JP3037637B2 - 仕切弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、弁箱の流路に対
してほぼ直交方向に昇降してその流路を開閉する仕切弁
体を備えた、仕切弁に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の仕切弁の多くは、仕切弁体が下
降して流路を完全に閉じることができるように、仕切弁
体の直下の弁箱内底部にその仕切弁体の下部との当接を
避けるための凹溝が設けらている。ところで、この凹溝
には、流路内を流れる流体によつて運び込まれた土、
砂、ゴミなどが堆積し易く、しかも、これらの堆積物
は、開閉する仕切弁体によってあたかも踏み固められる
がごとく下方に押し付けられ、やがては前記凹溝を固く
埋め尽くしてしまう。このため、仕切弁体の下降に障害
が生じ流路を完全に閉じることができなくなり、漏水の
原因となった。

【０００３】そこで、例えば、特開平４−１４５２７２
号に示されるように、凹溝内に洗い出し水を送り込み、
凹溝内に溜まった土、砂、ゴミなどを洗い出し水ととも
に弁箱外へと排出することが考えられた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに、凹溝内に溜まった土、砂、ゴミなどを洗い出し水
とともに弁箱外へと排出した場合には、その排出された
土、砂、ゴミなどを、その後に処分する必要があった。
その方法としては、排出された土、砂、ゴミなどを一旦
水槽に溜めて、さらに、それを排水ポンプでもって外に
排出することが考えられた。しかし、この方法では、水
槽や排水ポンプ等の設備に多額の費用が掛かるという問
題があった。

【０００５】この発明は、上記した従来の欠点を解決す
るためになされたものであり、その目的とするところ
は、仕切弁体の直下の弁箱内底部の凹溝から送り出され
た土、砂、ゴミなどを、低コストで容易に処分できるよ
うにした仕切弁を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係る仕切弁
は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。す
なわち、請求項１に記載の発明は、弁箱の流路に対して
ほぼ直交方向に昇降してその流路を開閉する仕切弁体
と、この仕切弁体の直下の弁箱内底部に、その仕切弁体
の下部との当接を避けるために設けられた凹溝と、この
凹溝よりも下流側の流路の上部に、斜めに傾くように設
けられた枝管と、前記凹溝に開口し、その凹溝を挟んで
直接対面するように互いに向かい合う送水口および排水
口と、前記送水口に通じる送水管と、前記弁箱外に延び
て、前記凹溝よりも下流側の流路に戻るようになってお
り、一端が前記排水口に通じ、他端が前記枝管に接続さ
れて前記凹溝よりも下流側の流路の上側に通じる、排水
管とを備える。そして、これら送水管および排水管を介
して、洗いだし水を、流路内を流れる流体の流れの方向
に対して直交する方向で前記凹溝内に送り込みかつ通過
させて、前記凹溝内に溜まった土、砂、ゴミなどを前記
洗いだし水とともに、前記弁箱の外へと一旦排出し、そ
の排出された土、砂、ゴミなどを、前記枝管から、再び
前記凹溝よりも下流側の流路に戻すようにしたものであ
る。

【０００７】これにより、洗いだし水が、送水管から、
凹溝に開口する送水口を通って、流路内を流れる流体の
流れの方向に対して直交する方向で凹溝内へと送り込ま
れると、その凹溝内に溜まった土、砂、ゴミなどは、洗
いだし水により洗い流されて、凹溝を挟んで直接対面す
るように送水口と向かい合って凹溝に開口する排水口へ
直接押しやられ、その排水口に通じる排水管を介して、
前記弁箱の外へと一旦排出される。そして、その排出さ
れた土、砂、ゴミなどは、前記枝管から、再び前記凹溝
よりも下流側の流路へと戻される。

【０００８】また、これにより、流路を流れる土、砂、
ゴミなどによって、排水管の他端側から流路に通じる部
分が塞がれにくく、したがって、凹溝から送り出された
土、砂、ゴミなどが、円滑に、排水管を介して流路へ排
出される。

【０００９】しかも、排水管は、弁箱の外部を通ってい
るため、その排水管のメンテナンスが容易となる。

【００１０】また、請求項２に記載の発明のように、前
記枝管は、その枝管の、流体の流れ の方向に対する傾き
角度が、４５度以下になるように設けられるのが好まし
い。

【００１１】これにより、排水管から送り出される土、
砂、ゴミなどが、流路にスムーズに流入することができ
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態を
第１図および第２図に基づいて説明する。

