JP3038520U - 排泄物一時保持具用のステック状吸液材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案の目的は、人工肛門、人工膀胱用排泄物
一時保持具内の水様便や尿の漏れを防ぐ吸液材であっ
て、両用具共用の機能をもつ吸液材の開発提供である。
特に人工膀胱用用具は、装着口（尿取り入れ口）付近に
逆流防止壁を備える上、排尿管が内経５ミリ程と細いノ
ズル構造をしている。したがって大きな形状の吸液材を
内部に挿入できない。この人工膀胱用用具の排尿管から
も挿入できる吸液材の開発することである。また消臭材
を付加することで、別手段で消臭材を入れる二重手間を
省くことである。 【構成】液体を素早く吸収し、ゲル状になる水溶紙を、
細い管状に形成し、人工膀胱の排尿管から挿入できるス
テック状にし、その中に吸水するとゲル状になる吸水ポ
リマーを充填した。消臭機能の付加は、細い管状体の中
に充填する吸水ポリマーに消臭材を混入することで行っ
た。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

がん疾患等で、やむをえず人工肛門、人工膀胱となった方々が使用する排泄物一 時保持具を快適に使うために利用される。

【０００２】

【従来の技術】

人工肛門、人工膀胱における排泄物一時保持具（以下用具という）は、水様便、 尿、が排泄さるれので、うっかりしているとトイレで処理する前に装着口から洩 れるおそれがあった。また使用者は常時用具を装着しているが、歩くと尿、水様 便などの液体が用具内で大きく動く（踊る）ことで装着口から洩れることがあり 、またトイレで排出処理の際には排便口から急に勢いよく出るので周辺を汚すこ とがあった。この両用具に共用できる工夫をしたステック状の吸液材は無かった 。また消臭材を組み込んだステック状の吸液材は無かった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

用具にいれる吸液材に以下の機能つけることが課題である。 ●人工膀胱用用具の細い排尿管から挿入でき、かつ必要量の挿入回数が少なくて 済む長さをもつ。 ●人工肛門用用具、人工膀胱用用具のどちらにも使える。 ●用具内に挿入した吸液材によって吸液前に用具の内壁を傷つけることがない。 ●吸液が早く、吸液すると全体がゲル状になり尿、水様便の洩れを防ぎ、排泄処 理がしやすい。 ●吸液シートに消臭材を付加し、消臭材を別手段で用具に入れる手間を省く。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

●人工膀胱用用具の排尿管から用具内に挿入しやすいステック状（細管状）にす る。そのため、細管状の容器を形成する素材に、吸液力が早く膨潤してゲル状 になる水溶性繊維で形成したシートを利用する。 ●充填する吸液材は、吸水ポリマー、水溶性繊維などである。吸水ポリマーは、 砂糖や塩と同じ細粒状である。粒体が硬く形状が鋭角なので単体で直接使用す ると用具の内壁を傷つけることになる。それらを細管状容器の中に充填するこ とでその弊害を無くした。 ●未使用時に劣化しない消臭材を吸液材に添加する。 以上の手段で解決した。

【０００５】

【実施例】

実施例を図によって説明する。 実施例１。 図１は、ステック状吸液材の形状を示す。Ａは外観である。１は、水溶紙による 管状容器を示す。２は幅細の水溶紙を螺旋状に巻いて管状にする際、水溶紙が重 なる部分で、接着部である。水溶性の接着材を使用する。 ３は熱処理で閉じた端部である。Ｂは側面断面図である。４は充填した吸水ポリ マーを示す。管状容器の素材は特殊機能紙「水溶紙」である。水溶紙は尿など水 分含有量の多い液体に触れると５−２０秒で、分解、膨潤しゲル状になる特性を もつ。この特性はセルローズ繊維をカルポキシメチル化したことによって生ずる 。ＣＭＣは水溶性高分子である。ＣＭＣ繊維は水中で膨潤、ゲル化する。これを 水溶紙、水溶シートに形成するプロセスは「セルローズ繊維→積層化（紙または 不織布）→カルポキシメチル化→水溶性積層体」である。 この水溶紙を管状に形成し、管の中に吸液材を充填する。 管状容器１の直径は、用具の排尿管の内径約５ミリより小さく５ミリ未満に形成 する。排尿管に容易に挿入できる径である。長さも無理なく用具に内蔵できる６ ０ミリ程度とする。４は、管状容器１に充填した吸液材の吸水ポリマーである。 吸水ポリマー４は、荒川化学工業（株）製「アラソープＳ−３１０」を使用する 。アラソープＳ−３１０は吸水能が高く、１ｇで生理食塩水６０ｇを吸水する。 保水能は５０ｇ、吸水速度は３５秒程である。特に生理食塩水（尿成分に近い） の吸水に優れている。ゲル状になってもサラット感が強く排泄処理に適している 。他にセルローズをカルポキシメチル化したＣＭＣ繊維を充填する組み合わせも ある。管状容器の端部３は、水溶紙部分を重ね熱処理で閉じる。 図２は、正面図である。 図３は、人工膀胱用用具の構造の模式図である。５は装着口、６は尿逆流防止壁 、７は排尿管である。８はステック状吸液材である。人工膀胱用用具に吸液材を 使用する際は、装着口側から挿入が考えられるが、初回は別として尿逆流防止壁 があるので、装着中は内径５ミリの排尿管から挿入しなければならない。

