JP3048672B2 - 試薬結合ポリマー、該ポリマー膜および該ポリマーを含む担持体 - Google Patents

試薬結合ポリマー、該ポリマー膜および該ポリマーを含む担持体

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JP3048672B2
JP3048672B2 JP3124402A JP12440291A JP3048672B2 JP 3048672 B2 JP3048672 B2 JP 3048672B2 JP 3124402 A JP3124402 A JP 3124402A JP 12440291 A JP12440291 A JP 12440291A JP 3048672 B2 JP3048672 B2 JP 3048672B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体試料中の少なくと
も1種の特定成分を測定するための試薬を結合したポリ
マーに関するものである。このポリマーは特定成分を測
定するための試薬が1種のみに限らず、複数の成分に対
応した種々の試薬が固定化でき、しかも生体液試料中の
特定成分を生体内にて連続計測する各種光学的センサー
手段へ適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、物理量を測定するための物理
センサーは工業プロセス、環境、医療等の分野において
広汎に用いられているが、化学物質の計測を対象とする
化学センサー、更に酵素等の反応特異性を利用し生体関
連物質等の計測を対象とするバイオセンサーは開発が遅
れている。これは特定の目的物質を選択的に識別するセ
ンサー素子の開発が容易でなかったことによる。しか
し、最近の技術の高度化、複雑化に伴い計測対象が著し
く増大し、これらを迅速かつ連続的に計測するバイオセ
ンサーの開発が強く要望されている。
【0003】更に、迅速化、連続化に加え、臨床検査等
の分野では特に、次に示す課題があった。
【0004】臨床検査等の分野では、液体試料中の成分
を分析する手段として、古くから試験片を利用した、い
わゆるドライケミストリーが発達し、特に、体液中の尿
や血液等の生体液試料中の各種成分の分析に試験片を用
いた半定量法による簡易診断法が確立されている。この
ような試験片は、担体として濾紙等の吸収性担体が用い
られ、この担体に特定成分を検出するための試薬を含浸
し、乾燥させることにより製造されている。しかしこれ
らの試験片は、液体試料と接触した際、成分分析用の試
薬の液体試料中への溶出を生じるために、最近臨床検査
等の分野で特に要求の大きい、生体内における特定成分
の連続計測には使用することができない。又、糖尿病等
のセルフモニタリングにおいても、採血患部への試薬に
よる汚染が懸念される。
【0005】従って、生体液試料中の特定成分を生体内
にて連続計測する安全性の高いシステムの提供が望まれ
ていた。
【0006】よって、生体関連物質の計測においては迅
速性、連続化、安全性の3つの課題を解決することが望
まれる。
【0007】その一つの試みとして従来よりガラス電
極、酵素固定化膜、半導体、あるいはサーミスター等に
よる電気化学的方法が行われていた。
【0008】この方法によれば、液体試料、殊に尿や血
液等の生体液試料中のグルコースやコレステロールの
他、各種成分、pH、酸素、炭酸ガス、各種酵素、又は
免疫活性成分等を検知し、それらの濃度をモニターする
ことができる。
【0009】しかしこれら電気化学的方法は、感度や応
答速度の劣ること、外部からの電磁気的な雑音による影
響、あるいは装置自体の微小化の問題等、技術的障害を
有するものであった。
【0010】近年、このような実情に鑑みこれらの電気
化学的方法に替り、機能性高分子膜による各種光学的バ
イオセンサーが開発されるに至っている。
【0011】例えば、ビニルイミダゾールポリマーまた
はコポリマーフィルムに化学試薬を固定しこれを光ファ
イバーの先端に装着して成るオプトロードを用いたバイ
オセンサー(特開平3−65639号公報)が知られて
いる。このものはpH3〜9の範囲で液体試料のpH値
を30秒未満の短時間で測定できるとしている。しか
し、このものは、化学試薬を担持するのに、ポリマー中
のイミダゾール単位上に存在する正の電荷を主に利用し
ているため、化学試薬としてはスルホン酸官能基を有す
るものに有効であるが、他の試薬は安定に固定できな
い。又、該ポリマーを光ファイバー上にグラフトするた
め光ファイバーの端部を活性化処理する工程等も不可欠
で製作が容易でなく、又、使用後の交換に当ってはオプ
トロードごと交換しなければならず、使用場面が限定さ
れる。
【0012】又、ペルオキシターゼ及びグルコースオキ
シターゼと特異的に結合させたカルボキシル基及びアミ
ノ基を有するポリアミド担体を用い、これにさらにルミ
ノールを固定して成る複合体により、極めて容易にセン
サー素子を形成できる技術が開示(特公平3−1175
9号公報)されている。
【0013】該複合体は、ポリアミド担体を修飾するこ
となくペルオキシターゼ及びグルコースオキシターゼを
担体上に担持できるという特徴を有する。
【0014】しかし、このものは特有のポリアミド担体
を用いかつ固定できる酵素もペルオキシターゼ及びグル
コースオキシターゼのみに制限され汎用性がなく、特定
用途の試験片として用いることができるが、精度等が充
分でないと想定され、又、この試験片は使い捨てで、反
応が可逆的でないためセンサーとして用いることは困難
である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】従って、生体関連物質
を迅速的、連続的にかつ簡易に計測する技術は実現しつ
つあるが、対象となる検出素子の種類が限定されかつ素
子の作製が容易でなく、性能の均一性にも問題が残され
