JP3040260B2 - トレーサ粒子の流れの可視化方法 - Google Patents

トレーサ粒子の流れの可視化方法

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JP3040260B2
JP3040260B2 JP4245589A JP24558992A JP3040260B2 JP 3040260 B2 JP3040260 B2 JP 3040260B2 JP 4245589 A JP4245589 A JP 4245589A JP 24558992 A JP24558992 A JP 24558992A JP 3040260 B2 JP3040260 B2 JP 3040260B2
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  • Aerodynamic Tests, Hydrodynamic Tests, Wind Tunnels, And Water Tanks (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像処理による流れの
可視化方法に関し、さらに詳しくは流れの可視化方法に
より定量的に流れ場の物理量を求めることを可能にした
画像処理による流れの可視化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、流れ場の可視化方法により
流れを把握する試みは古くからあり、壁面トレース法、
タフト法、直接注入法等がよく知られている。
【0003】これらの方法のうち、壁面トレース法は物
体表面に油等を塗布し、流れによって現れる模様から流
れの状態、方向、速度等を求めるものである。また、タ
フト法は多数の糸を物体表面に張り、そのなびき具合か
ら流れを測定するものである。更に、直接注入法は流れ
内に染料を入れ、その染料の流跡を可視化するものであ
る。
【0004】しかしながら、上記可視化方法は以下に述
べるような問題があった。すなわち、壁面トレース法で
は物体の表面から離れた空間での流れの測定が困難であ
る。また、タフト法では任意の断面での測定が困難であ
るという問題があった。更に、直接注入法では、染料の
流跡上での速度は把握できるが、流れ領域全体を一度に
可視化することはできないという問題があった。
【0005】ところで、近年、流れ領域全体を一度に可
視化し、流速、流れ関数等の物理量を算出することや、
流れ領域全体の物理量の時間的変化を算出することに関
する関心が著しく強くなっている。また、流れ領域内の
任意の断面を可視化することや、例えば水だけの速度で
はなく、水中の気泡の速度等の可視化に関しての関心も
著しく強くなっている。
【0006】このような可視化を可能にする試みとし
て、論文「日本機械学会論文集(B編)第55巻、50
9号(1989−1)、107〜114頁に記載される
ような方法が提案されている。この方法は、流れ場にト
レーサ粒子を混入し、このトレーサ粒子に連続光または
ストロボ光を当てて、その流跡を画像処理するものであ
る。
【0007】画像処理は、例えばテレビジョンカメラか
ら画像を入力し、そのフレーム情報をフィールド情報に
変換し、連続する4時刻分のフィールド情報をそれぞれ
画像処理して(偶数または奇数フィールドの一方の
み)、個々の粒子の軌跡を追跡する。そして、個々のト
レーサ粒子の軌跡から流れ場を可視化して、各種物理量
を求めるものである。
【0008】しかし、この方法では、2枚のフィールド
像からフレームを形成しているが、小さなトレーサ粒子
ではトレーサ粒子像を検出できない問題があった。すな
わち、テレビ空間におけるトレーサ粒子像が1ピクセル
以下の場にはトレーサ粒子像その物を計測することがで
きない問題があった。
【0009】これを、図10〜図12を参照して説明す
る。図10に示すように、インターレース方式のテレビ
カメラにおいては、奇数フィールド画像と偶数フィール
ド画像とを交互に撮像している。
【0010】この例では、アルゴンのレーザ・ライト・
シート(LLS)を連続照射するとともに、各フィール
ドごとの光の蓄積期間において電子シャッターを所定時
