JP3040157B2 - イヌパルボウイルス(cpv)を含む弱毒イヌパルボウイルスワクチンとイヌ科動物におけるcpv感染予防 - Google Patents

イヌパルボウイルス(cpv)を含む弱毒イヌパルボウイルスワクチンとイヌ科動物におけるcpv感染予防

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【発明の詳細な説明】 発明の分野 イヌパルボウイルス(CPV−2)は、イヌ科動物の寄
生体であり、嘔吐、下痢、気分減退、発熱、種々の白血
球減少症、そして急激な脱水を引き起こす。このイヌパ
ルボウイルスは、ウイルスの増殖を助けるような分裂活
性の高い宿主細胞を必要とする。したがって、分裂活性
の高い細胞は、ウイルスに対する感受性がもっとも高い
ものとなる。また、組織は分化の段階で感受性が高い。
したがって、心筋炎や、より重要には腸炎がこのウイ
ルスによるもっとも一般的な疾患である。
発明の背景 通常のワクチン療法の出現により、仔犬はイヌパルボ
ウイルスに特に感染しやすい動物である。ワクチン接種
されたメス犬から生まれた仔犬は、母親由来の抗体(MD
A)によって短期間ではるがその免疫が受け継がれる。
母親由来の抗体は、生後1週間にわたって受動的防御を
与える。しばしば、仔犬は、母親の50%にあたる血清中
抗体濃度が認められる。しかし、生後8−10日になる
と、母親由来の抗体の量は指数関数的に半減してしま
う。
MDAが指数関数的に減少していく一方で、この時期に
商業的に入手可能なワクチンを接種してもそれによる抗
体産生を導くことはできない。この現象は、種々の科学
論文に記載されており、例えばコルネルベテリナリアン
(Cornell Veterinarian)1982年72巻103−109頁(ポロ
ック、Pollock)およびコルネルベテリナリアン(Corne
ll Veterinarian)1981年71巻408−427頁(カルミカエ
ル他、Carumichael et al.)。
MDAが標準的な方法(例えば、血球凝集(Haemaggluti
nation)−抑制(Inhibition(HI)、エリザ(ELISA)
または血清中和等)によって検出可能であるのに対し
て、ワクチンは仔犬に活性免疫応答を誘導するにはたい
へん不安定なものである。MDAは、病気に対する有効量
よりも低い濃度に減少したとしても検出されうる。この
ような検出は、HIテストによってなされるものであり、
50μlあたり血液凝集阻害単位(HIU/50μL)が約64の
タイターに値する。したがって、「免疫空白期間(immu
nity gap)」と呼ばれる時期(通常、生後8−14週の
間)があり、この時期は仔犬の母親由来抗体量が減少
し、防御が不十分なものとなり、またワクチン接種によ
る免疫応答も引き出せない時期でもある。よって、この
時期に仔犬は感染に対する感受性があり、一方でワクチ
ン接種に対する応答性を示さない。
このようなことから、従来のイヌパルボウイルスワク
チンよりも抗原性が高いワクチンが、仔犬において母親
由来の抗体にもまさり、防御抗体を産生する独自の免疫
系を刺激することは自明なことであると考えられて来
た。
そして、このことは、CPV−2の弱毒株(より一層抗
原性がある)の利用によってある程度達成されるであろ
うが、この場合、ワクチン接種された動物の便に接種さ
れたウイルスが潜在することがあり、感染の拡大や、ウ
イルスの毒性の度合いが変化する危険性がつきまとう
(欧州特許No.189958参照)。そのような株の例とし
て、CPV株I−404(パスツール研究所)がある。現在、
このウイルスは市販されているワクチン「インターベッ
ト・ノビバック・バルボ−C」(INAERVET“NOBIVAC PA
RVO−C")に使用されている。
本発明の研究者は、従来から大きな問題とされてきた
イヌパルボウイルスによる疾患を予防するワクチンの生
産を可能とする適当な株を選別する過程において驚くべ
き発見をした。すなわち、仔犬の母親由来抗体量が検出
可能な程度に存在し、接種された動物で大量の生きたウ
