JP3044481B2 - キャピラリー電気泳動のための流速制御表面荷電コーテイング - Google Patents

キャピラリー電気泳動のための流速制御表面荷電コーテイング

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Description

【発明の詳細な説明】 1.発明の技術分野 本発明はキャピラリー電気泳動に関するものであり、
そして特に、生体分子の電気泳動分離を高めるため、キ
ャピラリーチューブ中で制御された電気浸透流速を達成
するための方法に関するものである。
2.参考文献 コーヘン エイ エスら、アナリティカル ケミスト
リー、59:1021(1987)。
コーヘン エイ エスら、ジャーナル オブ クロマ
トグラフィ、458:323(1988)。
コンプトン エス ダブリュら、バイオテクニクス、
6(5)432(1988)。
ヘリン ビイ ジェイ、ジャーナル オブ コロイド
インターフェイス サイエンス 115(1):46(198
7)。
カスパー ティ ジェイら、ジャーナル オブ クロ
マトグラフィー、458:303(1988)。
ラウエル エイチ エイチ、アナリティカル ケミス
トリィ、58:166(1985)。
マッコーミック アール ダブリュ、アナリティカル
ケミストリィ、60(21):2322(1988)。
3.発明の背景 キャピィラリー電気泳動(CE)はDNA種、蛋白質、ペ
プチド、および派生したアミノ酸を含む、種々の生体分
子の迅速な分別のために提案された(コーヘン、1987、
1988、コンプトン、カスパー)。代表的には、この方法
は内径が約50〜200ミクロンであり、その長さが約10〜1
00cmまたはそれ以上である、溶融シリカキャピラリーチ
ューブを用いる。
通常のCE方法では、キャピラリーチューブは電気泳動
媒体で充填され、少ない試料容量をチューブの一端に引
き入れ、そして電場をチューブを横切って位置させて試
料を媒体を介して引き出すようにする。電気泳動媒体は
非流動性ポリマーまたは、一定のタイプのCE分別に使用
するため、ゲル物質または他のタイプのCE分別に適して
いる流動体物質であることができる。蛋白質種の異なる
荷電密度に基づいた、流動性の電気泳動媒体における蛋
白質の電気泳動分離が、報告されている(ラウエル)。
CEの技術を核酸分別に応用する際に、種は高い同じ荷電
密度に分別され、高分離の分別はゲル化したマトリック
ス媒体を必要としないが、また高分子量のポリマーを含
む流動性の電気泳動媒体内で達成されることが見出され
た(“対抗移動キャピラリー電気泳動による核酸分別”
に対する共有のUS特許出願、第390,631号、1989年8月
7日出願)。
CEが流動性の電気泳動媒体を使用して行われるとき、
媒体それ自体は電極の一つに向かってキャピラリーチュ
ーブを介して大量の流体の移動を受けることができる。
この電気浸透流はキャピラリー壁界面で生ずる荷電遮蔽
効果に起因する。溶融シリカチューブの場合には、負に
荷電したシラン基を有し、荷電遮蔽が表面壁付近で電気
泳動媒体中の正に荷電したイオンの円筒状の“シェル”
を生じる。このシェルは、順番に、大量の流動性媒体に
流体の正に荷電したカラムの特性を帯びさせて、シェル
の厚さ(デバイ長)に依存する電気浸透流速にてカソー
ドの電極に向かって移動する。チューブを通る流動性媒
体の電気浸透流の速度もまた電場の強度、および媒体の
粘度に依存する。
上に引用した特許出願に詳述しているように、電気浸
透流速は2またはそれ以上の類似の種の間の分離を改善
するために最適化することができる重要な変数を与える
ことができる。特に、CEが、電気浸透流および分離すべ
き種の移動を向かい合った方向にある状態の下に行う場
合、一方向で、向かい合った方向の種の電気泳動移動速
度にほぼ等しい電気浸透流速にすることによって、分離
のための有効なカラム長を極端に長くすることができ
る。
これ迄は、電気浸透流速を調整または制御する試みは
限られていた。一つの提案では、電気泳動媒体のpHを十
分に低く、例えば、pH4以下として、荷電表面基に陽子
を加え、このようにして表面荷電密度を減らすことで行
われた。この提案は低いpHの変性効果が生じる得る多く
の蛋白質には適用できない。
また、電気泳動緩衝液に、表面荷電をマスクする為あ
る平衡定数にて表面に結合できる荷電試薬を含ませ、こ
のようにして電気浸透流を減らすことも提案されてい
る。この提案は分離される種に結合し、従ってこれらの
種の荷電密度を変える荷電した試薬の問題によってきび
しく制限される。また、結合する化合物の濃度を試行錯
誤により検量しなければならない。
中性または正に荷電した試薬を用いて荷電した表面基
を電子対を共有して誘導することによって電気浸透流を
減少または除去するための試みもまた報告されている。
この提案は、まず所望の電気浸透流を達成するための反
応条件を検量することが難しく、また反応が不可逆であ
るため、即ち、チューブを他の選択された電気浸透流速
に対してさらに再被覆することができないので、広く採
用されなかった。
4.発明の概要 従って本発明の一般的な目的のひとつは、CEチューブ
中に選択された電気浸透流速を達成するための方法を提
供することである。
さらに特定の目的は、容易に実施でき、蛋白質と核酸
の両方のCE分別と両立でき、CEチューブ中に可逆的また
は不可逆的表面荷電密度になるような方法で行うことが
できる方法を提供することである。
本発明は、一面においては荷電表面基をもつキャピラ
リーチューブ中に選択された電気浸透流の特性を達成す
る方法を含む。チューブはアノードとカソードの電解質
貯蔵器の間に連結し、電場を貯蔵器を越えてチューブ内
に電気浸透流を生成するように配置する。電気浸透流の
間に、チューブの表面荷電を変えることができる化合物
をチューブに引き入れて通し、チューブ内の電気浸透流
速をモニターする。前記モニターすることによって決定
されるように、チューブ中に所望の電気浸透流速を達成
するまで、化合物を引き続き中に引き入れて通す。
チューブを通る電気浸透流速は、時間間隔をあけて、
一連の流体マーカーのパルスを、チューブに導入するこ
とによってモニターすることが好ましく、このマーカー
のチューブの通過を使用してマーカー溶液を含むチュー
ブ中の流体のバンドの電気浸透流速をモニターすること
ができる。
一つの一般的な好適例では、チューブは負に荷電した
表面シラン基をもつ溶融シリカチューブであり、荷電を
変える化合物が規則正しく間隔をあけて、荷電したアミ
ン基、好ましくは4級アミンの荷電した基をもつ疎水性
ポリマーを含むポリマー、例えばポリマーポリブレンで
ある。
別の一般的実施例では、キャピラリーチューブは正に
荷電したアミン基をもつガラスチューブであり、荷電を
変える化合物は負に荷電したポリマー、例えばポリスル
ホン酸、ポリカルボン酸、ポリホスホン酸、またはポリ
リン酸のポリマーである。
荷電した疎水性ポリマー、例えば疎水性ポリアミンを
使用する場合、その方法は逆方向に電気浸透流を生じる
選択された段階のオーバーコーティングを行うことがで
きる。この方法では、ポリマーをまずチューブに通して
表面壁の荷電が中性となって最初の方向の電気浸透流が
止むまで電気浸透流の最初の方向に引き入れる。その後
に、反対側の方向でチューブ内の電気浸透流が選択され
