JP3036090U - 身体清拭用手袋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄用の水や洗浄剤が充分使えない状況で
も、また、介護人が被介護人の体を擦る力をかけずと
も、脂汚れや体臭など、被介護人の体の落ちにくい汚れ
を、簡便に清拭できる身体清拭用布を提供する。 【解決手段】 身体清拭用布を、布地に、ポリ酢酸ビニ
ルエマルジョンと汎用ゴムラテックスとを含む清拭剤
を、含浸、乾燥させた手袋とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、清拭剤を含浸させた身体清拭用手袋に関し、特に、清拭介護用に使 用する身体清拭用手袋に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

手術後の患者や寝たきりの高齢者など、入浴ができない人の体を、濡れたタオ ル等で拭く清拭作業は、これらの人の看護や介護にとって、衛生面や精神衛生上 からも、重要な作業となっている。

【０００３】 しかして、この清拭作業は、看護婦や介護人或いは付き添い人などにより行わ れているが、周知の通り、手間と労力を伴う作業である。 また、清拭作業を行う場所も、移動できない患者や高齢者（以下、被介護人と 称す）のために、病院の病室内や住宅の室内（在宅介護）などのベッドやフトン 上で行うことが多い。

【０００４】 これらの場所では、必然的に、身体洗浄用の水を多量に使うことはできず、従 来から、この清拭作業には、水で湿らせた濡れタオルや、リースのおしぼりタオ ルなどの清拭布が用いられている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、被介護人の体の汚れは、脂汚れや体臭や、場合によれば薬を含 む排泄物など、単に濡れタオルによる清拭では落ちにくい汚れであり、前記した 通り洗浄用の水が使えない状況では、後で水洗する必要のある石鹸やシャンプー などの、通常の洗浄剤も充分に使えない。 一方、清拭布により汚れを落とすために必要な、被介護人の体を擦る力にも、 被介護人の不快感や、介護人の体力からしても限界がある。

【０００６】 したがって、清拭作業は、前記の通り、看護や介護にとって、衛生面や精神衛 生上からも、重要な作業でありながら、従来の清拭作業の清拭能力にはどうして も限界があり、被介護人の体の脂汚れや体臭などがとれず、実際の清拭効果や被 介護人にとっての清浄感は、不十分な結果しか得られなかった。

【０００７】 このような従来技術の問題点に鑑み、本考案は、洗浄用の水や洗浄剤が充分使 えない状況でも、また、介護人が被介護人の体を擦る力をかけずとも、脂汚れや 体臭など、被介護人の体の落ちにくい汚れを、簡便に清拭できる身体清拭布を提 供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、清拭布を、本考案では、布地に、ポリ酢酸ビニ ルエマルジョンと汎用ゴムラテックスとを含む清拭剤を、含浸、乾燥させた身体 清拭用布を手袋形状とする。

【０００９】 本考案では、清拭剤を、手袋形状の布地に予め含浸、乾燥させているので、清 拭剤を均一に含浸させることができ、手袋の生地全体に腰ができ、かつ、全体形 状を介護人の手に合う（フィットする）手袋形状としているので、被介護人の体 を擦る力をかけずとも、清拭作業を効率的に行える。

【００１０】 しかもポリ酢酸ビニルエマルジョンと汎用ゴムラテックスを含む清拭剤によっ て、洗剤を要することなく、また被介護人の体表面に疵をつけることなく、被介 護人の体を擦る力をかけずとも、水や湯に濡らして使用するだけで、脂汚れや体 臭など、単に濡れタオルによる清拭では落ちにくい被介護人の体の汚れを確実に 除去することができる。

【００１１】 これは、清拭剤中の汎用ゴムラテックスの、ゴムとしての性質である吸着力と 摩擦力により、言い換えると消しゴムのような要領で、脂汚れや体臭の元となる 有機物が、効率良く除去できることによる。 但し、消しゴムとの相違は、本考案の清拭剤の機能を発揮させるためには、消 しゴムのような乾いた環境下での使用ではなく、清拭用手袋を水や湯などに濡ら し、清拭剤を湿潤状態で使用する必要がある点である。

【００１２】 この機能を発揮し、被介護人の体の汚れをより確実に除去するためには、ポリ 酢酸ビニルエマルジョンと汎用ゴムラテックスとの好ましい混合割合を、固形分 換算でポリ酢酸ビニルエマルジョンを30〜70重量％、汎用ゴムラテックスを70〜 30重量％とすることが好ましい。

