JP3041331B2 - 狭開先tig溶接装置 - Google Patents

狭開先tig溶接装置

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JP3041331B2
JP3041331B2 JP9273898A JP27389897A JP3041331B2 JP 3041331 B2 JP3041331 B2 JP 3041331B2 JP 9273898 A JP9273898 A JP 9273898A JP 27389897 A JP27389897 A JP 27389897A JP 3041331 B2 JP3041331 B2 JP 3041331B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、比較的厚みのあ
る被溶接材を溶接する際に好適に用いられる狭開先TI
G溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄骨、橋梁、ボイラなどのように比較的
大型の構造物においては、例えば板厚80mmを越える
ような厚板の溶接施工を必要とするものが多い。これら
の構造物の溶接部のうち、特に円管の端部間の溶接部の
ように片面からの溶接施工を必要とする突合せ溶接継手
部では、開先の狭小化が要求されている。これは、溶着
断面積の減少による工数の減少と、溶接変形量の低減と
を実現するためである。
【0003】図5は、狭開先の溶接例を示す断面図であ
る。被溶接材60と61との間の溶接部62にはU形の
開先が形成されている。被溶接材60、61の厚みA1
は例えば80mmであり、開先の最大幅A2は例えば2
0mmであり、開先角度αは例えば6度である。このよ
うな狭開先の溶接部62では、発生するスパッタに対す
る対策が重要であり、また片面施工の場合には、裏波ビ
ードの形成が必要となるため、スパッタの発生の少ない
TIG(タングステンイナートガス)溶接が一般的に採
用されている。図5の例では、開先の底面付近はTIG
溶接を、残りはMAG溶接を行っている。
【0004】このような狭開先内でTIG溶接を行うに
は、溶接トーチを開先の底面付近まで挿入する必要があ
るため、溶接トーチを薄く形成しなければならない。特
開昭57−52575号公報には、狭開先専用のTIG
溶接用トーチが開示されている。このトーチでは、薄形
化を図ると共に、良好なシールド状態を実現するため
に、タングステン電極の前後にシールドノズルを配置し
ている。尚、「前後」とは、溶接トーチの移動方向の前
方側及び後方側を意味する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した溶接トーチで
は、シールドノズル部分は微小なガス噴出孔を側面及び
前面に多数形成して成る。これらのガス噴出孔はガス通
路に直接連通しているため、上記ガス噴出孔から比較的
勢い良くシールドガスが噴出し、溶接位置付近で貯留す
ることなく拡散してしまい、シールド状態が不完全にな
るおそれがある。
【0006】また、スパッタが全く発生しないわけでは
ないので、ガス噴出孔が詰まる場合がある。かかる場
合、ノズル部分を取外し、交換できるようには構成され
ていないため、メンテナンスのためにノズル部分を掃除
する必要がある。ノズル部分の掃除にはある程度の時間
と手間を要し、この間は溶接を行えないので、溶接作業
の効率を低下させる要因となる。また、複数の溶接トー
チを用意して交換しながら溶接を行うようにすること
で、溶接作業自体は円滑に進めることはできるが、ノズ
ル部分の掃除というメンテナンス作業は依然として行わ
なければならず、作業者の負担は大きい。
【0007】この発明は上記従来の欠点を解決するため
になされたものであって、その目的は、シールドノズル
のメンテナンスを容易にかつ安価に実現すると共に、良
好なシールド状態を実現して良好な溶接を行うことがで
きる狭開先TIG溶接装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで請求項1の狭開先
TIG溶接装置は、タングステン電極を保持するトーチ
本体を備える溶接トーチを、被溶接材の開先内に挿入し
て開先に沿って相対的に移動させると共に、上記タング
