JP3038097U - 衣類に使用される合成樹脂製芯線 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂製芯線と布とが摺動して不快な異音
が発生するのを防止する。 【解決手段】 乳房カップ部の下側周縁等の衣類を構成
する布の内部に挿入して使用される合成樹脂製芯線であ
って、その表面に周方向に凹凸を設けると共に、該凹凸
を長さ方向に連続させて、布との接触面積を小さくして
いる。さらに、少なくとも凸部表面を粗面１０ｃとし
て、該粗面の粗さは、接触する布との間に摩擦抵抗を発
生させて、布との間で摺動を発生しにくい粗さとしてい
る。あるいは、芯線に凹凸を設けずに、表面全体を粗面
として布を滑りにくくしている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術】

本考案は、ブラジャー等の乳房カップ部を有する衣類等において、布の内部に 挿入して用いる合成樹脂製芯線に関し、特に、該芯線と布とが摺動して異音が発 生するのを防止するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、図１０（Ａ）（Ｂ）に示すように、ブラジャーにおいて、カップ布１の 下側周縁に沿って、合成樹脂製芯線２がテープ３内に挿入されてカップ布１に取 り付けられて配置されている。

【０００３】 上記合成樹脂製芯線２は、ナイロン樹脂等で成形されており、図１１（Ａ）（ Ｂ）（Ｃ）に示すように断面円形、楕円あるいは矩形状で、その外周面は平滑面 となっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記のように、合成樹脂製芯線は表面が平滑で滑り易くなっているため、ブラ ジャー着用時に布を横に引っ張ると、湾曲状とされた合成樹脂製芯線２とテープ ３等の芯線を包む布とがこすり合わされ、テープ３と合成樹脂製芯線２との間で 摺動が生じて、摺動音からなる「キュキュ」と鳴る不快な異音が発生しやすい問 題がある。

【０００５】 上記した不快な異音の発生はブラジャーにおいて特に顕著であるが、ブラジャ ーにかぎらず、補整のために合成樹脂製芯線を布の内部に挿入している衣類全般 においても発生しやすい。

【０００６】 本考案は上記した問題に鑑みてなされたもので、合成樹脂製芯線と布との摺動 を抑制して不快な異音の発生を防止することを課題としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本考案は、請求項１で、乳房カップ部の下側周縁等 で、布の内部に挿入して使用される合成樹脂製芯線であって、その表面に周方向 に凹凸を設けると共に、該凹凸を長さ方向に連続させて、布との接触面積を小さ くしていることを特徴とする衣類に用いる合成樹脂製芯線を提供している。

【０００８】 上記のように芯線に凹凸を設けて、布と接触する面積を小さくすると、布と芯 線とが接触して発生する異音を低減することができる。また、上記のように凹凸 を設けると、凸部が補強リブとしての機能を果たし、芯線強度をアップすること ができる。

【０００９】 上記凹凸の少なくとも凸部表面を粗面とし、該粗面の粗さは、接触する布との 間に摩擦抵抗を発生させて布が滑りにくい粗さに設定することが好ましい（請求 項２）。

【００１０】 上記のように、芯線の外周面に凹凸を設けて、布との接触面積を小さくした上 に、布と接触する表面を摩擦抵抗が大きくなるように粗面としている。よって、 布は芯線の表面に接触しながら滑りにくくなり、その結果、摺動音からなる異音 の発生を抑制、防止できる。また、仮に、多少摺動しても、その接触面積が少な いため摺動音が低減され、着用者には殆ど気にならない程度とすることができる 。

【００１１】 上記芯線の断面形状は略円形、楕円形、菱形あるいは矩形で、その断面最大幅 を１ｍｍ〜５ｍｍとし、かつ、上記凹凸の凹部はＶ字形状あるいはＵ字形状とし ている（請求項３）。

【００１２】 例えば、断面円形の芯線に１つの大きなＵ字状の凹部を設けて断面を略三日月 形状としてもよい。あるいは、断面円形の外周面にＶ字状あるいはＵ字状の凹部 を所定ピッチで形成して星形や花びら形等としても良く、布との接触面積を小さ く出来るようにすればよい。

