JP3046864B2 - 高級ポリエチレン紙 - Google Patents

高級ポリエチレン紙

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JP3046864B2
JP3046864B2 JP3261444A JP26144491A JP3046864B2 JP 3046864 B2 JP3046864 B2 JP 3046864B2 JP 3261444 A JP3261444 A JP 3261444A JP 26144491 A JP26144491 A JP 26144491A JP 3046864 B2 JP3046864 B2 JP 3046864B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は高級合成紙の製造法に関する。特
に本発明は高品質のポリエチレンパルプを製造し、この
パルプを、通常の連続湿式配置製紙機により高強度、低
欠陥のポリエチレン紙に転化する方法に関する。
【0002】配向したポリエチレンのフィルム・フィブ
リルの多プレキシフィラメント糸から製造される紡糸接
合した(spunbonded)繊維シートは米国特許
第3,169,899号[スチューバー(Steube
r)]に開示されている。そのようなシートはE.I.
デュポン社(E.I.duPont de Nemou
rs & Co.)から商品名「タイベク(Tyvek
R)」紡糸接合オレフィンとして商業的に製造されてい
る。このシートは、強度、耐引裂き性及び透過性を異常
なほど良好に組合せて有することを利用して、種々の用
途に有用であることがわかっている。
【0003】ポリエチレンパルプは、これらのタイベク
のシートを小片に切断し、そしてこの切断した小片を水
性精砕機中で叩解することにより製造することができ
る。他のポリオレフィンパルプの製造法は、カーク(k
irk)−オスマー(Othmer)、「化学技術辞
典」、第19巻、第3版、ジョン・ウィリー・アンド・
サンズ社(John Wiley & Sons.)、
420〜435頁(1982)に示されている。この参
考文献は合成パルプを、一般的に非常に細かい、高度に
分岐した、不連続の、水に分散しうるプラスチックから
作られた繊維として記述している。また溶液フラッシュ
紡糸、乳化液フラッシュ紡糸、溶融押出し/フィブリル
化、及び剪断沈殿による合成パルプの製造法が記述され
ている。パルプは通常の湿式配置の製紙技術で紙、シー
ト又は厚紙を作る試みにおいて他の繊維と混合すること
ができる。そのようなパルプは、ある種の不織材料例え
ば乾式配置のランド(Rando)−ウェッバー(We
bber)成形シート及び湿式配置のフォードリニヤ
(Fourdrinier)成形シートに対する結合剤
に使用されるものとしても記述されている。
【0004】米国特許第4,608,089号[ゲール
(Gale)ら]は、フラッシュ紡糸したポリエチレン
シート(例えばタイベク)を小片に切断し、この小片を
含む水性スラリーを生成せしめ、次いでこの小片を円形
精砕機で精砕してセメントの強化に特に適したパルプを
製造することによる配向したポリエチレンのフィルム−
フィブリルパルプの製造法を開示している。パルプはフ
ラッシュ紡糸したプレキシフィラメントから製造され、
これを小片に切断し、水性媒体中で叩解する。これらの
パルプはセメント複合物にある用途が見出されているけ
れど、高級ポリエチレン紙の製造には有用でない。
【0005】ヨーロッパ特許願第292,285号(ゲ
ールら)は、種々の製品を強化するための、改良された
配向ポリエチレンのフィルム−フィブリルパルプの製造
法を開示している。このパルプはフラッシュ紡糸した配
向線状ポリエチレンのプレキシフィラメント糸から、こ
れを小片に転化し、次いで水性媒体中での精砕により寸
法を減じて繊維パルプのスラリーとすることによって製
造される。次いでこのパルプのスラリーを、高々1.2
mmの平均フィブリド長が達成され、また繊維性パルプ
の高々25%が14メッシュのスクリーン上に保持され
且つパルプの少くとも50%が14メッシュのスクリー
