JP3042719B2 - コネクティングロッドの製造方法 - Google Patents

コネクティングロッドの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 発明の分野 本発明は、内燃機関用の破断分割(fracture split)
コネクティングロッド及び別の構成要素の周りで再び組
み立てるために分離されなくてはならない他の鍛造構成
要素の製造方法に関する。
関連技術の説明 フォードモータ社(Ford Motor Company)に譲渡され
ているホーグら(Hoag et al.)の米国特許第4,936,163
号、第4,993,134号、第5,109,605号及び第5,131,577号
は、機械加工されて予め圧力が加えられた単一の部品を
破断することによってコネクティングロッドを製造する
方法を開示している。単一の鍛造部品を破断分割するこ
とによってコネクティングロッドを製造する類似した方
法は、ラジェシュワー、ケイ.グプタ(Rajeshwar K.Gu
pta)による“Recent Developments in Materials and
Processes for Automotive Connecting Rods"(March,1
993,SAE Technical Paper No.930491)と、米国特許第
4,884,900号(ピロールトら(Pirault et al.))、第
4,970,783号及び第5,135,587号(オラニランら(Olanir
an et al.))においても記載されている。これらの破
断分割技術を使用して形成される構成要素の材料は、粉
末鍛造品、鋳鉄などの比較的もろく延性(靱性)の低い
材料である。
ベイリーら(Bailey et al.)の米国特許第3,818,577
号に記載のように、安価なエンジン用のコネクティング
ロッドなどのマシン構成要素を製造する製造コストを低
下させる見地では、破断分割は有益な技術である。しか
し、また示されるように、例えばディーゼルエンジン及
び高出力ガソリンエンジンに使用されるような高品質の
コネクティングロッドなどは強度が高く延性(靱性)が
高い材料の使用が必要であり、これらは過度に変形させ
ずに破断するには不適切である。この理由のため、ベイ
リーらは、単一部品として成形された部品を機械加工
し、次に電子ビームを使用して意図される分割面に沿っ
て非常に硬い脆化スチールのもろいゾーンを作ることに
よって高強度のコネクティングロッドを製造する方法を
開示している。このもろいゾーンは、金属のオーステナ
イト温度を上回るまで材料を加熱し、これを急冷するこ
とによって製造される。次に、この部品をもろい破断ラ
インに沿って2つの部分に破断することができ、これに
よりこの一対の部品には2つの部品間のスライドに対し
てかなりの抵抗を提供する不規則な接合面(mating sur
faces)が生じる。しかし、電子ビームは厚い部分を有
する部品を貫通できない、従って処理できない可能性が
あり、穴領域において薄く制御されたゾーンを得ること
が困難になる。更に、この方法は、そうでなければ延性
のある穴に表面において硬くもろいストライプが存在す
るために、穴を仕上げ機械加工する際に工具の問題を生
じる。また更に、この方法は、圧力を緩和する必要性の
可能性は言うまでもなく高価な設備及び余分な加工動作
を必要とし、これらは全てコストを上昇させる。
レイディン(Ladin)の米国特許第3,978,566号は複数
の接合セクション(部分)を備える分割構造の部材を有
する構成要素を組み立て製造する方法を開示しており、
ここで個々の構成要素は別々に製造され、予め機械加工
され、次に結合されたアセンブリになるように接着剤に
よって固定され、これはユニットとして仕上げ機械加工
される。仕上げ機械加工の後にアセンブリは分割され、
構成要素の最終組み立てのためにセクションの接合セッ
トが提供される。しかし、この技術もまたいくつかの欠
点を有する。
まず、2段階(予備及び仕上げ)の機械加工処理を必
要とし、構成要素の最終組み立ての前に接着剤が取り除
かれる場合は更に複雑になる。更に、接着剤の付着は結
合面の念入りなクリーニングを必要とする余分な処理ス
テップであり、部品の再分離後に接着剤を取り除く場合
は更に別のクリーニングステップが必要である。一方、
部品が再分離された後に接着剤が取り除かれない場合、
接着剤はガスケットのように動作して部品が十分な密着
度で最終的に組み立てられることを妨げる可能性があ
り、あるいは接着剤は取り付けの間に全体又は一部分が
圧縮してはがれる可能性があり、これは密着度及び公差
に悪影響を及ぼし、エンジンの問題を生じうる。更に、
たとえ接着剤が取り付けの間に圧縮したりはがれたりし
なくても、例えばエンジン環境におけるコネクティング
ロッドのために存在する油と反応して結果的に故障して
しまい、密着度及び公差にも影響を及ぼす可能性があ
る。また、接合面は滑らかであるため、これらの部品間
の相対移動を妨げるためにダウエル又は他の手段を使用
しなくてはならない。
従って、接着剤又は局所的な脆化を必要とせずに高強
度及び高延性の特性を有する材料を用いて有効に使用さ
れうる破断分割方法の必要性がなお存在する。更に、こ
のような方法は、ダウエルなどの別個の付加の要素の必
