッキン グ材を設け、蓋体の下にカップ体を取り付けたときに、パッキング材が圧縮され るように構成してある。 一方、塗料を調合する際には、従来のカップ体はアルミニウム等の金属製で内 部を透視することが不可能なため、内部が透視できる調色容器に、異なる色調の 塗料や溶剤を入れて撹拌して所望の色に調合し、カップ体に注ぎ入れねばならな かった。また、一度使用した調色容器は、次に使うときのために、溶剤で洗浄し なければならず、この洗浄作業も面倒であった。 本考案は上記に鑑み提案されたもので、取り扱いが容易で作業中に塗料がこぼ れることがなく、且つ塗料を直接調合できる塗料吸上げ式スプレー塗装機の塗料 容器を提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、塗料吸上げ式塗装用スプレーガンの下向き に設けられた塗料吸上げニップル受部に上端が着脱可能に連結される塗料吸上げ 管を中央に貫通して固定した円形の蓋体と、円形の底板を有し、上記蓋体の下に 取り外し可能に取り付けられる筒状のホルダーと、上記ホルダーの内部に収容さ れる透視可能な薄肉のカップとからなり、前記ホルダーは、底板の周りから立つ 複数本の支柱と、この複数本の支柱の上端に結合した環状枠を有し、前記蓋体は 、平らな周縁部の周りから上記環状枠を内周に嵌合する下向きの環状壁を有し、 前記カップには上端から外方に張り出してホルダーの環状枠の上面に受け止めら れ、ホルダーを蓋体の下に取り付けたとき、上記環状枠の上面と蓋体の平らな周 縁部の下面との間に挟圧される鍔を設けたものである。そして、ホルダーの底板 に、外方へ延出する張出部を設け、塗料吸上げ式スプレー塗装機を置くときに、 安定して載置できるようにする。一方、カップの鍔部にはリップ部を設け、この リップ部が弾性変形して蓋体に密着することにより液漏れを防止する。

【０００５】

【考案の実施の形態】

以下、本考案を図示の実施形態について説明する。図１は、本考案に係る塗料 吸上げ式スプレー塗装機の塗料容器の分解斜視図、図２は断面図、図３は使用状 態を示す側面図である。

【０００６】 塗料吸上げ式スプレー塗装機１（以下、単にスプレーガン１と略称する。）は 、圧縮空気を供給するためのエアホース１１を連結する連結部１２を備えると共 に作業時の取手となるグリップ１３と、ノズル１４に連通するバルブを開閉する ためのレバー１５とを備え、該レバー１５を引くと圧縮空気が供給されてガン本 体１６の内部に形成した狭窄部を通過する際に後述する塗料容器２から塗料吸上 げ管３を通して塗料を吸い上げ、この塗料をノズル１４から霧状に噴射する。

【０００７】 本考案に係る塗料容器２の概略は、前記塗料吸上げ管３を備える蓋体４と、こ の蓋体４の下側に着脱可能に取り付けられる筒状のホルダー５と、このホルダー ５に収容されるカップ６とからなる。

【０００８】 蓋体４は、中央が円錐台形に隆出する中央隆出部４１を備える円盤状の平らな 周縁部４２と、この周縁部４２の周りから下向きに延出する環状壁４３とからな る。また、この環状壁４３の内周面には、後述するホルダー５を着脱自在に取り 付けるための係合部４４が、例えば断続した雌ねじ状に形成してある。

【０００９】 一方、上記中央隆出部４１には通孔を開設し、この通孔に塗料吸上げ管３を挿 通し、塗料吸上げ管３の途中に形成した雄ねじ部に、上下から鍔付きナット３１ 、３２を螺合して、この塗料吸上げ管３を蓋体４に固定する。

【００１０】 上記塗料吸上げ管３の上端には、スプレーガン１のガン本体１６に下向きに設 けられた塗料吸上げニップル受部１７に結合するための塗料吸上げニップル３３ を設けると共に、リング状の袋ナット３４を遊嵌しておく。また、塗料吸上げ管 ３の下端を、後述するカップ６の底部６１の真近に位置させる。尚、図の実施形 態では、塗料吸上げ管３の下端に、不純物或るいは塗料の塊等を除去するための フィルター３５を着脱自在に取り付けている。また、上記中央隆出部４１には、 通気のための小孔が開設してある。

【００１１】 上記のような蓋体４に着脱自在に取り付けるホルダー５は、円形の底板５１を 有し、この底板５１の周りから複数本の支柱５２が起立し、更にこの複数本の支 柱５２の上端には環状枠５３が結合している。また、この環状枠５３の側周面に は、前記した蓋体４の環状壁４３の内周面に形成した係合部４４にねじ係合する 係合突部５４が断続的に雄ねじ状に設けてある。