ンを通過するが100メッシュのスクリーンに保持され
るようになるまで、更に精砕する。そしてこの改良され
たパルプから製造しうる種々の製品が開示されている。
これらは特殊合成紙、強化ガスケット、強化セメント、
強化樹脂製品、及び濾過の用途に特に有用である熱結合
したシートを含む。これらのパルプは強化用に及び紙タ
オルの製造にある用途が見出されているけれど、それは
通常の連続湿式配置製紙機で、高級な且つ低基本重量の
ポリエチレン紙を製造することに満足されない。
【0006】これらの種類のポリエチレン繊維を用い、
通常の連続製紙装置で高級紙を作ろうとする場合に遭遇
する問題の1つは、それがシートを乾燥している間に乾
燥筒に付着しがちであるということである。更に乾燥工
程中、シートは機械方向に延び、乾燥筒間で張力を失
う。これは紙シートを貧弱な均一性に仕立て上げる。
【0007】通常の製紙装置によりポリエチレンパルプ
から合成紙を製造する方法はいくつかあるけれど、それ
らは独特な繊維及び工程段階を必要とする。1つのその
ような例は米国特許第4,783,507号に開示され
ている。この発明の特徴は、1つが90℃又はそれ以下
で溶融し且つ1つがそれより高温で溶融する2種類のポ
リエチレンパルプを用いることにある。紙は通常の製紙
機により、212°Fの水蒸気までに加熱された乾燥筒
を用いて2種類のポリエチレンパルプから製造すること
ができる。この紙を製造するために用いるポリエチレン
パルプは米国特許第3,920,508号(ヨネモリ)
の方法で製造される。ヨネモリはポリエチレンの乳化液
をフラッシュ紡糸し、得られる繊維を精砕することを開
示している。
【0008】明らかに、通常の連続湿式配置製紙装置に
より、高紙ポリエチレン紙をパルプから製造する方法が
必要とされる。この紙は、減少した伸張、高強度及び低
数の欠陥(即ち増大した均一性)を有すべきである。本
発明の他の目的及び利点は、以下の本発明の図面及び詳
細な記述を参照すれば同業者には明白になるであろう。
【0009】本発明は、 (a)(i)0.7〜1.0mmの平均長、0〜6%の
欠陥値、少くとも0.030の複屈折、及び0.15〜
0.222mg/mの粗さを有するポリエチレンのフィ
ブリッド97〜99.5%、及び(ii)ポリビニルア
ルコール繊維0.5〜3.0%、を含んでなるパルプ供
給物を製造し、 (b)この供給物を製紙機のスクリーン上に配置して無
サイズ紙を形成させ、 (c)得られた無サイズ紙を加熱された乾燥筒で乾燥
し、但しこの乾燥筒は、初期乾燥期を、ポリビニルアル
コール繊維を溶融する200〜270°Fの温度で提供
し、そして第2乾燥期を、繊維の延伸と伸張を調節する
190〜240°Fの温度で提供するような乾燥プロフ
ィールを有し、そして (d)乾燥した繊維を250〜315°Fの温度で熱的
に結合させて少くとも4ft3/分/ft2のフレイジア
(Frazier)孔性を提供する、工程を含んでなる
ポリエチレンを少くとも97%含有する合成紙を、通常
の連続湿式配置製紙機で製造する方法に関する。
【0010】本製糸法の厳密な工程は、少量のポリビニ
ルアルコール結合剤繊維をポリエチレン繊維と混合し、
乾燥温度を制御した特別な乾燥方法を用い、そして乾燥
した繊維を接合させることを含む。ポリビニルアルコー
ル繊維は最初の乾燥期で溶融し、接合した得られる紙シ
ートに強度を与える。事実紙シートの強度はポリエチレ
ン繊維に混入されるポリビニルアルコール繊維の量によ
って変えることができる。特別な乾燥方法は粘着を減
じ、シートの伸張を制御する。好適な具体例において
は、粘着を更に減ずるために乾燥筒に剥離コーティン
グ、例えばポリテトラフルオルエチレン(PTFE)を
噴霧する。本方法の結果は、高い湿潤性及び乾燥強度、
減少した伸張性及び優秀な均一性(即ち高孔性と低欠
陥)を有する高級ポリエチレン紙である。得られる紙は
一般に1.5〜4.5oz/yd2の基本重量を有す
る。この紙は濾過の用途(例えば真空クリーナー用の
袋)に及び蓄電池の隔膜の製造に特に有用である。
【0011】上述した製紙法で用いるポリエチレンパル
