JP3045606B2 - 皮膚化粧料組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、レブリン酸又はその塩
と、グリチルリチン酸又はその塩と、レゾルシン又はイ
ソプロピルメチルフェノールとを有効成分とし、皮脂分
泌量の亢進によって起こる皮膚炎等の脂漏性疾患に優れ
た効果を有する、皮膚化粧料組成物に関し、更に詳しく
は、皮脂の分泌を抑制し、殺菌効果に優れ、抗炎症作用
を有する、皮膚化粧料組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ニキビ
はアクネ（ざ瘡）の中で最も一般的にみられる尋常性ざ
瘡（ＡｃｎｅＶｕｌｇａｒｉｓ）で、毛包脂腺系を中心
に起こる皮膚疾患である。一般的に言われているニキビ
発症の原因としては、思春期の性ホルモンの分泌によ
り、特に男性ホルモンは毛包脂腺系に影響を与え、皮脂
腺を大きくし、皮脂分泌亢進が生じる。その為、毛包脂
腺系の毛孔の部分に常在菌が増殖し、その中のＰ，ａｃ
ｎｅｓが放出するリパーゼにより、皮脂中のトリグリセ
ライドが分解され遊離脂肪酸を生じる。生じた遊離脂肪
酸が毛包開口部を刺激して角層が厚くなり、閉塞面皰が
起こる。毛孔部分が面皰によって塞がれ皮脂がたまる
と、その刺激で周囲に炎症を起こす。また皮脂には細菌
が増殖し易いので、細菌の為に炎症は強くなり、赤味の
強い小さなボツボツになる。これがニキビの丘疹で、更
に炎症が強くなると細胞浸潤と多数の白血球が集まって
黄色の膿がたまり膿疱となる。

【０００３】従来より、面皰頭部を開口し、面皰内容物
を排出させる為に、イオウ、サリチル酸、レゾルシン等
の角質剥離剤あるいは角質軟化剤が用いられているが、
効果としては、不満足なものである。

【０００４】一方、皮膚常在細菌の殺菌として従来よ
り、イルガサンＤＰ−３００等の殺菌剤が用いられてい
るが、充分な効果が得られていない。また、ニキビの場
合は皮脂分泌量が男性ホルモンの影響で亢進する為、皮
膚表面の皮脂を除去するばかりでなく、皮膚の内部にお
ける皮脂分泌をコントロールする事は重要である。

【０００５】本発明は、このような従来品の欠点に鑑み
なされたものであり、皮脂の分泌を抑制し、殺菌効果に
優れ、抗炎症作用を有する、皮膚化粧料組成物を提供す
ることを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、レブリン酸又
はその塩と、グリチルリチン酸又はその塩と、レゾルシ
ン又はイソプロピルメチルフェノールとを含有すること
を特徴とする、皮膚化粧料組成物である。

【０００７】本発明におけるレブリン酸は公知の物質で
ある。またその塩としては、例えば、アンモニウム塩、
トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、ナト
リウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム
塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げら
れる。

【０００８】本発明で使用するレブリン酸又その塩は、
各々単独で、又は両者の混合物で使用してもよい。いず
れの場合であってもその配合量は、０．０００１〜０．
０４重量％が好ましく、更に好ましくは０．００１〜
０．０１重量％である。配合量が０．０００１重量％未
満では、皮脂分泌抑制効果が不充分であり、０．０４重
量％を超えると、目に入った場合、眼粘膜刺激を生じせ
しめる可能性があるので好ましくない。

【０００９】本発明におけるグリチルリチン酸又はその
塩としては例えば、グリチルリチン酸モノアンモニウ
ム、グリチルリチン酸ナトリウム、グリチルリチン酸モ
ノカリウム、グリチルリチン酸ジカリウム等が挙げられ
る。

【００１０】本発明で使用する、グリチルリチン酸又は
その塩は、各々単独で、又は両者の混合物で使用しても
よい。いずれの場合であってもその配合量は、０．００
１〜２．０重量％が好ましく、更に好ましくは０．０１
〜１．０重量％である。配合量が０．００１重量％未満
では、抗炎症作用が不充分であり、２．０重量％を超え
ると均一で安定な皮膚化粧料組成物を得るのが困難とな
る。

【００１１】本発明で使用するレゾルシンの配合量は、
０．００１〜１．０重量％が好ましく、更に好ましくは
０．０１〜０．５重量％である。配合量が０．００１重
量％未満では抗菌性が劣り、１．０重量％を超えると、
日光の曝露により変色し好ましくない。

【００１２】本発明で使用するイソプロピルメチルフェ
ノールの配合量は、０．００１〜１．０重量％が好まし
く、更に好ましくは０．０１〜０．５重量％である。配
合量が０．００１重量％未満では抗菌性が劣り、１．０
重量％を超えると均一で安定な皮膚化粧料組成物を得る
のが困難となる。

【００１３】本発明の皮膚化粧料組成物とは、例えばス
キンローション、アストリンゼントローション、ボディ
ローション、アフターシェービングローション、カラミ
ンローション、メイクアップローション、栄養エッセン
ス、ジェル状ローション等の水性化粧料として用いられ
るものである。