イルスが潜在することによる他の犬への感染拡大に対し
て予防的効果を与えるCPV株I−404などの株を発見し
た。
パルボウイルスに対する商業的に入手可能なワクチン
がかかえる他の問題を記載した。例えば、ある品種で
は、免疫空白期間に対して特に感受性が高い。また、あ
る動物では、MDAレベル後でさえも、ワクチンの繰り返
し投与量に対して反応性を示さず、このことは正常な状
態で期待される抗体の量が消え失せてしまっていること
を示している。
発明の開示 本発明は、母体由来の抗CPV−2抗体存在下において
抗体応答を引き出し、かつ毒性が低いようなCPV−2ワ
クチンを提供するものである。
本発明は、毒性が低くて、母体由来の抗CPV−2抗体
存在下において抗体応答を引き出すことが可能な弱毒パ
ルボウイルスからなるものである。
本発明の好ましい実施態様では、パルボウイルスは、
弱毒パルボウイルスを接種された犬から放出されたウイ
ルスからの感染率が非常に低いことを特徴とする。
この明細書で用いられる言葉「感染率が低い」の意味
することは、感染動物からパルボウイルスが放出されな
いことを意味し、またたとえ放出されたとしてもその放
出されたパルボウイルスに接触した犬に対して実質的な
感染能力がないことを意味している。
本発明の第一の発明にもとづく実施態様は、動物細胞
培養ヨーロピアンコレクション(ECACC,英国サリズバリ
ー、ポートドウン;Porton Down,Salsbury,U.K)に寄託
されたイヌパルボウイルスのCPV−2株を含むものであ
る。寄託番号は、V89042601である。この株は、その弱
毒イヌパルボウイルスK3iされたものの60回継代(passa
ge 69;P69)されたもので以下、CPV−2株P69と呼ぶ。
本発明のための培養ウイルスの弱毒化は、適当な培養
系で、ウイルスを継代培養することによって達成され
た。この培養系は、例えばネコ腎臓(FK)細胞系であ
る。ウイルスは、限界希釈法を用いてクローン化され、
そして継代されたウイルスに継代69(P69)と番号を付
けた。
本発明の第二の発明は、弱毒イヌパルボウイルスの有
効量を含むワクチンからなるもので、このイヌパルボウ
イルスは、低毒性を示し、また母体由来の抗CPV−2抗
体存在下において抗体応答を引き出すことが可能なもの
である。
この発明の好ましい実施態様によれば、弱毒パルボウ
イルスは、ワクチンを接種された犬から放出されたウイ
ルスによる感染率が非常に低いことを特徴とする。
特に好適な実施態様によれば本発明の第二の発明は、
CPV−2株69に該当する動物細胞培養ヨーロピアンコレ
クションに寄託された番号V89042601のCPV株あるいはこ
の株と同等なものの有効量を含むものである。
発明の詳細な説明および請求の範囲において言及され
る有効量とは、免疫応答を引き出すのに十分な量を意味
するものであり、好ましくは50%培養細胞感染量(Tiss
ue Cullture Infective Doses;TCID50)/投与量の値が
少なくとも104.8である。
本発明のワクチンは、新規なCPV−2株P69を生きた状
態で、あるいは不活性化された致死状態で用いることが
可能である。好ましくは、本発明のワクチンは、生CPV
−2株P69を含むか、あるいはその誘導体または機能的
に等価なものを含む。
このようなワクチンは、他の成分を含むことも可能で
あり、例えばそのような成分として安定剤、アジュバン
ト、賦形剤、その他の薬剤学的に許容される化合物また
は他の抗原またはその一部分が挙げられる。ワクチン
は、既知のワクチン製造現場において一般的な凍結乾燥
試料あるいは懸濁された状態にされる。
好ましい実施態様によれば、本発明のワクチンはワク
チン接種に用いられる他のウイルスまたは生物と組み合
わされて使用されることが可能である。そのような他の
ウイルスとして例えばイヌジステンパー、感染性ヘパチ
チスウイルス、イヌパラインフルエンザまたはボルデテ
ラなどがあるが、もちろんこれらに限定されるものでは
ない。
本発明によれば,CPV−2株P69は、最適な条件下で適
当な細胞系、好ましくはFKまたはイヌ腎臓細胞(例えば