ており、実用性の高いセンサー素子の開発には至ってい
ないのが現状である。
【0016】本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなさ
れたものであり、調製が容易でありかつ、精度が高く、
複数成分の計測をも可能とし、バイオセンサー素子の一
般要件である迅速性、連続測定性、臨床上の安全性等を
具備する試薬結合ポリマーを提供する。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(I)で表わされるハロゲン化アルキルスチレンと下記
一般式(II)で表わされるアクリル酸類との共重合体を
不溶性担体とし、該共重合体の繰り返し単位中のR1
スペーサーを介してあるいは介さずに試薬を結合させて
なる試薬結合ポリマーである。
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】 (式中、R1 はベンゼン環上の任意の位置をとり得る炭
素数1〜4のアルキレン基、R2 及びR3 はそれぞれ独
立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)本
発明によれば、担体としてのポリマー(以下、担体ポリ
マーという。)を所望の形状に容易に調製することがで
き、種々の試薬を特別な前処理をせず確実にポリマー中
に固定することができる。得られる試薬結合ポリマーは
オプトロードを利用したバイオセンサーとして優れた機
能を有し、かつ、センサーとしての態様を広汎な使用場
面に対応できる汎用性を持つ、実用性の高いものであ
る。
【0020】以下、本発明を詳述する。
【0021】本発明の試薬結合ポリマーは、所望の形状
に加工し得るポリマーに所望の試薬を直接固定化した点
に技術的意義を有する。直接固定化とは、担体ポリマー
の構造中に化学的に試薬成分が結合していることをい
い、例えば担体にキャビティを設け試薬を吸収させた
り、多層構造としてその内に試薬を担持させたりする固
定法と相違する。
【0022】従って、試薬と計測対象物質との反応速度
が格段に速く、迅速な計測を実現できる。
【0023】又、本発明に係る担体ポリマーは加工性に
極めて優れている。該ポリマーの構造自体は公知である
が、ある種の試薬との関係において特有の効果を発揮さ
せ得るという知見は従来全く知られていなかった。種々
の試薬を確実に固定し、目的とするセンサー素子を設計
の範囲内で安定的に作製できるということは従来技術か
らすれば予想し得ない驚くべきことであった。
【0024】更に、従来の技術は、ポリマー上に1種の
試薬のみ一定の管理下で固定できるにすぎなかったが、
本発明では担体ポリマーは加工性に加え、複数の試薬を
所定の量比で固定できる多機能性を付与することができ
る。
【0025】以上のような特徴を有する試薬結合ポリマ
ーは、後述するオプトロード利用のバイオセンサー素子
あるいはより構造的に単純で簡易測定可能な試験片とし
て好適である。しかし、該特徴を有効に利用し、試薬と
して適当なものを選定することで、他の用途にも適用す
ることは可能である。例えば、タンパク質の分離、精製
等に用いる免疫成分等の固定や、各種クロマトグラフィ
ー用の担体等である。以下は、バイオセンサー素子を想
定し説明したものであるが、本発明の技術的範囲を逸脱
することなく他の用途へ適用することができるのは明ら
かである。
【0026】本発明に係る担体ポリマーは前記一般式
(I)で表わされるハロゲン化アルキルスチレンと前記
一般式(II)で表わされるアクリル酸類との共重合体か
らなる。ここにアルカリ酸類とはメタクリル酸誘導体等
も含む概念である。式中R1 はパラ、メタ、オルトの各
位置で結合することができるが、好ましくはパラ位であ
る。共重合体を形成した後、試薬を固定する際に構造障
害等による影響が少ないからである。
【0027】ハロゲン化アルキルスチレンのR1 として
は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラ
メチレン基、プロピレン基等の枝分れしていてもよい炭
素数1〜4のアルキレン基がよい。炭素数は比較的小さ
いものの方が重合反応の反応性が高く、又この部分が試
薬結合部位となるので炭素数は比較的小さいものの方が
反応の効率がよい。反応の容易性、実用性等の点からメ
チレン基が好ましい。
【0028】R1 にはハロゲン原子Xが置換されてい
る。XとしてはCl,Br,I等がよい。反応性が高い
のはClである。
【0029】R1 上のハロゲン置換位置は特に限定され
ない。又R1 上のハロゲン原子が1つが基本であるが、
1 によっては複数のハロゲン原子が置換されていても
よい。ハロゲン化アルキルスチレンの代表例としては、
p−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレ
ン、o−クロロメチルスチレン等を挙げることができ
る。
【0030】アクリル酸類のR2 及びR3 は同一でも異
なっていてもよく、それぞれ独立に水素原子、又はエチ
ル基、メチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、sec −ブチル基、tert−ブチル基等
の炭素数1〜4のアルキル基がよい。
【0031】ハロゲン化スチレンとの共重合反応の容易
さの点で、R2は水素原子、メチル基が好ましく、又、
3 も反応性に影響するのでメチル基が好ましく、従っ
て適当なアルリル酸類としてはアクリル酸エステルやメ
タクリル酸エステル等を挙げることができる。メタクリ
ル酸メチルを用いた共重合体は一般に光線透過性が高く
試薬担持ポリマー用のモノマーとして好ましい。
【0032】又、R2 ,R3 により共重合反応における
重合体の成長に相違を生じ、得られる共重合体の組成が
異なる場合がある。例えば、アクリル酸メチルとメタク