【００１４】本発明の皮膚化粧料組成物は、上述した成
分を必須の成分とするが、当該組成物には、本発明の目
的を達成する範囲で他の成分を適宜配合することができ
る。

【００１５】即ち、アルキル硫酸エステル塩等のアニオ
ン界面活性剤、脂肪酸アルカノールアマイド、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル及びアルキルアミンオキシ
ド等の非イオン界面活性剤、アルキルアミドプロピルベ
タイン等の両性活性剤、高級アルコール、シリコン油、
ラノリン誘導体、蛋白誘導体、ポリエチレングリコール
の脂肪酸エステル類等の油性成分、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、ヒドロキシセルロース等の水溶性高
分子、ポリマーＪＲ（ユニオンカーバイドコーポレーシ
ョン社製）、ポリコートＮＨ（ヘンケル社製）、マーコ
ート５５０（メルク社製）、ガフカット７５５Ｎ（ＧＡ
Ｆ社製）等のカチオン性高分子、グリセリン、ソルビト
ール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ビタ
ミン等の薬剤、防腐剤、その他の殺菌剤、ＰＨ調整剤、
紫外線吸収剤、レシチン、ゼラチン等のポリマー微粉末
等が挙げられこれらの一種又は二種以上を配合すること
ができる。

【００１６】

【実施例】次に実施例を挙げ本発明を説明するが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本
実施例中で用いた試験方法は下記のとおりである。

【００１７】（皮脂分泌抑制率の測定法）パネラー２０
人の前額部の皮脂を７５％エタノールを含浸した脱脂綿
で充分に拭き取る。次に皮膚化粧料組成物を塗布し、塗
布後、１時間、２時間および３時間後に、１ｃｍ×１ｃ
ｍの大きさの濾紙（東洋濾紙Ｎｏ．６）を３０秒間近く
圧着することによって、この時間内に皮表に分泌された
皮脂（回復皮脂）を濾紙に吸着させ、オスミウム酸の蒸
気中に２分間曝して黒化した濾紙を更に２４時間空気中
に曝した後、分光反射率計を用いて黒化した濾紙の吸光
度を測定し、皮脂を吸着させない濾紙の吸光度を測定し
差し引く。ブランクの４時間後の回復皮脂量を飽和皮脂
量として、飽和皮脂量に対する試料の回復皮脂量の比率
を吸光度から求め、皮脂分泌抑制率を以下の式によって
算出する。 皮脂分泌抑制率（％）＝１００−Ａ／Ｂ×１００ Ａ＝回復皮脂を吸着させた濾紙より算出した吸光度 Ｂ＝飽和皮脂を吸着させた濾紙より算出した吸光度

【００１８】（実用試験：症状の改善度）脂漏性皮膚炎
のパネラー２０人が、皮膚化粧料組成物を２週間連続使
用後、下記基準で評価を行った。 評価記号 評価基準 ◎ …… 症状の改善度が「軽快」と答えた人が１８人以上の場合 ○ …… 症状の改善度が「軽快」と答えた人が１４〜１７人の場合 △ …… 症状の改善度が「軽快」と答えた人が８〜１３人の場合 × …… 症状の改善度が「軽快」と答えた人が７人以下の場合

【００１９】（実用試験：眼粘膜刺激）女子２０人（専
門パネラー）が、皮膚化粧料組成物を１週間連続使用
後、下記評価基準で評価を行った。 評価記号 評価基準 ◎ …… 「眼粘膜刺激」が無いと答えた人が１８人以上の場合 ○ …… 「眼粘膜刺激」が無いと答えた人が１４〜１７人の場合 △ …… 「眼粘膜刺激」が無いと答えた人が８〜１３人の場合 × …… 「眼粘膜刺激」が無いと答えた人が７人以下の場合

【００２０】（耐光性試験）春季晴天時の直射日光に２
日間照射し、褐変の程度を肉眼にて観察した。評価点は
下記の通りであるが、標準としては、試料と同時に試作
し、かつ冷暗所に保管しておいた皮膚化粧料組成物（未
変色品）を使用した。

【００２１】実施例１〜９、比較例１〜３ 表１に示す配合組成の皮膚化粧料組成物を通常の方法で
調整し、上記試験を行い、表２にその結果を示した。

【００２２】

【表１】

【００２３】

【表２】

【００２４】実施例１〜９より明らかなように、本発明
の皮膚化粧料組成物は、いずれも優れた性能を示した。
一方、必須成分であるレブリン酸又はその塩を欠いた場
合、グリチルリチン酸又はその塩を欠いた場合、レゾル
シンもしくはイソプロピルメチルフェノールのいずれか
を欠いた比較例は、いずれも劣った性能を示し、本発明
の目的を達成出来なかった。

【００２５】

【発明の効果】以上記載のごとく、本発明が皮脂の分泌
を抑制し、殺菌効果に優れ、抗炎症作用を有し、皮膚炎
等の脂漏性疾患に優れた効果を示す、皮膚化粧料組成物
を提供することは明らかである。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−36215（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−1116（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−157311（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−207308（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−43102（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−164712（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−91908（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−125139（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61K 7/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レブリン酸又はその塩と、グリチルリチ
   ン酸またはその塩と、レゾルシン又はイソプロピルメチ
   ルフェノールとを、含有することを特徴とする皮膚化粧
   料組成物。