JP3039756B2 - 後2軸駆動車の駆動力切換え装置 - Google Patents

後2軸駆動車の駆動力切換え装置

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JP3039756B2
JP3039756B2 JP6225842A JP22584294A JP3039756B2 JP 3039756 B2 JP3039756 B2 JP 3039756B2 JP 6225842 A JP6225842 A JP 6225842A JP 22584294 A JP22584294 A JP 22584294A JP 3039756 B2 JP3039756 B2 JP 3039756B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は後2軸駆動車の駆動力切
換え装置に係り、とくに後2軸駆動と後1軸駆動とを切
換えるようにした後2軸駆動車の駆動力切換え装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】後2軸のトラックにおいて、確実な駆動
力を得るために、後2軸を構成する後前軸と後々軸のそ
れぞれを駆動軸とするようにした後2軸駆動車が用いら
れるようになっている。後2軸駆動車はトランスミッシ
ョンの出力側のトルクをプロペラシャフトを介してイン
タアクスルデフに伝達し、このインタアクスルデフを介
して後前軸と後々軸とにそれぞれトルクを伝達するよう
にしている。そして後前軸と後々軸の回転数の差を上記
インタアクスルデフで吸収するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようにインタアク
スルデフを介して後2軸の駆動を行なうようにした車両
においては、後前軸側のデフのケーシング内にインタア
クスルデフが組込まれており、このために後前軸側のデ
フのケーシング内の構造が非常に複雑になるとともに、
多くの回転体を中に備えることになる。そしてこのよう
な多くの回転体を潤滑するためにオイルを注入するよう
にしている。従って高速走行時に潤滑オイルの油温が上
昇する。また潤滑オイルの撹拌抵抗によって動力の伝達
効率が悪化し、燃費が悪化する原因になる。
【0004】一般に後2軸駆動車において、低速時には
後2軸にそれぞれ駆動力を伝達することは大きな駆動力
を発生するために効果的であるが、高速道路を走行する
場合のような高速走行時においては、必ずしも2軸駆動
は必要でなく、かえって燃費の悪化の原因になる。
【0005】そこで例えばインタアクスルデフと後前軸
側デフとの間にクラッチ機構を介在させ、このクラッチ
機構の切換えによって必要に応じて後前軸側への駆動力
の伝達を断つことにより、後々軸のみの1軸駆動にな
る。ここで上記1軸駆動と2軸駆動との切換えを行なう
ためにドッグギヤを用いたドッグクラッチ機構を採用す
ると、ドッグクラッチの噛合わせに時間がかかるととも
に、歯車の噛合わせの際にエッジが互いにぶつかって騒
音を発生し、操作性が悪くなる。
【0006】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであって、1軸駆動と2軸駆動との切換え、とく
に伝動状態への切換えを円滑に行ない得るようにした後
2軸駆動車の駆動力切換え装置を提供することを目的と
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、トランスミッ
ションからのトルクを後前軸側デフと後々軸側デフとに
それぞれ伝達するようにした後2軸駆動車の駆動力切換
え装置において、トランスミッションから後前軸側デフ
へのトルクの伝動と遮断との切換えを行なうための同期
噛合式の切換え機構と、トランスミッションをニュート
ラルの状態でロックするインタロック機構とを設け、ト
ランスミッションの使用段が高速段である場合または車
速が所定の値以上の場合に上記切換え機構を遮断状態に
し、トランスミッションの使用段が低速段側である場合