【００１３】 さらに、本考案は請求項４で、乳房カップ部の下側周縁等で、布の内部に挿入 して使用される合成樹脂製芯線であって、その表面を粗面として、該粗面の粗さ は接触する布との間に摩擦抵抗を発生させて布との間で摺動を発生させにくい粗 さに設定している衣類に使用される合成樹脂製芯線を提供している。

【００１４】 即ち、請求項１に記載したような凹凸を設けずに、断面円形、楕円形、多角形 状の表面全面を粗面としている。このように、表面全体を粗面とすると、接触す る布との摩擦抵抗が大きくなり、布が芯線の表面に沿って摺動しにくくなり、よ って、摺動音の発生を抑制あるいは防止することができる。

【００１５】 上記合成樹脂製芯線は、ポリアセタール、ナイロン、ナイロン系エラストマー 、ポリエステルあるいはポリエステル系エラストマーを用いて押し出し成形で形 成している（請求項５）。

【００１６】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施形態を図面を参照して説明する。 図１（Ａ）（Ｂ）は第１実施形態の合成樹脂製芯線１０（以下、芯線１０と略 す）を示し、図２に示すようにブラジャーの左右乳房のカップ布１１の下側周縁 に沿ってテープ１２内に挿入して配置している。即ち、上記左右のカップ布１１ は下側連結布１３により連結しており、上記カップ布１１は図３に示すように肌 側カップ布１４と表側カップ布１５とを重ね合わせた形状で、外周縁を縫着して 一体化しており、該縫着時に、下端縁に沿って上記芯線１０を封入したテープ１ ２を同時に縫着して、肌側カップ布１４と表側カップ布１５との間に内蔵してい る。

【００１７】 上記芯線１０はポリエステル系エラストマー樹脂を押し出し成形している。図 １に示す実施形態では、芯線１０は断面円形の外周面に連続的にＶ字形状の凹部 １０ａを設けた形状で、逆Ｖ字形状で山形状に突出する凸部１０ｂの表面に当た る外周面１０ｃは略線状として小面積としている。この凹部１０ａと凸部１０ｂ を外周面上に交互に設け、凸部表面を外周面１０ｃとする構成を芯線の軸線方向 に連続させている。上記芯線１０の断面の最大幅、即ち、中心を支点として対向 する凸部１０ｂの外周面の間の寸法Ｄ（断面円形の直径）を１．５ｍｍとしてい る。

【００１８】 上記構成の芯線１０はテープ１２内に封入された状態で、テープ１２をブラジ ャーのカップ布１１に縫着することにより、カップ布１１の下側周縁に沿って湾 曲状として配置される。テープ１２の内部では芯線１０は封入されているだけで 、テープ１２と固定されていない。

【００１９】 しかしながら、図４の拡大図に示すように、テープ１２の内面と接触する芯線 １０の部分は、凸部１０ｂの線状の外周面１０ｃとしているため、従来と比較し て接触面積が大幅に減少し、よって、ブラジャー着用時にテープ１２が横に引っ 張られて湾曲した芯線１０との間に滑りが発生しても、其の際に発生する「キュ キュ」なる摺動音がブラジャー着用者に聞こえない程度に減少することができる 。また、凹凸部の凸部１０ｂが補強リブの機能を果たし、ブラジャー着用時に湾 曲状から直線方向に引っ張られ、その後、湾曲状の戻される負荷が繰り返し作用 しても、芯線１０は補強されているため、繰り返し使用に耐えることができる。

【００２０】 図５は第２実施形態を示し、芯線１０は断面円形の外周面に６０度間隔でＶ字 形状の凹部１０ａを設けた形状で、凸部１０ｂの表面に当たる外周面１０ｃの表 面を粗面１０ｄとしている。