間(例えば、1/125秒間)開いて撮像面を露光する
ようにしている。このようにして、あるトレーサ粒子を
撮像した場合、蓄積期間Aにおいて撮像したトレーサ粒
子は、図11のAに示したように撮像される。
【0011】また、蓄積期間Bにおいて撮像したトレー
サ粒子は図11のBに示したように撮像される。すなわ
ち、フレーム単位の画像内には2時刻のトレーサ粒子像
が検出されている。
【0012】図11から明らかなように、蓄積期間Aは
奇数フィールドの光の蓄積なので、奇数ライン(OD
D)のみの画像となる。また、蓄積期間Bは偶数フィー
ルドの光の蓄積なので、偶数ライン(EVE)のみの画
像となる。したがって、このようなフレーム画像をフィ
ールド画像に分離した場合、図12の(a)に示すよう
に、奇数フィールドの画像Aにおいては偶数ラインの画
像情報A-Iが欠落する。また、図12の(b)に示すよ
うに、偶数フィールドの画像Bにおいては奇数フィール
ドの画像情報B-Iが欠落する。従来は、これらの欠落部
分を種々の方法により補間してフィールド画像を完成さ
せていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、テレビ空
間でのトレーサ粒子像が1ピクセル以下のように小さ
く、かつ流速が遅い場合には、上記の従来方法ではトレ
ーサ粒子そのものを撮像できないので、流体中のトレー
サ粒子像を求めることができなかった。すなわち、例え
ば、図11において、ODDラインを撮像しているとき
に、EVENラインに微小トレーサ粒子(図示せず)が
存在していても、上記微小トレーサ粒子は撮像されな
い。
【0014】次いで、撮像ラインがEVENラインに移
動したタイミングで、上記微小トレーサ粒子がODDラ
インに移動したら、このタイミングにおいても上記トレ
ーサ粒子は撮像されないことになる。
【0015】すなわち、従来の可視化方法の場合は、テ
レビ空間でのトレーサ粒子像が小さく、しかも可視化空
間でのトレーサ粒子の移動量が小さい場合には、トレー
サ粒子そのものを撮像することができなかったので、流
体の流れを可視化することができない場合がある問題が
あった。ところで、可視化空間でのトレーサ粒子の移動
量が小さい場合には、シート状に広げたレーザ光を照射
する回数を間引いて少なくして、各フィールド毎に1回
の照射回数にすることが考えられる。しかし、このよう
に各フィールド毎にレーザ光を照射した場合には、フレ
ーム画像には2時刻の映像(トレーサ粒子像)が記録さ
れることになる。したがって、トレーサ粒子の移動量が
小さい場合には同一のトレーサ粒子が重なって録画され
てしまい、正確な重心を求めることができない問題が発
生する。 そこで、このような問題が生じないようにする
ために、1フレームについて1回のレーザ光の照射をす
ることを考えてみる。この場合、レーザ光が照射されな
いフィールドではトレーサ粒子像が録画されないのは勿
論であるが、レーザ光を照射したフィールドにおいても
トレーサ粒子が録画されない場合がある。何故ならば、
奇数フィールドでレーザ光を照射するようにした場合に
は、トレーサ粒子が偶数フィールドに存在すると、フレ
ーム画像にトレーサ粒子が何も録画されないことにな
る。その反対に、偶数フィールドでレーザ光を照射する
ようにした場合には、トレーサ粒子が奇数フィールドに
存在すると、フレーム画像にトレーサ粒子が何も録画さ
れないことになる。本発明は上述の問題点にかんがみ、
可視化空間が大きな場合や、可視化空間でのトレーサ粒
子の移動量が小さい場合でも流体の流れを確実に可視化
できるようにすることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明のトレーサ粒子の
流れの可視化方法は、奇数フィールド期間及び偶数フィ
ールド期間のそれぞれにおいて、2/60秒間にわたっ
て光の蓄積を行うとともに、上記奇数フィールドの光蓄
積期間における後半の1/60秒間と、上記偶数フィー
ルドの光蓄積期間における前半の1/60秒間とをオー
バーラップさせて光蓄積を行うことにより、全体として
3/60秒間にわたって光蓄積を行って録画上のフレー
