JP3046335B2 - 車両用油圧緩衝器のセルフポンプ式車高調整装置 - Google Patents

車両用油圧緩衝器のセルフポンプ式車高調整装置

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JP3046335B2
JP3046335B2 JP2243855A JP24385590A JP3046335B2 JP 3046335 B2 JP3046335 B2 JP 3046335B2 JP 2243855 A JP2243855 A JP 2243855A JP 24385590 A JP24385590 A JP 24385590A JP 3046335 B2 JP3046335 B2 JP 3046335B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、車両用油圧緩衝器のセルフポンプ式車高調
整装置に関する。
〔従来の技術〕
本出願人が先に出願した特願平1−214820号の特許出
願の明細書に記載された車両用緩衝器のセルフポンプ式
車高調整装置の概略の油圧回路図を第6図と第7図に示
す。普通、二輪車の緩衝器は前輪と後輪の車体と車軸の
間にそれぞれ配設され、かつ車体と車軸間の距離を調整
して車高を調整する車高調整装置を備えている。この車
高調整装置では、走行中セルフポンピング作用を行う二
輪車の後輪側の緩衝器すなわちリヤークッション101の
シリンダ内油室(いわゆるポンプ室)Aと、リヤークッ
ションのシリンダ上部外周に設けた油圧ジャッキ部110
の後輪側油圧ジャッキ室Bおよび前輪側の緩衝器すなわ
ちフロントフォークの内筒内上部に設けたジャッキ部12
5の前輪側油圧ジャッキ室C(第6図と第7図では図示
省略)とを接続する第一の油路131が、車高アップ位置
と車高ダウン位置の二つの切り換え位置を有するロータ
リー式の切り換え弁機構150の上流(シリンダ内油室
側)で前輪側油圧ジャッキ室Cと後輪側油圧ジャッキ室
Bに向かう二つの油路に分岐してそれぞれ切換弁機構15
0を通っている。切換弁機構150には、車高アップ位置と
車高ダウン位置とに切り換えられる切換弁151が設けら
れ、この切換弁の下流(後輪側油圧ジャッキ室B,前輪側
油圧ジャッキ室C側)にこれと隣接してタペット155と1
55′(以下、参照数字に′のついた部品は前輪側油圧ジ
ャッキ室に接続される同様な切換弁機構の部品を示すが
簡単にするために図示を省略してある)および第一のチ
ェックバルブ156と156′が設けられ、このチェックバル
ブは前輪側油圧ジャッキ室および後輪側油圧ジャッキ室
側からポンプ室側への作動油の流入を阻止する。また、
前記第一の油路131には、切換弁機構150の上流に、緩衝
器の圧縮行程で減衰力を発生するバルブ機構140が設け
られ、このバルブ機構のさらに上流で第一の油路131か
ら分岐して油溜室Dに連通する第二の油路136が形成さ
れ、この油路に、油溜室Dからリヤークッション101の
シリンダ内油室Aへの作動油の流れを許す第二のチェッ
クバルブ139が設けられている。
二輪車の走行中、リヤークッションのセルフポンピン
グ作用により圧縮行程でシリンダ内油室Aから圧力油が
圧縮側減衰バルブ機構140を通るときに圧縮側減衰力を
発生し、第7図に示した切換弁151の車高ダウン切り換
え位置では、この切換弁内に介装された第三のチェック
バルブ153、153′が後輪側油圧ジャッキ室B、前輪側油
圧ジャッキ室Cへ連通する油路を閉じる位置に切り換わ
るため、シリンダ内油室Aからの作動油は第三の油路15
4、154′を介して油溜室Dへ流入し、一方後輪側と前輪
側油圧ジャッキ室BとC内の油はロータリー切換弁の外
周により押し上げられたタペット155、155′によって弁
座157、157′から離座したそれぞれの第一のチェックバ
ルブ156、156′の外周、タペット外周の切り欠き55a、