プの製造法は、ゲールのヨーロッパ特許願第292,2
85号の繊維パルプを製造する際に用いたものと同一の
工程のいくつかを含む。共通の工程は、線状ポリエチレ
ン重合体を、少くとも0.030の複屈折を有する配向
したフィルム・フィブリル糸にフラッシュ紡糸し、この
糸を小片に転換し、次いで水性媒体中での精砕により寸
法を減じて繊維パルプのスラリーを製造することを含
む。しかしながら、高級ポリエチレン紙を製造するため
に必要な品質のポリエチレンパルプを製造するために、
ゲールらの方法に次の改良を加えねばならない。この改
良は次の更なる工程、即ち(1)この精砕したスラリー
をポリビニルアルコールと混合し、(2)混合物を、
0.01〜0.04インチのプレート間隔設定値を有す
る第1の1つの円形精砕機を通過させ、(3)この混合
物を、0.002〜0.016インチの間隔設定値の円
周環を備え且つ0.007〜0.021インチのプレー
ト間隔設定値を有する第2の1つの円形精砕機を通過さ
せ、(4)精砕した混合物を、0.04〜0.098イ
ンチの孔の寸法を有するスクリーンを通して濾過し、そ
して(5)濾過したパルプを脱水する、工程を含んでな
る。第2の円形精砕機は、パルプの欠陥値(defec
t level)及び繊維長を制御するために、厳密な
範囲の空隙設定値に設定された一組の円周環を備えてい
る。環の、主精砕機プレートに対する空隙の設定は、厳
密な設定値を定義するものである。この設定値は、高級
ポリエチレン紙を製造するために許容しうる性質を有す
るパルプを製造するのに維持しなければならない。好ま
しくはプレートの空隙設定値は環の空隙設定値以上の3
〜5ミル間に設定される。上述した方法で製造される繊
維パルプは高強度、細かさ、及び低欠陥数を示す。
【0012】図1は通常の湿式配置フォードリニヤ製紙
機、即ち繊維パルプ1の湿式配置した層を、成形スクリ
ーン17から、プレス機(ロール20〜25、及びベル
ト27及び28)、最初の乾燥域(筒30〜35)、第
2の乾燥域(筒36〜38)、及び熱的接合域(ロール
39〜51)、次いで巻き取りへと進め、高級ポリエチ
レン紙のロール70を製造するという製紙機の概略図を
示す。
【0013】本発明は、特別に処理されたポリエチレン
パルプから高級ポリエチレン紙を製造する方法を提供す
る。本発明のパルプは技術的に公知の配向したポリエチ
レンフィブリドパルプよりも改良されている。例えば米
国特許第4,608,089号(ゲールら)及びヨーロ
ッパ特許願第292,285号(ゲールら)のパルプ
は、ある強化の用途に対しては良好であるけれど、通常
の連続製紙装置で高級の低基本重量ポリエチレン紙を製
造するのに満足されない。本発明のパルプとゲールらの
ヨーロッパ特許願におけるそれとの間の相違は下記の実
施例での比較から容易に理解できよう。比較的低基本重
量の高級ポリエチレン紙を製造するために、用いるパル
プは独特な特性のものでなければならない。特に本発明
のパルプは、ゲールらの両文献のものと比べて、低寸法
で低数の欠陥[チップ(chips)及びピル(pil
ls)]及び高度の湿潤及び乾燥繊維強度を有さねばな
らない。
【0014】本発明によれば、高級ポリエチレン紙を製
造するのに必要な配向ポリエチレンパルプを製造するた
めの好適な方法は技術的に公知のある工程を含む。例え
ば米国特許第4,608,089号(ゲールら)は、
(a)線状ポリエチレンを配向したポリエチレンのフィ
ルム−フィブリルの相互に連結された糸にフラッシュ紡
糸し、(b)この糸を小片に転換し、そして(c)小片
の寸法を水性スラリーパルプ精砕機で減ずる、という工
程により少くとも0.030の複屈折を有する配向した
ポリエチレンフィブリドの繊維パルプの製造を開示して
いる。本発明の方法では、高級ポリエチレン紙を製造す
るのに適当な品質の改良されたポリエチレンパルプを製
造するためにパルプを更に処理する。この改良は次の更
なる工程、即ち(d)この精砕したスラリーをポリビニ
ルアルコールと混合し、(e)混合物を、0.01〜
0.04インチのプレート間隔設定値を有する第1の1
つの円形精砕機を通過させ、(f)この混合物を、0.
