JP3045113B2 - ディジタル信号記録再生装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮したディジタ
ル信号をメタルテープを用いて標準モード（低圧縮モー
ド）時または長時間モード（高圧縮モード）時に良好に
記録再生できるディジタル信号記録再生装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】ヘリカルスキャン方式のディジタル・ビ
デオ・テープレコーダとか、ディジタル・オーディオ・
テープレコーダなどにより、標準モード（低圧縮モー
ド）または長時間モード（高圧縮モード）に対応して圧
縮したディジタル信号を磁気テープ上に記録し、これを
再生するディジタル信号記録再生装置が特開平６−３２
５３０５号公報に開示されている。

【０００３】この種のディジタル信号記録再生装置は、
現行のアナログ信号記録再生装置に比べて磁気テープ上
にディジタル信号を高密度で記録することができ、これ
を再生した時に高画質，高音質を得ることができるばか
りでなく、小型軽量化も図られている。

【０００４】図５は従来のディジタル信号記録再生装置
の構成を示した図、図６は従来のディジタル信号記録再
生装置において、ディジタル信号を記録する時のタイミ
ングを説明するための図であり、（Ａ）は標準モード
（低圧縮モード）時を、（Ｂ）は長時間モード（高圧縮
モード）時を示した図である。

【０００５】図５に示した従来のディジタル信号記録再
生装置１は上記特開平６−３２５３０５号公報に開示さ
れているものである。図５に示した如く、磁気テープＴ
は回転シリンダ２の外周面に沿って略１８０°の角度範
囲に亘って斜めに巻回されつつ、ピンチローラ４とキャ
プスタン５により一定方向に走行されている。また、回
転シリンダ２の外周面には、１８０゜対向させて複数の
磁気ヘッド３が搭載されており、ここでは異なるアジマ
ス角の磁気ヘッド対（Ｒ_１，Ｌ_１），（Ｒ_２，Ｌ_２）の
２組、合計４つの磁気ヘッド３が図示のように搭載され
ている。また、圧縮モード入力端子８には、標準モード
（低圧縮モード）または長時間モード（高圧縮モード）
かのいずれか一方のモードを選択した時の圧縮指令信号
が入力され、この圧縮指令信号によりテープ速度制御手
段７は磁気テープＴの走行速度が所定速度になるように
キャプスタンモータ６の回転を制御する。また、圧縮モ
ード入力端子８により入力された圧縮指令信号により、
圧縮符号化手段１０は入力端子から入力されたディジタ
ル情報を指令信号に従った圧縮率で圧縮する。ここで、
標準モード（低圧縮モード）を選択した時には、圧縮率
が低くなる一方、長時間モード（高圧縮モード）を選択
した時には、圧縮率が高くなる。また、磁気ヘッド選択
手段１１は、圧縮符号化手段１０により圧縮されたディ
ジタル信号を、隣接する記録トラックのアジマス角が異
なるように磁気ヘッド３のいずれかを用いて磁気テープ
Ｔに記録するかを判断し、標準モード（低圧縮モード）
または長時間モード（高圧縮モード）に応じて使用する
磁気ヘッド３の選択を行う。

【０００６】次に、上記構成による従来のディジタル信
号記録再生装置１における動作について説明する。

【０００７】図６（Ａ），（Ｂ）において、はヘッド
切り替え信号、は記録トラック、は使用する磁気ヘ
ッドおよび記録する区間を表わしている。

【０００８】まず、図６（Ａ）に示した如く、標準モー
ド（低圧縮モード）時には、磁気ヘッド選択手段１１に
よりヘッド切り替え信号が“Ｈｉ”の区間では磁気ヘッ
ド３のＲ_１，Ｌ_１を用いて記録し、ヘッド切り替え信号
が“Ｌｏ”の区間では磁気ヘッド３のＲ_２，Ｌ_２を用い
て記録する。したがって、ディジタル情報入力端子９か
ら入力されるディジタル情報を、磁気ヘッド３のすべて
の磁気ヘッドを用いて絶えず磁気テープＴに記録を行う
ので、回転シリンダ２が１回転する間に４トラック（Ｒ
_１，Ｌ_１，Ｒ_２，Ｌ_２）をトラック幅Ｔｐで連続して記
録することになる。磁気テープＴの走行速度はテープ速
度制御手段７により、回転シリンダ２が１回転する間に
４トラック走行する速度に設定されている。記録された
トラックのアジマス角は隣接トラックのアジマス角とは
異なっているため、トラック間にギャップを設けること
なく記録することができ、高密度記録が可能となる。

