JP3048755B2 - ２次電池の充電装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、２次電池を急速充電す
る充電装置に係り、特にニッケル水素電池の充電に好適
な同装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ニッケル水素電池の充電中の端
子電圧Ｖと時間Ｔの関係を示す充電曲線は図３に示すよ
うになる。図においてＰは電圧のピークであり、この時
点で充電を停止することが望ましい。

【０００３】従来の２次電池の充電装置としては、一定
間隔で２次電池の端子電圧を測定して、それが直前の測
定値と等しくなるときに充電曲線のピークと判断して充
電を終了するものがあった。また、過去の最高電圧値か
ら所定値だけ電圧が下がったとき、いわゆる−ΔＶ検出
されたときに充電を停止するものがあった。

【０００４】また、特公昭６２−２３５２８号公報開示
の蓄電池の充電装置は、充電曲線の傾斜量を逐次計算し
てそれを隣り合う傾斜量と比較し、傾斜量が減少から増
加、または増加から減少に転じる時点を示す変曲点を順
次検出して、それが予め記憶した所定順序で発生する複
数の変曲点と一致したときに、充電を停止するようにし
たものである。つまり、図３において領域との境界
と、との境界を検出して充電を停止する。

【０００５】さらに、他の例として特公昭５３−４０６
９５号公報開示の電池充電装置は、充電曲線の傾斜を検
出して、この傾斜が所定値以上になったときに充電を停
止するようにしたものである。つまり図３において領域
またはを検出して充電を停止する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、個々の
電池の特性のバラつきや周囲温度の違いによって、図３
の領域が極めて水平に近い場合も生ずる。このような
とき、直前の端子電圧と最新のそれが等しければピーク
と判断するものでは、真のピークＰのずっと手前の領域
においてピークが検出されてしまう。

【０００７】また、充電中に機器が使用されて一時的に
端子電圧が降下した場合には、図６に示すように曲線に
凹みができて、その付近において曲線のピーク、または
−ΔＶ、または変曲点が検出されてしまう。

【０００８】そして、ニッケルカドミウム電池に比べて
ニッケル水素電池は−ΔＶが出にくい特性がある。さら
に、満充電時には電池が発熱するが、ニッケル水素電池
は熱に弱く、あまり発熱させると性能の劣化を招くた
め、正確にピークを検出する必要がある。

【０００９】そこで、本発明は、図３の領域が水平に
近い場合であっても、また、図６にあるように、充電中
に機器が使用されて一時的に電圧降下が起こっても、そ
こをピークと誤検出することのない充電装置を提供する
ことを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の２次電池の充電
装置は、充電電流を２次電池に供給する供給手段と、前
記２次電池の端子電圧を一定時間間隔で検出する検出手
段と、該検出手段の検出結果を記憶する記憶手段と、該
記憶手段の記憶内容から前記端子電圧の変化を示す充電
曲線の最新と平均の傾きを計算する計算手段と、前記最
新の傾きと平均の傾きを比較する第１比較手段と、前記
記憶手段に記憶された最新の端子電圧と所定時間前の端
子電圧を比較する第２比較手段と、前記第１及び第２の
比較手段の出力に応じて前記供給手段を制御する制御手
段とを備え、前記第１比較手段によって前記最新の傾き
が前記平均の傾きより所定値以上大きくなったことが判
定され、その後、前記第２比較手段によって前記最新の
端子電圧が前記所定時間前の端子電圧に等しいか、また
は、小さくなったことが判定されたとき、前記供給手段
による充電電流の供給を停止するようにしたものであ
る。

【００１１】

【００１２】

【００１３】

【作用】本発明によれば、充電開始時からの２次電池の
端子電圧を一定間隔で検出して検出値を順次記憶するこ
とで、その記憶内容から充電曲線の最新の傾きと平均の
傾きを計算するようにしている。そして、この最新と平
均の傾きを比較して、所定値以上最新の傾きが平均のそ
れより大きくなったときに図３の領域、即ち、充電の
末期と判断して、その後は、順次検出され記憶される最
新の端子電圧と所定時間前の端子電圧とを比較して、等
しい場合に充電電流の供給を停止する。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。

【００１５】図２は本実施例の回路構成を示すブロック
図であり、１は充電されるべき電池、２はサーミスタ
で、両者は電池パック１ａとして一体化されている。こ
のサーミスタ２は、電池１の有無の検出と電池１の温度
検出を兼ねていて、その出力ラインは所定電位にプルア
ップされている。従って、その出力信号ＴＨは、電池パ
ック１ａを装着すると、電池１の温度に応じた所定電位
未満の値になり、電池パック１ａが装着されていなけれ
ば、所定電位になる構成である。３は交流電源を直流変
換して充電電流を電池１に供給する定電圧定電流回路で
あって、定電圧と定電流の２つの出力モードを持ち、交
流電源に接続すると定電圧モードで立ち上がる構成であ
る。４はＲＡＭ等のメモリ５やタイマ６やＡＤ変換部を
含む制御部であって、制御信号ＣＴＲＬによって定電圧
定電流回路３のモード切り換えを始めとした制御を行
い、電池１の端子電圧ＢＶを入力してそれをメモリ５に
記憶し、記憶内容から計算した結果に基づいて、電池１
への充電電流の供給路を開閉する充電スイッチ７を制御
するように構成されている。そして、８はコンピュータ
等の負荷回路である。