た速度に達する迄、化合物を引き入れてチューブ中に同
じ方向に通す。この方法は特に、(a)チューブ壁の正
味の正の荷電が正でありそのために壁表面に静電気の蛋
白質の結合が妨げられ、(b)電気浸透の逆方向の速度
が蛋白質分離を最適にするように選択されるので、正に
荷電した蛋白質を分離するために有用である。
本方法はさらにキャピラリー壁の表面に選択された密
度の共有結合した荷電基をもち、壁表面の荷電をマスク
するためおよびチューブ壁の反応性の化学基に共有結合
するために、化学基をもつ化合物を用いて、キャピラリ
ーチューブを生成するための工程を含むことができる。
所望の電気浸透流を達成した後、被覆されたチューブ
を、表面壁に共有的に化合物を結合するために有効なカ
ップリング剤で処理する。
他の面においては、本発明は本発明の方法によって成
形されたCEチューブを含む。このチューブは(a)所定
の電気泳動媒体中で、選択された電気浸透流、および
(b)荷電したポリマー剤のコーティングによって特徴
づけられる。一つの好適例では、荷電したポリマー剤は
疎水性のポリ4級アミンポリマーである。
本発明のこれらの目的および特徴およびその他の目的
および特徴は、以下の本発明の詳細な説明を図面と共に
読むと一層完全に明らかとなるであろう。
図面の簡単な説明 図1は本発明の方法を実施する際に使用するキャピラ
リー電気泳動システムの概略図であり; 図2はパルス電圧と一定電圧のモードを同時に操作す
るために設計されたキャピラリー電気泳動システムの概
略図であり; 図3はキャピラリイ電気泳動チューブの拡大断片図で
あり、右から左への方向に電気浸透流(e)を示し、左
から右への方向にフラグメント移動(m1、m2、m3)を示
しており; 図4は流速を制御した表面荷電コーティング(FCSC)
の基本を示す図であり; 図5はポリブレンを用いたコーティング時間の関数と
して電気浸透流速のプロットを示す図であり; 図6は0.0005%ポリブレンを用いたコーティング時間
の関数として電気浸透流速のプロットを示す図であり; 図7は2種のポリブレン濃度のポリブレンを用いたコ
ーティング時間の関数として電気浸透流速のプロットを
示す図であり; 図8はスペルミンを用いたコーティング時間の関数と
して電気浸透流速のプロットを示す図であり; 図9はドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドを
用いたコーティング時間の関数として電気浸透流速のプ
ロットを示す図であり; 図10はポリブレンの不存在での乳酸デヒドロゲナーゼ
のCE電気泳動図であり; 図11はポリブレンで被覆したCEチューブにおける乳酸
デヒドロゲナーゼのCE電気泳動図であり; 図12はポリブレン被覆キャピラリーを用いるヒストン
H4の5つのアセチル化形態の分析を示し; 図13は2種のRNase T1の分離を示し; 図14はキャピラリーをポリブレンで被覆したときのNa
Clの不存在でのDNAのキャピラリー電気泳動工程から発
生した電気泳動図であり; 図15はキャピラリーをポリブレンで被覆したときの10
mMのNaClの存在でのDNAのキャピラリー電気泳動工程か
ら発生した電気泳動図であり; 図16はキャピラリーをポリブレンで被覆したときの20
mMのNaClの存在でのDNAのキャピラリー電気泳動工程か
ら発生した電気泳動図であり; 図17は塩の不存在で2種のRNase T1のキャピラリー電
気泳動工程から発生した電気泳動図であり; 図18は30mMのNaClの存在での2種のRNase Tlの分析を
示す図である。
発明の詳細な説明 I.キャピラリイ電気泳動システム 図1は本発明の流速制御表面荷電コーティング(FCS
C)方法を行うため、並びにFCSC方法によって調製され
たチューブを用いる電気泳動分離を行うためのキャピラ
リー電気泳動動(CE)システム20の概略図である。この
システムは長さが好ましくは約10〜200cm、一般的には
約100cm以下、内径が好ましくは約25〜200μm(ミクロ
ン)、一般的には約50μmのキャピラリーチューブ22を
含む。図に示した例では、チューブを水平位置に支持し
下方に端部を曲げている。
チューブの内側表面は化学基が好ましくは約4〜9の
pHで負または正に荷電している化学基をもつ。表面の化
学基は、負電荷を与える表面にシラン基を有する溶融シ
リカチューブの場合のように、キャピラリー材料の固有
の性質であってもよい。また代わりに、あるいは加え
て、キャピラリー壁を、4級アミンのような、化学基の
アタッチメントのための既知の誘導剤を用いて、または
既知の正に荷電した表面コーティング剤を用いて処理す
ることができる。好ましいキャピラリーチューブのひと
つは内径が50μmの溶融シリカチューブであり、ポリミ
クロ・テクノロジー(フェニックス、AZ)から入手でき
る。
さらに一般的には、キャピラリーチューブは緩衝液の
カラムを支持できる任意のチューブまたは導管であるこ
とができ、好ましくはカラム厚は200μmまたはそれ以
下である。例えば、チューブはガラススライド等の形を
した導管の形状をとり、負に荷電した表面基をもつこと
ができる。
システム内のアノードの貯蔵器26は、チューブ端部を
横切る電場を印加して電気浸透流によってチューブを通
って引き出される電解溶液28(セクションII)を含む。
22aで示されたチューブのアノード端部を、図に示すよ
うに、電気泳動の間、溶液に浸す。
システム内の貯蔵器30は、ECSCC法の間に使用するた
め、マーカー溶液を含むことができ、または電気泳動分
離の間に、分離すべき分子の試料を含むことができる。
好ましくはマーカーまたは試料物質は電解溶液または水
に溶解する。2つのアノード貯蔵器は、チューブのアノ
ード下端を貯蔵液に浸すことができる位置に置くため
に、カルーセル等に支持することができる。図には示し
ていないが、カルーセルは電気泳動の走行または異なる
溶液の間でチューブを洗い流すための溶液を含む追加の
貯蔵器を備えることができ、二種以上の溶液が単一の電
気泳動分別法において用いられる。
22bで示される、チューブの反対側のカソード端部
は、カソード貯蔵器32内にシールされており、図に示す
ように、貯蔵器に含まれるカソード電解溶液34に浸す。
貯蔵器内の第二のチューブ38は、(例えば,洗浄溶液、
マーカー溶液、および電気泳動緩衝溶液のような)液体
をチューブを介して引き出し、貯蔵器30の高分子試料物
質をチューブに装填するために、微細に調整された真空
装置(図には示していない)に連結する。
システムの高圧電源40は、2つの貯蔵器間に選択され
た電位を印加するために、図に示すようにカソードとア
ノードの貯蔵器に連結する。電力供給導線を、それぞ
れ、アノード貯蔵器とカソード貯蔵器の白金電極41、42
に連結する。電源は電極を通る定電圧(DC)を、好まし
くは5〜50KVに設定した電圧で、印加するように設計す
ることができる。また代わりに、あるいは加えて、電源
を貯蔵器間に選択された周波数のパルス電圧を印加する
ように設計することができる。一般に、キャピラリーチ
ューブが短いほど、印加できる電解強度が高くなり、電
気泳動分離が迅速になる。
パルスした電圧モードで操作するとき、電源は好まし
くは約50HzからKHzの範囲まで調整できる周波数で、ま
た約10〜30KVのrms電圧出力で方形波パルスを出力す
る。MHzの範囲でも、さらに高いパルス周波数を、いく
