JP2569795B2 - バッテリ充電制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、バッテリ充電制御装置に関し、特に人工衛
星等に搭載され太陽電池からの充電と負荷への放電とを
繰り返すようなバッテリの充電制御装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、この種のバッテリに対しては、直前の放電期間
で低下したバッテリ容量を日照の得られる期間内に回復
させる為に、フル（full）充電モードによる充電，テー
パ（taper）充電モードによる充電およびトリクル（tri
ckle）充電モードによる充電をその順に実行している。
ここで、フル充電モードとは、放電直後の状態から充電
すべき量のほぼ80％位までの充電を定電流で行うモード
を言い、次の段階として行われるテーパ充電モードと
は、充電電流を徐々に減少させながら最終容量値まで充
電するモードを言い、その後に行われるトリクル充電モ
ードとは自己放電等を補充する小充電電流で充電するモ
ードを言う。また、前述のテーパ充電モードにかかる充
電制御方式としては、バッテリの充電電圧をテーパ充電
期間中一定にすることにより充電電流率を連続的に低減
する定電圧充電方式がある。

上述した方式の従来のバッテリ充電制御装置の構成を
第３図に示す。同図に示すように従来のバッテリ充電制
御装置は、太陽電池等の電源１と、充電電流を制御する
充電部14と、充電されるバッテリ３と、バッテリ充電電
圧検出用の電圧センサ５′と、通信装置等で代表される
負荷10と、バッテリ３から負荷10への放電経路を形成す
る放電用ダイオード９と、充放電電流を検出する電流セ
ンサ４とから構成されている。

今、第２図（ａ），（ｂ），（ｃ）の実線で示す一般
的なバッテリ充電電圧，充電電流，充電量の諸特性の説
明図を参照して従来装置の動作を説明する。なお、第２
図は本発明の実施例の説明図としても後に使用する。

放電終了直後の充電開始当初、バッテリ３は、電源１
から供給される電力を電圧センサ５′の検出電圧に対応
する信号（テーパ充電信号６）を受けて動作する充電部
14によって制御された定電流で充電される。この領域は
第２図のフル充電領域に相当し、バッテリ３に流れる電
流は同時（ｂ）のＡの如く定電流である。充電が進んで
バッテリ電圧が予め定められた固定の設定レベル（テー
パ充電時の定電圧レベルであり、第２図（ｂ）のＥの相
当する）に達すると、電圧センサ５′からのテーパ充電
信号６の変化に応答して充電部14は、第２図のテーパ充
電領域に示すテーパ充電モードとなり、バッテリ３の充
電電圧を第２図（ａ）の如くＥに一定にしたまま充電を
行う。この結果、充電電流は第２図（ｂ）のＢに示すよ
うに連続的に低減される。そして、充電電流がバッテリ
３の自己放電等を補充する程度まで低下するとトリクル
充電状態となる。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来のバッテリ充電制御装置は上述したようにして直
前の放電期間で失われたバッテリ容量を回復するように
ていたが、次のような問題点があった。即ち、バッテリ
の充電電圧特性等の諸特性はバッテリの経年変化やバッ
テリ温度の変化によって変化するので、理想の条件下で
過不足のない充電が行われる得るようにテーパ充電時の
定電圧レベル（第２図（ａ）のＥ）を初期設定したとし
ても、テーパ充電時の充電電流の変化を所望のものにす
ることができず、場合によっては充電不足が生じたり、
逆に過充電が生じてバッテリの寿命を縮めるおそれがあ
った。

