JP3051748B2 - インライン型カラーブラウン管用偏向装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は、インライン型カラーブラウン管用偏向装
置に係り、特に高解像度カラーディスプレイ管などに適
するインライン型カラーブラウン管用偏向装置に関す
る。

（従来の技術） 一般にカラーブラウン管は、第６図に示すように、電
子銃（１）から放出される３電子ビーム（2B），（2
G），（2R）を外囲器の外側に装着された偏向ヨーク
（３）の各一対の水平および垂直偏向コイルからそれぞ
れ発生する水平および垂直偏向磁界により偏向し、多数
の電子ビーム通過孔の形成されたシャドウマスク（４）
を介して蛍光体スクリーン（５）を水平、垂直走査する
ことにより、この蛍光体スクリーン（５）上にカラー画
像を表示する構造に形成されている。

このようなカラーブラウン管において、特に電子銃
（１）から同一水平面上を通るセンタービーム（2G）お
よび一対のサイドビーム（2B），（2R）からなる一列配
置の３電子ビーム（2B），（2G），（2R）を放出させ、
この一列配置の３電子ビーム（2B），（2G），（2R）を
水平偏向コイルの発生するピンクッション形水平偏向磁
界、および垂直偏向コイルの発生するバレル形垂直偏向
磁界からなる非斉一磁界により、外部の回路的な補正手
段を用いることなく自己集中して、画面全面にわたり実
質的に一致させるセルフコンバーゼンス方式インライン
型カラーブラウン管が実現している。

その非斉一磁界を発生する偏向ヨークとして、各一対
の水平、垂直偏向コイルをサドル型としたサドル−サド
ル型偏向ヨークがある。しかも、このサドル−サドル型
偏向ヨークにおいて、画面上下部における一対のサイド
ビーム（2B），（2R）の上下方向のコンバーゼンスずれ
を補正するために、第７図に示すように、直列接続され
た一対のサドル型垂直偏向コイル（7a），（7b）と並列
に一対の抵抗器（8a），（8b）を接続し、この抵抗器
（8a），（8b）間に３端子可変抵抗器（９）の両端を接
続し、かつその摺動子を上記直列接続の一対のサドル型
垂直偏向コイル（7a），（7b）の接点に接続して、この
３端子可変抵抗器（９）により一対のサドル型垂直偏向
コイル（7a），（7b）に流れる偏向電流のバランスを調
整する差動抵抗回路（10）を付設したものがある。

このように差動抵抗回路（10）を付設すると、下記作
用効果が得られる。

すなわち、第８図（ａ）に示すように、上記一対のサ
ドル型垂直偏向コイル（7a），（7b）は、正しくは水平
軸（Ｘ軸）および垂直軸（Ｙ軸）に対して対称のバレル
型垂直偏向磁界（12）を３電子ビーム（2B），（2G），
（2R）の配列方向に発生して、そのコンバーゼンスずれ
を補正する。しかし、たとえば一対のサドル型垂直偏向
コイル（7a），（7b）に流れる偏向電流が相違すると、
同（ｂ）に示すように、左右の対称性が崩れた垂直偏向
磁界（12a）となり、一対のサイドビーム（2B）（2R）
の受ける垂直方向の力が左右で相違し、画面上下部にブ
ルー・ワイド（Blue Wide）またはレッド・ワイド（Red
Wide）といわれる上下方向のコンバーゼンスずれが発
生する。このような場合、３端子可変抵抗器（９）によ
り一対のサドル型垂直偏向コイル（7a），（7b）に流れ
る偏向電流のバランスを調整することにより、第８図
（ａ）に示した対称なバレル型垂直偏向磁界（12）とす
ることができ、それにより、そのコンバーゼンスずれを
補正（Wide Narrow補正）することができる。

しかしながら、上記のように一対のサドル型垂直偏向
コイル（7a），（7b）に差動抵抗回路（10）を配置して
も、カラーブラウン管の製造誤差などにより電子銃が傾
斜して配設され、第８図（ｃ）に示すように、垂直偏向
磁界（12）に対して相対的に３電子ビーム（2B），（2
G），（2R）の配列軸（13）が傾くと、差動抵抗回路（1
0）により上記のような補正（Wide Narrow補正）をおこ
なっても、第９図に示すように、画面上下部に青ラスタ
ー（14B）が上、赤ラスター（14R）が下、あるいはその
逆の赤ラスターが上、青ラスターが下のボウパターン
（Bow Pattern）ミスコンバーゼンスが残り、所要の補
正をおこなうことが困難となる。

