JP3036916B2 - 積層安全ガラス - Google Patents

積層安全ガラス

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JP3036916B2
JP3036916B2 JP3249080A JP24908091A JP3036916B2 JP 3036916 B2 JP3036916 B2 JP 3036916B2 JP 3249080 A JP3249080 A JP 3249080A JP 24908091 A JP24908091 A JP 24908091A JP 3036916 B2 JP3036916 B2 JP 3036916B2
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研一 朝比奈
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐裂傷性や耐貫通性
などの安全性に優れ、且つ、積層時の作業性がよい積層
安全ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、可塑化したポリビニルブチラール
樹脂などのポリビニルアセタール樹脂製の中間膜が2枚
のガラスシートの間にサンドイッチされた3層構成体の
合わせガラスがよく知られている。このサンドイッチタ
イプの合わせガラスは、耐貫通性に優れているため、自
動車その他の交通車両の窓ガラスなどの用途に広く用い
られている。
【0003】しかしながら、上記サンドイッチタイプの
合わせガラスの表面はガラスシートであるため、この合
わせガラスからなるフロントガラスが、自動車衝突時の
人体頭部との激突により破壊されると、その表面からガ
ラス破片が生じ、これが激しい裂傷や切傷を引き起こす
恐れがある。また、生じたガラス破片が車内に飛散する
問題もある。
【0004】最近、耐貫通性などの安全性を確保すると
共に、車内側表面のガラスによる裂傷やガラス飛散を防
止することを企図して、車内側になる片面に合成樹脂シ
ートを配し、他面にガラスシートを配してなる「バイレ
イヤーガラス」と呼ばれる積層体が提案されている(特
開昭53−27671号公報、特開昭58−63445
号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のうち、
特開昭53−27671号公報では、バイレイヤーガラ
スの合成樹脂層を熱硬化性ウレタン樹脂層と熱可塑性ポ
リウレタン樹脂層との2層で構成し、熱硬化性ポリウレ
タン層を外面に配し、ガラスシートとの接着面に熱可塑
性ポリウレタン層を配してなる積層体が提案されてい
る。
【0006】しかし、この提案の積層体では、熱可塑性
ポリウレタン層と熱可塑性ポリウレタン層の2層の樹脂
層を別々に製造し、これらを積層するという煩雑な工程
が必要である。
【0007】そのため、これの改善策として、特開昭5
8−63445号公報では、ガラスシートと積層一体化
するまでは熱可塑性ポリウレタンとして機能し、ガラス
シートと一体化後は熱硬化性ポリウレタンとなるポリウ
レタン樹脂を使用することを提案している。
【0008】しかし、この改善積層体の場合には、熱可
塑的性質を持つポリウレタンとしては、架橋剤を内包し
ていて架橋が未だ進行していない状態にあるポリウレタ
ン樹脂が用いられるため、熱可塑性ポリウレタンとして
の性質が要求されるシート成形工程においては、架橋の
進行を微妙に制御する必要があり、作業操作上好ましい
ことではない。
【0009】この発明は、上記の如き実情に鑑み、バイ
レイヤーガラスの合成樹脂層を特定の熱可塑性エラスト
マー層と特定の熱可塑性樹脂組成物層との組合せで構成
することにより、耐裂傷性や耐貫通性などの安全性に優
れ、且つ、積層時の作業性がよい積層安全ガラスを提案
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、バイレイ
ヤーガラスの合成樹脂層について熱可塑性エラストマー
層と熱可塑性樹脂組成物層との様々の組合せを鋭意研究
した結果、特定の熱可塑性エラストマー層と特定の熱可
塑性樹脂組成物層とを組合せることにより、耐裂傷性や
耐貫通性などの安全性に優れ、且つ、積層時の作業性が
よいバイレイヤーガラスが得られることを見出し、この
発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、この発明による積層安全ガラス
は、片面に合成樹脂シート、他面にガラスシート(C)
が配されてなるバイレイヤーガラスにおいて、該合成樹
脂シートが、架橋したエチレンプロピレンジエンターポ
リマーおよび/または架橋したエチレンプロピレンコポ