タペット内の第一の油路31m、31l(第5図)を通って油
溜室Dへ戻ることができ、車高がダウンする。荒れ地走
行に入るときに、切換弁151を回して第6図の車高アッ
プ切り換え位置にすると、切換弁151内の第三のチェッ
クバルブ153、153′が油溜室Dへの第三の油路154を閉
じる位置に位置し、リヤークッション1のシリンダ内油
室Aからの作動油が、タペット155、155′内に設けられ
た切り欠き55a、タペット内の第一の油路31m、31l(第
5図)を通り、弁座に着座している第一のチェックバル
ブ156を開放し、リヤークッション1とフロントフォー
ク20のそれぞれの後輪側油圧ジャッキ室B、前輪側油圧
ジャッキ室C内に流入し、それぞれのプランジャを押し
て車高を上昇させる。プランジャが上昇端のストッパー
に当接すると、第一のチェックバルブ156、156′の下流
の油圧が所定の圧力に達し、この圧力は、点線のパイロ
ット油路を介してリリーフ弁160のパイロット油室F
(第2図)に流入し、リリーフ弁160の弁体をばねに抗
して変位させ、第二の油路166、165を連通させる。しか
し、車高上昇中に、パイロット油室Fが所定の圧力に達
してないときに、車両が激しくボトミングして急激な圧
力上昇が生じたような場合、リリーフ弁160が第二の油
路166、165を閉じているので、作動油は行き場を失い、
油圧回路系が破壊してしまう欠点があった。
なお、従来技術の部品の符号は、本願の対応する部品
の符号に100をプラスして示してある。
〔発明が解決しようとする課題〕 従って、本発明の目的は、車高上昇中に、リリーフ弁
のパイロット圧が所定の圧力に達していないときに、作
動油の急激な圧力上昇を避けるように構成された車両用
油圧緩衝器のセルフポンプ式車高調整装置を提供するこ
とである。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的を達成するために、本発明による車両用油
圧緩衝器のセルフポンプ式車高調整装置は、 車体側と車軸側の間に配設される油圧緩衝器のシリンダ
内を、ロッドの先端に取り付けたピストンが摺動するシ
リンダ内油室と、 車体側と車軸側の間に配設される油圧ジャッキ室と、 油溜室と、 前記シリンダ内油室と前記油溜室を連通する第二の油路
と、 前記第二の油路に前記シリンダ内油室から前記油溜室へ
の流れを阻止する方向に設けられた第二のチェックバル
ブと、 前記シリンダ内油室と前記油圧ジャッキ室を連通する第
一の油路と、 前記第一の油路に直交するように形成されかつそれぞれ
前記油溜室に連通するリリーフ油路と第三の油路と、 前記第一の油路のシリンダ内油室側である上流側、前記
第一の油路の油圧ジャッキ室側である下流側、前記リリ
ーフ油路および前記第三の油路を接続する車高調整切換
装置と、 車高調整切換装置の本体に内装されたロータリー弁と、 前記ロータリー弁内に交差して形成された一方の油路
(31i)と他方の油路と、 前記ロータリー弁を車高アップ位置に回転させたときに
前記第三の油路に対向しかつ車高ダウン位置に回転させ
たときに前記第一の油路の下流側に対向するように配置
された前記一方の油路(31i)の一方のポートと、 前記一方の油路の前記他方の油路との交差点と前記一方
の油路の一方のポートとの間に、車高アップ位置設定時
に前記ポンプ室から前記第三の油路への作動油の流れを
阻止しかつ車高ダウン位置設定時に前記シリンダ内油室
から前記第一の油路の下流側への作動油の流れを阻止す
る方向に設けられた第三のチェックバルブと、 前記ロータリー弁下流側の第一の油路に車高アップ時に
前記油圧ジャッキ室から前記シリンダ内油室への作動油
の流れを阻止する方向に設けられかつ車高ダウン位置設
定時に開弁する第一のチェックバルブと、 前記リリーフ油路に設けられかつ前記第一のチェックバ
ルブ下流側の油圧をパイロット圧として開弁するリリー
フ弁とを備え、 前記ロータリー弁下流側の第一の油路から分岐して前記