【００１６】上記回路の動作について図１のフローチャ
ートに従って説明すると、定電圧定電流回路３は、交流
電源に接続することで定電圧モードで立ち上がり、制御
部４は、先ず信号ＴＨをチェックする。このチェックに
おいて所定電位未満ならば、電池パック１ａが装着され
ていると判断して充電スイッチ７をオンに制御するとと
もに、制御信号ＣＴＲＬによって定電圧定電流回路３を
定電流モードに切り換える。こうして急速充電を開始す
る。そして、端子電圧ＢＶを記憶するＭ１乃至Ｍ４、最
新の電圧上昇値（最新の傾き）ＤＶ、平均の電圧上昇値
（平均の傾き）ＡＶ、電圧上昇の累積値ＭＭ、累積値Ｍ
Ｍの更新回数であるカウンタＣＮ、及びΔＶフラグを０
に初期化する。このΔＶフラグは、最新の傾きＤＶが所
定値以上平均の傾きＡＶより大きくなると１に設定され
て、充電の末期に至ったことを示すものである。

【００１７】この後、本実施例では、タイマ６を監視し
て１分間隔で以下の処理を行っている。

【００１８】最新から３分前までの端子電圧ＢＶを記憶
するＭ１乃至Ｍ４を、図７に示すように矢印に付けられ
た番号の順にシフトしてから、電池１の端子電圧ＢＶを
読み取ってＡＤ変換し、得られたディジタル値をＭ１と
する。従って、Ｍ１は１分経過毎の最新の端子電圧ＢＶ
を表し、Ｍ２、Ｍ３、Ｍ４はそれぞれ１分前、２分前、
３分前の端子電圧ＢＶを表すことになる。

【００１９】充電が開始されてから４分が経過するまで
は、図１ステップＳ１０９乃至１１２は飛び越して、ス
テップＳ１１３においてΔＶフラグが０か調べるが、Δ
Ｖフラグ、ＤＶ、ＡＶは初期設定の０のままであるから
ステップＳ１１４へ進む。ステップＳ１１４では、最新
の傾きＤＶが平均の傾きＡＶより正の所定値以上大きい
か検査する。最初はＤＶ＝ＡＶ＝０だから、何もしない
でループの先頭のステップＳ１０５へ帰る。

【００２０】４分が経過すると、０に初期化されていた
Ｍ１乃至Ｍ４は全て有効なデータとなって、ステップＳ
１０８からはステップＳ１０９に進み、最新の電圧上昇
値（最新の傾き）をＤＶ＝Ｍ１−Ｍ４により、電圧上昇
の累積値をＭＭ＝ＭＭ＋ＤＶにより計算し、カウンタＣ
Ｎに１加算して、平均の電圧上昇値（平均の傾き）をＡ
Ｖ＝ＭＭ／ＣＮにより計算する。しかし、ΔＶフラグは
０のままであり、また、しばらくは図４（イ）に示すよ
うに平均の傾きＡＶが最新の傾きＤＶより大きいから、
ＤＶ−ＡＶ≧所定値は成り立たずに、図１ステップＳ１
１４からやはり何もしないでステップＳ１０５へ帰る。

【００２１】やがて、図４（ロ）に示すように最新の傾
きが平均のそれより大きくなって、ＤＶ−ＡＶが所定値
以上になったときΔＶフラグを１に設定する。これは傾
きが急激に大きくなった、つまり図３の領域、即ち、
充電の末期に進入したことを表している。

【００２２】図１に戻って、この後も１分間隔で電池１
の端子電圧ＢＶを読み取るから、前記同様にＭ１乃至Ｍ
４は順に最新から３分前までの端子電圧ＢＶを表す。Δ
Ｖフラグは既に１になっているからステップＳ１１３か
らはステップＳ１１６へと進み、最新の端子電圧Ｍ１を
３分前のＭ４と比較して、等しいか小さくなったとき、
つまり図３のピークＰに達したことを確認したら、充電
スイッチ７をオフに制御して充電を終了する。

【００２３】本実施例では、前記の通り１分置きにピー
クＰに達したか確認するようにしているが、その際に最
新の端子電圧Ｍ１と比較する対照を、直前（１分前）の
Ｍ２ではなく３分前のＭ４としている。これは、直前の
Ｍ２とでは差がほとんど現れないからである。