ム画像を構成するフレーム蓄積方式のテレビカメラを用
いて流れ場を撮影して、上記撮影した流れ場の画像を録
画媒体に録画しておき、上記録画情報からトレーサ粒子
の流れを可視化する方法において、粒子径が2mm以下
で1μm以上のトレーサ粒子を流体中に混入する第1の
処理と、上記フレーム蓄積方式のテレビカメラにおけ
る、上記奇数フィールドの光蓄積期間と上記偶数フィー
ルドの光蓄積期間とがオーバーラップしている光蓄積期
間について1度となる所定のタイミングで、シート状に
広げたレーザ光を上記流体中に向けて照射する第2の処
理と、上記流体中に混入されたトレーサ粒子を、上記フ
レーム蓄積方式のテレビカメラによって撮像する第3の
処理と、上記フレーム蓄積方式のテレビカメラにおける
奇数フィールドの光蓄積期間の情報を録画上の奇数フィ
ールド画像とし、上記偶数フィールドの光蓄積期間の情
報を録画上の偶数フィールド画像としてフレーム画像を
生成して録画媒体に録画する第4の処理と、上記録画媒
体に録画されたフレーム画像に所定の画像処理を施し
て、上記流体中のトレーサ粒子の重心位置を計測する第
5の処理と、上記第5の処理によって得られたトレーサ
粒子の重心の3〜6時刻の重心位置に基づいて上記流体
の流跡を求める第6の処理とを行うことを特徴としてい
る。
【0017】
【作用】本発明は上記技術手段を有するので、フレーム
蓄積方式のテレビカメラにおける、奇数フィールドの光
蓄積期間と偶数フィールドの光蓄積期間とがオーバーラ
ップしている期間について1度となる所定のタイミング
でシート状に広げたレーザ光を流体中に向けて間欠的に
照射しながら流体中に混入されている微小トレーサ粒子
をフレーム蓄積方式のテレビカメラで撮像するので、撮
像素子の奇数ライン及び偶数ラインの光の蓄積は、それ
ぞれ1フレーム期間(2/60秒)にわたって行われ
る。そして、各フレーム期間における奇数フィールドと
偶数フィールドとがオーバーラップしている期間におい
て、シート状に広げたレーザ光を1度照射するようにし
たことにより、微小なトレーサ粒子が、奇数フィールド
または偶数フィールドのどちらに存在しても必ず撮像で
きるとともに、1つのフレーム画像に「1時刻」のトレ
ーサ粒子像のみを撮像することができ、2mm以下で1
μm以上であるような粒子径が小さく、かつ速度が遅い
トレーサ粒子を撮像した場合に、上記トレーサ粒子が撮
像素子の奇数ラインまたは偶数ラインの何処に存在して
も確実に撮影することが可能となり、微小トレーサ粒子
を混入して流体の流跡を確実に求めることができるよう
になる。
【0018】
【実施例】以下、本発明のトレーサ粒子の流れの可視化
方法の一実施例を図面を参照して説明する。図1は、本
発明の実施例を示し、パルスレーザーの発信方法、テレ
ビカメラでの光の蓄積タイミング、および録画上の画像
構成の関係等を示したタイミングチャートである。ま
た、図2は本発明方法を実施するための装置の一例を示
す斜視図、図3は同じく本発明方法を実施するための装
置の一例を示すブロック図である。
【0019】図2から明らかなように、この装置はアル
ゴンレーザー1、レーザーコントローラ2、光ファイバ
ー3、ピンホール4、光学レンズ5、肉厚10mmのア
クリル製容器6、NTSC規格に準ずるCCDカメラ
7、録画再生装置8およびこの録画再生装置8に接続さ
れたモニター9により構成されている。また、図3にお
いては、録画再生装置8に接続された計算機10、この
計算機10に接続されたフレームメモリ11、外部記憶
装置12およびモニター13から構成されている。
【0020】この装置において、アルゴンレーザー1か
ら照射されたレーザ光は、一度レーザーコントローラ2
に入れられ、このレーザーコントローラ2内の音響光学
セルにより任意の間隔で光ファイバー3に間欠的に入射
される。そして、この光ファイバー3の先端に取り付け
られた光学レンズ5にて厚み2mm以下のレーザシート
1Aを作り、アクリル製容器6内の流体中に照射され
る。なお、本実施例では流体として水を用いている。
【0021】アルゴンレーザー1を光ファイバー3に入
射するにあたっては、光ファイバー3のコア径が大きい
ほど、光ファイバー3内での光の損失が少ないが、コア