【００１３】この仕切弁の弁本体１は、弁箱２と、この
弁箱２のほぼ中央上部に形成される弁収容室３を覆う弁
蓋４とを備える。弁箱２は断面円形状であって、水平方
向に流路５が形成されており、この流路５に対してほぼ
直交方向に昇降するように、弁軸６に連結された仕切弁
体７が設けられている。仕切弁体７は、例えば第１図で
明示するように中空状であって、一方の側面には所要の
勾配が施された周縁を形成する環状砲金部８が、また、
他方の側面にはそのような勾配が施されない周縁を形成
する環状砲金部９がそれぞれ設けられている。そして、
これら環状砲金部８，９は、弁箱２側に取り付けられた
砲金製の環状弁座１０，１１に対してくさび状に密接す
るようになっている。よって、図示しない電気駆動装置
（もしくは手動回転ハンドル）の操作により弁軸６が回
転すると、仕切弁体７の両側に備えられているガイドロ
ーラー７ａが、弁収容室３の両側に形成された案内板１
２に当接しているので、仕切弁体７がその案内板１２に
沿って昇降し、流路５を開閉する。

【００１４】そして、仕切弁体７が下降して流路５を完
全に閉じることができるように、仕切弁体７の直下の弁
箱内底部にその仕切弁体７の下部との当接を避けるため
の凹溝１３が設けられている。この凹溝１３の側壁部１
４，１５には、凹溝１３に通じる小径の貫通孔１６およ
び大径の貫通孔１７がそれぞれ対応位置するように明け
られている。つまり、貫通孔１６の凹溝１３に開口する
送水口１６ａと、貫通孔１７の凹溝１３に開口する排水
口１７ａとは、その凹溝１３を挟んで直接対面するよう
に互いに向かい合っている。そして、小径の貫通孔１６
には、例えば電動弁などからなる送水弁１８および手動
で開閉できる予備のスリース弁１９を備えた、送水管２
０が接続される。また、大径の貫通孔１７には、同じく
電動弁からなる排水弁２１および手動で開閉できる予備
のスリース弁２２を備えた、排水管２３の一端２３ａが
取り付けられる。また、この排水管２３は、弁箱２外に
延びて、その他端２３ｂは、ユニオンジョイント２４を
介して、前記凹溝１３よりも下流側の流水管２５の上部
に戻るように接続されて、後述する下流側の流路５ａに
連絡している。

【００１５】ここで、これらの排水管２３と流水管２５
との接続について詳述する。この流水管２５の上部の壁
には、排水管２３から凹溝１３よりも下流側の流路５ａ
に合流するための枝管２６が設けられている。この枝管
２６の形状は、前記流水管２５より肉厚な円筒状のもの
を、下流側の外部から内部に向け、斜めに傾けて突き刺
したような形状であって、その枝管２６は、流水管２５
の外側および内側を貫通するように延びている。そし
て、その枝管２６の内側に延びた部分の端面２６ａは、
流体の流れの方向に対して水平に形成されている。な
お、枝管２６の、流体の流れの方向に対する傾き角度Ｇ
は、排水管２３から送り出される土、砂、ゴミなどが流
路５ａにスムーズに流入することができ、しかも、枝管
２６の内側に延びた部分に、流路５および流路５ａ内を
流れる土、砂、ゴミなどが引っ掛からないようにするた
めに、４５度以下であるのが好ましい。また、その枝管
２６の外側に延びた部分の内側には、メネジ２６ｂが形
成されており、このメネジ２６ｂに、両端にそれぞれオ
ネジが形成されている周知のニップル２７の一端側２７
ａが取り付けられる。さらに、このニップル２７の他端
側２７ｂには、ユニオンジョイント２４の一方側のジョ
イント部材２４ａが取り付けられ、また、ナット２４ｃ
を備える他方側のジョイント部材２４ｂには、前記排水
管２３の他端２３ｂが取り付けられる。そして、それら
の一方側のジョイント部材２４ａと他方側のジョイント
部材２４ｂの間にパッキン２４ｄを挟み、その他方側の
ジョイント部材２４ｂに備えられたナット２４ｃを締め
付けて、一方側のジョイント部材２４ａと他方側のジョ
イント部材２４ｂとを連結する。

【００１６】前記送水管２０には図示しない給水源から
洗いだし水、望ましくは圧縮空気とともに送水される水
が供給され、かつ、その洗いだし水は、流路５内を流れ
る流体の流れの方向に対して直交する方向に凹溝１３内
へと送り込まれて、凹溝１３内に溜まった土、砂、ゴミ
などを洗い流し、排水管２３を通じて弁箱２の外部へと
一旦排出される。そして、その排出された土、砂、ゴミ
などは、その凹溝１３より下流側の流水管２５の上部に
設けられた枝管２６から、再び凹溝１３より下流側の流
路５ａに戻される。

【００１７】もっとも、これら送水管２０および排水管
２３を開閉して洗いだし水を送排水する送水弁１８およ
び排水弁２１は、好ましくは仕切弁体７が流路５を完全
に閉じる前に開弁し、流路を完全に閉じた後に閉弁する
ように制御される。また、洗いだし水の送水および土、
砂、ゴミなどの排出が容易となるように、送水管２０お
よび排水管２３の径を連続的に徐々に大きくなるように
形成し、かつ、両管２０，２３の上部側が水平で底部側
が下り勾配となるような構造にしても良い。