油溜室に連通する第四の油路を設け、 この第四の油路に前記リリーフ弁より開弁圧の高いブロ
ーバルブを設けたことを特徴とする。
〔発明の実施の形態〕
以下、本発明を図面に示す発明の形態により詳細に説
明する。
第1図に、車両用油圧緩衝器である自動二輪車用リヤ
ークッションとフロントフォークを同時に車高調整でき
るセルフポンプ式車高調整装置の全体図を示す。
第一の油圧緩衝器であるリヤークッション1は、一端
に車軸または車体の一方の取付け部材2を有するシリン
ダ3と、このシリンダ3内に摺動可能に装着されたピス
トン4と、このピストンから取付け部材2と反対側へ突
出しかつ自由端に車軸または車体の残りの他方の取付け
部材5を有するピストンロッド6とを有し、ピストンロ
ッド側端部にい設けられたばね受け7と、シリンダ側端
部に設けられたばね受け8との間に懸架ばね9が張架さ
れている。ピストン4には、通常のように減衰力発生装
置が設けられている。
セルフポンプ式車高調整装置の一部を形成する後輪側
のジャッキ部10は、リヤークッション1のシリンダ3の
外周に固着されたスリーブ11を有し、このスリーブにプ
ランジャケース12が固定され、このプランジャケース12
の内周面とスリーブの外周面の間にプランジャ13が摺動
可能に装着され、プランジャ13の端部に連結されたスプ
リングカラー8aに懸架ばね9の圧力によりばね受け8の
端面が当接している。このようにして、プランジャケー
ス12とプランジャ13の間に後輪側油圧ジャッキ室Bが形
成される。
第二の油圧緩衝器であるフロントフォーク20は、車軸
側外筒21と、この外筒21内を摺動可能な車体側内筒22と
からなり、外筒底部から上方へ突出するシートパイプ
(図示省略)の上端のばね受け(図示省略)と、内筒22
の上端のばね受け23との間に懸架ばね24が張架されてい
る。
また、セルフポンプ式車高調整装置の一部を構成する
フロントフォーク20のジャッキ部25は、内筒22の上端に
固着されたフォークボルト22aに取りつけられたプラン
ジャケース26と、このプランジャケース内を摺動可能に
嵌合していてかつ貫通孔27を有するプランジャ28と、こ
のプランジャから外方へ突出するロッド29とからなる。
これによって、プランジャケース26とプランジャ28の間
に前輪側油圧ジャッキ室Cが形成される。ロット29の先
端に前記のばね受け23が取りつけられている。
リヤークッション1のシリンダ内油室Aをリヤークッ
ション1のジャッキ部10の後輪側油圧ジャッキ室Bおよ
びフロントフォークのジャッキ部25の前輪側油圧ジャッ
キ室Cに接続する第一の油路31が設けられ、この第一の
油路31にセルフポンプ式車高調整切換え装置30が設けら
れ、実際にはこれは自動二輪車の座席の後方下部に配設
されて、乗車姿勢のまま操作可能である。
第3図に示すように、車高調整切換え装置の本体32に
はフリーピストン33が装入されたオイルタンク34が螺着
され、本体32はオイルタンクの蓋部材を兼ねている。フ
リーピストン33により仕切られる一方の室Eにはガスが
充満され、他方の室Dは油溜室を形成する。
第一の油路31は、後述のように第一の油路31a、31b、
31c、31d、31e、(31h、31i、31j)31k、31g(31l、31
m)31nから構成される。
第1図において、リヤークッション1のシリンダ内油
室Aに第一の油路31aを介して接続された本体32の管継
手35の第一の油路31bは、第一の油路31c(第1図)に接
続され、この油路には、圧縮側減衰力を発生するバルブ
機構40が設けられている。一方、シリンダ内油室Aを第
一の油路31b、31cと直角に交差して下方の油溜室に連通
する第二の油路36(第2図、第3図)には、ばね38によ
りシート37に着座して常時油溜室Dへの開口を閉鎖する
ように付勢された第二のチェックバルブ39が設けられて
いる。この例では、前記第二の油路が第一の油路31から
分岐しているが、シリンダ内油室と他の流路を介して連