本発明の目的は、充電の過不足のない適正な充電状態
を保持できるバッテリ充電制御装置を提供することにあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記の目的を達成するために、フル充電モー
ド，テーパ充電モードおよびトリクル充電モードをその
順で行うことにより、直前の放電期間で容量の低下した
バッテリの充電を行うバッテリ充電制御装置において、
前記直前の放電期間における積算放電量に対する今回の
充電期間の各時点までの積算充電量の比である再充電率
を逐次に算出する再充電率算出手段を備え、この再充電
率算出手段で逐次に算出される再充電率の上昇具合と残
りの充電時間とに基づいて、今回の充電期間にて予め定
められた基準再充電率が確保できるように前記テーパ充
電モードにおける定電圧レベル値を制御し、且つ、前記
再充電率算出手段で算出された再充電率が前記基準再充
電率に達した時点でテーパ充電モードから前記トリクル
充電モードに移行する構成を有している。

〔作用〕

本発明のバッテリ充電制御装置においては、再充電率
算出手段が、直前の放電期間においてその放電期間にお
ける積算放電量を求めて保持し、放電期間が終了し充電
期間が開始されてフル充電モード，テーパ充電モードに
よる充電が開始されると今回の充電期間における各時点
までの積算充電量を逐次に求めると共に先に求めた積算
放電量に対する比である再充電率を同様に逐次に求め、
この再充電率算出手段で逐次に算出される再充電率の上
昇具合と残りの充電時間とに基づいて、今回の充電期間
にて予め定められた基準再充電率が確保できるように前
記テーパ充電モードにおける定電圧レベル値を制御し、
且つ、前記再充電率算出手段で算出された再充電率が前
記基準再充電率に達した時点でテーパ充電モードから前
記トリクル充電モードに移行する。

〔実施例〕

次に、本発明の実施例について図面を参照して詳細に
説明する。

第１図は本発明のバッテリ充電制御装置の一実施例の
要部ブロック図であり、既に説明した第３図と同一符号
は同一部分を示し、２は充電部、５は電圧センサ、７は
再充電率算出判定部、11は定電圧レベル制御部である。

再充電率算出判定部７は、電流センサ４で検出された
バッテリ３の充放電電流値を入力とし、放電期間におい
ては放電電流値と時間を積算した積算放電量を求めて保
持し、充電期間においては充電電流値と時間を積算した
積算充電量を逐次に求めると共に上記保持していた積算
放電量に対する現在までの積算充電量の比である再充電
率を逐次に求め、これを再充電率データ12として定電圧
レベル制御部11に出力し、また、予め定められた基準再
充電率（例えば１〜1.3）と現在の再充電率とを比較
し、現在の再充電率が基準再充電率に等しくなった時点
で充電完了信号８を充電部２に出力する機能を有する。
このような機能を有する再充電率算出判定部７は、例え
ば、積算放電量レジスタと、積算充電量レジスタと、放
電期間の開始時点から電流センサ４の検出電流値と時間
との積算を開始し放電期間の終了時点における積算放電
量を前記積算放電量レジスタに書き込み、また充電期間
の開始時点から電流センサ４の検出電流値と時間との積
算を開始し充電期間の終了までの各時点における積算充
電量を前記積算充電量レジスタに逐次書き込む積算回路
と、前記積算充電量レジスタに保持された積算充電量を
前記積算充電量レジスタに保持された積算放電量で除算
して再充電率を求める演算回路と、この演算回路で求め
られた再充電率を基準再充電率と比較し前者が後者より
大きくなった時点で充電完了信号８を発生する判定回路
とで構成することができる。

定電圧レベル制御部11は、再充電率算出判定部７で逐
次に算出される再充電率の上昇具合と残りの充電時間と
に基づいて、今回の充電期間にて、予め定められた基準
再充電率が過不足なくほぼ確保できるようにテーパ充電
モードにおける定電圧レベル値を制御する為のテーパ充
電電圧制御信号13を生成する部分である。このような機
能の定電圧レベル制御部11は、簡単な構成では、例えば
充電開始後の所定の時間に再充電率データ12と予め定め
られた目標再充電率とを比較する比較器と、この比較器
による比較の結果、実際の再充電率が目標再充電率を下
回っていればテーパ充電電圧を上げる旨のテーパ充電電
圧制御信号13を発生し、逆に上回っていればテーパ充電
電圧を下げる旨のテーパ充電電圧制御信号13を発生する
テーパ充電電圧制御信号発生回路とで構成できる。勿
論、より極め細かく再充電率の過不足を判定し、それに
応じたテーパ充電電圧制御信号13を発生する構成にする
ことも可能である。

