JP3051013B2 - 不純物分析方法 - Google Patents

不純物分析方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば半導体基板
の表面に存在する不純物をX線を用いて分析する不純物
分析方法に関するもので、特にシリコンウェーハ表面の
アルミニウムを全反射蛍光X線を用いて分析する場合に
用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコンウェーハ表面の金属不純
物を分析する方法としては、たとえばウェーハ表面の不
純物を弗化水素酸(HF)液により溶解し、このHF液
中に取り込まれる不純物を原子吸光測定により分析する
方法(VPD−AA)が用いられている。
【0003】この方法は、ウェーハ表面の不純物をHF
液のスキャンにより回収するものであるため、不純物の
面内分布に関する情報が得られないという欠点がある。
これに対し、シリコンウェーハ表面の金属不純物を被破
壊により分析する方法として、全反射蛍光X線を用いる
方法(TRXRF)が知られている。
【0004】この方法によれば、約10mmのスポット
サイズでウェーハ面内の不純物の分布を調べることがで
きる。図4は、上記全反射蛍光X線を用いてシリコンウ
ェーハ表面の不純物を分析した際の分析結果の一例を示
すものである。
【0005】この場合、ウェーハ表面の不純物は、横軸
に示すエネルギによって定性化され、縦軸の蛍光X線強
度によって定量化される。しかしながら、この全反射蛍
光X線を用いる方法においては、図に示すように、エネ
ルギがほぼ同じ元素の場合は定性化が困難になるという
問題があった。
【0006】すなわち、シリコン(Si)とアルミニウ
ム(Al)のようにエネルギがほぼ同じ場合、Al
(1.49keV)のスペクトルのピークがウェーハで
あるSi(1.74keV)のスペクトルのピークに重
なるため、結果として分析不可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
においては、不純物の面内分布に関する情報を得ること
ができる全反射蛍光X線を用いて分析する方法の場合、
エネルギがほぼ同じ元素の定性化が困難であるという問
題があった。
【0008】そこで、この発明は、不純物の半導体基板
の面内分布に関する情報を失うことなく、半導体基板の
表面に存在する不純物を高精度に分析することが可能な
不純物分析方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明の不純物分析方法にあっては、導体基
板の表面に存在する不純物を溶解させ、その溶解された
不純物を含む液滴を形成する工程と、前記半導体基板の
表面に形成された液滴を、前記半導体基板とは材質が異
なり、かつ前記半導体基板の表面よりも高い親水性をも
つ試料基板の表面に、前記試料基板を加熱した状態で
写する工程と、前記液滴の転写された前記試料基板の表
面を全反射蛍光X線を用いて分析する工程とからなり、
不純物の半導体基板の面内分布に関する情報を失うこと
なく、半導体基板の表面に存在する不純物を分析するこ
とを特徴とする
【0010】
【作用】この発明は、上記した手段により、比較的簡単
に半導体基板の表面に存在する不純物を半導体基板とは
材質の異なる試料基板上に転写できるようになるため、
半導体基板とエネルギがほぼ同じ不純物を容易に定性化
することが可能となるものである。
【0011】
【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参
照して説明する。図1は、本発明にかかるシリコンウェ
ーハの表面に存在する不純物を、X線を用いて分析する
ための分析方法(TRXRF)について概略的に示すも
のである。
【0012】まず、シリコン(Si)からなるウェーハ
11を、約49%の弗化水素酸(HF)蒸気12からな
る雰囲気中に1時間程度さらす(同図(a))。そし
て、ウェーハ11の表面の酸化膜(自然酸化膜を含む)
13を溶解させ、ウェーハ11の表面上に液滴14を形
成させる(同図(b))。
【0013】この液滴14中には、ウェーハ11の表面
に吸着されている、鉄(Fe),アルミニウム(A
l),カルシウム(Ca)などの金属不純物が溶解され
た状態で取り込まれるようになっている。
【0014】この液滴14は、ウェーハ11の表面が疎
水性を有するために球に近い形状となり、その大きさ
は、たとえば上記HF蒸気12の供給時間によりコント
ロールすることができる。
【0015】この後、上記液滴14を形成したウェーハ
11の表面に、たとえば親水性化処理を施したポリテト
ラフルオルエチレン(以下、テフロン(アメリカ E.I.d
u Pont de Nemours & Co. Inc.の登録商標)と略記す
る)板15の表面を接触させる(同図(c))。そし
て、このテフロン板15の表面上に、ウェーハ11の表
面上の液滴14を移し取る(同図(d))。
【0016】こうすることにより、シリコンとほぼ同じ
エネルギをもつ元素であるアルミニウムを含む不純物
を、シリコンとは材質(エネルギ)の異なる、たとえば
アルミニウムのピークと分離できるテフロン板15の表
面上に移し取ってなる分析用試料を簡単に得ることがで