【００１２】 一方、円形の底板５１の中央には、円形の開口部５５を設けて軽量化を図って いる。また、底板５１の一部に、外方へ三角形状に延出する張出部５６を設けて ある。この張出部５６は、ホルダー５の底面積を拡大して、スプレーガン１を載 置した際に安定性を増大させる。尚、この張出部５６がスプレーガン１のグリッ プ１３側に位置するように、当該ホルダー５を取り付けると、バランスが取れて 更に安定性が増す。

【００１３】 また、上記した複数の支柱５２の間は空間になり、軽量化すると共に、内部に 収容するカップ６の状態を見ることができる。また、支柱５２は、底板５１と環 状枠５３を繋ぐばかりではなく、カップ６の側面を保護する作用も果たしている 。尚、このホルダー５及び前記した蓋体４は、例えばナイロン樹脂のような合成 樹脂で成形される。

【００１４】 上記のようなホルダー５に収容されるカップ６は、底部６１を有すると共に、 周面部６２の下側がやゝ縮径するほゞ円筒形で、上端には外方に張り出して前記 したホルダー５の環状枠５３の上面に受け止められる鍔６３が設けてある。また 、この鍔６３は、ホルダー５を蓋体４の下に取り付けたとき、ホルダー５の環状 枠５３と蓋体４の平らな周縁部４２の下面との間に挟圧されてパッキング材とし て機能し、カップ６内部を密閉する。更に、図示した実施の形態では、上記鍔６ ３の上面に、外方に向けて斜め上方に延出するリップ部６４が一体に設けてある （図１のＡ部参照）。このリップ部６４は、ホルダー５の環状枠５３と蓋体４の 平らな周縁部４２の下面との間に挟圧されたとき、弾性変形して周縁部４２に密 着して、鍔６３と周縁部４２との隙間を確実に塞ぐ（図２のＢ部参照）。従って 、スプレーガン１をどのような方向に傾けて作業しても、カップ６内の塗料が溢 れることがない。

【００１５】 このカップ６は、周面部６２から内部を透視可能なように透光性を有すると共 に溶剤に侵されることのない合成樹脂、例えば軟質ポリエチレンなどを射出成形 して薄肉に製造する。尚、薄肉に成形して軽量化を図っても、カップ６は、前記 したホルダー５の支柱５２によって保護されるので問題はない。

【００１６】 そして、このカップ６は、透光性を有して内部を透視可能であるので、当該カ ップ６を調色容器として使用して塗料を直接調合することができ、この際、内部 を透視できるので色合わせが容易にできる。しかも、このカップ６を用いて直接 調合すれば、塗料を調色容器からスプレーガン１の下カップに移し替える必要が なく能率的な作業が可能であるし、塗料の無駄も省ける。一方、塗装作業中は、 カップ６内の塗料の残量等を確認しながら作業できる。

【００１７】 また、このカップ６は、大量生産により安価に供給できるので、使い捨てとす ることができる。従って、使用後の洗浄作業が不要で、効率的な作業が可能であ る。一方、洗浄すれば、繰り返し使用も可能であるし、ねじ等の小物類の収納容 器としても再利用できる。

【００１８】 更に、図示した実施の形態では、カップ６の周面部６２に、容量や配合比率を 示す目盛り６５を表示している。これは、調合するときに目安となって便利であ る。

【００１９】 次に、本考案に係る塗料容器２の使用法を説明する。先ず、前記したように、 所望の塗料をカップ６で直接調合する。このとき、カップ６の周面部６２に設け た目盛り６５を利用するとよい。また、本考案の特徴の一つである透視性を利用 してカップ６の側面からも色具合を確認でき、効率的且つ正確な調合作業が可能 である。

【００２０】 塗料の準備ができたら、カップ６をホルダー５に収容する。カップ６の上端に は鍔６３が設けてあるので、この鍔６３をホルダー５の環状枠５３に係止させる 。上記調合作業或いは塗料の補給作業は、カップ６をホルダー５にセットした状 態で行うことができ、ホルダー５によりカップ６を安定した状態に保持してより 一層効率的な作業が可能である。そして、カップ６の鍔６３がホルダー５の環状 枠５３に係止した状態で、塗料吸上げ管３をカップ６内に挿入すると共に蓋体４ を被せて、環状枠５３の係合突部５４と蓋体４の係合部４４とを嵌合させて固定 する。このとき、カップ６の鍔６３が環状枠５３と蓋体４とに挟まれてパッキン グ材として機能しカップ６の内部を密封する。しかも、上記鍔６３にリップ部６ ４が設けてあるときは、このリップ部６４が弾性変形して蓋体４の周縁部４２に 密着するので、封止効果が増大する。また、前記係合部４４と係合突部５４とが 断続的に設けてあるので、蓋体４の僅かな回動で固定できる。