または車速が所定の値以下の場合に上記切換え機構を伝
動状態とするとともに、この伝動状態に切換える際にイ
ンタロック機構によってトランスミッションをニュート
ラルの状態でロックし、上記同期噛合式の切換え機構を
保護するようにしたものであって、低速走行時において
は2軸駆動とするとともに、高速走行時においては後々
軸の1軸駆動に切換えるようにしたものである。
【0008】
【作用】トランスミッションの使用段が高速側に切換え
られた場合または車速が所定の値以上になった場合に制
御手段によって切換え機構が遮断状態に切換えられ、ト
ランスミッションからのトルクは後々軸側デフにのみ伝
達されるようになり、後前軸への動力の伝達が遮断され
る。これに対してトランスミッションの使用段が低速段
である場合または車速が所定の値以下の場合には、トラ
ンスミッションをインタロック機構によってニュートラ
ルの状態にロックしながら同期噛合式の切換え機構を伝
動状態に切換え、後2軸駆動に切換える。
【0009】
【実施例】図1は本発明の一実施例に係る駆動力切換え
装置を備える車両の後2軸の構成を示すものであって、
後前輪11と後々輪12とはそれぞれ後前軸側デフ13
と後々軸側デフ14に連結されている後前軸15と後々
軸16とによって駆動されるようになっている。すなわ
ちトランスミッションからのトルクを後前軸側デフ13
と後々軸側デフ14とに伝達し、これらのデフ13、1
4を介して後前輪11と後々輪12との後2軸駆動を達
成している。
【0010】後前軸側デフ13の構成について説明する
と、図3および図4に示すように後前軸側デフ13のギ
ヤボックス内にはインプットシャフト20が設けられて
おり、このインプットシャフト20上にインタアクスル
デフ21が設けられている。インタアクスルデフ21は
とくに図4に示すようにインプットシャフト20上に固
着されている十字状のスパイダ22に設けられている4
つのデフピニオン23を具備し、これら4つのデフピニ
オン23がドライブギヤ25の側面に設けられているサ
イドギヤ26およびスルーシャフト17に固着されてい
るサイドギヤ27と噛合うようになっている。インタア
クスルデフ21は後前輪11と後々輪12との間の回転
数の差を上記のスパイダ22に設けられている4つのピ
ニオン23の自転によって吸収する。
【0011】次にこのようなインタアクスルデフ21を
ロックするためのインタアクスルデフロック機構28に
ついて説明すると、図3および図4に示すように、イン
プットシャフト20にはハブ29が設けられるととも
に、このハブ29の外周面上のスプラインによって摺動
可能にスリーブ30が保持されている。そしてこのスリ
ーブ30と係合および離脱するようにドライブギヤ25
の側面にドッグギヤ31が形成されている。そしてスリ
ーブ30がドッグギヤ31と係合したり離脱したりする
ように図3に示すエアシリンダ32が設けられている。
エアシリンダ32のピストンロッド33に固着されてい
るフォーク34がスリーブ30の溝に係合し、このスリ
ーブ30を軸線方向に移動するようにしている。
【0012】次に上記ドライブギヤ25と噛合っている
ピニオンドライブギヤ37の切換え機構38について説
明すると、図4および図2に示すように、この切換え機
構はハイポイドピニオン39の軸上に設けられているハ
ブ40を備えている。そしてハブ40上に形成されてい
るスプラインによってスリーブ41は軸線方向に移動可
能に支持され、このスリーブ41をピニオンドライブギ
ヤ37の側面側のシンクロコーン46のギヤと噛合わせ
たり離脱させたりすることによって駆動力の切換えを行
なうようにしている。シンクロコーン46上のシンクロ
ナイザリング42は噛合わせの際に同期をとるためのも
のである。そしてハブ40の下側にエアシリンダ43が
設けられており、このエアシリンダ43のピストンロッ
ド44に固着されているフォーク45をスリーブ41の
溝に係合させ、これによってスリーブ41を軸線方向に
移動させるようにしている。
【0013】次に後前軸側デフ13の構造について説明