【０００９】次に、図６（Ｂ）に示した如く、長時間モ
ード（高圧縮モード）時には、ディジタル情報入力端子
９から入力される信号の情報量が１／２になっている
か、圧縮符号化手段１０によりディジタル情報入力端子
９から入力される信号のディジタル情報を１／２に圧縮
することにより、記録するディジタル情報量は１／２と
なる。ここで、回転シリンダ２の１回転あたりの記録ト
ラック数は、上記した標準モード時の１／２の２トラッ
クとなる。また、磁気テープＴの走行速度は記録する情
報量が１／２となるため標準モードの速度の１／２とな
る。この際、回転シリンダ２の回転速度は変わらないの
で、回転シリンダ２が１回転する間に、磁気テープＴに
２トラック記録すればよく、したがって、磁気ヘッド選
択手段１１により磁気ヘッド３の（Ｒ_１，Ｌ_１）を選択
して回転シリンダ２の回転ごとに記録を行ない、磁気ヘ
ッド３の（Ｒ_２，Ｌ_２）は記録を行なわないようにする
ことにより連続した記録トラックを構成することができ
る。なお、磁気ヘッド３のＲ_２，Ｌ_２を記録に用いて、
Ｒ１，Ｌ１で記録を行なわないようにしてもよい。記録
トラックのアジマス角は磁気ヘッド３の（Ｒ_１，Ｌ_１）
を用いて記録を行なうので、隣接トラックのアジマス角
は同一にはならない。記録トラックのトラック幅Ｔｐは
磁気テープの走行速度を１／２、回転シリンダ２の使用
記録ヘッド数を１／２にしているので、図６（Ａ）と同
じトラック幅Ｔｐになる。このように、回転シリンダ２
の１回転、すなわち磁気ヘッド３の（Ｒ_１，Ｌ_１），
（Ｒ_２，Ｌ_２）が１回づつ、すなわち計２回スキャンす
る間に１回の記録を行なうことになる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来のディジタル信号記録再生装置１では、標準モード
（低圧縮モード）または長時間モード（高圧縮モード）
に対応して低圧縮または高圧縮したディジタル信号を磁
気テープＴ上に記録し、これを再生することができるも
のの、ディジタル信号を高密度に記録するために磁気テ
ープＴはコバルト，ニッケルなどの磁性金属材料を蒸着
した薄手のメタルテープが用いられている。

【００１１】この際、コバルト，ニッケルなどの磁性金
属材料をベースフィルムに蒸着する時の蒸着条件で磁性
金属材料の磁気配向特性が決定され、この磁性金属材料
の磁気配向特性によりＬ_１，Ｌ_２の磁気ヘッド３と、Ｒ
_１，Ｒ_２の磁気ヘッド３とのチャンネル間で記録再生感
度に差がついてしまう。

【００１２】上記した感度差の理由を説明する前に、こ
の種のディジタル信号記録再生装置１では、磁気テープ
Ｔへの互換性を維持するために磁気テープＴに形成した
トラックパターンの規格化が図られており、トラックパ
ターンの規格上の条件として、磁気ヘッド３のアジマス
角（±２０°），磁気テープＴに形成したトラックの傾
斜角（９．１６６８°），磁気テープＴに形成したトラ
ックのトラック幅（Ｔｐ＝１０μｍ）などが設定されて
いるが、これらのうちでＬ_１，Ｌ_２の磁気ヘッド３によ
り形成したトラックのトラック幅ＴｐとＲ_１，Ｒ_２の磁
気ヘッド３により形成したトラックのトラック幅Ｔｐは
共に１０μｍである。