ステン電極に関して上記移動方向の前方側及び後方側に
それぞれ配置された前部及び後部シールドノズルからシ
ールドガスを噴出させながらTIG溶接を行う狭開先T
IG溶接装置において、上記前部及び後部シールドノズ
ルは、金属粒子を焼結して成る多孔性材料から成り、か
つシールドガス供給経路の出口に対して着脱可能に配置
されていることを特徴としている。
【0009】上記請求項1の狭開先TIG溶接装置で
は、溶接時に発生するスパッタ等により噴出孔が詰まっ
てしまったような場合は、シールドノズルを新しいもの
に交換すればよい。従って、従来のように溶接トーチを
取外してノズル部分を掃除するといった手間をかける必
要がなく、メンテナンス作業を容易にかつ短時間で行う
ことができるようになり、作業者の負担が軽減され、溶
接作業の効率が向上する。また、金属粒子の焼結は比較
的安価に行うことができ、シールドノズルの製造コスト
を低減することができる。従って、シールドノズルを頻
繁に交換してもコストの上昇はあまり問題とはならず、
溶接位置のシールドを常に良好な状態に保つことがで
き、良好な溶接を行うことができる。また、金属で形成
したことによって耐熱性に優れる。さらに、多孔性材料
で実現したことにより、シールドノズルの外表面には、
微細な多数の噴出孔がほぼ均一に配置されることにな
り、シールドガスがシールドノズルの周囲に均一にかつ
ゆっくりと噴出する。これによって、シールドガスの拡
散を抑制することができ、良好なシールドを実現するこ
とができる。
【0010】 また請求項の狭開先TIG溶接装置
は、上記に加えてさらに、上記タングステン電極への溶
接電力供給は、導電性材料から成るトーチ本体を介して
行われており、上記前部及び後部シールドノズルは、上
記トーチ本体に取付けられて上記シールドガス供給経路
の出口を構成する絶縁体に対して着脱可能に配置されて
いることを特徴としている。
【0011】 上記請求項の狭開先TIG溶接装置で
は、上記に加えてさらに、金属性のシールドノズルは絶
縁体上に配置されているので、トーチ本体から溶接電力
が供給されることはなく、シルードノズルが被溶接材に
接触してもアークは発生せず、シールドノズルの破損を
防止できる。
【0012】 さらに請求項の狭開先TIG溶接装置
は、上記絶縁体は、開先幅方向の寸法が、上記トーチ本
体及びシールドノズルのそれよりもやや大きく形成され
ていることを特徴としている。
【0013】 上記請求項の狭開先TIG溶接装置で
は、溶接トーチが開先内で開先の幅方向に不必要に大き
く動いてしまった場合でも、絶縁体が開先内表面に衝突
するので、衝撃がトーチ本体及びシールドノズルに直接
加わることはなく、破損を防止できる。また、トーチ本
体と被溶接材との接触を防止できたことにより、アーク
の発生に起因した破損も防止できる。
【0014】 請求項の狭開先TIG溶接装置は、上
記シールドノズルは、略円柱状に形成されると共に、内
部には上面が上記シールドガス供給経路の出口に連通す
る略円柱状の凹部を有することを特徴としている。
【0015】 上記請求項の狭開先TIG溶接装置で
は、凹部の側面及び底面から外表面までの距離をほぼ等
しくできるので、シールドノズルからほぼ均一にシール
ドガスを噴出させることができる。これによって、良好
なシールドを実現することができる。
【0016】 請求項の狭開先TIG溶接装置は、上
記トーチ本体は、上記タングステン電極を冷却する冷却
水の循環供給経路と、上記シールドガス供給経路とを内
蔵することを特徴としている。
【0017】 上記請求項の狭開先TIG溶接装置で
は、トーチ本体に複数の機能を持たせることにより、溶
接トーチの小型化を図ることができる。
【0018】 請求項の狭開先TIG溶接装置は、溶
接位置を撮像する位置と、溶接後の溶接ビードを撮像す
る位置との間を移動可能に配置された撮像手段を備える
ことを特徴としている。
【0019】 上記請求項の狭開先TIG溶接装置で
は、溶接位置を撮像することによって、タングステン電
極及び溶接ワイヤが所定の位置にあるかどうかや、溶接
金属の溶融池の状態(垂れ落ちはないか、幅は適正かな
ど)を監視することができ、また、溶接後の溶接ビード
を撮像することによって、外観上の欠陥があるかどうか