【０００６】 実施例２。 図４は、水に触れると素早く溶解する水溶性ビニロンフィルムを使用して管状容 器を形成し、その中に吸水ポリマー４を充填したステック状吸液材をしめす。 水溶性ビニロンフィルムには、クラレ（株）の製品である「クラリア」がある。 このクラリアのＪタイプを使用する。このクラリアＪタイプは、厚さ１８μｍで 、溶解時間は、水温摂氏２０度で１５−１８秒と早い。この素材を使用して用具 の排尿管から挿入できる５ミリ未満の管状に形成し、管内に吸液ポリマー４を充 填する。９は、管状容器を形成する水溶性ビニロンフィルム、４は吸水ポリマー である。端部１０は水溶性ビニロンフィルムを重ね接着し閉じた部分である。長 さは無理なく用具に内蔵できる６０ミリ程度である。

【０００７】 実施例３。 図５は、充填材である吸水ポリマー４に、消臭材１１を混入し、消臭機能を付加 した状態を示す模式図である。消臭材を別手段で用具に添加する二重手間をなく す案である。消臭材１１は、丸善製薬製の消臭材「緑茶抽出物ＭＦ」を使用する 。１２は、管状容器である。この消臭材「緑茶抽出物ＭＦ」は、茶葉を熱水抽出 し、アルコールで精製した後、乾燥した粉末状の消臭材である。その消臭力は、 アンモニアを７５ＰＰＭ含んだ液体に１％の「緑茶抽出物ＭＦ」を加えた後のア ンモニアの残存率は３％であることで示される。素材形状は粉状である。用具内 に溜まる排泄物の臭気の主な成分はアンモニアである。「緑茶抽出物ＭＦ」は排 泄物に含まれるアンモニアを主に、他の臭いも消臭する。

【０００７】

【考案の効果】

●人工膀胱用用具の排尿管管から挿入が可能、必要量の挿入回数が少なくて済む 。 ●人工肛門、人工膀胱用用具内の水様便、尿などの液体をゲル状にして保持する ので、身体を動かすことに起因する液体の動揺がなく洩れがなくなる。 ●吸水ポリマーの粒を管状容器で覆うので、挿入後に人工肛門、人工膀胱用用具 内部を傷つけない。 ●ゲル状態がサラットしており、排出の容易さが確保されるので用具の反復利用 回数を増やす。 ●用具のコストパフォーマンスを向上させる。 ●使用者にとって用具使用時の快適性が高い。 ●消臭材を混入したので、別容器から消臭剤を用具に入れる二重手間をなくした 。

【０００８】

【図面の簡単な説明】

【図１】 水溶紙による管状容器 Ａ、外観図 Ｂ、
側面断面図

【図２】 正面図

【図３】 人工膀胱の構造模式図

【図４】 水溶性ビニロンフィルムによる管状容器の側
面断面図

【図５】 消臭材を付加した状態を示す模式図。

【符号の説明】

１、水溶紙による管状容器 ２、水溶紙の重なり部分、接着部 ３、端部 ４、吸水ポリマー ５、装着口 ６、尿逆流防止壁 ７、排尿管 ８、ステック状吸液材 ９、水溶性ビニロンフィルムよる管状容器 １０、端部 １１、消臭材 １２、管状容器

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項 １】吸液性に優れ、吸液すると溶解する素材
   で管状に形成した容器であって、容器内に、吸液性に優
   れ吸液するとゲル状になる素材を充填して成ることを特
   徴とする排泄物一時保持具用のステック状吸液材。
2. 【請求項 ２】吸液性に優れ、吸液するとゲル状になる
   水溶紙で管状に形成した容器であって、容器内に、吸液
   性に優れ吸液するとゲル状になる素材を充填して成るこ
   とを特徴とする排泄物一時保持具用のステック状吸液
   材。
3. 【請求項 ３】溶解が早い水溶性のビニロンフィルムで
   管状に形成した容器であって、容器内に、吸液性に優れ
   吸液するとゲル状になる素材を充填して成ることを特徴
   とする排泄物一時保持具用のステック状吸液材。
4. 【請求項 ４】消臭材を吸液材と共に充填することで成
   る請求項１記載、請求項２記載の排泄物一時保持具用の
   ステック状吸液材。