JP3041598B2 - 海藻レクチン及びその製造方法 - Google Patents

海藻レクチン及びその製造方法

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JP3041598B2 JP10123012A JP12301298A JP3041598B2 JP 3041598 B2 JP3041598 B2 JP 3041598B2 JP 10123012 A JP10123012 A JP 10123012A JP 12301298 A JP12301298 A JP 12301298A JP 3041598 B2 JP3041598 B2 JP 3041598B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紅藻類のオゴノリ属か
ら抽出するレクチン及びその製造方法に関する。本発明
に係るレクチンは、臨床診断試薬、生化学試薬等として
用いられる。
【0002】
【従来の技術】レクチンは、動植物又は細菌に見出さ
れ、特定の構造を持った糖又は糖鎖に結合し、動植物細
胞又は複合糖質を凝集又は沈降させる免疫学的産物以外
の糖蛋白質又は蛋白質である。
【0003】近年、生化学、細胞生物学の発展に伴い種
々の細胞間相互作用や分化、癌化等において糖鎖の構造
が重要な役割を担っていることが明らかとなるに連れ、
レクチンが持つそれぞれ特有の糖構造を認識するという
生物学的性質が注目され、広く研究されている。
【0004】そして、陸上植物のレクチンについてはマ
メ科植物を中心にその存在が認められて多種のレクチン
が市販され、医療分野や生化学分野において極めて重要
な物質となっている。一方、海洋生物由来のレクチン
は、陸上生物由来のものに比べると研究例が少ないが、
海藻にも広く分布し、326 種の海藻から205 種の存在が
明らかとなってきている。しかしながら、海藻レクチン
の殆どが単糖やオリゴ糖でその活性が阻止されないた
め、陸上植物レクチンのように阻害単糖をリガンドや溶
出剤とするアフィニティークロマトグラフィーでの精製
が困難であり、これまでに緑藻10種と紅藻13種からレク
チンが単離され、紅藻5種のものが部分精製されている
が、これらは何れも通常の蛋白質精製法が用いられてい
る[化学と生物 第35巻、9号 586頁(1994)]。しかし
ながら、このような精製方法は工程が長く、しかも長時
間を要するために大量生産に適していない。この事が多
くの海藻レクチンの存在を認めながら単離、精製に至っ
たものが少ない原因となっている。
【0005】海藻からの抽出は、何れも乾燥粉末又はホ
モジネートを用いて4℃で24時間から48時間の攪拌抽出
が行なわれている。しかしながら、海藻を粉末化又はホ
モジナイズして抽出した場合、色素蛋白質等の大量の夾
雑蛋白質が同時に抽出され、レクチンの単離及び精製を
困難なものとしている。また4℃での抽出については、
レクチンが糖蛋白質又は蛋白質であるためより安全な温
度条件で抽出するための手段である。しかしながら、こ
のような抽出条件は実生産を考えると設備的にも不利な
手法と言わざるを得ず、海藻を粉末化又はホモジナイズ
しない無処理の原藻を用いて室温での短時間抽出が望ま
しい。
【0006】海藻のレクチンとして、オゴノリ属又はオ
ゴノリ種から得られたものが幾つか報告されている。以
下にそれらを列記する。
【0007】オゴノリ属(Gracilaria sp.)からウサギ
赤血球に対して強い活性を示すが、他の動物赤血球に対
しては実質上活性を示さない分子量52,000のレクチン。
(特開平3−279396号公報)
【0008】オゴノリ(Gracilaria verrucosa)からウ
マ赤血球に対して強い活性を示すレクチン。このレクチ
ンは、40℃以下では安定であるが60℃以上で失活する。
[日本食品衛生学会46回学会講演要旨集、2頁(1983)]
【0009】オゴノリ(Gracilaria verrucosa)から分
子量300,000 〜400,000 、100,000 及び45,000のウマ赤
血球に対して活性を持つ3種のレクチン。[Nippon Sui
san Gakkaishi. 53巻、2133頁(1987)]
【0010】オゴノリ(Gracilaria verrucosa)からウ
マ赤血球に対して最も強い活性を示すが、ウサギ、モル
モット及びヒツジ赤血球に対してもかなり強い活性を持
つ分子量41,000のレクチン。[Bulletin of the Japane
se Society of Scientific Fisheries. 47巻、1079頁(1
981)]
【0011】オゴノリ(Gracilaria verrucosa)から分
子量26,000のレクチン。(平成4年日本水産学会春季大
会講演要旨集、 314頁)
【0012】シラモ(Gracilaria bursa-pastoris) か
ら加熱に対して40℃まで安定、pHは8で安定である
が、それより酸性及びアルカリ性で活性が低下するレク
チン。[Bulletin of the Japanese Society of Scient
ific Fisheries. 52巻、323 頁、(1986)]
【0013】シラモ(Gracilaria bursa-pastoris) か
ら分子量15,500、中性糖含量20%のレクチン。[Experi
entia. 46巻、 975頁(1990)]
【0014】オゴノリ種(Gracilaria tikvahiae)から
分子量150,000 のレクチン。[Carbohydrate Research.