（発明が解決しようとする課題） 上記のように、インライン型カラーブラウン管用偏向
装置として、その電子銃から放出される一列配置の３電
子ビームを水平、垂直方向に偏向する磁界を発生する各
一対の水平および垂直偏向コイルをそれぞれサドル型と
したサドル−サドル型偏向ヨークとし、さらに、一対の
サイドビームの画面上下部におけるコンバーゼンスずれ
を補正するために、その直列接続された一対の垂直偏向
コイルに一対の抵抗器を並列接続し、この抵抗器間に３
端子可変抵抗器の両端を接続し、その摺動子を直列接続
の一対のサドル型垂直偏向コイルの接点に接続してなる
差動抵抗回路を付設したものがある。

しかし、このように一対のサドル型垂直偏向コイルに
差動抵抗回路を配置しても、カラーブラウン管の製造誤
差などにより電子銃が傾斜して配設され、垂直偏向磁界
に対して相対的に３電子ビームの配列軸が傾くと、上記
差動抵抗回路で補正しても、画面上下部にボウパターン
・ミスコンバーゼンスが残り、所要の補正をおこなうこ
とが困難となる。

この発明は、上記問題点を解決するためになされたも
のであり、差動抵抗回路では補正できない画面上下部に
生ずるボウパターン・ミスコンバーゼンスを補正できる
インライン型カラーブラウン管用偏向装置を構成するこ
とを目的とする。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） インライン型カラーブラウン管用偏向装置において、
そのカラーブラウン管の電子銃から放出される一列配置
の複数ビームを水平および垂直方向に偏向する磁界を発
生する偏向ヨークを一対のサドル型水平コイルと直列接
続された一対のサドル型垂直偏向コイルとから構成し、
この偏向ヨークに、一対のサドル型垂直偏向コイルと並
列に接続された第１の３極子可変抵抗器を有し、この第
１の３端子可変抵抗器の摺動子を上記一対のサドル型垂
直偏向コイルの接点に接続した差動抵抗回路を付設する
とともに、上記一対のサドル型垂直偏向コイルに並列接
続されたダイオードブリッジ回路と第２の３極子可変抵
抗器とを有し、そのダイオードブリッジ回路を第２の３
極子可変抵抗器に流れる電流を常に整流するような極性
で第２の３極子可変抵抗器の両端に接続し、この第２の
３端子可変抵抗器の摺動子を上記一対のサドル型垂直偏
向コイルの接点に接続した補正回路を設けた。

（作用） 上記のように、偏向ヨークの一対のサドル型垂直偏向
コイルに対して、差動抵抗回路とともに補正回路を設け
ると、この補正回路により、一対のサドル型垂直偏向コ
イルに流れる垂直偏向電流のバランスを画面上部偏向時
と画面下部偏向時とで逆補正することができる。すなわ
ち、画面上下部に偏向するための磁界分布形状を上部偏
向時と下部偏向時とで逆のパターンに補正することがで
き、たとえば画面上下部で一対のサイドビームの一方の
青ラスターが上、他方の赤ラスターが下となるボウパタ
ーン・ミスコンバーゼンスが生じた場合に、上部偏向時
に一方の青ビームよりも他方の赤ビームを強く偏向し、
下部偏向時に他方の赤ビームよりも一方の青ビームを強
く偏向して、差動抵抗回路の調整により補正できないボ
ウパターン・ミスコンバーゼンスを補正することができ
る。

（実施例） 以下、図面を参照してこの発明を実施例に基づいて説
明する。

第１図にその一実施例であるインライン型カラーブラ
ウン管用偏向装置を示す。この偏向装置は、セパレータ
（20）の内側に水平軸（Ｘ軸）を挟んで上下対称に配置
された一対のサドル型水平偏向コイル（21a），（21b）
と、セパレータ（20）の外側に垂直軸（Ｙ軸）を挟んで
左右対称に配置された一対のサドル型垂直偏向コイル
（22a），（22b）（（22a）のみ図示）、このサドル型
垂直偏向コイル（22a），（22b）を覆うようにその外側
に配置されたコア（23）を主構成とするサドル−サドル
型偏向ヨークを備える。その各一対の水平偏向コイル
（21a），（21b）は並列接続され、垂直偏向コイル（22
a），（22b）は直列接続されている。