リル酸メチルでは、重合温度が同じであれば、メタクリ
ル酸メチルを用いた方がハロゲン化アルキルスチレンと
の成長反応が同調しやすく、従って配合モル比により組
成を制御しやすい。
【0033】本発明に用い得るアクリル酸類の代表例と
しては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸イソブチルなどのアクリル酸誘導体、
メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸イソブチルなどのメタクリル酸誘導体
等を挙げることができる。
【0034】共重合体としては、上記ハロゲン化アルキ
ルスチレン及びアクリル酸誘導体のそれぞれの1種以上
を含有することができる。多種類の混合系として共重合
体を形成してもよい。
【0035】重合反応におけるハロゲン化アルキルスチ
レンモノマーとアクリル酸類モノマーとのモル比は目的
とする試薬結合ポリマーの用途等により適宜設定すれば
よい。原則的には前者のモル比が増加すると、スペーサ
ーを導入したときにポリマーの親水化傾向が強くなり水
溶性成分との親和性が高くなり、生体関連物質等の測定
感度を向上させ得るが、測定時に溶出する可能性があ
り、臨床検査分野においては、安全性等が問題となるこ
とがある。又、試薬成分は前者のR1 の部位に結合され
るため、このモル比が増えればポリマー中の試薬濃度を
増加できるので、一般に好ましいが、前述のように溶出
の可能性があり、ポリマー組成にはアクリル酸類の存在
が不可欠である。しかし、アクリル酸類モノマーのモル
比が増加すると疎水化傾向が強くなり、被検体とのぬれ
性が低下し、測定感度が劣化する可能性がある。又、こ
のものは試薬結合部位を持たないので、このモル比が増
えれば試薬濃度が下がるので、測定感度は低下する。
【0036】更に、ハロゲン化アルキルスチレンモノマ
ーモル比が増加すると、特にスペーサーを用いて試薬を
固定する場合は、スペーサーの種類によっては増粘化を
起しその後に行う成膜化処理、試薬固定化処理等に支障
をきたすことがある。
【0037】従って、好ましくはハロゲン化アルキルス
チレンモノマーとアクリル酸類モノマーとのモル比は
3:1〜1:3である。更に好ましくは2:1〜1:2
である。仕込みのモル比がそのまま共重合体の組成とか
ならずしも一致しないので、通常は各モノマーの反応性
の幅を考慮して、1:1のモル比で重合反応させるのは
実用的である。前述したように、例えばアクリル酸メチ
ルはメタクリル酸メチルよりも反応性が若干低く、同一
条件下でハロゲン化アルキルスチレンと共重合させれ
ば、繰り返し単位中に入り込む率が比較的低くなる。
又、本発明における担体ポリマーには架橋剤の使用は不
可欠ではない。
【0038】各モノマーの共重合反応は、一般的な重合
体の製造方法で行うことが出来るが、重合開始剤として
は、過酸化物やアゾ化合物のような非イオン性型の物が
用いられ、特に、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオ
キシド、アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。反応
時の温度は25〜100℃で行われるが、好ましくは、
50〜80℃程度が用いられる。反応時間も特に制限は
ないが、一般的は3〜48時間が適当である。反応は通
常、不活性雰囲気中で行う。
【0039】得られた担体ポリマーは重合度にさほど影
響されず、試薬結合不溶性担体として機能する。次に、
1 に必要により適当なスペーサーを用いて試薬を結合
させる。
【0040】本担体ポリマーに結合する試薬は、その結
合態様により2つに分類される。一方は、スペーサーと
してアミン化合物を用いて4級化したものに静電的に結
合するものであり、他方は、スペーサーを介してあるい
は介さず共有結合により結合するものである。
【0041】前者は酸塩基指示薬が代表的であり、後者
はアミン基含有試薬が代表的である。
【0042】しかし、この担体ポリマーは2つの態様で
試薬を結合できることから、極めて広範囲に種々の機能
性有機化合物である試薬を選定することができ、例え
ば、色原体、蛍光染料、酸化還元化合物等の合成物質の
他、酵素、タンパク質、抗原、抗体等の生理活性を有す
る天然物等も試薬として固定し得る。
【0043】共通の担体ポリマーを用いて異なる性質を
持つ試薬をそれぞれ固定できるという大きな利点は、そ
れぞれ別個に担体ポリマーに固定した後、それぞれのポ
リマーを容易に混合し一体化することを可能とする。担
体ポリマーが共通しているため均一に結合できるからで
あり、試薬は固定後は混合操作においても解離しないか
らでる。
【0044】従って、色素と酵素、複数の色素と複数の
酵素、複数の蛍光塗料等、それぞれを別個に確実に所定
量を担体ポリマーに固定した後、それぞれを混合し一体
化させれば成分が均一に分散された機能性膜を形成でき
測定に際して他の成分を加える必要がない。これは、セ
ンサーとして極めて有効な特徴であり、従来技術ではけ
っして実現できなかったものである。但し、各成分のポ
リマーへの結合性が同じレベルであれば各成分を一緒に
担体ポリマーに固定してもよい。従来技術では、多層構
造とするか、複合体を形成する以外の手段は知られてい
なかった。多層構造とすれば試薬と対象成分の反応速度
が低下するし、複合体においても試薬担持量のコントロ
ールが困難で2反応速度の速いものではない。かかる事
情に鑑みれば、本発明のセンサー分野における有用性は
極めて高い。
【0045】即ち、本発明による試薬固定ポリマーによ
って得られる試薬固定化膜は、これらの機能性組成物が
行う高効率の化学反応(触媒反応、光化学反応、酸化還
元反応など)や物理変化(化学的変化など)により、セ
ンサーとして液体試料中の特定物質の分析に極めて有用
である。膜の形成方法等は後述する。
