JP3040857B2 - 光アイソレータ - Google Patents

光アイソレータ

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JP3040857B2
JP3040857B2 JP3237001A JP23700191A JP3040857B2 JP 3040857 B2 JP3040857 B2 JP 3040857B2 JP 3237001 A JP3237001 A JP 3237001A JP 23700191 A JP23700191 A JP 23700191A JP 3040857 B2 JP3040857 B2 JP 3040857B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は0.6μmないし0.8
μmの短波長帯の光アイソレータのファラデー回転子に
カドミウム・マンガン・テルルからなる磁気光学材料を
用いた光アイソレータに関する。
【0002】
【従来の技術】波長が0.6μmないし0.8μmの短
波長半導体レーザ、又はガスレーザ等を光源として用い
る、光通信、光計測、光磁気記録等において、戻り光雑
音の除去のために光アイソレータの使用が提案されてい
る。光アイソレータは、ファラデー回転子を、偏向子及
び検光子で光軸方向に挟み込み磁界方向を光軸方向に印
加し構成されている。波長が0.6μmないし0.8μ
m帯におけるファラデー回転子材料として、カドミウム
(Cd)・マンガン(Mn)・テルル(Te)からなる
半磁性半導体Cd1-xMnxTe(0<X≦1)の磁気光
学材の使用が検討されている。一般にCd1-xMnxTe
(0<X≦0.7)結晶はブリッジマン法により液相か
ら凝固させて作製される。結晶は立方晶の閃亜鉛鉱構造
で光学的に等方なので、従来は任意面で切断し表面を研
磨加工してファラデー回転子としている。Cd1-xMnx
Te結晶のモース硬度は2.8以下で、従来の磁気光学
材料より軟らかいため表面の研磨加工は容易ではなく、
光の波長レベル(0.1μmオーダー)での細かい傷が
研磨面に発生し、研磨面の傷の除去は困難であった。研
磨面に生じた傷は透明領域での光散乱を生じせしめ、フ
ァラデー回転子の光挿入損失を増加させるという欠点が
あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は波長が0.6
μmないし0.8μmの短波長帯で用いるブリッジマン
法により作製したCd1-xMnxTe(0<X≦0.7)
結晶のファラデー回転子を用いた光アイソレータを形成
するのに、実用上充分に小さな光挿入損失を有する光ア
イソレータを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】従来のファラデー回転子
を作る際の切断表面の研磨加工の工程では材料の硬度が
軟らかすぎるため、研磨面にきずを生じ、実用上充分な
光透過率が達成できていなかった。今回発明者は結晶を
へき開させ、そのへき開面である{110}面を研磨加
工することなく用いることにより、光透過率が従来の研
磨加工したものより際だって光挿入損失の特性を改善す
ることを実験的に見いだし本発明をなすに至った。本発
明はブリッジマン法で作製したCd1-xMnxTe(0<
X≦0.7)結晶をへき開させ、へき開面に反射防止膜
を形成し、そのへき開面に垂直にレーザ光を入射させた
ファラデー回転子を用いた光アイソレータとすることを
特徴とするにある。
【0005】即ち本発明は、波長が0.6μmないし
0.8μm帯のレーザ光で用いられ、ブリッジマン法で
作製されたカドミウム(Cd)・マンガン(Mn)・テ
ルル(Te)〔Cd1-xMnxTe(0<X≦0.7)〕
単結晶を{110}面に平行にへき開したへき開面に反
射防止膜を形成し、レーザ光の入射光をへき開面に垂直
に入射させ構成したことを特徴とする光アイソレータで
ある。
【0006】
【作用】従来磁気光学材料は、表面を研磨加工により仕
上げていたが、カドミウム・マンガン・テルル単結晶は
硬度が軟らかいため光の波長レベルの傷が加工表面に発
生して除去出来ず、レーザ光を透過した時の光挿入損失
を増大する原因となっていた。本発明は従来のような光
入射面を研磨加工することなく、単結晶のへき開面に反
射防止膜を形成し直接入射光面とすることにより、光挿
入損失が格段に向上した光アイソレータとすることが出
来る。本発明の光アイソレータのファラデー回転子用材
料のカドミウム・マンガン・テルル〔Cd1-xMnxTe
(0<X≦0.7)〕単結晶の組成範囲で示すXの値
は、0.7以上になると結晶構造が変化し、本発明のブ
リッジマン法では単結晶を育成することは極めて困難で
あり、カドミウム・マンガン・テルル単結晶の組成範囲
に於けるXの値は≦0.7とする。
【0007】
【実施例】以下に本発明の光アイソレータの実施例につ
き詳細に説明する。ブリッジマン法により、組成がカド
ミウム(Cd)・マンガン(Mn)・テルル(Te)
〔Cd1-xMnxTe〕(X=0.2,0.5)の単結晶
を育成した。任意面で切り出し表面を光学研磨した従来
の工程による材料と、へき開させて研磨加工を施さない
厚さがほぼ800μmの本発明による材料で光挿入損失
L[db]を評価した、L[db]はL=−10log
10T(Tは光透過率=透過光の強度/入射光の強度)で
定義される。組成がX=0.5の結晶は波長λ=0.6
33μmのレーザ光を、組成がX=0.2の結晶はλ=
0.780μmのレーザ光をへき開面に垂直入射させて
光透過率を測定した。へき開して作られたファラデー回
転子の両面には酸化珪素(SiO2)と酸化チタン(T
iO2)からなる2層膜により屈折率が2.9になる厚
さの反射防止膜を蒸着により形成し、さらに0.5テス
ラの磁界を光軸方向に印加し、ファラデー回転角45度
を有するファラデー回転子として市販の偏光ビームスプ
リッタの偏光子と検光子を用い、光軸方向より挟む構成
で光アイソレータを実際に作製し、デバイスとしての光
挿入損失をそれぞれ評価した。Cd0.5,Mn0.
5,Te結晶の特性を表1に、Cd0.8,Mn0.
2,Te結晶の特性を表2に示す。いずれの波長におい
ても、本発明によるファラデー回転子及び光アイソレー
タとも従来のものより格段に低い光挿入損失を実現して
いる。特に本発明によれば光アイソレータの実用レベル
である挿入損失1.0dBを満足することが可能となっ
た。
【表1】Cd1-xMnxTe(X=0.5)結晶の波長 λ=0.633μmにおける光挿入損失Lの値
【表2】Cd1-xMnxTe(X=0.2)結晶の波長 λ=0.780μmにおける光挿入損失Lの値
【0008】
【発明の効果】以上述べたごとく本発明によるブリッジ
マン法で育成した〔Cd1-xMnxTe(0<X≦0.
7)〕の単結晶を表面研磨するのではなく、へき開した
材料を用いて両面に反射防止膜を形成したファラデー回
転子とすることにより、波長が0.6μmないし0.8
μmに於ける低い光挿入損失を有するファラデー回転子
を用いた光アイソレータを提供することが可能となっ
た。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長が0.6μmないし0.8μm帯の
    レーザ光で用いられ、ブリッジマン法で作製されたカド
    ミウム(Cd)・マンガン(Mn)・テルル(Te)
    〔Cd1-xMnxTe(0<X≦0.7)〕単結晶を{1
    10}面に平行にへき開したへき開面に反射防止膜を形
    成し、レーザ光の入射光をへき開面に垂直に入射させ構
    成したことを特徴とする光アイソレータ。
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日本応用磁気学会誌 Vol.12 No.2(1988)pp.187−192

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