きる。
【0017】また、このときに上記テフロン板15をわ
ずかに加熱しておくことで、ウェーハ11の表面におけ
る不純物の面内分布をほとんど変化させることなく、テ
フロン板15の表面に転写できる。
【0018】したがって、液滴14の面内での移動を抑
えることができ、不純物の面内分布に関する情報を失う
ことなしに、その測定が可能となる。すなわち、得られ
た分析用試料としての、液滴14の転写されたテフロン
板15の表面を、たとえば全反射蛍光X線(X−ra
y)16を用いて分析する(同図(e))。
【0019】この結果、図2に示すように、シリコンの
ピークに隠れていた、アルミニウムのピークをも容易に
測定できる。このように、シリコンとアルミニウムのよ
うな、エネルギがほぼ同じであり、両者のスペクトルが
重なってしまうために、従来のTRXRFでは分析不可
能だったアルミニウムを、シリコンウェーハ11の表面
上の液滴14をテフロン板15の表面上に移し取ること
で、容易に分析することが可能となる。
【0020】この場合、上記液滴14は、たとえば図3
に示すように、その表面張力(ウェーハ11の表面は疎
水性を有するために斥力をもち、テフロン板15の表面
は親水性化処理により引力をもつ)によりウェーハ11
の表面からテフロン板15の表面に簡単に移動する。
【0021】なお、面内分布に関する情報が不要な場
合、つまりウェーハ11の表面に存在する不純物を単に
測定するだけの場合には、テフロン板15を加熱するこ
となく、ウェーハ11の表面上の液滴14を上記テフロ
ン板15上に移し取ることで、容易に測定できる。
【0022】また、銅(Cu)のような不純物はHF蒸
気12中では溶解しにくいため、HF蒸気12の供給時
にオゾンガス(O3 )を同時に供給することにより、同
様に分析可能となる。
【0023】上記したように、比較的簡単にシリコンウ
ェーハの表面に存在する不純物をウェーハとは材質の異
なるテフロン板上に転写できるようにしている。すなわ
ち、ウェーハ表面の不純物をHF蒸気により溶解させ、
その液滴をシリコンの表面の性質(疎水性)を利用し
て、親水性加工処理の施されたテフロン板の表面に移し
取るようにしている。これにより、簡単にウェーハ表面
の不純物を材質の異なるテフロン板上に写し取ってなる
分析用試料を得ることができるようになるため、この試
料を使っての全反射蛍光X線を用いた分析が容易に可能
となる。したがって、シリコンとエネルギがほぼ同じア
ルミニウムを容易に定性化することが可能となり、従来
では不可能であったアルミニウムをも正確に分析できる
ようになるものである。
【0024】しかも、ウェーハ表面の液滴を面内での移
動を抑えて転写できるため、アルミニウムを含めた不純
物の面内分布に関する情報を失うことなく、測定するこ
とができるものである。なお、この発明は上記実施例に
限定されるものではなく、発明の要旨を変えない範囲に
おいて、種々変形実施可能なことは勿論である。
【0025】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、不純物の半導体基板の面内分布に関する情報を失う
ことなく、半導体基板の表面に存在する不純物を高精度
に分析することが可能な不純物分析方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかる分析方法について
概略的に示す図。
【図2】同じく、上記分析方法における分析結果の一例
を示す図。
【図3】同じく、上記分析方法におけるウェーハ表面か
らテフロン板上への液滴の転写について説明するために
示す図。
【図4】従来技術とその問題点を説明するために不純物
の分析結果の例を示す図。
【符号の説明】
11…シリコンウェーハ、12…弗化水素酸(HF)蒸
気、13…酸化膜、14…液滴、15…テフロン板、1
6…全反射蛍光X線。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導体基板の表面に存在する不純物を溶
    解させ、その溶解された不純物を含む液滴を形成する工
    程と、 前記半導体基板の表面に形成された液滴を、前記半導体
    基板とは材質が異なり、かつ前記半導体基板の表面より
    も高い親水性をもつ試料基板の表面に、前記試料基板を
    加熱した状態で転写する工程と、 前記液滴の転写された前記試料基板の表面を全反射蛍光
    X線を用いて分析する工程とからなり、 不純物の半導体基板の面内分布に関する情報を失うこと
    なく、半導体基板の表面に存在する不純物を分析する
    とを特徴とする不純物分析方法。
  2. 【請求項2】 前記工程における不純物の溶解は、少な
    くとも前記半導体基板の表面を弗化水素酸蒸気雰囲気中
    にさらすことで行うことを特徴とする請求項1に記載の
    不純物分析方法。
  3. 【請求項3】 前記工程における不純物の溶解は、前記
    半導体基板の表面を弗化水素酸蒸気雰囲気中にさらすと
    ともに、オゾンガスを供給しつつ行うことを特徴とする
    請求項1に記載の不純物分析方法。
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