すると、ハイポイドピニオン39によって駆動されるリ
ングギヤ48がデフ13の中心部に設けられている。そ
してリングギヤ48はデフケース49を備えるととも
に、このデフケース49によってスパイダ50が支持さ
れている。スパイダ50はデフピニオン51を回転自在
に支持しながらデフケース49とともに回転するように
なっている。そしてデフピニオン51は後前軸15の先
端部に取付けられているサイドギヤ52と噛合うように
なっている。
【0014】後前軸15は図3に示すようにアクスルハ
ウジング55内に延びており、しかもアクスルハウジン
グ55上にローラベアリング56を介して支持されてい
るホイールハブ57と結合されている。ホイールハブ5
7はホイール58をハブボルト59を介して保持するよ
うになっている。なおハブボルト59はホイール58に
ブレーキドラム60を固定している。そしてホイール5
8のリムに装着されているタイヤによって後前輪11が
構成されている。
【0015】次に後々輪12を駆動するための後々軸側
デフ14について説明すると、図5に示すように、後前
軸側デフ13のスルーシャフト17の先端部と後々軸側
デフ14とを連結するプロペラシャフト63の先端部に
ハイポイドピニオン64が連結されるようになってい
る。このハイポイドピニオン64はリングギヤ65と噛
合うようになっている。リングギヤ65は後々軸16を
中心として旋回するようになっており、デフケース66
に固着されている。デフケース66によってスパイダ6
7が支持されるとともに、このスパイダ67がデフピニ
オン68を回転可能に支持している。そしてデフピニオ
ン68は後々軸16に取付けられているサイドギヤ69
と噛合っている。
【0016】サイドギヤ69が中心側端部に取付けられ
ている後々軸16は図5に示すようにアクスルハウジン
グ72内に延びている。そしてアクスルハウジング72
の先端部によってテーパローラベアリング73を介して
ホイールハブ74が回転可能に支持されており、このホ
イールハブ74に上記後々軸16の先端部が連結されて
いる。ホイールハブ74はホイール75をハブボルト7
6を介して支持するとともに、このハブボルト76によ
ってブレーキドラム77が固着されている。そしてホイ
ール75のリムの部分に装着されているタイヤによって
後々輪12が構成されることになる。
【0017】次にこの車両のトランスミッション81に
は図6および図7に示すように、検出スイッチ82が設
けられている。検出スイッチ82はこのトランスミッシ
ョン81が高速側の使用段で使用された場合にそのこと
を検出するためのものであって、図7に示すようにトッ
プカバー83の下側に取付けられており、シフタシャフ
ト84に固着されているフォーク85の位置を検出する
ようになっている。
【0018】またトランスミッション81の上部には図
8に示すインタロック機構96が設けられている。イン
タロック機構96は2重噛合防止機構とエアシリンダ1
01とを組合わせたものであって、シフタシャフト8
4、97と交差するように貫通するロックピン99、9
8と押圧子100とから構成され、エアシリンダ101
のピストンロッド102がロックピン99を押圧するこ
とによってインタロック動作を行なうように構成されて
いる。
【0019】上記検出スイッチ82は図9に示すように
切換えスイッチ88ともにコントローラ89の入力側に
接続されている。そしてこのコントローラ89によって
3つの電磁弁91、92、93の開閉の制御が行なわれ
るようになっている。電磁弁91は図2に示す切換え機
構38のエアシリンダ43に対する圧縮空気の供給と遮
断とを制御するためのものである。また電磁弁92はイ
ンタアクスルデフロック機構28のエアシリンダ32に
対する圧縮空気の供給と遮断とを行なうためのものであ
る。また電磁弁93はインタロック用のエアシリンダ1
01に対する圧縮空気の供給と遮断とを制御するための
ものである。
【0020】次に以上のような構成になるこの装置の動
作について説明する。運転手が図9に示す切換えスイッ