MDCK)において増殖する。そして既知の方法を用いてこ
の培養されたウイルスをワクチンの製造に用いる。
一般的にワクチン接種の妨害となるほどの量の母親由
来の抗体が存在しているにもかかわらず、ワクチンにCP
V−2株P69を取り込ませることによって、イヌパルボウ
イルスによる疾患に対する防御を提供することが可能で
ある。
本発明のV89042601株は既知のCPV−2株とは異なるも
ので、血清陽性および血清陰性のどちらの犬に対しても
血清学的な応答を示す。細胞培養系での増殖特性や、新
規な株を含むワクチンを投与された動物からの生ウイル
ス放出特性と同様に、そのDNA配列変異が認められる。
特に、本発明は、培養細胞系に接種した場合に毒性の
度合いが既知のCPV株ワクチンと顕著に異なる。CPVワク
チンの種々の株間で、異なるタイプの細胞培養、例えば
ネコの細胞培養系とイヌの細胞培養系とで増殖する能力
に違いが認められる。
本明細書中において言及する抗体力価は、二倍希釈を
用いた標準的な血球凝集阻害試験によって測定されるも
ので、豚赤血球細胞の凝集を完全に阻害させるもっとも
高い血清希釈率の逆数によって示す。
図の簡単な説明 第1図は、HpH−Iによって消化されたCPV−2株P6
9、CPV−2株P98およびCPV株I−104について、断片の
分子量の違いを示すものである。
本発明を実施するための最良の形態 1.CPV−2の弱毒化 毒性パルボウイルスから単離されたCPV−2K3i株由来
のウイルスをオーストラリアのタウンスビルにあるジェ
ームスクーク大学(James Cook University,Townsvill
e,Australisa)から入手した。このウイルスを既知の継
代方法を用いて本願出願人によりネコ腎臓(FK)細胞系
およびイヌ腎臓(MDCK)細胞系で内で継代することによ
って弱毒化した。
継代61回目で回収されたウイルスを標準的な限界希釈
法によって精製した。さらにこの精製法を2回繰り返し
て、合計3回の限界希釈による継代を実施した。FK細胞
系で3回目の限界希釈による継代から回収されたウイル
ス(すなわち継代64回)をさらにウイルスマルチプリケ
ーションステップに置いた(継代65回目)。
2.ワクチン種ロット(Vaccine Seed Lot)の調製 継代65回目の精製ウイルスをさらにFK培養系に接種し
て4回継代し37℃で3ないし4日インキュベートするこ
とによって継代69回目のウイルスを得た。これを−70℃
で保存した。このウイルスは、本発明の好ましい実施態
様にもとづいたV89042601と番号が付けられた寄託され
た株である。
3.P69を含むCPV−2ワクチンの調製 FK細胞培養系にP68を接種し、そして37℃で3ないし
4日間インキュベートした。おの培養を既知の標準的な
方法(生ワクチンまたは不活性化ワクチンのどちらを求
めるかに応じて)を用いて回収してウイルスの塊を得て
さらにウイルスの力価(効力)および無効果性(steril
ity)を調べた。スタビライザーでウイルス塊を形成
し、それを−20℃で保存した。また、ワクチンを必要に
応じてさらに凍結乾燥させることも可能である。
4A.生後6週間の仔犬に対するワクチン接種の結果 生後6週間の仔犬(小型フォックステリア)に、高力
価の陽性血清2mlを腹腔内注射することによって受動免
疫を与えた。前ワクチン接種(後受動免疫)力価を第1
表のように決定した。この表中、抗体レベルは、32以下
であり、疾患に対する防御性がないと思われる。しか
し、ワクチン接種に対する仔犬の応答を妨害することが
可能である。
つぎに、仔犬に前記CPV−2株P69含有ワクチンを接種
した。この際、投与量は第1表に示すように異なる。抗
体力価は、ワクチン接種後15日目で測定し、第1表に示
した。104.1TCID50投与された一匹の犬のみが応答しな
かった。
4B.血清陽性の犬でのイヌパルボウイルスワクチンの比
較 CPV−2株P69またはノビバックパルボ・シー(NOVIVA
C PARVO−Cバッチ4545,これはCPVのI−404)のどちら
か一方を含むワクチンを接種された生後6週間目の仔犬