要性を取り除くように、接合される構成要素間に自己位
置決めの効果を生じるような態様で達成されることが望
ましい。
発明の概要 前述を考慮して、本発明の主な目的は、内燃機関用の
コネクティングロッド及び別の構成要素の周りで再び組
み立てるために分離されなくてはならない他の鍛造構成
要素の製造方法を提供することであり、これによって、
接着剤又は局所的な脆化を使用せず、破断分割鍛造構成
要素に従来使用される粉末鍛造品及び鋳鉄などの典型的
な「破断可能な」材料よりも疲労強度の高い材料を使用
して破断分割の有利な点を得ることができる。
本発明の別の目的はコネクティングロッドの製造方法
を提供することであり、これによって鍛造部品を互いに
対して自己位置決めすると共に機械加工の前に部品を圧
力ばめによって結合し、次に、結合後に部品の機械加工
(例えば、ラフボーリング、穴あけ及びねじ切り)をす
ることができる。
本発明の更なる目的は、接合面を破断分割した後の再
組み立て時に接着剤除去のような特別の加工をすること
なく、前述の目的を得ることである。
これらの及び他の目的は、本発明の実施の形態に従っ
て得られる。特に、この方法は、例えばロッド及びキャ
ップである別個の鍛造品を使用し、機械加工の前にこれ
らを共に圧印加工するか又は鍛造することで始められ
る。鍛造品の接合面は、鍛造品に自己位置決め能力を与
えるディンプル−凹部構造又は隆起−溝構造などの接合
特性又は入れ子特性を有して形成される。機械加工後、
鍛造品は元の境界線に沿って破断され、再び組み立てら
れる前に更なる加工を必要としない2つの独特な接合面
が得られる。
本発明のこれらの及び更なる目的、特徴及び有利な点
は、添付の図面と関連する以下の説明から明白になるで
あろう。図面は、本発明に従ったいくつかの実施の形態
を示している。
図面の簡単な説明 図1及び図2は、本発明の第1の実施の形態に従って
製造される継手リンクの正面図及び断面図である。
図3及び図4は、本発明の第2の実施の形態に従った
コネクティングロッドのロッド部分の側面図及び端面図
である。
図5及び図6は、本発明の第2の実施の形態に従った
コネクティングロッドのキャップ部分の側面図及び端面
図である。
好適な実施の形態の詳細な説明 本発明は、別の構成要素の周りで再び組み立てるため
に分離できなければならない2つの部分から形成される
鍛造構成要素を製造する方法である。図1及び図2はロ
ッド部分3及びキャップ部分5から構成される継手リン
ク1を示しており、図3〜図6は内燃機関用のコネクテ
ィングロッド1′を示しており、これは例えばクランク
シャフト(図示せず)の周りで組み立てるためにロッド
3′及びキャップ5′を有する。
ロッド3及びキャップ5は、コネクティングロッドに
おける使用で知られるあらゆる従来の高強度、高延性
(靱性)鍛造合金から作られる2つの別個の部品として
鍛造される。例示のみの目的で、4140及び15B41Aの焼入
れ及び焼戻されたスチールなどのスチール合金から鍛造
される部品を使用してこの方法を行うことができる。
コネクティングロッド1はロッド3及びキャップ5を
2つの別個の部品として熱間鍛造することによって製造
される。この2つの部品のうちの一方は楔状の溝7を有
し、他方は対応する楔状の隆起9を有し、これにより、
図2に示されるように組み立てられる際にこれらの部品
が正確に位置合わせされたままであるように作用する嵌
合面が作られる。あるいは、図3〜図6の実施の形態に
示されるように、部品のうちの一方、例えばロッド3′
を少なくとも1つのディンプル又はラグ12を有するよう
に形成し、他方、例えばキャップ3′を対応するディン
プル状又はラグ状の凹部14を有するように形成すること
ができる。
機械加工されていない鍛造部品3、5が例えば圧力ば
めすなわち摩擦結合によって図面に示されるように(あ
るいは部品3′、5′のアセンブリのように)組み立て
られると、アセンブリは鍛造されるか又は冷間圧印加工
され、その嵌合面間に機械的結合又は冶金学的結合の少
なくとも一方を形成する。組み立て及び冷間圧印加工又
は鍛造の前に嵌合面にコーティングを付着して適切なレ
ベルに達成した結合強度を変えることができる。例え
ば、窒化ボロン、黒鉛又は二硫化モリブデンを使用して
より弱い結合を作ることができ、銅又はニッケルを使用
して得られる結合を高めることができる。次に、部品
3、3′及び5、5′を単一部品として機械加工し、例
えば、穴15をラフボーリングし、使用中の部品3、5を
共に保持するために使用されるタップねじのために穴あ
け及びねじ切りをする。単一部品アセンブリの機械加工
後、機械加工されたアセンブリは部品3、5又は3′、
5′の元の嵌合面に沿って定められる分離ラインに沿っ
て破断分割される。この結果、元の隆起−溝又はディン
プル/ラグ−凹部の組み合わせ及び破断処理によって生
じた表面隆起は、取り付けのために部品3、5又は
3′、5′が再び組み立てられる際にこれらの部品の正
確な配置を可能にする。
この方法は、アセンブリの移動を防ぐためにダウエル
ピンを必要とせず、ジョイントの適切な接合を得るため
に、鍛造部品の一時的結合の準備として及び結合された
部品の破断分割の後に接触面の高価な機械加工を必要と
しない。接着剤又は局所的な脆化を使用せず、破断分割
鍛造構成要素に従来使用される粉末鍛造品及び鋳鉄など
の典型的な「破断可能な」材料よりも疲労強度の高い材