電圧センサ５は、バッテリ３の検出電圧に応じたレベ
ルのテーパ充電信号６を発生するものであり、基本的に
は第３図の電圧センサ５と同じである。唯、目標電圧レ
ベルが、第２図（ａ）のＥに相当する基準目標レベル以
外に、その上側の高基準目標レベルとその下側の低基準
目標レベルとを有しており、テーパ充電開始時およびそ
の後に有為なテーパ充電電圧制御信号13が加わらない場
合にはバッテリ３の充電電圧が第２図（ａ）のＥに示す
基準目標レベルと等しくなるように制御するテーパ充電
信号６を発生し、テーパ充電中にテーパ充電電圧制御信
号13によってテーパ充電電圧を上昇或いは下降させる指
示を受けたときには、上記の高基準目標レベル或いは低
基準目標レベルと一致するバッテリ充電電圧でテーパ充
電が行われるようなテーパ充電信号６を生成するもので
ある。

充電部２は、フル充電モード，テーパ充電モードおよ
びトリクル充電モードをその順に行うことにより、直前
の放電期間で容量の低下したバッテリの充電を行う部分
である。この充電部２は、テーパ充電モードにおいて
は、電圧センサ５から出力されるテーパ充電信号６によ
り定電圧でバッテリ３の充電を行い、その後、再充電率
算出判定部７から充電完了信号８が加えられた時点でテ
ーパ充電モードを停止し、予め定められた小充電電流で
バッテリ３を充電するトリクル充電モードとなる。

次に、本実施例のバッテリ充電制御装置の動作を第２
図の諸特性図を参照して説明する。

バッテリ３が充電状態から放電状態に切り換わると、
再充電率算出判定部７は、電流センサ４で検出された放
電電流値の積算を開始する。その後、バッテリ３が放電
状態から充電状態に切り換わると、その時点の積算放電
量を新しい積算放電量として内部に記憶すると共に、電
流センサ４で検出された充電電流値の積算を開始する。

バッテリ３の充電期間の当初においては、充電部２は
第２図に示すようにフル充電モードによりバッテリ３を
充電する。この充電によってバッテリ３の充電電圧が上
昇し、第２図（ａ）のＥのレベルに達すると、充電部２
はテーパ充電モードに移行する。このときの最初の定電
圧レベルは第２図（ａ）のＥのレベルであり、充電電流
は同図（ｂ）のＢの如く徐々に低減される。このテーパ
充電モード期間中も再充電率算出判定部７は充電電流値
の積算を続行しており、且つ、逐次に求めた積算充電量
を直前の放電期間における積算放電量で除算して得た再
充電率を再充電率データ12として定電圧レベル制御部11
に送る一方、基準再充電率と比較している。

定電圧レベル制御部11は逐次に入力される再充電率デ
ータ12と残りの充電期間とに基づき、今回の充電期間に
て予め定められた基準再充電率が過不足なくほぼ確保で
きるか否かを判定している。そして、過不足なく確保で
きる場合には、テーパ充電電圧制御信号13による電圧セ
ンサ５の目標レベルの変更は行わない。しかし、過不足
が生じると判定した場合には、テーパ充電電圧制御信号
13によって電圧センサ５の目標レベルを変更する。今、
残りの充電時間では基準再充電率が達成されないと予測
されたとすると、電圧センサ５の目標レベルが第２図
（ａ）のＥからＦのレベルに上昇される。この結果、バ
ッテリの充電電圧が上昇し充電電流は第２図（ｂ）のＣ
に示すように通常の場合に比べて大きくなり、第２図
（ｃ）のＧに示すように充電量の上昇率も通常より増大
され、充電不足が解消される。逆に実際の再充電率の上
昇率が高すぎると、第２図には図示していないが、テー
パ充電モードにおける電圧レベルが下げられ、それに応
じて充電電流の減少率も高められる。