から得られた血清学的データを比較した。
妊娠中に不活性CPVワクチンを接種されたメスから得
た生後6週間目のビーグル犬に、適当なワクチンからな
る単一投与量を接種し、そして生後9週間目に再び同一
ワクチンを接種した。
ノビバックパルボ・シーを受けた仔犬と、CPV−2株P
69を受けた仔犬とはひと腹の子同士である。
CPV−2株P69含有ワクチンは、一回の投与量あたり10
5.8TCID50の力価で用いた。一方、ノビバックパルボ・
シーは、一回の投与量あたり105.4TCID50の力価で用い
た(この力価は購入したパルボ・シーの力価である)。
CPVに対する抗体力価を測定するために生後6、8、
9、そして11週間目に仔犬から血を取った。お産(whel
ping)時のメス犬の力価は、32から1024HIU/50uLの範囲
内にある。生後3週間目の仔犬は、イヌパルボウイルス
に対する母親由来抗体を持っており、その力価は16ない
し512HIU/50uLである。
ワクチン接種前後の仔犬の血球凝集阻害力価は、第2
表に示した。
第2表中、★および+は以下のことを示す。
★:ワクチン接種を2回した。
第一回 生後6週間目 第二回 生後9週間目 +:CPV血球凝集阻害力価;HIU/50uL 生後6週間目(第一回目のワクチン接種時)の仔犬の
力価は4〜6倍減少(<16〜64)する。33匹中23匹(70
%)の仔犬が母親由来抗体力価を生後6週時に16 HIU/5
0uL以上有していた。
生後6週間目でのワクチン接種後、24匹中23匹(95.8
%)の仔犬が、生後8週間目、力価2048から16,384でCP
V−2株P69含有ワクチンに応答した。9匹のうち2匹
(22.2%)のみが同時期にノビバックパルボ・シー(No
bivac Parvo−C)に応答した。このノビバックパルボ
・シーの力価は、2048から4096の範囲内にある。
生後6週間目時のワクチン接種に対しては応答しなか
ったそれぞれの群に含まれるすべての仔犬は、生後9週
間目に実施された2回目のワクチン接種に対しては応答
した。これらの仔犬での応答の程度は、最初のワクチン
接種で応答した個体のものと同程度であった。
弱毒生イヌパルボウイルスP69ワクチンが高い免疫原
性を有することが第2表に示された血清学的結果によっ
て明らかにされた。<16から64にある受動的に獲得した
抗体力価を有する24匹の仔犬のうち23匹が、生後6週間
目でCPV−2株P69含有ワクチンを接種された時点で少な
くとも2048HIU/50uLからなる抗体応答を生み出した。
これとは対照的に、ノビバックパルボ・シーを生後6
週で接種された9匹の仔犬中たった3匹だけが抗体力価
の増加が認められたにすぎない。第一回目のワクチン接
種後に抗体力価の上昇を示した3匹の仔犬は、すべて前
ワクチン接種力価が16であった。残りの6匹の仔犬は、
力価が32から64であり、抗体応答が認められなかった。
血清学的データによれば、CPV−2株P69は、既知のイ
ヌパルボウイルスと干渉する受動的に獲得した抗体の力
価を克服する。
5A.毒性の変化 ワクチン接種された犬から生じたウイルス性物質の毒
性および毒性の変化を調べるために、ワクチン接種され
た犬(継代1回)から糞を採取し、前CPVナイーブな犬
(previously CPV−naive dogs)に経口投与した(継代
2回目)。さらに、これらの犬から糞試料を採取し、さ
らにワクチン接種されていない犬に継代した(第3表を
見よ)。
14日目で検出可能な抗体を産生した2匹の犬からなる
B群(第3表)を除いて、ウイルスの継代が認められな
かった。
(表中、Passageは継代、Repeat Passageは繰り返し継
代を意味する) 各継代につき、2匹の犬に接種した。
継代1(Passage 1)の犬:イヌパルボウイルスを皮
下より10ml、経口より1ml接種した。
継代2(Passage 2)の犬:継代1の犬から得た糞懸
濁液(2gの糞と等しい)を5ml経口投与した。
継代3(Passage 3)の犬:継代2の犬から得た糞懸
濁液(=3g)(−30℃)を10ml経口投与。
継代1B(Passage 1B)の犬:P69イヌパルボウイルスを