【００１３】一方、図７を用いて、従来のディジタル信
号記録再生装置１にメタルテープＭＴを適用した時に、
メタルテープＭＴに蒸着した磁性金属材料の磁気配向特
性を説明すると、上記磁性金属材料の磁気配向特性は、
一般的にテープ走行向と近似した方向のアジマス角を有
するＬ_１，Ｌ_２の磁気ヘッド３に対して記録再生感度が
悪く、言い換えると、Ｌ_１，Ｌ_２の磁気ヘッド３の方が
Ｒ_１，Ｒ_２の磁気ヘッド３よりも記録再生感度が悪いた
め、同一トラック幅ＴｐではＬ_１，Ｌ_２チャンネルとＲ
_１，Ｒ_２チャンネルとの間で感度差が生じてしまう。

【００１４】そこで、メタルテープＭＴに蒸着した磁性
金属材料の磁気配向特性を考慮した上で、Ｌ，Ｒのチャ
ンネル間に感度差が生じないように構成して、標準モー
ド（低圧縮モード）または長時間モード（高圧縮モー
ド）に対応できるディジタル信号記録再生装置が望まれ
ている。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題に鑑み
てなされたものであり、所定の方向に所定の回転数で回
転する回転シリンダの外周面に沿って複数の磁気ヘッド
を取り付けて、メタルテープを前記外周面に所定の角度
に亘って螺旋状に巻き付け、且つ、このメタルテープを
キャプスタンとピンチローラで標準モードの速度または
該標準モードの速度より遅い長時間モードの速度で走行
させると共に、標準モード時と対応する低圧縮したディ
ジタル信号または長時間モード時と対応する高圧縮した
ディジタル信号の記録再生を行なうディジタル信号記録
再生装置において、前記回転シリンダの外周面に沿って
取り付けた複数の磁気ヘッドは、標準モード時または長
時間モード時にＬチャンネル用となる第１の磁気ヘッド
と、標準モード時にＲチャンネル用となると共に、前記
第１の磁気ヘッドに対して前記外周面に沿って１８０゜
離れ且つ該第１の磁気ヘッドより所定の高さ高く取り付
けた第２の磁気ヘッドと、長時間モード時にＲチャンネ
ル用となると共に、前記第１の磁気ヘッドより回転方向
の後方で該第１の磁気ヘッドから僅かな角度離れ且つ該
第１の磁気ヘッドと同一高さに取り付けた第３の磁気ヘ
ッドとを備え、前記回転シリンダの１回転中に切り替え
た前記第１，第２の磁気ヘッドにより標準モード時に対
応したＬ，Ｒチャンネルのトラックを形成し、または、
前記回転シリンダの１回転ごとに切り替えた前記第１，
第３の磁気ヘッドにより長時間モード時に対応したＬ，
Ｒチャンネルのトラックを形成する際、各モード時にＬ
チャンネルのトラックのトラック幅をＲチャンネルのト
ラックのトラック幅より幅広く設定したことを特徴とす
るディジタル信号記録再生装置である。

【００１６】また、上記発明のディジタル信号記録再生
装置は、前記Ｌチャンネルのトラックのトラック幅と前
記Ｒチャンネルののトラックのトラック幅とを合計した
値を、規格上で決められたＬ，Ｒチャンネルのトラック
のトラック幅を夫々合計した値と一致させたことを特徴
とするものである。

【００１７】更に、上記発明のディジタル信号記録再生
装置は、前記第１の磁気ヘッドと前記第３の磁気ヘッド
とを一体化して前記回転シリンダの外周面に沿って取り
付けたことを特徴とするものである。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下に本発明に係るディジタル信
号記録再生装置の一実施例を図１乃至図４を参照して詳
細に説明する。

【００１９】図１は本発明に係るディジタル信号記録再
生装置の構成を示した図、図２は本発明に係るディジタ
ル信号記録再生装置に適用した回転ドラムを説明するた
めの図であり、（Ａ）は平面図，（Ｂ）正面図、図３は
図２に示した回転ドラムおいて、磁気ヘッドの取り付け
位置及び取り付け高さ説明するための図、図４は本発明
に係るディジタル信号記録再生装置において、ディジタ
ル信号を記録する時のタイミングを説明するための図で
あり、（Ａ）は標準モード（低圧縮モード）時を、
（Ｂ）は長時間モード（高圧縮モード）時を示した図で
ある。