つかの応用のために合わせることができる。
図1に示したシステムの説明を完成させるには、シス
テムの検出器44を、チューブ中の光学検出ゾーン46を通
って移動する核酸フラグメントを光学的にモニターする
ため、チューブのカソード端部付近に設置する。検出器
はUV吸収検出用および/または蛍光発光検出用に設計す
ることができる。UV吸収は、例えばアプライド・バイオ
システムス(フォスター市、カリフォルニア)によっ
て、フローセルをキャピラリーホルダーと置き換えて、
改良されたクラトス783UV吸収検出器を用いて、240〜28
0nmで一般に行うことができる。蛍光発光検出は好まし
くは、下記に述べるように、核酸フラグメントと関連す
る蛍光種によって、約240〜500nmに調整できる選ばれた
励起波長で行われる。蛍光検出器の一例は、ヒューレー
ト・パッカード(パロ・アルト、カリフォルニア)から
入手でき、キャピラリーチューブ検出用に上述のように
改良されたHP1046A検出器である。この検出器は電気泳
動ピークを記録するため積分器/プロッタ45に連結す
る。
図2に示したような検出器を用いて、FCSC方法の間に
測定された電気浸透流速は、チューブの上流端部(端部
22a)から、チューブの下流端部付近の、検出器によっ
てマーカーが認められるチューブ内の地点まで移行する
マーカーバンドに必要な時間を計算することによって決
定される。この方法で検出された電気浸透流速は従っ
て、マーカーが導かれる時間およびマーカーが検出され
る時間での瞬間流速の平均を示す。このシステムは、直
接検出器の上流に配置して、瞬間流速を決定し、T字チ
ューブを通るマーカーをチューブ内に周期的に導入でき
るように変更することもできる。
代表的なFCSC方法では、実施例1に詳述した条件を用
いて、貯蔵器32を真空にしてキャピラリーチューブに適
当な洗浄とすすぎの溶液を引き出し、このチューブを完
全に洗浄する。次いでチューブに若干量の電解質緩衝溶
液を流し、少量の、一般には1〜10ナノリットルの試料
物質をアノードチューブ端部に装填する。端部チューブ
端に表面荷電を変えるための化合物を導入して、チュー
ブ内の電気浸透流を設定し、カソードとアノードの貯蔵
器の間に電圧をかける。
図2はパルスおよび定電圧モードの両方で操作できる
電気泳動システム50の断面図を示す。システムのキャピ
ラリーチューブ52は、56で示した検出ゾーンの付近の上
流で小さいクリアランスブレーク54を有する。ブレーク
のどちらかの側のチューブ部はチューブの内外に電気泳
動により移動する有孔のガラススリーブ58によって連結
されている。チューブの連結部は適当な電気泳動溶液62
を充填した貯蔵器60内に密封する。貯蔵器の接地電極64
は負の側が適当なカソード貯蔵器と連結されているパル
ス電圧電源66の高圧側に連結する。接地電極64は負の側
が適当なアノード貯蔵器と連結されているDC電源68の高
圧側に連結する。
II.電気浸透流 このセクションでは電気浸透流の現象を述べる。この
現象は、電気泳動チューブ内に所望の表面荷電コーティ
ングを達成するため、本発明のFCSC方法と、試料種間の
電気泳動分離を最適にするため、試料物質の電気泳動分
離の両方で活用される。
図3はキャピラリー電気泳動チューブ70の拡大断面図
を示す。図に見られるように、“−”の符号で示した、
チューブ内壁の負に荷電した基が、チューブ内の流体カ
ラムの周りに正に荷電したシェルを基本的に形成する、
ポリマー溶液中で正に荷電したイオンによって遮蔽され
ている。壁面で比較的動かない正のイオンのシェルの厚
さは剪断距離として知られている。正の電荷と内側バル
ク相の電荷が分布するこの外側シェルは電気二重層と呼
ばれ、正の荷電の外側シェルとバルク媒体との間の電位
の基準であるゼータ電位を特徴とする。
電界の影響下で、(正の電荷のシェルによって囲まれ
ている)媒体中のポリマー溶液のこのカラムは負または
低い電位の方向に電気浸透で引き出される。チューブ内
の電気浸透流の速度は図中の矢印eで示される(矢印e
は大きさeのベクトル及びチューブの軸に沿った方向と
考えることができる)。キャピラリーチューブ内の電気
泳動流の速度eは次式で表される: 式中のε、η、ξ、およびEは、それぞれ、流体の誘
電率、その粘度、ゼータ電位、および電界強度である。
ゼータ電位、ξは荷電壁表面に印加されるとき、シェ
ルの剪断半径に相当する荷電シェルの“内側表面”と荷
電壁表面との間の界面の二重層を横切る電位を記述す
る。電位は従って壁表面の正味の荷電に直接依存し、そ
れぞれ壁の表面荷電密度を増加または減少することによ
って増加または減少することができる。
図3はまた試料種、例えば図においてF1、F2およびF3
で示される三つの核酸種の電気泳動分離をいかにして、
本発明によって、選択された電気浸透流速を与えるよう
に、調製されるCEチューブ中で高めることができるかを
示している。電気浸透流の速度はここではベクトルeで
示され、図では下流方向に大きさeを示す。3つの核酸
種はm1、m2およびm3で示されるベクトルによって示され
た速度で反対方向に電気泳動によって移動する。チュー
ブ内のそれぞれの種の正味の移動速度は、それぞれ
μ、μおよびμで示される二つの向かい合うベク
トルの丁度合計である。
3つの種を分離するための能力は3つの移動速度ベク
トルμ、μおよびμ間の差に依存する。これらベ
クトル間のこれらの相対的差は、順番に、eを変えるこ
とによって選択的に制御することができる。例えば、e
をm3に近づけることによって、ベクトルμをかなり小
さくすることができ、従ってF3を他の2つの種から容易
に分離することができる。同様に、eをm2に近づけるこ
とによって、ベクトルμをかなり小さくすることがで
き、F2を容易にF1から分離できる。
改良された蛋白質と核酸の分離を達成するために、選
択された電気浸透流速を使用することは以下にさらに詳
細に述べるであろう。
III.流速制御表面荷電コーテイング(FCSC) FCSCの原理は図4に示される。負(−)と正(+)の
符号と関連した線は電極を示す。2つの貯蔵器を連結す
る線はキャピラリーを示す。Tはキャピラリーの長さを
移動するために必要な時間の合計を示し、μは電気浸透
流を示す;μ近くの矢印は電気浸透流を含むベクトルを
示す。T0にて、所定の印加電圧に対して、電気浸透流は
μである。正に帯電した物質、例えばポリマーを含む
4級アミン(下記に示す)がアノード貯蔵器に導入さ
れ、電圧が印加されると、ある時間T1にて電気浸透流が
μまで減少する(短い矢印で示した)。キャピラリー
壁の荷電の大きさは電気浸透流に直接関係する。走行時
間の増加と共に電気浸透流が遅くなるのは、正に帯電し
た物質によってキャピラリーがコーティングされ、その
結果キャピラリー壁の荷電が減少する結果にある(実施
例1;図8)。時間Ti+Δiでのある地点にて、キャピ
ラリーの全表面荷電が中性となり、電気浸透流μ
i+Δiはゼロとなるであろう。
正に荷電した若干の物質について流速制御表面荷電コ
ーティングに影響する能力を試験した。図8は、非重合
性1級アミンであるスペルミンを用いたFCSCの効果を示
す。走行時間の増加と共に電気浸透流(Veo)の減少
は、示された2つの濃度に対して明らかである(実施例
3)。これらの結果の他の重要な特徴は、電気浸透流が