002〜0.016インチの間隔設定値の円周環を備え
且つ0.007〜0.021インチのプレート間隔設定
値を有する第2の1つの円形精砕機を通過させ、(g)
精砕した混合物を、0.040〜0.098インチの孔
の寸法を有するスクリーンを通して濾過し、そして
(h)濾過したパルプを脱水する、工程を含んでなる。
第2の円形精砕機は、パルプの欠陥値(defect
level)及び繊維長を制御するために、厳密な範囲
の空隙設定値に設定された一組の円周環を備えている。
環の、主精砕機プレートに対する空隙の設定は、厳密な
設定値を定義するものである。好ましくは、このプレー
トの空隙設定値は0.015〜0.018インチであ
り、環の空隙設定値は0.010〜0.015である。
特に好適な設定値は0.018インチのプレートの空隙
設定値及び0.015インチの環の空隙設定値を含む。
この更なる工程を行うのに適当な装置は、後の実施例に
おいて更に詳細に記述される。
【0015】得られるフィブリド(fibrid)は、
0.7〜1.0mmの平均の長さ、75〜90%の不透
明性、0.150〜0.222mg/mの粗さ、及び0
〜6%の欠陥値が特徴である。またフィブリドは高々2
5%、好ましくは高々10%のパルプフィブリドが14
メッシュのスクリーン上に保持されるような寸法の範囲
にある。ここにすべてのスクリーンの寸法はバウア(B
auer)−マクネット(McNett)の分別スクリ
ーン寸法に従うものとする。
【0016】パルプ及びこれから作られる紙に対して本
明細書で言及する種々の特性は次の方法で測定される。
本方法の記述において、ASTMは米国材料試験協会、
TAPPIはパルプ及び製紙工業技術協会、そしてIS
Oは国際標準化機関に関するものである。
【0017】繊維の長さ及び粗さは、通常製紙工業で使
用されるカジャーニ(Kajaani)試験法で決定さ
れる。平均の繊維長は0.4mmのオリフィス直径を有
するカジャーニFS−100型装置で測定される。この
装置はパルプ繊維の分布をサンプリングし、そして重さ
を加味した分布を与えるために使用される。繊維の全数
を数え、そして重さを加味した繊維の分布から平均の繊
維長を計算する。
【0018】欠陥のパーセントは通常製紙工業で使用さ
れるプルマック(Pulmac)試験法によって決定さ
れる。スリット巾4ミルを有するプルマックふるい分析
器を用いてパルプの欠陥のパーセントを測定する。欠陥
は最も多くはビル及びチップとして見られる。
【0019】複屈折は本明細書に参考文献として引用さ
れる米国特許第4,608,089号(ゲールら)、第
2欄64行〜第3欄33行に詳細に記述されている。
【0020】バウアーマクネッツ値はTAPPI T3
3 OS75に従って測定される。乾燥した、水で配置
した紙の不透明性は、拡散不透明性の測定に対するIS
Oスタンダーズ2469及び2471並びにTAPPI
T519と一致するテクニダイン・ミクロ(Tech
nidyne Micro)TB1C型試験機[テクニ
ダイン・コーポレーション・オブ・ニュー・アルバニー
(Technidyne Corporation o
f New Albany,Indiana)製]を用
いて測定した。この測定はテクニダインの「紙の光学的
性質の測定と制御」(1983年)の方法に従って行
い、そして特に有効波長457nmを有するポジョンB
のフィルターによる拡散幾何法を使用した。この測定値
を解析して、与えられたパルプのシートに対する不透明
性とそのバラツキを得る。不透明性のバラツキが小さい
ことは、そのパルプが均一で欠陥のない合成パルプシー
トを形成しうることを示す。
【0021】脱水性(drainage)[カナディア
ン・スタンダード・フリーネス(Canadian S
tandard Freeness)(CSF)として
通常には公知]はTAPPI T−227試験法に従っ
て測定され、ml単位で報告される。
【0022】ピルの数は視覚試験で測定される。基本重
量2.002/yd2の8″×8″ハンドシートに対
し、高さ0.5mm又はそれ以上のピルを視覚的に数
え、記録する。
【0023】改良されたポリエチレンのパルプを製造し