【００１８】次に、このような構成からなる仕切弁の使
用法について説明すると、仕切弁体７が完全に閉じる
前、例えば八部通り閉じたところで、送水弁１８および
排水弁２１を開弁して、洗いだし水を、流路５内を流れ
る流体の流れの方向に対して直交する方向に凹溝１３内
へと送り込む。洗いだし水は、凹溝１３内に溜まってい
る土、砂、ゴミなどを洗い流し、凹溝１３を挟んで直接
対面するように送水口１６ａと向かい合って凹溝１３に
開口する排水口１７ａへ直接押しやり、その排水口１７
ａに通じる排水管２３を介して弁箱２の外へと一旦排出
する。そして、その排出された土、砂、ゴミなどは、排
水管２３を通り、凹溝１３よりも下流の流水管２５の上
部に設けられた枝管２６から、再び凹溝１３より下流の
流路５ａに戻される。このようにして、仕切弁体７が完
全に閉じる前に洗いだし水を送水することにより、仕切
弁体７が閉じる際に弁座１０，１１との間に挟まり込む
ようなゴミなども取り除くことができる。さらに、それ
らの土、砂、ゴミなどは、排水管２３を介して、流路５
ａに戻されるので、それらの土、砂、ゴミなどを容易に
処分することができる。また、排水管２３は、弁箱２お
よび流水管２５の外部を通っているため、排水管２３が
詰まった場合でも容易にメンテナンスすることができ
る。また、洗いだし水を、場合によっては仕切弁体７が
完全に閉じたところで、凹溝１３へと送水するようにし
ても良い。

【００１９】なお、この発明は、既述した実施の形態に
示される構成に限定されるものでなく、例えば、排水管
２３と枝管２６の接続は、ユニオンジョイント以外を用
いて接続しても良い。また、排水管２３の他端は、凹溝
１３よりも下流側の流路に通じていればよく、従って、
弁箱２の凹溝１３よりも下流側の流路５に通じていても
良い。このように、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で
各部の構成を任意に変更することができる。

【００２０】

【発明の効果】以上、詳述したところから明らかなよう
に、この発明に係る仕切弁によれば、次の効果がある。

【００２１】請求項１に記載された仕切弁によれば、仕
切弁体の直下の弁箱内底部の凹溝から送り出された土、
砂、ゴミなどを、低コストで容易に処分することがで
き、しかも、円滑に、排水管を介して、前記凹溝よりも
下流側の流路へ排出できる。また、排水管のメンテナン
スを容易に行うことができる。

【００２２】また、請求項２に記載された仕切弁によれ
ば、加えて、排水管から送り出される土、砂、ゴミなど
が、流路にスムーズに流入することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る仕切弁において仕切弁体が閉じ
た状態の縦断正面図である。

【図２】図１の仕切弁体が開いた状態を示す、仕切弁の
一部破断側面図である。

【符号の説明】

２‥‥弁箱 ５‥流路 ５ａ‥下流側の流路 ７‥仕切弁体 １３‥凹溝 １６ａ‥送水口 １７ａ‥排水口 ２０‥送水管 ２３‥排水管 ２３ａ‥排水管の一
端（一端） ２３ｂ‥排水管の他端（他端） ２６‥枝管

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 弁箱の流路に対してほぼ直交方向に昇降
   してその流路を開閉する仕切弁体と、この 仕切弁体の直下の弁箱内底部に、その仕切弁体の下
   部との当接を避けるために設けられた凹溝と、 この凹溝よりも下流側の流路の上部に、斜めに傾くよう
   に設けられた枝管と、 前記凹溝に開口し、その凹溝を挟んで直接対面するよう
   に互いに向かい合う送水口および排水口と、 前記送水口に通じる送水管と、 前記弁箱外に延びて、前記凹溝よりも下流側の流路に戻
   るようになっており、一端が前記排水口に通じ、他端が
   前記枝管に接続されて前記凹溝よりも下流側の流路の上
   側に通じる、排水管とを備え、 これら送水管および排水管を介して、洗いだし水を、流
   路内を流れる流体の流れの方向に対して直交する方向で
   前記凹溝内に送り込みかつ通過させて、前記凹溝内に溜
   まった土、砂、ゴミなどを前記洗いだし水とともに、前
   記弁箱の外へと一旦排出し、その排出された土、砂、ゴ
   ミなどを、前記枝管から、再び前記凹溝よりも下流側の
   流路に戻すようにした仕切弁。
2. 【請求項２】 前記枝管は、その枝管の、流体の流れの
   方向に対する傾き角度が、４５度以下になるように設け
   られることを特徴とする請求項１に記載の仕切弁。