【００２０】尚、説明の便宜上、先に従来例で示した構
成部材と同一構成部材に対しては同一の符号を付して適
宜説明し、且つ、従来例と異なる構成部材に新たな符号
を付す共に、この実施例では従来例と異なる点を中心に
説明する。

【００２１】図１において、本発明に係るディジタル信
号記録再生装置２０では、コバルト，ニッケルなどの磁
性金属材料を蒸着した薄手のメタルテープＭＴを、所定
の方向（矢印Ｋ方向）に所定の回転数（９０００ｒｐ
ｍ）で回転する回転シリンダ２１の外周面に沿って所定
の角度（略１８０°）に亘って斜めに巻回させて、且
つ、メタルテープＭＴを回転シリンダ２１の外周面に僅
かに突出させて取り付けた複数の磁気ヘッド２２に添接
させつつ、このメタルテープＭＴをピンチローラ４とキ
ャプスタン５により一定方向に走行させている。

【００２２】また、圧縮モード入力端子８には、標準モ
ード（低圧縮モード）または長時間モード（高圧縮モー
ド）かのいずれか一方のモードを選択した時の圧縮指令
信号が入力され、この圧縮指令信号によりテープ速度制
御手段７はメタルテープＭＴの走行速度が標準モード時
の速度または標準モードの速度より遅い長時間モードの
速度になるようにキャプスタンモータ６の回転を制御す
る。また、圧縮モード入力端子８により入力された圧縮
指令信号により、圧縮符号化手段１０は入力端子８から
入力されたディジタル情報を指令信号に従った圧縮率で
圧縮する。ここで、標準モード（低圧縮モード）を選択
した時には、圧縮率が低くなる一方、長時間モード（高
圧縮モード）を選択した時には、圧縮率が高くなる。更
に、圧縮符号化手段１０は時間軸変更メモリ１０ａを備
えており、これについては後述の長時間モード（高圧縮
モード）時の動作で説明する。

【００２３】また、磁気ヘッド選択手段１１は、圧縮符
号化手段１０により圧縮されたディジタル信号を、隣接
する記録トラックのアジマス角が異なるように複数の磁
気ヘッド２２のいずれかを用いてメタルテープＭＴに記
録するかを判断し、標準モード（低圧縮モード）または
長時間モード（高圧縮モード）に応じて使用する複数の
磁気ヘッド２２の選択を行う。

【００２４】次に、本発明の要部となる回転シリンダ２
１は、複数の磁気ヘッド２２（２２Ｌ，２２Ｒ_１，２２
Ｒ_２）を、メタルテープＭＴに蒸着した磁性金属材料の
磁気配向特性を考慮した上で、Ｌ，Ｒのチャンネル間に
感度差が生じないように取り付けて、標準モード（低圧
縮モード），（高圧縮モード）に対応したことを特徴と
するものである。

【００２５】即ち、図２（Ａ），（Ｂ）に拡大して示し
た如く、上記回転シリンダ２１は、図示しないシャーシ
に固定され、且つ、メタルテープＭＴを径（φ２１．７
ｍｍ）の外周面２１ａ_１に沿って所定の角度（略１８０
°）に亘って螺旋状に巻き付けるためのリード２１ａ_２
を形成した固定シリンダ部２１ａと、この固定シリンダ
部２１ａと対向する側で複数の磁気ヘッド２２を径（φ
２１．７ｍｍ）の外周面２１ｂ_１に僅かに突出させて一
体的に取り付け且つ固定シリンダ部２１ａに対して軸２
３を中心に同軸的に所定の回転数（９０００ｒｐｍ）で
矢印Ｋ方向に回転する回転シリンダ部２１ｂとで概略構
成されている。

【００２６】次に、回転シリンダ部２１ｂの底面側２１
ｂ_２には、複数の磁気ヘッド２２として、標準モード時
及び長時間モード時に使用され且つ−２０°のアジマス
角を有したＬチャンネル用の磁気ヘッド（第１の磁気ヘ
ッド）２２Ｌと、標準モード時に使用され且つ＋２０°
のアジマス角を有したＲチャンネル用の磁気ヘッド２２
（第２の磁気ヘッド）Ｒ_１と、長時間モード時に使用さ
れ且つ磁気ヘッド２２Ｒ_１と同一の＋２０°のアジマス
角を有したＲチャンネル用の磁気ヘッド（第３の磁気ヘ
ッド）２２Ｒ_２とが取り付けられている。

