JP3037852B2 - 微細構造の測定装置 - Google Patents

微細構造の測定装置

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JP3037852B2 JP5162653A JP16265393A JP3037852B2 JP 3037852 B2 JP3037852 B2 JP 3037852B2 JP 5162653 A JP5162653 A JP 5162653A JP 16265393 A JP16265393 A JP 16265393A JP 3037852 B2 JP3037852 B2 JP 3037852B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光源から放射される光
を2次元的に走査して試料面に照射し、試料からの反射
光を受光して光強度を測定することにより試料の微細構
造の形状寸法の検出を行う微細構造の測定装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、試料の微細構造の形状寸法の検出
を行う微細構造の測定装置として共焦点光学系(コンフ
ォーカル系)のものが用いられている。図1に、従来の
微細構造の測定装置の概略構成図を示す(信号処理回路
は図示せず)。微細構造の測定装置1は、レーザー光源
2と、レーザー光源2から放射されるレーザー光を試料
3の観察点に照射して試料3を2次元的に走査するとと
もに試料3からの反射光を受光する対物レンズ4と、対
物レンズ4から発する光を反射するハーフミラー5と、
このハーフミラー5から反射された光を受けるスリット
6と、スリット6を透過した光を受光して光強度を検出
する受光装置7とを具え、レーザー光源1、試料3上の
観察点及びスリット6を、これらが全て対物レンズ4に
関して共役な結像関係となる共焦点光学系を構成するよ
うに配置している。
【0003】上述した微細構造の測定装置1の動作を説
明する。試料面を図2に示すように複数の区分(この場
合n区分)に分割し、区分d1が対物レンズ4の焦点に相
当するときの試料3の相対位置を測定するために以下の
操作を行う。まず、レーザー光源2からレーザー光を対
物レンズ4を介して試料の観察点(この場合区分d1)に
照射する。この照射された光の反射光は、対物レンズ4
を経てハーフミラー5で反射してスリット6に入射す
る。スリット6を透過した光は受光装置7で受光され、
光強度が測定される。光強度を測定するに当たり、試料
3を対物レンズ4の光軸に平行な方向に移動させて光強
度がピークとなる位置、即ち区分d1が対物レンズ4の焦
点に相当するときの試料3の相対位置を測定する。これ
らの操作を区分d1〜d n について行い、これらの位置を
プロットすることにより試料3のプロファイルを決定す
ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
微細構造の測定装置には以下のような欠点がある。対物
レンズの開口数(NA)が高倍率のとき(例えばNA=0.95
)には、図3に示すような半値巾の狭い強度分布(こ
のとき半値巾Γ1 は1.0 μm )となる。したがって、光
強度のピークを容易に識別でき、深さ方向の分解能が高
くなるが視野が狭くて検査がしにくいという欠点があ
る。また、微細構造の微細化が進に伴ってさらに深さ方
向の分解能を上げたいという要望もあるが、これに十分
対処できない欠点がある。また、開口数が低倍率のとき
(例えばNA=0.1)には、図4に示すような強度分布(こ
のとき半値巾Γ2 は10μm )となる。この場合には視野
が狭くて検査がしにくいということはないが、光強度の
ピークを正確に検出することができないので、深さ方向
の分解能が低いという欠点がある。また光強度のピーク
を測定するに当たり実際には多くのノイズが信号に重畳
されているので、信号処理の精度を上げるにも限界があ
り、したがって正確な測定を行うには困難である。ま
た、電気的な信号処理で深さ方向の分解能を改善しよう
とすると、既存の装置を使用することができなくなり、
不経済となる。
【0005】本発明は、以上の問題点を解決するもので
あり、視野を狭くすることなく深さ方向の分解能を上げ
ることにより、容易かつ正確に光強度の最大ピークを検
出でき、しかも既存の装置を僅かに変更することによっ
て実現できる微細構造の測定装置を提供することを目的