チ88を実線で示すように2軸駆動側に切換えるととも
に、トランスミッション81の検出スイッチ82が低速
段であることを検出した場合には、コントローラ89が
電磁弁91を開き、図2に示すエアシリンダ43に圧縮
空気を供給して切換え機構38のスリーブ41を図2に
示す鎖線位置へ移動させ、シンクロナイザリング42に
よって同期をとりながら、シンクロコーン46のギヤと
係合させる。従ってハイポイドピニオン39とドライブ
ギヤ37とが結合された状態になり、切換え機構38は
接続状態に切換えられる。
【0021】上記切換え機構38の伝動状態への切換え
は、図2に示すシンクロナイザリング42から成る同期
噛合式の切換え機構によって行なわれる。エアシリンダ
43によってフォーク45を介してスリーブ41を図2
中右方へ移動させると、まずシンクロナイザリング42
の内周面がシンクロコーン46の外周面に摩擦接触し、
これによって回転数の同期をとるようにしている。そし
てこの後にさらにスリーブ41がエアシリンダ43によ
って移動されると、このスリーブ41の内周面のスプラ
インがシンクロナイザリング42とシンクロコーン46
とに係合し、これによってピニオンドライブギヤ37が
ハブ40と係合されることになる。
【0022】このようにシンクロナイザリング42とシ
ンクロコーン46とから成る同期噛合式の切換え機構を
設けることによって、とくに切換え機構38を伝動状態
に切換える際の時間を大幅に短縮することが可能になる
とともに、円滑な伝動状態への切換えが可能になる。な
おこのような切換えの際に切換え機構38に大きなトル
クが加わると、シンクロナイザリング42とシンクロコ
ーン46との摩擦接触部が焼損する可能性があるため
に、このような場合にはコントローラ89によって電磁
弁93を開放し、電磁弁93を通してエアシリンダ10
1に圧縮空気を供給している。
【0023】従って図8に示すように、エアシリンダ1
01のピストンロッド102が図中上方へ押圧され、ロ
ックピン99が同方向へ移動されるとともに、押圧子1
00がロックピン98を押圧しながらシフタシャフト9
7をロックするようにしている。すなわちトランスミッ
ション81の一対のシフタシャフト97、84がそれぞ
れニュートラルでロック状態に切換えられることにな
る。このような動作によって、切換え機構38のシンク
ロナイザリング42による同期の動作中に同期噛合式切
換え機構に大きなトルクが加わることが防止できるよう
になる。
【0024】またこのときには図3に示すインタアクス
ルデフロック機構28のエアシリンダ32に対する圧縮
空気の供給が停止され、このエアシリンダ32内の圧縮
空気が電磁弁92を介して排出される。従ってスリーブ
30とドライブギヤ25のドッグギヤ31との係合が解
除され、インタアクスルデフロック機構は解除状態にな
る。
【0025】従ってトランスミッション81からのトル
クは図3および図4に示すインプットシャフト20を通
してインタアクスルデフ21のスパイダ22に伝達さ
れ、このスパイダ22に設けられているデフピニオン2
3およびサイドギヤ26、27を通して後前軸側デフ1
3と後々軸側デフ14とに供給される。しかもデフピニ
オン23とサイドギヤ26、27の差動運動によって後
前輪11と後々輪12との間の回転数の差が吸収され
る。
【0026】インタアクスルデフ21のサイドギヤ23
から後前軸側デフ13への駆動力の伝達は、サイドギヤ
26、ドライブギヤ25、ピニオンドライブギヤ37、
シンクロコーン46、スリーブ41、ハブ40、ハイポ
イドピニオン39を通して後前軸側デフ13に伝達され
る。
【0027】後前軸側デフ13のハイポイドピニオン3
9によって図3に示すリングギヤ48が駆動され、これ
によってデフケース49が駆動されることになる。従っ
てデフケース49に支持されているスパイダ50上のデ
フピニオン51が左右のサイドギヤ52を引掛けながら
回転し、後前軸15が駆動される。
【0028】車両が旋回する場合のように左右の後前輪
11の回転抵抗が変化すると、スパイダ50によって支