リマーからなる少なくとも1層の熱硬化性エラストマー
層(A)と、アルデヒドの炭素数1〜10のポリビニル
アセタール樹脂(すなわち、炭素数1〜10のアルデヒ
ドとポリビニルアルコールとのアセタール化反応生成
物)をベースとし且つ可塑剤を含む少なくとも1層の熱
可塑性樹脂組成物層(B)とにより構成され、これらの
層(A)(B)および(C)が、層(A)と層(C)を
両外層にして積層されてなるものである。
【0012】まず、この発明によるバイレイヤーガラス
における合成樹脂シートの一方の層である熱硬化性エラ
ストマー層(A)について説明する。
【0013】熱硬化性エラストマーは、耐裂傷性能に優
れたものであることを要するので、エチレンプロピレン
ジエンターポリマーおよび/またはエチレンプロピレン
コポリマーに限定される。そして、エチレンプロピレン
ジエンターポリマーの場合、好ましいジエン成分として
は、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、
1,4−ヘキサンジエンなどの一般に知られているジエ
ンが例示できる。これらエラストマーについては、後述
する強度補強剤シリカの分散性に関係するムーニー粘度
と、透明性に関係するエチレン/プロピレン比とが規定
される。ムーニー粘度としては、ML1+4 (10℃)
で、30〜70の範囲が好ましい。ムーニー粘度が30
より低いと、混練時、シリカの分散のために必要な剪断
力が得られず、好ましくない。粘度が70を超えると、
混練時に粘度が高すぎるためシリカが十分に分散せず、
いずれもヘイズの悪化を引き起こす。さらに、エチレン
/プロピレン比は20/80〜70/30の範囲にある
ことが好ましい。この比率がこの範囲より低すぎると、
強度が著しく悪化し好ましくない。逆にこの比率が上記
範囲より高すぎる場合は、透明性が低下し、好ましくな
い。具体的には、日本合成ゴム社製のJSR、EP2
1、同EP33、デュポン社製のNordel−1320、同
1440などが好ましい例である。その他、エクソンケ
ミカル社製のVistalon−457、同503が好ましい。
【0014】ここで、熱硬化性エラストマーがエチレン
プロピレンジエンターポリマーとエチレンプロピレンコ
ポリマーに限定される理由は、その屈折率が、ポリビニ
ルアセタール系樹脂のそれに非常に近いからである。そ
の他のエラストマーは、その屈折率とポリビニルアセタ
ールのそれとの差が大きく、熱硬化性エラストマー層
(A)と熱可塑性樹脂組成物層(B)の界面における平
滑性を高度に達成しなければ、光学的に歪みが生じるこ
とになり、実用上、困難が大きい。それに対して、この
発明では、平滑性においては、通常達成できる成形技術
の水準で十分、光学的な歪みのないバイレイヤーガラス
を得ることができる。
【0015】熱硬化性エラストマーは、通常、架橋剤な
どを用いて熱硬化させる。
【0016】架橋剤としては、一般的に使用されるパー
オキサイド、硫黄などが例示できる。たとえば、パーオ
キサイドでは、特表昭62−500457号公報に記載
されているように、ジターシャリーブチルパーオキサイ
ド、キュメンハイドロパーオキサイドなどが好適であ
る。
【0017】熱硬化性エラストマーには、強度補強剤と
してシリカを適宜添加することができる。
【0018】強度補強剤としては、透明性確保のために
シリカが好適である。そのシリカの粒子径は、光の波長
より十分小さい径である10nm〜30nmの範囲の一
次粒子径が好ましい。10nmより小さいと、シリカ粒
子の凝集力が強すぎて、分散性が悪くなり、ヘイズが発
生し、バイレイヤーガラスとして必要な透明性を損な
う。また、粒子径が40nmを超えると、絶対的な粒子
径が大きすぎて、同様にヘイズが著しく悪化する。具体
的には、たとえば、日本アエロジル社製のAEROSI
L(アエロジル)130、同200、同200Vが好適
である。その他、特表昭62−500457号公報に記
載のシリカであるキャボット社製のキャボシルMS−7
も使用できる。
【0019】シリカをエラストマーマトリックス中で安
定化させるためにシランカップリング剤が使用されても
よい。シランカップリング剤の配合量はせいぜい8重量
部にとどまるが、たとえば、日本ユニカー社製のシラン
カップリング剤であるA−174(γ−メタクリルオキ
シプロピルトリメトキシシラン)、同A−152(ビニ
ルトリエトキシシラン)が使用できる。
【0020】シリカの添加量については、特表昭62−
500457号公報では、エラストマー100重量部に
対して10〜80重量部が好ましいとあるが、この発明
では、破断強度を保つべく多量に添加する必要がある特
表昭62−500457号のものとは違い、2〜8重量