207巻、 319頁(1990)]
【0015】上記したように、陸上生物レクチンは、医
療、生化学分野において利用されているが、今までにな
い新しいタイプの糖結合特異性を持ったレクチンの検索
及び開発が望まれている。陸上植物レクチンの多くは、
簡単な単糖やオリゴ糖でその活性が阻止されるが、海藻
レクチンは単糖やオリゴ糖で活性が阻止されるものが少
なく、両者は明らかに糖結合特異性が異なることが知ら
れている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、海藻のうち
資源的に豊富なオゴノリ属(Gracilaria sp.)を対象とし
て、既知の海藻レクチンとは異なる糖結合特異性を持っ
た新規なレクチン及びその製造方法を提供することを目
的としてなされたものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、海藻由来
の新規なレクチンを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、
上記した既報のものと明らかに異なる新規なレクチンを
見い出した。更に、このレクチンを工業生産を行なう場
合を想定した効率の良い抽出法と単離、精製法を発明
し、本発明を完成するに至ったものである。
【0018】すなわち、本発明の請求項1による海藻レ
クチンは、紅藻オゴノリ属(Gracilaria sp.)藻類からの
抽出物質であって、ウサギ赤血球に対して強い凝集活性
を示し、ヒトA型、B型、O型、ウマ、ヒツジ及びラッ
ト赤血球に対しては凝集活性を示さず、フェツイン、ア
シアロフェツイン、BSM(ウシ顎下腺ムチン)、アシ
アロBSM、チログロブリン及びラクトフェリンを強く
認識する糖結合特異性を持ち、分子量29,000及び16,000
のジスルフェド結合を持たない二つのサブユニットから
なる分子量45,000の二量体であることを特徴とするもの
ある。 また、本発明の請求項2による海藻レクチン
は、紅藻オゴノリ属(Gracilariasp.)藻類からの抽出物
質であって、ウサギ赤血球に対して強い凝集活性を示
し、ヒトA型、B型、O型、ウマ、ヒツジ及びラット赤
血球に対しては、プロナーゼ処理しない場合には凝集活
性を示さず、プロナーゼ処理した赤血球に対しては何れ
も凝集活性を示し、フェツイン、アシアロフェツイン、
BSM(ウシ顎下腺ムチン)、アシアロBSM、チログ
ロブリン及びラクトフェリンを強く認識する糖結合特異
性を持ち、分子量29,000及び16,000のジスルフィド結合
を持たない二つのサブユニットからなる分子量45,000の
二量体であることを特徴とするものである。
【0019】更に本発明の請求項3による海藻レクチン
の製造方法は、請求項1または2に記載した海藻レクチ
ンの製造方法であって、粉末化又はホモジナイズ処理を
行なわない原藻から水系媒体を用いて室温で12〜24時間
抽出し、抽出液からキチンカラムによるアフィニティー
クロマトグラフィー及びゲル濾過により単離、精製する
ことを特徴とするものである。
【0020】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。本発明のレク
チンは、紅藻のオゴノリ属(Gracilaria sp.)藻類より得
られる。
【0021】オゴノリ属藻類より得られるレクチンは、
以下のような糖結合特異性を有する。 (1) ウサギ赤血球に対して強い凝集活性を示し、ヒトA
型、B型、O型、ウマ、ヒツジ及びラット赤血球に対し
ては実質上活性を示さない。しかし何れの赤血球ともプ
ロナーゼ処理により凝集する。 (2) 各種単糖、オリゴ糖及び糖蛋白質を用いた赤血球凝
集阻害試験から、フェツイン、アシアロフェツイン、B
SM(ウシ顎下腺ムチン)、アシアロBSM、チログロ
ブリン及びラクトフェリンを強く認識する。また、オゴ
ノリ属藻類より得られるレクチンは、以下のような物理
化学的性質を有する。 (1) 分子量29,000及び16,000のジスルフィド結合を持た
ない二つのサブユニットからなる分子量約45,000の中性
糖43.8%を含む糖蛋白質である。 (2) 溶液の安定性は、30分間の加熱で70℃まで、またp
H4.0 から10.5の間に3時間の保持で、何れも赤血球凝
集活性は変化せず安定である。 以上のような糖結合特異性ならびに分子量及び安定性か
らみてオゴノリ属藻類由来のレクチンは、既知の海藻レ
クチンとは異なる新規なレクチンである。