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の微細構造測定装
置は、光源と、この光源から放射される光を分割するビ
ームスプリッタと、このビームスプリッタから出射され
る光を試料の観察点に照射し、試料からの反射光を受光
する対物レンズと、この対物レンズから射出される光を
前記ビームスプリッタに入射させ、前記光源へ向かう方
向とは異なる方向に射出される光を空間フィルタを介し
て受光して光強度を検出する受光手段とを具え、前記光
源、試料上の観察点及び空間フィルタを、これらが対物
レンズに関して共役な結像関係となる共焦点光学系を構
成するように配置した微細構造の測定装置において、前
記試料の観察点に照射される光の一部を透過させ、残り
を反射する薄膜と、この薄膜により反射される光を薄膜
に向けて反射する反射手段とを具え、この反射手段を、
前記薄膜に関して前記対物レンズの焦点とほぼ対称の位
置に配置したことを特徴とするものである。
【0007】
【作用】本発明の微細構造の測定装置では、対物レンズ
を介して薄膜に入射する光は、一部が透過して試料面を
照射し、残りが反射されて対物レンズのレンズ表面に設
けられた反射手段に入射する。試料面に照射された光は
反射されて薄膜に入射し、反射手段で反射された光も薄
膜に入射する。これらの光は合成されて対物レンズから
出射してハーフミラーに入射し、ハーフミラーで反射さ
れた後空間フィルタを経て受光手段に入射し、光強度が
検出される。上述したように薄膜での光の合成によって
試料面が対物レンズの焦点の位置にあるときには光強度
の最大ピークが検出される。試料面が対物レンズの焦点
から1/4 波長ずれた位置にあるとき、光強度は極小とな
る。これは波長が半波長ずれると位相が反転する結果、
薄膜に入射する2つの光は互いに干渉し合って弱め合う
からである。即ち試料面が対物レンズの焦点から1/4 波
長ずれると、試料面で反射された光と反射手段で反射さ
れた光とは、光路長が半波長だけずれるので位相が反転
して弱め合うことになる。このように試料面が対物レン
ズの焦点から1/4 ・(2n+1)波長(nは整数)ずれた位置
にあると、光強度は極小となる。一方、試料面が対物レ
ンズの焦点から1/2 波長ずれた位置にあるとき、上記最
大ピークより小さい光強度のピークが検出される。これ
は波長が1波長ずれると位相が同相となる結果互いに強
め合うからであり、即ち試料面が対物レンズの焦点から
1/2 波長ずれると、試料面で反射された光と反射手段で
反射された光とは、光路が1波長ずれる結果同相となっ
て互いに強め合うからである。このように、試料面が対
物レンズの焦点から1/4 ・2n波長(nは整数)ずれた位
置にあると、上記最大ピークより小さい光強度のピーク
が検出される。以上のように、上記最大ピークより小さ
いピークを半波長ごとに検出することができるので、こ
れらのピークと最大ピークとを比較することにより視野
を狭くすることなく深さ方向の分解能を上げることがで
き、したがって容易かつ正確に光強度の最大ピークを検
出できる。また、上述した反射手段は対物レンズの物体
側表面に接着剤で固定したり、適当な支持手段を介して
この表面から離間して配置することができる
【0008】
【実施例】図5に、本発明の微細構造の測定装置の概略
構成図を示す。微細構造の測定装置11は、図1の微細
構造の測定装置1に加えて試料13の観察点に照射され
る光の一部を透過させ、残りの光を反射する薄膜18
と、対物レンズ14表面にあり、薄膜18により反射し
た光を反射するミラー19とを具え、薄膜18を、ミラ
ー19と対物レンズ14の焦点Fとが薄膜に関してほぼ
対称となるように配置する。なお、信号処理回路(図示
せず)は従来の微細構造の測定装置と同じものを使用す
ることもできるし、多少変更した回路を用いることもで
きる。以下動作を説明する。対物レンズ14を介して薄
膜18に照射された光は、一部が透過して試料13の表
面に照射され、残りが反射されてミラー19に入射す
る。試料13の表面に照射された光は反射されて薄膜1
8に入射し、ミラー19に入射した光は反射されて薄膜
18に入射し、再びここで反射される。このようにして
薄膜18から出射される2つの光は合成され、対物レン
ズ14を介してハーフミラー15に入射される。この光
はハーフミラー15で反射された後スリット16を経て
受光装置17に入射し、ここで電気信号に変換され、光
強度に対応した信号が得られる。
【0009】試料13の表面が対物レンズ14の焦点の