径を大きくし過ぎると、形成されるレーザシート1Aの
厚みが厚くなる。このため、光ファイバー3と光学レン
ズ5との間にピンホール4等を設けて、レーザシート1
Aを薄くすることが好ましい。
【0022】なお、本実施例では光ファイバー3のコア
径は100μmとして光ファイバー3内の光の損失を小
さくし、先端の光学レンズ5と光ファイバー3との間に
光ファイバー3の先端から30mmの位置に、内径1m
mのピンホール4を設けることにより、レーザシート1
Aの厚みを調整した。
【0023】図2において、アクリル製容器6には水が
満たされており、このアクリル製容器6の図中手前の面
が大気開放になっている。このアクリル製容器6には、
図中上面より連続的に水が供給されており、図中下面か
ら連続的に水が排出されているものとする。
【0024】このアクリル製容器6内の水の流れ場を可
視化するために、水の流れに追従する粒子をアクリル製
容器6の上面より連続的に入れ、アクリル製容器6内の
可視化したい断面に光学レンズ5からアルゴンレーザー
1を上述の方法でシート状にして、間欠的に照射する。
【0025】また、レーザシート1A面と直交する方向
にCCDカメラ7を置くことにより、粒子がレーザシー
ト1A内を通過するときに、散乱もしくは蛍光した光を
このレーザシート1Aと直交する方向から撮影し、録画
再生装置8に連続的に録画することにより、レーザシー
ト1A面内の映像を録画する。なお、この録画時には、
録画再生装置8に接続されたモニター9で録画状態を確
認することができる。
【0026】散乱粒子としては、アクリル製球形粒子や
この粒子の表面をメチレンブルー等の染料で表面改質し
たものを用いることにより、散乱もしくは蛍光強度を強
くすることが望ましい。本実施例では、表面改質をしな
い粒子径30μm、密度1g/cm2 の粒子を用いた。
【0027】次に、録画された情報は録画再生装置8で
再生され、1/30秒単位のフレーム画像情報が計算機
10に接続したフレームメモリ11を通し、外部記憶装
置12に記録される。
【0028】外部記憶装置12に記録された各時刻の情
報は、一旦、フレームメモリ11にコピーされ、各フレ
ーム情報ごとに画像処理を用い、粒子の重心を算出す
る。ここで用いた画像処理は、ノイズ処理、2値化およ
び粒子の重心の算出である。算出された重心は、一時的
に計算機10の外部記憶装置12に記憶される。
【0029】次に、流れ領域内の任意の断面の流れを可
視化する方法について具体的に説明する。先ず、流れ領
域内に厚み3mm以下のシート状のレーザシート1Aを
照射する。このレーザ光の照射においては、上記レーザ
シート1Aを図1のレーザ光出力パルスに示すように、
各フレームについて1度となる所定のタイミングで間欠
的に照射する。この場合、図1に示したように、各フレ
ーム期間における奇数フィールドと偶数フィールドとが
オーバーラップしている期間において、上記シート状に
広げたレーザ光を1度照射するようにしている。したが
って、2mm以下で1μm以上であるような粒子径が小
さく、かつ速度が遅いトレーサ粒子を撮像した場合に、
上記トレーサ粒子が撮像素子の奇数ラインまたは偶数ラ
インの何処に存在しても確実に撮影することができる。
なお、液体および気体等の単相流の測定においては、蛍
光もしくは散乱可能な粒子径2mm以下で1μm以上の
粒子を入れるものとする。
【0030】次に、このレーザシート1Aの照射光内で
の粒子の散乱光または蛍光をフレーム蓄積方式のテレビ
カメラで撮像し、撮像出力を録画媒体に録画する。上記
フレーム蓄積方式のテレビカメラは、CCDカメラの奇
数ラインの撮像素子で撮像した光の像が、NTSC方式
のテレビカメラ信号における奇数フィールドの画像情報
として出力される。また、CCDカメラの偶数ラインの
撮像素子で撮像した光の像が、NTSC方式のテレビカ
メラ信号における偶数フィールドの画像情報として出力
される。ここで、図1に示したように、フレーム蓄積方
式ではそれぞれのフィールド期間における光の蓄積時間
は2/60秒間である。すなわち、奇数側の情報は時刻
0秒〜2/60秒まで光を蓄積し、上記蓄積した情報を
時刻2/60秒〜3/60秒に出力する。一方、偶数側