部が好ましい。シリカが2重量部未満であれば、エラス
トマー層として必要な最低限の強度が得られず、バイレ
イヤーガラスとした場合に、エラストマー層の積層効果
が見られない。シリカが8重量部を超えると、エラスト
マーとしての破断強度は増すが、無機材料が多くなり過
ぎるため、引き裂き強度が弱くなり、耐貫通性は向上し
ない。むしろ、透明性は緩やかにではあるが悪化の傾向
を示し、好ましくない。
【0021】熱硬化性エラストマーには酸化防止剤、紫
外線吸収剤が配合されることもある。
【0022】酸化防止剤としては、汎用のターシャリー
ブチルヒドロキシトルエン(BHT)のほか、イルガノ
ックス1010(チバガイギー社製)に代表されるフェ
ノール系が用いられる。
【0023】紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾー
ル系、ヒンダードアミン系のものが挙げられる。ベンゾ
トリアゾール系では、たとえば、チバガイギー社製の
「チヌビンP」、「チヌビン326」などが好適に用い
られる。ヒンダードアミン系では、アデカアーガス社製
の「LA−57」が好ましい。
【0024】熱硬化性エラストマー層(A)の成形方法
は、たとえば次のように行う:2本ロールなどで素練り
したエラストマーにシリカを2〜8重量部配合し、そこ
に常温で、架橋剤としての過酸化物を配合する。このよ
うにしてできた配合物を、155〜160℃に加熱され
たプレス機で成形シートとする。
【0025】つぎに、この発明によるバイレイヤーガラ
スにおける合成樹脂シートの他方の層である熱可塑性樹
脂組成物層(B)について説明する。
【0026】この発明において熱可塑性樹脂組成物層
(B)の主成分であるポリビニルアセタールの原料ポリ
ビニルアルコールの重合度は、好ましくは800〜30
00である。重合度が800より小さいと、引張り強度
が弱く、耐貫通性が低く、好ましくない。重合度が30
00を超えると耐貫通性は優れるが、樹脂の溶融時の粘
度が高いため、バイレイヤーガラス製造時の溶融が十分
でなく、好ましくない。さらに、好ましい重合度の範囲
は、1000〜2200である。この範囲では、必要且
つ十分な耐貫通性の水準を確保できる。
【0027】使用するポリビニルアルコールのケン化度
は、好ましくは95モル%以上である。95モル%未満
では、バイレイヤーガラスとしての耐候性などの長期耐
久性に問題がある。より好ましいケン化度の範囲は、9
8.5モル%以上である。
【0028】ポリビニルアセタール樹脂において、アセ
タール化のためのアルデヒドとしては、炭素数1〜10
のものが好ましい。たとえば、アセトアルデヒド、プロ
ピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチル
アルデヒド、バレルアルデヒド、2−エチルブチルアル
デヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデ
ヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−デシルアル
デヒド、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェ
ニルアセトアルデヒドなどが好ましい。特に好ましいア
ルデヒドは炭素数3〜8のものである。炭素数が10を
超えると、樹脂の剛性が低下し、バイレイヤーガラスの
耐貫通性が充分でない。
【0029】好ましいアセタール化度は、アセタール化
が55〜80モル%である。55モル%より低いと水酸
基が多いため、バイレイヤーガラスの低温(0℃付近)
における耐貫通性確保に必要な低温での柔軟性が十分で
ない。逆に、アセタール化が80モル%を超えると、バ
イレイヤーガラスの耐貫通性に必要な高温(40℃付
近)における剛性が著しく低下するため、好ましくな
い。より好ましいアセタール化度の範囲は、60〜75
モル%である。
【0030】ポリビニルアセタールは可塑剤の配合によ
り可塑化されている。
【0031】可塑剤の種類としては、たとえば、一塩基
酸エステルおよび多塩基酸エステルが使用できる。一塩
基酸エステルの中では、トリエチレングリコールと、酪
酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン
酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴ
ン酸(n−ノニル酸)、デシル酸などの有機酸とのエス
テル化反応によって得られたグリコール系エステルが好
ましい。その他、テトラエチレングリコール、トリプロ
ピレングリコールと上記のごとき有機酸とのエステルも