位置にあるときには光強度の最大ピークが検出される。
試料13の表面が対物レンズ14の焦点から1/4 波長ず
れた位置にあるとき、光強度は極小となる。これは波長
が半波長ずれると位相が反転する結果互いに弱め合うか
らである。試料13の表面が対物レンズ14の焦点から
1/4 波長ずれると、試料13の表面で反射されて薄膜1
8に入射する光と、ミラー19で反射され、薄膜で再び
反射される光とは、光路長が半波長ずれるために互いに
相殺し合うからである。すなわち、試料13の表面と対
物レンズ14の焦点Fとの距離が1/4 ・(2n+1)波長(n
は整数)になると、光強度は極小となる。一方、試料1
3の表面が対物レンズ14の焦点から1/2 波長ずれた位
置にあるとき、光強度はピークを示すことになるが、そ
のピーク値はこのずれがない場合に比べて低くなる。す
なわち、試料13の表面が対物レンズ14の焦点から1/
2波長(あるいはそれ以上)ずれることによって、試料
13からの反射光がスリット16を通過できなくなって
くるために、結果として同相の強められた光強度はずれ
のない場合よりも低くなるのである。このように試料1
3の表面が対物レンズ14の焦点から1/4 ・2n波長(n
は整数)ずれた位置にあると、光強度のピークが検出さ
れるが、そのピーク値は試料表面と焦点とのずれが大き
くなるのに伴って徐々に低くなる。
【0010】上述したように本発明の微細構造の測定装
置を用い、対物レンズ14と試料13の表面との間の距
離を連続的に変化させながら光強度を検出すると、図6
に示すような光強度分布が得られる。なお、λはレーザ
ー光源12の波長である。レーザー光源としてHe-Ne レ
ーザーを用いた場合、波長が0.64μm であるので最大ピ
ークの半値巾Γ3 を0.16μm にするのは容易である。こ
のように本発明においては、最大ピークを中心として順
次にピークが検出されるので、これらのピークを検出す
ることによって最大ピークが得られる位置を高精度でし
かも容易に検出することができる。したがって、視野を
狭くすることなく、すなわち開口の小さい対物レンズを
用いるにも拘らず深さ方向の分解能を上げることがで
き、したがって容易かつ正確に光強度の最大ピークを検
出できる。
【0011】上述した実施例では、光源としてレーザー
光源を用いたが、レーザー光源に限定されることはな
く、またコヒーレントな光を放射しない光源を用いるこ
ともできる。さらに、対物レンズ、薄膜及びミラーから
なる構成は、二光束干渉対物レンズとして市販されてい
るものを用いることができ、既存の微細構造測定装置に
この対物レンズを組み合わせることによって本発明を容
易に実施することができる。
【0012】図7に段差が0.046 μm であるクロム製の
試料の断面図を、図8に通常の対物レンズ(倍率40倍、
N.A=0.65)を使用した従来の微細構造の測定装置を用い
て測定した図7の試料のクロスプロファイルを、図9に
二光束干渉対物レンズ(倍率40倍、N.A=0.65)を使用し
た本発明の微細構造の測定装置を用いて測定した図7の
試料のクロスプロファイルをそれぞれ示す。図8に示す
ように、従来の微細構造の測定装置では段差を判別する
ことが全くできない。図9に示すように、本発明の微細
構造の測定装置を用いて測定すると段差の測定値が0.04
2 μm となり、実際の値0.046 μm にきわめて近い値と
なっていることがわかる。
【0013】図10に段差が0.1 μm であるクロムパタ
ーンを有するガラス製の試料の断面図を、図11に通常
の対物レンズ(倍率40倍、N.A=0.65)を使用した従来の
微細構造の測定装置を用いて測定した図10の試料のク
ロスプロファイルを、図12に二光束干渉対物レンズ
(倍率40倍、N.A=0.65)を使用した本発明の微細構造の
測定装置を用いて測定した図10の試料のクロスプロフ
ァイルをそれぞれ示す。図11に示すように、従来の微
細構造の測定装置ではクロムパターンの段差が不明瞭で
ある。図12に示すように、本発明の微細構造の測定装
置を用いて測定すると段差の測定値が0.085 μm とな
り、実際の値0.1 μm に近くなっていることがわかる。
【0014】図13に段差が1.05μm であるクロム製の
試料の断面図を、図14に通常の対物レンズ(倍率40
倍、N.A=0.65)を使用した従来の微細構造の測定装置を
用いて測定した図13の試料のクロスプロファイルを、
図15に二光束干渉対物レンズ(倍率40倍、N.A=0.65)