た後、これは本発明の製紙法によって高級合成紙に変え
ることができる。この紙は、最初にポリエチレン繊維9
7〜99.5重量%及びポリビニルアルコール接合剤、
繊維0.5〜3.0重量%を含んでなるパルプ供給物を
準備することにより、通常の連続湿式配置製紙機で製造
される。供給物繊維は、0.7〜1.0mmの平均長、
0〜6%の欠陥量、及び0.150〜0.222mg/
mの粗さを有する。適当なポリビニルアルコール繊維は
クラレ(日本、大阪)から商品名「クラロン」として上
市されている。供給物の準備に際しては、ポリエチレン
のパルプ繊維を固体濃度約2重量%まで水中に均一に分
散させる。次いでポリビニルアルコール繊維を接合剤繊
維として1重量%添加する。この供給物を約0.5重量
%の固体濃度まで水で更に希釈する。
【0024】続いてこの供給物を、通常の湿式配置製紙
機(例えばフォードリニヤ機)の成形スクリーン上に配
置する。この供給物を脱水して無サイズ(waterl
eaf)シートを成形する。次いで得られた無サイズシ
ートを一連の加熱された乾燥筒で乾燥する。乾燥筒は、
最初の乾燥期がポリビニルアルコール繊維のいくらかが
溶融する200〜270°Fの温度で提供され且つ第2
の乾燥期が繊維の延伸及び伸張を制御する190〜24
0°Fの温度で提供されるような独特の乾燥プロフィー
ルを与える。好ましくは乾燥筒は、繊維が筒表面に粘着
する機会を更に減ずるために剥離コーティング例えばポ
リテトラフルオルエチレン(PTFE)が吹き付けられ
ている。
【0025】最後に、乾燥したシートは250〜315
°Fの温度で熱的に接合されて少くとも4ft3/ft2
/分のフレイジア孔性を有する高級ポリエチレン紙を提
供する。この紙の孔性は、そのシートを一連の加熱筒
(即ちロール接合機)中を通過させ、そしてその接合温
度を変えることによって特別な用途に適するようにする
ことができる。接合中、典型的にはシートの収縮を最小
にするために静電気及び/又は圧力手段によってシート
をその場に保持する。本発明の方法によって製造される
紙の孔性は、直接温度に比例することが判明した(即ち
温度を上昇するにつれてシートは孔性になる。但しこれ
は約330°Fの、孔性が減少しはじめるある限界温度
値に至るまでのことである)。この特性は、孔性が温度
に反比例するという多くの従来法のパルプと反対であ
る。接合に続いて、貯蔵及び/又は輸送の目的のために
紙をロール形で巻きとる。
【0026】本発明は、本発明による製紙に適当な装置
の概略的表示である添付する図面を参照にして、より容
易に理解されよう。図1は、供給物繊維1の湿式配置さ
れた層がパルプのヘッダー・ボックス(header
box)10から成形スクリーン17上に配置され、繊
維を脱水するためにプレス域(ロール20〜25及びベ
ルト27〜28)へ進むという典型的なフォードリニヤ
機を示す。得られる無サイズのシートを独特な乾燥プロ
フィールを有する乾燥機域(筒30〜38)へ通過させ
る。この筒は、最初の加熱期(A)がポリビニルアルコ
ール繊維を熔融するために200〜270°Fの温度で
提供され(筒30〜35)、そして第2の加熱期(B)
が繊維の延伸及び伸張を制御するために190〜240
°Fの温度で提供される(筒36〜38)ように加熱さ
れる。
【0027】熱接合期(C)におけるシートの接合はカ
レンダーローラーのような通常の装置を用いて達成する
ことができる。この接合を行うために特に好適な装置
は、リー(Lee)の米国特許第4,554,207号
に開示されている。接合操作に対しては、すべてのロー
ルを実質的に同一の円周速度で運転する。この場合接合
温度を250〜315°Fに維持して少くとも4ft3
/分/ft2のフレイジア孔性を得る。上述したよう
に、温度は特別な最終用途に依存して特別な孔性の紙を
製造するために上述の範囲内で変えることができる。
【0028】次の限定を意味しない実施例において、組
成物成分のすべての%及び比は断らない限り組成物の全
重量に基づくものとする。
【0029】
【実施例】
実施例 1 本発明の方法で製造される配向したポリエチレンのパル