持されているデフピニオン51は抵抗の大きい方のサイ
ドギヤ52上を自転しながら公転することになり、これ
によって抵抗の大きい方の車輪11の回転数が減り、反
対側の車輪11の回転数が増加し、左右の回転数の差が
吸収される。
【0029】インタアクスルデフ21のデフピニオン2
3およびサイドギヤ27を介して伝達される回転トルク
はスルーシャフト17および図1に示すプロペラシャフ
ト63を介して後々軸16側のデフ14に入力される。
すなわちこのデフ14のハイポイドピニオン64がリン
グギヤ65を駆動する。従ってリングギヤ65が固着さ
れているデフケース66に支持されているスパイダ67
上のデフピニオン68が左右のサイドギヤ69を引掛け
て後々軸16を回転駆動する。従ってこれにより、後々
軸16の先端部に取付けられている後々輪12が駆動さ
れることになる。なお左右の後々輪12の回転数の差を
吸収するための差動運動の動作は、上記後前軸11の左
右の回転数の差を吸収するための後前軸側デフ13のそ
れと同じである。このようにしてインタアクスルデフ2
1が前後の回転数の差を吸収しながら後2軸の駆動が行
なわれる。
【0030】図9に示す切換えスイッチ88が鎖線で示
すように1軸駆動側に切換えられた場合あるいは検出ス
イッチ82がトランスミッション81の使用段が低速段
であることを検出した場合には、コントローラ89が電
磁弁91の排気口を開き、図2に示すエアシリンダ43
から圧縮空気を排出する。従ってこのエアシリンダ43
のリターンスプリングによってフォーク45が図中左方
に移動され、スリーブ41が実線で示されるように同方
向に移動してシンクロコーン46との係合が解除され
る。すなわち切換え機構38が遮断状態に切換えられ
る。従ってインタアクスルデフ21から後前軸側デフ1
3へのトルクの伝達が遮断されることになる。
【0031】またコントローラ89がこのときに電磁弁
92を開き、図3に示すエアシリンダ32内に圧縮空気
を供給するようになる。従ってスリーブ30が図3にお
いて鎖線で示す方向に移動され、ドッグギヤ31と係合
されることになる。従ってドライブギヤ25はスリーブ
31およびハブ29を介してインプットシャフト20に
結合された状態になり、インタアクスルデフ21のスパ
イダ22と一体になって回転するようになる。すなわち
インタアクスルデフ21がデフロック状態になる。
【0032】従ってインプットシャフト20の回転がデ
フピニオン23、サイドギヤ27、スルーシャフト1
7、プロペラシャフト63(図1参照)を通して後々軸
側デフ14のハイポイドピニオン64に伝達され、後々
軸側デフ14を介して後々輪12が駆動されることにな
る。すなわちこの場合には後々輪12のみの1軸駆動に
なる。
【0033】このように後1軸駆動とした場合に、イン
タアクスルデフロック機構28によってインタアクスル
デフ21をロックするようにしているために、後1軸駆
動の際にピニオンドライブギヤ37が例えば2倍の回転
数で空転し、後々軸側デフ14にトルクの伝達が行なわ
れなくなることを防止できるようになり、確実に後々側
デフ14にのみトルクを伝達し、これによって後々輪1
2による駆動が可能になる。すなわちトランスミッショ
ン81の出力トルクを総て後々輪12に伝達して1軸駆
動を達成できるようになる。
【0034】このように本実施例においては、基本的に
は高速走行時には後々輪12のみの1軸駆動とし、駆動
力の必要な低速走行時には後2軸駆動を達成するように
している。従ってとくに高速走行時における後々軸の1
軸駆動とすることによって、燃費の改善と後前軸側デフ
13の潤滑オイルの油温の低減とを同時に達成すること
が可能になる。
【0035】しかも本実施例に係る後2軸駆動車の駆動
力切換え装置は、とくに切換え機構38としてシンクロ
ナイザリング42とシンクロコーン46とから成る同期
噛合式の切換え機構を用いるようにしているために、噛
合わせの操作時間を大幅に短縮することが可能になると
ともに、その操作性が改善され、とくに伝動状態への切