を検査することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、この発明の狭開先TIG溶
接装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつ
つ詳細に説明する。図1は、狭開先TIG溶接装置(以
下、単に「溶接装置」という)1の全体の構成を示し、
(a)は平面図であり、(b)は背面図である。
【0021】溶接装置1は、図5に示すような狭開先の
底部付近をTIG溶接する際に用いられるものであり、
図示しない移動装置によって被溶接材に対して図1紙面
左方向に移動しながら溶接を行う。従って、溶接装置1
の幅(図1(a)の紙面垂直方向の寸法、図1(b)の
上下方向の寸法)は、開先の幅に対応して比較的薄く形
成される。また、溶接装置1は、上記移動装置によって
図1(a)の紙面垂直方向に移動可能であり、これによ
って開先内をその幅方向に移動できる。また、溶接装置
1は、上記移動装置によって図1(a)の紙面上下方向
に移動可能であり、これによって開先内をその深さ方向
に移動できる。このような溶接装置1の制御は、遠隔操
作によって行われる。尚、溶接装置1を固定し、被溶接
材を移動させる構成であってもよい。
【0022】溶接装置1は、ベース2に対して、複数の
構成部品が移動方向に沿って並んで配置されている。ベ
ース2のほぼ中央部には、溶接トーチ3が配置されてい
る。溶接トーチ3の移動方向前方側には、送給チップブ
ラケット4に取付けられたワイヤ送給チップ5が配置さ
れている。ワイヤ送給チップ5は、溶接位置近傍に溶接
ワイヤを順次送給する。また、送給チップブラケット4
には、ワイヤ送給チップ5よりもベース2側に前部CC
Dカメラ6が取付けられている。前部CCDカメラ6
は、溶接位置が適正な位置にあるかどうか、溶接ワイヤ
が適正な位置に供給されているかどうかなどを監視する
ために用いられる。また、溶接トーチ3と送給チップブ
ラケット4との間には、前部フィルタ駆動シリンダ7が
配置される。前部フィルタ駆動シリンダ7は、前部CC
Dカメラ6の撮影状態に応じて、前部フィルタボックス
8を移動させる。即ち、アークが発生して強い光が前部
CCDカメラ6に入射すると正常な撮影ができなくなる
ので、前部フィルタボックス8を前部CCDカメラ6の
前方に配置して光の一部を遮断する。
【0023】一方、溶接トーチ3の移動方向後方側に
は、後部CCDカメラブラケット9に取付けられた後部
CCDカメラ10が配置される。後部CCDカメラ10
は、後部CCDカメラ駆動シリンダ11を駆動すること
によって、図1(a)で実線で示す第1の撮影位置と、
二点鎖線で示す第2の撮影位置との間を移動することが
できる。第1の撮影位置では、溶接金属の溶融池の状態
(垂れ落ちはないか、幅は適正かなど)を監視するため
に溶接位置を撮影する。また、第2の撮影位置では、溶
接ビードに外観上の欠陥があるかどうかを監視するた
め、溶接ビードの表面を真上(表面に対して垂直方向)
から撮影する。また、溶接トーチ3と後部CCDカメラ
ブラケット9との間には、後部フィルタ駆動シリンダ1
2が配置される。後部フィルタ駆動シリンダ12は、後
部CCDカメラ10の撮影状態に応じて、後部フィルタ
ボックス13を移動させる。即ち、上述した前部CCD
カメラ6の場合と同様に、アークが発生しているとき
は、後部フィルタボックス13を後部CCDカメラ10
の前方に配置して光の一部を遮断する。
【0024】尚、溶接トーチ3の後方側の側面には、照
明装置14が配置されている。この照明装置14は、溶
接位置を照らすために用いられる。これは、アークが発
生していないときは、開先の底部には周囲光はほとんど
入射しないため、CCDカメラ6、10の撮影が光量不
足でできなくなることを防止するためである。また、前
部及び後部フィルタ駆動シリンダ7、11はエアシリン
ダであり、図1(b)に示すように、駆動源であるエア
がエアホース15、16によってそれぞれ供給される。
【0025】図2は、溶接トーチ3の全体の構成を示
し、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。ま
た図3は、トーチ本体22の構成を示し、(a)は平面
図であり、(b)は(a)の切断面線I−Iから見た断
面図である。図1を併せて参照しながら、溶接トーチ3