皮下より10ml、経口より1ml接種した。
継代2B(Passage 2B)の犬:継代1Bの犬から得た糞懸
濁液(2gの糞と等しい)を10ml経口投与した。
継代3B(Passage 3B)の犬:継代2の犬から得た糞懸
濁液(=15g)を30ml投与。
継代4B(Passage 4B)の犬:継代3Bから糞懸濁液(=
15g)を30ml投与。
継代5B(Passage 5B)の犬:継代4Bから得た糞懸濁液
(=15g)を30ml投与。
5B.血清陰性の仔犬におけるパルボウイルス株の比較 CPV株I−404またはCPV−2株P69の投与による仔犬の
ウイルス放出特性および血清学的特徴について比較検討
した。
第4表に示すように、生後8週間目から11週間目の仔
犬を、ランダムに4つのグループにふるいわけ、CPV−
2株P69(力価106.0TCID50/投与量)またはCPV株I−40
4(力価106.0TCID50/投与量)のどちらか一方を接種し
た。
血清抗体力価は、接種前と、接種後6日および30日目
に測定した。それぞれの仔犬から接種後2日目から全体
で12日間にわたり毎日糞試料を採取した。それぞれの糞
試料をダルベッコリン酸緩衝液に1:1の割合で懸濁し、
細菌除去のために濾過し、そしてネコ腎臓(FK)細胞に
接種した。
第4表中、★および+は以下のことを示す。
★:仔犬一匹あたり106TCID50を皮下接種。
+:仔犬一匹あたり106TCID50を経口接種。
なお、対照群は滅菌処理された希釈液を接種された。
皮下接種によって、CPV−2株P69を受けた仔犬の100
%が1024HIU/50uL以下の力価による接種後6日目で応答
した。一方、CPV株I−404を受けた仔犬の60%のみ(5
匹中3匹)が1024HIU/50uL以下の力価による接種後6日
目で応答した。
経口接種によって、CPV−2株P69を受けた仔犬3匹中
1匹が、接種後6日目で血清タイプの変換が生じた。13
日目では、3匹中2匹のみが血清タイプの変換が生じ
た。CPV株I−404を投与されたどちらの場合の仔犬も、
接種後6日で血清変換が生じた。
第5図に示すように、ワクチン接種されたすべての仔
犬の糞中にイヌパルボウイルスが検出された。
糞中にウイルスが検出されるのは、CPV株I−404より
もCPV−2株P69を接種されたほうの仔犬が早くて期間が
短い。また、CPV株I−404は、皮下接種された群の対照
群に広がった。一方、CPV−2株P69は対照群には感染し
なかった。
6.異なる細胞培養系におけるCPV増殖の比較 CPV−2株P69は、異なる細胞培養系において増殖する
場合に既知のCPVの株と異なった特性を示す。
本研究では、4つの異なった細胞培養系を用いてCPV
−2株P69の増殖を比較した。これらの細胞培養系は、
マジンダービー(Madin Darby)犬腎臓(MDCK)細胞、
クランデル(Crandell)猫腎臓(CrFK)細胞、ネコ腎臓
(FK)細胞、そしてA72細胞である。
5X104細胞/平方センチメートル含むフラスコを2つ
用意し、それぞれCPV−2株P69またはノビバックパルボ
・シー(CPV株I−404を含むと思われる)のどちらか一
方を104.7〜105.2TCID50接種した。
接種後に細胞培養系に対する細胞変性効果(CPE)に
ついて調べた(第6表参照)。どのウイルスでもひとつ
の細胞型に対して100%CPEを示した場合、その細胞型の
すべてのフラスコから細胞を回収して凍結し、かつ粉砕
した。回収産物をCrFK細胞で滴定した(第6B表および第
6C表参照)。第6A表ないし第6C表に示された結果から明
らかなように、CPV−2株P69はノビバックパルボ・シー
に比べて、細胞培養系に感染して細胞変性効果(CPE)
を示す時期が早い。また、細胞培養系によって感染性ウ
イルスの産量に違いがある。どちらのウイルス株もCrFK
懸濁培養と比較してCrFK単層培養での滴定の方が力価が
より低くなっていた。この力価測定系の違いによる違い
は、ノビバックパルボ・シーの場合の方が大きかった。
さらに、ウイルス株間の違いは、顕著であった(p<0.