通していてもよい。第4図に示す前述したバルブ機構40
において、スペーサー41とボトムピース42の間にリング
状のチェックバルブ43が配設され、ボトムピース42の中
心孔44には、本体32にねじこまれたホルダ45に外部から
調整可能に螺着されたニードル弁46の先端部が近接して
絞られた流路を形成している。ボトムピース42には、さ
らに中心孔44の周囲に複数の通孔47が配設され、チェッ
クバルブ43が伸長時に複数の通孔47を開放するように配
設されている。
さらに、バルブ機構40から下流へ向かう第一の油路31
dは、リヤークッション1の後輪側油圧ジャッキ室Bに
到る第一の油路31e(第1図)を経て切換弁機構50に導
かれる。この切換弁機構50は第1図から明らかなように
車高調整切換装置の本体32の円筒孔に嵌合する回転可能
な切換弁51として形成された円柱状のロータリー弁51a
を有し、ロータリー弁51a内には、二つの直交する第一
の油路31h、31i(第2図または第3図参照)が設けられ
ている。第1図と第2図の切換弁51の位置は、車高アッ
プ位置であり、第3図は車高ダウン位置である。切換弁
51は、90゜回動し、また90゜戻すという回動操作で、車
高アップ位置と車高ダウン位置の二つの位置を取ること
ができるように本体32内の孔に装入されている。車高ア
ップ状態(第1、2図)のときには、切換弁51内に穿孔
された直交する第一の油路31hの両端のポートのうち、
一方のポートが、第一の油路31の上流側油路31eに向
き、かつ他方のポートが第一の油路31の下流側油路31k
に向くようにセットされる。ポートの開口する面は、第
2図から分かるように切換弁51の外周面より内方に引っ
込んだ周溝の底面に位置する。この周溝は180゜以上の
角度にわたって設けられている。車高ダウン位置(第3
図)のときには、第一の油路31hの一方のポートが、油
溜室Dに連通する第三の油路54に向き、かつ他方のポー
トがリリーフ油路66に向くようにセットされる。切換弁
51内のもう一方の直交する第一の油路31iでは、一方の
ポートにオリフィス31jが形成され、このオリフィス
は、第一の油路31iの他方のポート開口面に外周を加締
め固定された菊座金52aと第三のチェックバルブ53との
間に付勢されたばね52により常時閉じている。第一の油
路31iは、車高アップ位置(第1、2図)にセットした
とき、オリフィス31jが油溜室Dに連通する第三の油路5
4に対向し、かつオリフィスと反対側のポートがリリー
フ油路66に対向する。車高ダウン位置(第3図)にセッ
トしたときには、オリフィス31jが第一の油路31の下流
側の第一の油路31kに対向し、かつオリフィスと反対側
のポートが第一の油路31の上流側の油路31eに向く。第
一の油路31の下流側油路31k内の小径の円筒孔75(第2a
図)の下流側段部に弁座59が形成され、この弁座に第一
のチェックバルブ56がばね57により押圧されている。小
径の円筒孔75内には、一端で切換弁51の外周に180゜に
わたって形成された周溝51aに摺接しかつ他端で前記第
一のチェックバルブ56を開閉する円筒状のタペット55が
摺動可能に装入されている。前記周溝51aを設けた理由
は、切換弁の外周面に互いに90゜に交差したポートを設
けると、切換弁を90゜右へ回動して、また90゜戻すとい
う回転操作を誤って途中の45゜で止めてしまったような
場合に(もちろんこれを防止するための90゜回動ストッ
パーおよびクリック機構を付けてあるが)、第一の油路
31eが、切換弁の第一の油路31hまたは31iのポートと合
致しない状態になり、第一の油路31eの上流の作動油は
オイルロック状態となり、緩衝器は緩衝運動をすること
ができなくなり、大きな衝撃荷重が加わった場合には、
緩衝器の破壊につながる。これを防止するために、90゜
内のいずれの位置でも第一の油路31eと第一の油路31kと
が連通するように形成したものである。タペット55は、