【００１３】 ポリ酢酸ビニルエマルジョンを多く含有させていくと、硬さが増し腰が強くで き、手袋としての全体形状が保持できる反面、汎用ゴムラテックスの含有量が少 なくなるため清拭機能が少しずつ低くなる。 しかし、前記混合割合の範囲であれば、確実に腰ができ、手袋としての外観形 状が保持できるとともに、洗剤が不要な程度の清拭機能を合わせ持たせることが できる。更に好ましくは、ポリ酢酸ビニルエマルジョンと汎用ゴムラテックスと の両者の混合割合は半々に近い割合がよい。

【００１４】 また必要に応じて、前記清拭剤に、界面活性剤、溶剤あるいはベントナイト、 綿粉等の無機又は有機物質の粉末、シリコンオイル、ポリビニルアルコール(PVA ) 等の水溶性樹脂等を加えることができる。

【００１５】 このポリ酢酸ビニルエマルジョンと汎用ゴムラテックスとを、前記した割合で 含む清浄剤自体、乃至この清浄剤を織布、不織布等に含浸、乾燥させた清拭材自 体は、特公昭54− 32553号公報、特公昭53− 28445号公報等で公知である。 また、皮膚面に付着した化粧材料や汚れを除去する化粧用清拭材としても、特 開昭55− 79316号公報で公知である。

【００１６】 この清浄剤は、水を付けるだけで洗剤を使うことなく物が洗え、特に油汚れ落 としに効果がある。したがって、この清浄剤を含浸させた、スポンジ、織布、不 織布のような清拭材料の場合には、鍋や食器類、野菜、果物などは元より表面に 疵がつきやすい物の洗浄、あるいは洗顔など体洗いなどにも実用化がなされてい る。 また、塩化ビニル製の毛に前記清浄剤を塗布、乾燥させたブラシも実用され、 洗面所、風呂場などの洗いに使用されている。

【００１７】 しかしながら、清拭介護などの、被介護人の身体全体の清拭作業の場合には、 前記した通り、汚れ落としの効果やマッサージ機能を持たせるために、被介護人 の体を傷つけたり、不快にならない程度の、皮膚との摩擦力なり身体を擦る力な りが必要である。 この点、前記各公報に記載されているような、器物の清浄剤乃至清拭材料と同 じ、単なる布やタオルのような平板乃至平坦な形状では、被介護人の体を擦る際 に、介護人の加える力が効率的に伝わりにくい。

【００１８】 これに対し、本考案では、清拭布の形状を手袋状としているため、介護人の動 作に合わせた手の一部として機能でき、無理や無駄な力をかけることなく、汚れ を落とすに充分な擦る力だけで清拭作業を行うことができる。

【００１９】 この効果を発揮するために、より好ましい手袋の形状は、親指装入部のみが分 割され、他の指の装入部が合わさった形状のミトンタイプの手袋である。 ミトンタイプであれば、５指の部分が互いに分割された一般的な手袋形状より も、分割された場合の指同士の隙間が無い分、汚れ乃至清拭部分を漏らすことが なく、また、介護人の加える力が効率良く手袋の清拭面に伝わるため、被介護人 の体表面を均一に清拭作業できる。

【００２０】 勿論、本考案は、ミトンタイプ以外でも、清拭作業する介護人の手や手の動作 に合うよう、そして、清拭する身体部分の形に合わせて、種々の手袋形状とする ことが可能である。 より、具体的には、片手で使う場合には、使うべき右手、左手などの形に合わ せて、また、両手で使う場合は、両手が入る（右手と左手とが合体したような） 形状や大きさにするなど、清拭の容易さや効率の面を考慮して適宜設計されて良 い。

【００２１】 本考案の手袋生地としては、綿、化繊、毛糸等の編物、織物、不織物などが適 宜選択されるが、清拭剤を含浸させた場合、どうしても布本来の持つ感触の良さ は損なわれる。 したがって、清拭作業時に、被介護人、介護人の感触を改善し、また、清拭効 果も上げたい場合には、布地として、より厚手で、糸乃至繊維が柔らかいタオル 生地を用いることが好ましい。また、タオル生地は、生地表面が粗く、凹凸を有 するため、表面が緻密で平滑な生地よりも、汚れを清拭するための摩擦効果を上 げやすい点からも好ましい。