【0046】次に、第一の態様である静電的結合のもの
について説明する。
【0047】酸塩基指示薬は水素イオン濃度の変化に伴
い変色する試薬であり、本発明ではその変色域にかかわ
らずに用いることができる。即ち、酸性指示薬及び塩基
性指示薬の両者を用い得る。
【0048】フタレイン系指示薬、スルホンフタレイン
系指示薬、ベンゼン系指示薬、アゾ系指示薬、トリフェ
ニルメタン系指示薬、ニトロ系指示薬等を例示できる。
具体的には、チモールブルー、ブロムチモールブルー、
フェノールレッド、クレゾールレッド、フェノールフタ
レイン、クロロフェノールレッド、ブロムフェノールレ
ッド、ブロムクレゾールグリーン、3,4,6,8−テ
トラブロムフェノールスルホンフタレイン、メチルオレ
ンジ、メチルレッド等が挙げられる。
【0049】ここで驚くべきことは、上記例で示された
物質は酸塩基指示薬としての共通点を有するのみで、そ
の他例えば反応性官能基等に大きな共通点がないにもか
かわらず、これらをいずれも担体ポリマー上に固定でき
ることである。
【0050】従来技術として、例えば前出特開平3−6
5639号公報では主にスルホン酸基あるいはスルホン
を有する指示薬の負の電荷を利用して担体にイオン結合
させているが、この方法では官能基が強く負にチャージ
されなければ結合できないため用い得る指示薬が制限さ
れかつ処理方法も限定される。ところが、本発明では静
電的に結合できるもの、即ち酸塩基指示薬として機能す
るものであれば、官能基の種類を有する電荷の大きさ、
水可溶性か水難溶性か、更に変色域によらず担持でき
る。
【0051】この理由は、はっきりしていない。試薬の
結合メカニズムが判明していないからである。但し、こ
の態様においては、スペーサーとして4級アンモニウム
化合物が必要であり、試薬としては4級アンモニウム化
合物に配位しやすいような酸塩基指示薬が主になること
から、何らかの静電的結合が生じていると推測される。
スペーサー付担体ポリマーが陰イオン交換樹脂として基
本的に機能し得ることからイオン交換反応により4級ア
ンモニウム化合物に配位結合で試薬固定されると考える
のが一般的であるが、試薬はpHによって陰イオンとな
ったり陽イオンとなったりするものがあり、配位結合の
強度も試薬により異なるはずで、又、試薬結合反応を水
が介在しない有機溶媒中で起こすこともできること等か
ら、結合のメカニズムを一律に考えることは困難であ
る。おそらく、担体ポリマーの分子構造、分子の大き
さ、試薬との親和性、及びスペーサーの存在量等が複雑
に作用し、試薬を捕捉していると考えられる。いずれに
せよ、試薬固定後は、極めて安定で試薬の溶出等はほと
んど生じないという予測を越える効果を発揮する。
【0052】従って、ここに静電的に結合するとは、広
く静電的作用を利用してR1 に結合している4級アンモ
ニウム化合物と結合することをいい、単にイオン結合や
配位結合による結合様式を意味しない。試薬結合部は
次の式で示されると考えられる。
【0053】
【化6】 (式中、R1 及びXは一般式(I)と同じ意味、R4
5 及びR6 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4
のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシル基、A
±は正又は負にチャージした試薬成分、…は静電的結合
を示す。)式中X は担体ポリマー由来のものである。
すなわち、担体ポリマーを3級アミン等で処理すると、
3級アミンがR1 と反応して共有結合するとともに4級
化し4級アンモニウム化合物として導入される。これが
試薬結合のスペーサーとなる。スペーサー部分はカチオ
ン性を示し、この構造は強塩基性陰イオン交換樹脂と同
じであり、実際に、4級アンモニウム化合物を導入した
担体ポリマーは陰イオン交換樹脂として機能し得る。4
級アンモニウム化合物の導入は例えば担体ポリマーをア
セトン等に溶解しこれに3級アミンを加え室温で1〜4
8時間程度反応させればよく、公知技術に基づいて実施
できるものである。
【0054】この方法の他にも、ハロゲン化アルキルス
チレンにまず4級アンモニウム化合物を導入し、これを
アクリル酸誘導体とを共重合させてスペーサーを結合さ
せた担体ポリマーを得ることもできる。
【0055】前記式中、R4 ,R5 ,R6 はそれぞれ同
一又は異なるものであり、独立に、水素原子、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、sec −ブチル基、tert−ブチル基等
の炭素数1〜4のアルキル基、メトキシル基、エトキシ
ル基、プロポキシル基、ブチルオキシ基等の炭素数1〜
4のアルコキシル基を示す。実用的で好ましいものとし
ては、メチル基、エチル基、メトキシル基、エトキシル
基等炭素数の比較的小さいものが反応性が高いのでよ
い。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、n−プロピルジメチルアミン、メチルエチル−n−
ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエチルエタ
ノールアミン等の3級アミン類を用い得る。
【0056】次に、試薬をスペーサー付担体ポリマーに
結合させるが、これには2通りあり、いずれも簡単な操
作で分析に必要な試薬を固定化できる利点を有するほ
か、特別な雰囲気や高温条件を必要とせずに温和な条件
のもとで固定化できるため、酵素や生理活性物質のよう
に安定性のあまり良くないものの固定化も可能である。
かつ、分析に必要な試薬はスペーサーを介して強固に結
合しているため、測定時の溶出などは全く見られない。
【0057】1つは、スペーサー付担体ポリマーを所定
の形態に成形した後、試薬含有溶液中に浸漬することで
スペーサーに試薬を結合させる方法である。