【００２１】 上記のように凸部１０ｂの外周面を粗面１０ｄとすると、摩擦抵抗が大きくな り、接触するテープ１２に滑りを発生させにくくできる。よって、図６に示すよ うに、ブラジャーを着用する時に、カップ布１１が引っ張られ、テープ１２も連 動して引っ張られて芯線１０の表面を滑って摺動しようとしても、芯線１０の接 触面は上記したように摩擦抵抗を大きくしているため、テープ１２と芯線１０と の間に摺動が発生しにくい。よって、従来、摺動時に発生していた「キュキュ」 となる異音の発生を防止することが出来る。

【００２２】 上記凸部１０ｂの外周面の粗面１０ｄは図７（Ａ）に示すように、ミクロン単 位の微小な窪み２０をショットブラスト方法、あるいは押し出し成形機で押し出 された芯線を内周面を荒らした円環ロール内を通過させることによって形成して いる。微小な凹凸を設ける代わりに、図７（Ｂ）に示すように、楔状の疵２１を 設けて表面を荒らしてもよい。

【００２３】 図８（Ａ）〜（Ｃ）は第２実施形態の芯線１０の変形例を示すものであり、図 ８（Ａ）は断面円形で外周面に連続してＶ字状の凹部１０ａを設けて逆Ｖ字状に 突出する凸部１０ｂを設けている。該芯線１０では凹凸部の全表面を粗面として いる。図８（Ｂ）は断面矩形状とし、その表面にＵ字状の凹部１０ｂを設けて、 残部を凸部１０ｂとして、その表面を粗面としている。図８（Ｃ）は断面楕円形 状とし、その表面に１つの大きなＵ字形状の凹部１０ａを設けており、かつ、凹 部１０ａの内面を含め全表面に微細な疵を設けて粗面としている。

【００２４】 図９（Ａ）（Ｂ）は本考案の芯線１０の第３実施形態を示し、該第３実施形態 では断面円形あるいは断面区形状の芯線に凹凸を設けていないが、表面全体を粗 面１０ｄとしている。図９（Ａ）は断面円形の芯線に微小な窪み２０を設けて粗 面とし、図９（Ｂ）は疵２１を設けて粗面としている。

【００２５】 上記粗面の粗さは、接触する布（テープ等）が滑りにくい程度に設定している 。よって、第３実施形態の芯線１０を用いたブラジャーでは、着用時にブラジャ ーを横方向に引っ張ると、芯線１０とテープとの間が滑りにくいために、芯線１ ０がテープと共に横方向に引っ張られて、テープと芯線との間に摺動が発生する のを抑制する。その結果、摺動音からなる異音が発生しにくい。

【００２６】 本考案は上記実施形態に限定されず、実施形態の芯線１０はポリエステル系エ ラストマーを原料としているが、ポリアセタール、ナイロン、ナイロン系エラス トマー、ポリエステル等の樹脂を原料としてもよい。また、実施形態の芯線１０ は断面最大幅を１．５ｍｍとしているが、使用する用途に応じて断面最大幅を１ ｍｍ〜５ｍｍとされる。また、上記実施形態はブラジャーのカップ布の下端周縁 に沿って芯線１０を取り付けているが、ウエストニッパー等において布の内部に 挿入して用いる芯線としても好適に用いることができる。さらに、ブラジャー、 ウエストニッパー等の下着に限らず、外衣の内部に芯線を挿入して使用する場合 にも好適に使用することができる。

【００２７】 尚、ブラジャーの場合は芯線が湾曲させられて配置され、該芯線と接するテー プが横方向に引っ張られるため摺動音が発生しやすく、よって、上記芯線を用い る作用効果が大きい。一方、ウエストニッパーでは芯線が直線状に配置されるた めブラジャーよりも摺動音が発生しにくいが、摺動音の発生を完全に防止すると 共に芯線の補強を図るために、上記した芯線１０を好適に用いることができる。

【００２８】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案に係わる合成樹脂製芯線によれば、そ の表面に、周方向に凹凸を設け、布（テープ等）と接する凸部の面積を小さくし ているため、布と芯線との摺動接触により発生する異音を大幅に減少できる。