走行時間の増加と共にかなり早く平らになることであ
り、スペルミンを結合したキャピラリー壁と緩衝液中の
スペルミンとの間が平衡状態になったことを示してい
る。減少したVeoの維持は走行する緩衝液中のスペルミ
ンが継続して存在することと緩衝液のイオン強度に依存
する。
Veoに影響する第2の正に荷電した化合物はドデシル
トリメチルアンモニウムブロマイド(DTAB)である;非
重合性4級アミン。DTABを用いた電気コーティングおよ
び走行時間の増加に伴う電気浸透流(Veo)の減少の結
果は、図9に示される濃度に対して明らかである(実施
例4)。この図から見られるように、スペルミンを用い
た場合に見られたように、DTABは、DTABを結合したキャ
ピラリー壁と緩衝液中の遊離DTABとの間で迅速に平衡に
達する。
スペルミンとDTABとの両方で電気コーティングするこ
とはいずれかの化合物を用いる電子浸透流の検量がVeo
の補正のために極狭いウインドウを与えるという制限が
ある。電気コーティングのために用いられる第3の正に
荷電した物質はヘキサジメスリンブロマイド(ポリブレ
ン)であった。ポリブレンを用いて得られた電気コーテ
ィングデーターは0.0005%の濃度に対して図6に示され
る(実施例2)。ポリブレンは電気コーティング剤のた
めの良い選択を行う2つの非常に重要な特徴をもち、
(1)図6に見られるようにポリブレンはスペルミンや
DTABのように迅速に平ら(すなわち平衡に達する)には
ならない;そして(2)ポリブレンコーティングの反転
は広範な洗浄サイクルを必要とし(実施例1参照)、従
って緩衝液のイオン強度に対してスペルミンのように敏
感ではない。ポリブレンは、しかし、電気泳動緩衝液に
依存するある範囲の安定性をもつ。ある程度までポリブ
レンコーティングの安定性は緩衝液中に存在するイオン
に依存する。本発明を支持して行われる実験では、リン
酸塩緩衝液が最も不安定であり、ホウ酸塩緩衝液がより
大きい安定性を与えることを示している。
電気コーティングのために用いられるポリマーはイオ
ン性と疎水性の2つの主なキャピラリー壁との相互作用
をもつ。従って、キャピラリー電気泳動における電気浸
透流の調整に有用なポリマーの特徴は次のものを含む: 1.選択のポリマーは多数のイオン結合中心をもつ必要が
ある。ポリブレンの場合、結合中心は4級アミンであ
る。
2.ポリマーはある程度の疎水性をもつ必要がある。
次の形態のポリマー、(NR3−(CH2−(N
R3がこの応用に特に適している: 式中のRは側鎖(例えば水素、アルキル、アリール、ま
たは官能基)およびNはポリマー中に存在する繰り返し
単位の数である。このようなポリマーは4級アミンと壁
の負の荷電との間の直接の荷電相互作用、およびさらに
荷電遮蔽の結果として生じる壁との疎水性の相互作用を
もつ。ポリブレンはキャピラリー壁に荷電をマスクする
ポリマーの一つである。
実施例2は2種類の濃度のポリブレンを用いるキャピ
ラリーの電気コーティングを記載する;電気浸透流の電
気コーティングの効果は図7に示される。これらのデー
ターは本発明の重要な特徴を示し、指定された時間に対
しポリブレンを用いて電気コーティングすることと、得
られた電気浸透流速との間に、正確な関係が存在するこ
とが認められる。このような関係は特に、(上記のよう
に)キャピラリー壁との所定のポリブレンの安定な相互
作用に価値がある。特定の電気浸透流は、図7に示した
ように、ポリブレンの所定の濃度に対する検量線から選
択することができ、またその流を達成する走行時間を容
易に決定することができる。
電気浸透流をチューニングする他の方法は、電気コー
ティングのための両性イオンの4級アミンの使用であ
る。両性イオン化合物の利点は、Veoをキャピラリー表
面を完全にコーティングすることによって調整されるこ
とである。このコーティングの結果、キャピラリー表面
に固有の荷電は中性となり、および負の荷電中心の置換
は両性イオン化合物中に存在する。他の言葉で言うと、
ゼータ電位に寄与して残っている荷電だけが両性イオン
化合物内に存在する負の荷電である。例えば、ポリブレ
ンそれ自体は多くの4級アミン−正に荷電した中心をも
ち、ポリブレンを用いたキャピラリーの表面荷電の完全
な中性化は正味の荷電とはならず、Veoがゼロに減少す
る。しかしながら、ポリブレン様のポリマーは、R位
(上記を参照)の50%で置換された荷電基、例えば炭酸
塩、スルホン酸塩をもつコーティングのために使用する
ことができる。キャピラリーの固有表面荷電の全部がポ
リマーの4級アミン−正の荷電中心によって中性化され
る範囲まで、キャピラリーがこのポリマーで完全に被覆
されるとき、キャピラリー壁の正味の荷電は元の荷電の
ほぼ2分の1であろう。キャピラリー壁の荷電は今やポ
リマーによって与えられた負の荷電中心の唯一の結果で
あり、新しいVeoが確立される。このようなコーティン
グ方法によって電気浸透流の調整はコーティングポリマ
ーの負の荷電の特性によって検量される。
特定の電気浸透流を確立するための条件を容易に選択
する能力は研究のための貴重な応用性を示す。例えば、
任意の与えられた分離応用に対して、分離を最大にする
適当な電圧と電気浸透流の条件を決定することができ
(例、実施例5〜8)そして次に分離を行うため日常業
務として再現性よく使用できる。
さらに、繰り返しの分離応用に対して、例えば臨床設
定において、固定した電気浸透流となるように電子対を
共有するようにキャピラリーチューブを改変する。これ
は2つの方法のうち1つで行うことができる。第一は、
キャピラリーチューブをポリマー、例えばポリブレンを
用いて被覆し、露出した負に荷電したシラン部分を二官
能性試薬を用いて活性化し、次いで第二のコーティング
剤をカラムに塗布してキャピラリーに二官能性試薬を介
して共有結合により結合させることができる。第二は、
選択された流速を、ポリマー、例えばポリブレンを用い
て確立し、次に例えば、化学的方法によって焼くかまた
は脱水して、キャピラリーにポリマーを共有結合によっ
て結合させることができる。あるいは、ポリブレンを改
変してキャピラリー壁のシラン基に共有結合することが
できる基を含むようにする。
IV.蛋白質キャピラリー電気泳動への応用 A.キャピラリー壁を用いてブロック相互作用物にオーバ
ーコーティング。
蛋白質の分離にキャピラリー電気泳動を応用すること
が主に制限されるのは、多くの蛋白質が正味の負の荷電
を有し、その結果キャピラリー壁のシラン基に強く結合
していることである。シラン基に陽子を加え、従って壁
の正味の荷電を変えるため低いpHを用いるこのシステム
では、4以下のpHを必要とするが大抵の蛋白質がこのpH
に耐えられないので、容認できる選択ではない。
キャピラリー電気泳動によって正に荷電した蛋白質を
分離することが困難なのは、実施例5、図10によって示
される。ウサギの筋肉から導いたラクテートデヒドロゲ
ナーゼ(LDH)の3つのイソフォームを実施例5に記載
した条件下でキャピラリーに装填した;LDHは正味の正の
荷電である。図10は装填したLDHが回収されないことを
示している。蛋白質が保持される一番ありそうな理由は
LDHとキャピラリー壁の間の荷電の相互作用であった。
キャピラリー壁の荷電を反転するために、キャピラリー
をポリブレンで被覆した。
ポリブレンによる被覆は、電気浸透流、μがゼロに減
少するまで、選択された濃度でポリブレンを用いて電気