【0058】もう1つは、スペーサー付担体ポリマーを
有機溶媒中に溶解し、これに試薬を添加し、溶媒中で試
薬をスペーサーに結合させ、この後、所定の形態に成形
する方法である。どちらの方法によっても試薬を強固に
固定できる。
【0059】形態としてはそれ自体を膜状に成形したも
のの他、液体吸収性の別の担体(第2の担体)を用い、
これに含有させたものの両方の形態がとれる。これは、
試薬を固定化するポリマーが、試薬担持のための反応性
の高い置換基を繰り返し単位中に有していることの他、
ポリマー自身の性質(反応性、相溶性、成膜性、可塑性
等)が優れているためである。即ち、試薬を固定化した
後にセンサーとして用いるためには、いろいろな形状に
加工可能であることが適用範囲を広げるために大事であ
るほか、固定化した試薬の溶出がなく、応答速度が速
く、反応が連続的に再現良く行われること等も必要であ
るが、ポリマーの膜はそのような条件を十分に満たして
いる。
【0060】成膜法とその形態としては次のようなもの
が挙げられる。
【0061】液体試料中の特定成分を分析するために
は、上述したような固定化担体を分析に適する形状に加
工して使用しなければならない。この場合は一般にキャ
ストコーティングと呼ばれている方法で加工するのが望
ましい。キャストコーティングは、平滑な表面に湿潤塗
膜を接触させながら乾燥塗膜を形成させる方法であり、
紙に顔料分散系塗工剤を塗ったり、ビニル分散塗工剤、
ラッカーおよびラテックスをフィルム、織物、箔および
紙に塗工するときに良く用いられているコーティング方
法である。ここでは担体ポリマーとスペーサーであるア
ミン化合物をメタノール等の有機溶媒中に室温、数時間
程度で結合した後、キャストコーティングで成膜し、そ
のあとから分析に必要な試薬成分を固定化する方法や、
全ての成分を混合したのちに同様に成膜する方法により
分析に適する膜を得ることができる。キャストコートす
る平滑な物質としては、透明または不透明な支持体、例
えば、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン等のフィルムが好ましく用いられるほ
か、テフロンのような非接着性物質も使用される。この
場合は、成膜して乾燥後に剥して使用することが可能で
ある。
【0062】膜厚としては、5〜500μm、通常は2
0〜50μm程度のものがセンサーとして好適である。
キャストコーティングの他にも、ロールコーティング、
スプレーコーティング、ブレードコーティング等も同様
に採用できる。
【0063】また、別の形態として、液体吸収性の第2
の担体に吸収せしめて使用することも可能であるが、第
2の担体としては、濾紙、ガラス繊維、メンブランフィ
ルター、織物、不織布、木材、スポンジ材のような多孔
質材料が好ましい。この場合も、担体ポリマーとスペー
サーを結合させた後に第2の担体を吸収させ、分析に必
要な試薬成分をあとから固定化する方法や、全ての成分
を混合したのちに吸収させる方法のどちらも使用するこ
とができる。この形態では被検体とのぬれ及び接触面積
を改良することができる。
【0064】なお、成膜の際に公知技術に基づき膜に可
塑性、柔軟性を付与するため各種可塑剤を添加すること
ができる。可塑剤としては目的とする膜の性状に応じて
リン酸エステル、フタル酸エステル、脂肪族一塩基酸エ
ステル、脂肪族二塩基酸エステル、二価アルコールエス
テル、オキシ酸エステル等を用い得る。
【0065】よって、本発明においては、上記の2つの
形態を採ることができるので、透過でも反射でもその目
的とする分析形態に応じた担体を選ぶことができ、さら
に、その形状も自由に変えることが可能なため様々な分
析法に適用可能である。
【0066】得られた試薬結合ポリマー成型体は、試料
中の特性成分を分析するための試薬を強固に固定化し、
通常の使用条件で溶出などの問題を起こさない。また、
複数の試薬を同時に結合することも可能なため、測定に
必要な成分をすべて固定化した膜は、本膜を測定しよう
とする試料中に置くだけで、他の成分を加えることなく
測定することができる。また、本膜は第2の吸収性担体
に吸収させて使うこともでき透明性を持っているので、
呈色を読み取る方法としては、透過でも反射でも良いた
め応用性が非常に広い。
【0067】次に、第2の態様である共有結合に基づく
試薬の結合について説明する。用いることのできる試薬
はNH2 −A(Aは主要成分)で示されるアミノ基含有
試薬である。即ち、アミノ基を介してR1 に結合される
ものであり、基本的にアミノ基を有する試薬であればい
ずれも結合できる。センサーとして構成するのであれ
ば、酵素活性物質、免疫活性物質、色原体等を一般に持
ち得る。
【0068】具体的には酵素としてはグルコースオキシ
ダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダー
ゼ、アルカリフォスファターゼ等、免疫活性成分として
は、抗体やその断片、抗原等、色原体としてはO−トリ
ジン、3,3’,5,5’−テトラアルキルベンチジ
ン、あるいはこれらの塩等が挙げられる。
【0069】これらの試薬をR1 に結合させたものは下
記式で表わされる。
【0070】 −R1 −Sp =N−A あるいは、−R1 −NH−A (式中、R1 は一般式(I)と同じ意味、Sp はスペー
サーでありアンモニアあるいはジアミン類とジオキソ化
合物との反応により得られる構造を示す。)試薬NH2
−Aは共有結合で担体ポリマーに結合するがこの場合S
p (スペーサー)は存在していなくとも試薬の有するア
ミノ基がR1 と共有結合を形成するので、Sp は不可欠
ではない。しかし、スペーサーを用いた方が反応性が高
くなるため安定的に試薬を担体ポリマーに固定すること
ができる。従って、好ましくは担体ポリマーと試薬を接
続すべく反応性官能基としてアミノ基を含有する化合物