用いられる。
【0032】多塩基酸エステルとしては、アジピン酸、
セバチン酸、アゼライン酸などの有機酸と炭素数4〜8
の直鎖状または分子状アルコールとのエステルが好まし
い。その他、有機リン酸系、有機亜リン酸系などの可塑
剤も用いられる。より好適な例としては、一塩基酸エス
テルでは、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブ
チレート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘキソエ
ート、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキソエー
ト、トリエチレングリコール−ジ−カプロエートなどが
挙げられ、2塩基酸エステルとしては、ジブチルフタレ
ート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジ
ブチルカルビトールアジペートなどが挙げられる。ま
た、リン酸系エステルとしては、トリブトキシエチルフ
ォスフェート、イソデシルフェニルホスフェートなどが
好ましい。
【0033】可塑剤の配合割合は、ポリビニルアセター
ル樹脂100重量部に対して、20重量部〜60重量部
が好ましい。20重量部より少ないと、低温における柔
軟性が乏しくなり、熱硬化性エラストマー層(A)と熱
可塑性樹脂組成物層(B)との剥離が発生し易いため、
耐貫通性が十分でない。
【0034】熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて接着
力調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤を含むこともあ
る。
【0035】接着力調整剤は、通常ガラスとの接着力を
多少弱めることによるガラスとの剥離エネルギーの上昇
により、バイレイヤーガラスの耐貫通性を確保するもの
である。接着力調整剤としては、カルボン酸の金属塩、
たとえば、オクチル酸、ヘキシル酸、酪酸、酢酸、蟻酸
などのカリウム、ナトリウムなどのアルカル金属塩、カ
ルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、亜
鉛、コバルト塩などが用いられる。
【0036】酸化防止剤および紫外線吸収剤としては、
熱硬化性エラストマー(A)の場合と同様のものが使用
できる。
【0037】ポリビニルアセタール樹脂の調整方法とし
ては、たとえば、ポリビニルアルコールを熱水に溶解
し、得られた水溶液を所要温度に保持しておいて、所要
のアルデヒドと触媒を加え、アセタール化反応を進行さ
せ、ついで反応温度を上げて保持し反応を完了させた
後、中和、水洗および乾燥を経て樹脂粉末を得る方法が
ある。
【0038】熱可塑性樹脂組成物層(B)を調製するに
は、たとえば、ニーダーなどの混合器中で40℃〜10
0℃の温度範囲で、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤
の各所定量を混合し、必要ならば接着力調整剤、酸化防
止剤、紫外線防止剤を添加し、得られた配合物をプレス
製膜機を用いてシートに成形する。
【0039】つぎに、この発明による積層安全ガラスの
各層の厚みおよび積層構成について説明する。
【0040】熱硬化性エラストマー層(A)の厚みの範
囲の下限は好ましくは0.01mmであり、上限につい
ては特に限定はないが実用上は0.3mmが好ましい。
この厚みが0.01mm未満では、表面における耐裂傷
性能が劣る。熱硬化性エラストマー層(A)の厚みの特
に好ましい範囲は、0.05〜0.5mmである。
【0041】熱可塑性樹脂組成物層(B)の厚みは、好
ましくは0.4〜0.9mmの範囲である。この厚みが
0.4mm未満では、耐貫通性が著しく低下する。この
厚みの上限は、もっぱら耐貫通性の要求レベルによって
決定され、0.9mmであれば耐貫通性は充分である。
【0042】ガラスシート(C)の厚みは特に限定はな
く、通常1〜5mmが好ましい。
【0043】積層枚数および積層順序は任意に選べる。
熱硬化性エラストマー層(A)と熱可塑性樹脂組成物層
(B)の層数はそれぞれ少なくとも1層である。
【0044】耐貫通性は、各層の枚数と関係せず、合計
厚みのみに関係する。
【0045】熱硬化性エラストマー層(A)と熱可塑性
樹脂組成物層(B)とガラスシート(C)とを、層
(A)と層(C)が両外層に来るように積層する。この
積層構成を採る理由は、熱硬化性エラストマー層(A)
が表面に出ることにより、必要な耐摩耗性、耐汚染性、
自己修復性が確保されるためである。
【0046】積層構成の最も単純な例としては、層