さて、再充電率算出判定部７において、再充電率が基
準再充電率に達したことが検出され、その旨の充電完了
信号８が出力されると、充電部２はテーパ充電モードか
らトリクル充電モードに移行する。即ち、充電電流を第
２図（ｂ）のＤに示す如く低下させ、バッテリ３の自己
放電を補う程度の小充電電流でバッテリ３の充電を続け
る。これによって、バッテリ３の過充電が確実に防止さ
れる。

以上のような動作が、バッテリ３の放電期間と充電期
間とで繰り返されることにより、バッテリ３の充電状態
が適切に保持される。

以上の本発明の一実施例について説明したが、本発明
は以上の実施例にのみ限定さされずその他各種の付加変
更が可能である。例えば、実際の再充電率が基準再充電
率に達した時点でテーパ充電モードからトリクル充電モ
ードに切り換える構成によってバッテリの過充電を防止
できるので、実際の再充電率の上昇率が速やすぎる場合
のテーパ充電時の電圧レベルの低下制御を省略しても良
い。唯、低下制御も行う構成にしておけば、電圧センサ
５の基準目標レベル（第２図（ａ）のＥのレベル）をよ
り低く設定しておくことも可能であり、その分、バッテ
リに与えるストレスをより一層低減できる効果がある。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明のバッテリ充電制御装置
においては、直前の放電期間における積算放電量と今回
の充電期間の各時点までの積算充電量との比である再充
電率を逐次に求め、その再充電率の上昇具合と残りの充
電時間とに基づいて、予め定められた基準再充電率が今
回の充電期間にてほぼ確保できるように前記テーパ充電
モードにおける定電圧レベル値を制御し、且つ、再充電
率が前記基準再充電率に達した時点でテーパ充電モード
から前記トリクル充電モードに移行するようにしている
ので、バッテリの充電不足，過充電を確実に防止できバ
ッテリの適正な充電状態を正確に維持できる効果があ
る。

更に、テーパ充電モードにおける初期の定電圧レベル
の設定は厳密さを要求されないので、最小の充電電圧ス
トレスとなるように設定することができ、バッテリの寿
命を延ばすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のバッテリ充電制御装置の一実施例の要
部ブロック図、 第２図はバッテリの諸特性の説明図および、 第３図は従来のバッテリ充電制御装置のブロック図であ
る。 図において、 １……電源 ２……充電部 ３……バッテリ ４……電流センサ ５……電圧センサ ６……テーパ充電信号 ７……再充電率算出判定部 ８……充電完了信号 ９……放電用ダイオード 10……負荷 11……定電圧レベル制御部 12……再充電率データ 13……テーパ充電電圧制御信号

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フル充電モード，テーパ充電モードおよび
   トリクル充電モードをその順で行うことにより、直前の
   放電期間で容量の低下したバッテリの充電を行うバッテ
   リ充電制御装置において、 前記直前の放電期間における積算放電量に対する今回の
   充電期間の各時点までの積算充電量の比である再充電率
   を逐次に算出する再充電率算出手段を備え、 該再充電率算出手段で逐次に算出される再充電率の上昇
   具合と残りの充電時間とに基づいて、今回の充電期間に
   て予め定められた基準再充電率が確保できるように前記
   テーパ充電モードにおける定電圧レベル値を制御し、且
   つ、前記再充電率算出手段で算出された再充電率が前記
   基準再充電率に達した時点でテーパ充電モードから前記
   トリクル充電モードに移行する構成を有することを特徴
   とするバッテリ充電制御装置。