をスペーサーとして用いるとよい。これは、スペーサー
のアミノ基と試薬のアミノ基を結合させる意ではなく、
第1段階としてスペーサーのアミノ基を利用してR1
結合させ、次の第2段階で、前記スペーサーのアミノ基
と別の第2のスペーサーのカルボニル基を結合させ、こ
のカルボニル基を利用して試薬のアミノ基を結合させ、
結果的に担体ポリマーに試薬を固定することである。
【0071】この方法によれば、反応性の高い第1のア
ミノ基含有スペーサーをまずポリマーに固定し、その後
に第2のカルボニル基含有スペーサーを結合させている
ので、スペーサーの導入が容易であり、又、第2のスペ
ーサーはカルボニル基を2つ持ち、第1のスペーサーを
結合していないカルボニル基の2重結合により反応性高
く、試薬を結合させることができる。
【0072】即ち、スペーサーとしてはアンモニアやジ
アミン類とジオキソ化合物の反応物を好適に用いること
ができる。
【0073】ジアミン類としては、エチレンジアミン、
テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等、
ジオキソ化合物としてはグルタルアルデヒドやヘキサメ
チレンジイソシアネート等を挙げることができる。特に
グルタルアルデヒドは反応性が高く好適である。
【0074】担体ポリマーとスペーサーの結合法は非常
に簡単で、例えば、担体ポリマーをアセトン等の適当な
溶媒に溶解した後、第1のスペーサーを添加して、室温
で数時間反応させ第1のスペーサー付担体ポリマーを
得、次に、これを別の溶媒に溶解し更に第2のスペーサ
ーを添加して、室温で数時間反応させれば合成すること
ができる。さらにこのスペーサーに分析に必要な試薬を
結合させて、目的とする担体を得るわけであるが、この
結合方法は溶媒にスペーサー付担体ポリマーと試薬を溶
解しても、又スペーサー付担体ポリマーを成膜あるいは
別の担体に含浸させた後に、試薬溶液に浸漬等しても実
施できる。
【0075】この態様においては試薬はアミノ基を含有
する酵素類や生理活性物質、また、色原体であるので、
試薬をスペーサーを介して担体ポリマーに固定するにお
いては、反応温度を充分低くし、試薬自体が変質等の変
化を受けないように考慮するとよいが、本発明では、例
えば5℃前後の温度であっても迅速に試薬の固定化を実
施できる。試薬の種類により適宜調整すればよい。
【0076】この他の構成については前述、静電的結合
の態様と同様に行うことができ同様の効果を奏すること
ができる。
【0077】以上説明したように、本発明の試薬結合ポ
リマーは、それ自体が膜となりセンサー素子を構成でき
るので、試薬と被検体との接触面積、程度が格段に高
く、応答反応が速く、正確であり、かつ、成膜、含浸等
加工も非常に容易である。又、被検体中の計測成分は1
種に限らず、複数のものを測定できるよう、相当する試
薬の種類を担体ポリマーに均一に定量固定できる。又、
酵素と色原体等複数の種類の試薬を一緒にポリマー中に
固定できるので、被検体中への発色剤等の添加は不要と
なる。複数の試薬をポリマー中に固定するにはそれぞれ
の試薬をポリマーに固定し、それらを合せて後、成膜等
成型する方法でも、又全試薬を一度にポリマーに固定し
成膜する方法でもよい。但し、前者の方法の方が、試薬
の量の制御、安定性という観点からは好ましいといえ
る。
【0078】要するに、このものは試薬をゲル格子の中
やマイクロカプセルの中に閉じ込めて固定化したり、ビ
ーズ状イオン交換樹脂に吸着させたものをセルロースア
セテート膜内に固定したりする方法に比べ、簡単に均一
な膜が作成でき、試薬量の制限が可能であり、更に、試
薬が直接ポリマーに固定し皮膜化しているので反応速度
が格段に速くなる等の効果を奏する。
【0079】次に、本発明の試薬結合ポリマーを用いた
オプトロード利用のバイオセンサーの概略について説明
するが、該ポリマーの用途はこれに限られるものではな
く、より構造的に単純な簡易測定用の試薬片等にも広く
適用できる。
【0080】原理的には液体試料中の特定成分と接触し
て検知可能な信号を発生する試薬を結合し、膜状に形成
した試薬結合ポリマー(センサー素子という)を、液体
試料中に存在する特定成分と接触させ、発生する信号を
光学的手段を用いて検知することで、特性成分の計測を
行うというものである。
【0081】ここに膜状に形成とは、皮膜状にしたもの
に限らず、別の担体に含浸させたものも広義には担体上
で膜状に存在しているため、含浸させたものを含む意味
である。発生する信号としては、発光、吸収波長、吸光
度の変化等として現れるものであり、これを公知の光学
的手段で計測すればよい。光学手段としては吸収光強
度、透過光強度、反射光強度等の変化を検知できるもの
である。液体試料としては、尿、血清、血漿、全血等、
これまでバイオセンサー用試料に用いられているものを
そのまま利用することができる。又光ファイバーで利用
して信号を伝送すれば生体内の体液を被検体とすること
も可能であり、臨床検査分野においては極めて有用であ
る。
【0082】センサーとしては試薬結合ポリマー膜から
成るセンサー素子、発生する信号を伝達する手段、及び
信号の変化を吸収光強度、透過光強度、又は反射光強度
の変化として光学的手段を少なくとも有する装置により
センサーを構成できる。即ち、センサー素子は担体に試
薬結合ポリマーが含浸されている形態であってもよく、
この場合は被検体を含浸担体に滴下し、被検体中の特定
成分量に応じて発色等が起こるのを反射光度計等によっ
て計測すればよい。又、光ファイバーを利用する形態と
しては、光ファイバーの先端部に直接センサー素子膜を
形成するか、あるいはセンサー素子膜を内部に担持した
セルを該先端部に装着すれば信号を外へ取り出すことが
できる。センサー素子担持用セルを脱着可能とすればセ
ンサー素子部は、交換可能なヘッドとすることができ便
利である。光ファイバーを利用した場合も透過光、反射