プ及び紙は、ゲールらのヨーロッパ特許願第292,2
85号の同様のパルプ及び紙と実施例において対比され
る。
【0030】各ポリエチレンパルプの製造に対する出発
物質は実質的にヨーロッパ特許願第292,285号
(ゲールら)に記述されている通りであった。簡単に述
べると、線状ポリエチレンのトリクロルフルオルメタン
溶液を配向したフィルムフィブリルのプレキシフィラメ
ント糸へフラッシュ紡糸した。この糸をシートに成形
し、次いでシートを軽く固め、低濃度水性スラリーとし
て精砕するために小片に切断した。
【0031】従来法のパルプに対しては、出発シートを
巾広のストリップに引き裂き、これを小片に切断した。
この小片を水と混合して固体含量2重量%のスラリーと
した。次いでスラリーを、1800回転/分で運転する
36−2型円形精砕機[スプラウト・ウォルドロン社
(Sprout Waldron Co.,Munce
y,Pennsylvania)から上市されている]
を3回通して処理した。この精砕機には、16808
A、B型の主プレート及び17709型の円周制御環を
取付けた。1回目の通過に対して、公称の空隙は主プレ
ート間が0.254mm、また円周制御環間が0.07
6mmであった。最後の通過に対してはスラリーを1%
の固体に希釈した。第1、第2及び第3回目の通過に対
する供給速度は、パルプの乾燥重量に基づいて、それぞ
れ1.4、3.6及び3.2kg/分であった。精砕し
たパルプを150メッシュのスクリーンで脱水し、次い
で乾燥した。
【0032】本発明のパルプに対しては、出発のシート
を巾広のストリップに引き裂き、これを小片に切断し
た。小片を水と混合して固体含量2重量%のスラリーと
した。このスラリーを、1800回転/分で運転する3
6−1C型円形精砕機[スプラウト・ウォルドロン社
(Sprout Waldron Co.,Munce
y,Pennsylvania)から上市されている]
を1回通して処理した。この精砕機には、16808
A、B型のプレートパターンを取付けた。公称の空隙は
0.762mmであり、供給速度はパルプの乾燥重量に
基づいて3.6kg/分であった。次いでこの精砕した
パルプを1800回転/分で運転する36−2型精砕機
を1回通して処理した。この精砕機には、16808
A、B型のプレート及びD4A134型の円周制御環を
取付けた。公称の空隙は主プレート間が0.381m
m、また円周制御環間が0.254mmであった。供給
速度は、パルプの乾燥重量に基づいて、3.6kg/分
であった。精砕したパルプを150メッシュのスクリー
ンで脱水し、次いで乾燥した。
【0033】ゲールらのヨーロッパ特許願第292,2
85号の方法で作ったパルプ及び本発明の方法で作った
パルプを比較し、結果を下表1に示す。この結果は本発
明のパルプが低基本重量例えば2oz/yd2において
高いシート強度及び非常に低い欠陥%(例えばピル数)
を有することを示す。
【0034】
【表1】 表 1 特 性 従来法のパルプ 本発明のパルプ 繊維長(mm) 0.82 0.78 14メッシュスクリーン処理* 7.8 6.0 シート強度(ポンド/インチ) (2オンス/ヤード2) 0.9 1.2 脱水性(CSF)** 530 450 不透明性(%) 84 80 欠陥(%) 6.8 2.6 粗さ(mg/m) 0.119 0.170 ピル数 10 2 * スクリーン上に残るパルプのパーセンテージ。
【0035】* カナディアン・スタンダード・フリー
ネス(ml) 実施例 2 ゲールらのヨーロッパ特許願第292,285号の従来
法のパルプから作った接合紙及び本発明のパルプからの
接合紙を、真空クリーナーの袋としての用途に関して比
較し、結果を下表2に示す。
【0036】
【表2】 表 2 特 性 従来法の紙 本発明の紙 基本重量(オンス/ヤード2) 1.98 1.95 厚さ(ミル) 10.1 10.5 透過性(cfm/フィート2) 6.4 8.5 ムレン(Mullen)破裂強度(psi) 31 40 引張り強度MD(ポンド/インチ) 14.2 18 引張り強度CD(ポンド/インチ) 7.85 7 平均孔寸法(ミクロン) 9.1 8.7 最小孔寸法(ミクロン) 5.8 6.7 最大孔寸法(ミクロン) 9.4 22.5 欠陥数(ピル) 9 2 表2はゲールらの従来法の紙が透過性及び欠陥数におい