第5図から明らかなように、タペットの中心を通る第一
の油路31lと、この第一の油路31lと直交してタペット55
の切り欠き面55aに開口する分岐路31mとを有する。さら
に第1図に示すように、第一の油路31kは、横に分岐し
た油路31nに設けられた管継手58から第一の油路31gを介
して後輪側油圧ジャッキ室Bに接続される。また、後輪
側油圧ジャッキ室Bに接続された第一の油路31gと連通
する第一の油路31nから管継手58′を介して油路80によ
り前輪側油圧ジャッキ室Cに接続される。
また、車高アップが完了して油圧ジャッキ室内のプラ
ンジャがストローク端に当接し、ジャッキ部10と25の後
輪側油圧ジャッキ室Bと前輪側油圧ジャッキ室Cの内圧
が所定値以上になったときにリヤークッション1のシリ
ンダ油室A内の油をオイルタンク34の油溜室Dに連通す
るために、リリーフ弁60(第2図または第3図)が、リ
ヤークッション1のシリンダ内油室Aを後輪側と前輪側
油圧ジャッキ室B、Cに連通する第一の油路の第一のチ
ェックバルブの上流側(シリンダ内油室側)から分岐す
るリリーフ油路66、65に設けられている。すなわち、こ
のリリーフ弁60は、本体32に設けた孔61に摺動可能に挿
入された弁体62と、この弁体をオイルタンク34の油溜室
D側に付勢するばね63とからなり、孔61は基端側が大径
d1に形成され、かつ本体32に形成されたリリーフ油路65
に面する先端側が小径d2に形成され、リリーフ油路65の
開口面に段部が形成され、この段部に弁体62の先端が当
接することにより弁座62′が形成される。弁体62は、本
体31に形成されたリリーフ油路66と65(油路66、65でリ
リーフ油路を構成する)との連通をばね63の付勢力によ
り通常遮断している。さらに、弁体62は、前記孔61に嵌
合するように先端側が小径に形成されかつ基端側が大径
に形成され、ばね63により孔61内の弁座62′に付勢され
ているが、孔61の大径部と弁体62の小径部との間には、
前輪側と後輪側油圧ジャッキ室に連通する本体32のパイ
ロット油路64に開口する油室Fが形成されている。な
お、69′は圧力導通孔である。
また、第一の油路31kは、第2、3図に示すように、
本発明により、第一のチェックバルブ56の下流で横の第
四の油路68を経てブローバルブ70に接続され、このブロ
ーバルブは第四の油路69、第三の油路54を介して油溜室
Dに接続されている(第四の油路68、69および第三の油
路54でブローオフ油路を構成している)。ブローバルブ
70は、ばね71によりガイドホルダ72に保持されたボール
73が弁座を常時閉じているが、車高アップ中(第2図)
は、リリーフ弁60のパイロット油室Fが所定の圧力に達
していないのでリリーフ弁60が閉じているこのときに、
油圧緩衝器が激しくボトミングしてシリンダ内油室とジ
ャッキ室を連通する流路の作動油が異常に昇圧した場
合、ブローバルブ70がばね71に抗して開いてこの異常に
昇圧した作動油を油溜室Dに戻す安全回路として設けら
れている。ブローバルブ70の開弁圧は、リリーフ弁60の
開弁圧より高く設定して、リリーフ弁60のパイロット圧
を確保し、車高アップ完了後は、リリーフ弁60が開弁し
ているので、異常圧が生じた場合は、リリーフ油路から
油溜室Dに戻る。なお、本実施例では、第一のチェック
バルブの下流にブローオフ油路を形成したが、上流に設
けることもできる。ただし、上流に設けた場合には、第
一のチェックバルブの下流の油の油温膨張を逃がすこと
はできない。
〔作用〕
以上のように構成された油圧緩衝器のためのセルフポ
ンプ式車高調整装置の作用を説明する。市街地を走行す
るときに、切換弁51を第3図の車高ダウン位置に切り換
える。走行中、リヤークッション1の圧縮行程でピスト
ン4がシリンダ3に侵入すると、油がピストン側油室か
らピストン4の孔を通り、バルブ4aを押し上げてピスト
ンロッド側の油室に流れ、このときの抵抗により圧縮側