そして、この偏向ヨークに対して、第２図に示すよう
に、その直列接続された一対のサドル型垂直偏向コイル
（22a），（22b）と並列に一対の抵抗器（25a），（25
b）が接続され、この抵抗器（25a），（25b）間に第１
の３端子可変抵抗器（26）の両端が接続され、この３端
子可変抵抗器（26）の摺動子が上記直列接続された一対
のサドル型垂直偏向コイル（22a），（22b）の接点に接
続された差動抵抗回路（27）が付設されている。

さらに、この例の偏向装置においては、上記直列接続
された一対のサドル型垂直偏向コイル（22a），（22b）
と並列に接続された一対の抵抗器（28a），（28b）を介
して、これら抵抗器（28a），（28b）間に４個のダイオ
ード（29a）〜（29d）からなるダイオードブリッジ回路
（30）が接続され、このダイオードブリッジ回路（30）
の出力端子に第２の３端子可変抵抗器（31）の両端がこ
の第２の３極子可変抵抗器に流れる電流を常に整流する
ような極性で接続され、この第２の３端子可変抵抗器
（31）の摺動子が上記直列接続された一対のサドル型垂
直偏向コイル（22a），（22b）の接点に接続された補正
回路（32）が設けられている。

ところで、上記のように偏向装置を構成すると、下記
作用効果が得られる。

いま、たとえばカラーブラウン管の電子銃から一列配
置の３電子ビームが第８図（ｃ）に示した配列でかつ傾
いて放出されるとし、これを差動抵抗回路（27）により
補正しても、なお第９図に示したように、青ラスター
（14B）が上、赤ラスター（14R）が下のボウパターン・
ミスコンバーゼンスが発生しているとする。また、一対
のサドル型垂直偏向コイル（22a），（22b）について、
第１図に示したように右側に一方のコイル（22a）が、
左側に他方のコイル（22b）が配置されているとする。
この場合、補正回路（32）の第２の３端子可変抵抗器
（31）の摺動子を第２図に示した矢印（34）方向に動か
す。このとき、第３図に示した垂直偏向電流波形（35）
の画面上部偏向期間t1では、その垂直偏向電流Ｉが第２
図に示した矢印（36）方向に流れ、補正回路（32）は、
第４図（ａ）に示す等価回路（32a）となり、左側の垂
直偏向コイル（22b）よりも右側の垂直偏向コイル（22
a）により多くの電流が流れる。その結果、第５図
（ａ）に示す垂直偏向磁界（38a）のように、一対のサ
イドビーム（2B），（2R）のうち、一方の青ビーム（2
B）側よりも他方の赤ビーム（2R）側の磁束密度が大き
くなり、画面上部のボウパターン・ミスコンバーゼンス
を補正する。

また、第３図に示した垂直偏向電流波形（35）の画面
下部偏向期間t2では、垂直偏向電流Ｉは、矢印（36）と
は逆方向に流れ、補正回路（32）は、第４図（ｂ）に示
す等価回路（32b）となり、右側の垂直偏向コイル（22
a）よりも左側の垂直偏向コイル（22b）により多くの電
流が流れ、第５図（ｂ）に示す垂直偏向磁界（38b）の
ように、他方の赤ビーム（2R）側よりも一方の青ビーム
（2B）側の磁束密度が大きくなり、画面下部のボウパタ
ーン・ミスコンバーゼンスを補正する。

なお、上述の説明では、画面上下部において、青ラス
ターが上、赤ラスターが下のボウパターン・ミスコンバ
ーゼンスを補正する場合について述べたが、この例の偏
向装置は、赤ラスターが上、青ラスターが下のボウパタ
ーン・ミスコンバーゼンスも、補正回路の第２の３端子
可変抵抗器の摺動子を逆方向に動かすことにより同様に
補正することができる。