【００２９】 また、芯線の少なくとも凸部表面を粗面として摩擦抵抗を大とすると、この粗 面と接する布は滑りにくくなり、布と芯線との摺動により発生する「キュキュ」 となる不快音の発生を防止することができる。このように布との接触面積自体を 小さくし、その上、滑りにくくすると、ほぼ完全に異音の発生を抑制することが できる。

【００３０】 また、断面円形、楕円、矩形状として、その表面に凹凸を設けているため、言 わば補強リブが設けられた形状となって、凹凸を設けていない従来の芯線よりも 強度を高めることができる。また、芯線を乳房カップの下側周縁に沿って配置す る場合は湾曲させて取り付ける必要があるが、外周面に凹凸を設けていると強度 を有しながら撓みやすい。よって、曲げを加えた状態で使用するのに最適とする ことができる。

【００３１】 さらに、芯線に凹凸を設けずに、表面全面を粗面とした場合にも、布が滑りに くくなり、よって、摺動音の発生を抑制あるいは防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の第１実施形態の合成樹脂製芯線を示
し、（Ａ）は斜視図、（Ｂ）は拡大側面図である。

【図２】 上記実施形態の芯線を用いたブラジャーの概
略斜視図である。

【図３】 上記ブラジャーの要部拡大断面図である。

【図４】 芯線と布との接触面に拡大図である。

【図５】 本考案の第２実施形態の合成樹脂製芯線を示
し、（Ａ）は斜視図、（Ｂ）は拡大側面図、（Ｃ）は要
部拡大図である。

【図６】 第２実施形態の芯線と布との接触面の拡大図
である。

【図７】（Ａ）（Ｂ）は上記芯線の粗面の拡大図であ
る。

【図８】 （Ａ）（Ｂ）（Ｃ）は夫々変形例を示す概略
図である。

【図９】 （Ａ）（Ｂ）は第３実施形態の芯線の斜視図
である。

【図１０】 ブラジャーに用いた従来例を示し、（Ａ）
は概略図、（Ｂ）は要部拡大断面図である。

【図１１】 （Ａ）（Ｂ）（Ｃ）は従来例の概略斜視図
である。

【符号の説明】

１０ 合成樹脂製芯線 １０ａ 凸部 １０ｂ 凹部 １０ｃ 外周面 １０ｄ 粗面 １１ カップ布 １２ テープ １３ 下側連結布 １４ 肌側カップ布 １５ 表側カップ布 ２０ 微細な窪み ２１ 微細な疵

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 乳房カップ部の下側周縁等で、布の内部
   に挿入して使用される合成樹脂製芯線であって、その表
   面に周方向に凹凸を設けると共に、該凹凸を長さ方向に
   連続させて、布との接触面積を小さくしていることを特
   徴とする衣類に使用される合成樹脂製芯線。
2. 【請求項２】 上記凹凸の少なくとも凸部表面を粗面と
   し、該粗面の粗さは接触する布との間に摩擦抵抗を発生
   させて布が滑りにくい粗さに設定している請求項１に記
   載の合成樹脂製芯線。
3. 【請求項３】 上記芯線の断面形状は略円形、楕円形、
   菱形あるいは矩形で、その断面最大幅を１ｍｍ〜５ｍｍ
   とし、かつ、上記凹凸の凹部はＶ字形状あるいはＵ字形
   状としている請求項１または請求項２に記載の合成樹脂
   製芯線。
4. 【請求項４】 乳房カップ部の下側周縁等で、布の内部
   に挿入して使用される合成樹脂製芯線であって、その表
   面を粗面として、該粗面の粗さは接触する布との間に摩
   擦抵抗を発生させて布が滑りにくい粗さに設定している
   衣類に使用される合成樹脂製芯線。
5. 【請求項５】 ポリアセタール、ナイロン、ナイロン系
   エラストマー、ポリエステルあるいはポリエステル系エ
   ラストマーを用いて押し出し成形で形成している請求項
   １乃至請求項４のいずれか１項に記載の合成樹脂製芯
   線。