の情報は時刻1/60秒〜3/60秒まで光を蓄積し、
時刻3/60秒〜4/60秒に情報を出力する。したが
って、上記フレーム蓄積方式のテレビカメラでは、各フ
レーム期間における奇数フィールドと偶数フィールドと
が1/60秒間オーバーラップしており、上記オーバー
ラップしている期間においてトレーサ粒子像を撮像して
フレーム画像を生成し、録画媒体に録画する。
【0031】上記のようにして録画された流れの画像情
報からフレーム画像における奇数フィールドの画像情報
と偶数フィールドの画像情報とを取り出して、計算機1
0に接続されたフレームメモリ11に記録し、所定の画
像処理を施すことにより粒子の重心を計算する。更に、
算出された3〜6時刻の重心位置に基づいて上記流体の
流跡を追跡する。すなわち、本実施形態においては、奇
数フィールドの画像情報と偶数フィールドの画像情報と
を分離することなく、フレーム画像情報に所定の画像処
理を施してトレーサ粒子の重心を算出するようにしてい
る。
【0032】なお、粒子の流跡の追跡方法としては、例
えば、上述した論文「日本機械学会論文(B編)第55
巻、509号(1989−1)、107〜114頁に記
載されている方法を用いることも可能である。また、流
れ領域内の時間変化を算出するためには、異なった時刻
のフレーム情報を取り出し、上記の方法で処理すること
も可能である。
【0033】図4に、本発明の可視化方法で可視化した
円柱周りの流れの可視化写真を簡潔に表現した図を示
す。また、図5は可視化画像を2値化処理して求めたト
レーサ粒子の位置を示す図であり、図中黒く示されてい
るのがトレーサ粒子の重心を代表している。なお、この
画像はフレーム画像(1/30秒)である。
【0034】次いで、図6は可視化空間に格子を形成し
たものである。また、図7は、図6中Aで示したハッチ
部でのトレーサベクトルの拡大図である。これは、10
秒間の画像を用い、連続するフレーム画像からトレーサ
追跡を行ったものである。さらに、図8は格子点補間を
行った流速分布図である。
【0035】格子点補間を行う方法は任意の方法を用い
ることができる。例えば、上述の処理より得られた速度
ベクトルは測定領域の任意点に散乱するため、流れ場に
等間隔あるいは不等間隔のワイヤーフレームを形成し、
格子点上の速度ベクトルを予測するような方法を用いる
ことができる。
【0036】すなわち、図9(b)に示すように、格子
点Nの周りに補間領域Eを設定し、そこに存在する速度
ベクトルから格子点N上の速度を以下のように補間して
求めることができる。なお、本実施例では補間領域E
は、格子点N周りの隣合う上下、左右の格子点間距離の
1/2以内の矩形領域とした。そして、補間領域E内に
存在するn個の速度ベクトルから任意の3組の速度ベク
トルを組み合わせて数1のマトリックス計算を行うよう
にした。
【0037】
【数1】
【0038】ここに、UK 、UL 、Um は補間領域内の
任意の三組の速度ベクトルで、(U.du/dx.du
/dy)は補間される格子点での値である。同様の計算
を領域内のn個の組み合わせに対して行う。得られたn
通りの補間結果から平均値を求め格子点上の平均速度ベ
クトルとした。
【0039】本発明のトレーサ粒子の流れの可視化方法
は、上述したようにしてトレーサ粒子を可視化している
ので、トレーサ粒子像の直径がテレビ空間における1ピ
クセル以下で、しかも流速が遅い場合でもトレーサ粒子
を確実に映像化することができる。したがって、粒子径
が小さいトレーサ粒子を用いて流体の可視化を行うこと
が可能となり、流体中での追従性を向上させて精度の高
い計測が可能となる。
【0040】
【発明の効果】本発明は上述したように、フレーム蓄積
方式のテレビカメラ信号における各フレーム期間におけ
る奇数フィールドと偶数フィールドとがオーバーラップ
している期間において、シート状に広げたレーザ光を1
度、流体中に向けて間欠的に照射しながら上記流体中に
混入されている微小トレーサ粒子を撮像して録画上のフ
レーム画像を生成するとともに、上記フレーム画像に基
づいてトレーサ粒子の重心を計測し、上記重心の位置に
基づいて上記流体の流跡を求めるようにしたので、粒子