減衰力を発生する。同時にピストンロッドの侵入体積分
のシリンダ内油室Aの油は、第一の油路31aから31bに入
る。この第一の油路31bから分岐して油溜室Dに連通す
る第二の油路68の第二のチェックバルブ39(第2図)が
閉じられているので、さらに第一の油路31c(第1図)
を経て圧縮側減衰力を発生するバルブ機構40に油路44
(第4図)より流入し、ニードル弁46との絞られた流路
により圧縮側減衰力を発生する。さらに、バルブ機構40
を出た油は、第一の油路31dより31eを経て切換弁機構50
の切換弁51の第一の油路31i(第3図)に流れるが、第
三のチェックバルブ53によりジャッキ部への油路が閉じ
られているので、第三の油路54を経てオイルタンク34の
油溜室Dに流入する。ガス室Eは、ピストンロッドの浸
出入に伴う体積補償を行う。伸長行程では、ピストンロ
ッド側油室内の油がピストン4の斜めの孔を通り、バル
ブ4bを押し上げてピストン側油室に流れ、このとき伸び
側減衰力を発生する。このシリンダ内油室Aからピスト
ンロッドが抜かれた体積分だけの油が、オイルタンク34
の油溜室Dから、シリンダ内油室A内の減圧により開か
れた第二のチェックバルブ39(第3図)を通り、第二の
油路36、第一の油路31b、管継手35、第一の油路31aを経
てリヤークッション1のシリンダ内油室Aに流れ、直接
かつ迅速に補充される。また、圧縮側減衰弁機構40(第
4図)のボトムピース42の複数の通孔47を閉塞している
チェックバルブ43を開いてこちらからもシリンダ内油室
Aに還流する。
荒れ地走行に入る際に、切換弁51を第1図または第2
図に示した車高アップ位置に切り換えると、リヤークッ
ション1の圧縮行程時にピストンロッドの侵入体積分の
油がシリンダ内油室Aより第一の油路31a、31b、31c
(第1図)を経てバルブ機構40に入り、ニードル弁46に
より絞られて圧縮側減衰力を発生し、さらに油は、第一
の油路31dより第一の油路31eを経て切換弁51の第一の油
路31hを通り、タペット55の中心の第一の油路31lを通っ
て、さらに第一のチェックバルブ56をばね57に抗して押
圧して第一の油路31kを流れ、リリーフバルブ62の開弁
圧に達するまでは、シリンダ内油室Aの油は第一の油路
31nにより互いに連通している第一の油路31gと油路80を
経てそれぞれリヤークッション1の後輪側油圧ジャッキ
室Bとフロントフォーク20の前輪側0圧ジャッキ室Cに
流入する。車高上昇中、リリーフ弁60が閉じているとき
に、車両のボトミングなどによりリヤークッション1の
シリンダ内油室A内より流入する作動油の圧力が異常に
上昇してブローバルブ70の開弁圧に達すると、圧力油が
ブローバルブ70のボールを押し下げ、油溜室Dに流入す
る。また、車高アップ中に、リリーフ弁60が開弁するま
でに、作動油が温度上昇して膨張したような場合にもブ
ローバルブ70が開弁する。
リヤークッション1の伸長行程時には、ピストンロッ
ドのシリンダ外への退出によりシリンダ内油室A内が減
圧されるので、第一のチェックバルブ56が吸引されて、
弁座59を閉じ、リヤークッション1とフロントフォーク
20のジャッキ部の油が逆流できないが、このときシリン
ダ内油室A内の減圧により第二のチェックバルブ39が開
くので、オイルタンク34の油溜室D内の油が直接第二の
油路36、第一の油路31b、31aを経てリヤークッション1
のシリンダ内油室A内に流れてピストンロッドの抜けた
体積分の油を迅速に補償する。このようなリヤークッシ
ョン1の圧縮と伸長行程の繰り返しにより、第一のチェ
ックバルブ56の作用を介してセルフポンピング作用が行
われ、リヤークッションの圧縮行程ごとに油がリヤーク
ッション1とフロントフォーク20の後輪側と前輪側の油
圧ジャッキ室BとCに導かれ、それぞれの懸架ばね9と
24を徐々に圧縮してゆく。車高アップ作業が完了してジ
ャッキピストンがストローク端に当接して、後輪側と前