【００２７】また、標準モード（低圧縮モード）時に対
となるＬチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｌと、Ｒチャン
ネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_１とは、軸２３を介して一直
線になるように回転シリンダ部２１ｂの外周面２１ｂ_１
に沿って１８０°離れて取り付けられており、且つ、図
３に示したように、Ｒチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｒ
_１は回転シリンダ部２１ｂの底面２１ｂ_２を基準に取り
付けたＬチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｌより所定の高
さＨ＝０．５μｍだけ高く取り付けられている。

【００２８】一方、長時間モード（高圧縮モード）時に
対となるＬチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｌと、Ｒチャ
ンネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_２とは、互いに接近して一
体化されて図示しないヘッド支持台上に取り付けられて
おり、Ｒチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_２はＬチャン
ネル用の磁気ヘッド２２Ｌより回転方向の後方で磁気ヘ
ッド２２Ｌから僅かな角度θ°＝９°離れて取り付けら
れており、且つ、図３に示したように、Ｌ，Ｒチャンネ
ル用の磁気ヘッド２２Ｌ，Ｒ_２は共に同一高さに取り付
けられている。これにより、両磁気ヘッド２２Ｌ，２２
Ｒ_２を高さ調整することなく回転シリンダ部２１ｂに容
易に取り付けることができる。

【００２９】次に、先に従来例で説明したように、メタ
ルテープＭＴを適用した時、メタルテープＭＴに蒸着し
た磁性金属材料の磁気配向特性は、テープ走行向と近似
した方向のアジマス角を有するＬチャンネルの磁気ヘッ
ド２２Ｌに対して記録再生感度が悪いことから、この課
題を解決するために、Ｌチャンネル用の磁気ヘッド２２
Ｌ，Ｒチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_１，２２Ｒ_２に
対して上記した取り付け条件を満足させると、言い換え
ると、標準モード（低圧縮モード）時にはＲチャンネル
用の磁気ヘッド２２Ｒ_１をＬチャンネル用の磁気ヘッド
２２Ｌより所定の高さＨ＝０．５μｍだけ高く取り付
け、一方、長時間モード（高圧縮モード）時にはＲチャ
ンネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_２がＬチャンネル用の磁気
ヘッド２２Ｌより僅かな角度θ°＝９°後行するように
取り付けると、後述する図４（Ａ），（Ｂ）の，に
夫々示したように標準モード（低圧縮モード）または長
時間モード（高圧縮モード）にＬチャンネル用の磁気ヘ
ッド２２Ｌにより形成したトラックのトラック幅を１
０．５μｍに設定でき、一方、Ｒチャンネル用の磁気ヘ
ッド２２Ｒ_１，２２Ｒ_２により形成したトラックのトラ
ック幅を９．５μｍに設定できる。即ち、Ｌチャンネル
用の磁気ヘッド２２Ｌにより形成したトラックのトラッ
ク幅（１０．５μｍ）をＲチャンネル用の磁気ヘッド２
２Ｒ_１，２２Ｒ_２により形成したトラックのトラック幅
（９．５μｍ）により幅広く設定し、且つ、Ｌチャンネ
ルとＲチャンネルを対にした合計の幅が夫々の規格値の
トラック幅（Ｔｐ＝１０μｍ）を合計した値（２０μ
ｍ）となるように設定することにより、標準モード（低
圧縮モード）時又は長時間モード（高圧縮モード）時に
Ｌ，Ｒチャンネルの記録再生感度を略等しくできると共
に、規格値に対してメタルテープＭＴへの互換性を満足
できるようになっている。