料を使用して破断分割の有利な点が得られる。
本発明に従っていくつかの実施の形態が示され、説明
されてきたが、本発明はこれらに限定されず、当業者に
既知のように種々の変更が可能である。例えば、本発明
は内燃機関のためのコネクティングロッドの製造に関し
て説明され、その情況において特に有益であるが、軸
箱、軸受け胴など、別の構成要素の周りで再び組み立て
るために分離されなくてはならない広範囲の他の部品の
製造にも適用できるであろう。従って、本発明は本文中
に示され説明された詳細に限定されず、請求項の範囲に
よって包含されるような変更を全て含む。
産業上の利用可能性 本発明は、別の構成要素の周りで再び組み立てるため
に分離されなければならない内燃機関用のコネクティン
グロッド、軸箱、軸受け胴などの構成要素の製造におい
て広範囲に適用される。特に、本発明は、従来の技術に
よる破断分割に適さない高強度、高延性の金属から製造
されなくてはならないような構成要素の製造において特
に有益であろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 パッテン、ジェイムス ダブリュ. アメリカ合衆国 47246 インディアナ 州 ホウプ イー.エス.アール. 46 19321 (72)発明者 ベッカー、ポール シー. アメリカ合衆国 47401 インディアナ 州 ブルーミントン ウィリアム コー ト 3504 (72)発明者 マックイナニー、テリー エム. アメリカ合衆国 47201 インディアナ 州 コロンバス フランクリン ストリ ート 2602 (72)発明者 ポッター、デニス ピー. アメリカ合衆国 47250 インディアナ 州 マディソン ノース ヒアフォード レーン 290 (72)発明者 ショート、ジェイムス エム. アメリカ合衆国 47227 インディアナ 州 サウス コムミスキー ウエスト シー.アール.850 3365 (72)発明者 ビッガースタッフ、ポール アメリカ合衆国 47565 インディアナ 州 ノース バーモン サウス ステイ ト 215 (72)発明者 スティーブンス、ロバート アメリカ合衆国 47203 インディアナ 州 コロンバス リバーサイド 4360 (56)参考文献 特開 昭59−99108(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23P 15/00 B23P 11/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】別の構成要素の周りで再び組み立てるため
    に分離することが可能な部品から形成されるコネクティ
    ングロッドを製造する方法であって、 A)2つの別個の部品を鍛造するステップと、 B)対応面に沿って前記2つの部品を結合し、単一部品
    を形成するステップと、 C)得られた前記単一部品を機械加工するステップと、 D)結合面に沿って伸びる分割ラインに沿って前記単一
    部品を破断するステップと、 を含む方法において、前記2つの部品を結合し前記単一
    部品を形成する時に、前記対応面が一方の面内に他方の
    面が圧力ばめされることによって、前記2つの部品が嵌
    合面間で嵌合結合によって結合され、かつ元の嵌合面に
    沿った分割ラインに沿って破断して分離することが可能
    であり、これによって再び組立られる前に更なる加工を
    必要としない2つの接合面を有する2つの部品を得るこ
    とを特徴とする、 コネクティングロッドの製造方法。
  2. 【請求項2】前記ステップBは、予備の機械加工をせず
    に鍛造によって作成された前記部品に適用される、請求
    の範囲第1項に記載のコネクティングロッドの製造方
    法。
  3. 【請求項3】前記嵌合面が、前記部品の一方の側に形成
    される楔状の断面を有する隆起と、前記部品のもう一方
    の側に形成される楔状の断面を有する溝とを含む、請求
    の範囲第1項又は第2項のいずれかに記載のコネクティ
    ングロッドの製造方法。
  4. 【請求項4】前記嵌合面が、前記部品の一方の側に形成
    される少なくとも1つのラグと、前記部品のもう一方の
    側に形成されるラグ状の凹部とを含む、請求の範囲第1
    項又は第2項のいずれかに記載のコネクティングロッド
    の製造方法。
  5. 【請求項5】前記ステップBによって圧力ばめされるほ
    かに、前記単一部品は鍛造又は冷間圧印加工のうちの1
    つがなされて、得られた結合強度を適切なレベルになる
    ようにする、請求の範囲第1項から第4項のいずれか一
    つに記載のコネクティングロッドの製造方法。
  6. 【請求項6】前記2つの部品は、これらが共に組み立て
    られる際に形成される中心穴が前記分割ライン上に位置
    する、請求の範囲第1項から第5項のいずれか一つに記
    載のコネクティングロッドの製造方法。
  7. 【請求項7】前記別個の部品が高強度及び高延性合金か
    ら作られる、請求の範囲第1項から第6項のいずれか一
    つに記載のコネクティングロッドの製造方法。
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