の構成を説明する。
【0026】タングステン電極(以下、単に「電極」と
いう)21は、トーチ本体22によって保持されてお
り、その先端部は絶縁ブラケット23を貫通して突出し
ており、トーチ本体22からガイドブラケット24まで
は電極案内ホース20内を挿通し、その後端部側はガイ
ドブラケット24によって支持されている。電極21
は、トーチ本体22内の電極支持孔19内を挿通し(図
3参照)、例えば、止めねじ25を締めることによって
トーチ本体22に対して固定されるので、先端部の突出
量を適宜調整することができる。トーチ本体21は導電
性材料から成り、図示しない供電ケーブルからの溶接電
力を電極21に供給する。尚、トーチ本体22とガイド
ブラケット24とは、左右側面部を支持ブラケット3
8、38によって支持されて所定の間隔をあけて固定さ
れる。
【0027】絶縁ブラケット23は、例えばセラミック
スから成り、ボルト26、26によってトーチ本体22
に固定される。絶縁ブラケット23の幅(図2(b)の
左右方向の寸法、即ち開先幅方向の寸法)Wは、トーチ
本体22及び後述するシールドノズル27、28の幅よ
りも、やや大きく形成される。
【0028】ここで、電極21に関して、溶接装置1の
移動方向(図面の左右方向)の前方側及び後方側には、
それぞれ所定の間隔をあけて前部及び後部シールドノズ
ル27、28が配置される。これらのシールドノズル2
7、28は、絶縁ブラケット23に対して着脱可能に配
置される。シールドノズル27、28は、シールドガス
を噴出させるものであり、従ってトーチ本体22及び絶
縁ブラケット23の内部には、シールドガス供給経路が
形成されている。即ち、図2(a)及び図3に示すよう
に、シールドガスホース29からのシールドガスは、ト
ーチ本体22内の経路30及び絶縁ブラケット23内の
経路31を通って、前部シールドノズル27から噴出さ
れる。また、シールドガスホース32からのシールドガ
スは、トーチ本体22内の経路33及び絶縁ブラケット
23内の経路34を通って、後部シールドノズル28か
ら噴出される。
【0029】また、トーチ本体22の内部には、電極2
1を冷却する冷却水を循環させる冷却水循環経路35が
形成されている。従って、冷却水ホース36からの冷却
水は、冷却水循環経路35を通って電極21を冷却した
後、冷却水ホース37に流出する。尚、上述した5本の
ホース29、36、37、20、32は、トーチ本体2
2に形成された凹部41a〜41eに、先端がそれぞれ
嵌合されて取付けられると共に、ガイドブラケット24
によって支持される。
【0030】ガイドブラケット24は、絶縁ホルダ3
9、40によって挟持され、この絶縁ホルダ39、40
が上記ベース2に対して取付けられる。これによって、
ベース2と溶接トーチ3と間の絶縁が確保される。
【0031】図4は、前部シールドノズル27の断面図
である。前部シールドノズル27は、焼結体部分46と
取付部分47とから成る。焼結体部分46は、金属粒子
を焼結して成る多孔性材料を略円柱状に成型して形成さ
れる。例えば、銅の粒子をボロンでコーティングしたも
のを焼結して形成する。焼結体部分46の内部には、略
円柱状の凹部48が形成されている。一方、取付部分4
7は、略円筒状に形成され、内部がガス経路49とな
る。このガス経路49は、凹部48の上面に連通する。
また、取付部分47の外周面にはねじ50が形成されて
おり、ねじ50を、上記絶縁ブラケット23に形成され
た凹部内周面のねじ(図示せず)に螺合することによっ
て、前部シールドノズル27は絶縁ブラケット23に対
して着脱可能に配置される。尚、後部シールドノズル2
8についても、前部シールドノズル27と同様である。
【0032】以上のように本実施の形態によれば、前部
及び後部シールドノズル27、28を着脱可能に配置し
たことによって、溶接時に発生するスパッタ等によりノ
ズルが詰まってしまったような場合は、シールドノズル
を新しいものに交換するだけで即座に対応できる。従っ
て、メンテナンス作業を容易にかつ短時間で行うことが
でき、作業者の負担が軽減されると共に、溶接作業の効
率も向上する。
【0033】また、金属粒子の焼結体を利用したシール
ドノズル27、28は比較的安価に製造することができ
るので、シールドノズル27、28を頻繁に交換しても