【００２４】即ち、図５は充電曲線のピーク付近を拡大
した図であるが、検出回路の精度の限界によって、時刻
Ｔ０、Ｔ１における端子電圧Ｅ０、Ｅ１が同じ電圧Ｅｍ
に、そして、時刻Ｔ２〜Ｔ５における端子電圧Ｅ２〜Ｅ
５が、同じ電圧Ｅｎと検出されてしまうことも有り得
る。この場合、最新と直前の端子電圧を比較する方法で
は、時刻Ｔ３においてＥ２≧Ｅ３が成立して、真のピー
クＰより手前の時刻Ｔ３でピークと誤認することにな
る。そこで、最新の端子電圧と比較する対象を３分前の
それにすることで、時刻Ｔ３、Ｔ４ではそれぞれＥ０≧
Ｅ３、Ｅ１≧Ｅ４が成立せずに、時刻Ｔ５においてＥ２
≧Ｅ５が成立して、より確実に真のピークＰを確認でき
る。

【００２５】同様に、最新の電圧上昇値ＤＶを計算する
のにも、最新の端子電圧と３分前のそれとの差Ｍ１−Ｍ
４を用いたのは、直前のＭ２とでは差がほとんど現れな
いからである。そして、電圧上昇の累積値ＭＭもこのＤ
Ｖを加算していくから、最新の電圧上昇値ＤＶ、累積値
ＭＭともに実際のそれを３倍したものとなる。しかもカ
ウンタＣＮは、ＭＭにＤＶを加算するたびに１しか増え
ないから、ＭＭ／ＣＮも結局、実際の平均の傾きの３倍
になる。

【００２６】つまり、計算や比較は１分置きに行うが、
その際のデータは過去３分間の変化量を用いるようにし
ているのである。

【００２７】ところで、充電中に機器を使用すること
で、一時的に電池１の端子電圧は降下して曲線に凹みが
生じる。凹み部分の電圧の変化を分かり易く拡大したの
が図６である。図において期間（Ｔ１〜Ｔ２）の傾きは
負になるため、負の傾きをもってピークを過ぎたとする
ものでは、時刻Ｔ１の端子電圧Ｅ１をピーク電圧と誤検
出してしまう。また、いわゆる−ΔＶ検出でも、Ｅ１−
Ｅ２≧ΔＶのときピーク後の電圧降下として誤検出して
しまう。そして、変曲点を検出するものでは、期間（Ｔ
１〜Ｔ２）まで減少傾向にあった傾斜量が、期間（Ｔ２
〜Ｔ３）で増加に転じるからここで変曲点が検出され、
続く期間（Ｔ３〜Ｔ４）では再び傾斜量は減少して、こ
こでも変曲点が検出されてしまう。

【００２８】しかし、本発明によれば、期間（Ｔ２〜Ｔ
３）の傾きは直前の期間（Ｔ１〜Ｔ２）の傾きに対して
は大幅な増大であるが、平均の傾きに対してはそれ程大
きくならないから、図１ステップＳ１１４においてＤＶ
−ＡＶ≧所定値が成立しない。つまり図３の領域と誤
検出されることはない。

【００２９】

【発明の効果】本発明の２次電池の充電装置は、充電中
に機器を使用することによって生じる端子電圧の降下を
ピークと誤検出することなく、充電末期の端子電圧の上
昇を確実に検出することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例における処理内容を示すフローチャート
である。

【図２】実施例の回路構成を示すブロック図である。

【図３】充電中２次電池の端子電圧と時間との関係を表
す充電曲線を示す図である。

【図４】充電曲線の最新の傾きと平均の傾きを示す図で
ある。

【図５】充電曲線のピーク付近の拡大図である。

【図６】充電中に生じる端子電圧降下の様子を示す図で
ある。

【図７】Ｍ１乃至Ｍ４のシフト動作を説明するための図
である。

【符号の説明】

１ 電池 ２ サーミスタ ３ 定電圧定電流回路 ４ 制御部 ７ 充電スイッチ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H02J 7/04 - 7/10 G01R 31/36

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 充電電流を２次電池に供給する供給手段
   と、前記２次電池の端子電圧を一定時間間隔で検出する
   検出手段と、該検出手段の検出結果を記憶する記憶手段
   と、該記憶手段の記憶内容から前記端子電圧の変化を示
   す充電曲線の最新と平均の傾きを計算する計算手段と、
   前記最新の傾きと平均の傾きを比較する第１比較手段
   と、前記記憶手段に記憶された最新の端子電圧と所定時
   間前の端子電圧を比較する第２比較手段と、前記第１及
   び第２の比較手段の出力に応じて前記供給手段を制御す
   る制御手段とを備え、前記第１比較手段によって前記最
   新の傾きが前記平均の傾きより所定値以上大きくなった
   ことが判定され、その後、前記第２比較手段によって前
   記最新の端子電圧が前記所定時間前の端子電圧に等しい
   か、または、小さくなったことが判定されたとき、前記
   供給手段による充電電流の供給を停止するようにしたこ
   とを特徴とする２次電池の充電装置。