輪側の油圧ジャッキ室BとCの内圧が所定値以上になる
と、その高圧油がパイロット油路64(第2図)を通して
油室Fに作用し、リリーフ弁60の弁体62を第2図で上側
へばね63に抗して押し、これによって弁体62の先端が弁
座62bから離れるので、リヤークッション1のシリンダ
内油室A内の油がリリーフ油路66、65を通ってオイルタ
ンク34の油溜室Dに戻される。
このようにして、リヤークッション1の懸架ばね9と
フロントフォーク20の懸架ばね24が徐々に圧縮される
が、車体は懸架ばね9と24によりバランスされているの
で、それぞれのプランジャ13と28が懸架ばね9と24を圧
縮することにより懸架ばね荷重が増加し、車体を押し上
げて車高が増加することになる。車高アップ完了時に
は、リリーフ弁60が開弁しているので、ブローバルブ70
は必要でなく、異常圧はリリーフ油路66、65より油溜室
Dへ戻る。
荒れ地走行から市街地走行に入ったときに、切換弁51
を回動させて第3図の車高ダウン位置に切り換えると、
タペット55が切換弁51の外側の円周部で押し上げられ、
第一のチェックバルブ56を弁座59から離脱させる。する
と、リヤークッション1とフロントフォーク20の後輪側
油圧ジャッキ室Bと前輪側油圧ジャッキ室C内の高圧油
が開いている第一のチェックバルブ56の外周を通り、タ
ペット55のそれぞれの軸方向外周の切り欠き面55aよ
り、小径の円筒孔内周に区画された通路からタペット
(第5図)に穿孔された径方向の第一の油路31m、さら
に第一の油路31lを経て、切換弁51のオリフィス31jを通
り、切換弁内に介装された第三のチェックバルブ53をば
ね52に抗して押圧して開き、切換弁の第一の油路31hか
ら第三の油路54を通って油溜室Dに流入する。これによ
り、リヤークッション1とフロントフォーク20のそれぞ
れの後輪側油圧ジャッキ室Bと前輪側油圧ジャッキ室C
の油が抜かれるので、それぞれプランジャ13と28が後退
し、従って車高が減少することになる。なお、車高ダウ
ン時には、油溜室Dへの第三の油路54が切換弁51により
開位置にあるので、油圧回路系に異常圧が生じても第三
の油路54より油溜室Dへ戻ることができる。
〔発明の効果〕 本発明では、油圧緩衝器に形成されたシリンダ内油室
と油溜室を連通する油路にリリーフ弁を設けると共に、
シリンダ内油室と油圧ジャッキ室を連通する油路に、油
溜室と連通するブローバルブを設けたので、車高上昇中
リリーフ弁のパイロット圧が所定の圧力に達しないでリ
リーフ弁が閉じているときに、車両が激しくボトミング
して異常な圧力上昇を生じた場合に、この異常な圧力上
昇した作動油をブローバルブにより油溜室に逃がすこと
ができ、従って油圧回路系の破壊が避けられる。また、
車高上昇中に、リリーフ弁が開弁するまでに作動油が温
度上昇して膨張した場合でも、ブローバルブにより開弁
して作動油を油溜室に逃がすことができる。また、車両
が空中より落下して車両の前輪側油圧緩衝器であるフロ
ントフォークに過大な圧力が加わり、フロントフォーク
内の前輪側油圧ジャッキ室のプランジャが変位したよう
な場合にも、ブローバルブが開弁し、異常昇圧を油溜室
に逃がすことができる。
また、ブローバルブの開弁圧をリリーフ弁の開弁圧よ
り高く設定しておけば、リリーフ弁のパイロット圧を確
保することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるセルフポンプ式車高調整装置を備
えた自動二輪車のリヤークッションとフロントフォーク
の全体図で、セルフポンプ式車高調整装置の切換弁が車
高アップ位置に切り換えられている状態を示す縦断面
図、第2図は第1図の線II−IIに沿って切断したセルフ
ポンプ式車高調整装置の部分断面図、第2a図は第2図の
切換弁、タペット、第三チェックバルブの付近の拡大
図、第3図は第2図と同様な部分断面図であるが、切換
弁が車高ダウン位置に切り換えられた状態を示す図、第