【0022】本発明のレクチンは、以下のようにして得
ることができる。従来、海藻からのレクチンの抽出は、
乾燥粉末又はホモジネートを用いて4℃で24〜28時間の
撹拌抽出で行なわれている。また単離、精製法は、アフ
ィニティークロマトグラフィーが困難なため通常の蛋白
質精製法が用いられており、精製の工程が長く、長時間
を要するため実生産を考えると設備的にも不利な手法で
ある。
【0023】以下に述べる本発明のレクチンの抽出及び
単離、精製方法は、この問題を解決するために本願発明
者によって開発されたものであり、海藻からのレクチン
の製造方法として画期的なものである。
【0024】抽出は、無処理の原藻を用いることによ
り、粉末化又はホモジナイズした時に同時に抽出される
大量の色素蛋白質が抽出されず、次工程のクロマトグラ
フィーによる単離、精製を非常に容易なものとした。ま
た、このようにして得られた精製レクチンは、30分間の
加熱で70℃においても赤血球凝集活性は変化せず、非常
に安定であるため以下のような室温での抽出、単離及び
精製が可能となった。
【0025】まず、海藻は無処理の原藻を用い、水系媒
体で抽出する。水系媒体としては、生理食塩水にリン酸
緩衝液やトリス−塩酸緩衝液のような緩衝液を加えたも
のが好ましい。抽出は、好ましくは、4〜25℃の室温で
12〜24時間浸漬又は撹拌によって行なわれる。
【0026】一方、キチンを充填したカラム(キチンカ
ラム)を用意する。キチンは、市販の粉末キチンや多孔
質粒状キチン(例えばマリンカイト:富士紡績製)を用
いることができる。キチンカラムは、キチンを適当なク
ロマトグラフィー用カラムに充填し100mMの濃度のNH4O
H で洗浄した後、上記の抽出に用いる溶液で洗浄、平衡
化することによって調製する。
【0027】本発明のレクチンは、上記抽出液をキチン
カラムを用いてアフィニティークロマトグラフィーを行
い、吸着画分を例えば50m M〜100mMの濃度のNH4OH で
溶離することによって単離し、次に、ゲル濾過クロマト
グラフィーで精製することによって単離、精製すること
ができる。
【0028】
【発明の効果】本発明の海藻由来のレクチンは、新規な
ものであって、ウサギ赤血球に対して強い凝集活性を示
し、ヒトA型、B型、O型、ウマ、ヒツジ及びラット赤
血球に対しては実質上凝集活性を示さないという糖結合
特異性を有し、熱及び広いpH範囲で安定である。した
がって、この特性を利用して医療分野や生化学分野にお
いて広く利用し得る用途を持っている。また本発明の製
造方法は、既報の方法と比べて工程が大幅に短縮され、
かつ室温で製造できるために設備的にも多大な利点をも
たらすものである。
【0029】
【実施例】以下、紅藻類オゴノリ属のオゴノリ(Gracila
ria verrucosa)を用いて行なった実施例及び試験例によ
り、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明の
範囲を何ら制限するものではない。また以下には、本発
明と併せて研究した紅藻類テングサ属のマクサ(Gelidiu
m amansii)を用いた試験例を併記する。
【0030】実施例・・・ (1) 抽出、天日乾燥した原藻100gに100mMリン酸緩衝化
生理食塩水、pH7.4 (以下、PBSと称する)2Lを
加え、20〜25℃の室温で24時間撹拌抽出した。次いで藻
体を除去し、抽出液を濾過した。
【0031】(2) アフィニティークロマトグラフィー、
キチンカラムは、キチンをPBSで平衡化後、クロマト
グラフィー用カラムに充填し、100mM NH4OHで溶出洗浄
した後、PBSで溶出洗浄することによって調製した。
このキチンカラムに上記抽出液を通し、蛋白質成分の溶
出がみられなくなるまでPBSで溶出洗浄した。キチン
カラムへの吸着画分は、100mM NH4OH溶離し、純水に対
して透析後、凍結乾燥した。
【0032】(3) ゲル濾過クロマトグラフィー、上記凍
結乾燥物をPBSに溶解し、予めPBSで平衡化したト
ヨパールHW65Fによって精製した。活性画分を純水
に対して透析し、凍結乾燥によってレクチンを得た。
【0033】試験例・・・分子量の測定、還元及び非還
元条件下でのSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
(PAGE)は、Laemmli の方法で行なった。またゲル
濾過法による分子量の測定は、トヨパールHW55Fを
用いて行なった。マクサ由来のレクチンは、還元及び非