【００２１】 ホルダー５と蓋体４を固定したら、通常のスプレーガン１と同様に作業すれば よい。即ち、レバー１５を引けば圧縮空気が供給されて塗料吸上げ管３を通して 塗料を吸引し、ノズル１４から塗料が噴霧される。そして、塗装作業中、スプレ ーガン１をどのような向きに傾けても、前記したようにカップ６が密閉されてい るので、塗料が溢れる恐れがない。

【００２２】 また、ホルダー５に張出部５６が設けてあるので、スプレーガン１のグリップ １３を張出部５６の上に位置するようにホルダ５を蓋体４に対して固定しておけ ば、作業中、スプレーガン１を置くときにエアホース１１があっても安定性を損 なうことなく載置できる。

【００２３】 以上本考案を図示の実施形態について説明したが、本考案は上記した実施形態 に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載した構成を変更しな い限り適宜に実施できる。例えば、図示の実施形態では４本の支柱を設けている が、細い支柱を多数設けるようにしてもよいし、蓋体及びホルダー並びにカップ の材質や形状を限定するものではない。

【００２４】

【考案の効果】

以上要するに本考案は、塗料吸上げ式塗装用スプレーガンの下向きに設けられ た塗料吸上げニップル受部に上端が着脱可能に連結される塗料吸上げ管を中央に 貫通して固定した円形の蓋体と、円形の底板を有し、上記蓋体の下に取り外し可 能に取り付けられる筒状のホルダーと、上記ホルダーの内部に収容される透視可 能な薄肉のカップとからなり、前記ホルダーは、底板の周りから立つ複数本の支 柱と、この複数本の支柱の上端に結合した環状枠を有し、前記蓋体は、平らな周 縁部の周りから上記環状枠を内周に嵌合する下向きの環状壁を有し、前記カップ には上端から外方に張り出してホルダーの環状枠の上面に受け止められ、ホルダ ーを蓋体の下に取り付けたとき、上記環状枠の上面と蓋体の平らな周縁部の下面 との間に挟圧される鍔を設けたので、塗料の調合をスプレーガンに取り付ける所 謂下カップを用いて内部の状態を確認しながら直接できると共に、カップを使い 捨てにできる。また、塗装作業中、スプレーガンをどのような方向に傾けても、 塗料が溢れることがない。一方、カップ及びホルダーの軽量化が図ってあるので 、スプレーガン全体も軽くなって作業がし易く疲れも少ない。また、張出部を設 けたホルダーによれば、スプレーガンを載置したときに安定するので倒れること がない。更に、カップの鍔にリップ部を設けておけば、このリップ部が弾性変形 して蓋体に密着するのでパッキン効果が著しく増大して、カップ内の密閉性をよ り一層高めることができる。上記したように本考案は、スプレーガンによる塗装 作業の能率を著しく向上させると共に、コストダウンを可能にする実用的価値の 極めて高いものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る塗料吸上げ式スプレー塗装機の塗
料容器の分解斜視図である。

【図２】塗料吸上げ式スプレー塗装機の塗料容器の断面
図である。

【図３】塗料吸上げ式スプレー塗装機の塗料容器の使用
状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１ 塗料吸上げ式塗装用スプレー塗装機 ２ 塗料容器 ３ 塗料吸上げ管 ４ 蓋体 ５ ホルダー ６ カップ ３３ 塗料吸上げニップル ４２ 周縁部 ４３ 環状壁 ５１ 底板 ５２ 支柱 ５３ 環状枠 ５６ 張出部 ６４ リップ部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 塗料吸上げ式塗装用スプレーガンの下向
   きに設けられた塗料吸上げニップル受部に上端が着脱可
   能に連結される塗料吸上げ管を中央に貫通して固定した
   円形の蓋体と、円形の底板を有し、上記蓋体の下に取り
   外し可能に取り付けられる筒状のホルダーと、上記ホル
   ダーの内部に収容される透視可能な薄肉のカップとから
   なり、 前記ホルダーは、底板の周りから立つ複数本の支柱と、
   この複数本の支柱の上端に結合した環状枠を有し、 前記蓋体は、平らな周縁部の周りから上記環状枠を内周
   に嵌合する下向きの環状壁を有し、 前記カップには、上端から外方に張り出してホルダーの
   環状枠の上面に受け止められ、ホルダーを蓋体の下に取
   り付けたとき、上記環状枠の上面と蓋体の平らな周縁部
   の下面との間に挟圧される鍔を設けたことを特徴する塗
   料吸上げ式スプレー塗装機の塗料容器。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の塗料吸上げ式スプレー
   塗装機の塗料容器において、ホルダーの底板には、外方
   へ延出する張出部を設けたことを特徴とする塗料吸上げ
   式スプレー塗装機の塗料容器。
3. 【請求項３】 請求項１に記載の塗料吸上げ式スプレー
   塗装機の塗料容器において、カップの鍔には、斜め上方
   へ向けて延出するリップ部を設けたことを特徴とする塗
   料吸上げ式スプレー塗装機の塗料容器。