換えが円滑に行なわれるようになる。しかも伝動状態へ
の切換えの際に、図8に示すトランスミッション81の
インタロック機構によってトランスミッション81をニ
ュートラルの状態でロックするようにしているために、
シンクロナイザリング42から成る同期噛合式の切換え
機構の焼損が確実に防止される。なおこのようなインタ
ロック機構は例えば従来からトランスミッションに設け
られている2重噛合防止機構に対してエアシリンダ10
1を付加するだけで達成され、コストがほとんど増大す
ることがない。
【0036】電磁弁91、92、93の切換えを行なう
ためのコントローラ89の制御は、図9に示す切換えス
イッチ88の切換えと検出スイッチ82の検出に基いて
行なわれるようになっているが、図10に示すように切
換えスイッチ88を省略し、検出スイッチ82のみによ
って行なうようにすることも可能である。すなわちトラ
ンスミッション81の使用段の検出に応じてコントロー
ラ89を介して電磁弁91、92、93の切換えを行な
うようにしてもよい。この場合にはトランスミッション
81の使用段に応じて、1軸駆動と2軸駆動の自動的な
切換えが行なわれることになる。
【0037】図11に示す構成はコントローラ89の入
力側に切換えスイッチ88と車速センサ94とを接続す
るようにしたものである。従ってこの場合には切換えス
イッチ88が1軸駆動を選択した場合であってしかも車
速センサ94によって車速が所定の値以上であることが
検出された場合に1軸駆動となるとともに、切換えスイ
ッチ88が2軸駆動に切換えられた場合あるいは車速セ
ンサ94が所定の車速以下であることを検出した場合に
2軸駆動に切換えられるようになる。
【0038】図12に示す構成はコントローラ89の入
力側に車速センサ94のみを接続するようにしたもので
ある。このような構成によれば、車速センサ94の車速
の検出に応じて、1軸駆動と2軸駆動の切換えが自動的
に行なわれるように電磁弁91、92、93がコントロ
ーラ89によって制御される。すなわち車速が所定の車
速以上の場合には1軸駆動に切換えられ、車速が所定の
車速よりも下がった場合には2軸駆動に切換えられる。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明は、検出手段によっ
てトランスミッションの使用段が高速段であることが検
出された場合、または車速検出手段によって車速が所定
の値以上であると検出された場合に、切換え機構を遮断
状態に切換え、後1軸駆動とするとともに、トランスミ
ッションの使用段が低速段側であることが検出された場
合、または車速が所定の値以下であることが検出された
場合に、トランスミッションをニュートラルの状態でイ
ンタロック機構によりロックしながら切換え機構を伝動
状態にし、2軸駆動に切換えるようにしたものである。
【0040】従って本発明によれば、2軸駆動車の駆動
力を1軸駆動と2軸駆動とに切換えることが可能にな
り、燃費の改善に寄与することになる。
【0041】しかも1軸駆動と2軸駆動との切換えを行
なうための切換え機構として同期噛合式の切換え機構を
用いるようにしているために、伝動状態への切換えが短
時間で円滑に行なわれるようになる。しかもこのときに
インタロック機構によってトランスミッションをニュー
トラルの状態でロックするようにしているために、同期
噛合式の切換え機構が保護されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】後2軸駆動車の駆動力の伝達機構を示す全体の
側面図である。
【図2】切換え機構の要部断面図である。
【図3】後前軸側デフの横断面図である。
【図4】後前軸側デフの縦断面図である。
【図5】後々軸側デフの横断面図である。
【図6】トランスミッションの側面図である。
【図7】トランスミッションの要部の断面図である。
【図8】トランスミッションのインタロック機構の横断
面図である。
【図9】制御回路を示すブロック図である。
【図10】変形例の制御回路のブロック図である。