【００３０】この際、上記Ｒチャンネル用の磁気ヘッド
２２Ｒ_１の取り付け高さと、Ｒチャンネル用の磁気ヘッ
ド２２Ｒ_２の取り付け位置を算出するには、先に説明し
た規格上でＬ，Ｒチャンネルのトラックのトラック幅を
１０μｍに設定した条件に対して、Ｌチャンネルのトラ
ックのトラック幅が１０．５μｍに、Ｒチャンネルのト
ラックのトラック幅が９．５μｍになるように算出すれ
ば良いものである。

【００３１】次に、上記構成による本発明に係るディジ
タル信号記録再生装置２０の動作について、図１及び図
４（Ａ），（Ｂ）を併用して説明する。

【００３２】図４（Ａ），（Ｂ）において、はヘッド
切り替え信号、は使用する磁気ヘッドおよび記録する
区間、は記録トラックを夫々表わしている。

【００３３】まず、図４（Ａ）に示した如く、標準モー
ド（低圧縮モード）時には、磁気ヘッド選択手段１１に
よりヘッド切り替え信号が“Ｈｉ”の区間ではＬチャン
ネル用の磁気ヘッド２２Ｌを用いて記録し、ヘッド切り
替え信号が“Ｌｏ”の区間ではＲチャンネル用の磁気ヘ
ッド２２Ｒ_１を用いて記録する。また、メタルテープＭ
Ｔの走行速度はテープ速度制御手段７により標準モード
の速度に設定されており、ディジタル情報入力端子９か
ら圧縮符号化手段１０で低圧縮されたディジタル信号
を、回転シリンダ２１が１回転する間にＬ，Ｒの磁気ヘ
ッド２２Ｌ，Ｒ_１を交互に切り替えてメタルテープＭＴ
に記録を行う。

【００３４】この際、記録されたトラックのアジマス角
は隣接トラックのアジマス角とは異なっているため、ト
ラック間にギャップを設けることなく重ね書きして記録
することができ、しかも、先に説明したようにＲチャン
ネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_１はＬチャンネル用の磁気ヘ
ッド２２Ｌより所定の高さＨ＝０．５μｍだけ高く取り
付けられているため、Ｌチャンネル用の磁気ヘッド２２
Ｌにより形成したトラックのトラック幅が１０．５μｍ
になり、一方、Ｒチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_１に
より形成したトラックのトラック幅が９．５μｍにな
り、両トラック幅を合計した値が２０μｍとなり規格を
満足している。このように、回転シリンダ２１の１回転
中に、Ｌチャンネル用の磁気ヘッド２２ＬとＲチャンネ
ル用の磁気ヘッド２２Ｒ_１とを交互に切り替えて、低圧
縮したディジタル信号をメタルテープＭＴ上にＬ，Ｒチ
ャンネルの記録感度を略等しくして高密度に記録してい
る。勿論、再生時もＬ，Ｒチャンネルの再生感度を略等
しくして再生できる。

【００３５】次に、図４（Ｂ）に示した如く、長時間モ
ード（高圧縮モード）時には、ディジタル情報入力端子
９から入力される信号の情報量が１／２になっている
か、圧縮符号化手段１０によりディジタル情報入力端子
９から入力される信号のディジタル情報を１／２に高圧
縮することにより、記録するディジタル信号は情報量が
１／２となる。ここで、回転シリンダ２１の１回転あた
りの記録トラック数は、上記した標準モード時の１／２
の１トラックとなる。また、メタルテープＭＴの走行速
度は記録する情報量が１／２となるため標準モードの速
度の１／２となる。この際、回転シリンダ２１の回転速
度は変わらないので、回転シリンダ２１が１回転する間
に、メタルテープＭＴに１トラック記録すればよく、し
たがって、回転シリンダ２１の１回転目の前半で磁気ヘ
ッド選択手段１１によりヘッド切り替え信号が“Ｈｉ”
の区間にＬチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｌを用いて記
録し、１回転目の後半でヘッド切り替え信号が“Ｌｏ”
の区間ではＲチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_１で記録
を行わず、次の２回転目の前半でヘッド切り替え信号が
“Ｈｉ”の区間にＲチャンネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_２
を用いて記録することにより、長時間モードの速度で走
行するメタルテープＭＴ上にＬ，Ｒチャンネルの記録ト
ラックが交互に連続して形成される。