光のどちらの形式も採ることができる。光ファイバーの
先端部にセンサー素子を装着した場合は一般に反射光利
用であり、光ファイバーの側面にセンサー素子を装着し
た場合は一般に透過光利用である。
【0083】図1に光ファイバーの先端部にセンサー素
子膜を内部に担持したセルを装着してなるバイオセンサ
ーの概略構成図を示す。反射光を利用するタイプであ
る。セルの大きさは通常φ1〜20mm程度であり、小型
計量化が可能である。本図の装置は基本的にセンサー素
子、光ファイバー束、光源、光検出器、演算装置から成
っている。光ファイバーとしては公知のものを利用でき
る。光検出器は一般には分光光度計、反射光度計等であ
り、特定波長における光度、吸収係数、反射率等により
被検体中の特定成分の検出を行えばよい。信号検出後の
信号処理により精度を上げるためには、光検出器で反射
スペクトル等を計測し、これをコンピュータによりデー
タ解析する。簡単には反射光度計で反射強度を読み取る
程度でもよい。但し、この場合は予め特定波長における
検量線等の作成が必要であり、又被検体を測定する前に
前処理が必要となるので、前処理の不可能な生体内での
測定を想定する場合には、スペクトルのデータ解析(多
変量解析)による方が精度が高く有効である。
【0084】図2は本発明の試薬結合ポリマーを用いて
試験片を調製したものの概略を示す。試験片とは、一般
に必要な試験成分を全て結合させた試薬結合ポリマーを
ろ紙等に含浸させ、乾燥後、適当な大きさ(3〜10mm
角)に裁断し、これをプラスチック片に貼りつけたもの
をいう。ろ紙部分に被検体を滴下することで発色を起こ
させ、これを読み取るもので、簡単的臨床検査として有
用なものである。
【0085】本発明の試薬結合ポリマーの一つの特徴と
して、試薬の溶出等のないことが挙げられ、試験片の場
合は、該特徴と直接関係しないが、該ポリマーの他の特
徴である試薬固定量の精度、均一性に鑑みれば、本発明
の有効な実施の一態様である。
【0086】
【実施例】以下、実施例より本発明を説明する。 実施例1 (担体ポリマーの合成)アルカリ水溶液で洗浄を行った
のち脱水し、真空蒸留を行って生成されたメタクリル酸
メチル及びp−クロルメチルスチレンの各単量体を等モ
ルずつトルエン中に加え、1%(重量比)のアゾビスイ
ソブチロニトリルを添加した。上記混合物を充分に窒素
置換された反応容器内で、70℃で10時間重合させ、
反応終了後、大量のメタノール中に添加して、メタクリ
ル酸メチル/p−クロルメチルスチレン共重合体を得
た。 (スペーサー導入)上記共重合体をアセトンに溶解し、
10%溶液とし、ジメチルエタノールアミンを共重合体
に対して25%加えて24時間以上室温にて反応させ、
II型の強塩基性イオン交換樹脂の性質をもつ下記式で示
される繰り返し単位を有するスペーサー付担体ポリマー
を調製した。
【0087】
【化7】 (試薬の結合)該ポリマーをメタノールに溶解し、10
%溶液とし、ブロムチモールブルーをポリマーに対して
10%加えて溶解させた。ブロムチモールブルーは溶解
後直ちにスペーサーと反応し、静電的に結合する。 (センサー素子の作製)このようにして得られた試薬結
合ポリマー溶液をキャスト法により、支持体であるポリ
エステルの上に厚さ0.05mmに成膜することにより、
ブロムチモールブルー固定化膜を得た。上記の方法によ
り得られたpH指示薬固定化膜は、浸水時には、膜に化
学的に結合したpH指示薬が反応し、その結果膜の色調
が変化する。
【0088】該膜を支持体から剥離せず、10mm角の大
きさに裁断し、センサー素子を作製した。(センサー素
子応答性試験)前記センサー素子をpH4〜8に調整し
たリン酸バッファーに浸し、変色が安定した時点(約3
0秒後)でセンサー素子を取り出してカラーアナライザ
ー(TC−1800M、東京電色)の測定部に挿入し反
射光測定した。測定原理は図2に示す。結果は図3に示
したように、pHの変化に対する反射率の変化率(感
度)は波長によって異なっており、発色機構が単一でな
いことが判る。しかし、ある波長域ではpH変化を的確
にとらえ感度が高くセンサー素子として有効であること
が判る。この場合、600nm付近の感度が高く、単一波
長により被検体のpHをモニターするのであれば、この
付近の波長で実施すればよい。多変量解析によれば更に
感度を上げることができる。
【0089】なお、本センサー素子は可逆性があり、p
H変化させても再現性良く測定できた。例えばpH4か
ら7へ変化させ再度pH4へ戻した場合の応答は30秒
程度であり、連続計測が可能であった。
【0090】また、メタクリル酸メチルとp−クロルメ
チルスチレンの配合比を1:2および2:1に変えた他
は同一の条件で重合させて得られた本発明による担体ポ
リマーを用いて同様のセンサー素子を調製したところ、
ほぼ同一の特性を示すことが確認された。
【0091】実施例2 (スペーサーの導入)実施例1で得た担体ポリマーをア
セトンに溶解し、10%溶液とし、エチレンジアミンを
該ポリマーに対して20%加えて室温で5時間反応させ
エチレンジアミンをスペーサーとして導入したポリマー
を合成した。このポリマーをアセトンに溶解し、10%
溶液とし、グルタルアルデヒドを該ポリマーに対して5
%加えて均一な溶液とし、最終的に下記スペーサーをベ
ンゼン環上にメチレン基に導入した後、ろ紙(東洋濾紙
製.No.50)に含浸させて40℃、1時間で乾燥し
た。
【0092】
【化8】 (試薬の結合)このようにして得られたものをグルコー
スオキシダーゼ(100U/ml)、ペルオキシダーゼ
(100U/ml)、o−トリジン・二塩酸塩(10mg/
ml)を溶解した0.01Mリン酸Butter中に浸し、5℃
で24時間固定化を行った。
【0093】固定化後の、図2に示す試験片を作製し
た。(ろ紙の大きさ5mm角)。 (センサー素子応答試験)被検体としてグルコース水溶