コーティングすることによって行われる。この状態は負
に荷電した壁が正の荷電と等しい数によって中性化する
ときに生じる。しかしポリブレンおよびこの種のポリマ
ーを特に電気コーティングに適させる一つの性質は、キ
ャピラリー壁とのその荷電相互作用に加えて、疎水性の
相互作用を形成するポリマーの能力である。これらの疎
水性相互作用はキャピラリー壁並びに既にキャピラリー
壁を被覆したポリブレン分子で生じる。電気浸透流をゼ
ロに減らしたのち、さらにコーティングはまず正に荷電
したポリマーについてカソードの静電引力に基づいて行
われる。キャピラリー壁の正味の荷電が正になるとき、
電気浸透流はそれ自体が反転しアノードの方向に流れ
る。キャピラリーをさらに被覆するために、電極の極性
が反転し、電気浸透流は今やさらにポリブレンを貯蔵器
から、キャピラリーを介して引出し、その結果キャピラ
リー壁が被覆され正味の正の荷電となる。
図11は、図10に対して使用したものと同じ条件下で行
われたキャピラリー電気泳動の結果を示しているが、こ
の場合にはキャピラリーはポリブレンによってオーバー
コーティングされている。図11から認められるように、
ポリブレンで被覆したキャピラリーを使用すると、この
キャピラリー電気泳動システムは、LDHの3種類のイソ
フォームを非常に効果的に分離する。
またキャピラリー電気泳動は、試料として、5種類の
アセチル化された形態の塩基性の高い蛋白質ヒストンH4
を使用して行われた。ポリブレンを用いてキャピラリー
をオーバーコーティングしないと、これらの蛋白質はキ
ャピラリーを移行しなかった。他方、ポリブレンで被覆
したキャピラリーを電気泳動に使用するとき、システム
は5つのアセチル化蛋白質の形態に分割できる(実施例
5;図12)。
キャピラリー電気泳動システムにおいて塩基性蛋白質
を分離する能力は、特にほんの少量の蛋白質が入手でき
るときに、蛋白質の分析のための極端に貴重な技術を提
供する。
B.選択された電気浸透流速を使用する蛋白質のキャピラ
リー電気泳動。
負に荷電した蛋白質に対してはキャピラリー壁と蛋白
質との間に不都合な荷電の相互作用は存在しない。これ
ら蛋白質の分離は、電気浸透流に向かい合った方向にア
ノードに対して蛋白質の荷電引力と電気浸透流との組合
せに基づく;従って、蛋白質分離を調整するように電気
浸透流を調整できることは非常に価値のあることであ
る。上述のように、所定のポリマー濃度に対して引き出
される検量線は選択されたVeoを達成するために必要な
条件の決定のために有用な道具である。
負に荷電した蛋白質の分離を達成するために部分コー
ティングの使用の1例を図13(実施例6)に示す。キャ
ピラリーを5分間0.001%のポリブレンで予備被覆し、
次に、正味の負の荷電であるリボヌクレアーゼT1(RNas
e T1)と、リジン置換に対しグルタミンをもつ組換えに
より生成した変種の同量の混合物2.5ngを装填した。こ
の変種の置換は野生タイプの種よりも一層正の荷電を有
していることに起因する。図13はこの方法を使用して顕
著な分離が行われることをはっきりと示している。中性
のマーカーはピーク6.67によって、2種のRNase T1は1
4.26および15.96によって示されている。
C.負に荷電した蛋白質のイオン交換キャピラリー電気泳
動 部分コーティングを使用して行われる分離の別のタイ
プは、キャピラリー壁の荷電中心に対して塩と荷電蛋白
質との間の競合を含む。この競合は図17と18のRNase T1
と変種(上述のもの)に対して示される。キャピラリー
はポリブレンで部分被覆して、RNase T1の試料混合物は
10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液(pH=6.6)をランニ
ング緩衝液として使用してキャピラリーに装填する(実
施例8)。この工程で得られた電気泳動図は図17に示さ
れている;この図ではRNase T1種のいずれも相当するピ
ークがない。最もありそうなのは、ポリブレンとの荷電
相互作用の結果としてRNase種がカラム内に残留してい
ることである。キャピラリーを洗浄して部分的に被覆さ
れたキャピラリーを同じ緩衝液と10mMの塩化ナトリウム
に溶解した2つのRNase T1種を用いて装填するとき、2
つの種に相当するピークが検出された。塩化ナトリウム
の濃度を増やして同じ方法を繰り返した。RNase T1蛋白
質の最大収率は30mMのNaClを用いて得られた(図18)。
負に荷電した蛋白質の保持に選択的に作用するこの能
力は異なっているイオン特性をもつ蛋白質の分離に対し
て有効に応用される。異なっているイオン特性をもつ蛋
白質の混合物を与えると、条件を選択して、1つまたは
それ以上の蛋白質を保持し、他の混合物の蛋白質をキャ
ピラリーを通して移行させ、キャピラリー電気泳動分離
を行うことができる。さらにこの技術を応用すると、負
に荷電した蛋白質の濃縮とそれに続く分離が行われる;
このキャピラリー電気泳動シスムの応用は核酸分離に関
連して以下に述べる。
V.核酸キャピラリー電気泳動への応用 核酸の分離のために中性ポリマーを、キャピラリーチ
ューブ中の流体分別母体となる電気泳動緩衝液に添加す
る。核酸分離法とさらに電気泳動緩衝液中の中性ポリマ
ーの封入による応用は共有の米国特許出願第390,631号
に記載されている。
対向移動キャピラリー電気泳動(CMCE)は負に荷電し
た核酸の移動によって示すことができる。同時にキャピ
ラリーチューブ中の電解溶液は下流に(カソードの貯蔵
器に向かって)電気浸透流によって移動し、負に荷電し
た核酸フラグメントは溶液に対して反対の方向にアノー
ドの貯蔵器に向かって移動する。フラグメントと中性ポ
リマー分子との分子相互作用のために、アノードの貯蔵
器に向かうフラグメントの移動は、寸法に依存してお
り、より小さいフラグメントはアノード方向により早く
移動する。
核酸のキャピラリー電気泳動分離は蛋白質の分離と同
様に電気浸透流に依存しており;蛋白質について述べた
ようにVeoを調整する能力は、またこれらの高分子の分
離についても貴重な条件である。核酸の分割のためにV
eoを調整するための有用なアプローチの一つはキャピラ
リーを両性イオン化合物でコーティングすることである
(上記参照)。両性イオン化合物を使用すると、Veo
選択し、核酸とキャピラリー壁との間の荷電反発を維持
することができる。
キャピラリー電気泳動を核酸分離に応用するための他
の重要なものはイオン交換現象であり、これは負に荷電
した蛋白質に対して上に述べた。実施例7とキャピラリ
ーをポリブレンで部分コーティングすることと、核酸分
離の効果を記載している。DNA試料をSB緩衝液中で塩を
含ませずに実験するとき、装填したDNA試料に相当する
ピークは検出されなかった(実施例14)。しかしなが
ら、同じ試料を10mMの塩化ナトリウムの存在で実験する
とき、複数のDNA種が分割された(図15);塩濃度を20m
Mまで増やすとDNA種がさらに分割された(図16)。負に
荷電した蛋白質に関するかぎりでは、塩は、一般のイオ
ン交換現象に生じるポリブレンへの結合のために競合し
ていることが明らかである。
このイオン交換現象は核酸の分離に対して活用でき
る。核酸種の混合物を与えると、混合物中のより大きい
分子をキャピラリー壁に結合して混合物中のより小さい