【００２２】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施例を図面を参照して説明する。図１は、本考案に係るミト ンタイプの清拭介護用タオル地手袋の斜視図である。 図１は右手用を示し、１はタオル地からなる手袋本体（親指以外の４指を一緒 に装入する）、２は親指装入部である。 ３は、手袋の開口部内側周囲に設けられ、手袋に手を装入した時に手首に締め つけ、清拭作業時に、手袋が手から抜けたり、ずれたりするのを防止するゴムバ ンド、４は、手袋の使用後の保管乃至乾燥を行う際に、ハンガーなどに手袋を係 止するリング状のひもであり、いずれも手袋本体に縫い付けられ、強固に固着さ れている。

【００２３】 清拭介護用タオル地手袋の作り方は、タオル地で、かつ常法により製作された ミトンタイプの手袋に、予め固形分換算でポリ酢酸ビニルエマルジョン50重量％ 、汎用ゴムラテックス50重量％からなる清拭剤に浸漬し、均一に含浸させるとと もに乾燥させる。

【００２４】 この、清拭介護用のタオル地でミトンタイプの手袋を、実際の病院にて、風呂 に入れない寝たきりの高齢者や、体の不自由な患者の清拭介護に試用したところ 、使用した殆ど全員の被介護人と介護人から好評を得た。 清拭介護用タオル地手袋の使用条件は、石鹸等の通常の洗剤を用いず、身体清 拭用ミトンタイプの手袋を、お湯で濡らしたのみで用い、被介護人の清拭作業を 行った。

【００２５】 好評の理由は、当該病院で用いていた、従来のリース用オシボリタオルと比較 して、本清拭介護用タオル地手袋は、従来、一人の被介護人の清拭作業にオシ ボリタオルが３枚程度必要であったものが、１枚で足り、清拭効果が上がるとと もにコストの低減につながった、摩擦力が強く、かつ手にフィットして拭きや すいので、介護人が力を入れて拭かなくても良く、負担が軽くなった、リース 用オシボリタオルは、不特定多数の人に繰り返し使用されるのに対し、本清拭介 護用タオル地手袋は個人用として繰り返し使用ができ、清潔感が増す、というも のであった。

【００２６】 本考案の他の実施例を図２に示すが、同図は、通常の５指が互いに分割された 手袋形状の清拭介護用手袋５を示している。 作り方は、常法により製作された（市販の）木綿生地からなる軍手を、前記実 施例と同じ、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、汎用ゴムラテックスからなる清拭剤 に浸漬し、均一に含浸させるとともに乾燥させたものである。

【００２７】 以上、本考案の身体清拭用手袋につき、特に介護用の場合を主に説明したが、 本考案はこれに限定されず、家庭の風呂や公衆浴場、あるいは事業所の浴場など で、例えば垢すり用などどして用いられても、良い清拭効果を発揮する。

【００２８】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案に係る身体清拭用手袋は、洗浄用の水や洗浄剤が 充分使えない状況でも、また、身体を擦る力をかけずとも、脂汚れや体臭などの 落ちにくい汚れを、簡便に清拭できるなどの効果を有し、実際に、病院の介護人 や被介護人に喜ばれるなど、社会的な意義も有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るミトンタイプの清拭介護用タオル
地手袋の斜視図である。

【図２】本考案に係る通常の手袋タイプの身体清拭用手
袋の斜視図である。

【符号の説明】

１：手袋本体 ２：親指装入部
３：ゴムバンド ４：リング状のひも ５：手袋

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 布地に、ポリ酢酸ビニルエマルジョンと
   汎用ゴムラテックスとを含む清拭剤を、含浸、乾燥させ
   た身体清拭用手袋。
2. 【請求項２】 前記清拭剤が、固形分換算でポリ酢酸ビ
   ニルエマルジョンを30〜70重量％、汎用ゴムラテックス
   を70〜30重量％含む請求項１記載の身体清拭用手袋。
3. 【請求項３】 布地がタオル生地である請求項１又は２
   に記載の身体清拭用手袋。
4. 【請求項４】 形がミトンタイプである請求項１乃至３
   のいずれか１項に記載の身体清拭用手袋。
5. 【請求項５】 用途が、清拭介護用である請求項１乃至
   ４のいずれか１項に記載の身体清拭用手袋。