(A)/層(B)/層(C)が挙げられる。
【0047】その他、層(A)/層(B)/層(A)/
層(C)、層(A)/層(B)/層(A)/層(B)/
層(C)などが例示できる。
【0048】各層の厚みは、積層の構成枚数によって決
定される。
【0049】熱硬化性エラストマー層(A)と熱可塑性
樹脂組成物層(B)の接着性については、特別の処理を
施さなくても、バイレイヤーガラスとして必要な最少限
の接着力が得られる。バイレイヤーガラスの使用条件
上、必要とされる場合には、熱硬化性エラストマー層
(A)と熱可塑性樹脂組成物層(B)の接着力をさらに
向上させる目的で、層(A)または層(B)の表面に、
チタネート系カップリング剤やシランカップリング剤に
よるエラストマー表面のプライマー処理を施すことが好
ましい。たとえば、チタネート系カップリング剤として
は、日本曹達社製のC−151、同S−152などが通
常使用される。シランカップリング剤としては、前述の
日本ユニカー社製のA−174、A−151が好まし
い。
【0050】熱硬化性エラストマー層(A)または熱可
塑性樹脂組成物層(B)とガラスシート(C)との接着
については、層(A)または層(B)の表面を前述のチ
タネート系カップリング剤やシランカップリング剤によ
るエラストマー表面のプライマー処理などの方法で接着
性を高める方法の他、層(A)または層(B)とガラス
シート(C)との間に、ガラスシート(C)との接着が
良好なポリビニルアセタール層を介在した積層構成も好
ましい方法である。
【0051】熱硬化性エラストマー層(A)と熱可塑性
樹脂組成物層(B)の積層方法については、それぞれ別
々の複数の押し出し成形機で連続シートを製造し、連続
的に積層する方式が最も一般的である。その他の方式と
しては、それぞれの素材について別々に複数の押し出し
成形機などで連続的に製造したものを、所定の形に切断
し、所定の積層構成に重ね合わせた後、熱圧着プレス機
で、溶融圧着する方式がある。後者の方式は、特に複雑
な多層構成のシートを製造する場合に適している。
【0052】熱硬化性エラストマー層(A)および熱可
塑性樹脂組成物層(B)をガラスシート(C)に積層し
てバイレイヤーガラスを製造するには、通常の合わせガ
ラスの製造に用いられる方法が採用される。たとえば、
上記の種々の方法で積層された熱硬化性エラストマー層
(A)および熱可塑性樹脂組成物層(B)と、ガラスシ
ート(C)とを、層(A)と層(C)が両外層に来るよ
うに合わせ、熱圧着プレスで圧着し、バイレイヤーガラ
スを製造する。
【0053】
【実施例】以下、この発明による積層安全ガラスの実施
例を説明する。なお、バイレイヤーガラスの耐裂傷性能
および耐貫通性については、次の方法により試験を行っ
た。
【0054】耐裂傷性能試験 硬度を異にする多数の鉛筆を用いて、バイレイヤーガラ
スの熱硬化性エラストマー層(A)の表面をそれぞれ描
画し、描画後が残らない一番硬い鉛筆の硬さを鉛筆硬度
とする。この硬度が高いほど、バイレイヤーガラスが耐
裂傷性能に優れていることを示す。
【0055】耐貫通性試験 試験片として一辺30cmの正方形のバイレイヤーガラ
スを、その熱硬化性エラストマー層(A)を上にして、
支持枠に水平に保持する。−20℃、20℃、40℃の
温度条件で、上方から2.26kgの鋼球を試験片の中
央部に自由落下させる。鋼球を落下させる高さを漸次上
下させながら、同じ高さで試験を繰り返し行う。試験数
の50%に相当する回数において鋼球の貫通が妨げられ
る高さを求め、この時の鋼球とガラス面の距離をもって
「平均貫通高さ」と称する。従って、平均貫通高さの数
値が大であるほど、耐貫通性能が大であることを示す。
【0056】実施例1 純水2910gに、重合度1700、ケン化度99.2
モル%のポリビニルアルコール190gを加えて加温溶
解した。この反応系を温度調節し、35%塩酸201g
と、n−ブチルアルデヒド124gを添加し、ポリビニ
ルブチラールを析出させた後、反応系を50℃で4時間
保って反応を完了させてポリビニルブチラールの樹脂粉
末を得た(アセタール化度=66.3モル%)。
【0057】このポリビニルブチラールを50g採取
し、この樹脂100重量部に対して40重量部に相当す
る量の可塑剤(トリエチレングリコール−ジ−2−エチ
ルブチレート=「3GH」と略す。)を20g加えてミ
キシングロールで十分に混練し、そこに接着力調整剤と
して、酢酸カリウムを0.05g、酸化防止剤としてB
HTを0.2重量部、紫外線吸収剤としてチヌビンPを
0.15重量部それぞれ添加した。得られた混練物の所
定量をプレス成形機で150℃で30分間保持すること
によって、熱可塑性樹脂組成物層(B)として厚さ0.