を使用した本発明の微細構造の測定装置を用いて測定し
た図13の試料のクロスプロファイルをそれぞれ示す。
図14に示すように、従来の微細構造の測定装置では段
差の測定値が0.95μm となり、実際の値1.05μmに近く
なっているが、中央部右側の凸パターンの測定波形がい
びつになっており、試料の形状が正確には表されていな
い。図15に示すように、本発明の微細構造の測定装置
を用いて測定すると段差の測定値が1.01μm となり、実
際の値1.05μm にきわめて近くなっているとともに凸パ
ターンの測定波形がかなり正確に再現されていることが
わかる。
【0015】
【発明の効果】上述したように、本発明による微細構造
の測定装置によれば、二光束干渉対物レンズを用いるこ
とによって試料の表面と対物レンズの焦点との間の距離
が1/4波長ずれる毎に受光装置から得られる信号はピー
クを示し、試料表面と焦点とが一致するときに最大のピ
ークを示すものとなるので、対物レンズとして視野が広
い開口の小さいものを用いた場合でも深さ方向の分解能
を改善することができ、したがって微細構造の測定を高
精度でかつ容易に行うことができる。さらに、既存の微
細構造測定装置をあまり変更することなく実施すること
ができるのでコスト面でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の微細構造の測定装置の概略構成図を示
す。
【図2】測定装置の動作を説明するために複数の区分に
分割した試料面を示す。
【図3】高倍率の対物レンズを用いた従来の微細構造の
測定装置で得られる光強度分布を示す。
【図4】低倍率の対物レンズを用いた従来の微細構造の
測定装置で得られる光強度分布を示す。
【図5】本発明の微細構造の測定装置の一実施例の概略
構成図を示す。
【図6】本発明の微細構造の測定装置で得られる光強度
分布を示す。
【図7】段差が0.046 μm であるクロム製の試料の断面
図を示す。
【図8】通常の対物レンズを使用した従来の微細構造の
測定装置を用いて測定した図7の試料のクロスプロファ
イルを示す。
【図9】二光束干渉対物レンズを使用した本発明の微細
構造の測定装置を用いて測定した図7の試料のクロスプ
ロファイルを示す。
【図10】段差が0.1 μm であるクロムパターンを有す
るガラス製の試料の断面図を示す。
【図11】通常の対物レンズを使用した従来の微細構造
の測定装置を用いて測定した図10の試料のクロスプロ
ファイルを示す。
【図12】二光束干渉対物レンズを使用した本発明の微
細構造の測定装置を用いて測定した図10の試料のクロ
スプロファイルを示す。
【図13】段差が1.05μm であるクロム製の試料の断面
図を示す。
【図14】通常の対物レンズを使用した従来の微細構造
の測定装置を用いて測定した図13の試料のクロスプロ
ファイルを示す。
【図15】二光束干渉対物レンズを使用した本発明の微
細構造の測定装置を用いて測定した図13の試料のクロ
スプロファイルを示す。
【符号の説明】
1,11 微細構造の測定装置 2,12 レーザー光源 3,13 試料 4,14 対物レンズ 5,15 ハーフミラー 6,16 スリット 7,17 受光装置 18 薄膜 19 ミラー F 焦点

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源と、この光源から放射される光を分割
    するビームスプリッタと、このビームスプリッタから出
    射される光を試料の観察点に照射し、試料からの反射光
    を受光する対物レンズと、この対物レンズから射出され
    る光を前記ビームスプリッタに入射させ、前記光源へ向
    かう方向とは異なる方向に射出される光を空間フィルタ
    を介して受光して光強度を検出する受光手段とを具え、
    前記光源、試料上の観察点及び空間フィルタを、これら
    が対物レンズに関して共役な結像関係となる共焦点光学
    系を構成するように配置した微細構造の測定装置におい
    て、前記試料の観察点に照射される光の一部を透過さ
    せ、残りを反射する薄膜と、この薄膜により反射される
    光を薄膜に向けて反射する反射手段とを具え、この反射
    手段を、前記薄膜に関して前記対物レンズの焦点とほぼ
    対称の位置に配置したことを特徴とする微細構造の測定
    装置。
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