液(100mg/dl)を用い、これをろ紙部分にスポイト
で滴下し、1分後に、実施例1と同じカラーアナライザ
ーを用いてセンサー素子の応答性を試験した。結果を図
4に示す。図から明らかなように、波長640nm付近で
最も感度が高く、グルコースセンサーとして充分機能し
ていた。
【0094】又、試験片をグルコース溶液に浸漬しても
酵素、指示薬の溶出は見られず、被検体は滴下によらな
くとも、浸漬によって反応させることができた。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の試薬結合
ポリマーは直接成膜したり別の担体に含浸させたり、い
ろいろな形状に加工可能で、センサーとしてその適用範
囲が広く、かつ固定できる試薬の種類も多く、静電的結
合あるいは共有結合で安定に固定でき、試薬の溶出がな
い安全性の高いセンサーを構成できる。又、複数の試薬
を同時に結合することも可能なため、測定に必要なすべ
て固定化した膜は、本膜を測定しようとする試料中に置
くだけで、他の成分を加えることなく測定することがで
きる。試薬の固定は担体ポリマーに直接であるため応答
速度が速く感度が高い。又反応を連続的に再現良く行う
ことができるので、光ファイバーを利用した連続計測シ
ステムを組むことができ、生体内での測定に好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試薬結合ポリマーを成膜化し、オプト
ロード利用バイオセンサー素子として利用する測定装置
により被検体を測定する構成を示す概略図である。
【図2】本発明の試薬結合ポリマーを用いた試験片によ
り被検体を測定する構成を示す概略図である。
【図3】実施例1で作製したブロムチモールブルー担持
pHセンサーにより得られたpH変化における反射率変
化と波長との関係を示すグラフである。
【図4】実施例2で作製したグルコースオキシダーゼ、
ペルオキシダーゼ、o−トリジン担持グルコースセンサ
ーにより得られたグルコース添加による反射率変化と波
長との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 セル1 2 セル2 3 光ファイバー 3a 入射光用光ファイバー 3b 受光用(反射光用)光ファイバー 4 センサー素子膜 5 光源 6 光検出器 7 演算装置 8 被検体 9 光源 10 光検出器 11 プラスチック片 12 ろ紙含浸センサー素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/00 - 1/26 C08F 8/32 G01N 21/78 BIOSIS(DIALOG) CA(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表わされるハロゲン
    化アルキルスチレンと下記一般式(II)で表わされるア
    クリル酸類との共重合体を不溶性担体とし、該共重合体
    の繰り返し単位中のR1 にスペーサーを介してあるいは
    介さずに試薬を結合させてなる試薬結合ポリマー。 【化1】 【化2】 (式中、R1 はベンゼン環上の任意の位置をとり得る炭
    素数1〜4のアルキレン基、R2 及びR3 はそれぞれ独
    立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
  2. 【請求項2】 スペーサーとしてアミン化合物を用い4
    級化したものに試薬として酸塩基指示薬を静電的に結合
    させてなる下記式で表わされる試薬結合部を有する請求
    項1に記載の試薬結合ポリマー。 【化3】 (式中、R1 及びXは一般式(I)と同じ意味、R4
    5 及びR6 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4
    のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシル基、A
    ±は正又は負にチャージした試薬成分、…は静電的結合
    を示す。)
  3. 【請求項3】 NH2 −A(Aは主要成分)で表わされ
    るアミノ基含有試薬を共有結合で結合させてなる下記式
    で表わされる試薬結合部を有する請求項1に記載の試薬
    結合ポリマー。 −R1 −Sp =N−A あるいは、−R1 −NH−A (式中、R1 は一般式(I)と同じ意味、Sp はスペー
    サーでありアンモニアあるいはジアミン類とジオキソ化
    合物との反応により得られる構造を示す。)
  4. 【請求項4】 共重合体が、一般式(I)で表わされる
    モノマーと一般式(II)で表わされるモノマーとのモル
    比が3:1〜1:3の範囲で得られたものである請求項
    1に記載の試薬結合ポリマー。
  5. 【請求項5】 酸塩基指示薬が、チモールブルー、ブロ
    ムチモールブルー、フェノールレッド、クレゾールレッ
    ド、及びフェノールフタレインから選ばれる請求項2に
    記載の試薬結合ポリマー。
  6. 【請求項6】 アミノ基含有試薬が、酵素活性物質、免
    疫活性物質及び色原体から選ばれる請求項3に記載の試
    薬結合ポリマー。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の試薬結合ポリマーを成膜
    してなるオプトロード利用バイオセンサー素子用の試薬
    結合ポリマー膜。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の試薬結合ポリマーを液体
    吸収性の別の担体に含浸させてなる試薬結合ポリマー担
    持体。
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