4図は第1図のセルフポンプ式車高調整装置のバルブ機
構を示す部分断面図、第5図はセルフポンプ式車高調整
装置の切換弁に隣接するタペットの斜視図、第6図は従
来型のセルフポンプ式車高調整装置を備えた油圧緩衝器
のための油圧回路図で、車高アップ位置に切り換えられ
た状態を示す図、第7図は第6図の位置から第車高ダウ
ン位置に切り換えられた状態にある従来型の同様な油圧
回路図である。 A……シリンダ内油室 B……後輪側油圧ジャッキ室 C……前輪側油圧ジャッキ室 D……油溜室 31……第一の油路 36……第二の油路 39……第二のチェックバルブ 51……切換弁 53……第三のチェックバルブ 54……第三の油路 56……第一のチェックバルブ 60……リリーフ弁 66,65……リリーフ油路 68,69……第四の油路 70……ブローバルブ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体側と車軸側の間に配設される油圧緩衝
    器のシリンダ内を、ロッドの先端に取り付けたピストン
    が摺動するシリンダ内油室と、 車体側と車軸側の間に配設される油圧ジャッキ室と、 油溜室と、 前記シリンダ内油室と前記油溜室を連通する第二の油路
    (36)と、 前記第二の油路に前記シリンダ内油室から前記油溜室へ
    の流れを阻止する方向に設けられた第二のチェックバル
    ブと、 前記シリンダ内油室と前記油圧ジャッキ室を連通する第
    一の油路と、 前記第一の油路に直交するように形成されかつそれぞれ
    前記油溜室に連通するリリーフ油路と第三の油路と、 前記第一の油路のシリンダ内油室側である上流側、前記
    第一の油路の油圧ジャッキ室側である下流側、前記リリ
    ーフ油路および前記第三の油路を接続する車高調整切換
    装置と、 車高調整切換装置の本体に内装されたロータリー弁と、 前記ロータリー弁内に交差して形成された一方の油路
    (31i)と他方の油路と、 前記ロータリー弁を車高アップ位置に回転させたときに
    前記第三の油路に対向しかつ車高ダウン位置に回転させ
    たときに前記第一の油路の下流側に対向するように配置
    された前記一方の油路(31i)の一方のポートと、 前記一方の油路の前記他方の油路との交差点と前記一方
    の油路の一方のポートとの間に、車高アップ位置設定時
    に前記ポンプ室から前記第三の油路への作動油の流れを
    阻止しかつ車高ダウン位置設定時に前記シリンダ内油室
    から前記第一の油路の下流側への作動油の流れを阻止す
    る方向に設けられた第三のチェックバルブと、 前記ロータリー弁下流側の第一の油路に車高アップ時に
    前記油圧ジャッキ室から前記シリンダ内油室への作動油
    の流れを阻止する方向に設けられかつ車高ダウン位置設
    定時に開弁する第一のチェックバルブと、 前記リリーフ油路に設けられかつ前記第一のチェックバ
    ルブ下流側の油圧をパイロット圧として開弁するリリー
    フ弁とを備え、 前記ロータリー弁下流側の第一の油路から分岐して前記
    油溜室に連通する第四の油路を設け、 この第四の油路に前記リリーフ弁より開弁圧の高いブロ
    ーバルブを設けたことを特徴とする油圧緩衝器の車高調
    整装置。
  2. 【請求項2】前記第四の油路が前記第一のチェックバル
    ブの下流の第一の油路から分岐することを特徴とする請
    求項1に記載の油圧緩衝器の車高調整装置。
  3. 【請求項3】前記シリンダ内油室と前記油溜室を連通す
    る油路が前記ロータリー弁上流側の第一の油路から分岐
    することを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器の車
    高調整装置。
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