還元条件下でのSDS−PAGEで何れも分子量26,000
の単一バンドが検出されたことから、分子量26,000の単
量体であることを示している。オゴノリ由来のレクチン
は、還元及び非還元条件下でのSDS−PAGEで何れ
も分子量29,000及び16,000の二つのバンドが検出され、
ゲル濾過方法で分子量45,000と算定されたことから、オ
ゴノリ由来のレクチンは、分子量29,000及び16,000のジ
スルフィド結合を持たない二つのサブユニットからなる
分子量45,000の二量体であることを示している。
【0034】中性糖含量の測定 中性糖含量の測定は、
オルシノール−硫酸法で行なった。マクサ及びオゴノリ
由来のレクチンの中性糖含量は、それぞれ67.6%及び4
3.8%であった。
【0035】糖結合特異性 糖結合特異性は、血液特異
性ならびに各種単糖、オリゴ糖及び糖蛋白質を用いた赤
血球凝集阻害試験により調べた。
【0036】マクサ及びオゴノリ由来のレクチンの血液
特異性を表1に示した。
【表1】
【0037】マクサ由来のレクチンは、ヒト赤血球にお
いてはO型赤血球のみに強い凝集活性を示し、この活性
は赤血球のプロナーゼ処理により消失した。動物赤血球
に対しては、ウサギ及びラット赤血球に対して強い、ウ
マ赤血球に対しては弱い凝集活性を示し、この活性は赤
血球のプロナーゼ処理によりウサギ及びラット赤血球は
減弱され、ウマ赤血球は増強された。またヒツジ赤血球
に対しては凝集活性を示さなかった。
【0038】オゴノリ由来のレクチンは、ウサギ赤血球
のみに強い凝集活性を示し、ヒトA型、B型、O型、ウ
マ、ヒツジ及びラット赤血球に対しては実質上凝集活性
を示さなかった。しかし本レクチンは、プロナーゼ処理
した赤血球に対しては、何れも凝集活性を示した。
【0039】マクサ及びオゴノリ由来のレクチンの赤血
球凝集阻害試験の結果を表2に示した。
【表2】
【0040】マクサ由来のレクチンの赤血球凝集活性
は、単糖及びオリゴ糖のうちD−グルコース、D−ガラ
クトース、D−マンノース及びD−フコース等の中性
糖、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−
D−ガラクトサミン及びN−アセチル−D−マンノサミ
ン等のN−アセチルアミノ糖、N−アセチルノイラミン
酸、N−アセチルラクトサミン、N−アセチルキトビオ
ース及びN−アセチルキトトリオースによって阻害され
ず、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン及びD−マ
ンノサミン等のアミノ糖ならびにN−アセチルキトテト
ラオースによって阻害された。また糖蛋白質では、フェ
ツイン、アシアロフェツイン、BSM(ウシ顎下腺ムチ
ン)、チログロブリン及びラクトフェリンによって阻害
された。これらの結果から、マクサ由来のレクチンはD
−フコースとは結合しないが、N−アセチルキトテトラ
オースと結合すること、また上記したようにヒトO型赤
血球を特異的に凝集させることから、シチサス型抗Hレ
クチンであることが伺われる。
【0041】オゴノリ由来のレクチンの赤血球凝集活性
は、検査した全ての単糖及びオリゴ糖によって阻害され
なかった。糖蛋白質では、フェツイン、アシアロフェツ
イン、BSM(ウシ顎下腺ムチン)、アシアロBSM、
チログロブリン、ラクトフェリンによって強く阻害さ
れ、α1 −酸性糖蛋白質、グリコフォリン及びアシアロ
グリコフォリンによって弱く阻害された。
【0042】溶液での安定性、マクサ及びオゴノリ由来
のレクチンの溶液での安定性は、30℃〜90℃までの加温
及びpH4.0 〜10.5での保持で行なった。
【0043】温度安定性はマクサ及びオゴノリ由来のレ
クチンとも100mMリン酸緩衝化生理食塩水に溶解し、そ
れぞれ30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃及び90℃で
30分間加温し、冷却後、赤血球凝集活性を測定した。
【0044】マクサ及びオゴノリ由来のレクチンの温度
安定性試験結果を図1に示した。
【0045】マクサ由来のレクチンは90℃まで、オゴノ
リ由来のレクチンは70℃まで赤血球を凝集活性に変化は
なく、安定であった。
【0046】pH安定剤は、マクサ及びオゴノリ由来の
レクチンとも、0.15MNaClに溶解し、pH4.0 から10.5
まで7種類の緩衝液(pH4.0 及び5.0 ; 20mM酢酸緩
衝液、pH6.0 及び7.0 ; 20mMリン酸緩衝液、pH8.