径が小さく、かつ速度が遅いトレーサ粒子像も確実に撮
影することが可能となる。これにより、可視化空間が大
きい場合や、可視化空間でのトレーサ粒子の移動量が小
さい場合でも流体の流れを確実に可視化することがで
き、流体中でのトレーサ粒子の追従性を大幅に向上させ
て精度の高い計測を行うことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトレーサ粒子の流れの可視化方法の一
実施例を示すタイミングチャートである。
【図2】本発明のトレーサ粒子の流れの可視化方法を実
施するための装置の構成例を示す概略斜視図である。
【図3】画像処理装置の構成例を示すブロック回路図で
ある。
【図4】本発明の方法で可視化した円柱周りの流れの可
視化画像を分かりやすく表した図である。
【図5】図4の画像を2値化処理して示した図である。
【図6】可視化空間に格子を形成した図である。
【図7】図6のハッチ部でのトレーサベクトルの拡大図
である。
【図8】格子点を補間した流速分布図である。
【図9】格子点周り速度ベクトルを補間する一例を説明
するための図である。
【図10】従来のトレーサ粒子の流れの可視化方法の一
実施例を示すタイミングチャートである。
【図11】従来のトレーサ粒子像を撮像する様子を説明
する図である。
【図12】従来のフィールド画像の説明図である。
【符号の説明】
1 アルゴンレーザー 2 レーザーコントローラ 3 光ファイバー 4 ピンホール 5 光学レンズ 6 アクリル製容器 7 CCDカメラ 8 録画再生装置 9 モニター 10 計算機 11 フレームメモリ 12 外部記憶装置 13 モニター
フロントページの続き (72)発明者 江田 泰幸 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社 君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 平4−131731(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 奇数フィールド期間及び偶数フィールド
    期間のそれぞれにおいて、2/60秒間にわたって光の
    蓄積を行うとともに、上記奇数フィールドの光蓄積期間
    における後半の1/60秒間と、上記偶数フィールドの
    光蓄積期間における前半の1/60秒間とをオーバーラ
    ップさせて光蓄積を行うことにより、全体として3/6
    0秒間にわたって光蓄積を行って録画上のフレーム画像
    を構成するフレーム蓄積方式のテレビカメラを用いて流
    れ場を撮影して、上記撮影した流れ場の画像を録画媒体
    に録画しておき、上記録画情報からトレーサ粒子の流れ
    を可視化する方法において、 粒子径が2mm以下で1μm以上のトレーサ粒子を流体
    中に混入する第1の処理と、 上記フレーム蓄積方式のテレビカメラにおける、上記奇
    数フィールドの光蓄積期間と上記偶数フィールドの光蓄
    積期間とがオーバーラップしている光蓄積期間について
    1度となる所定のタイミングで、シート状に広げたレー
    ザ光を上記流体中に向けて照射する第2の処理と、 上記流体中に混入されたトレーサ粒子を、上記フレーム
    蓄積方式のテレビカメラによって撮像する第3の処理
    と、 上記フレーム蓄積方式のテレビカメラにおける奇数フィ
    ールドの光蓄積期間の情報を録画上の奇数フィールド画
    像とし、上記偶数フィールドの光蓄積期間の情報を録画
    上の偶数フィールド画像としてフレーム画像を生成して
    録画媒体に録画する第4の処理と、 上記録画媒体に録画されたフレーム画像に所定の画像処
    理を施して、上記流体中のトレーサ粒子の重心位置を計
    測する第5の処理と、 上記第5の処理によって得られたトレーサ粒子の重心の
    3〜6時刻の重心位置に基づいて上記流体の流跡を求め
    る第6の処理とを行うことを特徴とするトレーサ粒子の
    流れの可視化方法。
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