て、低基本重量紙(即ち2オンス/ヤード2以下)の場
合、本発明の方法によって製造した紙と実質的に異なる
ことを示す。
【0037】以上の記述では、本発明の特別な具体例を
示してきたけれど、本発明が本発明の精神又は本質的な
寄与から離れずして多くの改変、代替及び再整理の行い
うることは同業者の理解するところである。本発明の範
囲を示すものとしては上述の詳細な説明よりもむしろ特
許請求の範囲を参照すべきである。
【0038】本発明の特徴及び態様は、以下の通りであ
る: 1.(a)(i)0.7〜1.0mmの平均長、0〜6
%の欠陥値、少くとも0.030の複屈折、及び0.1
5〜0.222mg/mの粗さを有するポリエチレンの
フィブリッド97〜99.5%、及び(ii)ポリビニ
ルアルコール繊維0.5〜3.0%、を含んでなるパル
プ供給物を製造し、 (b)この供給物を製紙機のスクリーン上に配置して無
サイズ紙を形成させ、 (c)得られた無サイズ紙を加熱された乾燥筒で乾燥
し、但しこの乾燥筒は、初期乾燥期を、ポリビニルアル
コール繊維を溶融する200〜270°Fの温度で提供
し、そして第2乾燥期を、繊維の延伸と伸張を調節する
190〜240°Fの温度で提供するような乾燥プロフ
ィールを有し、そして (d)乾燥した繊維を250〜315°Fの温度で熱的
に結合させて少くとも4ft3/分/ft2のフレイジア
孔性を提供する、工程を含んでなるポリエチレンを少く
とも97%含有する合成紙を、通常の連続湿式配置製紙
機で製造する方法。
【0039】2.乾燥筒に剥離コーティングを被覆する
上記1の方法。
【0040】3.剥離コーティングがポリテトラフルオ
ルエチレンである上記1の方法。
【0041】4.(a)(i)0.78〜0.80mm
の平均長、1〜4%の欠陥値、少くとも0.030の複
屈折、及び0.170〜0.185mg/mの粗さを有
するポリエチレンのフィブリッド97.5〜98.5
%、及び(ii)ポリビニルアルコール繊維1.5〜
2.5%、を含んでなるパルプ供給物を製造し、 (b)この供給物を製紙機のスクリーン上に配置して無
サイズ紙を形成させ、 (c)得られた無サイズ紙を加熱された乾燥筒で乾燥
し、但しこの乾燥筒は、初期乾燥期を、ポリビニルアル
コール繊維を溶融する210〜250°Fの温度で提供
し、そして第2乾燥期を、繊維の延伸と伸張を調節する
195〜205°Fの温度で提供するような乾燥プロフ
ィールを有し、そして (d)乾燥した繊維を270〜305°Fの温度で熱的
に結合させて少くとも4ft3/分/ft2のフレイジア
孔性を提供する、工程を含んでなるポリエチレンを少く
とも97%含有する合成紙を、通常の連続湿式配置製紙
機で製造する方法。
【0042】5.乾燥筒を剥離コーティングで被覆する
上記4の方法。
【0043】6.剥離コーティングがポリテトラフルオ
ルエチレンである上記5の方法。
【0044】7.(a)線状ポリエチレンを、少くとも
0.030の複屈折を有する配向したフィルム・フィブ
リル紙にフラッシュ紡糸し、そしてこの糸を小片に変
え、次いでこれを水性スラリー中での精砕により寸法を
減じてパルプを製造し、(b)この精砕したスラリーを
ポリビニルアルコールと混合し、(c)混合物を、0.
01〜0.04インチのプレート間隔設定値を有する第
1の1つの円形精砕機を通過させ、(d)この混合物
を、0.002〜0.016インチの間隔設定値の円周
環を備え且つ0.007〜0.021インチのプレート
間隔設定値を有する第2の1つの円形精砕機を通過さ
せ、(e)精砕した混合物を、0.040〜0.098
インチの孔の寸法を有するスクリーンを通して濾過し、
そして(f)濾過したパルプを脱水する、工程を含んで
なる配向したポリエチレンのフィブリド及びポリビニル
アルコールの繊維の繊維パルプの改良された製造法。
【0045】8.少くとも0.030の複屈折を有し、
そして平均0.7〜1.0mmの長さであり、更に0.