［発明の効果］ インライン型カラーブラウン管の電子銃から放出され
る一列配置の複数ビームを水平および垂直方向に偏向す
る磁界を発生するサドル−サドル型偏向ヨークの直列接
続された一対のサドル型垂直偏向コイルに対して、この
一対のサドル型垂直偏向コイルと並列に接続された第１
の３極子可変抵抗器を有し、この第１の３極子可変抵抗
器の摺動子を一対のサドル型垂直偏向コイルの接点に接
続した差動抵抗回路を付設するとともに、一対のサドル
型垂直偏向コイルに並列接続されたダイオードブリッジ
回路と第２の３極子可変抵抗器とを有し、そのダイオー
ドブリッジ回路を第２の３極子可変抵抗器に流れる電流
を常に整流するような極性で第２の３極子可変抵抗器の
両端に接続し、この第２の３極子可変抵抗器の摺動子を
一対のサドル型垂直偏向コイルの接点に接続した補正回
路を設けると、差動抵抗回路の第１の３端子可変抵抗器
の調整により、画面上下部における上下方向のコンバー
ゼンスずれを補正し、なおこの差動抵抗回路により補正
することができないボウパターン・ミスコンバーゼンス
を補正回路の第２の３端子可変抵抗器の調整により、一
対のサドル型垂直偏向コイルに流れる電流のバランスを
画面上部偏向時と画面下部偏向時とで逆補正して取去る
ことができる。したがって、高解像度カラーディスプレ
イ管などに適用して良好なコンバーゼンス特性をもつイ
ンライン型カラーブラウン管用偏向装置とすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図はこの発明の実施例の説明図で、第１
図はその一実施例に係る偏向ヨークの構造を示す斜視
図、第２はその一実施例であるインライン型カラーブラ
ウン管用偏向装置の回路構成図、第３図は垂直偏向コイ
ルに供給される垂直偏向電流波形図、第４図（ａ）およ
び（ｂ）はそれぞれ画面上部偏向時における第１図示回
路の等価回路図および画面下部偏向時における第１図示
回路の等価回路図、第５図（ａ）および（ｂ）はそれぞ
れ画面上部におけるボウパターン・ミスコンバーゼンス
を補正する垂直偏向磁界の図および画面下部におけるボ
ウパターン・ミスコンバーゼンスを補正する垂直偏向磁
界の図、第６図はカラーブラウン管の構成を示す図、第
７図は従来のインライン型カラーブラウン管用偏向装置
の要部を示す回路構成図、第８図（ａ）乃至（ｃ）はそ
れぞれ３電子ビームと垂直偏向磁界との関係を示す図
で、（ａ）はその正しい関係を示す図、（ｂ）は垂直偏
向磁界の左右のバランスが崩れて、一対のサイドビーム
にミスコンバーゼンスが発生する場合の図、（ｃ）はカ
ラーブラウン管の製造誤差により電子銃が傾斜して配設
された場合の図、第９図は上記電子銃が傾斜して配設さ
れた場合に発生する画面上下での一対のサイドビームの
ボウパターン・ミスコンバーゼンスを示す図である。 2B,2R……一対のサイドビーム、 2B……センタービーム、 21a,21b……一対のサドル型水平偏向コイル、 21a,22b……一対のサドル型垂直偏向コイル、 23……コア、25a,25b……抵抗器、 26……第１の３端子可変抵抗器、 27……差動抵抗回路、28a,28b……抵抗器、 29a〜29d……ダイオード、 30……ダイオードブリッジ回路、 31……第２の３端子可変抵抗器、 32……補正回路。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インライン型カラーブラウン管の電子銃か
   ら放出される一列配置の複数ビームを水平方向に偏向す
   る磁界を発生する一対のサドル型水平偏向コイルおよび
   上記複数ビームを垂直方向に偏向する磁界を発生する直
   列接続された一対のサドル型垂直偏向コイルを有する偏
   向ヨークと、 上記直列接続された一対のサドル型垂直偏向コイルと並
   列に接続された第１の３端子可変抵抗器とを有し、この
   第１の３端子可変抵抗器の摺動子が上記直列接続された
   一対のサドル型垂直偏向コイルの接点に接続された差動
   抵抗回路と、 上記直列接続された一対のサドル型垂直偏向コイルに並
   列接続されたダイオードブリッジ回路と第２の３端子可
   変抵抗器とを有し、上記ダイオードブリッジ回路が上記
   第２の３端子可変抵抗器に流れる電流を常に整流するよ
   うな極性で上記第２の３端子可変抵抗器の両端に接続さ
   れ、この第２の３端子可変抵抗器の摺動子が上記直列接
   続された一対のサドル型垂直偏向コイルの接点に接続さ
   れ、上記直列接続された一対のサドル型垂直偏向コイル
   に流れる垂直偏向電流のバランスを画面上部偏向時と画
   面下部偏向時とで逆補正することが可能な補正回路とを
   具備することを特徴とするインライン型カラーブラウン
   管用偏向装置。