【００３６】ここでも、記録されたトラックのアジマス
角は隣接トラックのアジマス角とは異なっているため、
トラック間にギャップを設けることなく重ね書きして記
録することができ、しかも、先に説明したようにＲチャ
ンネル用の磁気ヘッド２２Ｒ_２がＬチャンネル用の磁気
ヘッド２２Ｌよりも僅かな角度θ°＝９°後行するよう
に取り付けられているため、Ｌチャンネル用の磁気ヘッ
ド２２Ｌにより形成したトラックのトラック幅が１０．
５μｍになり、一方、Ｒチャンネル用の磁気ヘッド２２
Ｒ_２により形成したトラックのトラック幅が９．５μｍ
になり、両トラック幅を合計した値が２０μｍとなり規
格を満足している。この際、Ｌ，Ｒの磁気ヘッド２２
Ｌ，２２Ｒ_２間で僅かな角度θ°＝９°の取り付け差が
あるため、トラックの書き出し始め位置を揃える必要が
ある。そこで、圧縮符号化手段１０内に設けた時間軸変
更メモリ１０ａに、先行の磁気ヘッド２２Ｌに供給する
ディジタル信号を一時的に記憶させて、ここで磁気ヘッ
ド２２Ｌにディジタル信号を供給するタイミングを、後
行の磁気ヘッド２２Ｒ_２に供給するディジタル信号によ
る書き出し始め位置に合わせるようにしている。このよ
うに、回転シリンダ２１の１回転ごとに、Ｌチャンネル
用の磁気ヘッド２２ＬとＲチャンネル用の磁気ヘッド２
２Ｒ_２とを切り替えて高圧縮したディジタル信号をメタ
ルテープＭＴ上にＬ，Ｒチャンネルの記録感度を略等し
くして高密度に記録している。勿論、再生時もＬ，Ｒチ
ャンネルの再生感度を略等しくして再生できる。

【００３７】

【発明の効果】以上詳述した本発明に係るディジタル信
号記録再生装置において、請求項１記載によると、とく
に、回転シリンダの外周面に沿って取り付けた複数の磁
気ヘッドは、標準モード時または長時間モード時にＬチ
ャンネル用となる第１の磁気ヘッドと、標準モード時に
Ｒチャンネル用となると共に、第１の磁気ヘッドに対し
て外周面に沿って１８０゜離れ且つ第１の磁気ヘッドよ
り所定の高さ高く取り付けた第２の磁気ヘッドと、長時
間モード時にＲチャンネル用となると共に、第１の磁気
ヘッドより回転方向の後方で第１の磁気ヘッドから僅か
な角度離れ且つ第１の磁気ヘッドと同一高さに取り付け
た第３の磁気ヘッドとを備え、回転シリンダの１回転中
に切り替えた第１，第２の磁気ヘッドにより標準モード
時に対応したＬ，Ｒチャンネルのトラックを形成し、ま
たは、回転シリンダの１回転ごとに切り替えた第１，第
３の磁気ヘッドにより長時間モード時に対応したＬ，Ｒ
チャンネルのトラックを形成する際、各モード時にＬチ
ャンネルのトラックのトラック幅をＲチャンネルのトラ
ック幅より幅広く設定したため、メタルテープに蒸着し
た磁性金属材料の磁気配向特性がテープ走行向と近似し
た方向のアジマス角を有するＬチャンネルの磁気ヘッド
に対して記録再生感度が悪いことを改善でき、Ｌ，Ｒチ
ャンネルの記録再生感度を略同等にできる。

【００３８】また、請求項２記載によると、Ｌチャンネ
ルのトラックのトラック幅とＲチャンネルのトラックの
トラック幅とを合計した値を、規格上で決められたＬ，
Ｒチャンネルのトラックのトラック幅を夫々合計した値
と一致させたため、規格を満足することができる。

【００３９】更に、請求項３記載によると、第１の磁気
ヘッドと第３の磁気ヘッドとを一体化して回転シリンダ
の外周面に沿って取り付けたため、両磁気ヘッドを高さ
調整することなく回転シリンダに容易に取り付けること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るディジタル信号記録再生装置の構
成を示した図である。