種を一層有効に分割させるように行うことができる。
イオン交換現象の他の重要な応用は生物学的に重要な
高分子の希釈溶液を濃縮する能力である;この応用は多
くの臨床上の及び研究上の問題に対して重要である。例
えば、核酸の希釈溶液の濃縮については、キャピラリー
チューブの小さい部分をポリブレンで被覆し、被覆され
た領域に対して正味の正の荷電となるようにする。次に
希釈試料をキャピラリーに装填し、電圧を印加する。核
酸は束縛され、正に荷電した領域においてこの領域との
イオンの相互作用によって蓄積される。次にキャピラリ
ーを核酸を引き離すように十分なイオンの力のランニン
グ緩衝液を用いて処理する。この引き離しは高塩緩衝液
の正面の小さいゾーンで起こる。引き離された核酸は次
に、上述のような、対向移動キャピラリー電気泳動によ
って、キャピラリーの長さの残りについて分離される。
高分子を濃縮するこの方法は、同様に負に荷電した蛋白
質に応用することができる。
次の実施例は種々の分離方法および応用を本発明に従
って記載しているが、その範囲を制限するつもりのもの
ではない。
実施例1 ポリブレンコーティングレベルの関数としての電気浸透
流の変化 キャピラリー電気泳動はABIモデル270キャピラリー電
気泳動システムを用いて行った。このシステムは電圧を
30KVまでセットできる組込み高電圧DC電源を含む。シス
テムに使用したキャピラリーチューブはポリミクロテク
ノロジー(フェニックス、AZ)から入手した長さ72cm、
内径50μm、外径350μmの溶融シリカキャピラリーチ
ューブである。
電気浸透流速(Veo)を示すために用いたマーカーは
中性化合物、酸化メシチルであり、これは200mmで強い
吸収を示す。電気泳動システムは実験を通して約25kV
(約350 V/cm)の電圧設定で行った。UV検出はキャピラ
リーチューブ検出用に設計されたカラトス783 UV検出器
を用いた。検出器出力信号はスペクトロフィジクスSp44
00積分器/プロッターで積分しプロットした。
新しいキャピラリー表面はキャピラリーを連続して5
〜10キャピラリー容量の1.0 NaOH、3〜5容量の、H
2O、3〜5容量の0.1N HCl、3〜5容量のH2O、および
最後に3〜5容量の5 mM NaPO4(pH 7.0)緩衝液を用い
て洗浄して日常的に再生させた。溶液をキャピラリーか
らカソード端部を真空にして吸い出した。
一般に、近似の緩衝液を用いて平衡にした後、2〜5
nlの中性マーカー(酸化メシチル)をカソード端部を真
空にしてキャピラリーに注入した;マーカーは電気浸透
流を測定するために使用する。マーカーの注入は続いて
2〜5 nl(2〜10 ng)の蛋白質試料を注入することに
よって行った;マーカーまたは試料のいずれかをサイク
ルから省略することができる。次に適当な電圧(30 kV
まで)をキャピラリーの両端部にかけて印加しUV検出器
によって分離をモニターすることができる。電気コーテ
ィングは緩衝液とポリブレン(ヘキサジメスリンブロマ
イド;アプライド・バイオシステムズ、フォスター市、
CAから入手できる)を含むアノード貯蔵器からポリブレ
ンを含まず緩衝液を含むカソードの貯蔵器まで電圧を印
加して行った。
25 kVの1分間のパルスによって連続してマーカー
(2.5 nl)をキャピラリーに注入すると、連続するマー
カーのピークが移動し、アノードの緩衝液とポリブレン
がキャピラリーを通り最後に検出器を通過した。200 nm
での吸収をモニターし、マーカーの平均速度と、従って
電気浸透流を概算した。これらの条件下ではポリブレン
の吸収を検出できなかった。
総計の走行時間は70分であり、最終の約50分間は図5
に示されている;20分から70分までは電気泳動図の下部
に5分間隔で示されている。アノードの貯蔵器中のポリ
ブレンの濃度は0.0005%てあった。約24分でポリブレン
はキャピラリーチューブの全長を移動した。電気浸透流
速が遅くなることは中性のマーカーのピーク間の距離が
増加することから明らかであり、これは走行が進行し、
キャピラリーが次第にポリブレンによってさらに被覆さ
れることになる。
実施例2 電気浸透流速の検量 実施例1で使用したものと同じキャピラリー電気泳動
条件を用いた。電気浸透流速(cm/分で示されるVeo
は、横断した距離と、パルスがUV検出器を通過するまで
中性マーカーを注入してからの経過した時間に基づいて
計算した。計算されたVeoを経過した全走行時間に対し
てプロットした;その結果は図6に示す。0.0005%の濃
度でのポリブレンは時間0でアノードの貯蔵器に存在し
た。
0.001%の濃度でポリブレンを使用する電気コーティ
ングもまた行った。(Veo+1)のLnを0.0005%と0.001
%のポリブレン濃度について全経過走行時間に対してプ
ロットした(図7)。図7に見ることができるようにこ
れらのポリブレン濃度ではコーティング時間、ポリマー
濃度および電気浸透流の間に確かな関係が確立されてい
る。例えば、同じVeoは約25分間0.001%のポリブレンを
用いたコーティングと、約42分間0.0005%のポリブレン
を用いたコーティングによって確立することができる。
実施例3 非重合性1級アミンを使用して検量する電気浸透流速 実施例1で使用したものと同じキャピラリー電気泳動
条件を用いてVeoを上記のように計算した。スペルミ
ン、非重合性1級アミンを、0.001%と0.005%の濃度で
コーティング剤として使用して、増加する走行時間のV
eoへの影響を図8に示す。図8から見られるようにVeo
はポリブレンに比較してスペルミンを用いると迅速に平
らになる(図6);これはスペルミンを用いるとVeo
検量に対し感度が小さくなることによる。スペルミンの
さらに限界は電気泳動緩衝液中のイオンによって除くこ
とができることである。
実施例4 非重合性4級アミンを使用して検量する電気浸透流速 実施例1で使用したものと同じキャピラリー電気泳動
条件を用いてVeoを上記のように計算した。
ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(DTA
B)、非重合性4級アミンを、0.15%の濃度でコーティ
ング剤として使用して、Veoへのその影響を図8に示
す。DTABはスペルミンと同じ限界の一つをもち、ポリブ
レンに比較してDTABは迅速に平らになり、従ってDTABを
使用するVeoの検量はポリブレンのようには感度がよく
ない。
実施例5 蛋白質のCE電気泳動 A.乳酸デヒドロゲナーゼ 実施例1に記載したようにキャピラリー電気泳動を行
った。3種類のイソフォーム(pI=8.3、8.4、8.55)を
含むウサギ筋肉からの乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)約
2.5ngを中性マーカー2.5nlを添加した5 mM NaPO4緩衝液
(pH=7.0)に装填した。ポリブレンコーティングを含
まないで中性のマーカーのみがカラムを通って流れるの
が見られた。図10はキャピラリーをコーティングするポ
リブレンを含まない場合の走行結果を示し;3.10分での
単一ピークは中性マーカーである。
図11は同様の走行結果を示し、ここではキャピラリー
チューブを0.01%ポリブレンを使用して10分間予備コー
ティングした;この予備コーティングの程度はキャピラ
リーチューブのオーバーコーティングとなり、キャピラ