150〜0.222mg/mの粗さ及び0〜6%の欠陥
値を有する配向ポリエチレンフィブリドの改良された繊
維パルプ。
【0046】9.上記1の方法で製造される湿式配置し
た濾紙。
【0047】10.上記1の方法で製造される湿式配置
し、乾燥し、そして熱接合した紙シート。
【0048】11.上記8のパルプから製造される湿式
配置した濾紙。
【0049】12.上記8のパルプから製造される湿式
配置し、乾燥し、及び熱接合した紙シート。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は通常の湿式配置フォードリニヤ製紙機、
即ち繊維パルプ1の湿式配置した層を、成形スクリーン
17から、プレス域(ロール20〜25、及びベルト2
7及び28)、最初の乾燥域(筒30〜35)、第2の
乾燥域(筒36〜38)、及び熱的接合域(ロール39
〜51)、次いで巻き取りへと進め、高級ポリエチレン
紙のロール70を製造するという製紙機の概略図を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 13/00 - 13/34 D01F 6/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)(i)0.7〜1.0mmの平均
    長、0〜6%の欠陥値、少くとも0.030の複屈折、
    及び0.15〜0.222mg/mの粗さを有するポリ
    エチレンのフィブリッド97〜99.5%、及び(i
    i)ポリビニルアルコール繊維0.5〜3.0%、を含
    んでなるパルプ供給物を製造し、 (b)この供給物を製紙機のスクリーン上に配置して無
    サイズ紙を形成させ、 (c)得られた無サイズ紙を加熱された乾燥筒で乾燥
    し、但しこの乾燥筒は、初期乾燥期を、ポリビニルアル
    コール繊維を溶融する200〜270°Fの温度で提供
    し、そして第2乾燥期を、繊維の延伸と伸張を調節する
    190〜240°Fの温度で提供するような乾燥プロフ
    ィールを有し、そして (d)乾燥した繊維を250〜315°Fの温度で熱的
    に結合させて少くとも4ft3/分/ft2のフレイジア
    孔性を提供する、工程を含んでなるポリエチレンを少く
    とも97%含有する合成紙を、通常の連続湿式配置製紙
    機で製造する方法。
  2. 【請求項2】 (a)(i)0.78〜0.80mmの
    平均長、1〜4%の欠陥値、少くとも0.030の複屈
    折、及び0.170〜0.185mg/mの粗さを有す
    るポリエチレンのフィブリッド97.5〜98.5%、
    及び(ii)ポリビニルアルコール繊維1.5〜2.5
    %、を含んでなるパルプ供給物を製造し、 (b)この供給物を製紙機のスクリーン上に配置して無
    サイズ紙を形成させ、 (c)得られた無サイズ紙を加熱された乾燥筒で乾燥
    し、但しこの乾燥筒は、初期乾燥期を、ポリビニルアル
    コール繊維を溶融する210〜250°Fの温度で提供
    し、そして第2乾燥期を、繊維の延伸と伸張を調節する
    195〜205°Fの温度で提供するような乾燥プロフ
    ィールを有し、そして (d)乾燥した繊維を270〜305°Fの温度で熱的
    に結合させて少くとも4ft3/分/ft2のフレイジア
    孔性を提供する、工程を含んでなるポリエチレンを少く
    とも97%含有する合成紙を、通常の連続湿式配置製紙
    機で製造する方法。
  3. 【請求項3】 (a)線状ポリエチレンを、少くとも
    0.030の複屈折を有する配向したフィルム・フィブ
    リル紙にフラッシュ紡糸し、そしてこの糸を小片に変
    え、次いでこれを水性スラリー中での精砕により寸法を
    減じてパルプを製造し、 (b)この精砕したスラリーをポリビニルアルコールと
    混合し、 (c)混合物を、0.01〜0.04インチのプレート
    間隔設定値を有する第1の1つの円形精砕機を通過さ
    せ、 (d)この混合物を、0.002〜0.016インチの
    間隔設定値の円周環を備え且つ0.007〜0.021
    インチのプレート間隔設定値を有する第2の1つの円形
    精砕機を通過させ、 (e)精砕した混合物を、0.040〜0.098イン
    チの孔の寸法を有するスクリーンを通して濾過し、そし
    て (f)濾過したパルプを脱水する、工程を含んでなる配
    向したポリエチレンのフィブリド及びポリビニルアルコ
    ールの繊維の繊維パルプの改良された製造法。
  4. 【請求項4】 少くとも0.030の複屈折を有し、そ
    して平均0.7〜1.0mmの長さであり、さらに0.
    150〜0.222mg/mの粗さ及び0〜6%の欠陥
    値を有する配向ポリエチレンフィブリドの改良された繊
    維パルプ。
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