コストの上昇はあまり問題とならず、溶接位置のシール
ド状態を常に良好に保つことができ、良好なTIG溶接
を行うことができる。また、金属製のシールドノズルで
あるので、耐熱性に優れる。
【0034】さらに、多孔性材料で形成したことによ
り、シールドノズル27、28の外表面には微細な多数
の噴出孔がほぼ均一に配置されることになり、シールド
ガスはシールドノズル27、28の周囲に均一にかつゆ
っくりと噴出される。従って、シールドガスの拡散を抑
制することができ、良好なシールド状態を実現すること
ができる。
【0035】また、シールドノズル27、28の焼結体
部分46に凹部48を形成したことによって、凹部48
の側面及び底面から外表面までの距離をほぼ等しくな
り、シールドノズル27、28からほぼ均一にガスを噴
出させることができる。これによって、良好なシールド
状態を実現することができる。
【0036】上述したようにシールドノズル27、28
は金属製であり、従って導電性を有するが、絶縁ブラケ
ット23に取付けたことによって、トーチ本体22との
間の絶縁は保たれる。従って、トーチ本体22に供給さ
れている溶接電力がシールドノズル27、28に供給さ
れることはなく、シールドノズル27、28が被溶接材
に接触してもアークは発生せず、シールドノズル27、
28の破損を防止できる。
【0037】また、絶縁ブラケット23の幅Wは、トー
チ本体22及びシールドノズル27、28の幅よりもや
や大きく形成されているので、溶接トーチ3が開先内で
開先の幅方向に不必要に大きく動いてしまった場合で
も、絶縁ブラケット23が開先内表面に衝突するので、
衝撃がトーチ本体22及びシールドノズル27、28に
直接加わることはなく、破損を防止できる。また、トー
チ本体22と被溶接材との接触を防止できたことによ
り、アークの発生に起因した破損も防止できる。
【0038】さらに、トーチ本体22に、複数の機能、
例えば通電機能、冷却機能、シールドガス供給機能等を
持たせたことにより、溶接トーチ3の小型化を図ること
ができる。
【0039】また、前部及び後部CCDカメラ6、10
を配置したことにより、溶接位置付近の状態を監視する
ことができ、適正な溶接を行うことができる。また、後
部CCDカメラ10は溶接後の溶接ビードを撮影するこ
とができるので、溶接を行いながら溶接ビードの欠陥の
検査を行うことができる。
【0040】
【発明の効果】以上のように請求項1の狭開先TIG溶
接装置によれば、スパッタ等によりシールドノズルが詰
まってしまった場合には、シールドノズルを新しいもの
に交換すればよく、メンテナンス作業を容易にかつ短時
間で行うことができるようになり、作業者の負担が軽減
されると共に、溶接作業の効率化を図ることができる。
また、シールドノズルは安価に製造できるので、コスト
の上昇をあまり気にすることなく、頻繁にシールドノズ
ルを交換することができ、また、多孔性材料で実現した
ことにより、シールドガスの拡散を抑制することがで
き、これらによって、溶接位置のシールドを常に良好に
保つことができ、良好な溶接を実現できる。さらに金属
で形成したことによって、耐熱性を向上することもでき
る。
【0041】 しかも上記に加えて請求項1の狭開先T
IG溶接装置によれば、シールドノズルは絶縁されてシ
ールドノズルが被溶接材に接触してもアークは発生せ
ず、シールドノズルの破損を防止できる。
【0042】 また請求項の狭開先TIG溶接装置に
よれば、溶接トーチが開先内で不必要に動いてしまった
場合でも、絶縁体の存在によって、トーチ本体及びシー
ルドノズルに衝撃が直接加わることはなく、また、トー
チ本体と被溶接材との間でアークが発生することもない
ので、トーチ本体及びシールドノズルの破損を防止でき
る。
【0043】 請求項の狭開先TIG溶接装置によれ
ば、シールドノズルの外表面からほぼ均一にシールドガ
スを噴出させることができるので、良好なシールドを実
現できる。
【0044】 請求項の狭開先TIG溶接装置によれ
ば、溶接トーチの小型化を図ることができる。
【0045】 請求項の狭開先TIG溶接装置によれ
ば、撮像手段を用いて溶接状態及び溶接ビードを監視で
きるので、溶接装置の操作の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の全体の構成を示し、