リー表面の負の荷電の反転、および電気浸透流の方向の
付随した反転を生じる。電極の極性は蛋白質試料を装填
する前に反転した。ポリブレンは電気泳動緩衝液中には
存在せず、LDHイソフォームを2.5ng装填した。ポリブレ
ンオーバーコーティングの存在でのLDH走行の結果は図1
1に示される。17.82、18.19、および20.32でのピーク
は、それぞれ8.3、8.4および8.55のイソフォームに相当
する。19.68の肩は、多分LDHの貯蔵の結果形成されたで
あろう製剤の汚染を示している。図10と図11の比較から
見られるように効果的な分離はキャピラリーをポリブレ
ンで被覆したときLDHを用いて達成することができる。
B.アセチル化ヒストンH4 キャピラリー電気泳動を実施例1に記載したように行
った。キャピラリーを5.51 cm/分の電気浸透流速を達成
するように上記のようにポリブレンでオーバーコーティ
ングした。電極の極性は蛋白質を装填する前に反転し
た。電気泳動緩衝液は10mM Na−クエン酸塩、pH=6.6;
走行緩衝液は追加のポリブレンを含まなかった。0〜4
個のアセチル基を含む多アセチル化ヒストンH4′sを約
3.0ng、走行に対して装填した。図12はH4の5種類のア
セチル化形態を分析するためのシステムの能力を示す。
電気泳動に示されるピークに対応する蛋白質は次の通り
である(ピーク/アセチル基の数):9.01/0;8.87/1;8.6
4/2;8.4/3;および、8.19/4。コーティングしなくてもこ
れら高い塩基性の蛋白質はキャピラリーを移動しない
で、キャピラリー表面に引っ張られたままである(デー
ターは示されていない)。
実施例6 電気浸透流速の関数としてCEによる蛋白質分離 A.選択された電気浸透流速に対するキャピラリーチュー
ブ調製。
キャピラリーチューブは5mM Na−PO4(pH 7.0)緩衝
液中0.001%ポリブレンを使用して5分間キャピラリー
を予備コーティングして調製した。
B.2種類のリボヌクレアーゼT1の分離 キャピラリー電気泳動を実施例1で記載したと同様に
行った。セクションAで記述した予備コーティングした
キャピラリーを使用した。走行緩衝液は20mM NaClを添
加した5mM Na−PO4(pH=7)であった;ポリブレンは
走行緩衝液に添加しなかった。野生タイプのアスペルギ
ルス・オリツ(Aspergillus oryz)リボヌクレアーゼT1
(RNase T1)とリジン置換に対してグルタミンを有する
組換え変種の同量の混合物を調製した;この置換は野生
タイプよりも正の荷電のものをもつ変種となる。約2.5n
gの蛋白質混合物を装填し25kVで16分間分離を行った。
中性のマーカーは6.67のピークによって示される。これ
らの条件下ではコーティングのロスは何も認められな
い。
この分離システムの鋭敏な感度はRNase T1の2種に相
当する2つの良くはっきりしているピーク(14.26およ
び15.96;図13)に見られる。非常にシャープなスパイク
は走行緩衝液に形成された沈澱物に相当する;この沈澱
物は予備濾過によって除去することができるが、その存
在は分離に影響を与えない。
実施例7 ポリブレン被覆キャピラリーを使用する0.15%ヒドロキ
シエチルセルロース中のデオキシリボ核酸の一定電場対
向移動キャピラリー電気泳動(CMCE) DNA試料の装填前にポリブレンを用いてキャピラリー
を電気コーティングして、緩衝液はSB(0.15%ヒドロキ
シエチルセルロースを含む5mM Na−ホウ酸塩(pH=
9))であったこと以外は、キャピラリー電気泳動を実
施例1と同様に行った。
電気コーティングの程度を実施例1に記載したように
モニターした。電気コーティングは5分間SB中で、0.00
1%の濃度でポリブレンを用いて行い、これらの条件下
では29%のエンド浸透速度の減少になる(17.0 cm/分か
ら13.1 cm/分まで)。DNAピークは260 nmでモニターし
た。
3ナノグラムのDNA(ベセスダ・リサーチ・ラボラト
リーから入手した1kbラダー)をカラムに装填し、30分
の工程でDNAのピークは検出されなかった(図14)。
次にキャピラリーをSB緩衝液プラス10mM NaClを用い
て洗浄した。DNAを装填し、走行緩衝液としてSB+10 mM
NaClを使用して上記のように実験した。図15から見ら
れるように、次いで複数のDNAピークを30分間の走行中
に検出した。キャピラリーをSB緩衝液と20 mM NaClで洗
浄した。DNAを装填し、上記のように走行緩衝液としてS
B+20 mM NaClを使用して実験した;さらにDNA種を検出
した(図16)。これらの2つの図を比較して明らかなよ
うに特定のDNA種は、この場合、ステップ勾配を用いて
イオン交換方法で引き離すことができる。図15と16はピ
ークが鋭くDNAフラグメントが良く分離されることを示
している。
実施例8 陰イオン蛋白質のイオン交換キャピラリー電気泳動(IE
CE) キャピラリーの部分コーティングを基本的に実施例7
に記載したように10 mM Na−クエン酸塩緩衝液を用いて
行った。リボヌクレアーゼT1(pI=2.9)と一つの正の
荷電によって異なるRNase T1の変種を、真空下、キャピ
ラリーに装填した。キャピラリー電気泳動の条件は実施
例1に記載したものと同様であった。図17はその実験結
果を示す;4.82でのピークは中性マーカーであり、14.98
のスパイクは走行の端部を示す。RNase T1に相関する20
0nmでの限定できるピークはない。
pH=6.6のRNase T1で変種T1を負に荷電する。キャピ
ラリーを10mM Na−クエン酸塩緩衝液+10mM NaClで洗浄
し、さらに蛋白質を用いたとき、2つのピークが現れ
た。30mM NaClにて最大収量の蛋白質が得られるまで同
量の蛋白質を塩濃度の増加と共に装填するとき収率が増
加した(図18)。
本発明は特定の具体例、方法および応用に関して記載
されているが、高分子の分離を含む他の使用に対し本方
法の変更、本方法の応用を本発明から逸脱することなく
行うことができることは当業者の認めるところであろ
う。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/447

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内壁が荷電した表面化学基をもつキャピラ
    リー電気泳動チューブ中の高分子を分離する方法におい
    て、その方法が その電荷がチューブの内壁の化学基の電荷とは逆に荷電
    した化学基をもつ繰り返しのサブユニットを有するポリ
    イオン性ポリマーを含む溶液を、キャピラリーチューブ
    に引き入れ、 前記引き入れによって、チューブを通って、ポリマーを
    含まない電解質溶液が電気浸透移動している間にチュー
    ブ壁にポリマーを保持するに十分な結合安定性を持つ非
    共有化学基の相互作用によってチューブ内壁にポリイオ
    ン性ポリマーを結合し、 チューブ表面荷電基が実質的にポリマーに荷電によって
    マスクされるまで前記引き入れを継続し、 チューブの端部を電解質溶液を含むアノードとカソード
    の貯蔵器に浸漬し、 分離されるべき高分子を含む試料をチューブの一端に導
    入し、チューブの一端からチューブの他端に向かって試