01)。
7.DNA分析 自己複製するパルボウイルスのゲノムは、重複し、か
つ遺伝子をコードしない領域を含むものである。このよ
うな両行きは、4513番目のヌクレオチドと5011の番目の
ヌクレオチドの間にある。この領域は約500のヌクレオ
チドからなり、1200塩基対からなるHae III断片を含
む。CPVゲノムにおけるヌクレオチド4513と5011の間に
あるこの領域の割合は、CPV株I−404と同様に、CPV−
2株P69およびCPV−2株P92について調べられた。
基本的な違いは、約4600ヌクレオチドのところにあっ
た。
CPV−2 P69 TAT_CAACTA CPV−2 P98 TAT_CAACTA CPV株I−404 TCTTCAACTA 4595 4604 おおよそのヌクレオチド領域 さらに、第1図を参照すると、CPV株のHph−Iによる
消化は、CPV−2株P69に見出される第三バンドは、CPV
−2株P92およびCPV株I−404の対応するバンドと比較
して分子量が大きい(第1図:標準は、ラムダBST E II
(Std=LAMBDA BST E II))。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 7/08 C12R 1:92) (72)発明者 ラヴィディス,ライネット オーストラリア国 2763 ニュー サウ ス ウェールズ クウェーカーズ ヒル キャランドラ アベニュ 6 (56)参考文献 特開 昭59−157031(JP,A) 欧州特許出願公開189958(EP,A 1) J.Am.Vet.Med.Asso c.,Vol.181,No.9, (1982),p909−913 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 7/00 - 7/08 A61P 31/20 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ECACC寄託番号V89042601(CPV−2 P69)
    号の抗原性および毒性特性を有する弱毒イヌパルボウイ
    ルスにおいて、低毒性であり、かつ母親由来イヌパルボ
    ウイルス(CPV)抗体を有する仔犬において免疫応答を
    引き出すことが可能であることを特徴とする弱毒イヌパ
    ルボウイルス。
  2. 【請求項2】前記弱毒イヌパルボウイルスは、さらに前
    記弱毒イヌパルボウイルスを接種された動物から放出さ
    れたいずれのウイルスの感染率も低いことを特徴とする
    請求項1記載の弱毒イヌパルボウイルス。
  3. 【請求項3】ECACC寄託番号V89042601号のウイルスであ
    ることを特徴とするイヌパルボウイルス。
  4. 【請求項4】弱毒イヌパルボウイルスを有効量含むこと
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の
    ワクチン。
  5. 【請求項5】CPVの有効量は、投与量あたりの50%培養
    細胞感染量(TCID50)が少なくとも104.8であることを
    特徴とする請求項4記載のワクチン。
  6. 【請求項6】CPVを、生のかたちで、あるいは不活化の
    かたちで、あるいはその両方のかたちで含むことを特徴
    とする請求項4または請求項5記載のワクチン。
  7. 【請求項7】さらに他の薬剤学的に許容される化合物ま
    たは任意の抗原またはそれらの一部またはウイルスまた
    はウイルス粒子を含むことを特徴とする請求項4から請
    求項6のいずれかに記載のワクチン。
  8. 【請求項8】凍結乾燥調製物または懸濁液のかたちにあ
    ることを特徴とする請求項4から請求項7のいずれかに
    記載のワクチン。
  9. 【請求項9】請求項1から請求項3のいずれかに記載の
    弱毒ウイルス株を有効量含むワクチンをイヌに投与する
    ことを含むことを特徴とするイヌにおけるイヌパルボウ
    イルスの感染防御方法。
  10. 【請求項10】請求項4から請求項6のいずれかに記載
    のワクチンをイヌに投与することを含むことを特徴とす
    るイヌにおけるイヌパルボウイルスの感染防御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Title
J.Am.Vet.Med.Assoc.,Vol.181,No.9,(1982),p909−913

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