(a)は平面図であり、(b)は背面図である。
【図2】上記実施の形態に用いられる溶接トーチの構成
を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図であ
る。
【図3】上記溶接トーチを構成するトーチ本体を示し、
(a)は平面図であり、(b)は(a)の切断面線I−
Iから見た断面図である。
【図4】上記溶接トーチに用いられるシールドノズルの
断面図である。
【図5】狭開先の溶接例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 狭開先TIG溶接装置 3 溶接トーチ 6 前部CCDカメラ 10 後部CCDカメラ 21 タングステン電極 22 トーチ本体 23 絶縁ブラケット 27 前部シールドノズル 28 後部シールドノズル 29 シールドガスホース 30 経路 31 経路 32 シールドガスホース 33 経路 34 経路 35 冷却水循環経路 36 冷却水ホース 37 冷却水ホース 46 焼結体部分 48 凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河原 秀夫 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工 業株式会社 野田工場内 (56)参考文献 特開 平7−51860(JP,A) 特開 平9−10944(JP,A) 特開 平9−206947(JP,A) 特開 昭60−227977(JP,A) 実開 昭58−170172(JP,U) 実開 平3−116273(JP,U) 実開 昭59−10981(JP,U) 実開 昭57−52273(JP,U) 実開 昭63−76379(JP,U) 実開 昭58−152389(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/167 B23K 9/29

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステン電極を保持するトーチ本体
    を備える溶接トーチを、被溶接材の開先内に挿入して開
    先に沿って相対的に移動させると共に、上記タングステ
    ン電極に関して上記移動方向の前方側及び後方側にそれ
    ぞれ配置された前部及び後部シールドノズルからシール
    ドガスを噴出させながらTIG溶接を行う狭開先TIG
    溶接装置において、上記前部及び後部シールドノズル
    は、金属粒子を焼結して成る多孔性材料から成り、かつ
    シールドガス供給経路の出口に対して着脱可能に配置さ
    れていて、さらに上記タングステン電極への溶接電力供
    給は、導電性材料から成るトーチ本体を介して行われて
    おり、上記前部及び後部シールドノズルは、上記トーチ
    本体に取付けられて上記シールドガス供給経路の出口を
    構成する絶縁体に対して着脱可能に配置されていること
    を特徴とする狭開先TIG溶接装置。
  2. 【請求項2】 上記絶縁体は、開先幅方向の寸法が、上
    記トーチ本体及びシールドノズルのそれよりもやや大き
    く形成されていることを特徴とする請求項の狭開先T
    IG溶接装置。
  3. 【請求項3】 上記シールドノズルは、略円柱状に形成
    されると共に、内部には上面が上記シールドガス供給経
    路の出口に連通する略円柱状の凹部を有することを特徴
    とする請求項1又は請求項2の狭開先TIG溶接装置。
  4. 【請求項4】 上記トーチ本体は、上記タングステン電
    極を冷却する冷却水の循環供給経路と、上記シールドガ
    ス供給経路とを内蔵することを特徴とする請求項の狭
    開先TIG溶接装置。
  5. 【請求項5】 溶接位置を撮像する位置と、溶接後の溶
    接ビードを撮像する位置との間を移動可能に配置された
    撮像手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項
    のいずれかの狭開先TIG溶接装置。
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