    料中の高分子を引っ張るように極性作用をもち貯蔵器を
    横切る電場を印加する工程からなる分離方法。
  2. 【請求項2】前記チューブが、アニオンの表面化学基を
    有し、ポリマー中の繰り返しのサブユニットがカチオン
    の化学基を含む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】前記アニオンの表面基がシラン基であり、
    前記ポリマーが規則的に間隔をあけた、荷電したアミン
    基を含む、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】前記ポリマーが4級アミン荷電基をもつ疎
    水性ポリマーである、請求項2記載の方法。
  5. 【請求項5】ポリマーが、〔−N+(R3)−(CH2−N
    +(R3)−〕、式中のRは(水素、アルキル、アリー
    ルまたは官能基のような)側鎖基であり、n=2〜10、
    およびmはポリマー中に存在する繰り返しの単位の数で
    ある、形態のポリマーの群から選ばれる、請求項2記載
    の方法。
  6. 【請求項6】ポリマーがヘキサメスリンブロマイドであ
    る、請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】ポリマーが疎水性の分子間の相互作用を形
    成することができ、ポリマーを含む溶液がさらにこのよ
    うな疎水性の相互作用を減らすことができる試薬を含
    む、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】試薬がエチレングリコールである、請求項
    7記載の方法。
  9. 【請求項9】前記印加する工程の後に、チューブ壁から
    ポリマーを除去するために有効な溶液をチューブを通し
    て引き入れる、請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】ポリペプチドを分離する際に使用するた
    め、前記結合したポリマーがチューブの内壁に正味の正
    の荷電を与えて、前記印加する間にチューブ中の前記電
    解質がポリペプチドの等電点以下のpHを持つ、請求項1
    記載の方法。
  11. 【請求項11】チューブが正に荷電したアミン基を有
    し、前記ポリマーがポリスルホン酸、ポリカルボン酸、
    およびポリリン酸ポリマーからなる群から選ばれる負に
    荷電したポリマーである、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】核酸種を分離する際に使用するための、
    請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】ポリマーが両性イオンポリマーである、
    請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】荷電した表面基を有するキャピラリーチ
    ューブ中に選択された電気浸透流の特性を達成する方法
    が、 アノードとカソードの電解質貯蔵器中にチューブの向か
    い合った端部を置き、 1のチューブ端部から他のチューブ端部に向かって電気
    浸透流を生成するように電場を2個の貯蔵器を横切って
    印加し、 チューブの内壁の化学基の電荷とは逆に荷電した化学基
    をもつ繰り返しのサブユニットを有するポリイオン性ポ
    リマーを含む溶液をキャピラリーチューブに引き入れ、
    これによって、チューブを通って、ポリマーを含まない
    電解質溶液が電気浸透移動している間に内壁にポリマー
    を保持するに十分な結合安定性を持つ非共有化学基の相
    互作用によって内壁にポリマーを結合し、 ポリマーをチューブに引き入れて通すときチューブ内の
    電気浸透流速をモニターし、 前記モニターから決定されるように、所定の電気浸透流
    速をチューブ内に達成するまで、前記ポリマーをチュー
    ブ中に引き入れて通すことを継続する、各工程からなる
    方法。
  15. 【請求項15】前記チューブがアニオン性の表面の化学
    基を有し、前記ポリマーが規則的に間隔をあけた、カチ
    オン性の化学基を含むポリマーである、請求項14記載の
    方法。
  16. 【請求項16】ポリマーが、〔−N+(R3)−(CH2
    −N+(R3)−〕、式中のRは(水素、アルキル、アリ
    ールまたは官能基のような)側鎖基であり、n=2〜1
    0、およびmはポリマー中に存在する繰り返しの単位の
    数である、形態のポリマーの群から選ばれる、請求項15
    記載の方法。
  17. 【請求項17】荷電した表面基が表面壁に静電気的に結
    合する荷電したコーティング剤の分子に一部依存し、前
    記ポリマーが、ポリマーをチューブを通して引っ張ると
    き、表面壁からコーティング剤分子の除去を促進するた
    めに有効である、請求項14記載の方法。
  18. 【請求項18】ポリマーが、チューブの表面壁に静電気
    的に、そしてそれ自身に疎水的に結合するように働く荷
    電ポリマーであり、ポリマーをチューブに引き入れ通す
    とき、前記引き入れが、表面壁の電荷が中性となり最初
    の電気浸透流の方向で電気浸透流が止むまで、この最初
    の電気浸透流の方向にポリマーを引出すことを含み、さ
    らに向かい合った方向で、チューブ内の電気浸透流が選
    択された速度に達するまで同じ方向にチューブを通して
    荷電したポリマーを引き入れることを含む、請求項14記
    載の方法。
  19. 【請求項19】核酸種を分離する際に使用するため、前
    記キャピラリー表面壁が負に荷電した基を有し、前記ポ
    リマーが疎水性のポリアミンポリマーであり、さらに分
    離されるべき少なくとも1種がキャピラリー表面壁のポ
    リマーに結合していないイオン強度の電気泳動媒体中の
    核酸種を電気泳動により分離する工程を含む、請求項14
    記載の方法。
  20. 【請求項20】チューブの内壁の化学基の電荷とは逆に
    荷電した化学基をもつ繰り返しのサブユニットを有する
    非架橋ポリイオン性ポリマーで非共有的にコーティング
    された内壁を有し、 該ポリマーが、ポリマーを含まない電解質溶液が電気泳
    動している間に内壁にポリマーを保持するに十分な結合
    安定性で内壁に結合している、 荷電表面基および選択された電気浸透流特性を有するキ
    ャピラリーチューブ。
  21. 【請求項21】チューブがアニオン表面基を有し、ポリ
    マー内の繰り返しのサブユニットがカチオン化学基を含
    む、請求項20記載のキャピラリーチューブ。
  22. 【請求項22】チューブが正に荷電した表面基を有し、
    ポリマーがポリスルホン酸ポリマー、ポリカルボン酸ポ
    リマー、およびポリリン酸ポリマーからなる群から選ば
    れる負に荷電したポリマーである、請求項20記載のキャ
    ピラリーチューブ。
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