【図２】本発明に係るディジタル信号記録再生装置に適
用した回転ドラムを説明するための図である。

【図３】図２に示した回転ドラムおいて、磁気ヘッドの
取り付け位置及び取り付け高さ説明するための図であ
る。

【図４】本発明に係るディジタル信号記録再生装置にお
いて、ディジタル信号を記録する時のタイミングを説明
するための図である。

【図５】従来のディジタル信号記録再生装置の構成を示
した図である。

【図６】従来のディジタル信号記録再生装置において、
ディジタル信号を記録する時のタイミングを説明するた
めの図である。

【図７】従来のディジタル信号記録再生装置にメタルテ
ープを適用した時の磁性金属材料の磁気配向特性につい
て説明するための図である。

【符号の説明】

４…ピンチローラ、 ５…とキャプスタン、 ７…テープ速度制御手段、 １０…圧縮符号化手段、 ２０…ディジタル信号記録再生装置、 ２１…回転シリンダ、２１ａ…固定シリンダ部、２１ｂ
…回転シリンダ部、 ２１ｂ_１…外周面、 ２２…磁気ヘッド、 ２２Ｌ…第１の磁気ヘッド（Ｌチャンネル用の磁気ヘッ
ド）、 ２２Ｒ_１…第２の磁気ヘッド（Ｒチャンネル用の磁気ヘ
ッド）、 ２２Ｒ_２…第３の磁気ヘッド（Ｒチャンネル用の磁気ヘ
ッド）、 ＭＴ…メタルテープ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平６−325305（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−195614（ＪＰ，Ａ) 特開 平８−293109（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−109033（ＪＰ，Ａ) 特開 平９−138921（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G11B 5/53

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】所定の方向に所定の回転数で回転する回転
   シリンダの外周面に沿って複数の磁気ヘッドを取り付け
   て、メタルテープを前記外周面に所定の角度に亘って螺
   旋状に巻き付け、且つ、このメタルテープをキャプスタ
   ンとピンチローラで標準モードの速度または該標準モー
   ドの速度より遅い長時間モードの速度で走行させると共
   に、標準モード時と対応する低圧縮したディジタル信号
   または長時間モード時と対応する高圧縮したディジタル
   信号の記録再生を行なうディジタル信号記録再生装置に
   おいて、 前記回転シリンダの外周面に沿って取り付けた複数の磁
   気ヘッドは、標準モード時または長時間モード時にＬチ
   ャンネル用となる第１の磁気ヘッドと、標準モード時に
   Ｒチャンネル用となると共に、前記第１の磁気ヘッドに
   対して前記外周面に沿って１８０゜離れ且つ該第１の磁
   気ヘッドより所定の高さ高く取り付けた第２の磁気ヘッ
   ドと、長時間モード時にＲチャンネル用となると共に、
   前記第１の磁気ヘッドより回転方向の後方で該第１の磁
   気ヘッドから僅かな角度離れ且つ該第１の磁気ヘッドと
   同一高さに取り付けた第３の磁気ヘッドとを備え、 前記回転シリンダの１回転中に切り替えた前記第１，第
   ２の磁気ヘッドにより標準モード時に対応したＬ，Ｒチ
   ャンネルのトラックを形成し、または、前記回転シリン
   ダの１回転ごとに切り替えた前記第１，第３の磁気ヘッ
   ドにより長時間モード時に対応したＬ，Ｒチャンネルの
   トラックを形成する際、各モード時にＬチャンネルのト
   ラックのトラック幅をＲチャンネルのトラックのトラッ
   ク幅より幅広く設定したことを特徴とするディジタル信
   号記録再生装置。
2. 【請求項２】前記Ｌチャンネルのトラックのトラック幅
   と前記Ｒチャンネルののトラックのトラック幅とを合計
   した値を、規格上で決められたＬ，Ｒチャンネルのトラ
   ックのトラック幅を夫々合計した値と一致させたことを
   特徴とする請求項１記載のディジタル信号記録再生装
   置。
3. 【請求項３】前記第１の磁気ヘッドと前記第３の磁気ヘ
   ッドとを一体化して前記回転シリンダの外周面に沿って
   取り付けたことを特徴とする請求項１記載のディジタル
   信号記録再生装置。