【図11】別の変形例の制御回路のブロック図である。
【図12】さらに別の変形例の制御回路のブロック図で
ある。
【符号の説明】
11 後前輪 12 後々輪 13 後前軸側デフ 14 後々軸側デフ 15 後前軸 16 後々軸 17 スルーシャフト 20 インプットシャフト 21 インタアクスルデフ 22 スパイダ 23 デフピニオン 25 ドライブギヤ 26 サイドギヤ(前) 27 サイドギヤ(後) 28 インタアクスルデフロック機構 29 ハブ 30 スリーブ 31 ドッグギヤ 32 エアシリンダ 33 ピストンロッド 34 フォーク 37 ピニオンドライブギヤ 38 切換え機構 39 ハイポイドピニオン 40 ハブ 41 スリーブ 42 シンクロナイザリング 43 エアシリンダ 44 ピストンロッド 45 フォーク 46 シンクロコーン 48 リングギヤ 49 デフケース 50 スパイダ 51 デフピニオン 52 サイドギヤ 55 アクスルハウジング 56 ローラベアリング 57 ホイールハブ 58 ホイール 59 ハブボルト 60 ブレーキドラム 63 プロペラシャフト 64 ハイポイドピニオン 65 リングギヤ 66 デフケース 67 スパイダ 68 デフピニオン 69 サイドギヤ 72 アクスルハウジング 73 ローラベアリング 74 ホイールハブ 75 ホイール 76 ハブボルト 77 ブレーキドラム 81 トランスミッション 82 検出スイッチ 83 トップカバー 84 シフタシャフト 85 フォーク 88 切換えスイッチ 89 コントローラ 91 電磁弁(切換え機構用) 92 電磁弁(デフロック機構用) 93 電磁弁(インタロック用) 94 車速センサ 96 インタロック機構 97 シフタシャフト 98、99 ロックピン 100 押圧子 101 エアシリンダ 102 ピストンロッド

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】後2軸駆動と後1軸駆動とを切換えるよう
    にした後2軸駆動車の駆動力切換え装置において、 後前軸に駆動力を伝達する後前軸側デフと、 後々軸に駆動力を伝達する後々軸側デフと、 トランスミッションから前記後前軸側デフへのトルクの
    伝動と遮断との切換えを行なう同期噛合式の切換え機構
    と、 前記トランスミッションをニュートラルの状態でロック
    するインタロック機構と、 トランスミッションの使用段を検出する検出手段と、 前記検出手段によってトランスミッションの使用段が高
    速段であることが検出された場合に前記切換え手段を遮
    断状態にするとともに、前記トランスミッションの使用
    段が低速段側であることが検出された場合に前記切換え
    手段を伝動状態にし、しかも伝動状態への切換えの際に
    前記インタロック機構によって前記トランスミッション
    をニュートラルでロックする制御手段と、 をそれぞれ具備する後2軸駆動車の駆動力切換え装置。
  2. 【請求項2】後2軸駆動と後1軸駆動とを切換えるよう
    にした後2軸駆動車の駆動力切換え装置において、 後前軸に駆動力を伝達する後前軸側デフと、 後々軸に駆動力を伝達する後々軸側デフと、 トランスミッションから前記後前軸側デフへのトルクの
    伝動と遮断との切換えを行なう同期噛合式の切換え機構
    と、 前記トランスミッションをニュートラルの状態でロック
    するインタロック機構と、 車速を検出する検出手段と、 車速が所定の値以上であることが検出された場合に前記
    切換え手段を遮断状態にするとともに、車速が所定の値
    以下であることが検出された場合に前記切換え手段を伝
    動状態にし、しかも伝動状態への切換えの際に前記イン
    タロック機構によって前記トランスミッションをニュー
    トラルでロックする制御手段と、 をそれぞれ具備する後2軸駆動車の駆動力切換え装置。
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