0 ;トリス−塩酸緩衝液、pH9.0 及び10.5;グリシン
−NaOH緩衝液)の等量と混合し、3時間静置した後、赤
血球凝集活性を測定した。
【0047】マクサ及びオゴノリ由来のレクチンのpH
安定性試験結果を図2に示した。
【0048】マクサ及びオゴノリ由来のレクチンともp
H4.0 から10.5の広い範囲で赤血球凝集活性に変化はな
く、安定であった。
【0049】本発明のオゴノリ由来のレクチンは、マク
サ由来のレクチンとともに、熱及び広いpH範囲でその
赤血球凝集活性が変化せず、非常に安定なものであっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】マクサ及びオゴノリ由来のレクチンの温度安定
性試験結果を示すグラフ図
【図2】マクサ及びオゴノリ由来のレクチンのpH安定
性試験結果を示すグラフ図
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B01D 15/08 B01D 15/08 (56)参考文献 Bot.Mar.,Vol.28 (12),p.517−520(1985) Bot.Mar.,Vol.34 (3),p.211−214(1991) J.Mar.Biotechno l.,Vol.2(3),p.149−155 (1995) J.Apl.Phycol.,Vo l.5(2),p.213−218(1993) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 14/42 C07K 1/14 C07K 1/16 C07K 1/22 A61K 35/80 B01D 15/08 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) WPIDS(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紅藻オゴノリ属(Gracilaria sp.)藻類か
    らの抽出物質であって、ウサギ赤血球に対して強い凝集
    活性を示し、ヒトA型、B型、O型、ウマ、ヒツジ及び
    ラット赤血球に対しては凝集活性を示さず、フェツイ
    ン、アシアロフェツイン、BSM(ウシ顎下腺ムチ
    ン)、アシアロBSM、チログロブリン及びラクトフェ
    リンを強く認識する糖結合特異性を持ち、分子量29,000
    及び16,000のジスルフィド結合を持たない二つのサブユ
    ニットからなる分子量45,000の二量体である海藻レクチ
    ン。
  2. 【請求項2】 紅藻オゴノリ属(Gracilaria sp.)藻類か
    らの抽出物質であって、ウサギ赤血球に対して強い凝集
    活性を示し、ヒトA型、B型、O型、ウマ、ヒツジ及び
    ラット赤血球に対しては、プロナーゼ処理しない場合に
    は凝集活性を示さず、プロナーゼ処理した赤血球に対し
    ては何れも凝集活性を示し、フェツイン、アシアロフェ
    ツイン、BSM(ウシ顎下腺ムチン)、アシアロBS
    M、チログロブリン及びラクトフェリンを強く認識する
    糖結合特異性を持ち、分子量29,000及び16,000のジスル
    フィド結合を持たない二つのサブユニットからなる分子
    量45,000の二量体である海藻レクチン。
  3. 【請求項3】 請求項1または2 に記載した海藻レクチ
    ンの製造方法であって、粉末化又はホモジナイズ処理を
    行なわない原藻から水系媒体を用いて室温で12〜24時間
    抽出し、抽出液からキチンカラムによるアフィニティー
    クロマトグラフィー及びゲル濾過により単離、精製する
    ことを特徴とする海藻レクチンの製造方法。
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