4mmのポリビニルブチラール膜を得た。
【0058】一方、エチレンプロピレンジエンターポリ
マーとして市販されている日本合成ゴム社製のJSR
EP21を100g取り、このエラストマーをミキシン
グロールで十分素練りした後、エラストマー100重量
部に対して6重量部のシリカ(日本アエロジル社性=ア
エロジル−200)を添加し十分に分散させた。その
後、架橋剤として、ジターシャリーブチルパーオキサイ
ドを1.5重量部添加した。このようにして得られた熱
硬化性エラストマー組成物を155℃で15分間加熱プ
レスすることによって、0.5mmの熱硬化性エラスト
マー層(A)を得た。
【0059】このようにして成形された熱硬化性エラス
トマー層(A)と熱可塑性樹脂組成物層(B)とを各1
層づつ重ね合わせ、一辺30cm厚み3mmの正方形の
ガラスシート(C)を、層(A)と層(C)が両外層に
来るように合わせ、熱圧着プレスで圧着し、バイレイヤ
ーガラスを製造した。
【0060】なお、熱硬化性エラストマー層(A)とし
ては、次の方法でプライマー処理したものを熱圧プレス
工程に用いた。即ち、シート成形ののち、ガラスとの接
着面に、予めエチルアルコール中にチタネート系カップ
リング剤、C−151(日本曹達社製)の10%稀釈液
をコーターなどで5μmの厚み(乾燥時)相当量に塗布
し、約120℃で10分間溶剤を揮発させた。
【0061】得られたバイレイヤーガラスを前述の耐裂
傷性能試験および耐貫通性試験に供した。試験結果を表
1に示す。
【0062】実施例2〜3 エラストマーの種類、ポリビニルアセタールの種類、積
層構成および膜厚を表1に示すものに変え、実施例1と
同じ操作でバイレイヤーガラスを得た。これらについて
も耐裂傷性能試験および耐貫通性試験を行った。試験結
果を表1に示す。
【0063】比較例1〜2 熱硬化性エラストマー層(A)を外層に配さず、または
層(A)を用いず、実施例1と同じ操作でバイレイヤー
ガラスを得た。これらについても耐裂傷性能試験および
耐貫通性試験を行った。試験結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】表1中、 実:実施例 比:比較例 JSR EP21:日本合成ゴム社製のエラストマー
(エチレンプロピレンジエンターポリマー) Nordel−1320:デュポン社製のエラストマー(エチ
レンプロピレンジエンターポリマー) 表1から明らかなように、実施例のバイレイヤーガラス
は比較例のそれに比べて、耐裂傷性能および耐貫通性共
に優れている。
【0066】
【発明の効果】この発明は、叙上のごとく構成されてい
るので、透明性、耐候性などのバイレイヤーガラスとし
て必要な基本性能を損なうことなく、広い温度領域で、
耐裂傷性能および耐貫通性が共に優れたバイレイヤーガ
ラスを提供することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片面に合成樹脂シート、他面にガラスシ
    ート(C)が配されてなるバイレイヤーガラスにおい
    て、該合成樹脂シートが、架橋したエチレンプロピレン
    ジエンターポリマーおよび/または架橋したエチレンプ
    ロピレンコポリマーからなる少なくとも1層の熱硬化性
    エラストマー層(A)と、アルデヒドの炭素数1〜10
    のポリビニルアセタール樹脂をベースとし且つ可塑剤を
    含む少なくとも1層の熱可塑性樹脂組成物層(B)とに
    より構成され、これらの層(A)(B)および(C)
    が、層(A)と層(C)を両外層にして積層されてな
    る、積層安全ガラス。
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